JP4220743B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体等の像担持体に残留したトナーをクリーニングするための次のような構成を具備しているクリーニング手段を備える画像形成装置に関するものである。即ち、複数の起毛を像担持体に摺擦させる起毛摺擦体と、これに捕捉されたトナーを静電的に付着させて回収する静電回収体と、これからトナーを除去する除去手段とを具備するクリーニング手段である。
【0002】
【従来の技術】
従来、トナー像を担持する感光体や中間転写体等の像担持体をクリーニングするクリーニング手段としてブレード方式のものを備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1等)。このブレード方式のクリーニング手段は、像担持体に当接するゴムブレード等のブレード部材によってトナーを像担持体から機械的に掻き取る方式のものであり、次に説明するような不具合があった。即ち、ブレード部材の組付誤差によって像担持体との密着不良が生ずると、像担持体に付着しているトナーを掻き取らずにすり抜けさせてしまう。このすり抜けを抑えるべく、ブレード部材を必要以上の圧力で像担持体に当接させると、像担持体の摩耗を助長してその寿命を短くしてしまうという不具合である。また、いわゆる粉砕法によって製造された粉砕トナーに対しては良好なクリーニング性を発揮し得る一方で、重合法等によって製造された球形トナーに対するクリーニング性が劣るという不具合もあった。これらの不具合は、近年の高画質化の要望に応じてトナーを小径化するほど顕著に現れてしまう。
【0003】
一方、従来、ブラシ方式のクリーニング手段を備える画像形成装置も知られている(例えば、特許文献2等)。このブラシ方式のクリーニング手段は、複数の起毛を像担持体に摺擦させるクリーニングブラシ等の起毛摺擦体を有している。像担持体との摺擦によって起毛摺擦体に捕捉されたトナーは、クリーニングバイアスの供給を受けながら表面を無端移動させる回収ローラ等の静電回収体によって静電的に回収された後、クリーニングブレード等の除去手段によって静電回収体から除去される。かかる構成によれば、柔軟に撓み得る起毛を像担持体に摺擦させることで、ブレード部材を当接させるブレード方式に比べて像担持体の摩耗を抑えることができる。更には、像担持体に確実に摺擦する起毛摺擦体によってトナーを捕捉した後に静電回収体によって静電的に回収することで、小径の球形トナーでも良好にクリーニングすることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平13−34133号公報
【特許文献2】
特開平5−188836号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ブラシ方式のクリーニング手段においても、比較的長期の使用に伴って小径の球形トナーのクリーニング性能を徐々に低下させることがあった。そこで、本発明者らは、この原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかった。即ち、ブラシ方式では、クリーニングブラシ等の起毛摺擦体から回収ローラ等の静電回収体に静電的に回収したトナーを、クリーニングブレード等の除去手段によって静電回収体から除去する必要がある。この除去性は、比較的初期の段階では良好であるが、使用に伴ってブレードエッジが摩耗したり、ブレードと静電回収体との間に異物が付着したりして、徐々に低下していく。そして、静電回収体上に残留するトナーの量が徐々に増加してくる。そうすると、起毛摺擦体と静電回収体表面との間の電界が徐々に弱まっていき、起毛摺擦体内のトナー量も増加して、徐々にクリーニング性能が低下していたのである。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のようなクリーニング手段を備える画像形成装置を提供することである。即ち、像担持体等の被クリーニング体の摩耗を抑えながら、小径の球形トナーであっても長期に渡って良好にクリーニングすることができるクリーニング手段である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、該像担持体の表面に担持されたトナー像を転写先に転写する手段と、該像担持体をクリーニングするクリーニング手段とを備え、且つ、複数の起毛を該像担持体に摺擦させる起毛摺擦体と、該起毛摺擦体に捕捉されたトナーを自らの無端移動する表面に静電的に付着させて回収する静電回収体と、該静電回収体からトナーを除去する除去手段とを該クリーニング手段が有する画像形成装置であって、トナー像を上記転写先に転写した後の上記像担持体が該トナー像を担持していた領域で且つクリーニングされる前の領域である画像履歴領域と、上記起毛摺擦体とが接触しているときに、上記静電回収体の電位を上記トナーの帯電極性とは逆極性の値にして該起毛摺擦体内のトナーを該静電回収体の無端移動する表面に静電的に付着させる一方で、トナー像を該転写先に転写した後の該像担持体が該トナー像を担持していなかった領域で且つクリーニングされる前の領域である非画像領域と、該起毛摺擦体とが接触しているときに、該静電回収体の電位を該帯電極性と同極性の値又は電気的な接地にして該静電回収体からのトナー離れを促すように、該静電回収体の電位を切り替える電位切替手段を備え、且つ、該静電回収体の電位が該同極性の値又は接地であるときに、上記起毛摺擦体の電位が上記帯電極性及び上記非画像領域の電位の極性と同極性で且つ該非画像領域の電位よりも低い値であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記電位切替手段が上記静電回収体の一周分の表面無端移動に要する時間以上に継続して、該静電回収体の電位を上記同極性の値又は接地にすることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置であって、上記像担持体上のトナー像を上記転写先であるシート材に直接転写するか、あるいは上記転写先である中間転写体を介してシート材に転写し、且つ、複数の該シート材に対するトナー像の転写が連続して行われる場合の各シート材間に対応するシート間領域と、上記起毛摺擦体とが接触しているときに、上記電位切替手段により、上記静電回収体の電位を上記同極性の値又は電気的な接地にすることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の画像形成装置であって、上記像担持体上のトナー像を上記転写先であるシート材に直接転写するか、あるいは上記転写先である中間転写体を介してシート材に転写し、且つ、複数の該シート材に対するトナー像の転写が連続して行われる場合の最後の該シート材に対応する上記画像履歴領域に続く非画像領域と、上記起毛摺擦体とが接触しているときに、上記電位切替手段により、上記静電回収体の電位を上記同極性の値又は電気的な接地にすることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置であって、上記像担持体上のトナー像が直接あるいは中間転写体を介して転写せしめられたシート材に対して、加熱部材を接触させて該トナー像を定着せしめる定着手段を備え、且つ、該加熱部材を所定の温度まで昇温せしめるために必要な昇温期間中に上記電圧切替手段が上記静電回収体の電位を上記同極性の値又は接地にすることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの画像形成装置であって、上記像担持体が所定時間累積して表面無端移動する毎に、上記電位切替手段が上記静電回収体の電位を上記同極性の値又は接地にすることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至5の何れかの画像形成装置であって、上記像担持体上にトナー像を形成するためのトナーとして、粒子の平均円形度が1.0〜0.96であるものを用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至5の何れか、又は請求項7の画像形成装置であって、上記像担持体として、アモルファスシリコンからなる表層が形成されたものを備えることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至5の何れか、又は請求項7若しくは8の画像形成装置であって、上記像担持体として、粒子状物質を含有する表層が形成されたものを備えることを特徴とするものである。
【0008】
これらの画像形成装置においては、クリーニング手段が柔軟に撓み得る起毛を被クリーニング体たる像担持体に摺擦させることで、ブレード部材を当接させるブレード方式に比べて像担持体の摩耗を抑えることができる。また、像担持体に確実に摺擦する起毛摺擦体によってトナーを確実に捕捉した後に、静電回収体によって静電的に回収することで、小径の球形トナーでも良好にクリーニングすることができる。更には、表面を無端移動させている静電回収体の電位を電位切替手段によって所定のタイミングで切り替えることで、該静電回収体とトナーとの静電的な付着力を弱めたり、両者を静電的に反発させたりすることが可能である。このようにして静電回収体からのトナー離れを定期的に促せば、除去手段による該静電回収体上のトナー除去をより良好に行うことができる。そして、このことにより、静電回収体上における残留トナー量の経時的な増加を抑えて、トナーを長期に渡って良好にクリーニングすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した一実施形態について説明する前に、参考形態のプリンタについて説明する。
図1は参考形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、像担持体たるドラム状の感光体1の周りに、帯電ローラ等の帯電手段2、現像手段3、転写チャージャ等の転写手段4、クリーニング手段5、除電ランプ等の除電手段6などを備えている。また、感光体1の図中左側方に配設された定着手段7や、図示しない光書込手段なども備えている。
【0010】
上記感光体1は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに200[mm/sec]の線速で回転駆動されながら、その表面(周面)が帯電手段2によって一様帯電せしめられる。そして、図示しないパーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像情報に基づいて駆動する上記光書込手段から発せられたレーザー光Lによって光走査されて、静電潜像を担持する。この静電潜像は、感光体1の回転に伴って上記現像手段3との対向位置を通過する際に、トナーが静電的に付着せしめられてトナー像に現像される。そして、感光体1と上記転写手段4との対向位置である転写位置に送られる。一方、図示しない給紙手段は、シート材たる転写紙Pを感光体1上のトナー像に重ね合わせ得るタイミングを見計らって転写位置に向けて送り出す。転写位置で転写紙Pに重ね合わされたトナー像は、転写手段4と感光体1との間に形成される転写電界の作用によって転写紙P上に静電的に転写される。回転駆動に伴って転写位置を通過した感光体1は、クリーニング手段5によって転写残トナーがクリーニングされた後、除電手段6によって残留電荷が取り除かれて初期化せしめられる。
【0011】
トナー像が転写された転写紙Pは、加圧ローラ7aと、図示しない発熱源を有する加熱ローラ7bとを当接させながら、それぞれを互いの当接部で順方向に表面移動させるように回転させる定着手段7内に送られる。そして、両ローラに挟まれながら加圧及び加熱されて定着手段7を出た後、図示しない排紙路を経由して機外に排出される。この加圧及び加熱の作用により、トナー像が転写紙Pに定着する。
【0012】
参考形態に係るプリンタは、トナーとして、マイナス帯電性のものを用いるようになっている。また、いわゆる反転現像方式を実施するように構成されている。この反転現像方式とは、感光体1の地肌部(非画像領域)と潜像部とを共にトナーと同極性の電位にし、且つ、地肌部の電位を潜像部よりも大きな値(同極性側に)にする方式である。本プリンタでは、感光体1の表面が帯電手段2によって−700[V]に一様帯電せしめられた後(地肌部)、レーザー光の照射を受けた潜像部の電位が約−50[V]まで減衰する。現像手段3の現像ローラには、この一様帯電電位と潜像部電位との間の値の現像バイアスが印加される。なお、これら一様帯電電位、潜像部電位、現像バイアスの値が、それぞれ例示したものに限られないことは言うまでもない。また、いわゆる正規現像方式を採用したり、反転現像方式でプラス帯電性のトナーを用いたりしてもよい。
【0013】
図2は、上記クリーニング手段5を示す拡大構成図である。感光体1上の転写残トナーは、感光体1の回転に伴ってクリーニング手段5のケーシングに設けられたシール部材55と感光体1表面との間をすり抜けて、感光体1と後述するファーブラシ51との接触位置であるクリーニング位置に到達する。クリーニング手段5は、ローラ状の芯材の表面に無数の起毛たるブラシが植毛されたファーブラシ51と、回収ローラ52と、スクレーパ部材53と、搬送手段54とを有している。ファーブラシ51は、ブラシの先端側を感光体1に接触させながら接触部で感光体1表面とは逆方向に移動させるように、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動せしめられる。そして、感光体1表面に摺擦するブラシによって転写残トナーを捕捉する。回収ローラ52は、感光体1との間に起毛摺擦体たるファーブラシ51を挟み込むように配設されている。そして、ファーブラシのブラシに接触する表面を接触部でブラシとは逆方向に移動させるように、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動せしめられる。板状のスクレーパ部材53は、その先端のエッジを所定の圧力で回収ローラ52に当接させるように配設されている。また、搬送手段54は、スクレーパ部材53の重力方向下側に配設されている。
【0014】
上記回収ローラ52には電位切替手段10が接続されており、これによって回収ローラ52の電位が切り替えられるようになっている。通常のクリーニングにおいては、トナーとは逆極性であるプラスのクリーニングバイアスが電位切替手段10によって回収ローラ52に印加される。ファーブラシ13は電気的にフロート状態になっているが、そのブラシには導電性繊維等の導電性材料が用いられている。そして、クリーニングバイアスが印加される回収ローラ52に接触することで、ブラシがクリーニングバイアスよりも若干小さい(絶対値で)電位になる。ブラシもトナーと逆極性のプラスの電位になるのである。このことにより、感光体1表面の転写残トナーは、摺擦するブラシによって機械的に捕捉されることに加えて、静電的にも捕捉されるようになるため、クリーニング効率がより向上する。回収ローラ52に対するクリーニングバイアスの印加は、感光体1の回転開始後に上記帯電手段2が駆動を開始するタイミングに同期して開始されるようになっている。
【0015】
上記ファーブラシ51に捕捉された転写残トナーは、ファーブラシ51の回転に伴って回収ローラ52との接触位置に到達する。そして、ファーブラシ51よりも大きい電位(トナーとは反対極性のプラス側に)になっている回収ローラ52表面に転移した後、回収ローラ52の回転に伴ってスクレーパ部材53のエッジに突き当たって掻き取られる。掻き取られた転写残トナーは、重力によって搬送手段54上に落下する。そして、搬送手段54の駆動によってクリーニング手段54の外部の図示しない廃トナー収容器やリサイクルトナー収容器などへ搬送される。
【0016】
上記ファーブラシ51のブラシに用いられる導電性材料としては、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの樹脂材にカーボン等の導電材料を添加したものや、導電材料を表面コートしたものなどが挙げられる。ブラシ形状である程度の可撓性を発揮する導電性材料であれば、これら以外のものであってもよい。また、上記回収ローラ52としては、ステンレスなどからなる金属ローラや、芯金に導電層を被覆したローラなどが挙げられる。また、表面の静止摩擦係数を下げるべく、フッ素系樹脂からなる表面層がコートされたり、フッ素系樹脂が少なくとも表面層に分散されたり金属と共析メッキされたりしたものでもよい。また、上記スクレーパ部材53の材料としては、ナイロン系シート材やポリウレタンゴムブレードなどが挙げられる。また、上記搬送手段54としては、回転駆動する搬送スクリューや、吸引ポンプなどが挙げられる。
【0017】
上記電位切替手段10は、回転駆動されている回収ローラ52の電位を所定のタイミングで切り替えるように構成されている。具体的には、上記クリーニングバイアスよりもトナーと同極性側(プラス側)に大きくなる除電バイアスに切り替える。例えば、+100[V]のクリーニングバイアスから+50[V]の除電バイアスに切り替えたり、+100[V]のクリーニングバイアスから−100[V]の除電バイアスに切り替えたりするのである。この切り替えにより、静電回収体たる回収ローラ52と転写残トナーとの静電的な付着力が弱まったり、両者が静電的に反発したりするようになる。そして、回収ローラ52からのトナー離れが促されて、回収ローラ52上の転写残トナーが除去手段たるスクレーパ部材53に確実に除去される。よって、回収ローラ52上における残留トナー量の経時的な増加が抑えられて、トナーが長期に渡って良好にクリーニングされる。なお、クリーニングバイアスや除電バイアスとして直流電圧を印加する例について説明したが、直流電圧に交流電圧を重畳して印加してもよい。
【0018】
次に、本発明を適用していない従来のプリンタについて説明する。
図12は、従来のプリンタのクリーニング手段を示す拡大構成図である。このプリンタは、クリーニング手段5の回収ローラ52の電位を切り替える上述の電位切替手段(10)を備えていない点が、参考形態に係るプリンタと異なる。図示のクリーニング駆動モータ22は、クリーニング手段5のファーブラシ51、回収ローラ52及び搬送手段54の駆動源であり、これらに伝達するための駆動力を発揮することで、クリーニング手段5に対してクリーニング動作を行わせる。クリーニング駆動モータ22が駆動しなければ、当然ながら回収ローラ52は回転駆動しない。回収ローラ52には、スイッチング回路21を介してバイアス電源回路20に接続されている。このスイッチング回路21はプリンタ本体の制御部11の制御によって入り切りされる。制御部11は、クリーニング駆動モータ22の駆動によってクリーニング手段5にクリーニング動作を行わせているときには、上述の帯電手段(2)の駆動開始に同期してスイッチング回路21の接点を入れる。これにより、バイアス電源回路20と回収ローラ52とが導通して、回収ローラ52に対してトナーとは逆極性のクリーニングバイアスが印加される。一方、制御部11は、クリーニング手段5のクリーニング動作を停止させているときには、スイッチング回路21の接点を切って、回収ローラ52に電気的にフロート状態にする。クリーニング動作を行わせているときに、スイッチング回路21の接点を切るような制御は実施しない。よって、従来のプリンタにおいて、回転に伴って表面を無端移動させている回収ローラ52の電位は、ほぼクリーニングバイアスの値になっており、回収ローラ52の回転中に値が切り替わるようなことはなかった。
【0019】
本発明者らは、かかる構成の従来のプリンタのクリーニング条件を次のように設定した。
・クリーニングバイアス:DC100[V]
・回収ローラ52:直径10[mm]のステンレスローラ
・ファーブラシ51のブラシ電気抵抗:108[Ω・cm]
・ファーブラシ51の植毛密度:10万本/inch2
・回収ローラ52に対するスクレーパ部材53の当接角度:20[°]
・回収ローラ52へのスクレーパ部材53の食い込み量1[mm]
・スクレーパ部材53の材質:ポリウレタンゴム
【0020】
かかるクリーニング条件を具備する従来のプリンタについて、次のようなクリーニング性試験(以下、試験1という)を実施してみた。即ち、互いに異なる性状の2種類の球形トナーを用いて所定の大きさのベタ画像を200,000枚の転写紙にプリントアウトした。このとき、10,000枚、100,000枚、200,000枚プリントアウト毎に、回収ローラ52からのトナーの除去性を目視にて確認した。この試験結果を次の表1に示す。
【表1】
【0021】
表1に示すように、円形度0.90の球形トナーでは、ベタ画像を転写紙100,000枚にプリントアウトしても回収ローラ52からのトナー除去不良が認められなかった。しかし、200,000枚の転写紙にプリントアウトすると、回収ローラ52にスジ状のトナー除去不良が発生してしまった。また、円形度0.99の球形トナーでは、ベタ画像を転写紙10,000枚にプリントアウトしただけで、回収ローラ52にスジ状のトナー除去不良が発生してしまった。
【0022】
なお、本試験1に用いた体積平均粒径6[μm]の球形トナーは、現状の画像形成装置の分野においてかなり小径の部類のトナーであると言える。また、本試験ではクリーニング条件を上述のように設定したが、トナーの性状や作像条件の違いに応じて同様のクリーニング性能が発揮されるようにクリーニング条件の設定を変えたとしても、同様の結果になると考えられる。
【0023】
次に、上述の参考形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した参考例のプリンタについて説明する。
図3は参考例に係るプリンタの電位切替手段の電気回路を示すブロック図である。この電位切替手段10は、制御部11、切替スイッチ12、クリーニングバイアス電源回路13、除去バイアス電源回路14などを備えている。クリーニングバイアス電源回路13は、トナーとは逆極性のプラスのクリーニングバイアスを出力する。これに対し、除去バイアス電源回路14は、トナーと同極性のマイナスの除電バイアスを出力する。これら電源回路は、切替スイッチ12を介してクリーニング手段(5)の回収ローラ52に接続されている。切替スイッチ12は、回収ローラ52に対して何れか一方の電源回路だけを接続したり、いずれの電源回路にも接続しなかったりと、内部の導通路を切り替えることができ、この切り替えは制御部11によって制御される。この制御部11は、上記光書込手段や感光体(1)など、クリーニング手段(5)以外の機器を制御するプリンタ本体の制御手段も兼ねている。制御部11には、切替スイッチ12の他、クリーニング駆動モータ22が接続されている。また、図示しない感光体駆動モータ、帯電手段(2)、現像手段(3)、転写手段(4)、除電手段(6)などにも接続されている。
【0024】
上記制御部11が切替スイッチ12を制御して回収ローラ52にプラスのクリーニングバイアスを印加すると、ステンレス製の回収ローラ52の表面電位はクリーニングバイアスとほぼ同じ値になる。また、上記ファーブラシ(51)の導電性の各ブラシがプラス極性で且つクリーニングバイアスよりも若干低めの電位になる。一方、転写前までトナー像を担持していた感光体領域(画像履歴領域)は、上述のようにトナーと同極性のマイナス電位になっている(−50V)。よって、回収ローラ52にクリーニングバイアスが印加されると、マイナス電位の画像履歴領域に付着していたマイナス極性の転写残トナーが、ファーブラシ(51)に掻き取られながら各ブラシのプラス電位に引かれて捕捉される。そして、ブラシの回転に伴って回収ローラ52との接触位置まで移動すると、ブラシよりもトナーと同極性のプラス側に高い電位になっている回収ローラ52に静電移動して回収される。
【0025】
一方、上記制御部11が切替スイッチ12を制御して回収ローラ52にマイナスの除電バイアスを印加すると、ステンレス製の回収ローラ52の表面電位は除電バイアスとほぼ同じ値になる。すると、それまで回収ローラ52に堆積していたマイナス極性の転写残トナー(以下、堆積トナーという)と、マイナス電位の回収ローラ52とに静電的な反発力が生ずる。そして、回収ローラ52からのトナー離れが促され、それまで上記クリーニングブレード(53)に上手く掻き取られなかった堆積トナーが掻き取られて除去されるようになる。
【0026】
図4は、図3に示した電位切替手段10の変形例の電気回路を示すブロック図である。この変形例では、上記除電バイアス電源回路(13)の代わりに、接地回路が設けられている。回収ローラ52を電気的に接地することで、回収ローラ52と転写残トナーとの静電的な付着力を解除してトナー離れを促すのである。除電バイアス電源回路を設けないことで低コスト化を図ることができる。一方、図3に示した電位切替手段10では、除電バイアス電源回路14を付設することでコスト高になるが、除電バイアスの印加によって回収ローラ52と転写残トナーとを反発させるので、より確実にトナー離れを促すことができる。
【0027】
参考例に係るプリンタは、転写前までトナー像を担持していた感光体領域である画像履歴領域がクリーニング位置に進入しているときには、常に回収ローラ52にクリーニングバイアスを印加して転写残トナーのクリーニングを促す。この一方で、感光体1の非画像領域がクリーニング位置に進入しているときには、任意のタイミングで回収ローラ52を除電バイアスの電位にするか、あるいは接地して回収ローラ52からの堆積トナーの除去を促す。このことにより、画像履歴領域とブラシとの接触時に回収ローラ52からのトナー離れを促してしまうことによるクリーニング不良を回避しながら、非画像領域とブラシとの接触時に回収ローラ52上の堆積トナーを除去することができる。
【0028】
なお、電位切替手段(10)の制御手段として、プリンタ本体の制御を兼ねる制御部(11)を設けた例について説明したが、プリンタ本体とは別に、電位切替手段(10)専用のものを設けてもよい。また、本プリンタは、図2に示したクリーニング手段(5)が、感光体(1)をクリーニングする唯一の手段であり、ブレード方式のクリーニング手段を備えていない。
【0029】
次に、参考例に係るプリンタに更なる特徴的な構成を付加した、本発明に係る各実施形態のプリンタについて説明する。
[実施形態1]
図5は、本実施形態1に係るプリンタの回収ローラ52の電位変化と、クリーニング位置における感光体領域の変化とを示すタイミングチャートである。この図では、3枚の転写紙Pに対するプリントアウトが連続的に行われる例が示されている。本プリンタにおいて、図示しないスキャナやパーソナルコンピュータから画像情報が送られてくると、まず、プレ駆動が開始する。このプレ駆動とは、上記感光体(1)に対する光書込が開始されるのに先立って、感光体、帯電手段(2)、現像手段(3)、クリーニング手段(4)、除電手段(6)などの駆動が開始されることである。このとき、上記回収ローラ(52)には、従来のプリンタと同様にクリーニングバイアスが印加される。本例では、+100[V]のクリーニングバイアスが印加される。
【0030】
上記プレ駆動が開始されてしばらくすると、基準タイミングが決定される。画像形成プロセスにおける各種の時間設定は、この基準タイミングに基づいてなされる。例えば、上記感光体(1)に対する光書込開始のタイミング、上記転写位置に転写紙Pを送り込むタイミングなどが、この基準タイミングに基づいて決定されるのである。そして、基準タイミングから初期タイムラグt1が経過すると、クリーニング位置に対して感光体(1)の紙領域が進入し始める。この紙領域は、クリーニング位置よりも前段の転写位置において転写紙Pに対向(あるいは密着)していた感光体領域である。クリーニング位置に対する紙領域通過時間t2は、当然ながら、使用される転写紙Pのサイズに応じて異なってくる。但し、連続的なプリントアウトがなされるときには、全て同じサイズの転写紙Pが使用されるので、各紙領域通過時間t2が同じ値になる。
【0031】
上記紙領域は、トナー像を担持していた画像履歴領域を含んでいる。このため、感光体(1)の紙領域には、少なくともその一部に転写残トナーが付着している。このように転写残トナーが付着している紙領域がクリーニング位置に進入しているときには、図示のように、+100[V]のクリーニングバイアスが引き続き回収ローラ(52)に印加されている。よって、マイナス極性の転写残トナーがクリーニング手段(5)のファーブラシ(51)に良好に捕捉される。
【0032】
1枚目の転写紙Pに対応する紙領域の後端がクリーニング位置を通過すると、クリーニング位置には紙間領域が進入する。この紙間領域とは、先行する紙領域と、後続の紙領域との間の非画像領域である。この紙間領域がクリーニング位置に進入を開始するタイミングで、回収ローラ(52)に印加される電圧がクリーニングバイアスから、−100[V]の除去バイアスに切り替えられる。これにより、回収ローラ(52)からの堆積トナーの除去が促される。なお、本実施形態1に係るプリンタにおいては、転写紙Pのサイズに関係なく、紙間領域が120[mm]に設定される。感光体(1)の線速が200[mm/sec]であるので、クリーニング位置に対する紙間領域の通過時間は0.6[sec]となる。
【0033】
クリーニング位置において、このようにして1枚目の転写紙Pに対応する紙領域とこれに続く紙間領域とが順次通過すると、続いて2枚目の転写紙Pに対応する紙領域が進入を開始する。この進入のタイミングに同期して、回収ローラ(52)に対する印加電圧がクリーニングバイアスに戻される。そして、2枚目の転写紙Pに対応する紙領域に付着している転写残トナーが良好にクリーニングされる。
【0034】
2枚目の転写紙Pに対応する紙領域がクリーニング位置に進入し始めてから紙領域通過時間t2が経過すると、クリーニング位置には2枚目と3枚目の間の紙間領域が進入を開始する。この進入に同期して、回収ローラ(52)に対する印加電圧がクリーニングバイアスから除去バイアスに切り替えられ、回収ローラ(52)からの堆積トナーの除去が促される。そして、3枚目の転写紙Pに対応する紙領域がクリーニング位置に進入し始めるタイミングに同期して、回収ローラ(52)に対する印加電圧がクリーニングバイアスに戻される。なお、回収ローラ(52)は、上述のプレ駆動開始から、一連のプリントジョブが終了するまでの間、継続して回転駆動される。よって、回収ローラ(52)の回転時に回収ローラ(52)の電位が切り替えられている。
【0035】
図6は、上記電位調整手段(10)の構成要素であり、且つ本プリンタ全体の制御手段を兼ねる上記制御部(11)によって実施されるクリーニング処理の制御フローを示すフローチャートである。上記画像情報が送られてきたことに基づいてこのクリーニング処理がスタートすると、まず、上述のプレ駆動が開始され、回収ローラ(52)にクリーニングバイアスが印加される(ステップ1:以下、ステップを「S」と記す)。そして、上記画像情報に基づいて転写紙Pのサイズである紙サイズSと、プリント枚数nとが取得される(S2、S3)。次に、プリント枚数nについて、「2枚」以上であるか否かが判断される(S4)。
【0036】
プリント枚数nが2枚未満、即ち1枚である場合には、紙間領域は形成されない。そこで、この場合(S4でN)には、制御フローが後述のS18にループして、バイアスの切り替えが行われることなく、プリントアウトが終了する。
【0037】
一方、2枚以上である場合には、紙間領域が形成されることになる。そこで、この場合(S4でY)には、まず、上述の初期タイムラグt1(図4参照)が演算された後(S5)、先に取得された紙サイズSに基づいて紙領域通過時間t2が演算される。そして、後の各種タイミングの決定時に比較対照として用いられる時間変数Txが「t1+t2」にセットされた後(S7)、上述の基準タイミングが到来するまで待機される(S8)。基準タイミングが到来すると(S8でY)、すぐに計時処理がスタートする(S9)。そして、計時結果Tcが時間変数Txと同じ値になるまで待機される(S10)。ここで、計時結果Tcが時間変数Txになるタイミング(S10でY)は、初めの紙間領域がクリーニング位置に進入を開始するタイミングである。よって、このタイミングで回収ローラ(52)に対する印加電圧が除電バイアスに切り替えられる(S11)。そして、計時結果Tcが「時間変数Tx+0.6秒(紙間領域通過時間)」になるまで待機される(S12)。計時結果Tcが「時間変数Tx+、0.6秒」になるタイミング(S12でY)は、紙間領域に続く紙領域がクリーニング位置に進入を開始するタイミングである。よって、このタイミングで印加電圧がクリーニングバイアスに戻される(S13)。そして、プリント枚数nから1が減じられた後、「n=1」であるか否か、即ち、残りのプリント数について1枚であるか否かが判断される(S15)。残りのプリント数が1枚でない場合(S15でN)、即ち、2枚以上である場合には、その一連のプリントジョブ中に形成される複数の紙間領域のうち、クリーニング位置を通過していないものがまだ残っていることになる。そこで、時間変数Txが「Tx+0.6秒+t2」に更新された後(S16)、一連の制御フローが上述のS10にループする。これにより、その後のS10において、次の紙間領域がクリーニング位置に進入を開始するタイミングまで待機される。
【0038】
上記S15において、残りのプリント数が1枚であると判断された場合(S15でY)には、そのプリントジョブ中の紙間領域が全てクリーニング位置を通過したことになる。そこで、最後の転写紙Pのプリントアウトが待機された後(S17)、各機器の駆動が停止されて(S18)一連のクリーニング処理が終了する。この駆動停止の際、当然ながら、回収ローラ(52)に対する電圧の印加も停止される。
【0039】
このように、本実施形態1に係るプリンタでは、感光体(1)の非画像領域の中でも、特に紙間領域がクリーニング位置に進入しているときに、除電バイアスの印加によって回収ローラ(52)からのトナー除去を促すようになっている。かかる構成では、回収ローラに除電バイアスを印加するタイミングとして、クリーニング位置に紙間領域が進入している時を利用することで、特別な期間を設けることなく、回収ローラ上からのトナー除去を促すことができる。また、連続プリントジョブ中には、転写紙Pへの転写が1枚終わる毎に、回収ローラ上からのトナー除去を促して、堆積トナーによるクリーニング不良を抑えることができる。
【0040】
本発明者らは、本実施形態1に係るプリンタを試作してクリーニング試験を実施してみた。このときのクリーニング条件については、紙間領域で除電バイアスを印加する点の他は、上記試験1と同様にした。試験結果を次の表2に示す。
【表2】
【0041】
表2に示すように、円形度0.90の球形トナーを用いた場合には、200,000枚の転写紙Pにベタ画像をプリントアウトしても、回収ローラ(52)にスジ状のトナー除去不良を発生させることがなかった。また、より除去性の悪くなる円形度0.99の球形トナーを用いた場合でも、100,000枚のプリントアウトでようやくクリーニング不良が認められるようになった。先に示した表1と比較すると、回収ローラ(52)からのトナー除去性を大幅に向上させていることがわかる。
【0042】
感光体(1)において、帯電手段(2)によって−700[V]に一様帯電せしめられた後、レーザー光による光書込を受けなかった部分が非画像領域となるが、この非画像領域の電位がクリーニング位置に至るまで−700[V]のままであるとは限らない。例えば、連続プリントジョブ中においては、少なくとも1枚目の転写紙Pに対する転写が開始される直前から、最後の転写紙Pに対する転写が完了した直後まで、転写手段(4)が感光体(1)側に向けてプラスの電荷を作用させる。転写手段(4)に直接対向あるいは直接密着する紙間領域は、このプラスの電荷の影響を受けてマイナス電位を減衰させることになる。本発明者らが試作機におけるクリーニング位置に進入する直前の紙間領域の電位を測定したところ、−450[V]であった。
【0043】
さて、上述のように、紙間領域がクリーニング位置に進入しているときには、回収ローラ(52)の電位がほぼ−100[V]になり、ファーブラシ(51)の電位をこれよりも若干小さめの値になる。ファーブラシ(51)の電位が紙間領域よりもトナーとは逆極性側に大きくなるのである。よって、紙間領域とファーブラシ(51)とは、それぞれトナーと同極性の電位を帯びるが、その値はファーブラシ(51)の方が小さくなる。このことにより、除電バイアスの印加中にファーブラシ(51)中の転写残トナーをクリーニング位置まで戻したとしても、それを静電的にファーブラシ(51)中に拘束して、ブラシから感光体(1)へのトナー戻りを抑えることができる。なお、電位切替手段(10)について、図3に示した除電バイアスによってトナー除去を促すものに代えて、図4に示した接地によってトナー除去を促すものを用いても、同様にしてトナー戻りを抑えることができる。−450[V]の紙間領域と、接地されているファーブラシ(51)との間で、トナーを静電的にファーブラシ(51)中に拘束するからである。
【0044】
試作機においては、回収ローラ(52)として直径10[mm]のものを用い、これを150[mm/sec]の線速で回転させた。このときの回収ローラ(52)の1回転時間は約0.21[sec]である。一方、上述のように、紙間領域のクリーニング位置通過に要する時間は0.6[sec]であり、このときに回収ローラ(52)に除電バイアスが印加される。除電バイアスの印加開始から回収ローラ(52)の表面電位をほぼ−100[V]で飽和させるまでの立ち上がり時間を本発明者らが測定したところ、0.001[sec]であった。よって、試作機では、回収ローラ(52)の1回転に要する時間以上に継続して、回収ローラ(52)の表面電位をマイナス極性にしている。かかる構成では、回収ローラ(52)の表面の全周に対してトナー除去の促進を確実に図ることができる。
【0045】
なお、プリンタ本体の制御を兼ねる制御部(11)によって、紙間領域通過タイミングを演算させる例について説明したが、これ以外の制御手段でもそのタイミングを取得させることが可能である。例えば、制御部とは別に電位切替手段(10)専用の制御手段を設けても、それに紙間領域通過タイミングを取得させることが可能である。転写位置に送られる途中の転写紙Pを検知する紙検知センサによって紙進入タイミングや紙サイズを検知させるなどすればよい。紙間領域通過タイミングに限らす、後述する他の実施形態で利用される各種のタイミングについても、同様である。
【0046】
図7は、参考例2に係るプリンタの回収ローラ(52)の電位変化と、クリーニング位置における感光体領域の変化とを示すタイミングチャートである。この図では、3枚の転写紙Pに対するプリントアウトが連続的に行われる例が示されている。本プリンタにおいて、図示しないスキャナやパーソナルコンピュータから画像情報が送られてくると、まず、プレ駆動が開始される。このとき、上記回収ローラ(52)には、従来のプリンタと同様にクリーニングバイアスが印加される。本例でも、+100[V]のクリーニングバイアスが印加される。
【0047】
上記プレ駆動が開始されてしばらくすると、基準タイミングが決定され、それから初期タイムラグt1が経過すると、1枚目の転写紙Pに対応する紙領域がクリーニング位置に進入し始める。そして、紙間領域、2枚目の転写紙Pに対応する紙領域、紙間領域、3枚目の転写紙Pに対応する最後の紙領域がクリーニング位置を順次通過する。最後の紙領域がクリーニング位置を通過する直前まで、回収ローラ(52)にはクリーニングバイアスが印加され続ける。そして、最後の紙領域に続く非画像領域がクリーニング位置に進入を開始するのに同期して、回収ローラ(52)に−100[V]の除去バイアスが印加され、回収ローラ(52)からのトナー除去が促される。
【0048】
図8は、本プリンタの上記制御部(11)によって実施されるクリーニング処理の制御フローを示すフローチャートである。上記画像情報が送られてきたことに基づいてこのクリーニング処理がスタートすると、まず、上述のプレ駆動が開始され、回収ローラ(52)にクリーニングバイアスが印加される(S1)。そして、上記画像情報に基づいて転写紙Pのサイズである紙サイズSと、プリント枚数nとが取得された後、初期タイムラグt1が演算される(S2、S3、S4)。次に、紙サイズSに基づいて紙領域通過時間t2が演算された後(S5)、時間変数Txが「t1+n×t2+(n−1)×0.6秒」にセットされる(S6)。このようにセットされた時間変数Txは、先に図7に示したように、基準タイミングから、最後の転写紙Pに対応する紙領域がクリーニング位置を通過するまでの時間に相当する。
【0049】
時間変数Txがセットされると、次に、基準タイミングが到来するまで待機された後(S7)、すぐに計時処理がスタートする(S8)。そして、計時結果Tcが時間変数Txと同じ値になるまで待機された後(S9)、回収ローラ(52)に対する印加電圧が、クリーニングバイアスから除電バイアスに切り替えられる(S10)。これにより、最後の転写紙Pに対応する紙領域がクリーニング位置を通過した直後に回収ローラ(52)からのトナー除去が促される。除電バイアスが印加されている除電処理時間はTαであるが(S11、S12)、これは回収ローラ(52)の1回転時間(約0.21sec)よりも長く設定されている。よって、本プリンタにおいても、実施形態1に係るプリンタと同様に、回収ローラ(52)の表面の全周に対してトナー除去の促進を確実に図ることができる。
【0050】
除電処理時間Tαが経過すると(S11でY)、回収ローラ(52)に対するバイアスがOFFされた後(S12)、排紙終了まで待機される(S13)。そして、各機器の駆動が停止されて(S14)一連のクリーニング処理が終了する。
【0051】
このように、本プリンタでは、非画像領域の中でも、特に最後の転写紙Pに対応する紙領域に続く非画像領域がクリーニング位置に進入しているときに、回収ローラ(52)からのトナー除去を促すようになっている。かかる構成では、一連のプリントジョブ毎に、その終了間際でトナー除去を促すことができる。また、プロセス線速がかなり早く設定される高速プリントモードなどで、紙間領域では回収ローラ(52)1回転分の除去処理時間が確保できない場合でも、ジョブ終了間際で確実に1回転分の除去処理を行うことができる。
【0052】
本プリンタでは、最後の転写紙Pが転写位置を通過した直後に転写手段(4)の駆動が停止される。よって、感光体(1)において、最後の転写紙Pに対応する紙領域に続く非画像領域は、転写手段(4)からの電荷の影響を受けない。本発明者らが試作機におけるこの非画像領域について、クリーニング位置に進入する直前の電位を測定したところ、−650[V]であった。回収ローラ(52)に除電バイアスが印加されるときに、−650[V]の非画像領域と、−100[V]よりも若干小さめ電位になっているファーブラシ(51)とがクリーニング位置で接触していることになる。よって、除電バイアスの印加中にファーブラシ(51)中の転写残トナーをクリーニング位置まで戻したとしても、それを静電的にファーブラシ(51)中に拘束して、ブラシから感光体(1)へのトナー戻りを抑えることができる。なお、電位切替手段(10)について、図3に示した除電バイアスによってトナー除去を促すものに代えて、図4に示した接地によってトナー除去を促すものを用いても、同様にしてトナー戻りを抑えることができる。
【0053】
実施形態1や参考例2において、ブラシに接触している非画像領域の電位と同じか、あるいはトナーとは逆極性側に大きい値の除電バイアスを回収ローラ(52)に印加すれば、非画像領域へのトナー戻りを抑えることができる。例えば、実施形態1では、ブラシに接触している非画像領域の電位が上述のように−450[V]になる。このとき、回収ローラ(52)に−450[V]か、あるいはこれよりも逆極性側に大きい値(例えば−449V)の除電バイアスを印加すればよいのである。そうすると、ファーブラシ(51)の電位は、確実に非画像領域よりも逆極性側に大きな値になるので、トナーがブラシ中に静電的に拘束されるのである。ファーブラシを電気的にフロート状態にする場合には、このように除電バイアスの調整によってトナー戻りを抑えることができる。また、除電バイアスとは別にファーブラシ(51)に戻り抑制バイアスを印加してもよい。例えば、参考例2においては、−650[V]よりも逆極性側に大きな抑制バイアスを印加するのである。そうすれば、除電バイアスの値に関係なく、トナー戻りを抑えることができる。これに対し、除電バイアスを非画像領域よりも同極性側に大きくしてしまうと、トナー戻りを助長するおそれがある。例えば、実施形態1において除電バイアスの値を−500[V]にすると、ファーブラシ(51)の電位を−450[V]よりも大きな値にして、ファーブラシ(51)から非画像領域へのトナー転移を助長するおそれがある。
【0054】
参考例3に係るプリンタは、先に図1に示したように、シート材たる転写紙Pに対して加熱部材たる加熱ローラ7bを接触させてトナー像を定着せしめる定着手段7を備えている。このような定着手段を備えるものでは、主電源がONされた直後や、加熱部材の熱源への電源供給が停止される待機期間の直後において、ウオーミングアップ期間が必要になる。このウオーミングアップ期間とは、加熱部材への電源供給を開始してそれを所定温度まで昇温せしめるまでの期間であり、プリント命令が受け付けされないか、又は受け付けされたとしてもプリント動作が開始されないようになっている。
【0055】
参考例3に係るプリンタでは、このウオーミングアップ期間に、少なくとも感光体1、帯電手段2、及びクリーニング手段5を駆動しながら、回収ローラ52の電位を除電バイアス又は接地にしてトナー除去処理を行うようになっている。かかる構成では、定着不良を回避すべくプリント動作の開始が禁止されるウオーミングアップ期間を有効利用して、回収ローラ52からのトナー除去を促すことができる。また、ウオーミングアップ毎に、トナー除去を促してクリーニング不良を抑えることもできる。
【0056】
なお、トナーと磁性キャリアとを含むいわゆる二成分現像剤を用いる画像形成装置では、ウオーミングアップ期間を利用して次のような目標値補正を行うのが一般的である。即ち、感光体1等の像担持体上に基準トナー像を形成し、これに対するトナー付着量に基づいて、二成分現像剤への補給トナー量を決定するため目標値を補正するのである。この目標値とは、例えば二成分現像剤中のトナー濃度に相関する透磁率センサの出力目標値である。透磁率センサ出力値をこの出力目標値に近づけるようにトナー補給量を制御することで、二成分現像剤中のトナー濃度を一定範囲に維持することができる。このような目標値補正を行う場合には、クリーニング前の像担持体に基準トナー像を担持させていた領域が画像履歴領域となる。よって、この画像履歴領域とファーブラシ51とを接触させていないときに、回収ローラ52に除電バイアスを印加する必要がある。
【0057】
図9は、参考例4に係るプリンタの上記制御部(11)によって実施されるクリーニング処理の制御フローを示すフローチャートである。上記画像情報が送られてきたことに基づいてこのクリーニング処理がスタートすると、まず、プレ駆動の開始によって回収ローラ(52)にクリーニングバイアスが印加された後(S1)、累積計時Acが再開される。この累積計時Acとは、感光体(1)の駆動時間を累積的に計時するための処理であり、前回のプリントジョブまでの累積計時結果が今回の計時初期値になる。
【0058】
累積計時Acがスタートすると、そのプリントジョブにおける最後の転写紙Pが排紙されるまで待機された後(S3)、累積計時Acについて60分以上になったか否かが判断される(S4)。そして、60分未満である場合には(S4でN)、制御フローがS9にループして、各機器の駆動が停止された後に(S9)、累積計時Acが中断されて(S10)一連のクリーニング処理が終了する。一方、60分以上である場合には(S4でY)、累積計時Acがゼロにリセットされてからその計時が継続された後(S5)、回収ローラ(52)に対する印加電圧が除電バイアスに切り替えられる。そして、累積的な計時ではないスポット計時Scがスタートして(S7)、30秒経過するまで待機された後(S8)、上述のS9以降の制御が行われる。
【0059】
以上のクリーニング処理では、感光体(1)が60分間累積して回転駆動する毎に、そのときのプリントジョブ終了間際に回収ローラ(52)の電位切替(除電バイアス又は接地)が行われてトナー除去が30秒間促される。このことにより、感光体(1)の累積駆動に伴って堆積トナーが所定量まで累積的に増加する前に、堆積トナーの除去を所定時間だけ集中的に促して、クリーニング性能を回復させることができる。また、実施形態1や参考例2のクリーニング処理と組み合わせれば、紙間領域通過期間やジョブ終了間際だけでのバイアス切替ではトナー除去が不十分な場合であっても、所定期間毎に堆積トナーを集中して除去することができる。
【0060】
[実施形態2]
本実施形態2に係るプリンタは、実施形態1に係るプリンタと同様のクリーニング処理を行う。但し、回収ローラ(52)として、その表面の静止摩擦係数μを0.3以下(小数点以下第2位を四捨五入した値)に調整したものを用いている点が、実施形態1に係るプリンタと異なる。かかる回収ローラ(52)を用いるのは次の理由による。即ち、本発明者らは、静止摩擦係数μが0.19、0.23、0.35、0.51に調整された4種類の回収ローラについて、それぞれトナー除去性を個別に試験してみた。具体的には、トナー付着量が0.7[mg/cm2]になるベタ画像をA4サイズの転写紙Pに縦方向で1,000枚プリントアウトした。トナーとしては粒径6[μm]で円形度0.99の球形トナーを用いた。そして、1,000枚プリントアウト後に回収ローラ(52)上の堆積トナーを透明テープに転写し、転写トナーが目視で容易に確認できないか、全く確認できないものを許容レベル(○)として評価した。また、透明テープに転写されたトナー粒子の個数をカウントし、100[個/1mm2]以上を許容できないレベル(×)として評価した。同様の評価を、10,000枚連続プリントアウト後についても行った。なお、本実施形態2におけるベタ画像の大きさは、実施形態1の試験におけるベタ画像よりも大きくなっている。この試験結果を次の表3に示す。
【表3】
【0061】
表3に示すように、1,000枚のプリントアウトでは何れの回収ローラ(52)も堆積トナー量が許容できるレベルであったが、10,000枚のプリントアウトでは、許容できないレベルの堆積トナー量となるものがあった。静止摩擦係数μが0.35の回収ローラと、0.51の回収ローラである。静止摩擦係数μが大きくなるほど、回収ローラ(52)上の堆積トナー量が多くなる結果となった。これは、静止摩擦係数μの大きなものほど、トナーとの離型性が悪くなるからと考えられる。良好なクリーニング性については、メンテナンス頻度などを考慮すると、10,000枚のプリントアウトを行うまでは維持したい。そこで、本発明者らは、0.34の静止摩擦係数μの回収ローラ(52)について新たに評価したところ、10,000枚のプリントアウト後における堆積トナー量がぎりぎり許容し得るレベルになった。よって、静止摩擦係数μを0.3以下に調整した回収ローラ(52)を用いるようにしたのである。
【0062】
[実施形態3]
本発明者らは、円形度0.90、0.96、0.99という3種類の球形トナーを用意した。これらの円形度については、「トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長/トナー粒子の投影像の周囲長」という公式にて求めた。そして、これら3種類のトナーについて転写性を試験してみた。具体的には、感光体(1)上のトナー像を転写紙Pにではなく、中間転写ベルト上に転写する試作機を用いて形成したベタ画像を中間転写ベルトに転写した。この転写については、中間転写ベルトを介して感光体(1)に当接する転写ローラに転写バイアスを印加することによって実施した。また、作像については、帯電条件や露光条件を一定にし、現像バイアスを各ベタ画像で単位面積あたりのトナー付着量が同じになるように適宜調節した。そして、中間転写ベルト上に転写される前のベタ画像中のトナー付着量M1と、中間転写体に転写されたベタ画像中のトナー付着量M2を吸引治具によって測定し、「M1−M2」にて転写残トナー量M3を算出した。このようにして、3種類のトナーのそれぞれについて、転写残トナー量M3と、転写バイアスとの関係を調べてグラフにしてみた。この結果を図10に示す。
【0063】
トナーの円形度が低くなるにつれて、転写残トナー量M3を多くすることがわかる。これは、円形度の高いトナーほど、クリーニング手段(5)によるクリーニング量を多くすることを示している。クリーニング量が多くなれば、当然ながらクリーニング手段(5)の負担が大きくなるので、円形度の小さいトナーほど、クリーニング手段(5)の長寿命化を図ることができる。図10を参照すると、円形度0.99や0.96の球形トナーでは、転写バイアスの値にそれほど左右されずに転写残トナー量M3を0.04[mg/cm2]未満に抑えていることがわかる。これに対し、円形度0.90の球形トナーでは、転写バイアスが約1800[V]を下回ると、転写残トナー量M3を急激に増加させてしまうことがわかる。
【0064】
本実施形態3に係るプリンタも、実施形態1に係るプリンタと同様のクリーニング処理を行う。但し、トナーとして、円形度0.96以上のトナーを用いる点が、実施形態1に係るプリンタと異なる。かかる構成の本プリンタにおいては、転写バイアスの値にかかわらず、転写残トナー量M3を低く抑えてクリーニング手段(5)の長寿命化を図ることができる。
【0065】
なお、「円形度0.96以上のトナーを用いる」とは、具体的には、そのようなトナーを用いるように指定されていることを示す。この指定は、例えば、プリンタ本体が円形度0.96以上のトナーをセットされた状態で出荷されたり、そのトナーと一緒に梱包されて出荷されたりすることによって行われる。また例えば、プリンタ本体やそれに付属される取扱説明書などの書類に、プリンタ本体に適用可能なトナーの製品番号や商品名(何れも円形度0.96以上のトナー)などが、そのプリンタ本体やこれ付属される取扱説明書などの書類に付されることによって行われる。また例えば、プリンタ本体の製造元や販売元などが、かかる製品番号や商品名のトナーを使用すべきである旨と、それを使用するプリンタ本体の製品番号や商品名などとが記載された文章や電子データを頒布することによって行われる。
【0066】
参考形態、各参考例、各実施形態のプリンタにおいて、像担持体たる感光体(1)としては、アモルファスシリコン系の表面層を設けたa−Si系感光体を用いることが望ましい。かかる感光体(1)では、いわゆる有機感光体(OPC)に比べて、ファーブラシ(51)との摺擦による経時的な表面磨耗を抑えて、感光体(1)の長寿命化を図ることができるからである。例えば、50〜400[℃]に加熱した導電性支持体表面に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形成したものなどがある。なかでもプラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流波、高周波、又はマイクロ波グロー放電によって分解し、導電性支持体の表面にa−Si堆積膜を形成したものが好適である。
【0067】
また、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有せしめた材料により、導電性支持体に直接又は中間層を介して形成した感光性の表面層を設けた感光体(1)については、その表面層に粒子状物質を含有させることが望ましい。このような感光体(1)では、表面層の粒子状物質が導電性支持体から離れた位置にある表面部分の含有率を多くすることにより、耐摩耗性の向上、電気特性の安定化を図って、高感度、高耐久を実現することができるからである。
【0068】
かかる感光体(1)の具体的な例としては、次のようなものが挙げられる。即ち、導電性支持体と、これに被覆された潜像担持層と、更にこれに被覆された粒子状物質を含有する表面層とを有するものである。潜像担持層としては、帯電可能な電気絶縁性の材料を用いる必要があり、非光導電性の誘電層又は光導電性を有した感光層などを用いることができる。粒子状物質としては、バインダー樹脂と、低分子電荷輸送物質と、高分子電荷輸送物質とを粉砕、分散したものを用いることができ、これを塗工すればよい。但し、表面層の素材樹脂より堅いものを用いる必要があり、無機物質、有機物質の何れでもよい。例えば、酸化チタン、シリカ、酸化錫、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の金属酸化物が挙げられる。特に良好なものとしては、酸化チタン、シリカ、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これら材料からなる粒子状物質については、分散性向上などの理由から無機物、有機物で表面処理してもよい。また、撥水性向上のために、シランカップリング剤、フッ素系シランカップリング剤、高級脂肪酸などで表面処理してもよい。無機物処理としては、フィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものが使用可能である。
【0069】
表面層中の粒子状物質の含有量は5〜50重量%がよく、更には10〜40重量%が好適である。10重量%未満であると耐摩耗性が十分でなくなる。また、50重量%を超えると、表面層の透明性が損なわれる。粒子状物質の平均粒径としては、0.05〜1.0μmがよく、更には0.05〜0.8μmが好適である。
【0070】
これまで、像担持体としてドラム状の感光体を用いた例について説明したが、ベルト状の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。また、像担持体として感光体をクリーニングする例について説明したが、中間転写体などの他の像担持体のクリーニングにも本発明の適用が可能である。また、電子写真方式のプリンタについて説明したが、直接記録方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を中間記録体やシート材に直接付着させて画素像を形成することで、トナー像を直接形成する方式である。中間記録体に形成したトナー像をシート材に転写する場合には、中間記録体をクリーニングする必要がある。また、本発明の適用範囲は、画像形成装置に限られない。例えば、電位切替手段(10)と組み合わせれば、クリーニング手段に対して単独で本発明を適用することができる。また例えば、感光体(1)と、少なくともクリーニング手段(5)を含む感光体周りの機器を1つのユニットとして形成したプロセスユニット(例えば図11に示すもの)でもよい。また、回収ローラ(52)だけにクリーニングバイアスを印加する例について説明したが、同時にファーブラシ(51)にプレクリーニングバイアスを印加させるようにしてもよい。但し、この場合、プレクリーニングバイアスの値を、上記非画像領域の電位よりもトナーとは逆極性側に大きく、且つ、クリーニングバイアスよりもトナーと同極性側に大きくする必要がある。このようにすれば、非画像領域に付着している転写残トナーを静電的にファーブラシ(51)、回収ローラ(52)に順次転移させることができる。また、ファーブラシ(51)の電気抵抗を環境変化に伴って変動させたり、経時的に変化させていったりしても、非画像領域からファーブラシ(51)を経て回収ローラ(52)に至るような電位勾配を確実に得ることができる。
【0071】
以上、各参考例や各実施形態のプリンタにおいて、静電回収体たる回収ローラ(52)の電位を、トナーとは逆極性であるクリーニングバイアスの値と、同極性の除去バイアスとで切り替えるようにした場合には、次のことが可能になる。即ち、除電バイアスの印加によって回収ローラ(52)と転写残トナーとを反発させるので、除電バイアスに代えて接地を利用する場合よりも確実にトナー離れを促すことができる。
また、回収ローラ(52)の電位を、トナーとは逆極性であるクリーニングバイアスの値と、電気的な接地とで切り替えるようにした場合には、次のことが可能になる。即ち、除電バイアス電源回路を設けないことで低コスト化を図ることができる。
また、感光体(1)の画像履歴領域と、起毛摺擦体たるファーブラシ(51)とが接触しているときに、静電回収体たる回収ローラ(52)の電位をトナーとは逆極性のクリーニングバイアスの値にする。この一方で、感光体(1)の非画像領域と、ファーブラシ(51)とが接触しているときに、回収ローラ(52)の電位をトナーと同極性の除電バイアスの値、又は接地にする。かかる構成では、画像履歴領域とブラシとの接触時に回収ローラ52からのトナー離れを促してしまうことによるクリーニング不良を回避しながら、非画像領域とブラシとの接触時に回収ローラ52上の堆積トナーを除去することができる。
【0072】
また、実施形態1や参考例2のプリンタにおいては、回収ローラ(52)の電位がトナーと同極性である除電バイアスの値であるか、あるいは接地であるときに、ファーブラシ(51)の電位が次のようになる。即ち、感光体(1)の非画像領域の電位よりもトナーと逆極性側に大きな値になる。よって、除電バイアスの印加中にファーブラシ(51)中の転写残トナーをクリーニング位置まで戻したとしても、それを静電的にファーブラシ(51)中に拘束して、ブラシから感光体(1)へのトナー戻りを抑えることができる。
また、電位切替手段(10)が回収ローラ(52)の一回転に要する時間以上に継続して、回収ローラ(52)の電位を除電バイアスの値又は接地にしている。このことにより、回収ローラ(52)の表面の全周に対してトナー除去の促進を確実に図ることができる。
【0073】
また、実施形態1のプリンタにおいては、感光体(1)のシート間領域たる紙間領域と、ファーブラシ(51)とが接触しているときに、回収ローラ(52)の電位を除電バイアスの値又は接地にしている。かかる構成では、回収ローラに除電バイアスを印加するタイミングとして、クリーニング位置に紙間領域が進入している時を利用することで、特別な期間を設けることなく、回収ローラ上からのトナー除去を促すことができる。また、連続プリントジョブ中には、転写紙Pへの転写が1枚終わる毎に、回収ローラ上からのトナー除去を促して、堆積トナーによるクリーニング不良を抑えることができる。
【0074】
また、参考例2のプリンタにおいては、連続プリントで最後の転写紙Pに対応する紙領域に続く非画像領域と、ファーブラシ(51)とが接触しているときに、回収ローラ(52)の電位を除電バイアスの値又は接地にしている。このことにより、一連のプリントジョブ毎に、その終了間際でトナー除去を促すことができる。また、プロセス線速がかなり早く設定される高速プリントモードなどで、紙間領域では回収ローラ(52)1回転分の除去処理時間が確保できない場合でも、ジョブ終了間際で確実に1回転分の除去処理を行うことができる。
【0075】
また、参考例3のプリンタにおいては、昇温期間たるウオーミングアップ期間中に、電位切替手段(10)が回収ローラ(52)の電位を除電バイアスの値又は接地にしている。このことにより、定着不良を回避すべくプリント動作の開始が禁止されるウオーミングアップ期間を有効利用して、回収ローラ52からのトナー除去を促すことができる。また、ウオーミングアップ毎に、トナー除去を促してクリーニング不良を抑えることもできる。
【0076】
また、参考例4のプリンタにおいては、感光体(1)が60分累積して回転駆動する毎に、電位切替手段(10)が回収ローラ(52)の電位を除電バイアスの値又は接地にしている。このことにより、感光体(1)の累積駆動に伴って堆積トナーが所定量まで累積的に増加する前に、堆積トナーの除去を所定時間だけ集中的に促して、クリーニング性能を回復させることができる。
【0077】
また、実施形態2のプリンタにおいては、回収ローラ(52)として、その表面の静止摩擦係数μを0.3以下に調整したものを用いている。このことにより、概ね10,000枚のプリントアウトを行うまで、良好なクリーニング性を維持することができる。
【0078】
また、実施形態3のプリンタにおいては、トナーとして円形度0.96以上のものを用いることで、転写バイアスの値にかかわらず、転写残トナー量M3を低く抑えてクリーニング手段(5)の長寿命化を図ることができる。
【0079】
また、参考形態、各参考例又は各実施形態のプリンタにおいて、像担持体たる感光体(1)としてa−si系感光体を用いれば、次のことが可能になる。即ち、いわゆる有機感光体(OPC)を用いる場合に比べて、ファーブラシ(51)との摺擦による経時的な表面磨耗を抑えて、感光体(1)の長寿命化を図ることができる。
また、感光体(1)として、粒子状物質を含有する表面層が形成されたものを用いれば、感光体(1)の耐摩耗性の向上、電気特性の安定化を図って、高感度、高耐久を実現することができる。
【0080】
【発明の効果】
請求項1乃至9の発明によれば、像担持体の摩耗を抑えながら、小径の球形トナーであっても長期に渡って良好にクリーニングすることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】 同プリンタのクリーニング手段を示す拡大構成図。
【図3】 参考例に係るプリンタの電位切替手段の電気回路を示すブロック図。
【図4】 図3に示した電位切替手段の変形例の電気回路を示すブロック図。
【図5】 実施形態1に係るプリンタの回収ローラの電位変化と、クリーニング位置における感光体領域の変化とを示すタイミングチャート。
【図6】 同プリンタの制御部によって実施されるクリーニング処理の制御フローを示すフローチャート。
【図7】 参考例2に係るプリンタの回収ローラの電位変化と、クリーニング位置における感光体領域の変化とを示すタイミングチャート。
【図8】 同プリンタの制御部によって実施されるクリーニング処理の制御フローを示すフローチャート。
【図9】 参考例4に係るプリンタの制御部によって実施されるクリーニング処理の制御フローを示すフローチャート。
【図10】 転写残トナー量と、転写バイアスと、トナーの円形度との関係を示すグラフ。
【図11】 本発明が適用可能なプロセスユニットの一例を示す概略構成図。
【図12】 従来のプリンタのクリーニング手段を示す概略構成図。
【符号の説明】
1 感光体(被クリーニング体、像担持体)
2 帯電手段
3 現像手段
4 転写手段
5 クリーニング手段
51 ファーブラシ(起毛摺擦体)
52 回収ローラ(静電回収体)
52 クリーニングブレード(除去手段)
6 除電手段
7 定着手段
7b 加熱ローラ(加熱部材)
10 電位切替手段
P 転写紙(シート材)
Claims (9)
- 像担持体と、該像担持体の表面に担持されたトナー像を転写先に転写する手段と、該像担持体をクリーニングするクリーニング手段とを備え、且つ、複数の起毛を該像担持体に摺擦させる起毛摺擦体と、該起毛摺擦体に捕捉されたトナーを自らの無端移動する表面に静電的に付着させて回収する静電回収体と、該静電回収体からトナーを除去する除去手段とを該クリーニング手段が有する画像形成装置であって、
トナー像を上記転写先に転写した後の上記像担持体が該トナー像を担持していた領域で且つクリーニングされる前の領域である画像履歴領域と、上記起毛摺擦体とが接触しているときに、上記静電回収体の電位を上記トナーの帯電極性とは逆極性の値にして該起毛摺擦体内のトナーを該静電回収体の無端移動する表面に静電的に付着させる一方で、トナー像を該転写先に転写した後の該像担持体が該トナー像を担持していなかった領域で且つクリーニングされる前の領域である非画像領域と、該起毛摺擦体とが接触しているときに、該静電回収体の電位を該帯電極性と同極性の値又は電気的な接地にして該静電回収体からのトナー離れを促すように、該静電回収体の電位を切り替える電位切替手段を備え、
且つ、該静電回収体の電位が該同極性の値又は接地であるときに、上記起毛摺擦体の電位が上記帯電極性及び上記非画像領域の電位の極性と同極性で且つ該非画像領域の電位よりも低い値であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置であって、
上記電位切替手段が上記静電回収体の一周分の表面無端移動に要する時間以上に継続して、該静電回収体の電位を上記同極性の値又は接地にすることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2の画像形成装置であって、
上記像担持体上のトナー像を上記転写先であるシート材に直接転写するか、あるいは上記転写先である中間転写体を介してシート材に転写し、且つ、複数の該シート材に対するトナー像の転写が連続して行われる場合の各シート材間に対応するシート間領域と、上記起毛摺擦体とが接触しているときに、上記電位切替手段により、上記静電回収体の電位を上記同極性の値又は電気的な接地にすることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2の画像形成装置であって、
上記像担持体上のトナー像を上記転写先であるシート材に直接転写するか、あるいは上記転写先である中間転写体を介してシート材に転写し、且つ、複数の該シート材に対するトナー像の転写が連続して行われる場合の最後の該シート材に対応する上記画像履歴領域に続く非画像領域と、上記起毛摺擦体とが接触しているときに、上記電位切替手段により、上記静電回収体の電位を上記同極性の値又は電気的な接地にすることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3又は4の画像形成装置であって、
上記像担持体上のトナー像が直接あるいは中間転写体を介して転写せしめられたシート材に対して、加熱部材を接触させて該トナー像を定着せしめる定着手段を備え、且つ、該加熱部材を所定の温度まで昇温せしめるために必要な昇温期間中に上記電圧切替手段が上記静電回収体の電位を上記同極性の値又は接地にすることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5の何れかの画像形成装置であって、
上記像担持体が所定時間累積して表面無端移動する毎に、上記電位切替手段が上記静電回収体の電位を上記同極性の値又は接地にすることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5の何れかの画像形成装置であって、
上記像担持体上にトナー像を形成するためのトナーとして、粒子の平均円形度が1.0〜0.96であるものを用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5の何れか、又は請求項7の画像形成装置であって、
上記像担持体として、アモルファスシリコンからなる表層が形成されたものを備えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5の何れか、又は請求項7若しくは8の画像形成装置であって、
上記像担持体として、粒子状物質を含有する表層が形成されたものを備えることを特徴とする画像形成装置。
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