JP4219728B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関し、特にD−STN(Double layered Super-Twisted Nematic)モードの液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、TN(Twisted Nematic)モードやSTN(Super-Twisted Nematic)モード等の各種液晶表示装置が広く使用されている。TNモードは二枚のガラス基板間にネマチック液晶を挟み、液晶分子の長軸方向がガラス基板の間で90°ねじれるようにした方式である。STNモードは、電圧に対する透過光強度変化を急峻にするためにねじれ角を180°以上にした方式である。
【0003】
STNモードで光源色と黒色の二色表示を行う場合、表示用液晶セルの他に位相差板または補償セルを設ける。補償セルによって光源色と黒色の二色表示を行えるようにした方式をD−STNモードという。図19は、従来のD−STNモードの液晶表示装置の模式的断面図を示す。D−STNモードでは、第一の偏光板302と第二の偏光板303との間に表示用セル101と補償セル201を設ける。第一の偏光板302の背面にはバックライト301を設ける。以下の説明では、バックライト301が存在する側を背面側、第二の偏光板303が存在する側を正面側と記す。
【0004】
表示用セル101は、透明電極103,107が形成された一対のガラス基板102,108によって液晶層105を挟持する。対向する透明電極103,107は、それぞれ対向する面に配向膜104,106を有する。補償セル201は、配向膜204,206が形成された一対のガラス基板202,208によって液晶層205を挟持する。表示用セル101の液晶層105と補償セル201の液晶層205は、ねじれ角が等しく、液晶分子の長軸方向のねじれ方向が逆向きであるという関係を有する。また、この二つの液晶層105,205の複屈折量は等しい。さらに、表示用セル101と補償セル201の互いに隣接するガラス基板側の液晶分子の配向方向は互いに直交する。すなわち、表示用セル101の液晶層105におけるガラス基板102側の配向方向と、補償セル201の液晶層205におけるガラス基板208側の配向方向とは、互いに直交する。
【0005】
表示用セル101の正面側のガラス基板102と、補償セル201の背面側のガラス基板208は、双方の板厚が等しくなるように設計される。
【0006】
表示用セル101の正面側のガラス基板102と、補償セル201の背面側のガラス基板208との間隔(空気層)が小さすぎるとその空気層に起因する干渉縞(ニュートンリング)が発生するので、ガラス基板102とガラス基板208との間に介在させる空気層の厚みを所定の厚みにしていた。また、第一の偏光板302は、表示用セル101の背面側のガラス基板108に接着される。同様に、第二の偏光板303は、補償セル201の正面側のガラス基板202に接着される。第一の偏光板302の偏光軸方向と、第二の偏光板303の偏光軸方向は直交する。また、良好な光源色を表示させるには、第一の偏光板302の偏光軸方向と、表示用セル101の液晶層105におけるガラス基板108側(背面側)の配向方向とが45°の角をなし、第二の偏光板303の偏光軸方向と、補償セル201の液晶層205におけるガラス基板202側(正面側)の配向方向とが45°の角をなすことが好ましい。
【0007】
黒色表示とする場合、表示用セル101の液晶層105には電圧を印加しない。あるいは、所定のしきい電圧以下の電圧を印加する。図19に示す第一の経路351は、黒色表示とするときの光の経路を示す。バックライト301からの光は、第一の偏光板302を通過した後、直線偏光となる。さらに表示用セル101を通過すると楕円偏光になるが、補償セル201によって直線偏光に戻される。この結果、第一の経路351に示すように、光は第二の偏光板303で遮断され、液晶表示装置は黒色を呈する。光源色を表示する場合には、表示用セル101の液晶層105に電圧を印加し、液晶分子の配向状態を変化させる。
【0008】
補償セル201の代わりに位相差板を配置した場合もD−STNモードと同様の表示を実現することができる。しかし、位相差板を用いた場合の表示品位は、温度変化による影響を受けやすい。従って、使用環境の温度変化の幅が広い車載用液晶表示装置等では、D−STNモードが採用されることが多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のD−STNモードの液晶表示装置では、バックライト301からの光を遮断して黒色を呈すべき場合に、第二の偏光板303から光が漏れてしまうことがあった。そして、黒色の表示において、図20に例示するような筋むらが発生してしまうことがあった。このような光の漏れは、特定波長(赤色の波長)のバックライトを使用する液晶表示装置で特に顕著であった。従来より、このような筋むらが発生してしまう液晶表示装置を排除して、D−STNモードの液晶表示装置の歩留まりを改善することが望まれていた。しかし、光が漏れて表示画面に筋むらが発生する原因が不明であったため、歩留まりの改善は困難であった。
【0010】
また、ガラス基板等の透明基板を製造した場合に、その透明基板の板厚のむらを容易に確認できることが好ましい。
【0011】
そこで、本発明は、筋むらが発生しない良好な黒色を呈するD−STNモードの液晶表示装置を提案することを目的とする
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、黒色を呈すべき場合に光が漏れてしまう原因について検討し、光が漏れる原因および筋むらが発生する原因を明らかにした。図21は、光が漏れてしまう原因を示す説明図である。図21に示す第二の経路352は、第二の偏光板303を通過する光の経路の例を示す。バックライト301からの光は、図19に示す第一の経路351のみを辿るわけではなく、バックライト301からの光の一部は、表示用セル101の内部で反射する。例えば、第二の経路352のように、一度、表示用セル101の液晶層105を通過した光が、表示用セル101の正面側のガラス基板102で反射して再度液晶層105を通過し、表示用セル101の背面側の透明電極107で反射して再度液晶層105を通過する。この場合、光は液晶層105を3回通過し、また、表示用セル101の正面側のガラス基板102も3回通過する。
【0013】
表示用セル101内の内部反射で液晶層105を3回以上通過した光が表示用セル101の正面側のガラス基板102を通過して補償セル201に達した場合、補償セル201は、この光に対する補償を完全に行えない。すなわち、表示用セル101を通過して楕円偏光となった光を直線偏光に完全に戻すことができない。この結果、内部反射した光が第二の偏光板303を通過してしまう。
【0014】
また、液晶層105を3回以上通過した光が補償セル201に達した場合に、補償セル201の背面側のガラス基板208で内部反射する場合がある。この場合、第二の経路352に示すように、表示用セル101の正面側のガラス基板102と、補償セル201の背面側のガラス基板208を3回通過することになる。すると、隣接するガラス基板102,208をそれぞれ複数回通過することによる干渉が生じる。ガラス基板102とガラス基板208は板厚が等しくなるように設計される。しかし、実際にはガラス基板作成時に板厚にむらが生じてしまう。例えば、5cm×5cmの大きさのガラス基板を作成する場合、板厚が最も厚い箇所と最も薄い箇所とで1〜2μmの差が生じると推定される。このため、製造されたガラス基板102やガラス基板208の板厚は、均一に保たれていない。ガラス基板208の板厚やガラス基板102の板厚が不均一であると、隣接するガラス基板102,208による干渉が強くなったり、弱くなったりして、図20に示すような筋むらが認識されてしまう。なお、この筋むらはニュートンリングとは異なる。
【0015】
なお、ガラス基板の大きさが大きいほど、製造時に生じる板厚のむらも大きくなる。例えば、30cm×40cmの大きさのガラス基板を作成する場合、板厚が最も厚い箇所と最も薄い箇所とで10μm程度の差が生じてしまう。
【0016】
内部反射する光は、第二の経路252以外の経路を辿る場合もある。例えば、表示用セル101の内部で液晶層105を5回あるいは7回通過して補償セル201に達する場合もある。しかし、液晶層105を5回あるいは7回通過すると、光量が減衰する。従って、内部反射した光のうち、特に液晶層105を3回通過した光が黒色表示の表示品位への影響に支配的となる。ここでは、表示用セル101での内部反射を例に説明したが、補償セル201の内部でも同様に内部反射が発生し、内部反射した光が第二の偏光板303を通過してしまう場合もある。本発明の発明者は、このような知見に基づいて、以下に示す発明をした。
【0017】
本発明の態様1は、透明電極を有する一対の透明基板によって液晶を挟持し、液晶への印加電圧がしきい電圧以下の場合にねじれ配向状態を保つ表示用液晶セルと、一対の透明基板によって液晶を挟持し、表示用液晶セルのねじれ配向状態とはねじれ方向が逆でねじれ角がほぼ等しいねじれ配向状態を保ち、リタデーションが表示用液晶セルとほぼ等しい補償セルとを備え、隣接する透明基板側の液晶分子の配向方向が互いにほぼ直交するように表示用液晶セルと補償セルとを配置し、表示用液晶セルおよび補償セルを挟むように偏光軸が互いにほぼ直交する一対の偏光板を配置した液晶表示装置であって、ピーク輝度に対する半値幅が5nm以上である光を照射するバックライトを備え、表示用液晶セルの補償セル側の透明基板の板厚と補償セルの表示用液晶セル側の透明基板の板厚には0.05mm以上の差があることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0018】
本発明の態様2は、液晶表示装置は、車両に搭載される車載用液晶表示装置または公衆に情報を提供する公衆表示用液晶表示装置である液晶表示装置を提供する。
【0019】
本発明の態様3は、表示用液晶セルと補償セルとの間に75μm以上の空隙が設けられる液晶表示装置を提供する。
【0020】
本発明の態様4は、透明電極を有する一対の透明基板によって液晶を挟持し、液晶への印加電圧がしきい電圧以下の場合にねじれ配向状態を保つ表示用液晶セルと、一対の透明基板によって液晶を挟持し、表示用液晶セルのねじれ配向状態とはねじれ方向が逆でねじれ角がほぼ等しいねじれ配向状態を保ち、リタデーションが表示用液晶セルとほぼ等しい補償セルとを備え、隣接する透明基板側の液晶分子の配向方向が互いにほぼ直交するように表示用液晶セルと補償セルとを配置し、表示用液晶セルおよび補償セルを挟むように偏光軸が互いにほぼ直交する一対の偏光板を配置した液晶表示装置であって、ピーク輝度に対する半値幅が5nm以上である光を照射するバックライトを備え、表示用液晶セルの補償セル側の透明基板および補償セルの表示用液晶セル側の透明基板は、いずれか一方が単一の透明板で構成され、他方が該単一の透明板と等しい板厚を有する第一の透明板に板厚が0.05mm以上の第二の透明板を光学的に密着したもので構成されていることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の模式的断面図を示す。本発明の液晶表示装置は、D−STNモードの液晶表示装置であり、第一の偏光板32と第二の偏光板33との間に表示用セル(表示用液晶セル)1と補償セル21とを備える。第一の偏光板32の背面にはバックライト31を設ける。バックライト31は、ピーク輝度に対する半値幅(ピーク輝度の半分の輝度における波長の幅)が5nm以上の光を照射する。以下の説明では、バックライト31が存在する側を背面側、第二の偏光板33が存在する側を正面側と記す。
【0024】
表示用セル1は、透明電極3が形成された正面側のガラス基板(透明基板)2と、透明電極7が形成された背面側のガラス基板(透明基板)8とによって液晶層5を挟持する。液晶層5を挟んで対向する透明電極7,3は、それぞれ対向する面に配向膜4,6を有する。配向膜4,6にはラビング処理が施されている。液晶層5への印加電圧が所定のしきい電圧以下である場合、表示用セル1は、配向膜4,6によって液晶層5のねじれ配向状態を保つ。補償セル21は、配向膜24が形成された正面側のガラス基板(透明基板)22と、配向膜26が形成された背面側のガラス基板(透明基板)28とによって液晶層25を挟持する。補償セル21の配向膜24,26にもラビング処理が施されている。補償セル21は、配向膜24,26によって液晶層25のねじれ配向状態を保つ。
【0025】
表示用セル1と補償セル21の互いに隣接するガラス基板2,28の板厚には、0.05mm以上の差がある。すなわち、表示用セル1の正面側(補償セル側)のガラス基板2の板厚と、補償セル21の背面側(表示用セル側)のガラス基板28の板厚には、0.05mm(50μm)以上の差がある。図1は、表示用セル1の正面側のガラス基板2が、補償セル21の背面側のガラス基板28よりも0.05mm以上厚い場合の例を示す。表示用セル1の背面側のガラス基板8の板厚は、例えば、表示用セル1の正面側のガラス基板2と等しくする。補償セル21の正面側のガラス基板22の板厚は、例えば、補償セル21の背面側のガラス基板28と等しくする。ただし、表示用セル1のガラス基板2,8の板厚は等しくなくてもよい。同様に、補償セル21のガラス基板22,28の板厚は等しくなくてもよい。
【0026】
なお、各ガラス基板2,8,22,28を製造する際に、各ガラス基板の板厚にむら(不均一性)が生じる場合がある。ガラス基板作成時に通常発生する板厚のむらが各ガラス基板2,8,22,28に生じていてもよい。例えば、5cm×5cmの大きさで、板厚が0.55mmのガラス基板としてガラス基板2を作成するとする。このとき、板厚が最も厚い箇所と最も薄い箇所とで例えば2μmの差が生じていてもよい。他のガラス基板8,22,28についも同様である。
【0027】
表示用セル1の液晶層5および補償セル21の液晶層25は、複屈折量が等しい。そして、表示用セル1の液晶層5と補償セル21の液晶層25は、液晶層5に印加される電圧がしきい電圧以下である場合に、ねじれ角が等しく、液晶分子の長軸方向のねじれ方向が逆向きであるという関係を有する。さらに、この場合、表示用セル1と補償セル21の互いに隣接するガラス基板2,28側の液晶分子の配向方向は互いに直交する。すなわち表示用セル1の液晶層5におけるガラス基板2側の配向方向と、補償セル21の液晶層25におけるガラス基板28側の配向方向とは、互いに直交する。また、表示用セル1におけるリタデーションΔn・dと、補償セル21におけるリタデーションΔn・dとは等しい。
【0028】
表示用セル1の正面側のガラス基板2と、補償セル21の背面側のガラス基板28との間には、75μm以上の空隙(空気層)が設けられる。この空気層を設けることによって、表示用セル1の正面側のガラス基板2と、補償セル21の背面側のガラス基板28の表面反射による干渉を防止できる。また、第一の偏光板32は、表示用セル1の背面側のガラス基板8に接着される。同様に、第二の偏光板33は、補償セル21の正面側のガラス基板22に接着される。第一の偏光板32の偏光軸方向と、第二の偏光板33の偏光軸方向とは、直交する。また、第一の偏光板32の偏光軸方向と、表示用セル1の液晶層5におけるガラス基板8側(背面側)の配向方向とが45°の角をなし、第二の偏光板33の偏光軸方向と、補償セル21の液晶層25におけるガラス基板22側(正面側)の配向方向とが45°の角をなすことが好ましい。このように偏光軸方向と配向方向を定めることによって、光源色表示を行う際に良好な光源色が得られる。
【0029】
黒色表示とする場合、表示用セル1の液晶層5には電圧を印加しないか、あるいはしきい電圧以下の電圧を印加する。このとき、バックライト31が照射した光は、第一の偏光板32を通過するときに直線偏光とされ、表示用セル1を通過するときに楕円偏光とされる。その後、補償セル21で再び直線偏光に戻され、第二の偏光板33で遮断される。バックライト31からの光の一部は、表示用セル1や補償セル21の内部で内部反射することにより、第二の偏光板33から漏れてしまう。しかし、後述するように、表示用セル1の正面側のガラス基板2や補償セルの背面側のガラス基板28の板厚に不均一性が生じても、ガラス基板2,28を通過する光の強度にはわずかな不均一性しか生じない。従って、筋むらの発生しない良好な黒色を呈することができる。
【0030】
なお、光源色を表示する場合、表示用セル1の液晶層5にしきい電圧より高い電圧を印加して、この液晶層5の各液晶分子の長軸を電界に沿った方向に揃える。
【0031】
本発明の発明者は、ガラス基板の板厚の不均一性によるガラス基板の相対干渉強度の変化を詳細に検討した。そして、表示用セルと補償セルの互いに隣接するガラス基板(図1に示す表示用セルの表面側のガラス基板2と補償セル21の背面側のガラス基板28)の板厚に0.05mm以上の差を設け、バックライトからピーク輝度に対する半値幅が5nm以上の光を照射することによって、板厚の不均一性の影響を排除できることを明らかにした。以下、ガラス基板の板厚の不均一性が、ガラス基板を透過する光の強度に与える影響について説明する。
【0032】
透過する光の強度に影響を与える干渉光の度合いを干渉強度とする。一般に、一枚のガラス基板の相対的な干渉強度(相対干渉強度)は、以下に示す式1によって表される。
【0033】
P=1−COS((A×B×2/λ)×2×π) 式1
【0034】
式1において、Aはnm単位で表したガラス基板の板厚を示し、Bはガラス基板のガラスの屈折率を示す。λはnm単位で表した光の波長を示す。隣接する二枚のガラス基板による相対干渉強度は、各ガラス基板の相対干渉強度の積として表される。従って、第2のガラス基板の板厚をA’[nm]、ガラスの屈折率をB’とすると、波長λ[nm]に対する相対干渉強度Pは、以下に示す式2によって表される。
【0035】
P=(1−COS((A×B×2/λ)×2×π))*(1−COS((A’×B’×2/λ)×2×π)) 式2
【0036】
式2を用いて、二枚のガラス基板による相対干渉強度を計算した。第1のガラス基板の板厚は、500000nmから500420nmまで変化させ、第2のガラス基板は500000nmで一定とした。また、ピーク輝度に対する半値幅が15nm(ピーク輝度の波長に対する±7.5nmの幅)である光を照射するものとした。半値幅15nmの光は、LEDが照射する、中心波長が640nmの赤色光を想定している。図2は、二枚のガラス基板の組み合わせによる相対干渉強度の変化を示す。図2に示す横軸は、第1のガラス基板の板厚Tを示し、縦軸は相対干渉強度Pを示す。図2に示すように、第1のガラス基板の板厚の変化に伴い、二枚のガラス基板の組み合わせによる相対干渉強度は約1.5〜約0.5の範囲で変動する。例えば、第一のガラス基板の板厚が500000nmの場合、相対干渉強度は約1.5であるが、板厚が500100nmの場合では、相対干渉強度は約0.5である。このことは、一方のガラス基板の板厚にむらが生じると、相対干渉強度にも強度むらが生じることを表している。
【0037】
図3は、第2のガラス基板の板厚を520000nmとした場合の相対干渉強度の変化を図2に示す場合と同様に示したグラフである。図3に示す場合でも、第1のガラス基板の板厚の変化に伴って、二枚のガラス基板の組み合わせによる相対干渉強度は変化する。しかし、相対干渉強度の最大値と最小値との差は、図2に示す場合よりも小さい。図4は、第2のガラス基板の板厚を540000nmとした場合の相対干渉強度の変化を図2,3に示す場合と同様に示したグラフである。図4に示す場合でも、第1のガラス基板の板厚の変化に伴って、二枚のガラス基板の組み合わせによる相対干渉強度は変化する。しかし、相対干渉強度の最大値と最小値との差は、図3に示す場合よりもさらに小さくなっている。
【0038】
図5,6,7は、それぞれ第2のガラス基板の板厚を550000nm、560000nm、600000nmとした場合の相対干渉強度の変化を図2〜4に示す場合と同様に表したグラフである。図5,6,7に示す場合では、第1のガラス基板の板厚が500000nmから500420nmまで変化しても、相対干渉強度はほとんど変化しない。
【0039】
図2〜7から以下のことが導ける。すなわち、隣接するガラス基板の板厚の差が50000nm(0.05mm)より小さい場合には、ガラス基板の板厚にむらが生じると、相対干渉強度も変化してしまうことが導ける。また、隣接するガラス基板の板厚の差が少なくとも50000nm(0.05mm)以上あれば、ガラス基板の板厚にむらが生じても相対干渉強度はほとんど変化しないことが導ける。板厚にむらがあっても相対干渉強度がほとんど変化しなければ、図1に示す第二の偏光板33から漏れる光の強度も第二の偏光板33の面全体に渡ってほとんど変化せず、筋むらは発生しない。よって、筋むらの発生防止のためには、隣接するガラス基板の板厚の差を0.05mm以上設ける必要があることがわかる。すなわち、図1に示す液晶表示装置では、表示用セル1の正面側ガラス基板2の板厚と、補償セル21の背面側ガラス基板28の板厚との差を0.05mm以上設ける必要がある。
【0040】
次に、隣接するガラス基板の板厚に差を設けると板厚のむらによる相対干渉強度の変動を抑えることができる理由について説明する。図8は、隣接するガラス基板の板厚をともに500000nm(0.5mm)とした場合の各ガラス基板の相対干渉強度を示す。図8(a)〜(c)の横軸は、光の波長λを示す。図8(a)の縦軸は、板厚が500000nmである第2のガラス基板の相対干渉強度を示す。図8(b)の縦軸は、板厚が500000nmである第1のガラス基板の相対干渉強度を示す。図8(c)の縦軸は、板厚のむらによって板厚が500100nmとなったときの第1のガラス基板の相対干渉強度を示す。
【0041】
図8(a)〜(c)に示すように、光の波長λが変化するにつれて、相対干渉強度は周期的に変化する。図8(b)に示す相対干渉強度の変化は、第2のガラスの板厚と等しい場合の変化であるので、図8(a)に示す相対干渉強度の変化と等しい。一方、図8(c)は、むらによって板厚が100nm変化した場合の相対干渉強度の変化を示している。この相対干渉強度の変化の周期は、図8(a)と同一である(厳密には同一ではないが、周期の差は無視しうる)。また、図8(c)に示す波形の位相は、図8(a)に示す波形に比べて約1/2波長分ずれている。
【0042】
二枚のガラス基板の相対干渉強度は、各ガラス基板の相対干渉強度の積として表せる。従って、波長λに幅のある光が、板厚がともに500000nmである二枚のガラス基板を通過するときの相対干渉強度は、光の波長λ毎に図8(a)に示す波形の各相対干渉強度と、図8(b)に示す波形の各相対干渉強度との積を求め、その平均をとったものとして表せる。図8(a),(b)に示す相対干渉強度の変化を示す波形は等しいので、一方で相対干渉強度が大きくなる場合には、他方の相対干渉強度も大きくなる。また、一方で相対干渉強度が小さくなる場合には、他方の相対干渉強度も小さくなる。例えば、λが約640.07nmの場合、図8(a),(b)に示す相対干渉強度は双方とも約2になる。また、例えば、λが約640.2nmの場合、図8(a)、(b)に示す相対干渉強度は双方とも約0になる。
【0043】
第1のガラス基板の板厚にむらがあり、板厚が500100nmとなる箇所があるとする。この箇所と、第2のガラス基板を通過するときの相対干渉強度は、図8(a)に示す波形の各相対干渉強度と、図8(c)に示す各相対干渉強度との積を求め、その平均を取ったものとして表せる。図8(a),(c)に示す波形は周期が等しく、位相が約1/2波長分ずれているので、一方の相対干渉強度が大きくなったときには、他方の相対干渉強度は小さくなる。例えば、λが約640.07nmの場合、図8(a)に示す相対干渉強度は2であるが、図8(c)に示す相対干渉強度は約0である。
【0044】
以上のように、図8(a),(b)に示す波形には、一方で相対干渉強度が大きくなると、他方の相対干渉強度も大きくなり、一方で相対干渉強度が小さくなると、他方の相対干渉強度も小さくなるという関係がある。また、図8(a),(c)に示す波形には、一方が大きくなると、他方が小さくなるという関係がある。この場合、図8(a),(b)に示す波形の各相対干渉強度の積を波長λ毎に求め、λ毎の積の総和をとった値と、図8(a),(c)に示す波形の各相対干渉強度の積を波長λ毎に求め、λ毎の積の総和をとった値とでは差が生じる。この差が板厚にむらが有る場合の相対干渉強度の差となって現れる。
【0045】
図9は、隣接するガラス基板の一方の板厚を550000nmとし、他方を500000nmとした場合の各ガラス基板の相対干渉強度を示す。図9(a)〜(c)の横軸は光の波長λを示す。図9(a)の縦軸は、板厚が500000nmである第2のガラス基板の相対干渉強度を示す。図9(b)の縦軸は、板厚が550000nmである第1のガラス基板の相対干渉強度を示す。図9(c)の縦軸は、板厚のむらによって板厚が550100nmとなったときの第1のガラス基板の相対干渉強度を示す。
【0046】
図9(a)〜(c)に示すように、光の波長λが変化するにつれて、相対干渉強度は周期的に変化する。図9(a)に示す波形の周期と、図9(b),(c)に示す波形の周期は異なっている。なお、図9(b),(c)に示す波形は、周期が同一であり(厳密には同一ではないが、周期の差は無視しうる)、位相は互いに約1/2波長分ずれている。
【0047】
波長に幅のある光が板厚550000nmのガラス基板および板厚500000nmのガラス基板を通過するときの相対干渉強度は、光の波長λ毎に図9(a)に示す波形の各相対干渉強度と、図9(b)に示す波形の各相対干渉強度との積を求め、その平均をとったものとして表せる。図9(a),(b)に示す波形は互いに周期が異なる。従って、一方で相対干渉強度が大きくなるときに他方でも大きくなるという関係や、一方で相対干渉強度が大きくなるときに他方では相対干渉強度が小さくなるという関係等は保たれない。例えば、図9(a),(b)では、λが約640.07の場合、図9(a)に示す相対干渉強度は約2となるが、図9(b)に示す相対干渉強度は約0.2となる。一方、λが約640.9の場合、図9(a),(b)に示す相対干渉強度はともに約2となる。
【0048】
第1のガラス基板の板厚にむらがあり、板厚が550100nmとなる箇所があるとする。この箇所と、第2のガラス基板を通過するときの相対干渉強度は、図9(a)に示す波形の各相対干渉強度と、図9(c)に示す各相対干渉強度との積を波長λ毎に求め、その平均を取ったものとして表せる。図9(a),(c)に示す波形も互いに周期が異なる。従って、図9(a),(b)に示す波形の組み合わせの場合と同様に、一方で相対干渉強度が大きくなるときに他方でも大きくなるという関係や、一方で相対干渉強度が大きくなるときに他方では相対干渉強度が小さくなるという関係等は保たれない。
【0049】
この場合、図9(a),(b)に示す波形の各相対干渉強度の積を波長λ毎に求め、λ毎の積の総和をとった値と、図9(a),(c)に示す波形の各相対干渉強度の積を波長λ毎に求め、λ毎の積の総和をとった値とではわずかな差しか生じない。従って、板厚にむらがあっても相対干渉強度にはわずかな差しか生じない。
【0050】
図9(a),(b)に示す波形の組み合わせと、図9(a),(c)に示す波形の組み合わせとでは、λ毎の相対干渉強度の積の総和にはわずかな差しか生じない。しかし、λ毎の相対干渉強度の積自体には差が生じる。したがって、波長に幅がない単色光の場合には、図9で示した議論は成り立たない。すなわち、波長λに幅のない光では、透過光強度の変動を抑えることができない。
【0051】
図2〜7では、光の半値幅が15nmである場合における二枚のガラス基板の相対干渉強度を示した。次に、ピーク輝度に対する光の半値幅が5nm(ピーク輝度の波長に対する±2.5nmの幅)である光を照射する場合について説明する。この光は、蛍光灯が照射する、中心波長が612nmの光を想定している。図2〜7に示す場合と同様に、第1のガラス基板の板厚を500000nmから500420nmまで変化させた場合の相対干渉強度を以下に示す。図10は、第2のガラス基板の板厚を500000nmで一定にしたときの、第1のガラス基板の板厚変化に伴う相対干渉強度の変化を示す。図10に示すように、第1のガラス基板の板厚の変化に伴い、二枚のガラス基板の組み合わせによる相対干渉強度は約1.5〜約0.5の範囲で変動する。例えば、第一のガラス基板の板厚が500000nmの場合、相対干渉強度は約1.5であるが、板厚が500100nmの場合では、相対干渉強度は約0.5である。このことは、一方のガラス基板の板厚にむらが生じると、相対干渉強度にも強度むらが生じることを表している。
【0052】
図11は、第2のガラス基板の板厚を520000nmとした場合の相対干渉強度の変化を図10に示す場合と同様に示したグラフである。図11に示す場合でも、第1のガラス基板の板厚の変化に伴って、二枚のガラス基板の組み合わせによる相対干渉強度は変化する。しかし、相対干渉強度の最大値と最小値との差は、図10に示す場合よりも小さい。図12は、第2のガラス基板の板厚を540000nmとした場合の相対干渉強度の変化を図10,11に示す場合と同様に示したグラフである。図10に示す場合でも、第1のガラス基板の板厚の変化に伴って、二枚のガラス基板の組み合わせによる相対干渉強度は変化する。しかし、相対干渉強度の最大値と最小値との差は、図11に示す場合よりもさらに小さくなっている。
【0053】
図13,14,15は、それぞれ第2のガラス基板の板厚を550000nm、560000nm、600000nmとした場合の相対干渉強度の変化を図10〜12に示す場合と同様に表したグラフである。図13,14,15に示す場合では、第1のガラス基板の板厚が500000nmから500420nmまで変化しても、相対干渉強度はほとんど変化しない。
【0054】
図10〜15に示す相対干渉強度のからも、図2〜7に示した場合と同様の結論が導ける。すなわち、隣接するガラス基板の板厚の差が50000nm(0.05mm)より小さい場合には、ガラス基板の板厚にむらが生じることによって、相対干渉強度も変化してしまうことが導ける。また、隣接するガラス基板の板厚の差が少なくとも50000nm(0.05mm)以上あれば、ガラス基板にむらが生じても相対干渉強度はほとんど変化しないことが導ける。また、既に述べたように、波長λに幅のない光では、相対干渉強度の変動を抑えることができない。しかし、図10〜15から、光の半値幅を少なくとも5nm以上とし、隣接するガラス基板の板厚の差を0.05mm以上設ければ、相対干渉強度の変動を抑えられることがわかる。図1に示す液晶表示装置では、バックライト31が半値幅5nm以上の光を照射し、表示用セル1の正面側ガラス基板2の板厚と、補償セル21の背面側ガラス基板28の板厚との差を0.05mm以上設けている。従って、ガラス基板2やガラス基板28の板厚が不均一であっても、相対干渉強度の変動はわずかであり、筋むらが発生しない。
【0055】
なお、図2〜15に示す相対干渉強度は、光学計算を用いたシミュレーションによって導いたものである。シミュレーションであっても、現実の液晶表示装置と同様の相対干渉強度を導くことができる。
【0056】
図1では、表示用セル1の正面側のガラス基板2が、補償セル21の背面側のガラス基板28よりも0.05mm以上厚い場合を示したが、隣接する二つのガラス基板2,28のどちらを厚くしてもよい。従って、補償セル21の背面側のガラス基板28を、表示用セル1の正面側のガラス基板2よりも0.05mm以上厚くしてもよい。
【0057】
本発明の液晶表示装置を製造する場合には、表示用セル1の補償セル21側のガラス基板2の板厚と補償セル21の表示用セル1側のガラス基板28の板厚に0.05mm以上の差が生じるように、ガラス基板2,28の板厚を決定する。そして、その決定に従ってガラス基板2,28を作成する。ガラス基板作成時に通常発生する板厚のむらがガラス基板2,28に生じてもよい。このガラス基板2を用いて表示用セル1を作成する。同様に、作成したガラス基板28を用いて補償セル21を作成する。このとき、表示用セル1と補償セル21とでは、ねじれ配向状態のねじれ方向を逆向きにする。
【0058】
そして、表示用セル1の背面側に第一の偏光板32を配置し、補償セル21の正面側に第二の偏光板33を配置する。このとき、表示用セル1と、補償セル21とを隣接させたときに、第一の偏光板32の偏光軸と第二の偏光板33の偏光軸とが直交するように配置する。第一の偏光板32の偏光軸方向と、表示用セル1の液晶層5におけるガラス基板8側(背面側)の配向方向とが45°の角をなし、第二の偏光板33の偏光軸方向と、補償セル21の液晶層25におけるガラス基板22側(正面側)の配向方向とが45°の角をなすように配置することが好ましい。また、表示用セル1および補償セル21を、互いに隣接するガラス基板側の液晶分子の配向方向が互いに直交するように配置する。そして、表示用セル1側に設けられた第一の偏光板32の背面側に、ピーク輝度に対する半値幅が5nm以上である光を照射するバックライトを配置する。
【0059】
表示用セル1と補償セル21とでは、液晶のねじれ角および複屈折量を等しくするが、製造時に誤差が生じてもよい。また、補償セル21のリタデーションが表示用セル1のリタデーションよりも大きくならず、補償セル21のリタデーションが表示用セル1のリタデーションの80%以上100%以下であれば、補償セル21および表示用セル1のリタデーションに誤差が生じていてもよい。
【0060】
同様に、配向方向等の角度を設定する場合にも、製造時に誤差が生じてもよい。例えば、第一の偏光板32の偏光軸と第二の偏光板33の偏光軸とが直交するように配置するときに誤差が生じてもよい。この誤差は、各偏光軸のなす角度が5°以内であればよい。また、表示用セル1および補償セル21を、隣接するガラス基板側の液晶分子の配向方向が互いに直交するように配置するときに誤差が生じてもよい。この誤差は、各配向方向がなす角度が5°以内であればよい。第一の偏光板32の偏光軸方向と、表示用セル1の液晶層5におけるガラス基板8側(背面側)の配向方向とが45°の角をなし、第二の偏光板33の偏光軸方向と、補償セル21の液晶層25におけるガラス基板22側(正面側)の配向方向とが45°の角をなすように配置する場合にも誤差が生じてもよい。この誤差は、配向方向と偏光軸のなす角度が40°以上50°以下であればよい。
【0061】
また、図1では、表示用セル1の正面側(補償セル側)のガラス基板2を、補償セル21の背面側(表示用セル側)のガラス基板28の板厚よりも0.05mm以上厚い一枚のガラス板として製造する場合の例を示した。補償セル21の背面側のガラス基板(ガラス板)28と板厚が等しいガラス板(第一の透明板)に、板厚が0.05mm以上の透明板(第二の透明板)を接着したもの(光学的に密着させたもの)を表示用セル1の正面側のガラス基板2として用いてもよい。同様に、表示用セル1の正面側のガラス基板(ガラス板)2と板厚が等しいガラス板に、板厚が0.05mm以上の透明板を接着したものを補償セル21の背面側のガラス基板28として用いてもよい。この場合、補償セル21のガラス基板28が、表示用セル1のガラス基板2よりも0.05mm以上厚くなる。また、透明板が接着されるガラス板の板厚は、ガラス基板2(またはガラス基板28)と等しくするが、製造時に誤差が生じてもよい。
【0062】
なお、ガラス基板2,28に用いる各ガラス板やガラス板に接着する透明板の屈折率は等しいことが好ましいが、異なっていてもよい。屈折率がそれぞれ異なっていても、例えば、各ガラス板や透明板の屈折率が1.34以上1.59以下の範囲にある場合には、筋むらの発生を防止できる。表1に、各種透明部材の屈折率を示す。
【0063】
【表1】
Figure 0004219728
【0064】
表1に示すように、ガラスの屈折率は1.52である。また、サイトップ、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、およびポリスチレン(PS)の屈折率は、1.34以上1.59の範囲にある。サイトップとは、旭硝子株式会社製のフッ素系透明樹脂の日本の商標である。1.52の屈折率を有するガラス板に対して、表1に示すような、屈折率が1.34以上1.59以下の材料から製造した板厚0.05mm以上の透明板を接着しても、筋むらの発生を防止することができる。また、透明板の屈折率は、1.34以上1.59以下でなくてもよい。また、ガラス板の代わりに、表1に例示するような透明材料を用いた透明板を用いてもよい。
【0065】
次に、本発明の液晶表示装置の使用例について説明する。本発明の液晶表示装置は、例えば、乗用車のインストルメントパネルやセンタパネルの表示部として用いることができる。また、自動二輪車等のメータパネルの表示部として用いることもできる。さらに、このように車両に搭載される車載用液晶表示装置として用いる他に、公共施設等で公衆に情報を提供する公衆表示用液晶表示装置として用いてもよい。例えば、看板の代わりに各種案内を掲示する表示板として用いたり、電車内で乗客に各種案内を提示する案内板として使用してもよい。
【0066】
D−STNモードにおける表示品位は温度による影響を受けにくい。従って、本発明の液晶表示装置は、車載用途や屋外等での用途等のように、使用環境の温度変化の幅が広い用途に特に適している。
【0067】
なお、本発明では表示用セル1のガラス基板2の板厚と、補償セルのガラス基板28の板厚に0.05mm以上の差を設けることによって相対干渉強度の変動を抑えている。表示用セル1の正面側のガラス基板2の板厚と、補償セル21の背面側のガラス基板28の板厚とを等しくする場合であっても、板厚のむらを抑えることによって筋むらの発生しない良好な表示品位を実現できる。図2〜4や図10〜12からわかるように、相対干渉強度が変動する場合の周期は、200nm(0.2μm)である。表示用セル1の正面側のガラス基板2の板厚と、補償セル21の背面側のガラス基板28の板厚とを等しくする場合であっても、ガラス基板の板厚の最も厚い部分と、最も薄い部分との差が相対干渉強度の変動周期(0.2μm)以下になるようにガラス基板2,28を作成すれば、筋むらの発生しない良好な表示品位を実現できる。以下、この理由について、図2を例に説明する。
【0068】
図2は、第2のガラス基板の板厚を500000nmとし、第1のガラス基板の板厚を500000nmから変動させた場合の相対干渉強度の変化を表している。第1のガラス基板の板厚が500000nmから500100nmに変化することによって相対干渉強度は約1.5から約0.5に変化する。しかし、100nmの板厚の変化だけでは、相対干渉強度の低い部分が、相対干渉強度の高い部分に挟まれた状態になっていない。そのため、相対干渉強度が約1.5から約0.5に大きく変化しても、相対干渉強度の低い部分が目立たずに、筋むらとして認識されにくい。第1のガラス基板の板厚がさらに500200nmになると、相対干渉強度は再び約1.5に戻る。この場合、相対干渉強度の低い部分が、相対干渉強度の高い部分に挟まれ、相対干渉強度の低い部分が目立ち、筋むらとして認識される。そして、板厚の最も広い箇所と、最も狭い箇所の差が、相対干渉強度の変動周期(0.2μm)以下であれば、相対干渉強度の低い部分(または高い部分)が、相対干渉強度の高い部分(または低い部分)に挟まれることはない。従って、表示用セル1と補償セル21の互いに隣接するガラス基板2,28の板厚を等しくする場合であっても、板厚の最も厚い部分と最も薄い部分との差が0.2μm以下になるようにガラス基板2,28を作成すれば、筋むらの発生を防止できる。
【0069】
また、図21を用いて黒色を呈すべき場合に光が漏れてしまう原因について述べたが、他の原因も考えられる。以下、これについて図22を用いて説明する。
【0070】
可干渉距離は、光の波長に対する半値幅Δλ/λに反比例する。すなわち、波長に対する半値幅Δλ/λを増加させると可干渉距離が減少する。大まかに言うと、波長が半値幅の数倍であるように、可干渉距離は波長の数倍となる。
一般的な赤色LEDの場合、Δλ/λは約60nm/600nm=1/10となり、可干渉距離は、10×λ、すなわち、約6000nm=6μmとなる。
図22において、ガラス基板102とガラス基板208の板厚差の2倍が可干渉距離6μm以下の場合、光の干渉が強くなる。板厚差が可干渉距離を超えると、干渉は徐々に消失する。実際に用いるガラス基板の板厚差は可干渉距離の数倍になり、干渉の発生を防ぐことが可能となる。
【0071】
図22は二組の光路を示しており、これらの光路がDSTNモードの液晶表示素子に大きな影響を及ぼしていると発明者らは考えている。二組の光路長と光路差は以下の通りである。
【0072】
第1の光路362は、以下の光路を含んでいる。
【0073】
Figure 0004219728
【0074】
第2の光路363は以下の光路を含んでいる。
【0075】
Figure 0004219728
【0076】
両者の光路差は、以下の通りである。(液晶層の差は無視可能である。)
【0077】
2×ガラス基板102−2×ガラス基板208 式5
【0078】
それぞれの光路の内面反射の回数は2回である。反射率を5%として計算すると、反射光の相対強度は主光路の0.25%である。光路上での反射回数が更に増えると反射光の相対強度は著しく小さくなる。
【0079】
以下、(内面反射により発生する)他の重要な副次的な光路について考察する。それぞれの液晶層を同数回通過する光路は全て考慮の対象から外すことができる。これらの光路ではDSTNモードの液晶表示素子の補償効果により光は通過することができない。更に偏光板を複数回通過する光路も全て除外できる。また、ガラス基板と偏光板との界面では、ほとんど反射は発生しない。両液晶セルの内のITOや他の膜の膜厚の影響は無視している。特に液晶セル201と液晶セル101との膜の数や膜の種類の差の影響も無視している。
以上から有効な副次的な光路のうち選択可能なものは上述の光路のみとなる。
【0080】
【実施例】
[例1]表示用セルを以下のように作成した。板厚が0.7mmの二枚のガラス基板上に、それぞれ透明電極を配置し、さらに、各透明電極上に配向膜を成膜した。その後、配向膜にラビング処理を施した。ラビング処理では、二枚のガラス基板を組み合わせて、液晶を挟持させたときにねじれ角が180°となるようにラビング方向を定めた。ラビング後、配向膜を有する透明電極が対向するようにガラス基板を重ね合わせ、ガラス基板の間に液晶を注入して封止した。液晶には、市販の液晶(メルク株式会社製「ZLI4431」:Δn=0.1643)を用いた。そして、セルギャップを6μmとしてΔn・dを0.986μmとした。
【0081】
また、補償セルを以下のように作成した。板厚が0.55mmの二枚のガラス基板上に、それぞれ配向膜を成膜し、ラビング処理を施した。ラビング処理では、表示用セルの場合と同様にねじれ角が180°となるようにラビング方向を定めた。ラビング後、配向膜が対向するようにガラス基板を重ね合わせ、ガラス基板の間に液晶を注入して封止した。液晶は、表示用セルと同様にメルク株式会社製「ZLI4431」を用いた。補償セルも、セルギャップを6μmとしてΔn・dを0.986μmとした。ただし、補償セルでは、液晶分子のねじれ方向が表示用セルとは逆向きになるようにした。
【0082】
続いて、表示用セルの背面側となるガラス基板および補償セルの正面側となるガラス基板に偏光板を接着し、また、偏光板が接着されていない面同士が対向するように表示用セルと補償セルを配置した。表示用セルに偏光板を接着するときには、偏光板の偏光軸方向と、表示用セルの液晶層における背面のガラス基板側の配向方向とが45°の角をなすようにした。補償セルに偏光板を接着するときには、偏光板の偏光軸方向と、補償セルの液晶層における正面のガラス基板側の配向方向とが45°の角をなすようにした。そして、表示用セルと補償セルの互いに隣接するガラス基板側の液晶分子の配向方向が互いに直交し、二つの偏光板の偏光軸方向が直交するように、表示用セルと補償セルを配置した。表示用セルのガラス基板の板厚は0.7mmであり、補償セルのガラス基板の板厚は0.55mmであるので、表示用セルと補償セルの隣接しあうガラス基板の板厚の差は0.15mmである。この値は0.05mmよりも大きい。
【0083】
表示用セルに接着された偏光板の背面にバックライトを配置した。バックライトにはLEDを用いた。図16は、本実施例で用いたバックライトの分光データを示す。図16の横軸λは波長を示し、縦軸Iは光の輝度を示す。図16に示す分光データにおける半値幅は、5nm以上である。
【0084】
この表示用セルの液晶層に電圧を印加しない場合、筋むらが発生しない良好な黒色表示を得ることができた。
【0085】
[比較例]表示用セルのガラス基板として板厚が0.55mmのガラス基板を用いて例1と同様に液晶表示装置を作成した。補償セルのガラス基板の板厚は0.55mmであるので、表示用セルと補償セルの隣接しあうガラス基板の板厚の差は0.05mmより小さい。この液晶表示装置では、表示用セルの液晶層に電圧を印加しない状態で画面の表示にむらが確認され、良好な表示品位を得られなかった。
【0086】
[例2]表示用セルのガラス基板として板厚が0.55mmのガラス基板を用い、また、補償セルのガラス基板として板厚が0.5mmのガラス基板を用いた。そして、例1と同様に液晶表示装置を作成した。表示用セルと補償セルの隣接しあうガラス基板の板厚の差は、0.05mmである。この表示用セルの液晶層に電圧を印加しない場合、筋むらが発生しない良好な黒色表示を得ることができた。
[例3]表示用セルの正面側のガラス基板として、板厚が0.55mmのガラス基板を用い、背面側のガラス基板として、板厚が0.5mmのガラス基板を用いた。また、補償セルのガラス基板として板厚が0.5mmのガラス基板を用いた。そして、例1と同様に液晶表示装置を作成した。表示用セルと補償セルの隣接しあうガラス基板の板厚の差は、0.05mmである。この表示用セルの液晶層に電圧を印加しない場合、筋むらが発生しない良好な黒色表示を得ることができた。
【0087】
また、表示用セルのガラス基板および補償セルのガラス基板として、板厚が0.55mmのガラス基板を用いて、比較例1と同様に液晶表示装置を作成した。すなわち、表示用セルと補償セルの隣接しあうガラス基板の板厚が等しくなるように液晶表示装置を作成した。ただし、表示用セルと補償セルの隣接しあうガラス基板に対してそれぞれ研磨を行い、板厚の最も厚い箇所と最も薄い箇所の差が0.2μm以下になるようにした。この場合比較例1とは異なり、表示用セルの液晶層に電圧を印加しない場合、筋むらが発生しない良好な黒色表示を得ることができた。
【0088】
次に、二枚の透明基板の相対干渉強度の変化を利用した透明基板の検査方法について説明する。図1に示すガラス基板2,28のように隣接する2枚のガラス基板(透明基板)があり、一方のガラス基板には板厚分布がないとする。すなわち、板厚にむらがないとする。もう一方のガラス基板には板厚分布があるものとする(板厚の厚い部分や薄い部分があるものとする)。このガラス基板の板厚が0.1μm(相対干渉強度の変動周期の半分)変化すると、相対干渉強度が高い状態から低い状態に変化する。すなわち、干渉光の色が濃い状態から淡い状態に変化する。そして、板厚が0.2μm(相対干渉強度の変動周期)変化すると、相対干渉強度が高い状態(濃)から低い状態(淡)になり更に高い状態(濃)になり、一本の筋むらとして認識されるようになる。本発明による透明基板の検査方法は、このことを利用した検査方法である。
【0089】
板厚分布の検査を行う場合、所定の厚みを有する第一のガラス基板と、検査対象となる第二のガラス基板とを隣接させ、筋むら(干渉縞)が発生するか否かを確認する。第一のガラス基板と第二のガラス基板の平均板厚の差は50μm以内になるようにする。二枚のガラス基板を隣接させるときには、二枚のガラス基板の各平面を光が透過し得る状態に配置する。例えば、平面同士が対向するように配置する。このとき、第一のガラス基板と第二のガラス基板の基板間隙を0.1mm以上設ける。第一のガラス基板としては、厚み偏差のない(板厚分布のない)超平面基板を用いる。また、検査対象となる第二のガラス基板は、第一のガラス基板の板厚を目標として製造されているものとする。すなわち、第二のガラス基板は、第一のガラス基板とほぼ等しい板厚であるが、板厚分布が生じている可能性があるガラス基板である。
【0090】
二枚のガラス基板を配置したならば、その二枚のガラス基板を通過する光の干渉強度分布を観察する。干渉強度分布は、干渉縞(筋むら)として観察される。なお、この干渉縞はニュートンリングとは異なる。図17は、二枚のガラス基板を通過する光の経路の例を示す説明図である。図17(a)は、二枚のガラス基板を直進する光の経路を示す。図17(b)は、観察者とは反対側のガラス基板を通過し、そのガラス基板の面で反射し、再度、観察者とは反対側のガラス基板を通過し、次に観察者側のガラス基板を通過する光の経路を示す。図17(c)は、二枚のガラス基板を通過し、観察者とは反対側のガラス基板の面で反射し、再度二枚のガラス基板を通過する光の経路を示す。光の干渉強度分布を確認する場合には、例えば、図17(a)〜図17(c)に例示する経路を通過する光の干渉強度分布を観察すればよい。
【0091】
検査では、ピーク輝度に対する半値幅が5nm以上である光を照射する光源を準備し、ピーク輝度に対する半値幅が5nm以上である光に二枚のガラス基板を通過させる。このような光としては、例えば自然光を用いればよい。
【0092】
第二のガラス基板に板厚分布がなく、板厚が第一のガラス基板と完全に等しい場合には、筋むらは発生しない。板厚分布あり、二枚のガラス基板の板厚の差が光学的に干渉を呈する程度に近づくと、二枚のガラス基板を通過する光の干渉によって筋むら(干渉縞)が発生し始める。板厚の差が約0.2μmになると一本の筋むらが観測される。二枚のガラス基板の板厚の差がさらに大きくなると、筋むらの本数も増えていく。例えば、板厚の差が0.4μmにまで広がっている場合には、二本の筋むらが発生する。また、板厚の差が約0.2μm広がる毎に筋むらは一本ずつ増加する。従って、筋むらの本数により、板厚の差がどの程度まで広がっているのかを検査できる。筋むらが確認されなければ、第二のガラス基板の板厚分布は約0.2μm以下と判断できる。すなわち、厚い箇所の板厚と薄い箇所の板厚の差が約0.2μm以下であると判断できる。
【0093】
筋むらが確認される場合には、筋むらが一本確認される毎に第二のガラス基板の板厚が約0.2μm変化していると判断できる。従って、第二のガラス基板の板厚の変化の最大値は、筋むらの本数に0.2μmを乗じた値として概算することができる。例えば、筋むらが10本確認されたとする。この場合、第二のガラス基板の板厚と、第一のガラス基板の板厚との差は最大で約2μm程度になると判断できる。従って、第二のガラス基板の板厚の最も厚い部分と、最も薄い部分の差も最大で約2μm程度になると判断できる。なお、二枚の板厚の差として計算で求めた値が得られるのは、第二のガラス基板の板厚が徐々に厚みを増す(または減らす)ように変化する場合である。第二のガラス基板の板厚が厚くなったり薄くなったりを繰り返す場合、二枚のガラス基板の板厚の差は、筋むらの本数に0.2μmを乗じた値より小さくなる。
【0094】
また、第一のガラス基板は、製造すべきガラス基板の板厚に合わせて複数種類用意しておけばよい。例えば、板厚が0.55mmとして製造されるガラス基板を検査対象とする場合には、板厚が0.55mmで板厚分布のないガラス基板を第一のガラス基板として用意しておけばよい。板厚が0.5mmとして製造されるガラス基板を検査対象とする場合には、板厚が0.5mmで板厚分布のないガラス基板を第一のガラス基板として用意しておけばよい。
【0095】
この検査方法において、液晶表示装置、有機EL表示装置や各種のフラットパネルディスプレイ用の基板の厚みと厚みむらの検査を行うことができる。基準となる第一の基板を各種準備しておけば高精度の検査を容易に実行できる。この際、第二の透明基板の平均的な厚みは30μm以上であることが好ましい。基板があまりに薄すぎると、それ自体の干渉が生じるからである。さらに、好ましくは100μm以上とする。
【0096】
筋むらの確認は、人間による目視検査であってもよい。また、CCDカメラを用いた自動検査であってもよい。
【0097】
なお、第一のガラス基板は、板厚分布の状態が既知であれば、厚み偏差のない超平面基板でなくてもよい。例えば、一部に板厚が変化している部分があったとしても、その状況が既知であるならば、板厚が一定の部分を検査に用いればよい。また、図18に示すように、くさび状に板厚が変化しているガラス基板を第一のガラス基板として使用したとしても、板厚が変化しない方向300に垂直に生じる筋むら301の本数によって第二のガラス基板の板厚の変化を確認することができる。
【0098】
また、検査対象となる基板は、液晶表示装置、有機EL表示装置や各種のフラットパネルディスプレイ用の基板に限定されない。使用時に二枚並べられずに使用されるガラス基板を検査対象としてもよい。例えば、太陽電池のカバーガラスのように、1枚だけで使用されるガラス基板を検査対象としてもよい。さらに、ガラス以外の透明基板(例えば、プラスチック基板)を検査対象としてもよい。
【0099】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置によれば、黒色表示を行うときに光の漏れが生じたとしても、筋むらが発生しない良好な品位で表示を行うことができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶表示装置の模式的断面図。
【図2】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図3】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図4】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図5】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図6】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図7】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図8】 隣接するガラス基板の板厚をともに0.5mmとした場合の各ガラス基板の相対干渉強度を示すグラフ。
【図9】 隣接するガラス基板の板厚を0.5mmおよび0.55mmとした場合の各ガラス基板の相対干渉強度を示すグラフ。
【図10】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図11】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図12】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図13】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図14】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図15】 二枚のガラス基板による相対干渉強度の変化を示すグラフ。
【図16】 実施例に用いたバックライトの分光輝度を示すグラフ。
【図17】 本発明の検査方法における光の経路の例を示す説明図。
【図18】 本発明の検査方法に用いる第一のガラス基板の例を示す説明図。
【図19】 従来の液晶表示装置の模式的断面図。
【図20】 筋むらの発生状況の例を示す説明図。
【図21】 光の漏れの原因を説明する説明図。
【図22】 光の漏れの原因を説明する説明図。
【符号の説明】
1 表示用セル
2,8 ガラス基板
3,7 透明電極
4,6 配向膜
5 液晶層
21 補償セル
22,28 ガラス基板
24,26 配向膜
25 液晶層
31 バックライト
32 第一の偏光板
33 第二の偏光板

Claims (4)

  1. 透明電極を有する一対の透明基板によって液晶を挟持し、液晶への印加電圧がしきい電圧以下の場合にねじれ配向状態を保つ表示用液晶セルと、一対の透明基板によって液晶を挟持し、前記表示用液晶セルのねじれ配向状態とはねじれ方向が逆でねじれ角がほぼ等しいねじれ配向状態を保ち、リタデーションが前記表示用液晶セルとほぼ等しい補償セルとを備え、隣接する透明基板側の液晶分子の配向方向が互いにほぼ直交するように前記表示用液晶セルと前記補償セルとを配置し、前記表示用液晶セルおよび前記補償セルを挟むように偏光軸が互いにほぼ直交する一対の偏光板を配置した液晶表示装置であって、
    ピーク輝度に対する半値幅が5nm以上である光を照射するバックライトを備え、
    前記表示用液晶セルの補償セル側の透明基板の板厚と前記補償セルの表示用液晶セル側の透明基板の板厚には0.05mm以上の差がある
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 液晶表示装置は、車両に搭載される車載用液晶表示装置または公衆に情報を提供する公衆表示用液晶表示装置である請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 表示用液晶セルと補償セルとの間に75μm以上の空隙が設けられる請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 透明電極を有する一対の透明基板によって液晶を挟持し、液晶への印加電圧がしきい電圧以下の場合にねじれ配向状態を保つ表示用液晶セルと、一対の透明基板によって液晶を挟持し、前記表示用液晶セルのねじれ配向状態とはねじれ方向が逆でねじれ角がほぼ等しいねじれ配向状態を保ち、リタデーションが前記表示用液晶セルとほぼ等しい補償セルとを備え、隣接する透明基板側の液晶分子の配向方向が互いにほぼ直交するように前記表示用液晶セルと前記補償セルとを配置し、前記表示用液晶セルおよび前記補償セルを挟むように偏光軸が互いにほぼ直交する一対の偏光板を配置した液晶表示装置であって、
    ピーク輝度に対する半値幅が5nm以上である光を照射するバックライトを備え、
    前記表示用液晶セルの補償セル側の透明基板および前記補償セルの表示用液晶セル側の透明基板は、いずれか一方が単一の透明板で構成され、他方が該単一の透明板と等しい板厚を有する第一の透明板に板厚が0.05mm以上の第二の透明板を光学的に密着したもので構成されている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
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