JP4220065B2 - インキ容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置に対して着脱自在に設けられ、取付時に孔版印刷装置に対してインキを供給するインキ容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷装置におけるインキ供給構造の一例を図15及び図16に基づいて説明する。孔版印刷装置の印刷部には、軸線を中心として回転駆動される多孔性円筒状の版胴1、版胴1に対して接離する方向へ移動自在に設けられたプレスローラ2等が設けられている。画像データに応じて製版部(図示せず)で製版されたマスタ3が版胴1の外周面に巻き付けられた後、プレスローラ2が版胴1の外周面巻き付けられたマスタ3に当接する位置へ移動し、版胴1とプレスローラ2との間へ印刷用紙4が送り込まれることにより印刷が行われる。
【0003】
版胴1の内部には、版胴1の軸線上に位置して版胴1を回転自在に支持する支軸を兼ねたインキパイプ5、版胴1の内周面との間に微小隙間をもって版胴1と同じ方向へ回転駆動されるインキローラ6、インキローラ6の外周面との間に微小隙間をもって配置されたドクターローラ7等が設けられている。インキローラ6の外周面とドクターローラ7の外周面とで挟まれた部分には、インキパイプ5から供給されたインキが貯溜されるインキ溜り8が形成されている。
【0004】
インキパイプ5の一端は版胴1の外側へ延出しており、版胴1の外側へ延出したインキパイプ5の一端にはポンプモータ9で駆動されるインキポンプ10が接続されている。インキポンプ10にはインキ吸引筒11が設けられており、このインキ吸引筒11がインキ容器12の筒状口金13に挿入されている。
【0005】
インキ容器12は図16に示すように、可撓性の合成樹脂フィルムからなる袋体14と、袋体14を囲んだ厚紙製の外箱15と、袋体14に熱溶着されて外箱15の外方へ突出した筒状口金13とにより形成され、袋体14内にはインキが収容されている。袋体14の外周面と外箱15の内周面とは接着部16において接着されている。筒状口金13の外周部には、キャップ17を取り付けるためのスクリュー溝18と、インキ容器12を孔版印刷装置にセットしたとき(インキポンプ10に取り付けたとき)にインキ容器12を保持するインキ容器保持台(図示せず)が挿入される保持溝19とが形成されている。
【0006】
孔版印刷装置で使用されるインキは、従来、粘度が高いものが使用されている。そのため、オペレータがキャップ17を外した状態でインキ容器12を孔版印刷装置にセットする場合、又は、孔版印刷装置にセットされているインキ容器12を孔版印刷装置から取り外す場合において、筒状口金13を水平向き、又は、下向きにしても、その時間が短時間であれば、内部のインキが筒状口金13から垂れ落ちるということは起こらない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年では、精細な印刷画像を得るために行われているマスタ3の製版穿孔径の小径化に対応するため、さらには、インキの印刷用紙への浸透性を高くして印刷速度をアップさせるため、使用されるインキの粘度が低くなる傾向にある。
【0008】
インキ容器12内に収容されているインキの粘度が低くなると、そのインキ容器12を孔版印刷装置にセットしたり孔版印刷装置から取り外すために筒状口金13を水平向き又は下向きにしたとき、インキがすぐに垂れ落ち、オペレータの衣類、孔版印刷装置の内部、孔版印刷装置が設置されている室内の床面等を汚してしまう。
【0009】
また、外箱15を省略した袋体14のみからなるインキ容器の場合には、更に、オペレータの握力によってインキが筒状口金13から垂れ落ちやすくなる。
【0010】
そこで本発明は、粘度の低いインキを収容した場合であっても、孔版印刷装置へのセット時や孔版印刷装置からの取り外し時において、インキが筒状口金から垂れ落ちることのないインキ容器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のインキ容器は、孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、前記インキ収容部に設けられた筒状口金と、前記筒状口金の内周面に摺接する筒状部とこの筒状部に形成されたインキ通路と前記筒状部の一端を閉止する閉止部と備え、前記閉止部を前記インキ収容部の内方に向けて前記筒状口金内にその軸線方向に沿ってこの筒状口金を閉弁する閉弁位置とこの筒状口金を開弁する開弁位置とへスライド自在に設けられたスライドバルブと、前記スライドバルブを閉弁位置へスライドさせる向きに付勢する付勢体と、を有し、前記インキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにはこの孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒により押された前記スライドバルブが前記インキ通路を前記インキ収容部内に臨ませる開弁位置へスライドし、前記インキ容器が前記孔版印刷装置にセットされていないときには前記付勢体により付勢された前記スライドバルブが前記インキ通路を前記筒状口金の内周面に対向させて閉止される閉弁位置へスライドする。
【0012】
したがって、インキ収容部が孔版印刷装置にセットされていないときには、付勢体により付勢されたスライドバルブが閉弁位置へスライドし、スライドバルブの筒状部に形成されているインキ通路が筒状口金の内周面に対向して閉止されることにより筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止される。このため、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることがない。
【0013】
一方、インキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときには、このインキ吸引筒により押されたスライドバルブが開弁位置へスライドし、スライドバルブの筒状部に形成されているインキ通路がインキ収容部内に臨んで開放され、筒状口金が開弁される。このため、インキ収容部内のインキがインキ通路を通過して筒状口金内を流れ、このインキがインキ吸引筒内を通って孔版印刷装置へ供給される。
【0014】
請求項2記載の発明のインキ容器は、孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、前記インキ収容部に形成され、このインキ収容部が孔版印刷装置にセットされときにその孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒が挿入される筒状口金と、中央部から外周部に向けて形成された放射状切れ込みにより仕切られた複数のバルブ片を備えて前記筒状口金内に設けられ、前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されたときにはこのインキ吸引筒に押されて前記バルブ片が開くことにより前記筒状口金を開弁するとともに前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されないときには前記バルブ片が閉じることにより前記筒状口金を閉弁する分割バルブと、を有する。
【0015】
したがって、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されていないときには、分割バルブのバルブ片が閉じることにより筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止される。このため、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることがない。
【0016】
一方、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されたときには、このインキ吸引筒により押された分割バルブのバルブ片が開き、筒状口金が開弁される。このため、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れ、このインキがインキ吸引筒内を通って孔版印刷装置へ供給される。
【0017】
請求項3記載の発明のインキ容器は、孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、前記インキ収容部に形成され、このインキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにその孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒が挿入される筒状口金と、付勢部と弁体とを備えて前記筒状口金内に設けられ、前記筒状口金内に挿入された前記インキ吸引筒から作用する吸引負圧により前記弁体が前記筒状口金を開弁する開弁位置へ移動するとともにこの吸引負圧が作用しないときには前記弁体が前記付勢部の付勢力により前記筒状口金を閉弁する閉弁位置へ移動する揺動バルブと、を有する。
【0018】
したがって、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されていないとき、又は、挿入されただけでこのインキ吸引筒から吸引負圧が作用しないときは、揺動バルブの弁体が付勢部の付勢力により閉弁位置へ移動して筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止される。このため、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることがない。
【0019】
一方、筒状口金内に挿入された孔版印刷装置のインキ吸引筒から吸引負圧が作用した場合には、この吸引負圧により弁体が開弁位置へ移動し、筒状口金が開弁される。このため、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れ、このインキがインキ吸引筒内を通って孔版印刷装置へ供給される。
【0020】
請求項4記載の発明のインキ容器は、孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、前記インキ収容部に形成され、このインキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにその孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒が挿入される筒状口金と、前記筒状口金内に設けられ、前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されたときにはこのインキ吸引筒に押されて前記筒状口金を開弁する開弁位置へ撓むとともに前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されないときには自らの弾性により前記筒状口金を閉弁する閉弁位置に位置する平板状バルブと、を有する。
【0021】
したがって、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されていないときには、平板状バルブが自らの弾性により閉弁位置に位置することにより筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止される。このため、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることがない。
【0022】
一方、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されたときには、このインキ吸引筒により押された平板状バルブが開弁位置へ撓み、筒状口金が開弁される。このため、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れ、このインキがインキ吸引筒内を通って孔版印刷装置へ供給される。
【0023】
請求項5記載の発明のインキ容器は、孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、前記インキ収容部に形成され、このインキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにその孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒が挿入される筒状口金と、前記筒状口金内に設けられ、中央部に閉止面部が形成されて周縁部に開口部が形成された弁座と、前記筒状口金内における前記弁座よりも前記インキ収容部側に配置され、その内部にインキ通路が形成され、前記筒状口金内にその軸線方向に沿ってこの筒状口金を閉弁する閉弁位置とこの筒状口金を開弁する開弁位置とへスライド自在に設けられたスライドバルブと、前記スライドバルブを閉弁位置へスライドさせる向きに付勢する付勢体と、を有し、前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されたときには前記開口部に挿通される前記インキ吸引筒に設けられている突起部に押された前記スライドバルブが前記インキ通路を前記閉止面部から離反させる開弁位置へスライドし、前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されないときには前記付勢体により付勢された前記スライドバルブが前記インキ通路を前記閉止面部に当接させて閉止される閉弁位置へスライドする。
【0024】
したがって、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されていないときには、付勢体により付勢されたスライドバルブが閉弁位置へスライドし、スライドバルブに形成されたインキ通路が弁座の閉止面部に当接して閉止されることにより筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止される。このため、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることがない。
【0025】
一方、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されたときには、弁座の開口部に挿通されたインキ吸引筒の突起部により押されたスライドバルブが開弁位置へスライドし、インキ通路は弁座の閉止面部から離反して開放され、筒状口金が開弁される。このため、インキ収容部内のインキがインキ通路を通過して筒状口金内を流れ、このインキがインキ吸引筒内を通って孔版印刷装置へ供給される。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。孔版印刷装置へインキを供給するインキ容器20の基本的な構造は従来例において説明したインキ容器12と同じであり、可撓性の合成樹脂フィルムからなるインキ収容部である袋体21と、袋体21を囲んだ厚紙製の外箱22と、袋体21に取り付けられて外箱22の外方へ突出した筒状口金23とを備え、袋体21内にはインキが収容されている。
【0027】
筒状口金23は合成樹脂により円筒形に成形され、袋体21に熱溶着されるとともに外箱22に接着されている。筒状口金23の外周部には、キャップ(図示せず)を取り付けるためのスクリュー溝24と、インキ容器20を孔版印刷装置の一部であるインキポンプ25にセットしたときにインキ容器20を保持するインキ容器保持台26が挿入される保持溝27とが形成されている。
【0028】
筒状口金23内には、筒状部28と、筒状部28の一端を閉止する閉止部29と、筒状部28における閉止部29側に形成された複数個のインキ通路30とを備えたスライドバルブ31が、筒状口金23の軸線方向に沿ってスライド自在に嵌合されている。筒状部28の外形寸法は筒状口金23の内径寸法と略同じに形成され、筒状部28の外周面と筒状口金23の内周面との間からはインキが漏れ出さない構造となっている。スライドバルブ31は、筒状口金23を閉弁してこの筒状口金23内をインキが流れることを防止する閉弁位置(図1参照)と、筒状口金23を開弁してこの筒状口金23内をインキが流れるようにする開弁位置(図2参照)とへスライド自在に設けられている。スライドバルブ31が閉弁位置へスライドしているとき、インキ通路30は筒状口金23の内周面に対向して閉止されている。スライドバルブ31が開弁位置へスライドしているとき、インキ通路30は袋体21内に臨んで開放されている。
【0029】
スライドバルブ31は、閉止部29が形成された一端側を袋体21の内方に向けて筒状口金23内に嵌合されており、他端側は筒状口金23から外方に突出し、この突出部分にフランジ部32が形成されている。フランジ部32と筒状口金23の外方端面との間には、スライドバルブ31を閉弁位置へスライドさせる向きに付勢する付勢体であるコイルスプリング33が設けられている。また、スライドバルブ31における閉止部29が形成されている側の外周部には爪部34が形成され、この爪部34が袋体21内において筒状口金23の内方端に係止されることにより、スライドバルブ31が閉弁位置で位置固定されるとともに筒状口金23から外れ落ちることが防止されている。
【0030】
インキポンプ25には、インキ容器20を孔版印刷装置にセットしたときにスライドバルブ31の筒状部28内に挿入されるインキ吸引筒35が設けられている。インキ吸引筒35の外周面には、筒状部28の内周面との間の気密性を保つためのOリング36が取り付けられ、インキ吸引筒35のインキポンプ25側端部にはスライドバルブ31のフランジ部32に当接してこのスライドバルブ31を開弁位置へ向けて押圧する段差部37が形成されている。
【0031】
このような構成において、インキ容器20がインキポンプ25にセットされていないときには、図1に示すように、コイルスプリング33の付勢力によりスライドバルブ31が閉弁位置へスライドしている。スライドバルブ31が閉弁位置へスライドすると、スライドバルブ31の筒状部28に形成されているインキ通路30が筒状口金23の内周面に対向して閉止されることにより筒状口金23が閉弁され、袋体21内のインキがインキ通路30を通って筒状口金23内を流れることが防止される。このため、インキ容器20を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金23を水平向きや下向きにしても袋体21内のインキが筒状口金23から垂れ落ちることがない。
【0032】
一方、インキ容器20をインキポンプ25にセットしたときには、図2に示すように、インキ吸引筒35に形成された段差部37によりスライドバルブ31が押され、スライドバルブ31は開弁位置へスライドする。スライドバルブ31が開弁位置へスライドすることにより、スライドバルブ31の筒状部28に形成されているインキ通路30が袋体21内に臨んで開放され、筒状口金23が開弁される。これにより、袋体21内のインキがインキ通路30を通って筒状口金23内を流れるようになり、このインキがインキ吸引筒35内を通ってインキポンプ25により吸引され、インキポンプ25から印刷部へ供給される。
【0033】
つぎに、本発明の第2の実施の形態を図3ないし図5に基づいて説明する。なお、図1及び図2において説明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する(以下の各実施の形態においても同じ)。
【0034】
本実施の形態のインキ容器38は、可撓性の合成樹脂フィルムからなる袋体21と、袋体21を囲んだ厚紙製の外箱22と、袋体21に熱溶着されて外箱22の外方へ突出した筒状口金39とを備え、袋体21内にはインキが収容されている。筒状口金39の外周部には、スクリュー溝24と保持溝27とが形成されている。
【0035】
筒状口金39内には、この筒状口金39を開弁状態と閉弁状態とに切り替える分割バルブ40が筒状口金39と一体に形成されている。この分割バルブ40は、中央部から外周部に向けて形成された複数の放射状切れ込み40aにより仕切られた複数のバルブ片40bからなり、これらのバルブ片40bが開く(隣合うバルブ片40bの間に隙間ができる)ことにより筒状口金39が開弁され、この筒状口金39内をインキが流れるようになる。一方、これらのバルブ片40bが閉じる(隣合うバルブ片40bの間に隙間がなくなる)ことにより筒状口金39が閉弁され、この筒状口金39内をインキが流れなくなる。
【0036】
このような構成において、筒状口金39内にインキポンプ25のインキ吸引筒35が挿入されていないときには、図3及び図4に示すように、バルブ片40bが自らの弾性で閉じることにより筒状口金39が閉弁され、袋体21内のインキが分割バルブ40を通過して筒状口金39内を流れることが防止される。このため、インキ容器38を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金39を水平向きや下向きにしても袋体21内のインキが筒状口金39から垂れ落ちることがない。
【0037】
一方、筒状口金39内にインキポンプ25のインキ吸引筒35が挿入されたときには、図5に示すように、分割バルブ40がインキ吸引筒35により押圧され、分割バルブ40のバルブ片40bが開てい筒状口金39が開弁される。このため、袋体21内のインキが分割バルブ40を通過して筒状口金39内を流れるようになり、このインキがインキ吸引筒35内を通ってインキポンプ25により吸引され、インキポンプ25から印刷部へ供給される。
【0038】
つぎに、本発明の第3の実施の形態を図6ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態のインキ容器41は、可撓性の合成樹脂フィルムからなる袋体21と、袋体21を囲んだ厚紙製の外箱22と、袋体21に熱溶着されて外箱22の外方へ突出した筒状口金42とを備え、袋体21内にはインキが収容されている。筒状口金42は、円筒状の大径部42aと円筒状の小径部42bとその間のテーパ部42cとにより形成され、小径部42bとテーパ部42cとが袋体21内に位置し、大径部42aが外箱22から突出されている。
【0039】
筒状口金42内には、リング状の取付部43aと、半球状の弁体43bと、一端が取付部43aに固定されて他端が弁体43bに固定された可撓性を有する一対の付勢部43cとからなる揺動バルブ43が取り付けられている。弁体43bは、付勢部43cの付勢力により小径部42bとテーパ部42cとの境目付近に押し付けられることにより、筒状口金42を閉弁してこの筒状口金42内をインキが流れることを防止する閉弁位置(図6参照)と、小径部42bとテーパ部42cとの境目付近から離反することにより、筒状口金42を開弁してこの筒状口金42内をインキが流れるようにする開弁位置(図8参照)とへ移動自在に設けられている。
【0040】
このような構成において、筒状口金42内にインキポンプ25のインキ吸引筒35が挿入されていないとき、又は、インキ吸引筒35が筒状口金42内に挿入されても吸引負圧が作用しないときには、図6に示すように、弁体43bが付勢部43cの付勢力により小径部42bとテーパ部42cとの境目付近に押し付けられて筒状口金42が閉弁され、袋体21内のインキが筒状口金42内を流れることが防止される。このため、インキ容器41を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金42を水平向きや下向きにしても袋体21内のインキが筒状口金42から垂れ落ちることがない。
【0041】
一方、筒状口金42内にインキポンプ25のインキ吸引筒35が挿入され、そのインキ吸引筒35から吸引負圧が作用したときには、図8に示すように、吸引負圧により付勢部43cが撓んで弁体43bが小径部42bとテーパ部42cとの境目付近から離反する開弁位置へ移動し、筒状口金42が開弁される。このため、袋体21内のインキが筒状口金42内を流れるようになり、このインキがインキ吸引筒35内を通ってインキポンプ25により吸引され、インキポンプ25から印刷部へ供給される。
【0042】
つぎに、本発明の第4の実施の形態を図9ないし図11に基づいて説明する。本実施の形態のインキ容器44は、可撓性の合成樹脂フィルムからなる袋体21と、袋体21を囲んだ厚紙製の外箱22と、袋体21に熱溶着されて外箱22の外方へ突出した筒状口金45とを備え、袋体21内にはインキが収容されている。
【0043】
筒状口金45の外周部にはこの筒状口金45の直径と略同じ横幅を有する開口46が形成され、一端を筒状口金45の一部に熱溶着された弾性体薄板からなる平板状バルブ47の他端側が開口46から筒状口金45内へ挿入されている。この平板状バルブ47は、自らの弾性により筒状口金45を閉弁してこの筒状口金45内をインキが流れることを防止する閉弁位置(図9及び図10参照)に位置し、又は、筒状口金45を開弁してこの筒状口金45をインキが流れるようにする開弁位置(図11参照)へ撓むことができる構造とされている。
【0044】
このような構成において、筒状口金45内にインキポンプ25のインキ吸引筒35が挿入されていないときには、図9及び図10に示すように、平板状バルブ47が自らの弾性により閉弁位置に位置して筒状口金45が閉弁され、袋体21内のインキが筒状口金45内を流れることが防止される。このため、インキ容器44を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金45を水平向きや下向きにしても袋体21内のインキが筒状口金45から垂れ落ちることがない。
【0045】
一方、筒状口金45内にインキポンプ25のインキ吸引筒35が挿入されたときには、図11に示すように、このインキ吸引筒35により押された平板状バルブ47が開弁位置へ撓み、筒状口金45が開弁される。このため、袋体21内のインキが筒状口金45内を流れるようになり、このインキがインキ吸引筒35内を通ってインキポンプ25により吸引され、インキポンプ25から印刷部へ供給される。
【0046】
つぎに、本発明の第5の実施の形態を図12ないし図14に基づいて説明する。本実施の形態のインキ容器48は、可撓性の合成樹脂フィルムからなる袋体21と、袋体21を囲んだ厚紙製の外箱22と、袋体21に熱溶着されて外箱22の外方へ突出した筒状口金49とを備え、袋体21内にはインキが収容されている。
【0047】
筒状口金49内には、弁座50がこの筒状口金49と一体に形成されている。弁座50には、中央部に閉止面部50aが形成され、周縁部には開口部50bが形成されている。
【0048】
さらに、筒状口金49内における弁座50よりも袋体21側には、内部にインキ通路51が形成されたスライドバルブ52が筒状口金49の軸線方向に沿ってスライド自在に嵌合されている。スライドバルブ52の外径寸法は筒状口金49の内径寸法と略同じに形成され、スライドバルブ52の外周面と筒状口金49の内周面との間からはインキか漏れ出さない構造となっている。スライドバルブ52は、筒状口金49を閉弁してこの筒状口金49内をインキが流れることを防止する閉弁位置(図12参照)と、筒状口金49を開弁してこの筒状口金49内をインキが流れるようにする開弁位置(図14参照)とへスライド自在に設けられている。スライドバルブ52が閉弁位置へスライドしているとき、インキ通路51は閉止面部50aに当接して閉止されている。スライドバルブ52が開弁位置へスライドしているとき、インキ通路51は閉止面部50aから離反して開放されている。
【0049】
筒状口金49の袋体21内の端部には延長パイプ53が接続され、この延長パイプ53には、スライドバルブ52を閉弁位置へスライドさせる向きに付勢する付勢体54が一体に形成されている。
【0050】
インキポンプ25のインキ吸引筒35の先端部には、このインキ吸引筒35が筒状口金49内に挿入されたとき、開口部50bに挿通されてスライドバルブ52に当接し、スライドバルブ52を開弁位置へ向けて押す一対の突起部35aが形成されている。
【0051】
このような構成において、筒状口金49内にインキポンプ25のインキ吸引筒35が挿入されていないときには、図12に示すように、スライドバルブ52が付勢体54により付勢されて閉弁位置へスライドしている。スライドバルブ52が閉弁位置へスライドすると、スライドバルブ52に形成されているインキ通路51が弁座50の閉止面部50aに当接して閉止されることにより筒状口金49が閉弁され、袋体21内のインキがインキ通路51を通って筒状口金49内を流れることが防止される。このため、インキ容器48を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金49を水平向きや下向きにしても袋体21内のインキが筒状口金49から垂れ落ちることがない。
【0052】
一方、筒状口金49内にインキポンプ25のインキ吸引筒35が挿入されたときには、図14に示すように、インキ吸引筒35の突起部35aが開口部50bに挿通されてスライドバルブ52に当接し、突起部35aで押されたスライドバルブ52が開弁位置へスライドする。スライドバルブ52が開弁位置へスライドすると、インキ通路51は弁座50の閉止面部50aから離反して開放され、筒状口金49が開弁される。このため、袋体21内のインキがインキ通路51を通って筒状口金49内を流れるようになり、このインキがインキ吸引筒35内を通ってインキポンプ25により吸引され、インキポンプ25から印刷部へ供給される。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の発明のインキ容器によれば、インキ収容部が孔版印刷装置にセットされていないときには、付勢体により付勢されたスライドバルブが閉弁位置へスライドし、スライドバルブの筒状部に形成されているインキ通路が筒状口金の内周面に対向して閉止されることにより筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止されるので、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることを防止できる。
【0054】
請求項2記載の発明のインキ容器によれば、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されていないときには、分割バルブのバルブ片が閉じることにより筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止されるので、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることを防止できる。
【0055】
請求項3記載の発明のインキ容器によれば、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されていないとき、又は、挿入されただけでこのインキ吸引筒から吸引負圧が作用しないときは、揺動バルブの弁体が付勢部の付勢力により閉弁位置へ移動して筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止されるので、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることを防止できる。
【0056】
請求項4記載の発明のインキ容器によれば、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されていないときには、平板状バルブが自らの弾性により閉弁位置に位置することにより筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止されるので、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることを防止できる。
【0057】
請求項5記載の発明のインキ容器によれば、筒状口金内に孔版印刷装置のインキ吸引筒が挿入されていないときには、付勢体により付勢されたスライドバルブが閉弁位置へスライドし、スライドバルブに形成されたインキ通路が弁座の閉止面部に当接して閉止されることにより筒状口金が閉弁され、インキ収容部内のインキが筒状口金内を流れることが防止されるので、インキ容器を孔版印刷装置にセットするときや孔版印刷装置から取り外すときに、筒状口金を水平向きや下向きにしてもインキ収容部内のインキが筒状口金から垂れ落ちることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のインキ容器を示す縦断側面図である。
【図2】インキポンプのインキ吸引筒がインキ容器の筒状口金に挿入された状態を示す縦断側面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のインキ容器を示す縦断側面図である。
【図4】分割バルブを示す正面図である。
【図5】インキポンプのインキ吸引筒がインキ容器の筒状口金に挿入された状態を示す縦断側面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態のインキ容器を示す縦断側面図である。
【図7】揺動バルブを示す斜視図である。
【図8】インキポンプのインキ吸引筒がインキ容器の筒状口金に挿入されてインキ吸引筒から吸引負圧が作用している状態を示す縦断側面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態のインキ容器を示す縦断側面図である。
【図10】平板状バルブの取付状態を示す正面図である。
【図11】インキポンプのインキ吸引筒がインキ容器の筒状口金に挿入された状態を示す縦断側面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態のインキ容器を示す縦断側面図である。
【図13】弁座の形状を示す正面図である。
【図14】インキポンプのインキ吸引筒がインキ容器の筒状口金に挿入された状態を示す縦断側面図である。
【図15】孔版印刷装置へのインキ容器の取付構造を示す側面図である。
【図16】従来例のインキ容器を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
21 インキ収容部
23,39,42,45,49 筒状口金
25 印刷装置
28 筒状部
29 閉止部
30 インキ通路
31 スライドバルブ
33 付勢体
35 インキ吸引筒
35a 突起部
40 分割バルブ
40a 放射状切れ込み
40b バルブ片
43 揺動バルブ
47 平板状バルブ
50 弁座
50a 閉止面部
50b 開口部
51 インキ通路
52 スライドバルブ
54 付勢体

Claims (5)

  1. 孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、
    前記インキ収容部に設けられた筒状口金と、
    前記筒状口金の内周面に摺接する筒状部とこの筒状部に形成されたインキ通路と前記筒状部の一端を閉止する閉止部と備え、前記閉止部を前記インキ収容部の内方に向けて前記筒状口金内にその軸線方向に沿ってこの筒状口金を閉弁する閉弁位置とこの筒状口金を開弁する開弁位置とへスライド自在に設けられたスライドバルブと、
    前記スライドバルブを閉弁位置へスライドさせる向きに付勢する付勢体と、
    を有し、
    前記インキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにはこの孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒により押された前記スライドバルブが前記インキ通路を前記インキ収容部内に臨ませる開弁位置へスライドし、前記インキ容器が前記孔版印刷装置にセットされていないときには前記付勢体により付勢された前記スライドバルブが前記インキ通路を前記筒状口金の内周面に対向させて閉止される閉弁位置へスライドすることを特徴とするインキ容器。
  2. 孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、
    前記インキ収容部に形成され、このインキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにその孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒が挿入される筒状口金と、
    中央部から外周部に向けて形成された放射状切れ込みにより仕切られた複数のバルブ片を備えて前記筒状口金内に設けられ、前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されたときにはこのインキ吸引筒に押されて前記バルブ片が開くことにより前記筒状口金を開弁するとともに前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されないときには前記バルブ片が閉じることにより前記筒状口金を閉弁する分割バルブと、
    を有することを特徴とするインキ容器。
  3. 孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、
    前記インキ収容部に形成され、このインキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにその孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒が挿入される筒状口金と、
    付勢部と弁体とを備えて前記筒状口金内に設けられ、前記筒状口金内に挿入された前記インキ吸引筒から作用する吸引負圧により前記弁体が前記筒状口金を開弁する開弁位置へ移動するとともにこの吸引負圧が作用しないときには前記弁体が前記付勢部の付勢力により前記筒状口金を閉弁する閉弁位置へ移動する揺動バルブと、
    を有することを特徴とするインキ容器。
  4. 孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、
    前記インキ収容部に形成され、このインキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにその孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒が挿入される筒状口金と、
    前記筒状口金内に設けられ、前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されたときにはこのインキ吸引筒に押されて前記筒状口金を開弁する開弁位置へ撓むとともに前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されないときには自らの弾性により前記筒状口金を閉弁する閉弁位置に位置する平板状バルブと、
    を有することを特徴とするインキ容器。
  5. 孔版印刷用のインキを収容するインキ収容部と、
    前記インキ収容部に形成され、このインキ収容部が孔版印刷装置にセットされたときにその孔版印刷装置に設けられているインキ吸引筒が挿入される筒状口金と、
    前記筒状口金内に設けられ、中央部に閉止面部が形成されて周縁部に開口部が形成された弁座と、
    前記筒状口金内における前記弁座よりも前記インキ収容部側に配置され、その内部にインキ通路が形成され、前記筒状口金内にその軸線方向に沿ってこの筒状口金を閉弁する閉弁位置とこの筒状口金を開弁する開弁位置とへスライド自在に設けられたスライドバルブと、
    前記スライドバルブを閉弁位置へスライドさせる向きに付勢する付勢体と、
    を有し、
    前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されたときには前記開口部に挿通される前記インキ吸引筒に設けられている突起部に押された前記スライドバルブが前記インキ通路を前記閉止面部から離反させる開弁位置へスライドし、前記筒状口金内に前記インキ吸引筒が挿入されないときには前記付勢体により付勢された前記スライドバルブが前記インキ通路を前記閉止面部に当接させて閉止される閉弁位置へスライドすることを特徴とするインキ容器。
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