JP4219842B2 - 定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法 - Google Patents
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Description
そして、上記定置式レシプロエンジンにおけるいずれかの気筒に燃焼異常が発生すると、その出力トルクや出力回転数が変動し、定置式レシプロエンジンが停止したり故障(破損)したりするおそれがあるため、このときには上記気筒の燃焼異常を検出して対処することが必要になる。
また、特許文献2に示されるように、燃焼異常としての失火が発生した気筒を検出するために、排気ガスの温度上昇によって燃焼異常を検出した後、各気筒へ供給する燃料を順次カットし、排気温度が低下した気筒が失火が発生している気筒であると判定する方法もある。
しかしながら、上記特許文献1、2における燃焼異常気筒の検出方法は、いずれも燃焼異常の有無の判定を行う時点における各気筒の排気ガス温度を用いて燃焼異常気筒を検出するものであり、各判定を行う時点における排気ガス温度の絶対値に基づいて燃焼異常気筒を検出するものである。
また、上記特許文献2の燃焼異常気筒の検出方法においては、失火が発生した気筒を検出できるものの、例えば、燃焼ガスの吹き抜け(ある気筒における排気弁が閉まらなくなったときに発生する異常)が発生した場合のように、いずれかの気筒に温度が上昇する燃焼異常が発生したときには、これを検出することができない。そのため、温度が低下する燃焼異常及び温度が上昇する燃焼異常のいずれもを検出することができる燃焼異常気筒の検出方法の開発が望まれている。
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記測定を行ったいずれかの時点を判定時点とすると共に該判定時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記判定時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えたときには、当該判定時点を異常検出時点とし、該異常検出時点において、上記全気筒のうち上記温度変化量が最も大きい気筒を最大変化気筒として、該最大変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去判定データとし、一方、上記全気筒のうち上記温度変化量が最も小さい気筒を最小変化気筒として、該最小変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去判定データとし、
上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも大きい場合には、上記最小変化気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも小さい場合には、上記最大変化気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法にある(請求項1)。
すなわち、本発明においては、温度センサにより、各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定し、これを各気筒毎に温度データとして保存する。そして、上記判定時点における温度データと上記過去時点における温度データとの差分である各気筒毎の温度変化量を用いて、燃焼異常が発生している気筒を検出する。
また、上記ばらつきによる影響を受けることがほとんどないため、上記所定の異常検出設定範囲に不必要に余裕を持たせなくてもよく、燃焼異常気筒を早期に検出することができる。
すなわち、本発明においては、全気筒において正常燃焼が行われている際の全気筒における温度変化量の分散値又は標準偏差の範囲を、上記所定の異常検出設定範囲として予め求めておく。
そのため、燃焼異常気筒において発生した燃焼異常の種類を特定することが容易になり、この燃焼異常気筒に対して容易に対処することができる。
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記測定を行ったいずれかの時点を判定時点とすると共に該判定時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記判定時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えたときには、当該判定時点を異常検出時点とすると共に、該異常検出時点における上記温度変化量を求める際に用いた上記過去時点における上記温度データを、各気筒毎に固定温度データとして記憶し、
上記異常検出時点以降の所定時間内においては、上記温度センサによる測定及び上記各気筒毎における上記温度データの保存を継続し、上記測定を行った各時点を判定時点として、該判定時点における上記温度データと上記固定温度データとの差分である過去固定温度変化量を上記各気筒についてそれぞれ求め、
上記異常検出時点以降の所定時間内における各判定時点のうち、全気筒における上記過去固定温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が最大になった判定時点を気筒判別開始時点とし、該気筒判別開始時点において、上記全気筒のうち上記過去固定温度変化量が最も大きい気筒を最大変化修正気筒として、該最大変化修正気筒を除いた残りの気筒における上記過去固定温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去修正判定データとし、一方、上記全気筒のうち上記過去固定温度変化量が最も小さい気筒を最小変化修正気筒として、該最小変化修正気筒を除いた残りの気筒における上記過去固定温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去修正判定データとし、
上記最大除去修正判定データが上記最小除去修正判定データよりも大きい場合には、上記最小変化修正気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去修正判定データが上記最小除去修正判定データよりも小さい場合には、上記最大変化修正気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法にある(請求項4)。
そして、この燃焼異常の発生が検出された後に、さらに燃焼異常気筒の検出を継続する際には、燃焼異常状態にある気筒が正常状態に復帰することがある。このとき、正常状態に復帰する気筒における温度変化量は、残りの気筒における温度変化量に比べて大きく異なり、上記全気筒における温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えてしまうことがある。そして、この場合には、上記定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法は誤判定(誤検出)を行ってしまうおそれがある。
その他は、本発明においても上記第1の発明と同様であり、第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
上記定置式レシプロエンジンは、複数の吸気マニホールドを有してなるV型エンジンであり、上記各気筒は、所定数毎に上記各吸気マニホールドに接続されており、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記測定を行ったいずれかの時点を判定時点とすると共に該判定時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記判定時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
上記各吸気マニホールドにそれぞれ接続された複数の気筒の組を気筒組として、いずれかの該気筒組内の全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えたときには、当該判定時点を異常検出時点とすると共に、上記分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲を超えた気筒組を異常気筒組とし、
上記異常検出時点において、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記温度変化量が最も大きい気筒を最大変化気筒として、該最大変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去判定データとし、一方、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記温度変化量が最も小さい気筒を最小変化気筒として、該最小変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去判定データとし、
上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも大きい場合には、上記最小変化気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも小さい場合には、上記最大変化気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法にある(請求項5)。
そして、本発明においては、複数の吸気マニホールドを有してなるV型の定置式レシプロエンジンについて、各吸気マニホールドから各気筒に燃焼用混合気を供給する際に、各吸気マニホールド間に生ずる燃焼用混合気の状態の違いによる影響を受けて各気筒から排気される排気ガスの温度に違いが生じることをも考慮して、定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒を検出する。
そのため、上記各吸気マニホールド間における燃焼用混合気の状態に違いが生じた場合でも、これを受けて燃焼異常気筒の誤判定をしてしまうことを防止することができる。そのため、定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出精度を一層向上させることができる。
その他は、本発明においても上記第1の発明と同様であり、第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
上記定置式レシプロエンジンは、複数の吸気マニホールドを有してなるV型エンジンであり、上記各気筒は、所定数毎に上記各吸気マニホールドに接続されており、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記測定を行ったいずれかの時点を判定時点とすると共に該判定時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記判定時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
上記各吸気マニホールドにそれぞれ接続された複数の気筒の組を気筒組として、いずれかの該気筒組内の全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えたときには、当該判定時点を異常検出時点とすると共に、上記分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲を超えた気筒組を異常気筒組とし、かつ、上記異常検出時点における上記温度変化量を求める際に用いた上記過去時点における上記温度データを、各気筒毎に固定温度データとして記憶し、
上記異常検出時点以降の所定時間内においては、上記温度センサによる測定及び上記各気筒毎における上記温度データの保存を継続し、上記測定を行った各時点を判定時点として、該判定時点における上記温度データと上記固定温度データとの差分である過去固定温度変化量を上記各気筒についてそれぞれ求め、
上記異常検出時点以降の所定時間内における各判定時点のうち、上記異常気筒組内の全気筒における上記過去固定温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が最大になった判定時点を気筒判別開始時点とし、該気筒判別開始時点において、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記過去固定温度変化量が最も大きい気筒を最大変化修正気筒として、該最大変化修正気筒を除いた残りの気筒における上記過去固定温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去修正判定データとし、一方、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記過去固定温度変化量が最も小さい気筒を最小変化修正気筒として、該最小変化修正気筒を除いた残りの気筒における上記過去固定温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去修正判定データとし、
上記最大除去修正判定データが上記最小除去修正判定データよりも大きい場合には、上記最小変化修正気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去修正判定データが上記最小除去修正判定データよりも小さい場合には、上記最大変化修正気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法にある(請求項8)。
そして、本発明においては、複数の吸気マニホールドを有してなるV型の定置式レシプロエンジンについて、上記第2の発明と同様に、各気筒についての温度変化量に代えて、各気筒についての過去固定温度変化量を用いて、上記最大除去修正判定データ及び上記最小除去修正判定データを求め、いずれかの気筒において温度が低下する燃焼異常又は温度が上昇する燃焼異常が発生していないかを検出する。
その他は、本発明においても上記第2、第3の発明と同様であり、第2、第3の発明と同様の作用効果を得ることができる。
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記定置式レシプロエンジンに燃焼異常が発生したときには、該燃焼異常の発生時点を異常検出時点とすると共に該異常検出時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記異常検出時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
上記異常検出時点において、全気筒のうち上記温度変化量が最も大きい気筒を最大変化気筒として、該最大変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去判定データとし、一方、上記全気筒のうち上記温度変化量が最も小さい気筒を最小変化気筒として、該最小変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去判定データとし、
上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも大きい場合には、上記最小変化気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも小さい場合には、上記最大変化気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法にある(請求項10)。
そして、本発明においては、何らかの手段により、定置式レシプロエンジンにおいて、燃焼異常が発生していることが検出されたときに、上記排気ガス温度の測定、上記各気筒における温度変化量の算出、及び上記燃焼異常気筒の温度低下異常又は温度上昇異常を区別した検出を行うことができる。
その他は、本発明においても上記第1の発明と同様であり、第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
上記定置式レシプロエンジンは、複数の吸気マニホールドを有してなるV型エンジンであり、上記各気筒は、所定数毎に上記各吸気マニホールドに接続されており、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記定置式レシプロエンジンに燃焼異常が発生したときには、該燃焼異常の発生時点を異常検出時点とすると共に該異常検出時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記異常検出時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
上記異常検出時点において、上記各吸気マニホールドにそれぞれ接続された複数の気筒の組を気筒組として、該各気筒組内の全気筒における上記温度変化量についてそれぞれ分散値又は標準偏差を求め、上記各気筒組のうち上記分散値又は標準偏差が最も大きな気筒組を異常気筒組とし、
該異常気筒組内の全気筒のうち上記温度変化量が最も大きい気筒を最大変化気筒として、該最大変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去判定データとし、一方、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記温度変化量が最も小さい気筒を最小変化気筒として、該最小変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去判定データとし、
上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも大きい場合には、上記最小変化気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも小さい場合には、上記最大変化気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法にある(請求項11)。
そして、本発明においては、何らかの手段により、定置式レシプロエンジンにおいて、燃焼異常が発生していることが検出されたときに、上記排気ガス温度の測定、上記各気筒における温度変化量の算出、及び上記燃焼異常気筒の温度低下異常又は温度上昇異常を区別した検出を行うことができる。
その他は、本発明においても上記第3の発明と同様であり、第3の発明と同様の作用効果を得ることができる。
上記第1〜第4の発明において、上記排気ガス温度の測定、上記各気筒における温度変化量の算出及び全気筒における分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲を超えているか否かの判定は、定置式レシプロエンジンの運転を開始した後、所定のサンプリングタイムで継続して行うことができる。
また、上記第5、第6の発明において、定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常の発生は、定置式レシプロエンジンにおいて、クランク軸における角速度変動、排気圧力の脈動、軸出力の変動、排気ガス触媒の温度上昇等を利用して、検出することができる。
また、上記第1、第2、第5の発明において、定置式レシプロエンジンとしては、直列エンジン又はV型エンジン等のいずれのタイプのものも用いることができる。
そして、気筒数をnとし、各気筒における温度変化量をD(i)としたときには、上記分散データは、nΣD(i)2−{ΣD(i)}2;(i=1〜n)に基づいて求めることができる。
なお、上記標準偏差は、上記分散データの平方根に基づいて算出することができる。
また、上記分散値又は標準偏差を算出する方法は、上記第1〜第6の発明において、上記最大除去判定データもしくは上記最小除去判定データ、又は上記最大除去修正判定データもしくは上記最小除去修正判定データを求める場合についても同様である。
また、上記第3の発明においては、上記異常検出時点は、上記いずれかの気筒組内の全気筒における上記温度変化量の分散値又は標準偏差が、上記異常検出設定範囲を超え、再び該異常検出設定範囲以下になるまでの間の判定時点のうち、上記分散値又は標準偏差の値が最も大きい判定時点とすることが好ましい(請求項6)。
また、上記第3の発明においては、上記いずれかの気筒組内の全気筒における上記温度変化量の分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲を超えたときには、当該分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲よりもさらに大きい所定のエンジン停止設定値を超えているか否かを判定し、当該分散値又は標準偏差が上記エンジン停止設定値を超えた場合には、上記定置式レシプロエンジンを停止させることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記温度センサが逐次測定を行う時間間隔を短くして一層早期な燃焼異常気筒の検出を実現すると共に、上記燃焼異常気筒の検出に使用する過去時点を、上記判定時点の直前ではなくさらに過去に遡った時点にして、上記温度変化量が顕著に現れるようにすることができる。そのため、燃焼異常気筒の検出精度を一層向上させることができ、一層早期にこの燃焼異常気筒を検出することができる。
(実施例1)
図1〜図3に示すごとく、本例の定置式レシプロエンジン2の燃焼異常気筒の検出方法は、複数の気筒21〜26を有する定置式レシプロエンジン2の燃焼運転中に、燃焼異常が発生した気筒21〜26を検出する方法である。
すなわち、本例の燃焼異常気筒の検出方法においては、まず、温度センサ27により上記各気筒21〜26から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定し、この測定を行った各気筒21〜26毎の排気ガスの温度を各気筒21〜26毎に温度データT(i)(i=1〜6)として保存する。
そして、全気筒21〜26における温度変化量D(i)について求めた分散値Bが所定の異常検出設定範囲Aを超えたときには、当該判定時点taを異常検出時点とする。
一方、上記全気筒21〜26のうち温度変化量D(i)が最も小さい気筒を最小変化気筒x2として、この最小変化気筒x2を除いた残りの気筒における温度変化量D(t)について分散値B2を求め、これを最小除去判定データB2とする。
一方、最大除去判定データB1が最小除去判定データB2よりも小さい場合には、最大変化気筒x1において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出する。
以下に、これを詳説する。
上記温度センサ27は、定置式レシプロエンジン2における複数の気筒21〜26の排気口にそれぞれ配設されており、各気筒21〜26の排気口を通過する排気ガスの温度をそれぞれ測定することができる。
また、制御手段5は、全気筒21〜26における温度変化量D(i)について求めた分散値Bが、上記異常検出設定範囲Aを超えたときに、定置式レシプロエンジン2において燃焼異常が発生していることを知らせるための発報手段52を備えている。この発報手段52は、燃焼異常を知らせるためのブザーによる警報とすることができ、また、ディスプレイによる異常表示、異常表示ランプの点灯等による異常表示とすることもできる。
このように、サンプリングタイムを短くして早い時期に燃焼異常気筒の検出を可能にすると共に、異常判定に使用する過去時点tbを判定時点taの直前ではなく、さらに過去に遡った時点とすることにより、上記各気筒21〜26の温度変化量D(i)の違いが顕著に現れるようにすることができる。
以下に、図1、図2のフローチャートを用いて、定置式レシプロエンジン2において、燃焼異常が発生した気筒を検出する方法につき詳説する。
次いで、図2の温度測定演算ルーチンにおけるステップS201において、制御手段5は、定置式レシプロエンジン2における各気筒21〜26から排気された排気ガスの温度を、各気筒21〜26に設けた温度センサ27によってそれぞれ測定する。そして、S202において、制御手段5は、測定を行った各気筒21〜26の排気ガスの温度を、各気筒21〜26毎に温度データT(i)(i=1〜6)として保存する。
そして、S204において、現時点taにおける全気筒21〜26の温度変化量D(i)の分散値Bを求める。
次いで、S103において、現時点taにおける分散値Bが、最大分散値Bmaxよりも大きいか否かを判別する。この最大分散値Bmaxは、初期値は異常検出設定範囲Aとしておく。
次いで、S105において、次のサンプリング時に再び各気筒21〜26における排気ガスの温度の測定を行い、当該サンプリング時を判定時点taとしての現時点taとして、再び現時点taにおける分散値Bを算出する。
こうして、S106の判別がYesになるまで、すなわち現時点taにおける分散値Bが異常検出設定範囲Aよりも小さくなるまでS103〜S106を繰り返す。そして、分散値Bが異常検出設定範囲Aを超えてから再び異常検出設定範囲A未満に戻るまでの各時点における分散値Bのうち、最も大きい分散値Bの値が最大分散値Bmaxとされ、この最大分散値Bmaxを有する時点が、燃焼異常気筒を判別する異常検出時点とされる。
一方、制御手段5は、全気筒21〜26のうち温度変化量D(i)が最も小さい気筒を最小変化気筒x2として、この最小変化気筒x2を除いた残りの気筒における温度変化量D(t)について分散値B2を求め、これを最小除去判定データB2とする。
そして、S108の判別がYesの場合、すなわち最大除去判定データB1が最小除去判定データB2よりも大きい場合には、S109において、制御手段5は、上記最小変化気筒x2において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出する。
一方、S108の判別がNoの場合、すなわち最大除去判定データB1が最小除去判定データB2よりも小さい場合には、S110において、制御手段5は、上記最大変化気筒x1において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出する。
この場合には、異常検出設定範囲Aよりも大きいエンジン停止設定値A’を予め制御手段5内に設定しておき、いずれかの気筒において発生した燃焼異常により、各気筒21〜26における排気ガス温度T(i)の低下又は上昇が著しく大きいと考えられるときには、定置式レシプロエンジン2の運転を停止して、これを保護することができる。
表1は、本例の定置式レシプロエンジン2における気筒は6つあり、判定時点taにおける各温度データT(i)aをT(1)a〜T(6)aとし、過去時点tbにおける各温度データT(i)bをT(1)b〜T(6)bとして、各温度変化量D(i)をD(1)〜D(6)として求めることを示すものである。また、各温度変化量D(i)は、D(i)=T(i)a−T(i)b(i=1〜6)として求められる。
また、全気筒21〜26における分散値Bは数1によって求めることができる。ここで、iは第1〜第6気筒21〜26のいずれかを示し、nは気筒数(本例では6)を示している。なお、分散値Bに代えて、数2に示すように標準偏差Fを用いることもできる。
なお、最大除去判別データB1及び最小除去判別データB2を求める場合においても、分散値B1、B2に代えて、数2と同様の数式による標準偏差F1、F2を用いることもでき、数3〜数5と同様の数式を用いることもできる。
また、本例においては、上記燃焼異常気筒の検出方法における優れた作用効果を確認するための確認試験を行った。
この確認試験においては、各気筒21〜26における排気ガスの温度の変動があまりなく、ほぼ所定の温度に近づいた定常状態(図4、図5参照)、各気筒21〜26における燃焼量(出力、負荷)を増加させている温度上昇状態(図6参照)又は各気筒21〜26における燃焼量を減少させている温度減少状態(図7参照)の各状態について、燃焼異常気筒の温度低下異常又は温度上昇異常を区別した検出を行った。
図4は、横軸に時間t[秒]をとり、縦軸に各気筒21〜26の排気ガスの温度及び全気筒21〜26における温度変化量D(i)について求めた分散値Bをとったグラフであり、上記定常状態において燃焼異常が発生したときの分散値Bの変化を示す。
そして、表2に、本事例において、上記各気筒21〜26毎に温度変化量D(i)を求めると共に全気筒21〜26における温度変化量D(i)の分散値Bを求めた結果の一部を示す。同表は、時間tの経過が5[秒]の時点から11.5[秒]の時点までの各時点における各気筒21〜26の温度データT(i)、温度変化量D(i)及び分散値Bを示す。
そして、第3気筒23を除いた残りの5気筒21、22、24〜26における温度変化量D(s)についての分散値B1を、最大除去判定データB1として求めたところ、B1=3.41であった。一方、第4気筒24を除いた残りの5気筒21〜23、25、26における温度変化量D(t)についての分散値B2を、最小除去判定データB2として求めたところ、B2=0.48であった。
図5は、横軸に時間t[分]をとり、縦軸に各気筒21〜26の排気ガスの温度及び全気筒21〜26における温度変化量D(i)について求めた分散値Bをとったグラフであり、定常状態において燃焼異常が発生したときの分散値Bの変化を示す。
そして、表3に、本事例において、上記各気筒21〜26毎に温度変化量D(i)を求めると共に全気筒21〜26における温度変化量D(i)の分散値Bを求めた結果の一部を示す。同表は、時間tの経過が5[分]の時点から15[分]の時点までの各時点における各気筒21〜26の温度データT(i)、温度変化量D(i)及び分散値Bを示す。
そして、第3気筒23を除いた残りの5気筒21、22、24〜26における温度変化量D(s)についての分散値B1を、最大除去判定データB1として求めたところ、B1=0.55であった。一方、第1気筒21を除いた残りの5気筒22〜26における温度変化量D(t)についての分散値B2を、最小除去判定データB2として求めたところ、B2=85.96であった。
また、図6は、横軸に時間t[秒]をとり、縦軸に各気筒21〜26の排気ガスの温度及び全気筒21〜26における温度変化量D(i)について求めた分散値Bをとったグラフであり、温度上昇状態において燃焼異常が発生したときの分散値Bの変化を示す。
そして、表4に、本事例において、上記各気筒21〜26毎に温度変化量D(i)を求めると共に全気筒21〜26における温度変化量D(i)の分散値Bを求めた結果の一部を示す。同表は、時間tの経過が5[秒]の時点から11.5[秒]の時点までの各時点における各気筒21〜26の温度データT(i)、温度変化量D(i)及び分散値Bを示す。
そして、第3気筒23を除いた残りの5気筒21、22、24〜26における温度変化量D(s)についての分散値B1を、最大除去判定データB1として求めたところ、B1=3.35であった。一方、第4気筒24を除いた残りの5気筒21〜23、25、26における温度変化量D(t)についての分散値B2を、最小除去判定データB2として求めたところ、B2=1.24であった。
また、図7は、横軸に時間t[秒]をとり、縦軸に各気筒21〜26の排気ガスの温度及び全気筒21〜26における温度変化量D(i)について求めた分散値Bをとったグラフであり、温度低下状態において燃焼異常が発生したときの分散値Bの変化を示す。
そして、表5には、本事例において、上記各気筒21〜26毎に温度変化量D(i)を求めると共に全気筒21〜26における温度変化量D(i)の分散値Bを求めた結果の一部を示す。同表は、時間tの経過が4[秒]の時点から11.5[秒]の時点までの各時点における各気筒21〜26の温度データT(i)、温度変化量D(i)及び分散値Bを示す。
そして、第1気筒21を除いた残りの5気筒22〜26における温度変化量D(s)についての分散値B1を、最大除去判定データB1として求めたところ、B1=26.68であった。一方、第6気筒26を除いた残りの5気筒21〜25における温度変化量D(t)についての分散値B2を、最小除去判定データB2として求めたところ、B2=21.75であった。
また、上記ばらつきによる影響を受けることがほとんどないため、上記所定の異常検出設定範囲Aに不必要に余裕を持たせなくてもよく、燃焼異常気筒を早期に検出することができる。
そのため、燃焼異常気筒において発生した燃焼異常の種類を特定することが容易になり、この燃焼異常気筒に対して容易に対処することができる。
本例は、図8に示すごとく、複数の吸気マニホールド28を有してなるV型タイプの定置式レシプロエンジン2について、各吸気マニホールド28間に生じるおそれがある燃焼用混合気G1の状態の違いを考慮して、上記燃焼異常の検出精度を一層向上させる例である。
V型タイプの定置式レシプロエンジン2は、クランク軸(図示略)を中心にしてV字状に配設した一対の気筒201〜212を複数配列してなるものである。そして、本例の各気筒201〜212は、所定の気筒数毎に各吸気マニホールド28に接続されている。
また、各気筒201〜212の排気口にはそれぞれ温度センサ27が設けてあり、各気筒201〜212の排気口は、排気マニホールド29にそれぞれ接続されている。
そして、上記最大除去判定データB1及び最小除去判定データB2は、上記異常検出時点において、上記異常気筒組内の全気筒201〜206又は207〜212を用いて算出し、上記燃焼異常気筒の検出も異常気筒組内の全気筒201〜206又は207〜212の中から行う。
また、最大除去判定データB1及び最小除去判定データB2は、異常気筒組内の全気筒201〜206又は207〜212について、上述した実施例1の数6におけるB1、B2を用いて求めることができる。
そこで、本例では、上記判定時点taにおけるいずれかの気筒組内の全気筒201〜206又は207〜212の温度変化量D(i)の気筒組分散値Bzもまた異常検出設定範囲Aを超えたときに、はじめて上記燃焼異常気筒の検出を行い、この燃焼異常気筒における燃焼異常が温度低下異常であるか又は温度上昇異常であるかの判別を行うことができる。
その他は、本例においても、上記実施例1と同様であり、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例の燃焼異常気筒の検出方法は、定置式レシプロエンジン2における燃焼異常が認知されたときに、上記各気筒21〜26から排気される排気ガスの温度を測定し、燃焼異常が発生した気筒を検出する方法である。
すなわち、本例においては、エンジンのクランク軸における角速度変動、排気圧力の脈動、軸出力の変動、排気ガス触媒の温度上昇等を利用して、定置式レシプロエンジン2において燃焼異常が発生したことを検出することができる。
次いで、定置式レシプロエンジン1における燃焼異常の発生が検出されたときには、この燃焼異常の発生時点を異常検出時点とすると共に異常検出時点よりも前のいずれかの時点を過去時点tbとする。そして、各気筒21〜26について、上記異常検出時点(判定時点ta)における上記温度データT(i)aと過去時点tbにおける温度データT(i)bとの差分である温度変化量D(i)をそれぞれ求める。
このように、上記燃焼異常気筒の温度低下異常又は温度上昇異常を区別した検出は、従来から用いられる各種の異常検出方法(ロジック)に付加して行うこともできる。
また、本例の燃焼異常気筒の検出方法は、上記実施例2と同様にV型タイプの定置式レシプロエンジン2に使用することもできる。
本例は、上記定置式レシプロエンジン1において燃焼異常が検出された後に、さらに燃焼異常気筒の検出を継続する際に、上記燃焼異常気筒の検出方法が誤判定を行ってしまうことを防止する例である。
すなわち、定置式レシプロエンジン1において燃焼異常が検出された後に、さらに燃焼異常気筒の検出を継続する際には、燃焼異常状態にある最小変化気筒x2又は最大変化気筒x1が正常状態に復帰することがある。
これにより、異常検出時点以降の所定時間内において、燃焼異常気筒を検出する際に用いる過去時点tbにおける温度データT(i)bを、上記固定温度データX(i)として、異常検出時点における温度変化量D(i)を求める際に用いた過去時点tbにおける温度データT(i)bに固定する。
そして、各気筒21〜26について、各判定時点taにおける温度データT(i)aと固定温度データX(i)との差分である過去固定温度変化量D’(i)をそれぞれ求める。これにより、異常検出時点以降の所定時間内において、燃焼異常気筒を検出する際に用いる各気筒21〜26についての温度変化量D(i)を過去固定温度変化量D’(i)とする。
次いで、この気筒判別開始時点において、上記全気筒21〜26のうち過去固定温度変化量D’(i)が最も大きい気筒を最大変化修正気筒x1’として、この最大変化修正気筒x1’を除いた残りの気筒における過去固定温度変化量D’(i)について修正分散値B1’を求め、これを最大除去修正判定データB1’とする。
一方、上記全気筒21〜26のうち過去固定温度変化量D’(i)が最も小さい気筒を最小変化修正気筒x2’として、この最小変化修正気筒x2’を除いた残りの気筒における過去固定温度変化量D’(i)について修正分散値B2’を求め、これを最小除去修正判定データB2’とする。
一方、最大除去修正判定データB1’が最小除去修正判定データB2’よりも小さい場合には、最大変化修正気筒x1’において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出する。
また、上記異常検出時点以降の所定時間内は、定置式レシプロエンジン2における燃焼状態を実験により確認しながら決定することができるが、例えば、いずれかの気筒21〜26において温度低下異常又は温度上昇異常の発生が検出された後、修正分散値B’が異常検出設定範囲A内に復帰するまでの時間に、判定時点taと過去時点tbとの時間間隔(ta−tb)の1〜10倍の時間を加えた時間内とすることができる。
図9において、S101’〜S110’は、実施例1における図1のS101〜S110に対応しており、図10において、S201’〜S204’は、実施例1における図2のS201〜S204に対応している。
本例においても、燃焼異常気筒の検出方法における優れた作用効果を確認するための確認試験を行った。この確認試験においては、上記定置式レシプロエンジン1において燃焼異常が検出された後に、燃焼異常を発生させている燃焼異常気筒が再び正常状態に戻るときに、実施例1の燃焼異常気筒の検出方法では誤判定がなされてしまうところを解消した事例5について説明する。
表6に、本事例において、上記各気筒21〜26毎に温度変化量D(i)を求めると共に、全気筒21〜26における温度変化量D(i)の分散値Bを求め、かつ、最大除去判定データB1及び最小除去判定データB2についても求めた結果の一例を示す。また、表6には、本事例において、各気筒21〜26毎に過去固定温度変化量D’(i)を求めると共に、全気筒21〜26における過去固定温度変化量D’(i)の修正分散値B’を求め、かつ、最大除去修正判定データB1’及び最大除去修正判定データB2’
についても求めた結果の一例も示す。
また、本事例において、サンプリングタイムは0.5[秒]とし、上記分散値Bを求める演算間隔は5[秒]とし、また、異常検出設定範囲Aは0〜4とした。
そして、10[秒]の時点において、全気筒21〜26のうち温度変化量D(i)が最も大きい最大変化気筒x1は第1気筒21及び第3気筒23であり、その温度変化量D(i)の値は0.5であった。一方、全気筒21〜26のうち温度変化量D(i)が最も小さい最小変化気筒x2は第6気筒26であり、その温度変化量D(i)の値は−6.5であった。
すなわち、17[秒]の時点においては、第6気筒26における温度変化量D(i)が最も大きく(D(i)=6.5)、最大変化気筒x1とされ、最大除去判定データB1(B1=8.74)が最小除去判定データB2(B2=3.3)よりも大きく、最大変化気筒x1である第6気筒26において、燃焼ガスの吹き抜けにより温度上昇異常が発生したかのように思われる。
2 定置式レシプロエンジン
21〜26 各気筒
27 温度センサ
28 吸気マニホールド
3 発電機
ta 判定時点(現時点)
tb 過去時点
T(i) 温度データ
T(i)a 判定時点における温度データ
T(i)b 過去時点における温度データ
D(i) 温度変化量D(i)
B 分散値
F 標準偏差
A 異常検出設定範囲
x1 最大変化気筒
x2 最小変化気筒
B1 最大除去判定データ
B2 最小除去判定データ
Bmax 最大分散値
X(i) 固定温度データ
D’(i) 過去固定温度変化量
B’ 修正分散値
x1’ 最大変化修正気筒
x2’ 最小変化修正気筒
B1’ 最大除去修正判定データ
B2’ 最小除去修正判定データ
Claims (11)
- 複数の気筒を有する定置式レシプロエンジンにおいて、燃焼異常が発生した気筒を検出する方法であって、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記測定を行ったいずれかの時点を判定時点とすると共に該判定時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記判定時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えたときには、当該判定時点を異常検出時点とし、該異常検出時点において、上記全気筒のうち上記温度変化量が最も大きい気筒を最大変化気筒として、該最大変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去判定データとし、一方、上記全気筒のうち上記温度変化量が最も小さい気筒を最小変化気筒として、該最小変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去判定データとし、
上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも大きい場合には、上記最小変化気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも小さい場合には、上記最大変化気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。 - 請求項1において、上記異常検出時点は、上記全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が、上記異常検出設定範囲を超え、再び該異常検出設定範囲以下になるまでの間の判定時点のうち、上記分散値又は標準偏差の値が最も大きい判定時点とすることを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。
- 請求項1又は2において、上記全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲を超えたときには、当該分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲よりも大きい所定のエンジン停止設定値を超えているか否かを判定し、当該分散値又は標準偏差が上記エンジン停止設定値を超えた場合には、上記定置式レシプロエンジンを停止させることを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。
- 複数の気筒を有する定置式レシプロエンジンにおいて、燃焼異常が発生した気筒を検出する方法であって、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記測定を行ったいずれかの時点を判定時点とすると共に該判定時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記判定時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えたときには、当該判定時点を異常検出時点とすると共に、該異常検出時点における上記温度変化量を求める際に用いた上記過去時点における上記温度データを、各気筒毎に固定温度データとして記憶し、
上記異常検出時点以降の所定時間内においては、上記温度センサによる測定及び上記各気筒毎における上記温度データの保存を継続し、上記測定を行った各時点を判定時点として、該判定時点における上記温度データと上記固定温度データとの差分である過去固定温度変化量を上記各気筒についてそれぞれ求め、
上記異常検出時点以降の所定時間内における各判定時点のうち、全気筒における上記過去固定温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が最大になった判定時点を気筒判別開始時点とし、該気筒判別開始時点において、上記全気筒のうち上記過去固定温度変化量が最も大きい気筒を最大変化修正気筒として、該最大変化修正気筒を除いた残りの気筒における上記過去固定温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去修正判定データとし、一方、上記全気筒のうち上記過去固定温度変化量が最も小さい気筒を最小変化修正気筒として、該最小変化修正気筒を除いた残りの気筒における上記過去固定温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去修正判定データとし、
上記最大除去修正判定データが上記最小除去修正判定データよりも大きい場合には、上記最小変化修正気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去修正判定データが上記最小除去修正判定データよりも小さい場合には、上記最大変化修正気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。 - 複数の気筒を有する定置式レシプロエンジンにおいて、燃焼異常が発生した気筒を検出する方法であって、
上記定置式レシプロエンジンは、複数の吸気マニホールドを有してなるV型エンジンであり、上記各気筒は、所定数毎に上記各吸気マニホールドに接続されており、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記測定を行ったいずれかの時点を判定時点とすると共に該判定時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記判定時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
上記各吸気マニホールドにそれぞれ接続された複数の気筒の組を気筒組として、いずれかの該気筒組内の全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えたときには、当該判定時点を異常検出時点とすると共に、上記分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲を超えた気筒組を異常気筒組とし、
上記異常検出時点において、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記温度変化量が最も大きい気筒を最大変化気筒として、該最大変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去判定データとし、一方、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記温度変化量が最も小さい気筒を最小変化気筒として、該最小変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去判定データとし、
上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも大きい場合には、上記最小変化気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも小さい場合には、上記最大変化気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。 - 請求項5において、上記異常検出時点は、上記いずれかの気筒組内の全気筒における上記温度変化量の分散値又は標準偏差が、上記異常検出設定範囲を超え、再び該異常検出設定範囲以下になるまでの間の判定時点のうち、上記分散値又は標準偏差の値が最も大きい判定時点とすることを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。
- 請求項5又は6において、上記いずれかの気筒組内の全気筒における上記温度変化量の分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲を超えたときには、当該分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲よりもさらに大きい所定のエンジン停止設定値を超えているか否かを判定し、当該分散値又は標準偏差が上記エンジン停止設定値を超えた場合には、上記定置式レシプロエンジンを停止させることを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。
- 複数の気筒を有する定置式レシプロエンジンにおいて、燃焼異常が発生した気筒を検出する方法であって、
上記定置式レシプロエンジンは、複数の吸気マニホールドを有してなるV型エンジンであり、上記各気筒は、所定数毎に上記各吸気マニホールドに接続されており、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記測定を行ったいずれかの時点を判定時点とすると共に該判定時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記判定時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
上記各吸気マニホールドにそれぞれ接続された複数の気筒の組を気筒組として、いずれかの該気筒組内の全気筒における上記温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が所定の異常検出設定範囲を超えたときには、当該判定時点を異常検出時点とすると共に、上記分散値又は標準偏差が上記異常検出設定範囲を超えた気筒組を異常気筒組とし、かつ、上記異常検出時点における上記温度変化量を求める際に用いた上記過去時点における上記温度データを、各気筒毎に固定温度データとして記憶し、
上記異常検出時点以降の所定時間内においては、上記温度センサによる測定及び上記各気筒毎における上記温度データの保存を継続し、上記測定を行った各時点を判定時点として、該判定時点における上記温度データと上記固定温度データとの差分である過去固定温度変化量を上記各気筒についてそれぞれ求め、
上記異常検出時点以降の所定時間内における各判定時点のうち、上記異常気筒組内の全気筒における上記過去固定温度変化量について求めた分散値又は標準偏差が最大になった判定時点を気筒判別開始時点とし、該気筒判別開始時点において、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記過去固定温度変化量が最も大きい気筒を最大変化修正気筒として、該最大変化修正気筒を除いた残りの気筒における上記過去固定温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去修正判定データとし、一方、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記過去固定温度変化量が最も小さい気筒を最小変化修正気筒として、該最小変化修正気筒を除いた残りの気筒における上記過去固定温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去修正判定データとし、
上記最大除去修正判定データが上記最小除去修正判定データよりも大きい場合には、上記最小変化修正気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去修正判定データが上記最小除去修正判定データよりも小さい場合には、上記最大変化修正気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。 - 請求項1〜8のいずれか一項において、上記過去時点は、上記判定時点の直前に上記温度センサが測定を行った直前時点よりもさらに前の時点とすることを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。
- 複数の気筒を有する定置式レシプロエンジンにおいて、燃焼異常が発生した気筒を検出する方法であって、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記定置式レシプロエンジンに燃焼異常が発生したときには、該燃焼異常の発生時点を異常検出時点とすると共に該異常検出時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記異常検出時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
上記異常検出時点において、全気筒のうち上記温度変化量が最も大きい気筒を最大変化気筒として、該最大変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去判定データとし、一方、上記全気筒のうち上記温度変化量が最も小さい気筒を最小変化気筒として、該最小変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去判定データとし、
上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも大きい場合には、上記最小変化気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも小さい場合には、上記最大変化気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。 - 複数の気筒を有する定置式レシプロエンジンにおいて、燃焼異常が発生した気筒を検出する方法であって、
上記定置式レシプロエンジンは、複数の吸気マニホールドを有してなるV型エンジンであり、上記各気筒は、所定数毎に上記各吸気マニホールドに接続されており、
温度センサにより上記各気筒から排気される排気ガスの温度をそれぞれ逐次測定して、該測定を行った各気筒毎の排気ガスの温度を各気筒毎に温度データとして保存し、
上記定置式レシプロエンジンに燃焼異常が発生したときには、該燃焼異常の発生時点を異常検出時点とすると共に該異常検出時点よりも前のいずれかの時点を過去時点として、上記各気筒について、上記異常検出時点における上記温度データと上記過去時点における上記温度データとの差分である温度変化量をそれぞれ求め、
上記異常検出時点において、上記各吸気マニホールドにそれぞれ接続された複数の気筒の組を気筒組として、該各気筒組内の全気筒における上記温度変化量についてそれぞれ分散値又は標準偏差を求め、上記各気筒組のうち上記分散値又は標準偏差が最も大きな気筒組を異常気筒組とし、
該異常気筒組内の全気筒のうち上記温度変化量が最も大きい気筒を最大変化気筒として、該最大変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最大除去判定データとし、一方、上記異常気筒組内の全気筒のうち上記温度変化量が最も小さい気筒を最小変化気筒として、該最小変化気筒を除いた残りの気筒における上記温度変化量について分散値又は標準偏差値を求め、これを最小除去判定データとし、
上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも大きい場合には、上記最小変化気筒において温度が低下する燃焼異常が発生したことを検出し、一方、上記最大除去判定データが上記最小除去判定データよりも小さい場合には、上記最大変化気筒において温度が上昇する燃焼異常が発生したことを検出することを特徴とする定置式レシプロエンジンにおける燃焼異常気筒の検出方法。
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