JP4221939B2 - 偏光性位相補正素子および光ヘッド装置 - Google Patents

偏光性位相補正素子および光ヘッド装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光性位相補正素子および光ヘッド装置に関し、特に異なる2波長の直線偏光で使用する偏光性位相補正素子および光記録媒体の情報の記録・再生に使用する光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD用の光記録媒体(以後、「光ディスク」という)の情報の記録・再生のために、光源として波長が790nm帯の半導体レーザとNA(開口数)が0.45から0.5までの対物レンズ、および情報記録面保護用のカバー厚が1.2mmの光ディスクが使用される。一方、DVD用の光ディスクの情報の記録・再生には、光源として波長が650nm帯の半導体レーザとNAが0.6から0.65までの対物レンズ、およびカバー厚が0.6mmの光ディスクが使用される。さらに、記録情報量を増大させるため、光源として波長が405nm帯の半導体レーザとNAが0.85の対物レンズ、およびカバー厚が0.1mmの光ディスクが提案されている。以下、波長が405nm帯の半導体レーザで使用する光ディスクを特にHD用の光ディスクという。
【0003】
CD用の光ディスクとDVD用の光ディスクではカバー厚および使用波長が異なるため、それぞれを互換的に使用する場合一方の光ディスクに対して設計された対物レンズを他方の光ディスクに用いると大きな球面収差が発生し、情報の記録・再生ができない問題があった。DVD用の光ディスクとHD用の光ディスクを互換的に使用する場合においても同様である。
【0004】
同一の対物レンズを用いて、厚さの異なる光ディスクの情報の記録・再生を行う場合に生じる球面収差を低減するために、種々の方式が提案されている。そのなかで、基板の中心部に球面収差を低減する収差補正領域が形成され、基板の周辺部に一方の波長の光は透過し他方の波長の光は回折してNAを切り換える、開口フィルター用の回折格子が形成された位相補正素子が、本発明者らにより提案されている(特願2000−361248)。
【0005】
すなわち、位相補正素子として、常光屈折率nおよび異常光屈折率n(n≠n)の複屈折性材料層を、中心部では凹部を外周へ向かうにつれ凸部を同心円状に滑らかに加工し、凹凸部全面に常光屈折率nとほぼ等しい屈折率nの均質屈折率透明材料を充填した偏光性位相補正素子を形成する。この素子では、カバー厚が異なる2種の光ディスクに対してそれぞれ使用する、波長λの光を常光偏光(常光屈折率を与える方向の偏光)、波長λ(λ≠λ)の光を異常光偏光(異常光屈折率を与える方向の偏光)とする。そして、もともと収差発生のない波長の常光偏光では収差補正をしないで、収差発生のある波長の異常光偏光では発生した収差を補正するように複屈折性材料層を加工する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の偏光性位相補正素子において、光ディスク厚の相違により発生した大きな球面収差を正確に補正するためには、複屈折性材料層の加工をより精度よく行う必要があった。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑み大きな球面収差を正確に補正するが、作製容易な偏光性位相補正素子を得て、この素子を2種の波長の光を出射する光源と単一の対物レンズが搭載された光ヘッド装置に搭載し、厚さの異なる光記録媒体の情報の記録・再生が安定して行える光ヘッド装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、波長λおよび波長λ(λ≠λ)の光を出射する光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体に集光する対物レンズと、前記対物レンズにより集光され光記録媒体により反射された出射光を検出する光検出器と、を備えた光ヘッド装置において、前記光源と前記光記録媒体との間の光路中に透過光の波面収差を補正する偏光性位相補正素子が設置され、前記偏光性位相補正素子は、常光屈折率がn 、異常光屈折率がn (n ≠n )である複屈折性を有する複屈折材料層を備え、前記複屈折材料層は、光学結晶のときは主光学軸が、高分子材料のときは分子配向軸が、一方向に揃っており、透過光の波面収差を補正できるように、断面形状が鋸歯状であり、かつ入射光の光軸に関して回転対称性を有する鋸歯状の凹凸部が形成されるとともに、前記凹凸部の凸部が階段形状格子によって近似され、前記凹凸部の少なくとも凹部に前記常光屈折率n とほぼ等しい屈折率n の均質屈折率透明材料が充填され、前記階段形状格子の各段における前記常光屈折率と前記異常光屈折率との差に基づく位相差が前記波長λ に対して2πの整数倍であり、さらに、前記波長λ の光に対して位相差がπ/2の奇数倍となるとともに前記波長λ の光に対して位相差がπの奇数倍となる位相板が前記光記録媒体側に位置するように、前記複屈折材料層と前記均質屈折率透明材料を用いて一体化されることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。
【0010】
また、前記波長λは405nm、前記波長λは78nmであり、前記複屈折材料層の階段形状格子の各段の高さdはλ/(n−n)で3レベル(2段)である光ヘッド装置を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
使用波長λ=405nmでカバー厚0.1mmのHD用の光ディスクに対して、良好な収差となるよう設計されたNA=0.85のHD用対物レンズを、使用波長λ=650nmでカバー厚0.6mmのDVD用の光ディスクにNA=0.6で用いたときに発生する波面収差の一例を図4の(b)に示す。ここでは球面収差にパワー(倍率)成分が付加された波面収差を示し、横軸は開口径に対応したNAであり、縦軸は光軸上の光線(NA=0)に対する各NA値での光線の位相差の断面を表す。実際にはほぼ軸対称の3次元形状で、放物面状の分布をなす。
【0012】
横に引いた複数本の点線は波長λの整数倍の等位相波面を示し、横線の各間隔は波長λとなっている。図4の(b)に示す波面収差から波長λの対応する整数倍を差し引いた位相差で、λ以下の波面収差が補正すべき収差である。図4の(a)は、このλ以下の波面収差を補正するように本発明の偏光性位相補正素子を使用して発生する波面収差を示し、これを後ほど詳述する。
【0013】
本発明の第1の実施態様の偏光性位相補正素子について以下に説明する。DVD系で発生する波面収差を低減するとともに、HD系の波面収差を劣化させない第1の実施態様の偏光性位相補正素子の構成例の断面図を図1に、平面図を図2に示す。
ガラスなどの透光性基板11上に常光屈折率nおよび異常光屈折率nの複屈折材料である高分子液晶層12を形成する。ここで、液晶モノマーの溶液を透光性基板11上の配向処理の施された配向膜上に塗布し、液晶分子の配向ベクトル(分子配向軸)を基板と平行面内の特定方向に揃うように配向させた後、紫外線などの光を照射して重合硬化させ高分子液晶層とする。
【0014】
次に、高分子液晶層を断面形状が鋸歯状(いわゆるブレーズド回折格子型)であり、かつ光軸に関して回転対称性を有する形状の凹凸部を形成する。すなわち、中心から外周に向かって鋸歯の底面の幅が狭くなるように同心円状に加工する。複屈折性材料層の凹凸部の少なくとも凹部に常光屈折率nとほぼ等しい屈折率nの均質屈折率透明材料が充填されていることが好ましい。すなわち、その凹凸部からなる回折格子15と透光性基板14との間に均質屈折率透明材料の充填材13を充填することが好ましい。
【0015】
この、偏光性位相補正素子1には互いに直交する偏光方向を有する、2種の波長の直線偏光を入射させて使用する。このように構成することにより、もともと収差発生のない波長の常光偏光では収差補正をせず、収差発生のある波長の異常光偏光では発生した収差を補正するとともに、比較的加工しやすい薄厚の複屈折性材料層で大きな発生収差を補正できる偏光性位相補正素子が得られる効果を有する。
【0016】
ここで、鋸歯状の凹凸部の断面形状は、図1および図2の12に示すフレネルレンズ形状とするが、この形状は次のようにして決定される。すなわち、図4の(b)に示す断面形状が放物線状で、3次元的には放物面状の波面収差を、DVDの使用波長λ=650nmのλ間隔ごとに輪切りして複数の輪帯を作製する。これら輪帯を波面収差がゼロの平面(紙面に垂直な面)上に、NA=0の軸の回りに同心円状に並べると、これら輪帯の高さは全てλであり、断面形状は鋸歯状となっている。
【0017】
この複数の輪帯の波面収差に対応させて、高分子液晶層をこれら輪帯と同様の形状とし、波長λの異常光が高分子液晶層を垂直に透過するとき、高さdの鋸歯による位相差2π×(n−n)×d/λが2πとなるようする。すなわち、図1および図2に示すように、各鋸歯状で輪帯形状の高分子液晶層12の高さdはλ/(n−n)となるようにする。
【0018】
なお、鋸歯状の断面形状は階段形状で近似してもよい。その場合、加工工程を複雑にしないで高次収差を低減するために4レベル(3段)から16レベル(15段)程度の階段形状鋸歯とすることが好ましい。さらに、DVDの有効径に相当するNA=0.6の領域外で、HDの有効径に相当する少なくともNA=0.85の領域まで、図1に示す高分子液晶層12の高さがd/2の矩形断面形状の回折格子15を形成する。
【0019】
このような偏光性位相補正素子1に、高分子液晶層に対する常光偏光である波長λの直線偏光が入射した場合、高分子液晶層12と充填剤13との屈折率に差がないため、図1(b)に示すように入射光の波面状態は不変のまま透過する。したがって、このような偏光性位相補正素子1が対物レンズと一体化されて、図3に示す本発明の光ヘッド装置に配置された場合、波長λに対する透過波面は変化しない。
【0020】
図3の本発明の光ヘッド装置において、DVD用の半導体レーザ3Bの出射光はビームスプリッタ7により一部が反射され、HD用の半導体レーザ3Aの出射光と合波プリズム6で合波され、コリメートレンズ4で平行光とされた後、偏光性位相補正素子1を透過し、対物レンズ2により光ディスク5の情報記録面に集光される。光ディスク5からの反射光は、合波プリズム6およびビームスプリッタ7を透過して光検出器8の受光面に集光する。
【0021】
一方、偏光性位相補正素子1に、高分子液晶層に対する異常光偏光である波長λの直線偏光が入射した場合、図1に示す高分子液晶層12と充填剤13との屈折率差(n−n)と、高分子液晶層12の断面が鋸歯状で上面が輪帯状の凹凸形状に比例した図4の(a)に示す位相差分布を生じ、図4の(b)に示す波面収差を補正するように作用する。
【0022】
また、波長λの入射光のうちNA=0.6の領域外の光は回折格子により回折されて信号検出用の光検出器8の受光面に入射しない。
上記において、複屈折材料として高分子液晶を用いた例を説明したが、複屈折性を有する材料であればいずれでもよい。例えば、LiNbOなどの光学結晶や、一軸延伸により複屈折性が発現するポリカーボネートなどの高分子材料でもよい。
【0023】
本発明の第2の実施態様の偏光性位相補正素子について以下に説明する。HD用の光ディスクに対して設計された対物レンズを、CD用の光ディスクの記録・再生に用いたとき、第1の実施態様と同様に図4の(b)に示すような波面収差が発生する。
【0024】
このようなCD用の光ディスクでの記録・再生において発生する波面収差を低減するとともに、HD用の光ディスクの安定した記録・再生ができる本発明の第2の実施態様の偏光性位相補正素子の構成例の断面図を図5に示す。また、図6に図4の(b)に示すような波面収差の部分拡大図と、第2の実施態様の偏光性位相補正素子の高分子液晶層の作用を示す。図5において、16は位相板、20は第2の実施態様の偏光性位相補正素子であり、他の符号で図1と同じものは、同じ要素を表す。
【0025】
第2の実施態様では、偏光性位相補正素子は複屈折材料層である高分子液晶層の鋸歯状の各凸部が階段形状格子によって近似されている。すなわち、偏光性位相補正素子は多段の階段形状のブレーズド回折格子を有しており、階段形状格子の各段における屈折率nと屈折率nの透過光の位相差が、波長λに対して2πの整数倍としている。鋸歯状の各凸部をこのような階段形状格子によって近似することにより、波長λに対しては入射光の偏光状態にかかわらず透過波面は変化することなく透過するが、波長λの異常光偏光に対しては透過波面は変化する波長選択性の位相補正素子となって好ましい。
【0026】
図5において、(N+1)レベル(すなわちN段)の階段形状格子の高さdをN等分した1段の高さdの光路差(n−n)×dがλの整数倍となるようにしている。このように階段形状に加工された高分子液晶層12に、波長λの異常光偏光が入射し、図4の(b)に示す波面収差を補正するよう、断面においては階段形状格子により鋸歯状の凸部を近似し(図5)、平面を図7の高分子液晶層12の形状に示すようにフレネルレンズ形状とする。15は回折格子である。
【0027】
図6において、高分子液晶層の1段の高さdの光路差a=(n−n)×dを単位に、1波長λ分の波面収差をaで分割することにより(図4参照)近似的に波面収差を補正している。図6では3レベル(2段)の階段形状格子による収差補正例を示す。
【0028】
さらに、波長λの光に対して位相差がπ/2の奇数倍となる位相板16(1/4波長板)が高分子液晶層12と充填剤13を用いて一体化されている(図5)。このように構成することにより、部品点数が減り素子の小型化につながるので好ましい。位相板16としては、複屈折性を有する材料であればいずれでもよい。例えば、高分子液晶、水晶などの光学結晶や、一軸延伸により複屈折性が発現するポリカーボネートなどでもよい。
【0029】
このような偏光性位相補正素子20に、波長λの常光偏光が入射した場合、高分子液晶層12と充填剤13の屈折率に差がないため、図5(b)に示すように入射光の波面状態は不変のまま透過する。また、波長λの異常光偏光が入射した場合、高分子液晶層12と充填剤13とからなる階段形状格子の各段で生じる位相差が2πの整数倍となるため、図5(b)に示すように入射光の波面は不変のまま透過する。
【0030】
したがって、偏光性位相補正素子20に入射する波長λの光は、その偏光方向にかかわらず波面は不変のまま透過する。
【0031】
このような偏光性位相補正素子20が対物レンズと一体化され、図3に示す光ヘッド装置の偏光性位相補正素子1の位置に配置された場合、図5に示す偏光性位相補正素子20を常光偏光として透過する波長λの半導体レーザ光は、光ディスクで反射して位相板16を往復透過し、位相板16により偏光性位相補正素子20の高分子液晶層12に異常光偏光として入射し、透過波面は不変のまま透過する。
【0032】
したがって、合波プリズム6として波長λの常光偏光は反射しかつ異常光偏光は透過する偏光性プリズムを用いることにより、半導体レーザ3Aの出射光を常光偏光とすれば、合波プリズム6で反射され光は偏光性位相補正素子20を往復して異常光偏光となるため、合波プリズム6を透過して光検出器8へと効率よく集光するため、SN比の高い信号光検出ができる。
【0033】
一方、偏光性位相補正素子20に波長λの異常光偏光が入射した場合、高分子液晶層12の階段格子形状に応じた位相差分布を生じ、図4(b)に示す波面収差を補正するように作用する。
【0034】
また、波長λの入射光のうちNA=0.45の領域外の光は信号検出用の光検出器8の受光面に入射しないように、偏光性位相補正素子20に開口制限素子を形成することが好ましい。すなわち、波面収差補正用のフレネルレンズ形状の階段形状格子パターンとは異なる、例えば図5および図7の15に示すような直線状で矩形断面を有する偏光性の回折格子を形成する。
【0035】
本発明の偏光位相補正素子を光ヘッド装置に用いることにより、カバー厚0.1mmのHD用の光ディスクに対して設計された対物レンズを用いて、カバー厚0.6mmのDVD用の光ディスクまたはカバー厚1.2mmのCD用の光ディスクの記録・再生を行うことができる。
【0036】
【実施例】
「例1」
図1に本例の偏光性位相補正素子の断面図を示す。透光性基板11であるガラス基板上に形成された常光屈折率n=1.50、異常光屈折率n=1.56の高分子液晶層12を、断面形状が鋸歯状で上面形状が輪帯状となるようにエッチング技術を用いて加工し、鋸歯状の凹凸部に常光屈折率と等しい屈折率n=1.50の充填剤13を用いて充填した。
【0037】
HD用に設計した対物レンズを、DVD用に用いたときに発生する波面収差は図4の(b)に示すようになり、その位相差の最大値はWmax=28λ程度であった。ここで、λは異常光偏光となる光の波長で650nmである。この波面収差を補正するため、高分子液晶層12の厚さをd=(7/8)×λ/(n−n)とし、鋸歯断面形状を8レベル(7段)の階段により近似した。その結果、DVD用の光ディスクの波面収差を自乗平均で0.03λ以下に低減できた。一方、上記異常光偏光の偏光方向と直交する偏光方向を有する、波長λ=405nmの常光偏光に対しては波面収差はほぼゼロであった。
【0038】
このようにして得られた偏光性位相補正素子を、図3に示す光ヘッド装置の偏光性位相補正素子1として搭載した。その結果、HD用とDVD用の両光ディスクに対して、良好な記録・再生特性が得られた。
【0039】
「例2」
図5に本例の偏光性位相補正素子20の断面図を示す。例1との相違は、高分子液晶層12を1段の高さdがλ/(n−n)で3レベル(2段)の階段形状格子としている点である。ここで、高分子液晶層12は波長λ=405nmに対し常光屈折率n=1.58、異常光屈折率n=1.88であり、また屈折率n=1.58の充填剤13を用いているため、高分子液晶層12の1段の高さdは約2μmで、全体の高さが約4μmの階段形状格子とした。
【0040】
一方、高分子液晶層12は波長λ=780nmに対し常光屈折率n=1.55、異常光屈折率n=1.76であり、また充填剤13の屈折率n=1.55のため、1段あたりの位相補正量は(n−n)×d=0.42μmとなっている。
【0041】
この階段形状格子を図5および図7の12に示すフレネルレンズ形状に加工することにより、波長λの異常光偏光が平行光として入射した場合発散光に相当する波面となり、収束光に対応した図4(b)に示した波面収差(パワー成分を含む)を補正する。
【0042】
また、位相板16として、透光性基板11であるガラス基板上に形成された高分子液晶層12と同じ材料を用い、液晶分子の配向ベクトルの方向が高分子液晶層12の液晶分子の配向ベクトルの方向と層面内で45°の角度をなすように配向処理した。ここで、位相板16の厚さは波長λに対して5λ/4波長板となるように(5λ/4)/(n−n)=1.7μmとした。
【0043】
この位相板16は、波長λの入射光に対してはほぼλ/2波長板となるため、波長λの入射光が位相板16を往復するともとの異常光偏光となり、復路においても高分子液晶層12の収差補正作用が発現する。したがって、図3に示す光ヘッド装置に偏光性位相補正素子20を搭載した場合、HD用に設計した対物レンズ2をCD用に用いたときに発生する波面収差が補正されるとともに、波長λの平行光が発散光となって素子を通過するため平行光で対物レンズに入射する場合に比べて焦点距離が長くなり対物レンズと光ディスクとの広い間隔を確保することができる。その結果、安定してCD用光ディスクの記録・再生が実現する。
【0044】
一方、波長λ=405nmの入射光に対してはその偏光状態にかかわらず偏光性位相補正素子20を透過後の波面は変化しないため、対物レンズの波面収差機能が維持される。また、合波プリズム6として偏光性プリズムを用いることにより、波長λの往路常光偏光をほぼ100%反射し、偏光性位相補正素子20を往復することで位相板16により直交化した偏光方向の復路異常光偏光を95%以上透過するため、光検出器8で効率よく信号光検出ができた。
【0045】
本例では、HD用とCD用光ディスクの記録・再生について説明したが、本発明の偏光性位相補正素子20を用い、さらにDVD用光ディスクの記録・再生にも対応した光ヘッド装置の構成例を図8に示す。
【0046】
ここでは、図3に示した光ヘッド装置の半導体レーザ3Aと合波プリズム6との間にCD用波長λ=780nmを透過しDVD用波長λ=650nmを反射する、合波プリズム6と同じ形態の合波プリズム61を配置する。そして、DVD用の半導体レーザ3Cから出射される常光偏光がホログラムビームスプリッタ9Cを透過し、合波プリズム61で反射した後波長λの光と同じ経路でDVD用光ディスクへ集光されるように合波プリズム61を配置する。光ディスクの情報記録面で反射された光は往路と同じ光路を経て合波プリズム61で反射され、ホログラムビームスプリッタ9Cにより回折されて光検出器8Cの受光面へ集光され、電気信号に変換される。なお、図8において図3のものと同じの符号は同じ要素を示す。
【0047】
半導体レーザ3Cとホログラムビームスプリッタ9Cと光検出器8Cなどが単一のパッケージに固定されたDVD用のユニットを用いた構成例を示した。ここで、光ディスクのカバー厚の違いによりに発生する波面収差を低減するために、対物レンズ2への入射光が発散光となるようにコリメータレンズ4と半導体レーザ3Cとの間隔を調整している。
【0048】
さらに、偏光性位相補正素子20の透光性基板11の空気側表面の開口数NA=0.60とNA=0.85とで挟まれる領域に、断面の凹凸による透過光の位相差が波長λとなる回折格子を形成することにより、波長λの光は透過し波長λの光を回折する波長選択性の開口制限素子とし、DVDに対して開口数をNA=0.60に制限している。
【0049】
なお波長λの光は、偏光性位相補正素子20に常光偏光として入射するため、NA=0.60の領域で往路にて素子を直進透過する。また、位相板16を往復した入射光は常光偏光成分が主であるため、素子を直進透過して光検出器8Cへと集光される。
【0050】
このようにして、本発明の偏光性位相補正素子20を用いることにより、HD、DVDおよびCDの3種の光ディスクの記録・再生ができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の2種の波長の光で使用する偏光性位相補正素子においては、この素子を構成する複屈折性材料層を加工が容易な、断面および平面形状としながらも、大きな球面収差を正確に補正できる。また、この偏光性位相補正素子を搭載した光ヘッド装置は、2種の波長の光を用いる、厚さの異なる光ディスクの情報の記録・再生を安定して、良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光性位相補正素子の構造と、偏光性位相補正素子へ2種の偏光が入射した場合の波面状況を示す側面図で、(a)異常光偏光(波長λ)が入射したとき、(b)常光偏光(波長λ)が入射したとき。
【図2】本発明の偏光性位相補正素子の平面図。
【図3】本発明の偏光性位相補正素子を搭載した光ヘッド装置を示す構成図。
【図4】DVD用の光ディスクにおける透過光の波面収差を示すグラフで、
(a)本発明の偏光性位相補正素子を用いたときに本素子が発生する波面収差。(b)本発明の偏光性位相補正素子を用いないときに発生する波面収差。
【図5】本発明の第2の偏光性位相補正素子の構造と、偏光性位相補正素子へ2種の偏光が入射した場合の波面状況を示す側面図で、(a)異常光偏光(波長λ)が入射したとき、(b)常光偏光(波長λ)および異常光偏光(波長λ)が入射したとき。
【図6】本発明の第2の実施態様の偏光性位相補正素子の波面収差補正作用を示す波面収差の部分拡大図。
【図7】本発明の第2の実施態様の偏光性位相補正素子の平面図。
【図8】本発明の第2の実施態様の偏光性位相補正素子を搭載した光ヘッド装置を示す構成図。
【符号の説明】
1、20:偏光性位相補正素子
2:対物レンズ
3A、3B、3C:半導体レーザ
4:コリメートレンズ
5:光ディスク
6、61:合波プリズム
7:ビームスプリッタ
8、8C:光検出器
9C:ホログラムビームスプリッタ
11、14:透光性基板
12:高分子液晶層
13:充填剤
15:回折格子
16:位相板

Claims (2)

  1. 波長λおよび波長λ(λ≠λ)の光を出射する光源と、
    前記光源からの出射光を光記録媒体に集光する対物レンズと、
    前記対物レンズにより集光され光記録媒体により反射された出射光を検出する光検出器と、を備えた光ヘッド装置において、
    前記光源と前記光記録媒体との間の光路中に透過光の波面収差を補正する偏光性位相補正素子が設置され、
    前記偏光性位相補正素子は、常光屈折率がn、異常光屈折率がn(n≠n)である複屈折性を有する複屈折材料層を備え、
    前記複屈折材料層は、光学結晶のときは主光学軸が、高分子材料のときは分子配向軸が、一方向に揃っており、透過光の波面収差を補正できるように、断面形状が鋸歯状であり、かつ入射光の光軸に関して回転対称性を有する鋸歯状の凹凸部が形成されるとともに、前記凹凸部の凸部が階段形状格子によって近似され、
    前記凹凸部の少なくとも凹部に前記常光屈折率nとほぼ等しい屈折率nの均質屈折率透明材料が充填され、
    前記階段形状格子の各段における常光屈折率と異常光屈折率との差に基づく位相差が前記波長λに対して2πの整数倍であり、
    さらに、前記波長λの光に対して位相差がπ/2の奇数倍となるとともに前記波長λの光に対して位相差がπの奇数倍となる位相板が前記光記録媒体側に位置するように、前記複屈折材料層と前記均質屈折率透明材料を用いて一体化されることを特徴とする光ヘッド装置。
  2. 前記波長λは405nm、前記波長λは78nmであり、
    前記複屈折材料層の階段形状格子の各段の高さdはλ/(n−n)で3レベル(2段)である請求項1記載の光ヘッド装置。
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