JP5496004B2 - エンジンの失火検出装置及び方法 - Google Patents

エンジンの失火検出装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料ガスと空気とを混合してエンジンの燃焼室内にて燃焼せしめるように構成されたガスエンジンを含むエンジンの失火検出装置および方法に関する。
内燃機関においては、燃焼室内の温度異常や供給燃料の着火性不適切等の原因によって燃焼室内の混合気が燃焼しない現象、所謂失火が発生することがある。失火が発生すると内燃機関の回転速度の低下や、不完全燃焼ガスもしくはガスエンジンの場合には燃料ガスが未燃のまま排出される等の問題を生じる。このため、ガスエンジン、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関については、失火の発生を確実に検出してエンジンの耐久性、性能安定性、大気汚染の低減性等を維持する必要がある。
かかる内燃機関の失火検出については多くの提案がされており、例えば、特許文献1(特許第4370338号公報)には、失火判定ステップ(特許文献1の公報段落0079、0080等)として、爆発上死点前後の筒内圧力が上死点に対して、線対称の波形になることを利用し、等クランク角度分離れた上死点前、上死点後の筒内圧力の比が1近傍であれば、失火と判定する技術が示されている。
すなわち、上死点から一定クランク角θだけ離れた筒内圧力P(θ)とP(−θ)は、失火時に完全に左右対称波形となるため、P(θ)/P(−θ)の値が一定しきい値(1に近い値)を下回った時に失火と判定している。
また、特許文献2(特開2007−239529号公報)には、正常に点火が行われた場合には、燃焼によるトルクが発生することによって点火後のクランク時間が短くなり、点火前のクランク時間と点火後のクランク時間の差分が大きくなるが、失火が発生した場合には、燃焼によるトルクが発生しないことによって点火後のクランク時間は点火前のクランク時間の近傍値となる。従って、前記差分を検出することで失火の判定が可能となることが示されている。
さらに、特許文献2には、失火が起きると振動発生が不安定となり、ノック信号のレベルの変動が大きくなるので、ノック信号のレベルにばらつきが生じて標準偏差が大きくなる。このため、標準偏差が所定値以下の場合は、正常であるとの判定を行うことが可能となる技術が開示されている。
特許第4370338号公報 特開2007−239529号公報
しかし、前記特許文献2のように、ノッキングの振動信号の標準偏差を用いる場合には、エンジンに生じる振動状態を検知して失火を判定するため、筒内の燃焼状態を筒内圧力信号で直接的に検知して判定するものに比べて判定の的確性において問題がある。
また、筒内圧力信号を用いる特許文献1においては、失火時の筒内圧力波形は、正常時の圧力波形よりも小さいため、特に、エンジン回転数が低い領域においては、筒内圧力信号の十分なS/N比を取ることができず、ノイズの影響を受けやすくなる。
また、筒内圧センサの機差により、僅かにセンサ出力特性が異なるため、その影響を受けやすい。
さらに、特許文献1においては、爆発上死点前後の筒内圧力が上死点に対して、線対称の波形になることを利用するため、上死点位置を正確に計測する必要があるが、クランク角センサのパルス発生間隔分のずれ等により、上死点位置を複数気筒の全てにおいて寸分のずれもなく計測することは困難であり、上死点より僅かに早い、または遅い位置となり、そこを基準とした±θのクランク位置における筒内圧力となる。これによって、爆発上死点前後の筒内圧力が上死点に対して、線対称の波形になることを前提とする計測タイミングに誤差を含む。すなわち、特許文献1の方法では、筒内圧サンプリングタイミングが上死点に対して対称位置にずれを生じて判定結果に誤差を生じる問題がある。
そこで、本発明は、これら課題に鑑みてなされたもので、筒内圧センサのサンプリングタイミングの細かい位置ずれや筒内圧センサの機差等を問題にすることなく、筒内圧センサによって検出した筒内圧力を用いて、確実かつ高精度な失火判定ができるエンジンの失火検出装置及び方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1発明は、エンジンが副室を備えパイロット燃料を該副室に噴射するパイロット着火方式のガスエンジンの失火検出装置において、
筒内圧力を検出する筒内圧検出手段と、
圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から当該筒内圧力のばらつきを算出する筒内圧力ばらつき算出手段と、
前記筒内圧力のばらつきに基づいて前記エンジンの失火を判定する失火判定手段とを備え、前記筒内圧力ばらつき算出手段は、圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から筒内圧標準偏差を算出し、
前記失火判定手段は、前記筒内圧標準偏差が、第1所定値より小さく第2所定値以上のときにはパイロット着火状態下での失火と判定し、第2所定値未満のときにはパイロット着火も失火した完全失火と判定する。
また、第2発明は、第1発明のエンジンの失火検出装置にかかる発明に対応した失火検出方法の発明であり、エンジンが副室を備えパイロット燃料を該副室に噴射するパイロット着火方式のガスエンジンの失火検出方法において、
圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角における筒内圧力を、複数の運転サイクルにわたって検出し、該所定クランク角における筒内圧力のばらつきを標準偏差により算出し、
前記筒内圧標準偏差が第1所定値より小さく第2所定値以上のときにはパイロット着火状態下での失火と判定し、第2所定値未満のときにはパイロット着火も失火した完全失火と判定することを特徴とする。
さて上記の発明において、圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)を前記筒内圧検出手段によって検出する。失火して燃焼状態にないときには図3のように爆発上死点前後の筒内圧力が上死点に対して、線対称の波形になるとともに、図4、図5のように毎サイクルはほぼ一定の値を示す筒内圧力特性となる。図5には、失火すると徐々に筒内圧力P(θ)が低下していく傾向が示されるが、この筒内圧力P(θ)自体では大きな変動として捉えにくい。
そこで、かかる第1発明、第2発明によると、圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの筒内圧力のばらつきを算出して、この筒内圧力のばらつきに基づいてエンジンの失火を判定するため、失火状態を的確に把握できるようになる。
そして、第1発明においては、前記筒内圧力ばらつき算出手段は、圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から筒内圧標準偏差を算出し、前記失火判定手段は、前記筒内圧標準偏差が所定値未満である時に失火と判定するとよく、第2発明においては、所定クランク角における前記筒内圧力のばらつきを標準偏差により算出し、該標準偏差が所定値未満であるときに失火と判定する。
このように、筒内圧力のばらつきを把握する手法として、図6、図7に示すように直近のnサイクル分の筒内圧力P(θ)の値から、統計処理に用いられる標準偏差σP(θ)を算出し、圧縮上死点後の燃焼期間内の一定のクランク角θにおける筒内圧力P(θ)のばらつきを把握する。
エンジンが失火せずに正常に燃焼している場合には、上死点後の筒内圧力は常に燃焼変動を行っているため、標準偏差σP(θ)の値は高めに計測されるが、失火後には燃焼せずに気体の圧縮および膨張を繰り返すだけであるため、低めの標準偏差σP(θ)の値が計測される。従って、この低めに計測される標準偏差の値が第1所定値Pに達しない、すなわちσP(θ)<Pであるときに失火状態にあると判定することによって、失火状態を確実に判断できる。
このように、失火現象を燃焼変動の有無として捉えて、その指標とするばらつきに標準偏差を用いるため、確実に失火を検出できる。特に、燃焼変動が大きく表れる燃焼期間内の所定クランク角の筒内圧力を用いることによって、より確実な失火判定が可能となる。
また、従来技術においては筒内圧センサのサンプリングタイミングの細かい位置ずれや筒内圧センサの機差による出力特性差等の問題を有していたが、本発明では、常に燃焼期間内の一定のクランク角位置において、同一の筒内圧力センサによってサンプリングされる筒内圧力データであれば、サンプリングタイミングの細かい位置合わせ、例えば、上死点位置からの正確な位置合わせ等を行わなくても、さらに筒内圧センサの機差による出力特性に差を有していても、それらの影響を受けることなく精度よい失火判定ができる。
また、第1発明において、前記エンジンが副室を備えパイロット燃料を該副室に噴射するパイロット着火方式のガスエンジンであるとよく、さらに、前記失火判定手段は、前記筒内圧標準偏差が第1所定値より小さく第2所定値以上のときにはパイロット着火状態下での失火と判定し、第2所定値未満のときにはパイロット着火も失火した完全失火と判定する。
また、第2発明において、前記エンジンが副室を備えパイロット燃料を該副室に噴射するパイロット着火方式のガスエンジンであり、前記筒内圧標準偏差が第1所定値より小さく第2所定値以上のときにはパイロット着火状態下での失火と判定し、第2所定値未満のときにはパイロット着火も失火した完全失火と判定するとよい。
このように、燃焼期間内の所定クランク角における筒内圧力の標準偏差を第1所定値との比較で失火状態を判定するとともに、第1所定値より小さい第2所定値との比較によって、パイロット着火はしているが当該気筒の主燃焼室では着火していないパイロット着火状態下の失火と、パイロット着火もしていない完全失火とを区別して判定できるようになる。
パイロット着火を行っていれば、パイロット着火タイミング以降、筒内圧力波形はパイロット燃料の燃焼によって、僅かに乱れを生じるが、パイロット燃料量が極わずかであるため、筒内圧力波形からはパイロット着火の有無を判断することは困難である。
ところが、燃焼期間内における所定のクランク角θにおける筒内圧力の標準偏差σP(θ)を求めると、僅かな燃焼変動でも標準偏差が大きくなるため、図8のように、パイロット着火状態下の失火と完全失火状態とでは、閾値レベルで見極めることができるようになる。
従って、図8のように、第1所定値Pより小さい第2所定値Pとの比較によって、パイロット着火状態下の失火と、パイロット着火もしていない完全失火とを区別できる。
このようにパイロット着火の有無を判定できることによって、パイロット着火式ガスエンジンにおいては、失火原因は、パイロット着火しているが主燃料(ガス供給弁)が供給断である場合、パイロット着火による火種が点いていない場合、の両方の可能性があり、ガス供給弁の動作不良か、パイロット着火弁の動作不良かの判別がつかず、従来両方の制御弁を同時交換せざるを得なかったが、本発明によると無駄な制御弁の同時交換作業を解消することができる。
また、第1発明において、少なくともパイロット着火の前後を含む複数クランク角における筒内圧力を前記筒内圧検出手段によって検出し、該複数クランク角のそれぞれにおける筒内圧標準偏差に基づいて、パイロット着火の有無およびパイロット着火時期を判定するパイロット着火判定手段を備える。
また、第2発明におい、前記エンジンが副室を備えパイロット燃料を該副室に噴射するパイロット着火方式のガスエンジンであり、少なくともパイロット着火の前後を含む複数クランク角における筒内圧力を検出し、該複数クランク角のそれぞれにおける筒内圧標準偏差に基づいて、パイロット着火の有無およびパイロット着火時期を判定してもよい。
このように、少なくともパイロット着火の前後を含む複数クランク角における筒内圧力を前記筒内圧検出手段によって検出し、該複数クランク角のそれぞれにおける筒内圧力の標準偏差である筒内圧標準偏差を求めることによって、僅かな燃焼変動でもおおきく把握することができるようになり、第2所定値Pを超える標準偏差を満たすクランク角が少なくとも1つ存在するときには、パイロット着火があったと判定する。そして、そのクランク角の最小角をパイロット着火タイミングと判定することができる。
またパイロット着火の有無の判定に加えてパイロット着火が生じている場合には着火タイミングまで判定することができるので、パイロット着火状態をより確実に判定できる。そして、このようにパイロット着火の有無を判定できることによって、前述したように、ガス供給弁とパイロット着火弁との無駄な同時交換作業を解消することができるようになる。
また、第1発明において、前記筒内圧力ばらつき算出手段は、圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から、フーリエ変換又はウェーブレット変換を用いて特徴量データを算出し、前記失火判定手段は、前記特徴量データの統計解析に基づいて失火を判定してもよい。
また、第2発明において好ましくは、所定クランク角における前記筒内圧力のばらつきの特徴量データをフーリエ変換又はウェーブレット変換を用いて算出し、前記特徴量データの統計解析に基づいて失火を判定するとよい。
このように、筒内圧力のばらつきを把握するのに標準偏差でなく、フーリエ変換又はウェーブレット変換を用いて算出してもよく、これら他のデータ解析手法を利用することによっても、確実な失火判定が可能となる。
また、第1発明において、圧縮上死点後の燃焼期間内の前記所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)と、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pとの比である筒内圧力比P(θ)/Pを算出する筒内圧力比算出手段と、該筒内圧力比P(θ)/Pが失火閾値より小さくなったときに失火と判定する筒内圧力比判定手段とを備えてもよい。
また、第2発明において、縮上死点後の燃焼期間内の前記所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)と、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pとの比である筒内圧力比P(θ)/Pを算出し、該筒内圧力比P(θ)/Pが失火閾値より小さくなったときに失火と判定するとともに、前記標準偏差によって失火でないと判定した場合であっても、前記筒内圧力比P(θ)/Pに基づいて失火と判定したときには失火状態と判定するとよい。
標準偏差を基に失火状態を判定する場合には、直近のn個の筒内圧力データを用いて計算するため、実際に失火してから標準偏差の値が第1所定値以下となるまでに最大でnサイクル要し、この間、ガスエンジンの場合には未燃焼の燃料ガスが排出されて、煙道に流れ込む可能性がある。
しかし、圧縮上死点後の燃焼期間内の前記所定クランク角(θ)における筒内圧力P(θ)と、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pとの比である筒内圧力比P(θ)/Pが失火閾値より小さくなったときに失火と判定する筒内圧力比判定手段を設けることによって、標準偏差を用いる失火判定手段によって失火でないと判定した場合であっても、失火状態と判定することで、標準偏差による失火判定の時間的遅れを解消するとともに、標準偏差を用いことによる判定の確実さを有し、早期かつ確実な失火判定が可能となる。
尚、標準偏差を用いる場合だけではなく、前記のようにフーリエ変換又はウェーブレット変換を用いて算出するばらつきの把握の場合においても、判定の時間的遅れを解消することができ、この間に未燃焼の燃料ガスが排出されて、煙道に流れ込む可能性を防止できる。
本発明によれば、筒内圧力を検出する筒内圧検出手段と、圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から当該筒内圧力のばらつきを算出する筒内圧力ばらつき算出手段と、前記筒内圧力のばらつきに基づいて前記エンジンの失火を判定する失火判定手段とを備え、燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの筒内圧力のばらつきを算出して、この筒内圧力のばらつきに基づいてエンジンの失火を判定するため、失火状態を的確に把握できるようになる。
具体的には、筒内圧力のばらつきの把握に、複数サイクルの筒内圧力から筒内圧標準偏差を算出し該標準偏差を用いて失火を判定することによって、または、他のデータ解析手法としてフーリエ変換又はウェーブレット変換を用いて特徴量データを算出して統計解析に基づいて失火を判定することで、より確実な失火判定が可能となる。
また、従来技術においては筒内圧センサのサンプリングタイミングの細かい位置ずれや筒内圧センサの機差による出力特性差等の問題を有していたが、本発明では、常に燃焼期間内の一定のクランク角位置において、同一の筒内圧力センサによってサンプリングされる筒内圧力データであれば、サンプリングタイミングの細かい位置合わせ、例えば、上死点位置からの正確な位置合わせ等を行わなくても、さらに筒内圧センサの機差による出力特性に差を有していても、それらの影響を受けることなく精度よい失火判定ができる。
すなわち、本発明によれば、筒内圧センサのサンプリングタイミングの細かい位置ずれや筒内圧センサの機差等を問題にすることなく、筒内圧センサによって検出した筒内圧力を用いて、確実かつ高精度な失火判定が可能となる。
本発明の失火検出装置をガスエンジンに適用した全体構成図である。 第1実施形態の失火検出装置の構成ブロック図である。 正常時と失火時との筒内圧力特性図である。 失火時の筒内圧力特性図を3次元的に表したものである。 失火時の筒内圧力特性図を2次元的に表したものである。 燃焼サイクル数に対する筒内圧力の変化を示す説明図である。 燃焼サイクル数に対する筒内圧力比と筒内圧標準偏差との変化を示す説明図である。 第2実施形態の説明図であり、パイロット着火状態での失火と完全失火との筒内圧標準偏差(一定クランク角での筒内圧標準偏差)を示す説明図である。 第3実施形態の説明図であり、パイロット着火状態での失火と完全失火との筒内圧力特性図である。 第3実施形態の説明図であり、パイロット着火状態での失火と完全失火との筒内圧標準偏差(複数クランク角で筒内圧標準偏差)を示す説明図である。 第4実施形態の説明図であり、パイロット着火状態での失火と完全失火との筒内圧力特性図である。 第1実施形態の失火判定装置を含む燃焼診断装置の全体制御フローチャートである。 第2実施形態の失火判定装置の制御フローチャートである。 第4実施形態の失火判定装置の制御フローチャートである。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
図1は、本発明の失火検出装置1をガスエンジン3に適用した全体構成である。図1において、ガスエンジン3は4サイクルガスエンジンであり、発電用のエンジンとして用いられる例を示す。ガスエンジン3は、エンジン本体5、ピストン7、クランク軸9、主燃焼室11、吸気弁13、排気弁15、排気管17を備えている。
吸気弁13に通じる吸気管19の管路の途中には、吸気管19内を流通する空気(吸気)中に燃料ガスを供給するガス供給装置(ガスミキサー)21が設けられている。燃料ガスは、図示しないガスタンクからガス供給管23を介して供給され、そのガス供給管23にはガス供給装置21へのガス供給量を制御するガス供給弁25が設けられている。ガス供給弁25は燃焼制御装置27からの制御信号によって開度が変化せしめられて、ガス供給管23の流路面積が調整されるとともに、遮断あるいは開度が制御されるようになっている。
また、主燃焼室11の上部には、着火装置29が設けられ、この着火装置29には副室31が内部に設けられ、該副室31にパイロット着火弁33からパイロット燃料を噴射し、着火させて該着火火炎を火種として、副室31の噴孔から主燃焼室11内の希薄混合ガス中に噴射して燃焼を促進する。
着火装置29は、燃焼制御装置27からの制御信号によって、ガス供給弁25の開度制御とともに、噴射タイミングや噴射量の制御が行われる。
また、主燃焼室11には、主燃焼室11内のガス圧力すなわち、筒内圧力を検出する筒内圧センサ(筒内圧検出手段)35が設けられ、クランク軸9のクランク角を検出するクランク角センサ37が設けられ、それぞれ検出信号は燃焼診断装置39に入力される。
クランク軸9からの回転出力は、発電機41を駆動すると共に、発電機41の負荷がエンジン負荷信号として燃焼診断装置39に入力される。また、ガスエンジン3のカム軸トップ位置を検出するカム軸トップ検出器43が設けられ、燃焼診断装置39に入力される。
燃焼診断装置39は、ガスエンジン3の燃焼状態を診断して、筒内最高圧力、ノッキング、失火、消炎等の異常燃焼状態、さらに筒内圧センサ35の異常を判定して警報を発するものであり、この燃焼診断装置39内に失火状態を検出する失火検出装置1が設けられる。
(第1実施形態)
失火検出装置1は、図1、2に示すように、筒内圧センサ35から、気筒毎の直近の複数サイクルの筒内圧力信号を受けて、圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)のばらつきを算出する筒内圧力ばらつき算出手段47と、該筒内圧力のばらつきは該圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)に基づいて失火状態にあるかを判定する失火判定手段49とを備える。
このばらつき算出手段47の一例として、圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)の標準偏差を前記ばらつき算出手段47によって算出し、該算出した筒内圧標準偏差を用いて失火判定手段49で失火を判定する。
完全失火していて燃焼状態にないときには図3のように爆発上死点前後の筒内圧力が上死点に対して、線対称の波形になるとともに、図4のように毎燃焼サイクルはほぼ一定の値を示す筒内圧力特性となる。図4は、失火時の燃焼サイクル毎の筒内圧力特性図を3次元的に表したものであり、図5は、失火時の燃焼サイクル毎の筒内圧力特性図を2次元的に表したものである。
図5には、失火すると徐々に筒内圧力P(θ)が低下していく傾向が示されるが、P(θ)では大きな変動として捉えにくい。
そこで、直近のnサイクル分の筒内圧力P(θ)の値から、統計処理に用いられる標準偏差σP(θ)を算出し、圧縮上死点後の燃焼期間内の一定のクランク角θにおける筒内圧力P(θ)のばらつきを把握する。
図6に示すように、1サイクルからnサイクルにおける、圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角θの筒内圧力P(θ)=P、P、P、…Pの標準偏差をσPとして算出し、2サイクルからn+1サイクルまでの筒内圧力P(θ)=P、P、…Pn+1の標準偏差をσPとして算出した結果を図7に示す。
図7では、筒内圧力P(θ)のP、P、P、…、または筒内圧力比P(θ)/P等の変化では、大きな変化として捉えることはできないが、筒内圧力の標準偏差とし表すことで、変化を捉えることができ、第1所定値Pvを用いて失火状態を的確に判定できるようになる。なお、筒内圧力比P(θ)/Pは、燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)と圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力P(図3参照)との圧力比をいう。
このように、エンジンが失火せずに正常に燃焼している場合には、上死点後の筒内圧力は常に燃焼変動を行っているため、標準偏差σP(θ)の値は高めに計測されるが、失火後には燃焼せずに気体の圧縮および膨張を繰り返すだけであるため、低めの標準偏差σP(θ)の値が計測される。従って、この低めに計測される標準偏差の値が第1所定値Pに達しない、すなわちσP(θ)<Pであるときに失火状態にあると判定することによって、失火状態を確実に判断できる。
なお、標準偏差が第1所定値未満であるかどうかは、正常時と異常時とのばらつきに対する差を統計処理により検出する一手法である。すなわち、本実施例においては、標準偏差を指標とし、しきい値で判断する事を前提としているが、他のデータ解析手法、例えば、ウェーブレット変換によるパワースペクトラム又はフーリエ変換によるパワースペクトラムを指標とし、相関又はタグチメソッド等で判断する方法等を用いてもよい。
以上の判定手法を基に、図12を参照して、失火判定手段49における制御フローについて説明する。
ステップS1で燃焼診断を開始すると、ステップS2で筒内圧センサ35のセンサ異常条件が成立するかを判定する。すなわち筒内圧力が上がらないか若しくは変化しない等の条件の成立を判定する。異常であれば筒内圧センサ35を交換する等の異常判定後の動作に移り、正常であれば次の診断ステップに進む。
ステップS3では、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pと筒内最高圧力Pとの比(P/P)が、許容圧縮比PC0以下かの圧縮圧力異常条件の成立を判定する。許容圧縮比PC0以下の場合には、ガス漏れ等の機械的トラブルによって圧縮圧力が正常値から異常に低下しているものと判定する。正常であれば次のステップS4に進む。
ステップS4では、筒内最高圧力Pの異常条件が成立するかを判定する。圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pと筒内最高圧力Pとの比(P/P)が、許容最高圧力比PP0以上のとき、すなわち、(P/P)≧PP0のときに筒内最高圧力の異常条件が成立したと判定して、筒内最高圧力Pの異常と判断する。正常であれば次のステップS5に進む。
ステップS5では、ノッキング発生条件が成立するかを判定する。ノッキング発生条件は、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pと筒内最高圧力Pとの比(P/P)が、ノッキング発生限界として予め設定されたノッキング許容圧力比P以上のとき、すなわち(P/P)≧Pとなるサイクル発生数が許容回数を超えた場合にノッキングが発生しているものと判定する。ノッキング発生せずに正常である場合には、次のステップS6に進む。
ステップS6で、失火判定を行う。すなわち、前述したように、圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角θにおける標準偏差σP(θ)の値が、閾値である第1所定値Pに達しない、すなわちσP(θ)<Pであるときに失火状態にあると判定する。このステップS6によって、失火判定手段49が構成されている。
そして、失火がなく正常である場合には、ステップS7に進んで、消炎の条件が成立しているか判定する。消炎の条件は、燃焼行程における特定クランク角における筒内圧力P、Pの圧力比(P/P)が、消炎許容圧力比Pよりも小さいとき、すなわち、(P/P)≦Pのときには、消炎発生の判定を行う。消炎が発生していない場合には、次のステップS8に進む。
ステップS8では、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pと筒内最高圧力Pとの比(P/P)が、許容最小圧力比よりも大きくなった正常燃焼時において、前記筒内最高圧力Pが基準値より高い条件が成立しているかを判定する。圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pと筒内最高圧力Pとの比(P/P)が、予め設定された基準最高圧力比の最大値PSH以上のとき、すなわち、(P/P)≧PSHのときに筒内最高圧力Pが基準値より高くなっていると判定する。
また、ステップS9では、筒内最高圧力Pが基準値より低い条件が成立しているかを判定する。圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pと筒内最高圧力Pとの比(P/P)が、予め設定された基準最高圧力比の最小値PSL以下のとき、すなわち、(P/P)≦PSLのときに筒内最高圧力Pが基準値より低くなっていると判定する。
そして、ステップS10に進んで正常と判断して、ステップS11でリターンする。以上の手順を繰り返して、燃焼診断を行う。
以上のような第1実施形態によれば、直近のnサイクル分の筒内圧力P(θ)の値から、統計処理に用いられる標準偏差σP(θ)を算出し、圧縮上死点後の燃焼期間内の一定のクランク角θにおける筒内圧力P(θ)のばらつきを把握して、標準偏差σP(θ)の値が第1所定値Pに達しない、すなわちσP(θ)<Pであるときに失火状態にあると判定することによって、失火状態を確実に判断できる。
また、筒内圧力P(θ)を燃焼期間内のクランク角における圧力を検出するため、失火時と正常時との圧力変動の差が大きく捉えることができる。そして、失火現象を燃焼変動の有無として捉えて筒内圧力のばらつきの指標として標準偏差を用いることによって、確実な失火判定が可能となる。
なお、他のデータ解析手法、例えば、ウェーブレット変換によるパワースペクトラム又はフーリエ変換によるパワースペクトラムを指標とし、相関又はタグチメソッド等で判断する方法等を用いても確実な失火判定が可能となる。
また、従来技術においては筒内圧センサのサンプリングタイミングの細かい位置ずれや筒内圧センサの機差による出力特性差等の問題を有していたが、本発明では、常に燃焼期間内の一定のクランク角位置において、同一の筒内圧力センサ35によってサンプリングされる筒内圧力データであれば、サンプリングタイミングの細かい位置合わせ、例えば、上死点位置からの正確な位置合わせ等を行わなくても、さらに筒内圧センサの機差による出力特性に差を有していても、それらの影響を受けることなく精度よい失火判定ができる。
(第2実施形態)
次に、失火検出装置1の第2実施形態を、図2、図13を参照して説明する。この第2実施形態は、失火判定手段50によって、着火装置29のパイロット着火状態での失火、すなわち、パイロット着火は行われているが主燃焼室11では失火している状態を判定することを特徴とする。
図13のように、第1実施形態のフローチャート(図12)のステップS6の判定で、燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧標準偏差σP(θ)の値が、閾値である第1所定値(失火閾値)Pに達しない、すなわちσP(θ)<Pであるときに失火状態にあると判定するが、このステップS6によって失火状態と判定された場合に、さらにステップS12で、筒内圧標準偏差σP(θ)の値が、第2所定値(パイロット失火閾値)P以上か、未満かを判定する。
筒内圧標準偏差σP(θ)が第2所定値P以上のときには、ステップS13に進みパイロット着火状態下での失火、すなわち、副室31内においてパイロット着火しているが、主燃焼室11内においては燃料ガスが供給されていない等の原因で燃料ガスへの着火がされていない失火と判断し、第2所定値P未満のときにはステップS14に進み前記パイロット着火も失火している完全失火と判断する。
図8には、パイロット着火状態での失火から完全失火へと変化するに伴って、燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧標準偏差σP(θ)の値がどのように変化するかを示したものである。
A領域は、失火はなく正常に燃焼している。エンジンが失火せずに正常に燃焼している場合には、上死点後の筒内圧力は常に燃焼変動を行っているため、筒内圧標準偏差σP(θ)の値は高めに、且つ大きく変動する。
B領域は、パイロット着火状態での失火が生じており、パイロット着火の燃焼による僅かな乱れを生じることによって筒内圧標準偏差σP(θ)は、低下するが僅かに変動を繰り返し、失火閾値Pとパイロット失火閾値Pとの間に位置される。
C領域は、パイロット着火もしてなく、完全に失火状態にあり、燃焼が生じていないため、筒内圧標準偏差σP(θ)は、さらに低下してほとんど変動せず、パイロット失火閾値Pより下になる。
以上のような第2実施形態によると、図8のように、パイロット着火状態下の失火と完全失火とを、閾値レベルで見極めることができるようになる。つまり、燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧標準偏差σP(θ)の値と、失火閾値(第1所定値)Pおよび失火閾値Pより小さいパイロット失火閾値(第2所定値)Pと、比較することによって、パイロット着火状態下の失火と、パイロット着火もしていない完全失火とを区別できるようになる。
また、このようにパイロット着火の有無を判定できることによって、パイロット着火式ガスエンジンにおいては、失火原因は、パイロット着火しているが主燃料(ガス供給弁25)が供給断である場合、パイロット着火による火種が点いていない場合、の両方の可能性があり、ガス供給弁25の動作不良か、パイロット着火弁33の動作不良かの判別がつかず、従来両方の制御弁を同時交換せざるを得なかったが、本発明によると、無駄な制御弁の同時交換作業を解消することができる。
具体的には、パイロット着火状態で失火していると判定したときには、ガス供給弁25の動作不良と考えられるためガス供給弁25の交換を行い、また、完全失火状態と判定したときには、パイロット着火弁33とガス供給弁25との両方またはパイロット着火弁33の作動不良と考えられるため、まずパイロット着火弁33を交換して、再度判定してパイロット着火状態での失火と判定したときには、さらにガス供給弁25を交換することで、効率的な制御弁の交換が可能となる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図2、図9、図10を参照して説明する。第3実施形態は、第1実施形態、第2実施形態は、燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧力の標準偏差σP(θ)の値を基に、閾値との比較によって失火を判定したが、この手法を拡張して少なくともパイロット着火の前後を含む複数クランク角に拡大するものである。
筒内圧センサ35によって検出した筒内圧力を用いて、複数クランク角のそれぞれにおける筒内圧標準偏差を算出して、該各筒内圧標準偏差を用いてパイロット着火の有無およびパイロット着火時期を判定するパイロット着火判定手段53(図2の第1実施形態の失火検出装置1に点線で示す)を備える。
図9の実線Dは、パイロット着火状態下の失火の筒内圧力波形を示し、点線Eは、完全失火の筒内圧力波形を示し、それぞれの圧力波形を差を明確にする意味で誇張して示したものである。
実線D、点線Eのようにパイロット着火を行っていれば、パイロット着火タイミング以降、筒内圧力波形はパイロット燃料の燃焼によって、僅かに乱れを生じるが、パイロット燃料量が極わずかであるため、筒内圧力波形からはパイロット着火の有無を判断することは困難である。
ところが、筒内圧力の標準偏差σP(θ)を求めると、僅かな燃焼変動でも標準偏差が大きくなる。このため、筒内圧標準偏差を用いることで図10のように、パイロット着火状態下の失火と完全失火とで、閾値レベルで見極めることができるようになる。この閾値レベルによる失火状態の見極めは第2実施形態の説明と同様である。
第3実施形態では、例えば、図9において圧縮行程から燃焼行程にかけて全てのクランク角C〜C(例えば、クランク角センサ37のパルス間隔毎等)の複数クランク角におけるそれぞれの位置で、第1実施形態で説明したような直近のnサイクルの筒内圧力を基に筒内圧標準偏差を求める。そして、その全ての筒内圧標準偏差σP(θ)をクランク角C〜Cの間で連ねてグラフ化したものが図10である。
図9の筒内圧力の波形からでは、明確な差を定量評価できないが、図10のように、パイロット着火状態下での失火の場合の筒内圧標準偏差の変化とすることによって、パイロット着火の有無が明確になり、定量評価できることがわかる。
図10より、パイロット失火閾値Pを超える筒内圧標準偏差を満たすクランク角が少なくとも1つ存在するときには、パイロット着火があったと判定でき、そのパイロット失火閾値Pを超えるクランク角の最小角をパイロット着火タイミングTと判定することができる。
以上のように第3実施形態によると、パイロット着火判定手段53によってパイロット着火の有無の判定に加えてパイロット着火が生じている場合には着火角度まで判定することができるので、パイロット着火有無をより確実に判定できる。
そして、このようにパイロット着火の有無を判定できることによって、第2実施形態と同様に、ガス供給弁とパイロット着火弁との無駄な同時交換作業を解消することができる。
なお、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて、第3実施形態における複数のクランク角の中に第2実施形態の圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角を含めたものとしてもよいことは勿論である。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図2、図11、図14を参照して説明する。第4実施形態は、第1実施形態の筒内圧標準偏差を基に失火状態を判定する場合には、直近のn個の筒内圧力データを用いて計算するため、実際に失火してから標準偏差の値が失火閾値P以下となるまでに最大でnサイクル要し、この間、ガスエンジン場合には未燃焼の燃料ガスが排出されて、煙道に流れ込む可能性があることを解消するために、筒内圧力比P(θ)/Pを用いて失火を判定する筒内圧力比判定手段55(図2の第1実施形態の失火検出装置1に点線で示す)をさらに備える。
この筒内圧力比P(θ)/Pは、圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角(θ)における筒内圧力P(θ)と、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pとの比であり、筒内圧力比算出手段56によって算出される。
算出された筒内圧力比P(θ)/Pは、筒内圧力比判定手段55によって失火閾値と比較し、失火閾値より小さくなったときに失火と判定する。
そして、失火判定手段49によって失火でないと判定した場合であっても、この筒内圧力比判定手段55によって失火状態と判定することで、筒内圧標準偏差による失火判定の時間的遅れを解消する。
判定方法を図14のフローチャートによって説明する。第1実施形態のフローチャート(図12)のステップS6の判定で、燃焼期間内の所定クランク角θにおける筒内圧標準偏差σP(θ)の値が、閾値である第1所定値(失火閾値)Pに達しない、すなわちσP(θ)<Pであるときに失火状態にあると判定してステップS16に進むが、このステップS6によって失火状態ではなく正常と判定さした場合には、ステップS15に進む。ステップS15では、再度失火条件が成立するかが判定される。このステップS15の判定は、筒内圧力比判定手段55によって筒内圧力比P(θ)/Pが失火閾値Pn+βより小さいかを判定する。
圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pは、エンジン運転時には常に一定値を示すため、筒内圧力比P(θ)/Pは、燃焼時には高めで変動推移するが、失火すると筒内圧力比の値は小さくなり、かつ変動幅も小さくなる。
従って、失火閾値Pn+βの設定によって失火を判定できるが、この失火閾値を設定する際に、クランク角センサ37の検出ばらつきによる筒内圧力のサンプリングのばらつき、回転速度の大小による筒内圧センサ35の応答遅れ等により、確実な判定ができない恐れがあるため、それら変動分による影響を加味した一定値βを基準閾値Pnに加算したものとしている。このような一定の加算値によって、図11に示すように、失火閾値がβ分高められ、失火判定のタイミングを早めて、失火の早期発見を加えた確実な失火判定ができるようになる。
また、筒内圧力比判定手段55で失火判定する際に、失火条件が成立したときの演算周期回数、すなわち失火判定回数をカウントし、連続失火判定回数Nが失火許容回数Nm0以上となったとき、すなわちN≧Nm0となったときに、失火と判定するようにしてもよく、このような許容回数を設定することで、瞬時的な筒内圧力のノイズ信号による失火誤検出を防ぐことができる。
以上のような第4実施形態によれば、筒内圧力比P(θ)/Pが失火閾値Pn+βより小さくなったときに失火と判定する筒内圧力比判定手段55を備えて、筒内圧標準偏差を用いる失火判定手段49によって失火でないと判定した場合であっても、筒内圧力比判定手段55によって失火状態と判定することで、標準偏差による失火判定の時間的遅れを解消するとともに、標準偏差を用いことによる判定の確実さを有し、早期かつ確実な失火判定が可能となる。
なお、以上説明した各実施形態はそれぞれ適宜組み合わせて構成してもよい。
また、各実施形態において説明した筒内圧力については筒内圧力の絶対値Pではなく、エンジン運転中において大気状態等の外部条件による変動が小さい吸気圧力を含む圧縮始め以前の基準圧力P(図3参照)との差圧(ΔP=P−P)を用いてもよい。これにより、筒内圧センサ35の劣化、温度リフト、較正不良等による判定精度の低下を回避できる。
本発明によれば、筒内圧センサのサンプリングタイミングの細かい位置ずれや筒内圧センサの機差等を問題にすることなく、筒内圧センサによって検出した筒内圧力を用いて、確実かつ高精度な失火判定ができるため、エンジンの失火検出装置及び方法へ用いることに適している。
1 失火検出装置
3 ガスエンジン
9 クランク軸
11 主燃焼室
21 ガス供給装置
25 ガス供給弁
29 着火装置
31 副室
33 パイロット着火弁
35 筒内圧センサ(筒内圧検出手段)
37 クランク角センサ
39 燃焼診断装置
41 発電機
47 筒内圧力ばらつき算出手段
49、50 失火判定手段
53 パイロット着火判定手段
55 筒内圧力比算出手段
失火閾値(第1所定値)
パイロット失火閾値(第2所定値)

Claims (8)

  1. エンジンが副室を備えパイロット燃料を該副室に噴射するパイロット着火方式のガスエンジンの失火検出装置において、
    筒内圧力を検出する筒内圧検出手段と、
    圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から当該筒内圧力のばらつきを算出する筒内圧力ばらつき算出手段と、
    前記筒内圧力のばらつきに基づいて前記エンジンの失火を判定する失火判定手段とを備え、前記筒内圧力ばらつき算出手段は、圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から筒内圧標準偏差を算出し、
    前記失火判定手段は、前記筒内圧標準偏差が、第1所定値より小さく第2所定値以上のときにはパイロット着火状態下での失火と判定し、第2所定値未満のときにはパイロット着火も失火した完全失火と判定することを特徴とするエンジンの失火検出装置。
  2. エンジンが副室を備えパイロット燃料を該副室に噴射するパイロット着火方式のガスエンジンの失火検出装置において、
    筒内圧力を検出する筒内圧検出手段と、
    圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から当該筒内圧力のばらつきを算出する筒内圧力ばらつき算出手段と、
    前記筒内圧力のばらつきに基づいて前記エンジンの失火を判定する失火判定手段とを備え、前記筒内圧力ばらつき算出手段は、圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から筒内圧標準偏差を算出し、
    前記失火判定手段は、少なくともパイロット着火の前後を含む複数クランク角における筒内圧力を前記筒内圧検出手段によって検出し、該複数クランク角のそれぞれにおける筒内圧標準偏差に基づいて、パイロット着火の有無およびパイロット着火時期を判定するパイロット着火判定手段を備えたことを特徴とするエンジンの失火検出装置。
  3. エンジンの失火検出装置において、
    筒内圧力を検出する筒内圧検出手段と、
    圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から当該筒内圧力のばらつきを算出する筒内圧力ばらつき算出手段と、
    前記筒内圧力のばらつきに基づいて前記エンジンの失火を判定する失火判定手段とを備え、
    前記筒内圧力ばらつき算出手段は、圧縮上死点後であって燃焼期間内の所定クランク角における複数サイクルの前記筒内圧力から、フーリエ変換又はウェーブレット変換を用いて特徴量データを算出し、
    前記失火判定手段は、前記特徴量データの統計解析に基づいて失火を判定することを特徴とするエンジンの失火検出装置。
  4. 圧縮上死点後の燃焼期間内の前記所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)と、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pとの比である筒内圧力比P(θ)/Pを算出する筒内圧力比算出手段と、該筒内圧力比P(θ)/Pが失火閾値より小さくなったときに失火と判定する筒内圧力比判定手段とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のエンジンの失火検出装置。
  5. エンジンが副室を備えパイロット燃料を該副室に噴射するパイロット着火方式のガスエンジンの失火検出方法において、
    圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角における筒内圧力を、複数の運転サイクルにわたって検出し、該所定クランク角における筒内圧力のばらつきを標準偏差により算出し、
    前記筒内圧標準偏差が第1所定値より小さく第2所定値以上のときにはパイロット着火状態下での失火と判定し、第2所定値未満のときにはパイロット着火も失火した完全失火と判定することを特徴とするエンジンの失火検出方法。
  6. 少なくともパイロット着火の前後を含む複数クランク角における筒内圧力を検出し、該複数クランク角のそれぞれにおける筒内圧標準偏差に基づいて、前記パイロット着火の有無およびパイロット着火時期を判定することを特徴とする請求項記載のエンジンの失火検出方法。
  7. エンジンの失火検出方法において、
    圧縮上死点後の燃焼期間内の所定クランク角における筒内圧力を、複数の運転サイクルにわたって検出し、該所定クランク角における前記筒内圧力のばらつきの特徴量データをフーリエ変換又はウェーブレット変換を用いて算出し、
    前記特徴量データの統計解析に基づいて失火を判定することを特徴とする請求項5記載のエンジンの失火検出方法。
  8. 圧縮上死点後の燃焼期間内の前記所定クランク角θにおける筒内圧力P(θ)と、圧縮行程における着火前の特定クランク角での筒内圧力Pとの比である筒内圧力比P(θ)/Pを算出し、該筒内圧力比P(θ)/Pが失火閾値より小さくなったときに失火と判定するとともに、前記標準偏差によって失火でないと判定した場合であっても、前記筒内圧力比P(θ)/Pに基づいて失火と判定したときには失火状態と判定することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のエンジンの失火検出方法。
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