JP2016053351A - 酸化触媒の異常判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気通路に備えられた酸化触媒の異常判定装置に関する。
【解決手段】異常判定装置は、燃料のセタン価を検出するセタン価検出部と、要求排ガス温度Tceを、検出されたセタン価が低いほど高くなるように、検出されたセタン価に基づいて算出する要求排ガス温度算出部と、DOCに流入する排ガスの温度を上昇させる上流側排ガス昇温部と、DOCの異常判定を実行すべき条件が成立したとき、検出される上流側排ガス温度Tinが算出された要求排ガス温度Tceよりも低いと判定した場合、上流側排ガス昇温部を用いて検出される上流側排ガス温度Tinを算出された要求排ガス温度Tceまで上昇させた後、DOC前後の温度差ΔTと、所定閾値ΔTthと、の比較結果に基づいてDOCが異常であるか否かを判定する異常判定部と、を備える。これにより、本判定装置は、誤判定を防止することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の排気通路に備えられた酸化触媒に異常(故障)が発生しているか否かを判定する酸化触媒の異常判定装置に関する。
従来から、内燃機関(特に、ディーゼル機関)の排気通路には同機関から排出される未燃成分を酸化する酸化触媒が配設されている。この触媒がディーゼル機関に適用されるとき、この触媒は「DOC(ディーゼル酸化触媒)」と称呼されている。
このような酸化触媒は、白金及びパラジウム等の貴金属を触媒物質として担持している。酸化触媒は、触媒物質の温度(或いは、触媒床温)が所定の活性化温度以上であるとき、排ガス中の未燃成分(HC、CO)を酸化して排ガスを浄化する。この酸化反応は熱を発生する。従って、酸化触媒が排ガスを浄化している場合、下流側排ガス温度(酸化触媒の出口ガス温度)は、上流側排ガス温度(酸化触媒の入口ガス温度)よりも高くなる。
ところで、前述した活性化温度は、酸化触媒が劣化するほど高くなる。一方、触媒物質の温度は触媒の上流側排ガス温度に応じて変化する。そこで、従来の装置は、酸化触媒の異常判定を行う際、触媒の上流側排ガス温度を、正常な酸化触媒であれば活性化するが、異常な(劣化した)触媒であれば活性化しない温度(判定許可温度)に調整する。その後、従来の装置は、未燃成分を酸化触媒に供給し、上流側排ガス温度に対する下流側排ガス温度の変化量(増加温度)を求める。そして、従来の装置は、前記変化量が判定値よりも小さい場合に酸化触媒が異常であると判定する(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2010−203238号公報
しかしながら、酸化触媒において燃料の酸化反応が生じる排ガス温度は燃料のセタン価が低いほど高い。よって、燃料のセタン価が低い場合には、排ガス温度が「セタン価が高い燃料に対して設定された活性化温度」を超えていても、酸化触媒が正常であるにもかかわらず酸化反応が生じないことがある。
その一方、近年においては、機関の燃費を改善した結果、機関の通常の運転状態における排ガスの温度が比較的低くなってきている。この結果、従来の装置においては、酸化触媒の上流側排ガス温度と下流側排ガス温度との差(触媒前後の温度差)を用いた「酸化触媒の異常判定」において正常品を異常品と誤判定する機会が増える虞がある。
本発明は上記問題に対処するために為されたものである。即ち、本発明の目的の一つは、酸化触媒の前後の温度差を利用した同触媒の異常判定において誤判定を防止することができる酸化触媒の異常判定装置を提供することにある。
本発明の酸化触媒の異常判定装置(以下、「本発明装置」と称呼する。)は、第1温度検出部と、第2温度検出部と、未燃成分供給部と、セタン価検出部と、要求排ガス温度算出部と、上流側排ガス昇温部と、異常判定部と、を備える。
を備える。
前記第1温度検出部は、前記排気通路を流れ且つ前記酸化触媒に流入する排ガスの温度を上流側排ガス温度として検出する。第1温度検出部は周知の温度センサであってもよい。
前記第2温度検出部は、前記酸化触媒から流出する排ガスの温度を下流側排ガス温度として検出する。第2温度検出部は周知の温度センサであってもよい。
前記未燃成分供給部は、前記酸化触媒に所定量の未燃成分を供給する。未燃成分供給部が所定量の未燃成分を、活性化した正常な酸化触媒に供給すると、未燃成分が酸化触媒にて酸化され熱を発生する。従って、下流側排ガス温度が上昇し、上流側排ガス温度と下流側排ガス温度との差分である「触媒前後の温度差」が発生する。前記所定量は、例えば、活性化した正常な酸化触媒に同所定量の未燃成分が供給されたとき、「触媒前後の温度差」が所定閾値を超えるような量に設定される。
未燃成分供給部は、主燃料噴射(メイン噴射)の噴射時期から遅れた噴射時期にて実行される副燃料噴射(所謂ポスト噴射)を行うための装置(例えば、筒内噴射弁及び筒内噴射弁への燃料供給装置)であってもよい。この場合、ポスト噴射による燃料が燃焼室内において燃焼しないように噴射時期が設定される。或いは、未燃成分供給部は、前記酸化触媒よりも排気通路の上流部位に燃料を添加することによって同酸化触媒に燃料を供給する装置(例えば、燃料添加弁及び燃料添加弁への燃料供給装置)であってもよい。
前記セタン価検出部は、前記燃料のセタン価(アンチノック性を示す燃料性状、着火し易さ、蒸発のし易さを示す価)を検出する。例えば、内燃機関の着火時期及び発生トルクは燃料のセタン価に依存しており、所定量の燃料を所定の燃料噴射時期に噴射した場合における着火時期及び発生トルク等からセタン価を検出することができる。着火時期は、各気筒に設置される筒内圧センサによって検出される筒内圧の変化及び機関回転速度の変化等に基づいて算出してもよい。内燃機関の発生トルクは、検出される機関回転速度の変動量及びトルクセンサの出力値に基づいて算出してもよい。
前記要求排ガス温度算出部は、要求排ガス温度を、前記検出されたセタン価が低いほど高くなるように、前記検出されたセタン価に基づいて算出する。要求排ガス温度は、活性化している正常な酸化触媒において燃料の酸化反応が生じる温度のうちの最低温度(「酸化反応可能温度」とも称呼する。)又はその近傍の温度であり、セタン価が低いほど高くなる。要求排ガス温度は、セタン価と酸化反応可能温度との関係が予め定められたルックアップテーブルに、検出されたセタン価を適用することにより求められてもよい。或いは、要求排ガス温度は、セタン価と酸化反応可能温度との関係を規定する予め定められた関数に、検出されたセタン価を代入することによって算出されてもよい。
前記上流側排ガス昇温部は、前記酸化触媒に流入する排ガスの温度を上昇させる。上流側排ガス昇温部は、内燃機関の任意の気筒(燃焼室)において圧縮行程中に実行される主燃料噴射(メイン噴射)の後、副燃料噴射(所謂アフター噴射)を燃料噴射弁に実行させることにより、前記酸化触媒に流入する排ガスの温度を上昇させてもよい。アフター噴射の噴射時期は、例えば、膨張行程初期から中期の間が好ましい。これによって、メイン噴射による燃料の燃焼が燃焼室内で継続し、燃焼室から排出される排ガスが高温となり、その結果、上流側排ガス温度を上昇させることができる。
前記異常判定部は、前記酸化触媒の異常判定を実行すべき条件が成立したとき、前記未燃成分供給部により前記所定量の未燃成分を前記酸化触媒へと供給する。それとともに、異常判定部は、前記検出される上流側排ガス温度と前記検出される下流側排ガス温度との差分である「触媒前後の温度差」と、所定閾値と、の比較結果に基づいて前記酸化触媒が異常であるか否かを判定する。
未燃成分供給部が、所定量の未燃成分を活性化した酸化触媒に供給すると、前記酸化触媒が正常である場合は未燃成分が酸化され熱を発生する。その結果、下流側排ガス温度が上昇し「触媒前後の温度差」が発生する。一方、前記酸化触媒が異常である場合は未燃成分が酸化されにくい。その結果、「触媒前後の温度差」は微少(所定閾値以下)となる。よって、異常判定部は、例えば、前記「触媒前後の温度差」が所定閾値以上である場合には酸化触媒が正常であると判定し、「触媒前後の温度差」が所定閾値よりも小さい場合には酸化触媒が異常であると判定する。
更に、前記異常判定部は、前記異常判定を実行すべき条件が成立したとき、前記検出される上流側排ガス温度が前記算出された要求排ガス温度よりも低いと判定した場合、次のように異常判定を行う。即ち、異常判定部は、前記上流側排ガス昇温部を用いて前記検出される上流側排ガス温度を前記算出された要求排ガス温度まで上昇させた後、前記触媒前後の温度差と、前記所定閾値と、の比較結果に基づいて前記酸化触媒が異常であるか否かを判定する。
前述したように、上流側排ガス温度が要求排ガス温度(酸化反応可能温度)まで上昇すると、セタン価が比較的低い燃料であっても、正常な酸化触媒において酸化反応を起こすことができる。従って、本発明装置は、酸化触媒の前後の温度差を利用した同触媒の異常判定において燃料のセタン価の相違に起因する誤判定を防止することができる。
本発明の一態様に係る異常判定装置において、前記要求排ガス温度算出部は、前記「要求排ガス温度」を前記酸化触媒において前記燃料の酸化反応が生じるのに必要な温度として算出する。
前述したように、セタン価は燃料の蒸発のし易さを表す指標である。燃料は、そのセタン価が低いほど蒸発しにくくなる。よって、本発明装置は、燃料のセタン価が低いときは上流側排ガス温度を「要求排ガス温度」まで上昇させる。その結果、本発明装置は、燃料を酸化触媒にて酸化反応を起こすことができる程度にまで蒸発させることができ、確実に同触媒の異常判定を実行することができる。更に、本発明装置は、燃料のセタン価が低い場合にのみ酸化触媒に流入する排ガスの温度を要求排ガス温度まで上昇させるので、異常判定実行時における燃費の悪化を抑制することができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る「酸化触媒の異常判定装置」が適用された内燃機関の概略構成図である。 図2は、セタン価と図1に示したディーゼル酸化触媒(DOC)の反応可能温度との関係を示すグラフである。 図3は、ディーゼル酸化触媒(DOC)の異常判定時における未燃成分の供給量、上流側排ガス温度、下流側排ガス温度、正常判定フラグ及び異常判定フラグの関係を示したタイムチャートである。図3(A)は正常DOCの場合の上記関係を示した図であり、図3(B)は異常DOCの場合の上記関係を示した図である。 図4は、本実施形態のCPUが実行する「DOC昇温制御フラグ及びDOC異常判定フラグ設定ルーチン」を示したフローチャートである。 図5は、本実施形態のCPUが実行する「DOC異常判定ルーチン」を示したフローチャートである。 図6は、本実施形態のCPUが実行する「DOC昇温制御ルーチン」を示したフローチャートである。 図7は、セタン価とディーゼル酸化触媒(DOC)の反応可能温度と、の関係を規定したルックアップテーブルである。 図8は、検出用噴射時期とトルク相当増大量との関係及びこれらの関係が燃料のセタン価に影響を受ける様子を示したグラフである。 図9は、変曲点クランク角度とセタン価との関係を示したグラフである。
<実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る酸化触媒の異常判定装置(以下、「本判定装置」とも称呼する。)について説明する。
(構成)
本判定装置は、図1に示した内燃機関(機関)10に適用される。機関10は、多気筒(本例では直列4気筒)・4サイクル・ピストン往復動型・ディーゼル機関である。機関10は、機関本体部20、燃料供給系統30、吸気系統40及び排気系統50を含んでいる。
機関本体部20は、シリンダブロック、シリンダヘッド及びクランクケース等を含む本体21を備える。本体21には、4つの気筒(燃焼室)22が形成されている。各気筒22の上部には燃料噴射弁(インジェクタ)23が配設されている。燃料噴射弁23は、後述する電子制御装置60の指示に応答して開弁し、気筒22内に燃料を直接噴射するようになっている。
燃料供給系統30は、燃料加圧ポンプ(サプライポンプ)31と、燃料送出管32と、コモンレール(蓄圧室)33と、を含む。燃料加圧ポンプ31の吐出口は燃料送出管32に接続されている。燃料送出管32はコモンレール33に接続されている。コモンレール33は燃料噴射弁23に接続されている。
燃料加圧ポンプ31は、図示しない燃料タンクに貯留されている燃料を汲み上げた後に加圧し、その加圧された高圧燃料を燃料送出管32を通してコモンレール33へ供給するようになっている。
吸気系統40は、インテークマニホールド41、吸気管42及び過給機TCのコンプレッサ43を含んでいる。
排気系統50は、エキゾーストマニホールド51、排気管52、ディーゼル酸化触媒53及び過給機TCのタービン54を含んでいる。以下において、ディーゼル酸化触媒53は「DOC53」と称呼される。
エキゾーストマニホールド51は各気筒22に接続された枝部と、枝部が集合した集合部と、を含む。排気管52はエキゾーストマニホールド51の集合部に接続されている。エキゾーストマニホールド51及び排気管52は排気通路を構成している。排気管52には、排ガスの流れの上流から下流に向け、タービン54及びDOC53が配設されている。
DOC53は、白金及びパラジウム等の貴金属を触媒として、排ガス中の未燃成分(HC、CO)を酸化し、排ガスを浄化する。即ち、DOC53により、HCは水とCOに酸化され、COはCOに酸化される。
電子制御装置60は、周知のマイクロコンピュータを含む電子回路であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM(スタティックRAM又は不揮発性メモリ)及びインタフェース等を含む。電子制御装置60は、以下に述べるセンサ類と接続されていて、これらのセンサからの信号を受信(入力)するようになっている。更に、電子制御装置60は、CPUからの指示に応じて、燃料噴射弁23及び燃料加圧ポンプ31等の各種アクチュエータに指示(駆動)信号を送出するようになっている。なお、バックアップRAMは、電子制御装置60に電力が供給されていない場合であっても情報を保持しておくことができるように構成されていれば、特に限定されない。
電子制御装置60は、第1温度センサ61、第2温度センサ62及びクランク角度センサ63等と接続されている。
第1温度センサ61は、排気管52であってDOC53の入口近傍(上流側)に配設されている。第1温度センサ61は、DOC53の上流側排ガス温度を検出し、上流側排ガス温度Tinを出力する周知の温度センサである。
第2温度センサ62は、排気管52であってDOC53の出口近傍(下流側)に配設されている。第2温度センサ62は、DOC53の下流側排ガス温度を検出し、下流側排ガス温度Toutを出力する周知の温度センサである。
クランク角度センサ63は、機関10の図示しないクランクシャフトの回転位置(即ち、クランク角度)に応じた信号を出力する。電子制御装置60は、このクランク角度センサ63及び図示しないカムポジションセンサからの信号に基づいて、所定の気筒の圧縮上死点を基準とした機関10のクランク角度(絶対クランク角度)θを取得する。更に、電子制御装置60は、クランク角度センサ63からの信号に基づいて、機関回転速度NEを取得する。
<作動の概要>
次に、本判定装置の作動の概要について説明する。DOC53は、その床温が活性化温度以上であるとき、排ガス中の未燃成分を酸化して排ガスを浄化する。しかしながら、前述したように、DOC53において燃料の酸化反応が生じる排ガス温度は、燃料のセタン価が低いほど高い。よって、燃料のセタン価が低い場合には、DOC53の床温が「セタン価が高い燃料に対して設定された活性化温度」を超えていても、DOC53が正常であるにもかかわらず、酸化反応が生じないことがある。
ところが、最近の機関10は、その燃費が大幅に改善されているので、機関10の通常の運転状態における排ガスの温度は比較的低い。その結果、DOC53の床温が前記活性化温度を超えていても、セタン価の低い燃料に対しては酸化反応が起きず、下流側排ガス温度Toutが上昇しないことがある。即ち、この場合、上流側排ガス温度Tinと下流側排ガス温度Toutとの差(触媒前後の温度差ΔT)を用いたDOC53の異常判定において正常品を異常品と誤判定する可能性がある。
そこで、本判定装置は、DOC53の異常判定を実行すべきとき、排ガスの温度が比較的低いときは、次のような考えに基づいて排ガスを昇温させる。
図2は、燃料のセタン価と要求排ガス温度(以下、「酸化反応可能温度」Tceとも称呼する。)との関係を示したグラフである。図2から理解されるように、セタン価が小さいほど酸化反応可能温度Tceは大きい(Ta>Tb>Tc>Td>Te)。なお、燃料のセタン価の取得方法については後述する。
更に、図2に示したように、車両の典型的な排ガス温度Ttypは、セタン価CNcの燃料の酸化反応可能温度Tcとセタン価CNdの燃料の酸化反応可能温度Tdとの間にある。なお、この典型的な排ガス温度Ttypは、DOC53の活性化温度よりも高い。この場合、セタン価CNdの燃料及びセタン価CNeの燃料の酸化反応可能温度Td及びTeは、典型的な排ガス温度Ttypよりも低い。よって、セタン価CNdの燃料及びセタン価CNeの燃料は、排ガス温度がTtypであるときにDOC53内にて酸化される。
一方、セタン価CNaの燃料、セタン価CNbの燃料及びセタン価CNcの燃料のそれぞれの酸化反応可能温度Ta、Tb及びTcは、典型的な排ガス温度Ttypよりも高いので、排ガス温度がTtypのときにはDOC53内において酸化されない。セタン価CNaの燃料、セタン価CNbの燃料及びセタン価CNcの燃料をDOC53内にて酸化させるためには、排ガス温度をそれぞれの酸化反応可能温度(Ta、Tb及びTc)以上にする必要がある。
そこで、本判定装置は、セタン価CNaの燃料が使用されている場合、後述する上流側排ガス昇温部によって上流側排ガス温度Tinを酸化反応可能温度Taまで上昇させる。この場合、温度上昇量はTup1である(Tup1=Ta−Ttyp)。セタン価CNbの燃料及びセタン価CNcの燃料が使用されている場合、同様に、本判定装置は、上流側排ガス昇温部によって上流側排ガス温度Tinをそれぞれ酸化反応可能温度Tb及びTcまで上昇させる。これらの場合、温度上昇量はそれぞれTup2及びTup3である。
一方、セタン価CNdの燃料及びセタン価CNeの燃料が使用されている場合、上流側排ガス温度Tin(典型的な排ガス温度Ttyp)は、所定温度Td及び所定温度Teよりも高いので、本判定装置は、上流側排ガス昇温部によって上流側排ガス温度Tinを上昇させる必要はない。
このように、本判定装置は、DOC53の異常判定を実行すべきとき、燃料のセタン価が低い燃料に対しては、排ガス温度(上流側排ガス温度Tin)を要求排ガス温度(酸化反応可能温度Tce)まで上昇させる。
次に、本判定装置によるDOC53の異常判定の流れを説明する。
(1)本判定装置は、後述の方法によって燃料のセタン価を取得する。本判定装置は、セタン価と酸化反応可能温度Tceとの関係を規定するルックアップテーブルに、取得したセタン価を適用することにより、酸化反応可能温度Tceを取得する。このルックアップテーブルは予め実験等により定められ、ROMに格納されている。
(2)本判定装置は、DOC53の異常判定を実行すべき前提条件が成立しているか否かを判定する。「異常判定を実行すべき前提条件が成立」していることとは、車両の自己診断システム(OBD:On Board Diagnosys)に異常がないこと、運転条件が比較的安定な状態にあること及びDOC53の床温が活性化温度を超えていることである。運転条件が「比較的安定な状態にある」ときとは、例えば、平地走行時であって運転者が行うアクセルペダルAPの踏込み操作に大きな変動が無いとき及び機関10がアイドリング状態であるとき等である。
(3−A)本判定装置は、前提条件が成立している場合、第1温度センサ61にて検出される上流側排ガス温度Tinが酸化反応可能温度Tce以上であるか否かを判定する。上流側排ガス温度Tinが酸化反応可能温度Tce以上である場合、本判定装置は、DOC53の異常判定を実行する。
(3−B)上流側排ガス温度Tinが酸化反応可能温度Tceよりも低い場合、本判定装置は、上流側排ガス温度Tinを酸化反応可能温度Tce以上とするために、上流側排ガス昇温制御を実行する。本判定装置は、上流側排ガス温度Tinを酸化反応可能温度Tce以上としてから、DOC53の異常判定を実行する。
(4)本判定装置は、DOC53の異常判定を実行するために、未燃成分供給量を決定し、DOC53よりも排気管52の上流部位にその未燃成分供給量の未燃成分を供給する。
(5)本判定装置は、第1温度センサ61によって検出される上流側排ガス温度Tinと、第2温度センサ62によって検出される下流側排ガス温度Toutと、の差分(触媒前後の温度差)ΔT(=Tout−Tin)を取得する。
(6)本判定装置は、触媒前後の温度差ΔTが所定閾値ΔTth以上であるか否かを判定する。本判定装置は、触媒前後の温度差ΔTが所定閾値ΔTth以上である場合は正常と判定し、触媒前後の温度差ΔTが所定閾値ΔTthよりも小さい場合は異常と判定する。
図3は、DOC異常判定時における未燃成分供給量、上流側排ガス温度Tin、下流側排ガス温度Tout、正常判定フラグ及び異常判定フラグの関係を示したタイムチャートである。図3(A)は正常なDOC53(正常DOC)の場合の上記関係を示した図であり、図3(B)は異常なDOC53(異常DOC)の場合の上記関係を示した図である。
正常DOCの場合、図3(A)において、先ず、時刻t1で未燃成分の供給が開始される。その後、時刻t2で上流側排ガス温度Tinと下流側排ガス温度Toutとの温度差ΔT(=Tout−Tin)が閾値温度Tthを超える。この時点でDOC53が正常であると判定され正常フラグが上がるとともに未燃成分の供給が終了する。
異常DOCの場合、図3(B)において、先ず、時刻t1で未燃成分の供給が開始される。その後、時刻が規定時間tcthに達したとき、上流側排ガス温度Tinと下流側排ガス温度Toutとの温度差ΔTは閾値温度Tthよりも小さい。この場合、DOC53が異常であると判定され異常フラグが上がるとともに未燃成分の供給が終了する。なお、規定時間tcthは予め定められた異常判定のための待ち時間である。
<具体的作動>
次に、CPUがDOC異常判定を行う際の実際の作動について説明する。CPUは、所定時間が経過する毎に図4にフローチャートにより示した「フラグ設定ルーチン」を実行する。CPUは、所定時間が経過する毎に図5にフローチャートにより示した「DOC異常判定ルーチン」を実行する。更に、CPUは、機関10の任意の気筒22のクランク角度CAがその気筒22の圧縮上死点前の所定角度に達したときに図6にフローチャートにより示した「DOC昇温制御ルーチン」をその気筒22に対して実行する。なお、以下の説明において、前述の「DOC異常判定前提条件」は成立しており、カウンタの値Cの初期値は「0」であると仮定する。以下、実際の作動について場合分けをして説明を行う。
(A)上流側排ガス温度Tinが酸化反応可能温度Tce以上(Tin≧Tce)である場合。
CPUは、所定時間が経過する毎に図4にフローチャートにより示したルーチンを実行するようになっている。従って、適当なタイミングにてCPUはステップ400から処理を開始し、ステップ405に進んでダイアグ実行フラグXdiagの値が「0」であるか否かを判定する。ダイアグ実行フラグXdiagは、本判定装置がDOC53の異常判定を実行するか否かを示すフラグである。即ち、本判定装置は、ダイアグ実行フラグXdiagが「1」のとき異常判定を実行するようになっている。
ダイアグ実行フラグXdiagの値は通常は「0」に設定されている。従って、通常、CPUはステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、昇温実行フラグXtupの値が「0」であるか否かを判定する。昇温実行フラグXtupは、本判定装置がDOC53の昇温制御を実行するか否かを示すフラグである。即ち、本判定装置は、昇温実行フラグXtupが「1」のとき昇温制御を実行するようになっている。
昇温実行フラグXtupの値は通常は「0」に設定されている。従って、通常、CPUはステップ410にて「Yes」と判定してステップ415に進み、燃料のセタン価を取得する。なお、燃料のセタン価は、後述する「セタン価検出処理」によって別途検出され、電子制御装置60のRAMに記憶されている。その後、CPUはステップ420に進み、ROMに格納されたルックアップテーブルMap(セタン価)に実際のセタン価を適用して酸化反応可能温度(要求排ガス温度)Tceを取得する。このテーブルMap(セタン価)は、セタン価と酸化反応可能温度(要求排ガス温度)Tceとの関係を規定している。これらの関係は実験等によって予め定められており、図7に示したように、セタン価が高いほど酸化反応可能温度Tceが低いという関係を有する。
その後、CPUはステップ425に進み、「DOC異常判定前提条件」が成立するか否かを判定する。前述の仮定によれば、「DOC異常判定前提条件」は成立しているので、CPUはステップ425にて「Yes」と判定してステップ430に進み、上流側排ガス温度Tinが酸化反応可能温度Tce以上であるか否かを判定する。
前述の仮定によれば、上流側排ガス温度Tinは酸化反応可能温度Tce以上であるので、CPUはステップ430にて「Yes」と判定してステップ435に進み、ダイアグ実行フラグXdiagを「1」に設定してステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUは所定時間が経過する毎に図5にフローチャートにより示したルーチンを実行するようになっている。従って、適当なタイミングにてCPUはステップ500から処理を開始し、ステップ505に進んでダイアグ実行フラグXdiagの値が「1」であるか否かを判定する。
現時点においてダイアグ実行フラグXdiagの値は「1」である。従って、CPUはステップ505にて「Yes」と判定してステップ510に進み、DOC異常判定前提条件が成立しているか否かを判定する。現時点において、DOC異常判定前提条件は成立している。従って、CPUはステップ510にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ515乃至ステップ525の処理を順に実行し、ステップ530に進む。
ステップ515:CPUはDOC異常判定を実行するためにDOC53へ供給すべき未燃成分の量を決定する。なお、この未燃成分の供給量は、排ガスの流量、上流側排ガス温度Tin及び下流側排ガス温度Toutの目標値(即ち、触媒前後の温度差ΔTの目標値)等から算出される。
ステップ520:CPUはステップ515で算出された未燃成分の供給量に基づいて、DOC53上流の排気管52に未燃成分を供給する。
ステップ525:CPUはカウンタの値Cを1つだけカウントアップする。
その後、CPUはステップ530にて上流側排ガス温度Tinと下流側排ガス温度Toutとの温度差ΔTが所定閾値ΔTth以上であるか否かを判定する。このとき、温度差ΔTが所定閾値ΔTth以上であれば、CPUはステップ530にて「Yes」と判定してステップ535に進み、DOC53は正常であると判定するとともにカウンタ値C及びダイアグ実行フラグXdiagの値を「0」にして、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、温度差ΔTが所定閾値ΔTthよりも小さければ、CPUはステップ530にて「No」と判定してステップ540に進み、カウンタの値Cが規定値Cth以上であるか否かを判定する。規定値Cthは、CPUが未燃成分の供給を開始してから温度差ΔTが所定閾値ΔTthを超えるか否かの判定を終了するまでの最大時間(規定時間tcth)を規定するための値である。本例においては、規定値Cthは少なくとも2よりも大きい整数である。現時点において、カウンタの値Cは「1」であり、規定値Cthよりも小さいので、CPUはステップ540にて「No」と判定してステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
その後、機関10の運転中において、CPUは適当なタイミングになると図5に示したルーチンを再び実行する。即ち、所定時間経過後、CPUは再びステップ500から処理を開始し、ステップ505に進む。現時点において、ダイアグ実行フラグの値は「1」である。従って、CPUはステップ505にて「Yes」と判定してステップ510に進む。現時点において、DOC異常判定前提条件は成立している。従って、CPUはステップ510にて「Yes」と判定し、ステップ515、ステップ520及びステップ525を順に実行してステップ530に進む。
温度差ΔTが所定閾値ΔTth以上であれば、CPUはステップ530にて「Yes」と判定してステップ535に進み、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上から理解されるように、温度差ΔTが所定閾値ΔTth以上とはならず、且つカウンタの値Cが規定値Cthに到達するまでの期間では、CPUはステップ500乃至ステップ530、ステップ540及びステップ595の処理を繰り返し実行する。よって、カウンタの値Cは、適当なタイミングになると1つずつカウントアップし、その後、温度差ΔTが所定閾値ΔTth以上とはならないまま規定時間tcthが経過すると、カウンタの値Cは規定値Cth以上に到達する。
この場合、CPUはステップ540に進んだとき、そのステップ540にて「Yes」と判定してステップ545に進み、DOC53が異常であると判定する。CPUは同時にステップ550にてカウンタの値C及びダイアグ実行フラグXdiagの値を「0」に設定した後、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、このとき、CPUは車室内に設けられた図示しない警告ランプを点灯してもよい。
なお、CPUは図5のステップ505にて「No」と判定するとステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。更に、CPUはステップ510にて「No」と判定するとステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
(B)上流側排ガス温度Tinが酸化反応可能温度Tceよりも低い(Tin<Tce)場合。
CPUは適当なタイミングになると図4のステップ400から処理を開始し、ステップ405に進む。ダイアグ実行フラグXdiagの値は通常は「0」に設定されている。従って、通常、CPUはステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進む。昇温実行フラグXtupの値は通常は「0」に設定されている。従って、通常、CPUはステップ410にて「Yes」と判定してステップ415に進み、燃料のセタン価を取得する。
更にCPUはステップ420に進み、ROMに格納されたルックアップテーブルMap(セタン価)に実際のセタン価を適用して酸化反応可能温度Tceを取得する。
その後、CPUはステップ425に進む。前述の仮定によれば、DOC異常判定前提条件は成立しているので、CPUはステップ425にて「Yes」と判定してステップ430に進む。前述の仮定によれば、上流側排ガス温度Tinは酸化反応可能温度Tceよりも低いので、CPUはステップ430にて「No」と判定してステップ440に進む。CPUはステップ440にて昇温実行フラグXtupの値を「1」に設定してステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。この時点では、ダイアグ実行フラグXdiagの値は「0」に維持されている。よって、CPUは図5のステップ500に続くステップ505にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、機関10の特定の気筒のクランク角度CAが前述の所定角度に達すると、CPUは図6のステップ600から処理を開始してステップ605に進み、昇温実行フラグXtupの値が「1」であるか否かを判定する。現時点において、昇温実行フラグXtupの値は「1」である。従って、CPUはステップ605にて「Yes」と判定してステップ610に進み、DOC異常判定前提条件が成立しているか否かを判定する。前述の仮定によれば、DOC異常判定前提条件は成立している。従って、CPUはステップ610にて「Yes」と判定してステップ615に進み、以下に述べるステップ615乃至ステップ630の処理を順次実行する。
ステップ615:CPUはROMに格納されたルックアップテーブルMap1(NE,KL)に実際の機関回転速度NE及び機関負荷KLを適用してメイン噴射量Qmを取得する。このテーブルMap1(NE,KL)は、機関回転速度NEと機関負荷KLと、メイン噴射量Qmと、の関係を規定している。
ステップ620:CPUはセタン価と上流側排ガス温度Tinとに基づいてアフター噴射量Qaを算出する。なお、アフター噴射量Qaは、セタン価が低いほど大きく、上流側排ガス温度Tinが低いほど大きくなるように算出される。アフター噴射量Qaは、セタン価と上流側排ガス温度Tinと、アフター噴射量Qaと、の関係を規定するルックアップテーブルを参照して取得される。
ステップ625:CPUは予め定められたメイン噴射時期からメイン噴射量Qmの燃料を噴射する処理を行う。
ステップ630:CPUはメイン噴射時期よりも遅角側のアフター噴射時期からアフター噴射量Qaの燃料を噴射する処理を行う。これにより排ガス温度が上昇する。
次に、CPUはステップ635にて上流側排ガス温度Tinが酸化反応可能温度Tce以上であるか否かを判定する。現時点において、上流側排ガス温度Tinは酸化反応可能温度Tce以上となっているので、CPUはステップ635にて「Yes」と判定してステップ640に進み、昇温実行フラグXtupの値を「1」から「0」に変更する。更にCPUはステップ645に進み、ダイアグ実行フラグXdiagの値を「1」に設定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、ステップ610にてDOC異常判定前提条件が成立していない場合は、CPUは「No」と判定してステップ650に進み、昇温実行フラグXtupの値を「1」から「0」に変更して、ステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
ダイアグ実行フラグXdiagの値が「1」に設定された後、適当なタイミングになるとCPUは図5のステップ500から処理を開始し、ステップ505に進む。現時点においてダイアグ実行フラグXdiagの値は「1」である。従って、CPUはステップ505にて「Yes」と判定し、前述したステップ510乃至ステップ545までの適当なステップの処理を実行する。
なお、CPUは図6のステップ605にて「No」と判定するとステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。更に、CPUはステップ635にて「No」と判定するとステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように、本判定装置は、内燃機関10の排気通路(排気管52)に配設された酸化触媒(ディーゼル酸化触媒、DOC53)と、
前記排気通路を流れ且つ前記酸化触媒に流入する排ガスの温度を上流側排ガス温度Tinとして検出する第1温度検出部(第1温度センサ61)と、
前記酸化触媒から流出する排ガスの温度を下流側排ガス温度Toutとして検出する第2温度検出部(第2温度センサ62)と、
前記酸化触媒に所定量(図5のステップ515にて決定された量)の未燃成分を供給する(図5のステップ520)未燃成分供給部と、
前記酸化触媒の異常判定を実行すべき条件(DOC異常判定前提条件)が成立したとき(図5のステップ510にて肯定判定)、前記未燃成分供給部により前記所定量の未燃成分を前記酸化触媒へと供給する(図5のステップ520)とともに、前記検出される上流側排ガス温度と前記検出される下流側排ガス温度との差分である触媒前後の温度差ΔTと、所定閾値ΔTthと、の比較結果に基づいて前記酸化触媒が異常であるか否かを判定する(図5のステップ530、ステップ535、ステップ540及びステップ545)異常判定部と、
を備える。
そして、前記異常判定装置は、
前記燃料のセタン価を検出する(図4のステップ415)セタン価検出部と、
要求排ガス温度(酸化反応可能温度Tce)を、前記検出されたセタン価が低いほど高くなるように、前記検出されたセタン価に基づいて算出する(図4のステップ420)要求排ガス温度算出部と、
前記酸化触媒に流入する排ガスの温度を上昇させる(図6のステップ620及びステップ630)上流側排ガス昇温部と、
を更に備え、
前記異常判定部は、
前記異常判定を実行すべき条件が成立したとき(図4のステップ425にて肯定判定)、前記検出される上流側排ガス温度が前記算出された要求排ガス温度よりも低いと判定した場合(図4のステップ430にて否定判定)、前記上流側排ガス昇温部を用いて前記検出される上流側排ガス温度を前記算出された要求排ガス温度まで上昇させた後(図6のステップ635にて肯定判定)、前記触媒前後の温度差と、前記所定閾値と、の比較結果に基づいて前記酸化触媒が異常であるか否かを判定する(図5のステップ505乃至ステップ545)。
更に、本判定装置において、前記要求排ガス温度算出部は、前記要求排ガス温度Tceを前記酸化触媒において前記燃料の酸化反応が生じるのに必要な温度として算出される。
従って、本判定装置は、酸化触媒の前後の温度差を利用した同触媒の異常判定において、燃料のセタン価の相違に起因する誤判定を防止することができる。
(セタン価検出方法)
前述のセタン価検出部が燃料のセタン価を検出するのに必要な情報としては、例えば、燃料のセタン価に応じて変化する機関10の「発生トルク」が考えられる。以下、図8及び図9を参照しながら、セタン価検出部が機関10の「発生トルク」に基づいてセタン価を検出する方法について説明する。
先ず、燃料噴射が行われない場合(「噴射無し」の場合)であって、且つ機関10と変速機(図示せず)とが「非接続状態」にある場合を考える。
例えば、「噴射無し」且つ「非接続状態」において、特定気筒の圧縮上死点TDC(「点A」と称呼する。)における瞬時の機関回転速度NEをωa、点Aから90°CAだけ遅角側の点、即ち、ATDC90°の点(「点B」と称呼する。)における瞬時の機関回転速度NEをωbとして、機関10の「噴射無し」時のトルク相当量Tr0を下記(1)式で定義する。

Tr0=(ωb)−(ωa) …(1)
一方、点A近傍にてセタン価検出用として特定量の燃料が1回噴射された場合(「噴射有り」の場合)を考える。この場合、特定量の燃料の燃焼に起因して点Aから点Bまでの期間内において機関10のトルクが増大する。この結果、機関回転速度NEは、点Aから点Bまでの期間内において急激に増大し(点B近傍でピークとなる)、その後は、「噴射無し」時と同程度の減少勾配をもって変動しながら徐々に減少していく。
上記「非接続状態」においては、変速機側からの機関回転速度NEへの影響が排除され得る。従って、点Aから点Bまでの期間内における「噴射無し」時に対する機関回転速度NEの増大分は、前記特定量の燃料の燃焼のみに起因する機関10の純粋な(正味の)出力増大量を表す。
即ち、「噴射有り」時の点B(ATDC90°)における瞬時の機関回転速度NEをωcとし、機関10の噴射時のトルク相当量Tr1を下記(2)式で定義し、トルク相当増大量ΔTrを下記(3)式で定義する。トルク相当増大量ΔTrは、前記特定量の燃料の燃焼のみに起因する機関10の純粋な(正味の)出力トルクの増大量を安定して精度良く表し得る。

Tr1=(ωc)−(ωa) …(2)

ΔTr=Tr1−Tr0 …(3)
以下、上述のように、「噴射無し」且つ「非接続状態」において実行される前記特定量の燃料の(1回の)噴射を「検出用噴射」と称呼し、検出用噴射の噴射時期及び噴射量をそれぞれ、「検出用噴射時期」及び「検出用噴射量」と称呼する。
図8に示したように、前述したトルク相当増大量ΔTrは、検出用噴射時期及び燃料のセタン価に大きく依存する。即ち、一般にトルク相当増大量ΔTrは、検出用噴射時期が圧縮上死点TDC近傍の場合には略一定となり、検出用噴射時期が圧縮上死点TDCから遅角されていくほど小さくなる。圧縮上死点TDCよりも遅角側の領域における「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTrの変化特性」は、3次曲線を用いて精度良く近似することができる。図8中の点Xは、3次曲線の変曲点である。
一方、「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTrの変化特性」の変曲点Xは、セタン価が大きいほど噴射時期の遅角側(図8において右側)にシフトしていく。これは、燃料のセタン価が大きいほど燃料の着火遅れ時間(燃料の噴射から着火までの時間)が短くなることによると考えられる。以下、変曲点Xに対応する噴射時期を「変曲点クランク角度CAx」と称呼する。
従って、図9に示したように、セタン価は「変曲点クランク角度CAx」が大きいほど大きくなる。この変曲点クランク角度CAxとセタン価との関係は、以下のようにして予め取得することができる。先ず、既知のセタン価を有する燃料について、「噴射無し」且つ「非接続状態」において、検出用噴射を異なる燃焼サイクルに対して検出用噴射時期を変更しながら複数回実行する。次に、燃料のセタン価(既知)を変更しながら上記処理を複数回実行する。以上より、図8に示した「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTrの変化特性」が得られるので、そのデータから各セタン価に対する変曲点クランク角度CAxを取得することができる。
(具体的なセタン価検出のための処理)
セタン価検出部がセタン価を検出する処理の流れは次のとおりである。
先ず、セタン価検出部は、次の各条件が成立している場合にセタン価検出処理を行う。
(1)フューエルカット制御が実行中であること。
(2)機関と変速機とが「非接続状態」であること。
(3)セタン価検出条件(例えば、アクセルペダルAP開放)が成立していること。
次に、前述した各条件が成立すると、セタン価検出部は、前記「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTrの変化特性」、即ち、図8に示したような3次曲線を算出するために、特定気筒に対して検出用噴射をその噴射時期を変更しながら4回実行する(噴射時期CA(n)(n=1,2,3,4))。
セタン価検出部は、噴射時期CA(n)(n=1,2,3,4)のそれぞれについて、機関の瞬時回転速度ωa(n),ωb(n),ωc(n)(n=1,2,3,4)を取得する。
セタン価検出部は、噴射時期CA(n)(n=1,2,3,4)のそれぞれについて、前記取得された瞬時回転速度ωa(n),ωb(n),ωc(n)(n=1,2,3,4)と、上記(1)〜(3)式と、に基づいて、トルク相当増大量ΔTr(n)(n=1,2,3,4)を計算する。
セタン価検出部は、4つの点(CA(n),ΔTr(n))(n=1,2,3,4)を通る「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTrの変化特性」を近似する3次曲線(ΔTr(CA))を数学的に求め、この3次曲線から「変曲点クランク角度CAx」を数学的に算出する。
セタン価検出部は、前記算出された「変曲点クランク角度CAx」と、予め取得されている「変曲点クランク角度CAxとセタン価との関係」と、に基づいて、現在の燃料のセタン価を検出する。
(その他の実施形態)
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、前記判定装置の未燃成分供給部は、それに代え、又はそれに加えて、図示しない燃料添加弁をエキゾーストマニホールド51に備え、燃料添加弁からエキゾーストマニホールド51へ未燃成分を供給するものであってもよい。更に、燃料添加弁を排気管52であってタービン54の下流側乃至DOC53の上流側位置に備え、排気管52へ未燃成分を添加するものであってもよい。
前記判定装置は、異常判定を実行中に温度差ΔTが所定閾値ΔTthを超えると直ちにDOC53が正常であると判定する(図5のステップ530)が、それに代え、所定時間後(例えば、規定時間tcth後)に正常又は異常の判定を行うようにするものであってもよい。
より具体的には、CPUは未燃成分を供給する図5のステップ520の後、所定時間(例えば、規定時間tcth)経過後に図5のステップ530を実行する。CPUはステップ530にて肯定判定であればステップ535に進んでDOC53が正常であると判定し、否定判定であればステップ545に進んでDOC53が異常であると判定してもよい。
10…内燃機関、21…本体、22…気筒(燃焼室)、30…燃料供給系統、40…吸気系統、50…排気系統、52…排気管、53…ディーゼル酸化触媒(DOC)、60…電子制御装置、61…第1温度センサ、62…第2温度センサ、63…クランク角度センサ。

Claims (2)

  1. 内燃機関の排気通路に配設された酸化触媒と、
    前記排気通路を流れ且つ前記酸化触媒に流入する排ガスの温度を上流側排ガス温度として検出する第1温度検出部と、
    前記酸化触媒から流出する排ガスの温度を下流側排ガス温度として検出する第2温度検出部と、
    前記酸化触媒に所定量の未燃成分を供給する未燃成分供給部と、
    前記酸化触媒の異常判定を実行すべき条件が成立したとき、前記未燃成分供給部により前記所定量の未燃成分を前記酸化触媒へと供給するとともに、前記検出される上流側排ガス温度と前記検出される下流側排ガス温度との差分である触媒前後の温度差と、所定閾値と、の比較結果に基づいて前記酸化触媒が異常であるか否かを判定する異常判定部と、
    を備えた酸化触媒の異常判定装置において、
    前記異常判定装置は、
    前記燃料のセタン価を検出するセタン価検出部と、
    要求排ガス温度を、前記検出されたセタン価が低いほど高くなるように、前記検出されたセタン価に基づいて算出する要求排ガス温度算出部と、
    前記酸化触媒に流入する排ガスの温度を上昇させる上流側排ガス昇温部と、
    を更に備え、
    前記異常判定部は、
    前記異常判定を実行すべき条件が成立したとき、前記検出される上流側排ガス温度が前記算出された要求排ガス温度よりも低いと判定した場合、前記上流側排ガス昇温部を用いて前記検出される上流側排ガス温度を前記算出された要求排ガス温度まで上昇させた後、前記触媒前後の温度差と、前記所定閾値と、の比較結果に基づいて前記酸化触媒が異常であるか否かを判定するように構成された、
    異常判定装置。
  2. 請求項1に記載の酸化触媒の異常判定装置において、
    前記要求排ガス温度算出部は、
    前記要求排ガス温度を前記酸化触媒において前記燃料の酸化反応が生じるのに必要な温度として算出するように構成された、
    異常判定装置。
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