JP4221131B2 - 可変利得増幅回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるTVチューナやBSチューナ等における高周波帯の信号を増幅するための可変利得増幅回路に係り、特に、歪み特性の改善を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の増幅回路としては、例えば、図6に示されたような構成を有してなる可変利得増幅回路が公知・周知となっている。
すなわち、同図を参照しつつ、この可変利得増幅回路について説明すれば、まず、この可変利得増幅回路は、2つの差動増幅回路101,102を有して構成されたものとなっている。
第1の差動増幅回路101は、npn形の第1及び第2のトランジスタ1,2を有してなり、第1及び第2のトランジスタ1,2は、相互にエミッタが接続されると共に、第1の定電流源31と第1の入力端子51に接続されたものとなっている。また、第1のトランジスタ1のコレクタは、第1のコレクタ抵抗器11aを介して直流電源30に接続されると共に第1の出力端子53に接続される一方、第2のトランジスタ2のコレクタは、直接に直流電源30に接続されている。
第2の差動増幅回路102は、npn形の第3及び第4のトランジスタ3,4を有してなり、第3及び第4のトランジスタ3,4は、相互にエミッタが接続されると共に、第2の定電流源32と第2の入力端子52に接続されたものとなっている。また、第4のトランジスタ4のコレクタは、第2のコレクタ抵抗器12aを介して直流電源30に接続されると共に第2の出力端子54に接続される一方、第3のトランジスタ3のコレクタは、直接に直流電源30に接続されている。
【0003】
また、第1及び第4のトランジスタ1,4のベースには、直流電源30とアースとの間に直列接続された第1及び第2の分圧用抵抗器61,62により分圧された電圧が印加されるようになっている一方、第2及び第3のトランジスタ2,3のベースには、第1及び第2の入力端子51,52への入力信号の大きさに応じて出力電圧が変化するよう構成されてなる可変バイアス電源43の電圧がバイアス抵抗器63を介して印加されるようになっている。
かかる構成の可変利得増幅回路においては、第1及び第2の入力端子51,52における入力信号が小さい場合には、可変バイアス電源43からの電圧は、第1及び第2の分圧用抵抗器61,62による分圧電圧よりも小さくなり、そのため、第1及び第4のトランジスタ1,4のコレクタ電流が流れることとなる。
一方、入力信号が大きくなると、可変バイアス電源43からの電圧は、第1及び第2の分圧用抵抗器61,62による分圧電圧よりも大きくなり、そのため、第1及び第4のトランジスタ1,4のコレクタ電流は小さくなる一方、第2及び第3のトランジスタ2,3のコレクタ電流が流れることとなる。
このように入力信号が大きい場合には、第1及び第4のトランジスタ1,4の電流が小さくなり、増幅利得の制御がなされるような構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来回路においては、第1乃至第4のトランジスタ1〜4のいずれも、そのベースには、抵抗器61,62,63を介して、それぞれのバイアス電圧が印加される構成となっているため、エミッタ側からの入力信号に対するインピーダンスが比較的高く、そのため、これら第1乃至第4のトランジスタ1〜4のベースバイアスが不安定となり易く、バイアスバランスが崩れて高周波歪みが大きくなるという問題があった。
本発明は、かかる実状に鑑みてなされたもので、ベースインピーダンスが低く、従来に比して歪み特性の良好な可変利得増幅回路を提供するものである。
本発明の他の目的は、入力信号の周波数に関わらず出力特性の安定した可変利得増幅回路を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記発明の目的を達成するため、本発明に係る可変利得増幅回路は、
第1及び第2のトランジスタを有し、各々のエミッタが相互に接続されてなる第1の差動増幅回路と、
第3及び第4のトランジスタを有し、各々のエミッタが相互に接続されてなる第2の差動増幅回路とが設けられ、
前記第1及び第2のトランジスタのエミッタと、前記第3及び第4のトランジスタのエミッタとの間に入力信号が印加され、
前記第1及び第4のトランジスタの各々のコレクタには、それぞれインピーダンス素子を介して、前記第2及び第3のトランジスタのコレクタには、直接に、それぞれ直流電源電圧が印加され、
前記第1及び第4のトランジスタのベースには、第1のバイアス電圧が、前記第2及び第3のトランジスタのベースには、第2のバイアス電圧が、それぞれ印加されて、前記第1及び第4のトランジスタの各々のコレクタの間に出力信号が得られるよう構成されてなる可変利得増幅回路であって、
前記第1及び第4のトランジスタのベースには、エミッタフォロア回路に構成されてなる第1のベースバイアス供給回路を介して第1のバイアス電源による前記第1のバイアス電圧が、前記第2及び第3のトランジスタのベースには、エミッタフォロア回路に構成されてなる第2のベースバイアス供給回路を介して第2のバイアス電源による前記第2のバイアス電圧が、それぞれ印加され、
前記第1のベースバイアス供給回路においては、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間に、第1のコンデンサが接続され、
前記第2のベースバイアス供給回路においては、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間に、第2のコンデンサが接続されてなるものである。
【0006】
かかる構成においては、差動増幅回路を構成するトランジスタのベースバイアス電圧を供給するベースバイアス供給回路は、エミッタフォロア回路に構成されており、しかも、このエミッタフォロア回路のトランジスタのベースと直流電源との間にコンデンサが接続されたものとなっているため、差動増幅回路を構成するトランジスタのベースには、コンデンサの容量C×エミッタフォロア回路のトランジスタの電流増幅率で表される容量を有するコンデンサが接続されたと等価な状態となり、その結果、従来に比して差動増幅回路を構成するトランジスタのベースインピーダンスが低下することとなり、安定したベースバイアスの供給が実現されるものである。
【0007】
また、本発明に係る可変利得増幅回路は、
第1及び第2のトランジスタを有し、各々のエミッタが相互に接続されてなる第1の差動増幅回路と、
第3及び第4のトランジスタを有し、各々のエミッタが相互に接続されてなる第2の差動増幅回路と、
入力信号を平衡増幅して前記第1及び第2の差動増幅回路へ出力する平衡増幅回路とが設けられ、
前記第1及び第2のトランジスタのエミッタと、前記第3及び第4のトランジスタのエミッタとの間に入力信号が印加され、
前記第1及び第4のトランジスタの各々のコレクタには、それぞれインピーダンス素子を介して、前記第2及び第3のトランジスタのコレクタには、直接に、それぞれ直流電源電圧が印加され、
前記第1及び第4のトランジスタのベースには、第1のバイアス電圧が、前記第2及び第3のトランジスタのベースには、第2のバイアス電圧が、それぞれ印加されて、前記第1及び第4のトランジスタの各々のコレクタの間に出力信号が得られるよう構成されてなる可変利得増幅回路であって、
前記第1及び第4のトランジスタのベースには、エミッタフォロア回路に構成されてなる第1のベースバイアス供給回路を介して第1のバイアス電源による前記第1のバイアス電圧が、前記第2及び第3のトランジスタのベースには、エミッタフォロア回路に構成されてなる第2のベースバイアス供給回路を介して第2のバイアス電源による前記第2のバイアス電圧が、それぞれ印加され、
前記第1のベースバイアス供給回路においては、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間に、第1のコンデンサが接続され、
前記第2のベースバイアス供給回路においては、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間に、第2のコンデンサが接続されてなるものであっても好適である。
【0008】
かかる構成においては、入力信号が平衡増幅回路を介して第1及び第2の差動増幅回路へ印加される点を除けば、先の可変利得増幅回路と同様な動作により、差動増幅回路を構成するトランジスタのベースインピーダンスが低く、安定したベースバイアスの供給が実現されるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図5を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。なお、図6に示された従来回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すこととする。
最初に、第1の発明に係る可変利得増幅回路S1の基本回路構成について図1を参照しつつ説明する。
この可変利得増幅回路S1は、第1及び第2の差動増幅回路101,102と、第1及び第2のベースバイアス供給回路201,202を有して構成されたものとなっている。
すなわち、第1の差動増幅回路101は、npn形の第1及び第2のトランジスタ1,2を有してなり、第1及び第2のトランジスタ1,2は、相互にエミッタが接続されると共に、第1の定電流源31及び第1の入力端子51に接続されたものとなっている。また、第1のトランジスタ1のコレクタは、第1のインピーダンス素子11を介して直流電源30に接続されると共に第1の出力端子53に接続される一方、第2のトランジスタ2のコレクタは、直流電源30に直接接続されている。
【0010】
また、第2の差動増幅回路102は、npn形の第3及び第4のトランジスタ3,4を有してなり、第3及び第4のトランジスタ3,4は、相互にエミッタが接続されると共に、第2の定電流源32と第2の入力端子52に接続されたものとなっている。また、第4のトランジスタ4のコレクタは、第2のインピーダンス素子12を介して直流電源30に接続されると共に第2の出力端子54に接続される一方、第3のトランジスタ3のコレクタは、直流電源30に直接接続されている。
【0011】
第1のベースバイアス供給回路201は、npn形の第5のトランジスタ5と、第1のコンデンサ21と、第1の固定バイアス電源としての第1のバイアス電源41とを主たる構成要素として、いわゆるエミッタフォロア回路が形成されたものとなっている。
すなわち、第5のトランジスタ5のコレクタは、直流電源30に直接接続される一方、エミッタは、第1及び第4のトランジスタ1,4のベースと共に第3の定電流源33に接続されている。また、第5のトランジスタ5のベースは、所定の第1のバイアス電圧を出力する第1のバイアス電源41に接続されると共に、直流電源30との間に、第1のコンデンサ21が接続されたものとなっている。
【0012】
また、第2のベースバイアス供給回路202は、npn形の第6のトランジスタ6と、第2のコンデンサ22と、可変バイアス電源43とを主たる構成要素として、いわゆるエミッタフォロア回路が形成されたものとなっている。
すなわち、第6のトランジスタ6のコレクタは、直流電源30に直接接続される一方、エミッタは、第2及び第3のトランジスタ2,3のベースと共に第4の定電流源34に接続されている。また、第6のトランジスタ6のベースは、可変バイアス電源43に接続されると共に、直流電源30との間に、第2のコンデンサ22が接続されたものとなっている。ここで、可変バイアス電源43は、第1及び第2の入力端子51,52に印加される入力信号の大きさに応じて出力電圧が変化するように構成されてなるものである。
【0013】
なお、上記構成において、第1のコンデンサ21を、直流電源30と第5のトランジスタ5のベースとの間に、第2のコンデンサ22を、直流電源30と第6のトランジスタ6のベースとの間に、それぞれ接続したが、第1のコンデンサ21を第5のトランジスタ5のベースとアースとの間に、第2のコンデンサ22を第6のトランジスタ6のベースとアースとの間に、それぞれ接続するようにしてもよい。
【0014】
次に、かかる構成における動作について説明すれば、入力信号の大きさに応じて第1及び第2の差動増幅回路101,102の利得制御が行われるという点では、従来回路と基本的に同様である。
すなわち、まず、第1及び第2の入力端子51,52における入力信号が小さい場合には、可変バイアス電源43の電圧は、第1のバイアス電源41の電圧よりも小さくなり、そのため、第1及び第4のトランジスタ1,4のコレクタ電流が流れることとなる。この場合、第1及び第4のトランジスタ1,4のベースには、第5のトランジスタ5のエミッタから第1のバイアス電源41による第1のバイアス電圧が、第2及び第3のトランジスタ2,3のベースには、第6のトランジスタ6のエミッタから可変バイアス電源43による第2のバイアス電圧が、それぞれ印加されることとなる。
【0015】
一方、入力信号が大きくなると、可変バイアス電源43の電圧は、第1のバイアス電源41の電圧よりも大きくなり、そのため、第1及び第4のトランジスタ1,4のコレクタ電流は小さくなり、入力信号の大小に応じた増幅利得の制御がなされるようになっている。
ここで、第1及び第4のトランジスタ1,4のベース側から第5のトランジスタ5のエミッタ側を見た場合、第5のトランジスタ5がいわゆるエミッタフォロア回路に構成されているため、第5のトランジスタ5のエミッタ接地電流増幅率をhfe1、第1のコンデンサ21の静電容量をC1とすれば、静電容量は、ほぼhfe1倍に見えることとなる。すなわち、換言すれば、第1及び第4のトランジスタ1,4のベースと直流電源30との間に、hfe1×C1の静電容量を有するコンデンサが接続されたと等価な状態となる。
一方、第2及び第3のトランジスタ2,3のベース側から第6のトランジスタ6のエミッタ側を見た場合も同様である。すなわち、第6のトランジスタ6がエミッタフォロア回路を構成しているため、第2及び第3のトランジスタ2,3のベースと直流電源30との間に、hfe2×C2の静電容量を有するコンデンサが接続されたと等価な状態となる。ここで、hfe2は、第6のトランジスタ6のエミッタ接地電流増幅率であり、C2は、第2のコンデンサ22の静電容量である。
【0016】
このように、第1乃至第4のトランジスタ1〜4の各々のベースに大容量のコンデンサが接続されたと等価な状態となることで、高周波のみならず低周波においても、ベースインピーダンスが低いものとなり、それによって、従来と異なり、ベースに印加されるバイアスが安定化されることとなる。
【0017】
次に、この可変利得増幅回路S1のより具体的な回路構成例について図2を参照しつつ説明する。なお、図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。
この図2に示された可変利得増幅回路S1aは、先の図1における第1のインピーダンス素子11として第1のコレクタ抵抗器11aが、第2のインピーダンス素子12として第2のコレクタ抵抗器12aが、それぞれ用いられた点を除けば、他の回路構成は、図1に示されたものと同一のものである。
したがって、かかる可変利得増幅回路S1aの動作も、基本的には、図1に示された基本回路構成例と同様であるので、ここでの再度の説明は省略することとする。
【0018】
この可変利得増幅回路S1aの代表的な歪み特性について、従来回路との比較において図5及び図7を参照しつつ説明する。まず、図5及び図7において、横軸の利得制御電圧は、この可変利得増幅回路s1a及び従来回路(図6参照)のいずれにおいても、第2及び第3のトランジスタ2,3のベースに印加される可変バイアス電源43による電圧を、縦軸は、第1及び第2の出力端子53,54間に得られる出力電圧のレベルを、それぞれ示すものである。そして、いずれの特性線図においても、「受信信号」と表記された特性線は、第1及び第2の入力端子51,52に印加された入力信号のレベルを示し、「歪み信号」と表記された特性線は、「受信信号」と表記された特性線で示された入力信号に対する3次相互変調歪み成分の出力信号のレベルを示すものである。
本発明に係る可変利得増幅回路S1aと従来回路における歪み信号のレベルを比較して見ると、特に、利得制御電圧が小さい範囲において、本発明に係る可変利得増幅回路S1aにおいては、歪み信号のレベルが従来回路に比して大凡20dB強改善されていることが確認でき、本発明に係る可変利得増幅回路S1aが歪み特性の改善に有効であることが理解できるものとなっている。
【0019】
次に、第2の発明に係る可変利得増幅回路S2の基本回路構成について、図3を参照しつつ説明する。なお、図1又は図2に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。なお、図1又は図2に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。
この可変利得増幅回路S2は、第1及び第2の差動増幅回路101,102と、平衡増幅回路103と、第1乃至第3のベースバイアス供給回路201〜203を有して構成されたものとなっている。
すなわち、第1の差動増幅回路101は、npn形の第1及び第2のトランジスタ1,2を有してなり、第1及び第2のトランジスタ1,2は、相互にエミッタが接続されると共に、平衡増幅回路103の第7のトランジスタ7のコレクタに接続されたものとなっている。そして、第1のトランジスタ1のコレクタは、第1のインピーダンス素子11を介して直流電源30に接続されると共に第1の出力端子53に接続される一方、第2のトランジスタ2のコレクタは、直流電源30に直接接続されている。
【0020】
また、第2の差動増幅回路102は、npn形の第3及び第4のトランジスタ3,4を有してなり、第3及び第4のトランジスタ3,4は、相互にエミッタが接続されると共に、平衡増幅回路103の第8のトランジスタ8のコレクタに接続されたものとなっている。また、第4のトランジスタ4のコレクタは、第2のインピーダンス素子12を介して直流電源30に接続されると共に第2の出力端子54に接続される一方、第3のトランジスタ3のコレクタは、直流電源30に直接接続されている。
【0021】
平衡増幅回路103は、npn形の第7及び第8のトランジスタ7,8を有してなり、第7及び第8のトランジスタ7,8のコレクタは、上述したように第1及び第2の差動増幅回路101,102へそれぞれ接続されたものとなっている一方、第7のトランジスタ7のエミッタは、第1の定電流源31及び第1の入力端子51に接続され、また、第8のトランジスタ8のエミッタは、第2の定電流源32及び第2の入力端子52に接続されたものとなっている。さらに、第7及び第8のトランジスタ7,8は、ベースが相互に接続されて、後述する第3のベースバイアス供給回路203へ接続されたものとなっている。
【0022】
第1のベースバイアス供給回路201は、npn形の第5のトランジスタ5と、第1のコンデンサ21と、第1のバイアス電源41とを主たる構成要素として、いわゆるエミッタフォロア回路が形成されたものとなっている。
すなわち、第5のトランジスタ5のコレクタは、直流電源30に直接接続される一方、エミッタは、第1及び第4のトランジスタ1,4のベースと共に第3の定電流源33に接続されている。また、第5のトランジスタ5のベースは、所定の第1のバイアス電圧を出力する第1のバイアス電源41に接続されると共に、直流電源30との間に、第1のコンデンサ21が接続されたものとなっている。
【0023】
また、第2のベースバイアス供給回路202は、npn形の第6のトランジスタ6と、第2のコンデンサ22と、可変バイアス電源43とを主たる構成要素として、いわゆるエミッタフォロア回路が形成されたものとなっている。
すなわち、第6のトランジスタ6のコレクタは、直流電源30に直接接続される一方、エミッタは、第2及び第3のトランジスタ2,3のベースと共に第4の定電流源34に接続されている。また、第6のトランジスタ6のベースは、可変バイアス電源43に接続されると共に、直流電源30との間に、第2のコンデンサ22が接続されたものとなっている。ここで、可変バイアス電源43は、第1及び第2の入力端子51,52に印加される入力信号の大きさに応じて出力電圧が変化するように構成されてなるものである。
【0024】
さらに、第3のベースバイアス供給回路203は、npn形の第9のトランジスタ9と、第3のコンデンサ23と、第2の固定バイアス電源としての第2のバイアス電源42とを主たる構成要素として、いわゆるエミッタフォロア回路が形成されたものとなっている。
すなわち、第9のトランジスタ9のコレクタは、直流電源30に直接接続される一方、エミッタは、第7及び第8のトランジスタ7,8のベースと共に第5の定電流源35に接続されている。また、第9のトランジスタ9のベースは、所定の第3のバイアス電圧を出力する第2のバイアス電源42に接続されると共に、直流電源30との間に、第3のコンデンサ23が接続されたものとなっている。
【0025】
なお、上記構成において、第1のコンデンサ21を、直流電源30と第5のトランジスタ5のベースとの間に、第2のコンデンサ22を、直流電源30と第6のトランジスタ6のベースとの間に、第3のコンデンサ23を、直流電源30と第9のトランジスタ9のベースとの間に、それぞれ接続したが、第1のコンデンサ21を第5のトランジスタ5のベースとアースとの間に、第2のコンデンサ22を第6のトランジスタ6のベースとアースとの間に、第3のコンデンサ23を、第9のトランジスタ9のベースとアースとの間に、それぞれ接続するようにしてもよい。
【0026】
かかる構成においては、入力信号が平衡増幅回路103により平衡増幅を受け、第1及び第2の差動増幅回路101,102へ入力される点を除けば、基本的な動作は、図図1に示された基本回路構成例と同様であるので、ここでの再度の説明は省略することとする。
したがって、第7及び第8のトランジスタ7,8についても、先に図1で説明したと同様に、第3のベースバイアス供給回路203がエミッタフォロア回路を構成したものとなっていることから、第7及び第8のトランジスタ7,8のベースには、hfe3×C3の静電容量を有するコンデンサが接続されたと等価な状態である。ここで、hfe3は、第9のトランジスタ9のエミッタ接地電流増幅率であり、C3は、第3のコンデンサ23の静電容量である。
【0027】
このように、第1乃至第4のトランジスタ1〜4、第7及び第8のトランジスタ7,8の各々のベースに大容量のコンデンサが接続されたと等価な状態となることで、高周波のみならず低周波においても、ベースインピーダンスが低いものとなり、それによって、従来と異なり、ベースに印加されるバイアスが安定化されることとなる。
【0028】
次に、この可変利得増幅回路S2のより具体的な回路構成例について図4を参照しつつ説明する。なお、図3に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。
この図4に示された可変利得増幅回路S2aは、先の図3における第1のインピーダンス素子11として第1のコレクタ抵抗器11aが、第2のインピーダンス素子12として第2のコレクタ抵抗器12aが、それぞれ用いられた点を除けば、他の回路構成は、図3に示されたものと同一のものである。
したがって、かかる可変利得増幅回路S2aの動作も、基本的には、図3に示された基本回路構成例と同様であるので、ここでの再度の説明は省略することとする。
【0029】
なお、上述した構成例においては、第1及び第4のトランジスタ1,4に固定バイアスが、第2及び第3のトランジスタ2,3に可変バイアスが、それぞれ印加されるようにしたが、逆であってもよいものである。すなわち、第5のトランジスタ5のベースに、可変バイアス電源43が、第6のトランジスタ6のベースに第1のバイアス電源41が、それぞれ接続された構成としてもよいものである。
【0030】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明によれば、可変利得増幅回路を構成するトランジスタのベースインピーダンスが低下するような構成とすることにより、従来と異なり、高ベースインピーダンスに起因するベースバイアスの不安定さがなくなるため、入力信号の周波数変化に関わらず安定したバイアス供給がなされ、そのため、従来と異なり、出力信号の歪み特性の劣化が低減され、出力特性の良好な可変利得増幅回路を提供することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明に係る可変利得増幅回路の基本回路構成を示す回路図である。
【図2】図1に示された可変利得増幅回路のより具体的な回路構成例を示す回路図である。
【図3】第2の発明に係る可変利得増幅回路の基本回路構成を示す回路図である。
【図4】図3に示された可変利得増幅回路のより具体的な回路構成例を示す回路図である。
【図5】本発明に係る可変利得増幅回路の利得制御電圧に対する歪み信号のレベル変化を示す特性線図である。
【図6】従来回路の一構成例を示す回路図である。
【図7】図6に示された従来回路の利得制御電圧に対する歪み信号のレベル変化を示す特性線図である。
【符号の説明】
101…第1の差動増幅回路
102…第2の差動増幅回路
103…平衡増幅回路
201…第1のベースバイアス供給回路
202…第2のベースバイアス供給回路
203…第3のベースバイアス供給回路

Claims (9)

  1. 第1及び第2のトランジスタを有し、各々のエミッタが相互に接続されてなる第1の差動増幅回路と、
    第3及び第4のトランジスタを有し、各々のエミッタが相互に接続されてなる第2の差動増幅回路とが設けられ、
    前記第1及び第2のトランジスタのエミッタと、前記第3及び第4のトランジスタのエミッタとの間に入力信号が印加され、
    前記第1及び第4のトランジスタの各々のコレクタには、それぞれインピーダンス素子を介して、前記第2及び第3のトランジスタのコレクタには、直接に、それぞれ直流電源電圧が印加され、
    前記第1及び第4のトランジスタのベースには、第1のバイアス電圧が、前記第2及び第3のトランジスタのベースには、第2のバイアス電圧が、それぞれ印加されて、前記第1及び第4のトランジスタの各々のコレクタの間に出力信号が得られるよう構成されてなる可変利得増幅回路であって、
    前記第1及び第4のトランジスタのベースには、エミッタフォロア回路に構成されてなる第1のベースバイアス供給回路を介して第1のバイアス電源による前記第1のバイアス電圧が、前記第2及び第3のトランジスタのベースには、エミッタフォロア回路に構成されてなる第2のベースバイアス供給回路を介して第2のバイアス電源による前記第2のバイアス電圧が、それぞれ印加され、
    前記第1のベースバイアス供給回路においては、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間に、第1のコンデンサが接続され、
    前記第2のベースバイアス供給回路においては、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間に、第2のコンデンサが接続されてなることを特徴とする可変利得増幅回路。
  2. 第1及び第2のトランジスタのエミッタには、第1の定電流源が接続され、
    3及び第4のトランジスタのエミッタには、第2の定電流源が接続され、
    第1のベースバイアス供給回路は、第1及び第4のトランジスタと同一極性の第5のトランジスタを有し、前記第5のトランジスタのエミッタは、前記第1及び第4のトランジスタのベースに接続されると共に、第3の定電流源に接続される一方、前記第5のトランジスタのコレクタには、直流電源電圧が印加され、また、前記第5のトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間には、第1のコンデンサが接続されると共に、所定の電圧を出力する第1の固定バイアス電源が接続され、
    第2のベースバイアス供給回路は、第2及び第3のトランジスタと同一極性の第6のトランジスタを有し、前記第6のトランジスタのエミッタは、前記第2及び第3のトランジスタのベースに接続されると共に、第4の定電流源に接続される一方、前記第6のトランジスタのコレクタには、直流電源電圧が印加され、また、前記第6のトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間には、第2のコンデンサが接続されると共に、入力信号の大きさに応じて出力電圧が変化する可変バイアス電源が接続されてなることを特徴とする請求項1記載の可変利得増幅回路。
  3. 第1の固定バイアス電源を第6のトランジスタのベースに、可変バイアス電源を第5のトランジスタのベースに、それぞれ接続してなることを特徴とする請求項2記載の可変利得増幅回路。
  4. 第1及び第2のトランジスタを有し、各々のエミッタが相互に接続されてなる第1の差動増幅回路と、
    第3及び第4のトランジスタを有し、各々のエミッタが相互に接続されてなる第2の差動増幅回路と、
    入力信号を平衡増幅して前記第1及び第2の差動増幅回路へ出力する平衡増幅回路とが設けられ、
    前記第1及び第2のトランジスタのエミッタと、前記第3及び第4のトランジスタのエミッタとの間に入力信号が印加され、
    前記第1及び第4のトランジスタの各々のコレクタには、それぞれインピーダンス素子を介して、前記第2及び第3のトランジスタのコレクタには、直接に、それぞれ直流電源電圧が印加され、
    前記第1及び第4のトランジスタのベースには、第1のバイアス電圧が、前記第2及び第3のトランジスタのベースには、第2のバイアス電圧が、それぞれ印加されて、前記第1及び第4のトランジスタの各々のコレクタの間に出力信号が得られるよう構成されてなる可変利得増幅回路であって、
    前記第1及び第4のトランジスタのベースには、エミッタフォロア回路に構成されてなる第1のベースバイアス供給回路を介して第1のバイアス電源による前記第1のバイアス電圧が、前記第2及び第3のトランジスタのベースには、エミッタフォロア回路に構成されてなる第2のベースバイアス供給回路を介して第2のバイアス電源による前記第2のバイアス電圧が、それぞれ印加され、
    前記第1のベースバイアス供給回路においては、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間に、第1のコンデンサが接続され、
    前記第2のベースバイアス供給回路においては、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間に、第2のコンデンサが接続されてなることを特徴とする可変利得増幅回路。
  5. 第1のベースバイアス供給回路は、第1及び第4のトランジスタと同一極性の第5のトランジスタを有し、前記第5のトランジスタのエミッタは、前記第1及び第4のトランジスタのベースに接続されると共に、第3の定電流源に接続される一方、前記第5のトランジスタのコレクタには、直流電源電圧が印加され、また、前記第5のトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間には、第1のコンデンサが接続されると共に、所定の電圧を出力する第1の固定バイアス電源が接続され、
    第2のベースバイアス供給回路は、第2及び第3のトランジスタと同一極性の第6のトランジスタを有し、前記第6のトランジスタのエミッタは、前記第2及び第3のトランジスタのベースに接続されると共に、第4の定電流源に接続される一方、前記第6のトランジスタのコレクタには、直流電源電圧が印加され、また、前記第6のトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間には、第2のコンデンサが接続されると共に、入力信号の大きさに応じて出力電圧が変化する可変バイアス電源が接続され
    平衡増幅回路は、ベースが相互に接続された第7及び第8のトランジスタを有し、前記第7のトランジスタのコレクタは、第1及び第2のトランジスタのエミッタに、前記第8のトランジスタのコレクタは、第3及び第4のトランジスタのエミッタに、それぞれ接続される一方、前記第7のトランジスタのエミッタは、第1の定電流源に、前記第8のトランジスタのエミッタは、第2の定電流源に、それぞれ接続されると共に、前記第7のトランジスタのエミッタと前記第8のトランジスタのエミッタとの間に入力信号が印加され、
    前記第7及び第8のトランジスタのベースには、第3のベースバイアス供給回路を介して第3のバイアス電圧が印加され、
    第3のベースバイアス供給回路は、
    第7及び第8のトランジスタと同一極性の第9のトランジスタを有し、前記第9のトランジスタのエミッタは、前記第7及び第8のトランジスタのベースに接続されると共に、第5の定電流源に接続される一方、前記第9のトランジスタのコレクタには、直流電源電圧が印加され、また、前記第9のトランジスタのベースと前記直流電源電圧を出力する直流電源との間には、第3のコンデンサが接続されると共に、所定の電圧を出力する第2の固定バイアス電源が接続されてなることを特徴とする請求項4記載の可変利得増幅回路。
  6. 第1の固定バイアス電源を第6のトランジスタのベースに、可変バイアス電源を第5のトランジスタのベースに、それぞれ接続してなることを特徴とする請求項2記載の可変利得増幅回路。
  7. 第1のコンデンサを第5のトランジスタのベースとアースとの間に接続してなることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5又は請求項6記載の可変利得増幅回路。
  8. 第2のコンデンサを第6のトランジスタのベースとアースとの間に接続してなることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5又は請求項6記載の可変利得増幅回路。
  9. 第3のコンデンサを第9のトランジスタのベースとアースとの間に接続してなることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の可変利得増幅回路。
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