JP4222760B2 - 2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールに関する。さらに詳しくは、美白剤、抗酸化剤、抗菌剤、香料をはじめ、美白化粧料などの化粧料、各種医薬品、医薬部外品、食品、飲料などに好適に使用しうる2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールおよびその製造法、ならびに2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの製造中間体であるシッフ塩基化合物およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
女性は、いつの時代も年齢に関係なく綺麗でありたいと思う。そして「白魚のような手」といわれる例えがあるように、肌が白く極め細やかであることは、女性にとっての永遠の課題である。
【0003】
この課題を解決するために、従来、様々な研究が行われている。例えば、肌が紫外線を浴びて黒くなったり、しみやソバカスができる原因は、皮膚組織のメラノサイトで生成されるメラニンに起因しているものと考えられている。このメラノサイトでは、アミノ酸であるチロシンが酸化され、ドーパ、ドーパキノン、ドーパクロム、ジヒドロキシインドールの経路を経て、最終的にメラニンが生成する。
【0004】
これらの化学反応は、すべて酸化反応であり、その反応に生体内触媒として作用する物質として、チロシナーゼ活性酵素や体内活性酸素が知られている。
【0005】
このチロシナーゼ活性酵素を阻害する物質として、アルブチン、コウジ酸などが知られている。また、体内活性酸素をトラップする物質として、カテキン類、フラボノイド類に代表されるポリフェノール類やトウガラシの辛味成分であるカプサイシン、米ぬか中に多く含まれているフェルラ酸、丁子のつぼみから抽出されるオイゲノールやイソオイゲノールなどの活性酸素消去効果を発現する物質が知られている。
【0006】
これらの化合物には、いくつかの共通点がある。その共通点としては、例えば、フェノール性水酸基またはそれに類似する水酸基を多く持っていることなどが挙げられる。通常、フェノール性水酸基は、還元性を有し、しかもチロシナーゼ活性酵素の抑制に大きな影響を与える銅イオン錯体形成能を有するため、チロシナーゼ活性酵素阻害および体内活性酸素消去の両面での効果が期待されている。
【0007】
アルブチンの効能は、構造中のハイドロキノンに起因している。ハイドロキノン自身でも皮膚を漂白する作用を有するが、その効力が強すぎるとともに、水に対する溶解性が低いため、ハイドロキノンを配糖体とした後に使用されている。
【0008】
また、フェルラ酸やオイゲノールについても、アルブチンと同様に水に溶解しにくいことから、配糖体とした後に用いることが提案されている(特開平06-256137 号公報、特開2000-96O78号公報)。
【0009】
しかしながら、これらのフェノール性水酸基を有する化合物の配糖体は、通常、毒素を緩和する微生物や酵素によって生合成するか、あるいは数ステップを経て得られるγ−ハロゲン化グルコースを用いて合成するという合成方法が採られているため、大量生産には適しておらず、またコスト高となるという欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、良好な水溶性を有し、チロシナーゼ活性酵素阻害、活性酸素消去、抗菌性および低臭性に優れ、しかも人体に対する副作用の少ない、分子中にフェノール性水酸基を有する配糖体を提供することを目的とする。
本発明は、また前記分子中にフェノール性水酸基を有する配糖体を安価で工業的生産性よく製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、前記分子中にフェノール性水酸基を有する配糖体の製造に好適に使用しうる製造中間体およびその製造法を提供することを目的とする。
本発明は、さらに、前記分子中にフェノール性水酸基を有する配糖体が用いられた各種用途に関する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1) 式(I):
【0013】
【化12】
Figure 0004222760
【0014】
で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール、
(2) 式(II):
【0015】
【化13】
Figure 0004222760
【0016】
で表されるシッフ塩基化合物を還元させることを特徴とする式(I)で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの製造法、
(3) 式(I)で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを含有してなる化粧料、ならびに
(4) 式(I)で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールからなる香料に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の式(I)で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール(以下、単に2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールという)は、その製造中間体として式(II)で表されるシッフ塩基化合物(以下、単にシッフ塩基化合物という)を用いることによって製造することができる。
【0022】
また、式(II)で表されるシッフ塩基化合物は、式(III) で表されるD−グルコサミン(以下、単にD−グルコサミンという)と、式(IV)で表されるバニリン(以下、単にバニリンという)とを反応させることによって得ることができる。
【0023】
D−グルコサミンおよびバニリンは、いずれも、容易に入手しうる化合物である。また、D−グルコサミンの代わりにD−グルコサミン塩酸塩を用い、このD−グルコサミン塩酸塩を水中で水酸化ナトリウムなどの塩基と反応させることにより、D−グルコサミンを生成させてもよい。
【0024】
D−グルコサミンとバニリンとの反応は、D−グルコサミンのアミノ基とバニリンのアルデヒド基とが反応することによって行なわれる。したがって、D−グルコサミンおよびバニリンの量は、化学量論的には、D−グルコサミンのアミノ基とバニリンのアルデヒド基とが等モルとなる量であるが、通常、未反応化合物量の低減の観点から、D−グルコサミンのアミノ基1モルに対して、バニリンのアルデヒド基の量が0.8 〜1.2 モル程度であればよい。
【0025】
D−グルコサミンとバニリンとの反応は、通常、溶媒中で行なうことができる。
【0026】
溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物類;酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステルなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、水およびエタノールは、本発明において好適に使用することができる。
【0027】
溶媒の量は、特に限定がないが、通常、D−グルコサミンとバニリンとの合計量100 容量部に対して100 〜1000容量部、好ましくは300 〜600 容量部程度であればよい。
【0028】
反応温度は、反応を促進させる観点から、10℃以上、好ましくは20℃以上であることが望ましいが、あまりにも温度が高い場合には、着色の原因となるので、100 ℃以下、好ましくは50℃以下であることが望ましい。
【0029】
なお、反応の際の雰囲気には特に限定がない。かかる雰囲気は、通常、大気であってもよく、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
【0030】
反応時間は、特に限定がないが、通常、0.5 〜6時間程度である。反応の終点は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やガスクロマトグラフィーなどで原料の消失などによって容易に確認することができる。
【0031】
かくしてシッフ塩基化合物を含む反応溶液が得られる。得られたシッフ塩基化合物を反応溶液から単離する場合には、反応溶液から溶媒を留去することにより、シッフ塩基化合物を析出させ、析出したシッフ塩基化合物を濾過により回収すればよい。
【0032】
なお、得られた反応溶液には生成したシッフ塩基化合物が含まれているので、かかる反応溶液からシッフ塩基化合物を単離せずに、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを製造するために、該反応溶液をそのままの状態で還元に供してもよい。この手法は、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを収率よく得る観点から好ましい。
【0033】
シッフ塩基化合物は、前述したように、本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの製造中間体として好適に使用しうるものである。
【0034】
本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、シッフ塩基化合物を還元させることによって容易に製造することができる。
【0035】
シッフ塩基化合物の還元は、例えば、シッフ塩基化合物を溶媒に溶解または懸濁させた溶液に水素ガスを吹き込む水素還元法、還元性を有する化合物を溶媒に溶解または懸濁させた溶液にシッフ塩基化合物を溶媒に溶解または懸濁させた溶液を滴下する方法などによって容易に行なうことができる。
【0036】
前者の方法で還元を行なう場合、触媒として、例えば、パラジウム触媒、白金触媒、ラネーニッケル触媒などを用いることができる。また、後者の方法で還元を行なう場合、還元性化合物として、例えば、二酸化硫黄、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アセトアルデヒド誘導体、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、アルキルアルミニウム化合物などを用いることができる。なお、これらの触媒および還元性化合物の量は、その種類などによって異なるので一概には決定することができない。通常、触媒および還元性化合物の量は、シッフ塩基化合物を還元させるのに必要な理論量以上とされる。
【0037】
なお、シッフ塩基化合物を溶媒に溶解または懸濁させた溶液としては、D−グルコサミンとバニリンとの反応溶液を用いることができるほか、シッフ塩基化合物を前述した溶媒に溶解または懸濁させた溶液を用いることができる。かかる溶液に用いられる溶媒の量は、還元反応を促進させる観点から、通常、シッフ塩基化合物100 重量部に対して、300 〜5000重量部程度、好ましくは500 〜1500重量部程度であることが望ましい。
【0038】
還元の際の溶液の液温は、還元反応を効率よく進行させる観点から10〜80℃、好ましくは30〜50℃であることが望ましい。
【0039】
シッフ塩基化合物の還元反応に要する時間は、シッフ塩基化合物の量、溶液の液温などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜40時間程度である。
【0040】
還元反応の終了は、例えば、シッフ塩基化合物の消失を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などで確認することによって行なうことができる。
【0041】
かくして2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールが得られるが、その反応溶液には、溶媒などが含まれているため、常法によりそれらを除去し、洗浄し、精製することが望ましい。
【0042】
以上説明したように、本発明の製造法によれば、D−グルコサミンとバニリンとを反応させることにより、容易にシッフ塩基化合物を調製することができ、また得られたシッフ塩基化合物から簡便な操作により、容易に目的化合物である2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを製造することができる。
【0043】
したがって、本発明の製造法には、工業的規模で、経済的に2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを容易に製造することができるという利点がある。
【0044】
また、本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、良好な水溶性を有し、チロシナーゼ活性酵素阻害、活性酸素消去、抗菌性および低臭性に優れ、しかも人体に対する副作用の少ないという優れた物性を発現するものである。
【0045】
したがって、本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、それ単独で、美白剤、抗酸化剤、抗菌剤、香料などとして使用することができるほか、美白化粧料などの化粧料、皮膚外用医薬品などの各種医薬品、皮膚用医薬部外品などの各種医薬部外品、食品、飲料などにも好適に使用することができる。なかでも特に、本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、化粧料に好適に使用することができる。
【0046】
化粧料の形態としては、例えば、収斂性化粧水などの各種化粧水;アフターシェーブローションなどの各種ローション;乳液;マッサージクリーム、栄養クリームなどの各種クリーム;ペースト状洗い流しパック剤、ピールオフタイプのパック剤などの各種パック剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0047】
本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールをこれらの用途に使用するにあたり、該2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの量は、その用途などによって異なるので一概に決定することができない。したがって、かかる2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの量は、その用途に応じて適宜決定すればよい。その一例として、本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを例えば化粧料に使用する場合には、化粧料における含有量が0.1 〜50重量%程度、好ましくは3〜30重量%程度となるように調整することが望ましい。
【0048】
なお、本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールをこれらの用途に使用するにあたり、その用途に応じて、例えば、乳化剤、ゲル化剤、界面活性剤、酸化防止剤、香料、防腐剤、顔料、脂肪物質、ビタミン、栄養剤、保湿剤、紫外線防止剤などと併用することができる。
【0049】
【実施例】
次に、本発明を実施例および処方例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例および処方例のみに限定されるものではない。
【0050】
実施例1(参考例)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管および撹拝装置を取り付けた1000mL容の5つロフラスコに、D−グルコサミン塩酸塩10g(46.4mol)と水酸化ナトリウム1.88g(46.4mol)を添加し、攪拌装置で内容物を混合し、成分濃度が70重量%となるように水を添加した。これにより、D−グルコサミンの水溶液を得た。
【0051】
次に、得られた水溶液に、バニリンを7.1g(46.4mol) をエタノール7.1gに溶解させ溶液を添加し、室温で6時間攪拌して淡黄色結晶の沈殿物を得た。得られた沈殿物11.4mgを濾過にて回収した(収率80%)。
【0052】
得られた沈殿物は、以下の物性を有しており、式(II)で表されるシッフ塩基化合物であることが確認された。
【0053】
融点:170.6 ℃
元素分析
実測値 C:53.20 %、H:5.85%、N:4.30%
理論値 C:53.67 %、H:6.11%、N:4.47%
【0054】
実施例2
実施例1で得られたシッフ塩基化合物10mgを精製水500mL 中に分散させた後、その分散液中にパラジウムカーボン0.6gを投入した。その後、その溶液中に水素ガスを吹き込みながら50℃で48時間攪拌することにより、シッフ塩基化合物の還元を行なった。
【0055】
還元反応の終了は、液体クロマトグラフィーにより、シッフ塩基化合物に基づくピークの消失により確認した。
【0056】
次に、得られた反応溶液を噴霧乾燥により、乾燥し、淡黄色〜茶褐色の結晶9.0 mgを得た(収率90%)。
【0057】
得られた結晶は、以下の物性を有することから、式(I)で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールであることが確認された。
【0058】
融点:122.8 ℃
元素分析
実測値 C:50.50 %、H:6.17%、N:6.09%
理論値 C:53.33 %、H:6.71%、N:4.44%
MS: 316 、302 、293 、179 、137 、124 、112 、99、65
【0059】
1H-NMR(δ:ppm):3.02-3.067(m,m, 2H, -CH 2 -OH)、3.680(s, 3H, -OCH 3 ) 、4.036(m, 2H, -NH-CH 2 -)、5.019(s, 1H, -NH-CH2-)、6.648(d, 1H, Ph)、7.072(m, 1H, Ph)、7.150(m, 1H, Ph)、9.271(s, 1H, Ph-OH)
【0060】
次に、得られた2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの物性を以下の方法に基づいて調べた。
【0061】
(1) 水溶性
2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを20℃の水に溶解させ、10重量%水溶液を調製したところ、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは速やかに水に溶解し、透明な水溶液が得られた。このことから、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、水溶性に優れていることがわかる。
【0062】
(2) チロシナーゼ活性酵素阻害
DL−チロシンの10mmol/L水溶液を調製し、得られた水溶液20mLにチロシナーゼ酵素0.5mg を投入した後、これに2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール63.2mg(0.2mmol) を添加してサンプルを得た。
【0063】
一方、サンプルと対比するために、DL−チロシンの10mmol/L水溶液を調製し、得られた水溶液20mLにチロシナーゼ酵素0.5mg を投入した後、これに2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを添加しなかった対照サンプルを得た。
【0064】
次に、サンプルおよび対照サンプルをそれぞれ50mL容の比色管に20mLずつ入れ、36℃で24時間保温した。
【0065】
その結果、サンプルの色彩が対照サンプルよりも薄くなっていた。このことから、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、チロシナーゼ活性酵素を阻害することから、チロシナーゼ阻害剤として好適に使用しうるものであることがわかる。
【0066】
(3) 臭気
2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの臭気を嗅覚にて調べた。その結果、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、バニリン様の甘い香気を持続して発現することが確認された。このことから、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、バニリン香料として好適に使用しうるものであることがわかる。
【0067】
処方例1(美白クリーム)
以下に示す各成分を室温(約20℃)で攪拌下で混合することにより、美白クリーム(バニシングクリーム)を得た。
【0068】
組 成 量(重量%)
ステアリン酸 8.0
ステアリルアルコール 4.0
ステアリン酸n−ブチル 6.0
プロピレングリコール 5.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの粉末 10.0
水酸化カリウム 1.0
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残部
(合計) 100.0
【0069】
処方例2(美白ローション)
以下に示す各成分を室温(約20℃)で攪拌下で混合することにより、美白ローション(エモリエントローション)を得た。
【0070】
組 成 量(重量%)
セチルアルコール 1.0
ミツロウ 0.5
ワセリン 2.0
スクワラン 6.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
エタノール 5.0
グリセリン 4.0
1,3−ブチレングリコール 4.O
ポリオキシエチレン(10)モノオレイン酸エステル 1.0
グリセロールモノステアリン酸エステル 1.0
2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの粉末 15.0
クインスシード抽出液(5%水溶液) 20.0
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残部
(合計) 100.0
【0071】
処方例3(美白パックマスク)
以下に示す各成分を室温(約20℃)で攪拌下で混合することにより、美白パックマスク(ゼリー状ピールオフタイプパック)を得た。
【0072】
組 成 量(重量%)
ポリビニルアルコール 15.0
カルボキシメチルセルロース 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
エタノール 12.0
2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの粉末 15.O
ポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル 0.5
防腐剤 適量
緩衝剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残部
(合計) 100.0
【0073】
処方例4(美白パックマスク)
以下に示す各成分を室温(約20℃)で攪拌下で混合することにより、美白パックマスク(ペースト状ピールオフタイプパックマスク)を得た。
【0074】
組 成 量(重量%)
ポリ酢酸ビニルエマルジョン 15.0
ポリビニルアルコール 10.0
ソルビトール 5.O
ポリエチレングリコール400 5.0
ホホバ油 2.0
スクワラン 2.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル 1.0
酸化チタン 5.0
タルク 10.0
エタノール 8.0
2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの粉末 15.0
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残部
(合計) 100.0
【0075】
比較処方例1
処方例1において、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール10.0重量%の代わりに、コウジ酸10.0重量%を用いたほかは、処方例1と同様にして美白クリーム(バニシングクリーム)を得た。
【0076】
比較処方例2
処方例2において、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール15.0重量%の代わりに、コウジ酸15.0重量%を用いたほかは、処方例2と同様にして美白ローション(エモリエントローション)を得た。
【0077】
比較処方例3
処方例3において、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール15.0重量%の代わりに、コウジ酸15.0重量%を用いたほかは、処方例3と同様にして美白パック(ゼリー状ピールオフタイプパック)を得た。
【0078】
比較処方例4
処方例4において、2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール15.0重量%の代わりに、コウジ酸15.0重量%を用いたほかは、処方例4と同様にして美白パック(ペースト状ピールオフタイプパック)を得た。
【0079】
試験例
処方例1〜4および比較処方例1〜4で得られた各化粧料を、それぞれ無作為に抽出した20名の被験者(女性)に適用してもらい、美白効果および肌への刺激性について官能試験を行なった。
【0080】
各化粧料の適用条件は、以下のとおりである。
処方例1および比較処方例1:
顔全体に、朝(起床後)および夜(就寝前)に、各1回ずつクリームを塗布する操作を1週間行なう。
処方例2および比較処方例2:
顔全体に、朝(起床後)および夜(就寝前)に、各1回ずつローションを塗布する操作を1週間行なう。
処方例3〜4および比較処方例3〜4:
顔全体に、夜に1回パックを塗布し、10分間経過後にそのパックを剥離するという操作を1週間行なう。
【0081】
使用開始から1週間経過後に、各被験者に以下の評価方法に基づいて評価をしてもらった。
【0082】
〔評価方法〕
(イ)美白効果
(評価基準)
5点:使用前と比較してくすみがなくなり、明らかに肌が白く明るくなった。
3点:使用前よりもわずかに肌が白くなった。
0点:使用前と変化がない。
【0083】
(ロ)刺激性
5点:肌にピリピリした刺激感または痒みがまったくない。
3点:肌にピリピリした刺激感がある。
0点:肌に痛みを感じる。
【0084】
次に、各評価項目について、20名の得点を合計して総得点を求め、以下のランク付けを行なった。その結果を表1に示す。
【0085】
A:総得点が90点以上
B:総得点が80〜89点
C:総得点が70〜79点
D:総得点が60〜69点
E:総得点が59点以下
【0086】
【表1】
Figure 0004222760
【0087】
表1に示された結果から、処方例1〜4で得られた化粧料は、いずれも、優れた美白効果を示し、しかも肌に対する刺激(副作用)もない安全なものであることがわかる。
【0088】
これに対して、比較処方例1〜4で得られた化粧料は、いずれも、優れた美白効果を示すものの、肌に対する刺激が強く、副作用が懸念されるものであることがわかる。
【0089】
【発明の効果】
本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、良好な水溶性を有し、チロシナーゼ活性酵素阻害、活性酸素消去、抗菌性および低臭性に優れ、しかも人体に対する副作用の少ないという効果を奏する。したがって、本発明の2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールは、美白剤、抗酸化剤、抗菌剤、香料をはじめ、美白化粧料などの化粧料、各種医薬品、医薬部外品、食品、飲料などに好適に使用することができるものである。
【0090】
また、本発明の製造法によれば、容易に製造しうるシッフ塩基化合物を用いて安価で工業的生産性よく2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを製造することができる。

Claims (4)

  1. 式(I):
    Figure 0004222760
    で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノール。
  2. 式(II):
    Figure 0004222760
    で表されるシッフ塩基化合物を還元させることを特徴とする式(I):
    Figure 0004222760
    で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールの製造法。
  3. 式(I):
    Figure 0004222760
    で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールを含有してなる化粧料。
  4. 式(I):
    Figure 0004222760
    で表される2−メトキシ−4−グルコサミノメチルフェノールからなる香料。
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