JP4221431B2 - 液体包装袋 - Google Patents

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Description

この発明は、液状、ゼリー状等の飲食物、調味料その他各種の液状ないし粘稠状の飲食物、医薬品、化粧品等の流動性物質を充填包装してなる液体包装袋に関するものである。とくには、包装袋の開封が容易で、開封状態が良好であり、被包装物の液だれの発生や不測の漏れをも十分に阻止することができると共に、被包装物の注出量を選択することのできる液体包装袋を提案するものである。
従来、ベースフィルム層とシーラント層とを具え、液状ないしは粘稠状の被包装物を充填包装する液体包装袋は、図1に示すように、たとえば二軸延伸したエチレンービニルアルコール共重合体樹脂フィルムからなるベースフィルム層と、無延伸のエチレン−ビニルアセテート共重合体樹脂からなるシーラント層との積層フィルムを、自動充填製袋機によって、シーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向の中央部位置にて二つ折りにした後、三方シールを施すことにより形成される。
そして、液体包装袋からの被包装物の取り出しは、図に示すところでは、液体包装袋20の縦シール部分21に設けたIノッチ22から、その包装袋20の引裂きを開始して、それによる袋の裂け目を、少なくとも、被包装物の収納スペース23の一部として機能する、注出通路24を過ぎる位置まで進行させた状態にて、より好ましくは、その裂け目を、包装袋20を完全に横切る位置まで進行させた状態にて包装袋20を開封し、次いで、被包装物収納スペース23を押圧して、注出通路24を広く開口させ、被包装物を流出させることにより行われる。
なお、一般に、Iノッチ22は、縦シール部分21に設けられるため、注出通路24も縦シール部分21側に形成される。
しかし、上記従来の液体包装袋20では、それ自体が軟質であるため、被包装物の注出の際に包装袋20が意図しない変形してこぼれ出すおそれがあった。
また、注出通路24は、横シール部分25と縦シール部分21によって区画形成されていて、注出通路24を形成する表裏のフィルム部分は、それらのシール部分21、25によって平坦形状に拘束されることになるため、その注出通路24には、横シール部分25と縦シール部分21の拘束によって平坦に重なり合おうとする力が作用して引裂き開口を閉じようとする傾向にあるため、従来の液体包装袋20では、注出通路24のフィルム同士が密着して、被包装物注出しづらい一方で、収納スペース23を押さえると、被包装物が勢いよく流出して飛散し手や衣類が汚れてしまうという問題点があった。
さらに、被包装物は、注出通路24から、縦シール部分21を超えて注出することになるため、被包装物の注出時や、注出後に液体包装袋20を直立姿勢に戻す際に、被包装物が縦シール部分21を伝わり、液だれが発生し易いという点に問題があった。
また、縦シール部分21に形成したIノッチ22と、注出通路24までの距離が短いため、液体包装袋20の取り扱い中に、それが破断してしてしまい、被包装物が不測に漏れ出すこともあった。
上記問題点を解決するため、本発明の出願人は、特許文献1および特許文献2において、包装袋の上側横シール部の、積層フィルムを幅方向に折返してなる、ヒートシールを施されることのない基端辺側の端部に、被包装物収納スペースに連通する狭幅の注出通路が設け、その上側横シール部の上端辺から前記注出通路の側端辺部に向かって、弧状または直線状の引裂き誘導疵を設けることを提案した。
これらの文献によれば、被包装物の注出通路が、積層フィルムの基端部側に設けられているため、注出口部分は、圧力を加えなくても、積層フィルムの復元力によって常にストロー状(楕円状)に開口した状態にあり、しかも被包装物が狭幅の注出通路に沿って一定方向に注出されるため、被包装物の注出が容易で、注出時に被包装物が飛散することがなく、さらに、液体包装袋の引裂き誘導疵が、包装袋の上側横シールに設けられ、その端が注出通路から離隔して形成され、しかもその引裂き誘導疵の始端と上側横シール上端とにクリアランスが設けられていることにより、包装袋の取り扱い中に引裂き誘導疵が破断することがない。
特願2006-130355号 特願2006-134030号
この発明は、本発明の出願人による出願である特許文献1および特許文献2に記載の液体包装袋を改良し、開封が容易であると共に、開封状態が良好で、被包装物の注出時の液だれや飛散を阻止すると共に、被包装物の種類や使用する人の好みに合わせて被包装物の注出量を選択することのできる液体包装袋を提供することにある。
本発明は、少なくともベースフィルム層とシーラント層とを具える積層フィルムを、該シーラント層が相互に対向するように幅方向に折返した後、側縁どうしを縦方向にヒートシールすると共に、上端と下端とを横方向にヒートシールしてなり、上側の横シール部の、縦ヒートシールが施されていない、少なくとも一方の折返し辺側縁部に、被包装物収納スペースに連通する狭幅の注出通路を設けてなる包装袋であって、その上側横シール部の上端辺から前記注出通路の側端辺部に向かって形成してなる引裂き誘導部を設けこの引裂き誘導部を、上側横シール部だけに延在する曲線状および/または直線状の2以上の引裂き誘導疵にて構成し、これらの引裂き誘導疵の始端と、上側横シール部の上端とのクリアランスを0.3〜1.0mmの範囲とするとともに、それらの引裂き誘導疵の終端と、注出通路の側端辺部とのクリアランスを0.3〜5.0mmの範囲としてなることを特徴とする液体包装袋を提供するものである。
なお、本発明においては、前記注出通路が設けられる、ヒートシールが施されていない側縁部は、三方シール袋、中央合掌シール袋または背貼りシール袋の折返し幅方向側端部であること、前記注出通路は、上側横シール部上端辺に向かって次第に先細る円錐状であること、2本以上の引裂き誘導疵に沿って引き裂かれて開口する注出通路の液体注出口の位置ならびに注出口断面積がそれぞれ異なること、前記弧状に延びる引裂き誘導疵に沿う引裂きによって開口される注出通路の液体注出口が、上側横シール部内で、包装袋の前記横シール部上端縁と平行または、上向きに湾曲したのちに注出通路の引裂き注出口となるように形成されていること、前記引裂き誘導疵の始端側に、該誘導疵を隔てて位置し、前記上側横シール部の表裏いずれか一方へ突出する、少なくとも一対以上の突部を設けこと、前記上側横シール部の上端の、前記引裂き誘導疵を隔てた位置に、一対のローレットシール部を設けこと、前記ベースフィルム層とシーラント層との間に、SiO2蒸着層、塩化ビニリデンコーティング層、酸化アルミニウムコーティング層、Al蒸着層あるいはSiO2やAl、Al2O3などのスパッタリング層からなる中間層を設けること、前記ベースフィルム層が、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドもしくは塩化ビニリデンなどの樹脂フィルムからなること、前記シーラント層が、ポリエチレン層またはポリプロピレン層からなること、少なくとも前記液体注出口の下方側に位置することとなる辺部分の外表面に撥水層を設けること、前記撥水層が、シリコーン系、フッ素樹脂系、アクリル系もしくはアミド系のコート剤からなること、前記引裂き誘導疵を、ミシン目状に穿設した孔または、連続的もしくは間欠的な溶融痕によって形成することが好ましい。
この発明の液体包装袋によれば、2以上の曲線状および/または直線状からなる引裂き誘導疵を、包装袋の上側横シール部に設けると共に、各引裂き誘導疵を、それの引裂きによって形成される液体注出口の位置がそれぞれ異なるように設けたことにより、被包装物の種類や消費者の好みによって被包装物の注出量を選択することができるようになる。
また、被包装物の注出通路が、ヒートシールが施されていない積層フィルムの基端部側に設けられているため、注出口部分は、圧力を加えなくても、積層フィルムの復元力によって常にストロー状(楕円状)に開口した状態にあり、被包装物の注出量が、その収納スペースの押圧によってコントロールでき、しかも注出通路が注出口に向かって次第に狭幅となっているため、被包装物が注出通路に沿って一定方向に注出されることになり、注出時に被包装物が飛散することがない。その上、被包装物の液引きが良く、さらに注出時に液だれが発生するおそれがない。
そしてまた、液体包装袋の引裂き誘導疵が、包装袋の上側横シールに設けられ、その始端が注出口部分から離隔して形成され、しかもその引裂き誘導疵の始端と上側横シール上端とに0.3〜1.0mmのクリアランスが設けられていることにより、包装袋の取り扱い中に、それが破断して被包装物が不測に漏れ出すということがない。
さらに、注出口の下方側に位置することとなる辺部分の外表面に撥水層が設けられているため、その撥水層による液切れ性の向上により、液だれの発生を抑制することができる。
以下に、この発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図2は、この発明に係る液体包装袋を構成する積層フィルムの一例を示す概略断面図である。
積層フィルム1は、ベースフィルム層2とシーラント層3からなり、必要に応じて、ベースフィルム層2とシーラント層3の間に中間層4を設けても良い。
なお、この積層フィルム1は、ベースフィルム層2、シーラント層3および中間層4を、たとえば押出しラミネートまたはドライラミネートにより積層して形成する。
上記ベースフィルム層2としては、一軸もしくは二軸延伸のエチレンビニルアルコール共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドもしくは塩化ビニリデン等の合成樹脂フィルムから構成されることが好ましく、これらは優れた水蒸気不透過性および、高いガスバリア性を発揮ることができる。
なかでも、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層は、直線カット性ポリエステルフィルムである「エンブレットPC」(商標ユニチカ株式会社)を用いることが、また、二軸延伸ナイロンフィルム層とするときは、直線カット性ナイロンフィルムである「エンブレムNC」(商標ユニチカ株式会社)を用いることが、以下の理由により好適である。
すなわち、これらによれば、一軸延伸ベースフィルム層を用いる場合に比してより高い水蒸気不透過性、ガスバリア性等を付与することができる他、引裂き開封部分の、手指による、直線的な引裂き除去を円滑かつ容易にし、しかも、引裂き開口を、毛羽立ち等のない十分平滑なものとすることができる。
また、シーラント層3として、ポリエチレン層またはポリプロピレン層を用いれば、比較的低い温度のヒートシール温度で優れたシール強度を発揮することができる。
また、中間層4は、包装袋として必要とする性質、たとえば水蒸気不透過性やガスバリア性、腰度などを向上させるために適宜、積層ることが好ましく、SiO2蒸着層、塩化ビニリデンコーティング層、酸化アルミニウムコーティング層、Al蒸着層あるいはSiO2やAl、Al2O3などのスパッタリング層などが好適である。
上記構成からなる積層フィルム1を、シーラント層3が相互に対向するように幅方向で二つ折りした後、折返し辺側縁部である基端辺を除く各辺部分を三方シールして図3に示すような液体包装袋5を形成する。このようにして形成した本発明の液体包装袋の一の実施形態として、上側横シール部6内のみにて、一方の引裂き誘導疵10を曲線状に形成し、他方の引裂き誘導疵30を直線状に形成したものを図3に示す。図中斜線を施した部分は、包装袋のヒートシール部分を示す。
なお、図3では、三方シール形態の包装袋を例示したが、本発明の液体包装袋は、三方シール形態等となる方形包装袋のほか、被包装物の充填包装状態で、たとえば、背貼りシール形となる袋や中央合掌シール形となる袋等のような、ヒートシールを施されることのない、包装用フィルムの折返し辺を有する包装袋に適用することができる。
上側横シール部6は、その包装袋基端辺7側の側端下部に、三角形状の非シール部分を有し、この非シール部分が液体注出通路8として、被包装物の収納スペース12と連通されている。
なお、液体注出通路8は、三角形状に限定されるものではなく、上側横シール部6の上端辺に向かって次第に先細る形状であることが好ましい。これは、注出通路8が、液体注出口11に向かって先細りとなることで、被包装物の押出し方向が一定となり、被包装物が飛び散ることがなく、液だれの発生も抑制することができるのである。
なお、この液体注出通路8は、基端辺7側側端が三角形状に窪んだ形状からなる瓶口形ヒートシール刃を用いることにより形成することができる。ところで、ヒートシール目の形状としては、ベタシール、三線シール、布目シールなどを用いることができ、とくにシールの確実性と安全性の点から、ベタシール、三線シールを用いることが好ましい。
そして、本発明の液体包装袋5では、下側横シール部9の形成前もしくは形成後に、上側横シール部6上端を始端として、注出通路8に向かって二本の引裂き誘導疵10、30を形成し、これらの引裂き誘導疵10、30を境界として、上側横シール部6を両手指で把持し、その包装袋5を、テコの力を利用して引裂き誘導疵10、30に沿って手指で引裂いて開封することにより、所要に応じた液体注出口11、31を容易に形成することができる。
そのため、上側横シール部6の縦長さ、すなわち幅は、手指で把持できる寸法、好ましくは20mm以上とする。
このように、本発明は、液体包装袋5の上側横シール部6上に、曲線状および/または直線状の2以上の引裂き誘導疵10、30を有することを特徴の一つとするものである。
そして、これら以上の引裂き誘導疵10、30は、それを引裂いて開封することにより形成される液体注出口11、31が注出通路8の異なる位置に開口するように設けることが好ましい。
これは、上述したように、液体注出通路8が、上側横シール部6の上端辺に向かって次第に狭幅となる形状であるため、液体注出口11、31を注出通路8の異なる位置に設けることで、液体注出口11、31の注出口断面積が異なることになり、各注出口11、31からの被包装物の注出量を異ならしめることができるようになるためである。
すなわち、本発明によれば、被包装物の種類や使用者の好み等によって、引裂き誘導疵の位置、形状を選択することで、形成された液体注出口からの被包装物の注出量を簡単に調整することができるようになるのである。
また、本発明は、注出口11、31を包装袋5の基端辺7側に設けることも特徴の一つとするものであり、包装袋5の基端辺7側は、圧力を加えなくても、積層フィルム1の、折り返し前の状態に復元しようとする力により、常にストロー状(楕円状)に開口された状態にあり、さらに注出通路8が注出口に向かって次第に狭幅となっているため、被包装物が収納スペース12の押圧によって注出通路8に沿って、一定方向に向かって滑らかに注出することができるようになり、したがって、従来のように液体注出時に被包装物が飛散し、手指や衣類を汚すことがない。
いいかえれば、狭幅の注出通路8を、従来技術で述べたように、一対のヒートシール部をもってそれらの間に区画形成したときは、その狭幅の注出通路8に注出口11、31を形成してなお、注出通路8は依然として扁平な横断面形状を有することになり、注出断面積それ自体もまた、注出路内圧の増加なしには小さいままとなるので、被包装物の注出当初の円滑なる注ぎ出しが難しく、この一方で、十分な量の初期注出を行うべく、被包装物の充填スペースを手指で押圧したときは、勢いが強すぎて被包装物が所定個所以外の部分にまで多量に注出されることになるという、注出量の調整上の問題が生じ易い。
さらに、本発明の液体包装袋5は、被包装物がその表面張力の働きにより、包装袋5の傾倒によっても注出通路8から漏れ出すことがなく、また、注出量を、収納スペース12の指圧コントロールによって調整することができる。
また、従来のように被包装物が縦シール部を超えて注出されるのではなく、注出口先端11a、31aから直接、注出されるため、被包装物が縦シール部を伝わることによる液だれの発生がない。
さらに、包装袋5の引裂き誘導疵10、30は、包装袋5の上側横シール部6だけに設けられ、その始端と上側横シール部6上端との間に0.3〜1.0mmのクリアランスを有する一方、終端を、注出通路から離隔させ位置させているため、包装袋5の取り扱い中に、それが破断して被包装物が不測に漏れ出すおそれがない。
なお、引裂き誘導疵の始端10a、30aと、上側横シール部6上端との間には、0.3〜1.0mmのクリアランスを設けることにより、包装袋5が移動、梱包、輸送などの取り扱い中、とくに連続包装袋をミシン目を介して1袋づつ、もしくは所要の数袋毎に切り離す際に、誘導疵10、30が不測に破断し、被包装物が漏れ出すのを防ぐことができる。
なお、クリアランスが0.3mmより小さい場合には、上記効果が期待できず、一方、1.0mmよりも大きい場合には、引裂き誘導疵始端10a、30aにおいて包装袋5が切り取れず、手指により開封することができない。
また、図4のような連続包装袋の状態においても、引裂き誘導疵10、30の始端が、上側横シール部6上端の中程に位置しているため、自動充填包装中に引裂き誘導疵10、30の始端10a、30aがロール等に引っ掛かり、誘導疵10、30が破断してしまうようなことがない。
さらに、縦シール部より横一直線に形成した従来の誘導疵よりも、折れ曲がり難く、移動中にちぎれてしまうようなこともない。
なお、引裂き誘導疵10、30は、積層フィルムの幅方向へ−(マイナス)状に延在させて設けた一本の疵、ミシン目状に穿設した複数の疵、その幅方向に間隔をおいて設けた複数の小孔状の疵、あるいはレーザ光線等をもって連続的もしくは間欠的に設けた溶融痕などの、適宜の形状および数の疵にて形成することができ、このような引裂き誘導疵の、深さ、積層フィルムの幅方向での長さ、その他の寸法は、積層フィルムの厚さ、積層フィルムの構成材料などに応じて選択する。
例えば、ミシン目状の孔からなる引裂き誘導部10、30は、図5(a)に断面図で模式的に例示するように、広幅の上側横シール6形成した後に、ミシン目状に貫通孔40aを穿設することによって形成することができる他、図5(b)に模式的に例示するように、積層フィルム1の状態で、それの、相互に重なり合う二個所に、ミシン目状の孔40bを予め貫通させて設け、その後の上側横シール6の形成によって、相互に融着されるシーラント層の孔部分を、溶融されたシーラント層それ自体で埋め込むことによって形成することもできる。
図6は、引裂き誘導部10、30の他の形成例を模式的に示す断面図であり、これは、上側横シール6の形成前もしくは形成後に、炭酸ガスレーザ、ヤグレーザ等のレーザ光線の照射によって、積層フィルム1の、たとえばベースフィルムを連続的に(図6(a))または間欠的に(図6(b))溶融蒸発、昇華等させたものであり、このような溶融痕を、上側横シール6の表裏面に相互に対応させて形成してなるものである。
このような引裂き誘導部10、30は、図示のいずれのものにあっても、上側横シール6の手指による、容易にして円滑な引裂きを可能にするとともに、その引裂きの、狭幅の注出通路8への通過をもまた十分円滑にして、注出通路8への、所期した通りの注出口の形成を、簡単かつ確実なものとすることができる。
本発明では、引裂き誘導疵10、30による引裂きによって形成される液体注出口11、31の、ほぼ幅方向での寸法は、0.3〜50mmの範囲とすることが好ましく、この寸法は、被包装物の種類や粘性等によって適宜決定する。
ここにおける「ほぼ幅方向」とは、本発明において包装袋に形成する引裂き誘導疵を、上向きに傾斜して形成する場合を考慮したものである。なお、注出口11を0.3〜50mmに限定する理由は、0.3mmより小さい場合には、注出量が少なすぎてしまい、50mmを超えると包装袋が傾倒等した際に、被包装物の表面張力以上の力が働くことになって、注出口11、31から被包装物が漏れ出したり、指圧のコントロールによる注出量の調整ができなくなってしまうためである。
さらに、引裂き誘導疵の終端10b、30bと、液体注出通路8とのクリアランスは、0.3〜5.0mmにするこれは、クリアランスが0.3mmより小さい場合、包装袋5が移動、梱包、輸送などの取り扱い中に、それ自身の落下衝撃や積み重ね荷重などを受けたりすることによって誘導疵10、30が不測に破断し、被包装物が漏れ出すおそれがあり、一方、クリアランスが5.0mmよりも大きい場合には、引裂き誘導疵終端10b、30bにおいて包装袋5が切り取れず、手指による開封ができないことによる
また、引裂き誘導疵10、30が曲線状の場合は、上記引裂き誘導疵10、30を引裂いて開封することにより開口される注出口11、31が、液体包装袋5の幅方向に対して水平に(図7(a))もしくは、終端に向かって上向きに湾曲する(図7(b))ように設けられため、注出口11、31を、液体包装袋5の幅方向に対して水平もしくは上向きに湾曲させて形成すると、被包装物の液引きが良く、とくに上向きに湾曲している場合(図7(b))には、注出口先端11a、31aが細く(鋭く)なるため、被包装物を別の容器に移し替える場合等にこぼれ難いという効果が期待できる。
削除
さらに、本発明においては、図8に示すように、引裂き誘導疵始端10a、30aを隔てた位置に、突部13(図8(a))または、ローレットシール部14(図8(b))を対にして設けることが好ましい。
この突部13またはローレットシール部14は、包装袋5を、引裂き誘導疵10、30を境界として、上側横シール部6を両手指で把持し、テコの力を利用して引裂き誘導疵始端10a、30aから手指で引裂き開封する際に、手指が滑ることを防止するという効果と共に、引裂き誘導疵始端10a、30aを、触覚をもって検知することが可能となり、たとえ目が不自由な人でもその位置を、簡易迅速に見つけ出すことができるという効果がある。
したがって、突部13またはローレットシール部14は、上側横シール部6上の、両手指で把持する位置、即ち、引裂き誘導疵始端10a、30a付近を境界として、その両側に対で設ける必要がある。
なお、突部13は、引裂き誘導疵10、30の両側に複数対形成してもよく、また、ローレットシール部14のそれぞれの大きさは、少なくとも手指で把持できる大きさ、例えば10mm(上側横シール部長さ方向)×5mm(上側横シール部幅方向)程度であればよい。
突部13は、円形、三角形、四角形、多角形など様々な形状とすることができる。この突部13の形成方法は、上側横シール部6を形成するための、横ヒートシールロールの一方のヒートシール刃表面に、そのフィルム幅方向に間隔をおいて位置する二個一対の、上記形状からなる凹部を、また他方のヒートシール刃に、それらの凹部と対応して位置するそれぞれの凸部を設けることにより、両ヒートシール刃間を通過した包装用フィルムに、上側横シール部6の形成と同時に、突部13を形成することによる。同様に、ローレットシール部14も、上記一対の横ヒートシール刃のそれぞれの表面に、ローレット状の粗面を形成しておくことで、特別な工程を付加することなしに形成することができる。
図9は他の実施形態を、被包装物の充填包装形態で示す平面図である。
この包装袋5は、上側横シール6を広幅シール部とし、被包装物の充填包装状態でヒートシールを施されることのない、包装用フィルムの基端辺7の延在方向の一端部、図では上端部に液体注出通路8を区画し、そして、上側横シール6内に、その上端辺から、液体注出通路8までの間に、図では、下方側に凸となる湾曲形態で曲線状に延びる、ミシン目状に穿設した孔からなる引裂き誘導部10と、直線状のミシン目状に穿設した孔からなる引裂き誘導部30を設けるとともに、図にメッシュを施して示すように、上記基端辺7に沿わせて液体注出通路8の最大幅と等幅の撥水層27を外表面に形成してなる。
ここでこの撥水層27の形成は、より広幅とすることの他、より狭幅とすることもできる。
のような包装袋5は、たとえば、図10に部分展開平面図で示すように、幅中央域に撥水層27を予め帯状に形成した積層フィルム1を幅方向に二つ折りにして、そのフィルム1の遊端部に連続的な縦シールを施すとともに、被包装物を充填しながらそれぞれの横シールを施すことによって製造することができる。
ところで、このような撥水層27、たとえば、シリコーン系、フッ素樹脂系、アクリル系もしくはアミド系のコート剤の塗布によって形成することができる撥水層27は、各個の包装袋5または、縦シール部を設けた後の包装用フィルムに形成し得ることはもちろんであるが、撥水層の形成能率を考慮したときは、積層フィルムの積層前の段階にて行うことが好適である。
積層フィルム1の段階で撥水層27を形成する場合は、その撥水層27の、フィルム表面への固着強度を高めるために、上述したようなコート剤の塗布に当って、ウレタン系、アクリル系、エステル系、硝化綿系、アミド系、塩ビ系、ゴム系、スチレン系、オレフィン系、塩酸ビ系、セルロース系、フェノール系などの樹脂をバインダとして用いることが好ましい。
ところで、液体包装袋の傾動操作に基く、被包装物の注出当初において、注出量を加減しながら包装袋をわずかずつ傾ける場合は、従来は、包装袋の、形成された注出口より下方側に位置することとなる基端辺7を伝って被包装物が流下等することになるところ、この発明に係る液体包装袋では、撥水層27の作用下で、その基端辺7の、被包装物による濡れが十分に阻止されることから、その被包装物は、高い液切れ性ないしは撥水性によって注出口11、31の真下に流下することになり、被包装物の意図しない個所への滴下のおそれは効果的に除去されることになる。
なおここで、液体包装袋5の傾動量が、基端辺7が注出口11、31より上方側に位置することとなった場合は、撥水層27の作用を待つまでもなく、被包装物の、意図しない個所への流下等を十分に防止することができる。
この発明に係る液体包装袋は、醤油、ソース、各種の調味料類、スープ類、果汁類、その他の粉粒状物を含むことのある液状ないし粘体状の飲食物、洗剤、医薬品等を包装するのに用いられる包装袋として使用することができる。
従来の液体包装袋を示す平面図である。 本発明の液体包装袋を構成する積層フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の液体包装袋の一の実施形態を示す平面図である。 本発明の液体包装袋の連続包装状態を示す平面図である。 ミシン目状の孔からなる引裂き誘導疵を模式的に示す断面図である。 溶融痕からなる引裂き誘導疵を模式的に示す断面図である。 本発明の液体包装袋の引裂き誘導疵の形成方法を示す平面図である。 本発明の液体包装袋に(a)突部、(b)ローレットシール部を形成した場合の実施例を示す平面図である。 本発明の液体包装袋の他の実施形態を示す平面図である。 本発明の液体包装袋の部分展開平面図である。
符号の説明
1 積層フィルム
2 ベースフィルム層
3 シーラント層
4 中間層
5、20 液体包装袋
6 上側横シール
7 基端辺
8、24 液体注出通路
9 下側横シール
10、30 引裂き誘導疵
10a、30a 引裂き誘導疵始端
10b、30b 引裂き誘導疵終端
11、31 注出口
11a 注出口先端
12、23 収納スペース
13 突部
14 ローレットシール部
21 縦シール部分
22 Iノッチ
25 横シール部分
27 撥水層
40a 貫通孔
40b ミシン目状の孔

Claims (13)

  1. 少なくともベースフィルム層とシーラント層とを具える積層フィルムを、該シーラント層が相互に対向するように幅方向に折返した後、側縁どうしを縦方向にヒートシールすると共に、上端と下端とを横方向にヒートシールしてなり、上側の横シール部の、縦ヒートシールが施されていない、少なくとも一方の折返し辺側縁部に、被包装物収納スペースに連通する狭幅の注出通路を設けてなる包装袋であって、
    その上側横シール部の上端辺から前記注出通路の側端辺部に向かって形成してなる引裂き誘導部を設け、この引裂き誘導部を、上側横シール部だけに延在する曲線状および/または直線状の2本以上の引裂き誘導疵にて構成し、これらの引裂き誘導疵の始端と、上側横シール部の上端とのクリアランスを0.3〜1.0mmの範囲とするとともに、それらの引裂き誘導疵の終端と、注出通路の側端辺部とのクリアランスを0.3〜5.0mmの範囲としてなることを特徴とする液体包装袋。
  2. 前記注出通路が設けられる、ヒートシールが施されていない側縁部は、三方シール袋、中央合掌シール袋または背貼りシール袋の折返し幅方向側端部であることを特徴とする請求項1に記載の液体包装袋。
  3. 前記注出通路は、上側横シール部上端辺に向かって次第に先細る円錐状であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体包装袋。
  4. 2本以上の引裂き誘導疵に沿って引き裂かれて開口する、注出通路の液体注出口の位置ならびに注出口断面積がそれぞれ異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体包装袋。
  5. 前記弧状に延びる引裂き誘導疵に沿う引裂きによって開口される注出通路の液体注出口が、上側横シール部内で、包装袋の前記横シール部上端縁と平行または、上向きに湾曲したのちに注出通路の引裂き注出口となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体包装袋。
  6. 前記引裂き誘導疵の始端側に、該誘導疵を隔てて位置し、前記上側横シール部の表裏いずれか一方へ突出する、一対以上の突部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体包装袋。
  7. 前記上側横シール部の上端の、前記引裂き誘導疵を隔てた位置に、一対のローレットシール部を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の液体包装袋。
  8. 前記ベースフィルム層とシーラント層との間に、SiO2蒸着層、塩化ビニリデンコーティング層、酸化アルミニウムコーティング層、Al蒸着層あるいはSiO2やAl、Al2O3などのスパッタリング層からなる中間層を設けることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体包装袋。
  9. 前記ベースフィルム層が、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドもしくは塩化ビニリデンなどの樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体包装袋。
  10. 前記シーラント層が、ポリエチレン層またはポリプロピレン層からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体包装袋。
  11. 少なくとも前記液体注出口の下方側に位置することとなる辺部分の外表面に撥水層を設けることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の液体包装袋。
  12. 前記撥水層が、シリコーン系、フッ素樹脂系、アクリル系もしくはアミド系のコート剤からなることを特徴とする請求項11に記載の液体包装袋。
  13. 前記引裂き誘導疵を、ミシン目状に穿設した孔または、連続的もしくは間欠的な溶融痕によって形成してなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の液体包装袋。
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