JP4222239B2 - 車両衝突試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特に2台のテスト車両の衝突試験において、各テスト車両が実際に衝突する位置を衝突形態に合わせた設定衝突位置にできるだけ近付け、衝突試験精度を高める試験方法に関するものである。
車両衝突試験装置は、ドーリー装置1(牽引手段)を介して無端ロープ状の牽引ワイヤー2でテスト車両を牽引しながら所定の試験速度で走行させ、これを衝突バリアに衝突させたり、或いは2台のテスト車両どうしを衝突させて、その損壊状況を試験するための装置である。図2は、本発明に係る車両衝突試験装置の簡略図であって、以下これを援用して従来例について説明する。衝突試験を行うには、ガイドレールG1の内部に走行可能に装着されたドーリー装置1にトランスポートワイヤー4を取付けてこれをテスト車両A1'に引っ掛けて連結し、該車両A1'を規定のスタート位置S1に配置する。前記テスト車両A1'を、前記ドーリー装置1で牽引走行させ、ガイドレールG1に沿って誘導しながら、設定走行速度V1で走行面上を直進走行させる。そして、所定の牽引解放位置F1に達した時点で、ガイドレールG1に装着されたストライカー5によって、ドーリー装置1を制止させながら前記牽引ワイヤー2を切り離して牽引状態を解放する。この後に、該テスト車両A1'は、衝突バリアや他のテスト車両に衝突すべく設定衝突位置R1まで単独で空走する。図2の6は、撮影機材等を収容するためのピットである。衝突試験を行うには、このピット6のためのスペースや、前記ストライカー5の装着スペースも必要なため、設定衝突位置R1直前まで車両A1'を牽引することができずに空走を避けられない。よって、設定走行速度V1と空走速度との速度差に応じて、設定された衝突位置R1と実際の空走位置との間にずれが生じ、衝突試験結果の損壊状況が適正に再現されなかった。以下の説明で空走距離とは、テスト車両が前記解放位置F1にて牽引を解放されてから、設定衝突位置R1において相手のテスト車両等の被衝突物と衝突するまでに、それぞれの慣性により走行する距離として定める。一般に、衝突試験において必要とされる空走距離は、5〜10m程度である。
そして、空走時には、車両の内部機構のロス(ギアや軸受の摩擦によるメカロス)、タイヤのころがり抵抗、空走時に車両が受ける空気抵抗等によって設定走行速度V1から幾らか減速された状態での衝突を余儀なくされる。ここで、例えば1台のテスト車両を衝突バリアに衝突させる試験においては、バリアに衝突する直前での直前空走速度V’を予め知ることによって試験速度の補正を行っていた。即ち、牽引解放前の設定走行速度V1と前記直前空走速度V’との速度差ΔV'(=V1−V')を、前記走行速度V1に加算した補正走行速度V1'(=V1+ΔV’)にてテスト車両A1'を牽引しながら、補正前と同様の条件で衝突させることで空走時の減速による問題を解決していた。
例えば、空走時の減速分を補正した従来の衝突試験方法(特許文献1)では、前記牽引ワイヤーの巻取ドラムを駆動するモータに、速度検出機等や自動制御部を取付けてスタート直後のテスト車両の加速時の速度変化を検出し、この検出値よりテスト車両の慣性モーメントや走行抵抗を演算し、更にこれらの数値より前記速度差ΔV'を演算して補正走行速度V1'を定め、牽引手段解放前の車両の走行速度を前記モータを制御することによって補正走行速度V1'に補正する方法が挙げられている。
特開平8−145838号公報
また、2台の第1テスト車両と第2テスト車両との側面衝突試験においては、各テスト車両のみなし衝突位置Pに対する第1及び第2の各オフセット距離Ld1,Ld2を定め、この分だけ各テスト車両のスタート位置S1,S2をずらして補正することによって、前記両車両同士をそれぞれの設定衝突位置R1,R2で衝突させようとしていた。みなし衝突位置Pとは、第1テスト車両及び第2テスト車両のそれぞれの車幅を2分割する仮想線の延長線であって、前記各車両用のガイドレールG1,G2の同じく2分割線に相当する各走行線M1,M2(図1参照)の交点を指し、仮想的に衝突するとみなされる位置である。通常、各スタート位置S1,S2は、前記みなし衝突位置Pを原点として、ここから起算して全走行距離L1(S-P),L2(S-P)だけ、前記各走行線M1,M2に沿って離れた位置に定められる。全走行距離L1(S-P),L2(S-P)は、それぞれの設定走行速度V1,V2に、スタート後みなし衝突位置Pに到達すると想定される仮想衝突時刻Tciを乗じた距離であって、50〜100m程度の範囲に定められている。なお、第1テスト車両と第2テスト車両とは、それぞれの牽引ワイヤーの巻取ドラムを駆動する1つのモータによって牽引され、従って同一駆動源の駆動力が分岐された状態で同期走行するので、各車両の衝突試験のスタート時刻も同じタイミングとなる。
以下、図1の本発明に係る側面衝突試験の模式図を援用して説明する。2台のテスト車両は、それぞれ各設定走行速度V1,V2(V1>V2)が異なる高速車(第1テスト車両)A1及び低速車(第2テスト車両)A2であって、衝突試験は、高速車A1及び低速車A2の互いの走行線M1,M2が直交した状態で、低速車A2のボディ側面に向けて、高速車A1が衝突角度90°で突っ込む側面衝突の形態を想定したものである。高速車A1のフロント部が、低速車A2の車幅の約半分の長さに相当するオフセット距離Ld1だけ、みなし衝突位置Pよりもスタート側の設定衝突位置R1まで空走し、低速車A2のフロント部が、その車長の約5分の2の長さに相当するオフセット距離Ld2だけ、みなし衝突位置Pよりも反スタート側の設定衝突位置R2まで空走した瞬間に、低速車A2の運転席付近を狙って高速車A1が突っ込むように衝突させる。この形態で衝突させるために、高速車A1側のスタート位置S1を、オフセット距離Ld1だけスタート側に、低速車A2側のスタート位置S2をオフセット距離Ld2だけ反スタート側に移動させて補正する。これによって、補正後の各スタート位置から高速車A1及び低速車A2が同時にスタートした後、仮想衝突時刻Tciでのそれぞれの空走位置を、みなし衝突位置Pからそれぞれオフセット距離Ld1,Ld2だけスタート側及び反スタート側の各設定衝突位置R1,R2に近付けられる。なお、スタート位置や牽引解放位置等の「位置」とは、テスト車両のフロント部先端の位置と同等とし、それらの変更作業は、具体的には、ガイドレールG1に装着されたドーリー装置1を移動させながら、これと牽引ワイヤー2との連結位置を変更したり、ストライカー5のガイドレールG1への取付位置を変更することによって行われる。
しかしながら、前記各オフセット距離Ld1,Ld2のみを補正対象とするこの方法では、前述した空走時の減速分が全く考慮されていないので、これによって設定衝突位置R1,R2と実際の衝突部位とのずれが非常に大きくなり、衝突すべき部位とかけ離れた部位にて衝突し、この結果、衝突試験精度が低下して適正な衝突試験結果が得られないという問題が生じていた。
本発明は、テスト車両同士の衝突試験において、オフセット距離分の補正のみならず、2台のテスト車両のそれぞれの空走時の減速の度合をも加味した補正を行うことによって、設定衝突位置に対する実際の衝突部位のずれを、簡単な方法でより小さくし、衝突試験の精度を高めることを課題としている。
上記の課題を解決するために請求項1の発明は、第1及び第2の各テスト車両同士を、牽引手段により各スタート位置S1,S2から同時にスタートするように、それぞれの設定走行速度V1,V2で牽引走行させ、所定の各牽引解放位置F1,F2にて牽引手段を解放した後に設定衝突位置R1,R2まで空走させながら、この位置でテスト車両同士を衝突させる試験方法であって、まず、各牽引解放位置F1,F2からそれぞれの設定衝突位置R1,R2に向けて空走する時の減速を踏まえた平均空走速度Va1,Va2を定めるべく第1及び第2の各テスト車両の準備走行試験等を行い、第1及び第2の各テスト車両のいずれか一方のテスト車両の前記設定走行速度V1(V2)に対する一方の平均空走速度Va1(Va2)の減速量に応じて、一方の車両が自身の設定衝突位置R1(R2)に到達するのに遅れる遅れ時間ΔT1(ΔT2)に、一方の車両が空走する予定の未走距離L1(Δt1)〔L2(Δt2)〕と、他方のテスト車両の前記設定走行速度V2(V1)に対する他方の平均空走速度Va2(Va1)の減速量に応じて、他方のテスト車両が自身の設定衝突位置R2(R1)に到達するのに遅れる遅れ時間ΔT2(ΔT1)に、一方のテスト車両が空走する仮想未走距離L1(Δt2)〔L2(Δt1)〕との差を補正距離ΔL1(ΔL2)として求め、そして、いずれか一方又は両方のテスト車両のスタート位置S1(S2)を、補正距離ΔL1(ΔL2)に相当する分だけずらして衝突試験を行うことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、本衝突試験の前に予め準備走行試験を行うことによって、第1及び第2の各テスト車両の空走時における平均空走速度を求めることにより、各テスト車両の牽引走行時に対する空走時の各減速の度合を予め算出して、該度合に差がある場合には、いずれか一方のテスト車両のスタート位置をずらして、テスト車両同士を設定衝突位置で衝突させることにより衝突位置の精度を高めている。これによって、各テスト車両を牽引走行させる装置の牽引速度、即ち牽引走行装置を構成する駆動モータの回転数を制御する等の複雑な制御を行うことなく、予め準備走行試験等を行って上記した「各テスト車両の減速の度合」を算出することにより、テスト車両同士を目的の部位同士で衝突させられて、衝突試験の精度が高められる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、第1及び第2の各テスト車両の衝突形態は、衝突角度が180°の正面衝突等以外の形態であって、第1及び第2の各テスト車両のうち少なくとも一方の前記設定衝突位置R1(R2)は、それぞれのテスト車両の各走行線の交点であるみなし衝突位置Pに対して、一方のオフセット距離Ld1(Ld2)だけずれて設定されていることを特徴としている。
各テスト車両の衝突形態が正面衝突以外の形態、即ち側面衝突、斜め側面衝突の場合には、衝突位置のずれは、各テスト車両の衝突部位の大きなずれとなって現れて、衝突試験精度の低下が特に大きくなり、試験目的を達成できない。しかし、請求項2の発明によれば、請求項1の発明の作用効果に加えて、各テスト車両の設定衝突位置を、「オフセット距離」を考慮した各テスト車両の空走距離の一端として、各テスト車両の空走時の減速の度合を算出しているために、上記した側面衝突、斜め側面衝突における衝突試験精度が高められる。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、第1及び第2の各テスト車両の設定走行速度V1,V2は、それぞれ異なることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用効果に加えて、各テスト車両の設定走行速度が異なる場合には、各走行速度の差自体が各テスト車両の衝突部位の大きなずれを生じさせる一因となるが、各テスト車両の空走時の減速度合を算出することによって、各走行速度の差を加味しているために、異速度衝突試験の精度が高められる。
本発明によれば、2台のテスト車両同士の衝突試験において、各テスト車両の平均空走速度を定めることによって、牽引解放前後の減速の度合を一定値とみなし、各テスト車両のいずれか一方のテスト車両の減速の度合に応じて、一方のテスト車両が自身の設定衝突位置に達せずに空走している位置と設定衝突位置との間の距離、即ち未走距離と、他方のテスト車両の減速の度合に応じて、他方のテスト車両が自身の設定衝突位置に達せずに空走している時間内に、一方のテスト車両が空走可能な距離、即ち仮想未走距離との差を補正距離とし、補正距離だけ一方か又は両方のテスト車両のスタート位置をずらすことによって、各テスト車両のそれぞれの空走時の減速の度合をも加味した補正を行い、衝突試験の精度を高めることができる。
本発明の車両衝突試験の実施形態として、従来例の異速度走行する2台のテスト車両による側面衝突の場合について例示する。既述したとおり、それぞれの設定走行速度V1,V2(V1>V2)が異なる高速車A1及び低速車A2を使用した側面衝突試験は、高速車A1が低速車A2のボディ側面に向けて衝突角度90°で突っ込む形態を想定した試験である。互いの走行線M1,M2は直交しており、高速車A1のフロント部が、オフセット距離Ld1だけ前記みなし衝突位置Pよりもスタート側の設定衝突位置R1に到達するまで空走し、低速車A2のフロント部が、オフセット距離Ld2だけ同じく反スタート側の設定衝突位置R2に到達するまで空走した時点で側面衝突させるべく試験を行う。また、以下の説明において、高速車A1を「第1」テスト車両、低速車A2を「第2」テスト車両とみなし、各種の概念についても、高速車A1に関連するものには「第1」、低速車A2に関連するものには「第2」の接頭語を適宜付した。
側面衝突試験を行うためには、予め高速車A1及び低速車A2の各平均空走速度Va1,Va2を定めるための準備走行試験を行う。これにより、牽引解放後の空走時の空走速度をも牽引解放前と同様に一定値とみなし、それぞれのテスト車両のメカロス機構等に起因して多くの場合車両毎に異なる牽引解放前後の速度差、即ち減速の度合を一定値として算出することができる。このために、例えば、高速車A1及び低速車A2が、それぞれの各空走距離L1(F-R),L2(F-R)のほぼ1/2長の地点を空走する時の速度を、各平均空走速度Va1,Va2として簡易的に定める方法がある。ドーリー装置1に牽引される高速車A1を設定走行速度V1で走行させながら、牽引解放位置F1にてドーリー装置1から切り離して空走させ、前記ガイドレールG1(走行線M1)上の空走速度測定位置X1到達時の空走速度を所定の方法で測定し、同様に低速車A2についても、空走速度測定位置X2到達時の空走速度を求める(図2参照)。前記各設定走行速度V1,V2に対するそれぞれの空走速度の速度差より、高速車A1及び低速車A2が設定衝突位置R1,R2直前、即ち空走距離L1(F-R),L2(F-R)だけ空走した時の同じく速度差を比例的に求め、これを更に2分して平均的な減速の度合とすることによって、例えば下式(1),(2)に従って前記各平均空走速度Va1,Va2を算出する。なお、前記中間地点での空走速度をより正確に算出するために、前記各空走速度測定位置X1,X2は、それぞれの設定衝突位置R1,R2になるべく近いことが望ましい。
それぞれの牽引解放位置F1,F2から各空走速度測定位置X1,X2まで各測定距離をL1(F-X),L2(F-X)、各空走速度測定位置X1,X2でのそれぞれの空走速度をVx1,Vx2で表す。
Va1=V1−[(V1−Vx1)×〔L1(F-R)〕]/2〔L1(F-X)〕 (1)
Va2=V2−[(V2−Vx2)×〔L2(F-R)〕]/2〔L2(F-X)〕 (2)
図3及び図4は、本実施形態の側面衝突試験について、高速車A1及び低速車A2がスタート時から衝突に至る時間内に、それぞれ走行又は空走する距離変化を示すグラフであって、図3は、スタート時から衝突時までの全体の時刻変化に対するもので、図4は、主に衝突直前の変化について、拡大表示したものである。グラフ縦軸の距離Lは、前記みなし衝突位置Pを「0」とし、横軸の時刻Tは、スタート時の時刻を「0」として図示している。なお、スタート直後の高速車A1及び低速車A2は加速走行するので、この時の時刻と距離の関係はグラフに示されるような直線関数をなさないが、定速走行とみなして直線で図示している。また、紙面の大きさに合わせて縦軸及び横軸のスケールを一部省略して図示しているので、段差状に図示されている部分があるが、実際には直線である。図示されるように、同時にスタートする高速車A1及び低速車A2は、ドーリー装置1によってそれぞれの設定走行速度V1,V2で牽引され、各牽引解放位置F1,F2に到達時に該ドーリー装置1から解放され、本実施形態では、ここからは設定走行速度V1,V2よりも定量だけ減速した平均空走速度Va1,Va2で定速空走しながら更に設定衝突位置R1,R2に向けて走行するものと想定する。また、グラフ中の各牽引解放位置F1,F2から分岐する2点鎖線は、高速車A1と低速車A2が、それぞれの前記解放位置F1,F2に到達してもなお減速せずに、設定衝突位置R1,R2に向けて空走すると仮定した場合の時刻T及び距離Lの変化である。ここで、高速車A1と低速車A2が牽引解放後も減速せずに前記設定走行速度V1,V2で走行した場合に、それぞれの設定衝突位置R1,R2に到達して衝突すると想定される仮想衝突時刻Tciと、高速車A1と低速車A2がそれぞれの平均空走速度Va1,Va2で定速空走し、一定の減速の度合に応じて各設定衝突位置R1,R2に遅れて到達すると想定される第1及び第2の各設定位置到達時刻Tc1,Tc2との差より、第1及び第2の各テスト車両のそれぞれの遅れ時間ΔT1,ΔT2が、例えば式(3)〜(6)より求められる。
高速車A1及び低速車A2のそれぞれのスタート位置S1,S2から解放位置F1,F2までの牽引走行距離と空走距離とを、各々L1(S-F),L1(F-R),L2(S-F),L2(F-R)で表す。
Tci={〔L1(S-F)〕+〔L1(F-R)〕}/V1
={〔L2(S-F)〕+〔L2(F-R)〕}/V2 (3)
Tc1=〔L1(S-F)〕/V1 +〔L1(F-R)〕/Va1 (4)
ΔT1=Tc1−Tci
=〔L1(F-R)〕/Va1−〔L1(F-R)〕/V1 (5)
同様にして、
ΔT2=〔L2(F-R)〕/Va2−〔L2(F-R)〕/V2 (6)
ここで、仮に高速車A1(「一方の」第1テスト車両)の設定衝突位置R1及びその到達時刻Tc1を基準にすれば、同到達時刻において、低速車A2(「他方の」第2テスト車両)をも自身の設定衝突位置R2に到達させれば、所定の衝突形態に従った衝突試験を行うことができる。このためには、高速車A1の前記到達時刻Tc1における低速車A2の実空走位置R2(tc1)と、自身の設定衝突位置R2との差を第2補正距離ΔL2として求め、この補正距離分だけ低速車A2のスタート位置S2をずらして同様に試験を行えばよい。該第2補正距離ΔL2は、前記仮想衝突時刻Tciにおける低速車A2の平均空走速度Va2での空走位置R2(tci)を基端にして、ここと自身の第2設定衝突位置R2との間の距離、即ち低速車A2の遅れ時間ΔT2内に、低速車A2が空走する予定の未走距離L2(Δt2)と、同じく自身の第2実空走位置R2(tc1)との間の距離、即ち高速車A1の遅れ時間ΔT1内に、低速車A2が空走する仮想未走距離L2(Δt1)との差に該当する。よって前記第2補正距離ΔL2は、例えば式(7)〜(9)より求めることができる。
〔L2(Δt2)〕=ΔT2×Va2
=[〔L2(F-R)〕/Va2−〔L2(F-R)〕/V2]Va2 (7)
〔L2(Δt1)〕=ΔT1×Va2
=[〔L1(F-R)〕/Va1−〔L1(F-R)〕/V1]Va2 (8)
ΔL2=〔L2(Δt1)〕−〔L2(Δt2)〕
=Va2[〔L1(F-R)〕(1/Va1−1/V1)−
〔L2(F-R)〕(1/Va2−1/V2)] (9)
(9)式に示されるように、第2補正距離ΔL2は、高速車A1及び低速車A2の牽引解放位置F1,F2と設定衝突位置R1,R2より決定される空走距離L1(F-R),L2(F-R)、及び設定走行速度V1,V2の予め定められた試験条件に加えて、準備走行試験での実測速度より求められる各平均空走速度Va1,Va2より算出されるので、高速車A1及び低速車A2のそれぞれの減速の度合を踏まえた数値となっている。各空走距離L1(F-R),L2(F-R)は、みなし衝突位置Pから所定長だけオフセットする低速車A2の運転席や、側面衝突において避けることができない低速車A2の1/2車幅に相当する各オフセット距離Ld1,Ld2を内包しており、この結果、上記した前記各減速の度合に加えて各オフセット距離を踏まえることによって、設定衝突位置どおりの所定の部位にて衝突する試験を行うことができ、テスト車両の損壊状況がより正確に再現され、衝突試験精度を向上できる。
なお、上記した説明では、高速車A1の設定衝突位置R1及びその到達時刻Tc1を基準にして、低速車A2のスタート位置S2を補正すべく第2補正距離ΔL2を求める方法について示したが、第2テスト車両のスタート位置S2をそのまま移動させずに、高速車A1の側のスタート位置S1をずらす場合にも同様にして算出でき、同じ作用効果が奏される。即ち、第1補正距離ΔL1は、式(10)より求められる。
ΔL1=〔L1(Δt2)〕−〔L1(Δt1)〕
=Va1{〔L2(F-R)〕(1/Va2−1/V2)−
〔L1(F-R)〕(1/Va1−1/V1)} (10)
更に、スタート位置の補正方法について補足する。図3のグラフの牽引解放位置F2にて屈折する低速車A2のL−T直線を、補正距離ΔL2だけ縦(距離)軸のプラス(上)方向に向けて平行移動すると、低速車A2の前記実空走位置R2(tc1)やスタート位置S2において、補正距離ΔL2分がプラスされたL−T直線が得られる。このことは、低速車A2のスタート位置S2を第2補正距離ΔL2だけみなし衝突位置Pよりもスタート側にずらすことによって、高速車A1が設定衝突位置R1に到達する前記時刻Tc1での低速車A2の空走位置を、自身の設定衝突位置R2に導けることを意味しており、高速車A1のフロント部先端が、低速車A2の側面から運転席付近に突っ込む衝突形態が実現される。実際にスタート位置をずらすためには、ドーリー装置1と低速車A2の牽引ワイヤー2との取付位置を変更する作業を行うことで対応できる。
また、例えば前記補正距離ΔL2が想定以上に大きい場合には、スタート位置S2の補正に加えて、牽引解放位置F2もずらして補正する方法がある。これは、該補正距離ΔL2の牽引走行距離L2(S-F)に対する空走距離L2(F-R)の比倍の解放位置補正距離ΔL21{=ΔL2×〔L2(F-R)/L2(S-F)〕}分だけ牽引解放位置F2をずらす方法であって、実際には、ガイドレールG1に装着されたストライカー5(牽引ツールの解放装置)の取付位置を、該補正距離ΔL21だけ移動させることによって対応する(図5参照)。この補正によって、スタート位置変更前後において走行状態を相似的に変化させられる利点があり、スタート位置S2の補正に加えて更に衝突精度を向上させれる。なお、図5のS2'は、補正距離ΔL2だけ元のスタート位置S2をずらした補正後のスタート位置を示す。また、説明を解り易くするために、図5の補正距離ΔL2及び解放位置補正距離ΔL21の長さについては、走行線M2に沿った各種寸法に対する比を無視して図示した。
なお、上記した実施形態では、2台のテスト車両の各走行線が直交する側面衝突の場合について説明したが、90°以外の衝突角度の斜め側面衝突の場合でも、同様にオフセット距離を定めて実施可能である。また、正面衝突の場合には、側面衝突よりも、例えば車幅等のオフセット距離の影響を受けないので、異なる減速の度合による衝突部位のずれが生じにくいが、本発明の補正を同様に実施可能である。
更に、空走時の減速について補足する。空走時の減速原因の代表的なものとしては、車の内部機構のロス(ギア、軸受等の摩擦によるメカロス)、タイヤのころがり抵抗、走行時に車体が受ける空気抵抗が挙げられる。この中でもメカロスによる減速が一番大きく、よって、同じ設定走行速度の2台のテスト車両での衝突試験時には、各走行速度の差自体による衝突部位の大きなずれは生じないものの、車種が異なれば内部機構のロスが異なるので、結果的に衝突試験の精度向上に寄与できる。また、空気抵抗を除いて、メカロスところがり抵抗とによる減速は、車速によらずに一定値とみなされており、通常は、空走速度変化による減速の度合の変化を無視して、平均空走速度を一定値と定めても差支えない。しかしながら、より高精度の衝突試験を行うためには、車速の変化に対応するメカロス変化を踏まえて平均空走速度を求めたり、数箇所で実空走速度を測定しながら、平均空走速度を求める方法がある。逆に、より簡易に平均空走速度を定めるためには、予め解っている経験からの推定値による平均空走速度(設定走行速度に対する減速の度合)を用いて、これより補正距離を算出する方法もあって、必ずしも準備走行試験を行う必要は無い。
本実施形態に係る側面衝突試験を平面視において説明する模式的な図である。 同じく、高速車A1側の正面視において説明する簡略図である。 高速車A1及び低速車A2がスタート時から衝突に至る時間内に、それぞれ走行又は空走する距離変化を示すグラフである。 同じく、主に衝突直前の変化について、拡大表示したグラフである。 低速車A2のスタート位置S2と牽引解放位置F2との補正について示した模式図である。
符号の説明
1:高速車(第1テスト車両)
2:低速車(第2テスト車両)
1,F2:牽引解放位置
1(Δt1),L2(Δt2):未走距離
1(Δt2),L2(Δt1):仮想未走距離
ΔL1,ΔL2:補正距離
1,R2:設定衝突位置
1,S2:スタート位置
ΔT1,ΔT2:遅れ時間
1,V2:設定走行速度
Va1,Va2:平均空走速度

Claims (3)

  1. 第1及び第2の各テスト車両同士を、牽引手段により各スタート位置(S1),(S2)から同時にスタートするように、それぞれの設定走行速度(V1),(V2)で牽引走行させ、所定の各牽引解放位置(F1),(F2)にて牽引手段を解放した後に設定衝突位置(R1),(R2)まで空走させながら、この位置でテスト車両同士を衝突させる試験方法であって、
    予め、各牽引解放位置(F1),(F2)からそれぞれの設定衝突位置(R1),(R2)に向けて空走する時の減速を踏まえた平均空走速度(Va1),(Va2)を定めるべく第1及び第2の各テスト車両の準備走行試験等を行い、
    この後に、第1及び第2の各テスト車両のいずれか一方のテスト車両の前記設定走行速度(V1),(V2)に対する一方の平均空走速度(Va1),(Va2)の減速の度合に応じて、一方の車両が自身の設定衝突位置(R1),(R2)に到達するのに遅れる遅れ時間(ΔT1),(ΔT2)に、一方の車両が空走する予定の未走距離〔L1(Δt1)〕,〔L2(Δt2)〕と、他方のテスト車両の前記設定走行速度(V2),(V1)に対する他方の平均空走速度(Va2),(Va1)の減速の度合に応じて、他方のテスト車両が自身の設定衝突位置(R2),(R1)に到達するのに遅れる遅れ時間(ΔT2),(ΔT1)に、一方のテスト車両が空走する仮想未走距離〔L1(Δt2)〕,〔L2(Δt1)〕との差を補正距離(ΔL1),(ΔL2)として求め、
    そして、いずれか一方又は両方のテスト車両のスタート位置(S1),(S2)を、補正距離(ΔL1),(ΔL2)に相当する分だけずらして衝突試験を行うことを特徴とする車両衝突試験方法。
  2. 第1及び第2の各テスト車両の衝突形態は、衝突角度が180°の正面衝突等以外の形態であって、
    第1及び第2の各テスト車両のうち少なくとも一方の前記設定衝突位置(R1),(R2)は、それぞれのテスト車両の各走行線の交点であるみなし衝突位置(P)に対して、一方のオフセット距離(Ld1),(Ld2)だけずれて設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両衝突試験方法。
  3. 第1及び第2の各テスト車両の設定走行速度(V1),(V2)は、それぞれ異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両衝突試験方法。
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