JP4221005B2 - 緩み止めナット - Google Patents

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Description

本発明は、油圧シリンダのピストンをピストンロッドに固定するのに用いて好適な緩み止めナットに関する。
従来より、ボルト,ロッド等の軸部材に固定されるナット,ピストン等の被固定体の緩み止めを行うための緩み止めナットが知られている。
例えば、特許文献1には、ナイロン製で円盤状の緩み止め部材をナット本体のねじ穴内周面に備えたものが開示されている。すなわち、ナット本体をボルトに締結したときに、緩み止め部材の弾性力によって静止摩擦力を発生させ、ナット本体がボルトに対して緩まないようにしたものである。作業機械の分野では、油圧機構によってピストンを摺動させる油圧シリンダにおいて、この種の緩み止めナットが適用されたものがある。
従来より利用されている油圧シリンダの緩み止めナットの一例を図6,7に示す。図6は、従来の油圧シリンダを部分的に切断して示す斜視図であり、図7は図6に示す破線円部分を拡大して示した断面図である。
図6に示すように、この油圧シリンダ10は、内部に作動油を充填されたシリンダ8と、シリンダ8内の作動油圧に応じた駆動力をシリンダ8外部へ伝達する軸状のピストンロッド7とを備えている。
ピストンロッド7の一端には、他端側よりも縮径された軸の外周面にねじ溝7aが形成され、その一端側から円環状のピストン6が嵌装されている。また、ピストン6よりもさらに端部側にはナイロンナット9が締結されて、ピストン6がピストンロッド7に固定されている。
ナイロンナット9は、図7に示すように、ピストンロッド7のねじ溝7aに螺合する金属部9aと、金属部9aの端部に形成された内溝9bの内部に嵌め込まれたナイロン部9cとから構成される。ナイロン部9cは、ピストンロッド7の外周を覆うように環状に形成されており、ナイロンナット9の締結時にピストンロッド7のねじ溝7aによって拡径方向へ圧縮されながら切削されて、ねじ溝7aの形状に略完全に合致する溝が形作られるようになっている。
したがって、ナイロンナット9の締め付け完了時にはピストンロッド7とナイロンナット9との摩擦力が確保されて緩み止めがなされる。なお、ナイロンナット9の締め付けトルクを管理することにより、ピストンロッド7に軸線方向の初期張力が生じるため、ピストン6とピストンロッド7との離反も防止される。このように、ナイロン製の緩み止め部材を備えた緩み止めナットを用いれば、比較的安価に緩み止め効果を得ることができる。
特開平8−296626号公報
しかしながら、上述のようなナイロンナット9では、ナイロン部9cを内溝9bに組み込む際に、半径方向にガタがあり、締結時における金属部9aとナイロン部9cとの間の螺合芯のミスアラインメントが生じやすい。このようなミスアラインメントによりナイロンナット9の締結の過程でナイロン部9cの切削抵抗がばらつき、ナイロン部9c自体にクラックが発生すると、充分な緩み止め効果が得られないおそれがある。
また、ナイロンナット9の締結時にはナイロン部9cがピストンロッド7のねじ溝7aによって切削されるため、切削によって生じたナイロン片がコンタミとなってシリンダ8内部に残留することも考えられる。この場合、ピストン6とシリンダ8との間に噛み込んで油圧シリンダ10の円滑な伸縮運動が阻害されかねない。
また、ナイロン素材の物性に着目すると、図8(a)に示すように、一般的にその弾性率は高温になるに連れて低下する。つまり、シリンダ8内の作動油温が高くなるほどナイロン部9cによる弾性力が低下するため、ナイロンナット9の緩み止め効果が低下してしまう。
さらに、ナイロンのような高分子材料は、継続的に外力を与え続けることによって、たとえその外力が降伏点未満の大きさであっても、時間の経過と共に塑性変形(クリープ変形)を生じることが知られている。特に、高温,高応力状態では、図8(b)に示すように、ナイロン素材のクリープ特性が大きく変化する。そのため、内部が高温,高応力になりうる油圧シリンダ10にナイロンナット9を適用したような場合には、時間経過とともにナイロン部9cに永久歪みが生じ、緩み止め効果が低下するおそれもある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、温度や経過時間の影響を受けにくく安定した緩み止め効果を得ることができるようにした、緩み止めナットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明の緩み止めナットは、軸部材(ロッド)に締結されて、該軸部材に環装される被固定体(ピストン)を該軸部材の軸線方向へ押圧し該被固定体を固定する緩み止めナットであって、該軸部材の該軸線方向における該被固定体との接触面の反対面において、該反対面に略垂直に穿孔形成された一対の縦穴部、及び、該一対の縦穴部の間を連通する面状の空洞として形成された連結部からなる長穴と、該緩み止めナットの外周面と該長穴の該連結部とを連通するように筒状に穿孔されるとともに、該筒状の孔壁に雌ねじ溝を形成された雌ねじ穴と、該雌ねじ溝に螺合する雄ねじ溝を外周面に有して該雌ねじ穴に締結される固定部材(セットスクリュー)とを備え、該一対の縦穴部の各々が、該ロッドの中心軸に対して略等距離となる位置において、略円形の穴形状(軸部材の中心軸に垂直な切断形状が略円形の穴形状)の丸穴として穿孔形成されるとともに、該連結部が、該一対の縦穴部の孔芯同士を連結する平面状に切削形成されたことを特徴としている。
つまりこの場合、長穴が、軸部材の中心軸に対して垂直な断面形状をダンベル状に形成されていることになる。
なお連結部は、一対の縦穴部同士を連結するようなスリットとして形成されている。また、雌ねじ穴の孔芯は、緩み止めナットの内周面(軸部材との締結面)に対し略垂直となることが好ましい。
また、該長穴及び該雌ねじ穴が、該軸部材の該反対面において、該軸部材の中心軸の周囲に略等間隔に複数設けられていることが好ましい(請求項)。
また、該長穴及び該雌ねじ穴が、該軸部材の該反対面近傍に形成されていることが好ましい(請求項)。
請求項記載の本発明の緩み止めナットは、内部に作動流体を充填された中空円筒状のシリンダと、該シリンダの軸線方向に沿って該シリンダの外部から内部へ挿通された軸状のロッドと、該シリンダの内周面に摺接するように該ロッドに環装されたピストンとを備えた流体圧シリンダ(例えば、油圧シリンダ)において、該ロッドに締結されるとともに該ピストンを該ロッドの軸線方向へ押圧し該ピストンを固定するための緩み止めナットであって、該ロッドの該軸線方向における該ピストンとの接触面の反対面において、該反対面に略垂直に穿孔形成された一対の縦穴部、及び、該一対の縦穴部の間を連通する面状の空洞として形成された連結部からなる長穴と、該緩み止めナットの外周面と該長穴の該連結部とを連通するように筒状に穿孔されるとともに、該筒状の孔壁に雌ねじ溝を形成された雌ねじ穴と、該雌ねじ溝に螺合する雄ねじ溝を外周面に有して該雌ねじ穴に締結される固定部材とを備え、該一対の縦穴部の各々が、該ロッドの中心軸に対して略等距離となる位置において、略円形の穴形状の丸穴として穿孔形成されるとともに、該連結部が、該一対の縦穴部の孔芯同士を連結する平面状に切削形成されたことを特徴としている。
本発明の緩み止めナット(請求項1)によれば、固定部材を雌ねじ穴へ締結することで連結部の壁面へ作用する締結力を、連結部の両端に形成された一対の縦穴部の孔壁へ分散させることができる。これにより、長穴内における局所的な応力集中を抑制することができ、連結部の壁面及び緩み止めナットのねじ溝面(内周面)間を容易に弾性変形させることが可能となる。
このように、金属の弾性変形によって緩み止めを行っているため、温度や経時的な緩み止めトルクの低下を防ぐことができ、安定した緩み止め効果を得ることができる。また、構成が簡素であり加工が容易であるため、従来の緩み止めナットに対する適用性が高く、コストを削減することができる。
また、固定部材が雌ねじ穴に締結されるようになっているため、本緩み止めナットの弾性変形の度合いを、固定部材の雌ねじ穴に対する締結トルクを調節することによって比較的容易に最適化することができる。つまり、緩み止めのために必要なトルクの調節が容易である。なお、例えばナイロンナットを使用する場合と比較すると、締結時にコンタミが発生するおそれがない点も評価できる。
さらに、縦穴部の断面形状が略円形となっているため、連結部と壁面を介して縦穴部の孔壁へ作用する応力を効率的に分散させることができる。つまり応力集中による部分的な塑性変形をさらに抑制することができ、緩み止めナットをより容易に弾性変形させることができる。
また、本発明の緩み止めナット(請求項)によれば、緩み止めナットのねじ溝面に複数箇所で弾性変形させることができ、緩み止め効果を高めることができる。
また、本発明の緩み止めナット(請求項)によれば、被固定体との接触面の反対面近傍では、緩み止めナットのねじ溝面と軸部材の外周面との間に作用する接触応力が小さいため、このような位置に雌ねじ穴を設けることによって、軸部材の中心軸方向における応力集中を緩和することができる。
また、本発明の緩み止めナット(請求項)によれば、シリンダ内部が高温,高圧となりうる流体圧シリンダにおいて、安定した緩み止め効果を得ることができ、流体圧シリンダの性能を高めることができる。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4は本発明の一実施形態にかかる緩み止めナットを説明するものであり、図1はその緩み止めナットの三面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、図2は本緩み止めナットが締結された油圧シリンダの断面図、図3は本緩み止めナットの断面図(図2のB−B断面図)、図4は本緩み止めナットの締結によるロッドとの接触面の応力分布を示す図である。
なお、本緩み止めナットは、図6に示す従来の油圧シリンダ10に対し、ナイロンナット9の代わりに適用されており、前述の従来のものと同一の構成要素については同一の符号を用いて説明する。
[構成]
(1.全体構成)
本油圧シリンダ10は、図6に示すように、内部に作動油(作動流体)が充填された中空円筒状のシリンダ8と、シリンダ8の軸線方向(以下、単に軸方向という)に沿ってシリンダ8の外部から内部へ挿通された軸状のピストンロッド(以下、単にロッドと呼ぶ)7とを備えている。ロッド7は、シリンダ8内の作動油圧に応じた駆動力をシリンダ8の外部へ伝達するための部材である。
シリンダ8の内部側に位置するロッド7の一端部には、図2に示すように、ロッド7の外周面に対して段差7bを有して縮径された形状の縮径部7cと、縮径部7cよりもさらに端部側に隣接して螺旋状のねじ溝が形成されたねじ溝面7aとが形成されている。縮径部7cの外周面は平滑な円筒面として形成されている。また、ねじ溝面7aの最外径(ねじ山の高さを含んだ最大の外径)は、縮径部7cの外径と同一又は縮径部7cよりも小径となっている。
ロッド7の縮径部7cには、筒状のピストン6が環装されている。このピストン6の外周面はシリンダ8の内周面8aに摺接し、シリンダ8の内周面は縮径部7cの外周面に環装されている。なお、ピストン6の外周面には、シリンダ8の内部の空間をピストン6の摺動方向に対して二分割するためのシールリングが環装されている。これにより、ピストン6の外周面側における作動油の流通が封止されるようになっている。
ピストン6よりもロッド7の先端側には、本発明に係る緩み止めナット5が締結されている。この緩み止めナット5の内周には、ロッド7に螺合するねじ溝面4が形成されており、これらの螺合により緩み止めナット5がロッド7に締結固定される。また、緩み止めナット5は、図2に示すようにピストン6の端面に当接した状態で締結されており、ピストン6をロッド7の軸方向へ押圧しながら、ピストン6をロッド7の段差7bとの間で挟むように固定する。以下、緩み止めナット5のうちのピストン6との接触面を5aとし、反対側の端面を5bとして説明する。
(2.緩み止めナットの構成)
締結前の緩み止めナット5を分解した状態での三面図を図1(a)〜(c)に示す。緩み止めナット5の端面5b側には、接触面5a方向へ向けてダンベル状の長穴1が形成されている。ダンベル状とは両端部が膨らんだ棒形状のことをいう。ここでは、図1(b)に示すように、ロッド7の中心軸Cに対して垂直な断面の形状がダンベル状となるように、緩み止めナット5の端面5b側に加工が施されている。
この長穴1は、端面5bに形成された二つの縦穴部1a,1aと、二つの縦穴部1a,1a同士を連通する面状の空洞として形成された連結部1bとから構成されている。
二つの縦穴部1a,1aは、端面5b側からロッド7の中心軸Cと略並行に穿孔された穴であり、ともに略円形の穴形状となっている。また、これらの縦穴部1a,1aは、図1(b)に示すように、正面視においてロッド7の中心軸Cに対し略等距離となる位置に形成されている。なお、縦穴部1a,1aの端面5bからの穿孔深さは任意であるが、ここでは図1(a)に示すように、後述する雌ねじ穴2の口径よりも大きい所定長に設定されている。
一方、連結部1bは、二つの縦穴部1a,1aの孔芯同士を連結する平面状に切削形成されている。ここでは、二つの縦穴部1a,1aの孔芯がともにロッド7の中心軸Cに並行であるから、図1(c)に示すように、連結部1bもロッド7の中心軸Cに略並行な平面形状(スリット形状)となる。ここで、連結部1bの形状を互いに平行な二平面によって形成されるものと捉えて、これらの二平面のうち、緩み止めナット5の内周面側の平面を以下、平滑面1cという。なお、二つの縦穴部1a,1aと同様に、連結部1bの端面5bからの切削深さについても任意であるが、ここでは縦穴部1a,1aの穿孔深さと同一の所定長に設定されている。
また、緩み止めナット5の外周面側から連結部1bの平滑面1cへ向けて略垂直に、筒状の雌ねじ穴2が穿孔されている。この雌ねじ穴2の孔壁(内周面)には、雌ねじ溝2aがタップ加工(ねじ溝の螺刻加工)されている。なおここでは、図1(a)〜(c)に示すように、緩み止めナット5の外周面が雌ねじ穴2に対して垂直となるように、部分的に切除されている。この雌ねじ穴2は、セットスクリュー(固定部材)3を締結するための穴である。
セットスクリュー3の外周面には、雌ねじ部2の内周面の雌ねじ溝2aと螺合する雄ねじ溝3aが形成されている。また、このセットスクリュー3は、下端部を平滑面1cに当接(底付き)させた状態で、予め設定された所定のトルクで締結されるようになっている。所定のトルクの大きさは、緩み止めナット5のねじ溝面4と連結部1bの平滑面1cとの間の薄肉部分が弾性変形し、かつ、塑性変形しない程度の大きさに設定されている。なお、セットスクリュー3の頭部(雌ねじ部2に締結されたときに緩み止めナット5の外周面側となる一端)には、六角レンチ等を用いて締結するための六角柱状穴が形成されている。
[作用]
本緩み止めナット5は、以下のように加工される。まず、緩み止めナット5の端面5bに、ロッド7の中心軸Cに対して略等距離となる2点にけがきがなされ、穴あけ工具を用いて、緩み止めナット5の端面5b側からピストン6との接触面5a方向へ向けて、二つの縦穴部1a,1aが穿孔される。このとき、穿孔深さは所定長であり、穿孔方向はロッド7の中心軸Cと略並行である。
続いて、切削工具を用いて、二つの縦穴部1a,1aの孔芯同士を連通するように、かつ、ロッド7の中心軸Cに対して略並行に、連結部1bが切削形成される。これにより、図1(a)〜(c)に示すように、ロッド7の中心軸Cに垂直な断面の形状が、二つの縦穴部1a,1aを両端とするダンベル状の長穴1として形成される。このとき、連結部1bの平滑面1cと緩み止めナット5のねじ溝面4との間には薄肉のたわみやすい部分が形成されることになる。
さらに、穴あけ工具を用いて、緩み止めナット5の外周面側から平滑面1cへ向けて略垂直に雌ねじ穴2が穿孔され、その孔壁がタップ加工される。これにより、緩み止めナット5の加工が完了する。
上記のように加工された緩み止めナット5は、図2に示すように、縮径部7cに環装されたピストン6を固定すべく、ロッド7に締結される。なお、緩み止めナット5の接触面5aはピストン6の端面に当接した状態とされ、予め設定された所定のトルクで締め付けられる。このとき、緩み止めナット5のねじ溝面4とロッド7のねじ溝面7aとの間に作用する応力の大きさは、図4に示すように、ピストン6側に近いほど大きくなる。つまり、緩み止めナット5とロッド7との接触圧力は、緩み止めナット5の接触面5aほど大きく、反対側の端面5bほど小さい。なお、図4では、緩み止めナット5とロッド7との接触面における応力の大きさとその方向が同時に示されている。
緩み止めナット5のロッド7への締結が完了すると、セットスクリュー3と雌ねじ穴2との間に緩み止め用の接着剤が塗布され、雌ねじ穴2の内部にセットスクリュー3がねじ込まれる。セットスクリュー3は、図3に示すように、その下端部が平滑面1cに底付きするように締結され、その後所定の大きさのトルクで締め上げられる。これにより、平滑面1cに対して図3中下方への押付力が作用し、緩み止めナット5のねじ溝面4と平滑面1cとの間の薄肉部分が弾性変形する。なお、セットスクリュー3と雌ねじ穴2との間でカシメを行ってセットスクリュー3自体の雌ねじ穴2に対する緩みを防止してもよい。
[効果]
このように、本緩み止めナット5によれば、緩み止めナット5のねじ溝面4と連結部1bの平滑面1cとの間の薄肉部分が弾性変形するため、ねじ溝面4を内側へ締め付けることができる。したがって、端面5b近傍における緩み止めナット5とロッド7との接触圧力を上昇させることができ、緩み止め効果を高めることができる。また、緩み止めナット5のねじ溝面4における端面5b側が弾性変形するため、端面5b近傍における緩み止めナット5とロッド7との接触圧力を上昇させることができる。
すなわち、緩み止めナット5をロッド7に対して締結したときには、図4に示すように、緩み止めナット5のねじ溝面4とロッド7のねじ溝面7aとの間に作用する応力の大きさがピストン6側に近いほど大きくなる。そこで本緩み止めナット5では、このような緩み止めナット5とロッド7との接触圧力の集中を避けるべく、端面5b近傍で弾性変形を生じさせているのである。これにより、緩み止めナット5の緩み止め効果を高めることができる。
また、本緩み止めナット5の長穴1は、その両端に断面形状が略円形の縦穴部1a,1aを持つダンベル状に形成されているため、連結部1bの平滑面1cへ作用するセットスクリュー3の押付力を、円弧形状の縦穴部1a,1aの内表面へ効果的に分散させることができる。これにより、セットスクリュー3の押付力の集中による長穴1表面での塑性変形を抑制することができ、セットスクリュー3の押付力を安定して維持することができるようになる。なお、縦穴部1a,1aを設けることにより、平滑面1cのたわみ量を大きくすることもできる。
また、本緩み止めナット5では、金属の弾性変形によって緩み止めを行っているため、例えば作動油温の変化や時間経過による締結トルクの低下を防ぐことができ、安定した緩み止め効果を得ることができる。また、構成が簡素であり加工が容易であるため、従来の緩み止めナットに対する適用性が高く、コストを削減できる。
さらに、雌ねじ穴2に締結されるセットスクリュー3の締結トルクの大きさを制御することで、緩み止めナット5の弾性変形の度合いを容易に調節することができる。つまり、緩み止めのために必要なトルクの調節が容易である。なお、緩み止めナット5自身は塑性変形しないため、分解後の再利用も可能である。
なお、従来のナイロン等の弾性を利用した緩み止めナットと比較すると、ナイロンの切削によるコンタミが発生するおそれがなく、作動油の品質に与える影響を小さくすることができるという効果もある。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば上述の実施形態では、緩み止めナット5の端面5bに、長穴1及び雌ねじ穴2が一つずつ設けられているものが例示されているが、セットスクリュー3を締め付けるためのこれらの穴を複数組設けることも考えられる。
例えば、図5(a)に示すように、ロッド7の中心軸Cの反対側の位置にも長穴と雌ねじ穴とを設けて、ロッド7を二方向から挟みこむようにセットスクリューを締め付けてもよい。また、図5(b)に示すように、ロッド7の中心軸Cを中心として120°ずつ回転させた位置に同様の長穴,雌ねじ部を設けてもよい。このように弾性変形する部位の数を増やすことにより、さらに緩み止め効果を高めることができる。
また、上述の実施形態では、縦穴部1a,1aが略円形の穴形状に形成されているが、セットスクリュー3による平滑面1cへ押付力の作用時において応力が集中しない形状であれば、楕円形状やその他の曲線形状であってもよい。なお、加工性を考慮すれば、適当な大きさの円弧形状であることが好ましい。
また、上述の実施形態では、連結部1bの形状が二つの縦穴部1a,1a同士を連通する平面スリットとして形成されているが、必ずしも平面である必要はなく、曲面によって囲まれた空洞として形成してもよいし、より複雑な面形状としてもよい。例えば、セットスクリュー3から平滑面1cとねじ溝面4との間の薄肉部分へ作用する応力の分布や、薄肉部分の弾性変形量等に応じて適宜設定することが考えられる。
なお、上述の実施形態では、作業機械の油圧シリンダ10に対して本緩み止めナットを適用したものを例示したが、本発明は、ボルト,ロッド等の軸部材に固定されるナット,ピストン等の被固定体の緩み止めを行う用途で、様々な装置や機械に適用することが可能である。
本発明の一実施形態としての緩み止めナットの三面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本緩み止めナットが締結された油圧シリンダの断面図である。 本緩み止めナットの断面図(図2のB−B断面図)である。 本緩み止めナットの締結によるロッドとの接触面の応力分布を示す図である。 本発明の変形例としての緩み止めナットの正面図であり、(a)は長穴及び雌ねじ穴が2組あるもの、(b)は長穴及び雌ねじ穴が3組あるものを示す。 従来の油圧シリンダを部分的に切断して示す斜視図である。 従来の緩み止めナットの構成を示す断面図(図6の破線円部分の拡大断面図)である。 ナイロン素材の物性を説明するためのグラフであり、(a)は曲げ弾性率と温度との関係を示し、(b)は経時的なクリープ特性を示す。
符号の説明
1 長穴
1a 縦穴部(一対の縦穴部)
1b 連結部
1c 平滑面
2 雌ねじ穴
2a 雌ねじ溝
3 セットスクリュー(固定部材)
3a 雄ねじ溝
4 ねじ溝面
5 緩み止めナット
5a 接触面
5b 端面
6 ピストン(被固定体)
7 ピストンロッド(ロッド,軸部材)
7a ねじ溝
7b 段差
7c 縮径部
8 シリンダ
8a 内周面
9 ナイロンナット
9a 金属部
9b 内溝
9c ナイロン部
10 油圧シリンダ

Claims (4)

  1. 軸部材に締結されて、該軸部材に環装される被固定体を該軸部材の軸線方向へ押圧し該被固定体を固定する緩み止めナットであって、
    該軸部材の該軸線方向における該被固定体との接触面の反対面において、該反対面に略垂直に穿孔形成された一対の縦穴部、及び、該一対の縦穴部の間を連通する面状の空洞として形成された連結部からなる長穴と、
    該緩み止めナットの外周面と該長穴の該連結部とを連通するように筒状に穿孔されるとともに、該筒状の孔壁に雌ねじ溝を形成された雌ねじ穴と、
    該雌ねじ溝に螺合する雄ねじ溝を外周面に有して該雌ねじ穴に締結される固定部材とを備え
    該一対の縦穴部の各々が、該軸部材の中心軸に対して略等距離となる位置において、略円形の穴形状の丸穴として穿孔形成されるとともに、
    該連結部が、該一対の縦穴部の孔芯同士を連結する平面状に切削形成された
    ことを特徴とする、緩み止めナット。
  2. 該長穴及び該雌ねじ穴が、該軸部材の該反対面において、該軸部材の中心軸の周囲に略等間隔に複数設けられている
    ことを特徴とする、請求項記載の緩み止めナット。
  3. 該長穴及び該雌ねじ穴が、該軸部材の該反対面近傍に形成されている
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の緩み止めナット。
  4. 内部に作動流体を充填された中空円筒状のシリンダと、該シリンダの軸線方向に沿って該シリンダの外部から内部へ挿通された軸状のロッドと、該シリンダの内周面に摺接するように該ロッドに環装されたピストンとを備えた流体圧シリンダにおいて、該ロッドに締結されるとともに該ピストンを該ロッドの軸線方向へ押圧し該ピストンを固定するための緩み止めナットであって、
    該ロッドの該軸線方向における該ピストンとの接触面の反対面において、該反対面に略垂直に穿孔形成された一対の縦穴部、及び、該一対の縦穴部の間を連通する面状の空洞として形成された連結部からなる長穴と、
    該緩み止めナットの外周面と該長穴の該連結部とを連通するように筒状に穿孔されるとともに、該筒状の孔壁に雌ねじ溝を形成された雌ねじ穴と、
    該雌ねじ溝に螺合する雄ねじ溝を外周面に有して該雌ねじ穴に締結される固定部材とを備え
    該一対の縦穴部の各々が、該ロッドの中心軸に対して略等距離となる位置において、略円形の穴形状の丸穴として穿孔形成されるとともに、
    該連結部が、該一対の縦穴部の孔芯同士を連結する平面状に切削形成された
    ことを特徴とする、緩み止めナット。
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