JP4219180B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池に関し、特に、非水電解液を用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非水電解液を用いたリチウム二次電池が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、負極としてリチウム金属またはリチウム合金を用いるとともに、溶媒として1種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテル(テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル))のみを含む非水電解液を用いたリチウム二次電池が開示されている。このようなリチウム二次電池では、溶媒と負極との反応によって負極表面にイオン伝導性の被膜が形成され、この被膜によって保存中の自己放電が抑制されることが知られている。具体的には、負極表面に形成された被膜によって、保存中に、活性なリチウムを含む負極と非水電解液とが反応するのが抑制されるので、保存中の自己放電が少なくなる。自己放電が少ないリチウム二次電池は、保存特性に優れるので、上記特許文献1に開示されたリチウム二次電池は、長期間に渡って安定して作動することが求められるメモリバックアップ用電源などに使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−273926号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、機器の高性能化および高信頼性化が進むにつれて、機器の主電源が放電した状態で非常に長期間放置された場合であっても、記録された情報が消失するのを確実に防止することが求められている。そのため、メモリバックアップ用電源として使用されるリチウム二次電池に対して、一層の保存特性の向上が求められている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された非水電解液の溶媒として1種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルのみを含む従来のリチウム二次電池では、負極表面に形成される被膜が緻密ではないため、被膜中に非水電解液が徐々に浸入して負極のリチウムと反応するという不都合があった。このため、長期間の保存中に徐々に自己放電するという不都合があった。その結果、保存特性を向上させるのが困難であるという問題点があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、保存特性を向上させることが可能なリチウム二次電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、非水電解液の溶媒として2種以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いることにより保存特性を向上させることが可能であることを見出した。
【0009】
すなわち、この発明の一の局面によるリチウム二次電池は、正極と、リチウム−アルミニウム−マンガン合金、又はリチウム−アルミニウム合金を用いた負極と、溶質および溶媒からなる非水電解液とを備え、溶媒は、2種類以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を含む。
【0010】
この一の局面によるリチウム二次電池では、上記のように、非水電解液の溶媒に2種以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いることによって、2種以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルと負極との反応によって負極表面に従来に比べて緻密なイオン伝導性の被膜を形成することができる。これにより、負極表面に緻密でないイオン伝導性の被膜が形成される従来の場合に比べて、負極と非水電解液との反応がより抑制されるので、保存中にリチウム二次電池が自己放電するのをより抑制することができる。その結果、リチウム二次電池の保存特性を向上させることができる。
【0011】
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、2種以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒は、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテルおよびテトラエチレングリコールジアルキルエーテルの中から選択された2種以上の混合溶媒である。このように構成すれば、容易に、負極表面に緻密な被膜を形成することができるので、リチウム二次電池の保存特性を向上させることができる。
【0012】
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、2種以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒は、ジエチレングリコールジアルキルエーテルとテトラエチレングリコールジアルキルエーテルとの混合溶媒である。このように構成すれば、負極表面に最も緻密な被膜を形成することができるので、リチウム二次電池の保存特性をより向上させることができる。
【0013】
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、負極は、0.1質量%以上10質量%以下のマンガン割合を有するリチウム−アルミニウム−マンガン合金を含む。このように構成すれば、負極表面により緻密な被膜を形成することができるので、リチウム二次電池の保存特性をより向上させることができる。
【0014】
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、溶質は、リチウムパーフルオロアルキルスルホニルイミドを含む。このように構成すれば、負極表面により緻密な被膜を形成することができるので、リチウム二次電池の保存特性をより向上させることができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0016】
(実施例1)
この実施例1では、非水電解液の溶媒として2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いた本発明によるリチウム二次電池において、保存特性の向上に適したポリエチレングリコールジアルキルエーテルの組合せに関して検討した例について説明する。具体的には、本発明の実施例1として、以下に示す実施例1−1〜1−6の6種類の本発明電池A1〜A6を作製するとともに、比較例として比較例1−1〜1−7による比較電池X1〜X7を作製して評価を行った。以下、詳細に説明する。
【0017】
(実施例1−1)
まず、本発明の実施例1−1による本発明電池A1の作製プロセスについて説明する。
【0018】
[正極の作製]
正極活物質としてのスピネル構造マンガン酸リチウム(LiMn2O4)(粉末)と、導電剤としてのカーボンブラック(粉末)と、結着剤としてのフッ素樹脂(粉末)とを85:10:5の重量比で混合することにより正極合剤を調整した。この正極合剤を円盤状に鋳型成形した後、真空中において250℃で2時間乾燥して正極を作製した。
【0019】
[負極の作製]
1質量%のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金(Al−Mn)の表面にリチウム箔を貼り付けてアルミニウム−マンガン合金中にリチウムを電気化学的に挿入することにより、リチウム−アルミニウム−マンガン合金(Li−Al−Mn)を作製した。このリチウム−アルミニウム−マンガン合金(Li−Al−Mn)を円盤状に打ち抜くことにより、負極を作製した。
【0020】
[非水電解液の調整]
ジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒に、溶質としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2)を1モル/リットル溶かすことにより、非水電解液を調整した。
【0021】
[電池の組立]
セパレータに、上記のようにして調整した非水電解液を含浸させた。そして、負極缶と正極缶とによって構成される電池ケース内に、負極と正極とをセパレータを介して対向するように設置した。ここで、実施例1−1で作製した本発明電池A1の構造の詳細について説明する。図1は、本発明の実施例1−1により作製した本発明電池A1の構成を示した断面図である。実施例1−1による本発明電池A1は、図1に示すように、24mmの外径と3mmの厚さを有する扁平形状に形成した。また、本発明電池A1は、負極1、正極2、セパレータ3、負極缶4、正極缶5、負極集電体6、正極集電体7および絶縁パッキング8を備えるように作製した。負極1および正極2としては、それぞれ、上記のように作製したものを用いた。また、セパレータ3は、ポリフェニレンスルフィド製の不織布によって形成した。また、セパレータ3には、上記のように調整した非水電解液を含浸させた。負極集電体6は、ステンレス鋼板(SUS304)によって形成した。正極集電体7は、ステンレス鋼板(SUS316)によって形成した。また、絶縁パッキング8は、ポリフェニレンスルフィド樹脂によって形成した。また、負極缶4と正極缶5とによって本発明電池A1の外装となる電池ケース9を形成した。
【0022】
電池ケース9内には、負極1と正極2とがセパレータ3を介して対向するように設置した。また、負極1は、負極集電体6を介して負極缶4に接続されるように構成した。正極2は、正極集電体7を介して正極缶5に接続されるように構成した。これにより、負極1と非水電解液との化学反応および正極2と非水電解液との化学反応によって電池内部で生じた化学エネルギーを負極缶4および正極缶5を介して電気エネルギーとして電池外部へ取り出すことが可能なように構成した。
【0023】
(実施例1−2)
この実施例1−2では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とジエチレングリコールジエチルエーテル(Di−DEE)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池A2を作製した。
【0024】
(実施例1−3)
この実施例1−3では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とトリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri−DME)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池A3を作製した。
【0025】
(実施例1−4)
この実施例1−4では、非水電解液の溶媒としてトリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri−DME)とトリエチレングリコールジエチルエーテル(Tri−DEE)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池A4を作製した。
【0026】
(実施例1−5)
この実施例1−5では、非水電解液の溶媒としてトリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri−DME)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池A5を作製した。
【0027】
(実施例1−6)
この実施例1−6では、非水電解液の溶媒としてテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)とテトラエチレングリコールジエチルエーテル(Tetra−DEE)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池A6を作製した。
【0028】
(比較例1−1)
この比較例1−1では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とプロピレンカーボネート(PC)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池X1を作製した。
【0029】
(比較例1−2)
この比較例1−2では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池X2を作製した。
【0030】
(比較例1−3)
この比較例1−3では、非水電解液の溶媒としてプロピレンカーボネート(PC)を単独で使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池X3を作製した。
【0031】
(比較例1−4)
この比較例1−4では、非水電解液の溶媒として1,2−ジメトキシエタン(DME)を単独で使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池X4を作製した。
【0032】
(比較例1−5)
この比較例1−5では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)を単独で使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池X5を作製した。
【0033】
(比較例1−6)
この比較例1−6では、非水電解液の溶媒としてトリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri−DME)を単独で使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池X6を作製した。
【0034】
(比較例1−7)
この比較例1−7では、非水電解液の溶媒としてテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)を単独で使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池X7を作製した。
【0035】
次に、上記のようにして作製した本発明電池A1〜A6および比較電池X1〜X7について、各電池の保存特性を調べるために、以下のような容量維持率の測定を行った。
【0036】
[容量維持率(保存特性)の測定]
作製直後の実施例1−1〜1−6および比較例1−1〜1−7による各電池を、180℃で1分間余熱した後、最高温度が260℃、出入口付近の最低温度が180℃になったリフロー炉内を1分間かけて通過させた。その後、25℃において電流値1mAで2Vまで放電し、放電容量を測定した。このときの放電容量を「電池作製直後の放電容量」とした。また、作製直後の実施例1−1〜1−6および比較例1−1〜1−7による各電池を、180℃で1分間余熱した後、最高温度が260℃、出入口付近の最低温度が180℃になったリフロー炉内を1分間かけて通過させた。その後、60℃で2ヶ月間保存した後、25℃において電流値1mAで2Vまで放電し、放電容量を測定した。このときの放電容量を「保存後の放電容量」とした。そして、以下の式によって、容量維持率を求めた。
【0037】
容量維持率(%)={(保存後の放電容量)/(電池作製直後の放電容量)}×100
【0038】
なお、このようにして求めた容量維持率の値が大きいほど、保存中の自己放電が少ない電池であるので、保存特性に優れた電池であるといえる。上記のようにして求めた各電池の容量維持率を以下の表1に示す。
【0039】
【表1】
上記表1を参照して、本発明電池A1〜A6では、比較電池X5〜X7の容量維持率(54%〜55%)と比べて、90%以上の大きな容量維持率を示した。これにより、非水電解液の溶媒として、1種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルを単独で用いるよりも2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルを混合した混合溶媒を用いる方が、リチウム二次電池が自己放電するのをより抑制することが可能であることが明らかになった。これは、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルと負極との反応によって負極表面に形成されるイオン伝導性の被膜が、1種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテル単独の溶媒を用いた場合よりも2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いた場合の方がより緻密に形成されるためであると考えられる。
【0040】
具体的には、2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いた場合には、2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルのうち、一方のポリエチレングリコールジアルキルエーテルと負極との反応によって、他方のポリエチレングリコールジアルキルエーテルと負極との反応の進行が抑制されると考えられる。これにより、負極表面に形成されるイオン伝導性の被膜の成長が緩やかに進行するので、図2に示すように、負極1の表面に緻密なイオン伝導性の被膜10が形成されると考えられる。そして、この緻密なイオン伝導性の被膜10によって、保存中に負極1と非水電解液とが接触するのが抑制されるため、負極1と非水電解液との反応がより抑制され、その結果、リチウム二次電池が自己放電するのをより抑制することができると考えられる。
【0041】
また、表1から明らかなように、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテルとテトラエチレングリコールジメチルエーテルとの混合溶媒を用いた本発明電池A1が最も大きな容量維持率(98%)を示した。これは、これら2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いた場合に、負極表面に最も緻密なイオン伝導性の被膜が形成されるためであると考えられる。
【0042】
また、ジエチレングリコールジメチルエーテルとプロピレンカーボネートとの混合溶媒を用いた比較電池X1、ジエチレングリコールジメチルエーテルと1,2−ジメトキシエタンとの混合溶媒を用いた比較電池X2、プロピレンカーボネートの単独溶媒を用いた比較電池X3、および、1,2−ジメトキシエタンの単独溶媒を用いた比較電池X4では、2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いた本発明電池A1〜A6の容量維持率(90%〜98%)と比べて、58%以下の小さな容量維持率を示した。これは、これらの溶媒を用いた場合には、負極表面に形成される被膜が緻密でないため、被膜中に非水電解液が徐々に浸入して負極のリチウムと反応し、その結果、保存中に自己放電するためであると考えられる。
【0043】
上記のように、実施例1では、非水電解液の溶媒に2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いることによって、2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルと負極との反応によって負極表面に従来に比べて緻密なイオン伝導性の被膜を形成することができると考えられる。これにより、負極表面に緻密でないイオン伝導性の被膜が形成される従来の場合に比べて、負極と非水電解液との反応がより抑制されるので、保存中にリチウム二次電池が自己放電するのをより抑制することができる。その結果、リチウム二次電池の保存特性を向上させることができる。
【0044】
(実施例2)
この実施例2では、上記した実施例1において最も大きな容量維持率を示したジエチレングリコールジメチルエーテルとテトラエチレングリコールジメチルエーテルとの混合溶媒を非水電解液の溶媒に用いた場合において、これら2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの体積比が本発明によるリチウム二次電池の保存特性におよぼす影響について検討を行った例について説明する。具体的には、本発明の実施例2として、2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの体積比を変化させた以下の5種類の実施例2−1〜実施例2−5による本発明電池B1〜B5を作製するとともに、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルを単独で使用した比較例2−1および2−2による比較電池Y1およびY2を作製して評価を行った。
【0045】
(実施例2−1)
この実施例2−1では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)とを10:90の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池B1を作製した。
【0046】
(実施例2−2)
この実施例2−2では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)とを25:75の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池B2を作製した。
【0047】
(実施例2−3)
この実施例2−3では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)とを50:50の体積比で混合した混合溶媒を使用して、実施例1−1で作製した本発明電池A1の構成と全く同様の構成の本発明電池B3を作製した。
【0048】
(実施例2−4)
この実施例2−4では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)とを75:25の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池B4を作製した。
【0049】
(実施例2−5)
この実施例2−5では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)とを90:10の体積比で混合した混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池B5を作製した。
【0050】
(比較例2−1)
この比較例2−1では、非水電解液の溶媒としてテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra−DME)を単独で使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池Y1を作製した。なお、この比較電池Y1の構成は、比較例1−7で作製した比較電池X7の構成と全く同様である。
【0051】
(比較例2−2)
この比較例2−2では、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(Di−DME)を単独で使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして比較電池Y2を作製した。なお、この比較電池Y2の構成は、比較例1−5で作製した比較電池X5の構成と全く同様である。
【0052】
次に、上記のようにして作製した本発明電池B1〜B5と比較電池Y1およびY2とについて、実施例1で行った容量維持率の測定と同様の測定を行った。その結果を以下の表2に示す。
【0053】
【表2】
上記表2を参照して、本発明電池B1〜B5では、比較電池Y1およびY2の容量維持率(54%、55%)と比べて、89%以上の大きな容量維持率を示した。これにより、非水電解液の溶媒として、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびテトラエチレングリコールジメチルエーテルのどちらか一方を単独で使用した溶媒を用いるよりも、ジエチレングリコールジメチルエーテルとテトラエチレングリコールジメチルエーテルとを所定の体積比(10:90、25:75、50:50、75:25、90:10)で混合した混合溶媒を用いる方が、リチウム二次電池が自己放電するのをより抑制することが可能であることが確認できた。また、表2から明らかなように、非水電解液の溶媒として、ジエチレングリコールジメチルエーテルとテトラエチレングリコールジメチルエーテルとを50:50の体積比で混合した混合溶媒を用いた本発明電池B3が最も大きな容量維持率(98%)を示した。これは、この体積比で混合した混合溶媒で負極表面に最も緻密なイオン伝導性の被膜が形成されるので、リチウム二次電池が自己放電するのをより有効に抑制することができるためであると考えられる。
【0054】
(実施例3)
この実施例3では、負極の材料中のマンガン含有率が本発明によるリチウム二次電池の保存特性に及ぼす影響について検討した例について説明する。具体的には、実施例3として、負極のマンガン含有率を変化させた以下の6種類の実施例3−1〜実施例3−6による本発明電池C1〜C6を作製して評価を行った。
【0055】
(実施例3−1)
この実施例3−1では、負極の材料としてリチウム−アルミニウム合金を使用した以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池C1を作製した。つまり、この実施例3−1では、マンガン含有率0%の負極を有する本発明電池C1を作製した。
【0056】
(実施例3−2)
この実施例3−2では、負極の材料として0.1質量%のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金(Al−Mn)にリチウムを電気化学的に挿入することにより作製したリチウム−アルミニウム−マンガン合金(Li−Al−Mn)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池C2を作製した。
【0057】
(実施例3−3)
この実施例3−3では、負極の材料として0.5質量%のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金(Al−Mn)にリチウムを電気化学的に挿入することにより作製したリチウム−アルミニウム−マンガン合金(Li−Al−Mn)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池C3を作製した。
【0058】
(実施例3−4)
この実施例3−4では、負極の材料として1質量%のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金(Al−Mn)にリチウムを電気化学的に挿入することにより作製したリチウム−アルミニウム−マンガン合金(Li−Al−Mn)を使用して、実施例1−1で作製した本発明電池A1の構成と全く同様の構成の本発明電池C4を作製した。
【0059】
(実施例3−5)
この実施例3−5では、負極の材料として5質量%のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金(Al−Mn)にリチウムを電気化学的に挿入することにより作製したリチウム−アルミニウム−マンガン合金(Li−Al−Mn)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池C5を作製した。
【0060】
(実施例3−6)
この実施例3−6では、負極の材料として10質量%のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金(Al−Mn)にリチウムを電気化学的に挿入することにより作製したリチウム−アルミニウム−マンガン合金(Li−Al−Mn)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池C6を作製した。
【0061】
次に、上記のようにして作製した本発明電池C1〜C6について、実施例1で行った容量維持率の測定と同様の測定を行った。その結果を以下の表3に示す。
【0062】
【表3】
上記表3を参照して、負極の材料として0.1質量%以上10質量%以下のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金にリチウムを電気化学的に挿入することにより作製したリチウム−アルミニウム−マンガン合金を使用した本発明電池C2〜C6は、負極材料としてマンガンを全く含まないリチウム金属を使用した本発明電池C1の容量維持率(87%)に比べて、大きな容量維持率(93%〜97%)を示した。これにより、負極の材料として、0.1質量%以上10質量%以下のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金にリチウムを電気化学的に挿入することにより作製したリチウム−アルミニウム−マンガン合金を使用した場合には、リチウム二次電池が自己放電するのをより抑制することが可能であることが明らかになった。これは、負極の材料中に存在するマンガンによって負極の活物質であるリチウムと非水電解液の溶媒との反応の進行が抑制されるので、負極活物質のリチウムと溶媒との反応によって負極表面に形成されるイオン伝導性の被膜の成長が緩やかに進行し、その結果、負極表面により緻密な被膜が形成されるためであると考えられる。
【0063】
なお、0.1質量%未満のマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金を用いた場合には、自己放電を有効に抑制可能な厚みまでイオン伝導性の被膜を成長させることができないことが確認された。また、10質量%を超えるマンガン含有率を有するアルミニウム−マンガン合金を用いた場合には、被膜が厚くなりすぎて充放電反応が起こりにくくなることが確認された。
【0064】
上記のように、実施例3では、負極の材料として、0.1質量%以上10質量%以下のマンガン割合を有するリチウム−アルミニウム−マンガン合金を使用することによって、負極表面により緻密な被膜を形成することができると考えられるので、リチウム二次電池の保存特性をより向上させることができる。
【0065】
(実施例4)
この実施例4では、非水電解液の溶質の種類が本発明によるリチウム二次電池の保存特性におよぼす影響について検討した例について説明する。具体的には、実施例4として、以下に示す異なる非水電解液の溶質を用いた実施例4−1〜実施例4−9による本発明電池D1〜D9を作製して評価を行った。
【0066】
(実施例4−1)
この実施例4−1では、非水電解液の溶質としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2)を使用して、実施例1−1で作製した本発明電池A1の構成と全く同様の構成の本発明電池D1を作製した。
【0067】
(実施例4−2)
この実施例4−2では、非水電解液の溶質としてリチウム(トリフルオロメチルスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)(C2F5SO2))を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池D2を作製した。
【0068】
(実施例4−3)
この実施例4−3では、非水電解液の溶質としてリチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(C2F5SO2)2)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池D3を作製した。
【0069】
(実施例4−4)
この実施例4−4では、非水電解液の溶質としてリチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(LiC(CF3SO2)3)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池D4を作製した。
【0070】
(実施例4−5)
この実施例4−5では、非水電解液の溶質としてトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池D5を作製した。
【0071】
(実施例4−6)
この実施例4−6では、非水電解液の溶質としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池D6を作製した。
【0072】
(実施例4−7)
この実施例4−7では、非水電解液の溶質としてテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池D7を作製した。
【0073】
(実施例4−8)
この実施例4−8では、非水電解液の溶質としてヘキサフルオロ砒酸リチウム(LiAsF6)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池D8を作製した。
【0074】
(実施例4−9)
この実施例4−9では、非水電解液の溶質として過塩素酸リチウム(LiClO4)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池D9を作製した。
【0075】
次に、上記のようにして作製した本発明電池D1〜D9について、実施例1で行った容量維持率の測定と同様の測定を行った。その結果を以下の表4に示す。
【0076】
【表4】
上記表4を参照して、非水電解液の溶質としてリチウムパーフルオロアルキルスルホニルイミドを用いた本発明電池D1〜D3が特に大きな容量維持率(95%〜98%)を示した。これは、非水電解液の溶質としてリチウムパーフルオロアルキルスルホニルイミドを用いた場合に、より緻密なイオン伝導性の被膜が負極表面に形成されるためであると考えられる。なお、非水電解液の溶質として、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフルオロ砒酸リチウムおよび過塩素酸リチウムを用いた本発明電池D4〜D9でも、実用上問題のない程度の容量維持率(80%〜90%)を示すことが確認できた。
【0077】
上記のように、実施例4では、非水電解液の溶質として、リチウムパーフルオロアルキルスルホニルイミドを用いることによって、負極表面により緻密な被膜を形成することができると考えられるので、リチウム二次電池の保存特性をより向上させることができる。
【0078】
(実施例5)
この実施例5では、正極活物質の種類が本発明によるリチウム二次電池の保存特性に及ぼす影響について検討した例について説明する。具体的には、実施例5として、以下に示す異なる材料からなる正極活物質を用いた実施例5−1〜実施例5−7による本発明電池E1〜E7を作製して評価を行った。
【0079】
(実施例5−1)
この実施例5−1では、正極活物質としてスピネル構造マンガン酸リチウム(LiMn2O4)を使用して、実施例1−1で作製した本発明電池A1の構成と全く同様の構成の本発明電池E1を作製した。
【0080】
(実施例5−2)
この実施例5−2では、正極活物質としてLi:B:Mnの原子比が0.53:0.06:1.00となるように水酸化リチウム(LiOH)と酸化ホウ素(B2O3)と二酸化マンガン(MnO2)とを混合し、空気中において375℃で20時間熱処理して得たホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池E2を作製した。
【0081】
(実施例5−3)
この実施例5−3では、正極活物質としてLi:Mnの原子比が0.50:1.00となるように水酸化リチウム(LiOH)と二酸化マンガン(MnO2)とを混合し、空気中において375℃で20時間熱処理して得たリチウム−マンガン複合酸化物(CDMO:Composite Dimensional Manganese Oxide)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池E3を作製した。
【0082】
(実施例5−4)
この実施例5−4では、正極活物質として立方晶マンガン酸リチウム(Li4Mn5O12)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池E4を作製した。
【0083】
(実施例5−5)
この実施例5−5では、正極活物質として二酸化マンガン(MnO2)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池E5を作製した。
【0084】
(実施例5−6)
この実施例5−6では、正極活物質として酸化ニオビウム(Nb2O5)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池E6を作製した。
【0085】
(実施例5−7)
この実施例5−7では、正極活物質として酸化バナジウム(V2O5)を使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして本発明電池E7を作製した。
【0086】
次に、上記のようにして作製した本発明電池E1〜E7について、実施例1で行った容量維持率の測定と同様の測定を行った。その結果を以下の表5に示す。
【0087】
【表5】
上記表5を参照して、正極活物質としてスピネル構造マンガン酸リチウムを用いた本発明電池E1、ホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物を用いた本発明電池E2、リチウム−マンガン複合酸化物を用いた本発明電池E3および立方晶マンガン酸リチウムを用いた本発明電池E4は、比較的大きな容量維持率(88%〜98%)を示した。これにより、非水電解液の溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテルとテトラエチレングリコールジメチルエーテルとの混合溶媒を用いたリチウム二次電池では、保存特性を向上させるために、正極活物質として、スピネル構造マンガン酸リチウム、ホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物、リチウム−マンガン複合酸化物、および、立方晶マンガン酸リチウムが適していると考えられる。なお、正極活物質として二酸化マンガン、酸化ニオビウムおよび酸化バナジウムを用いた本発明電池E5〜E7でも、実用上問題のない程度の容量維持率(80%〜83%)を示すことが確認できた。
【0088】
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0089】
たとえば、実施例1では、非水電解液の溶媒として2種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いたが、本発明はこれに限らず、3種類以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いても同様の効果を得ることができる。すなわち、3種類または4種類のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を用いても同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、実施例1では、非水電解液の溶媒に用いるポリエチレングリコールジアルキルエーテルとして、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルおよびテトラエチレングリコールジエチルエーテルを用いたが、本発明はこれに限らず、これら以外のポリエチレングリコールジアルキルエーテルを用いても同様の効果を得ることができる。
【0091】
また、実施例5では、正極活物質として、スピネル構造マンガン酸リチウム、ホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物、リチウム−マンガン複合酸化物、立方晶マンガン酸リチウム、二酸化マンガン、酸化ニオビウム、および、五酸化バナジウムを用いたが、本発明はこれに限らず、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムなどを用いても同様の効果を得ることができる。
【0092】
なお、上記した正極活物質のうち、スピネル構造マンガン酸リチウム、ホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物は、他の正極活物質よりも優れた充放電サイクル特性を示すことが知られている。また、優れた充放電サイクル特性を示すホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物では、ホウ素とマンガンとの原子比(B/Mn)は0.01〜0.20であり、かつ、含有するマンガンの平均価数は3.80以上である。
【0093】
また、このようなホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物は、たとえば、B:Li:Mnの原子比が0.01〜0.20:0.1〜2.0:1となるようにホウ素化合物とリチウム化合物とマンガン化合物とを混合した混合物を150℃〜430℃、好ましくは250℃〜430℃、より好ましくは300℃〜430℃の温度で空気中で熱処理することにより得られる。熱処理温度が150℃よりも低いと、ホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物の生成反応が十分に進行しないとともに、MnO2中の水分を十分に除去することができないなどの問題が生じる。一方、熱処理温度が430℃を超えると、MnO2が分解してマンガンの平均価数が3.80より小さくなり、その結果、充電時にホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物の電子状態のバランスが崩れて不安定になる。これにより、充電時にホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物が分解して非水電解液中に溶出しやすくなる。
【0094】
なお、上記したホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物の調整には、ホウ素化合物として、たとえば、酸化ホウ素(B2O3)、ホウ酸(H3BO3)、メタホウ酸(HBO2)、メタホウ酸リチウム(LiBO2)、および、4ホウ酸リチウム(Li2B4O7)などが用いられる。また、リチウム化合物として、たとえば、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(Li2CO3)、酸化リチウム(Li2O)、および、硝酸リチウム(LiNO3)などが用いられる。また、マンガン化合物として、たとえば、二酸化マンガン(MnO2)およびオキシ水酸化マンガン(MnOOH)などが用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1−1による本発明電池A1の構成を示した断面図である。
【図2】図1に示した本発明電池A1の負極表面に被膜が形成された状態を示した断面図である。
【符号の説明】
1 負極
2 正極
3 セパレータ
4 負極缶
5 正極缶
6 負極集電体
7 正極集電体
8 絶縁パッキング
9 電池ケース
10 被膜
Claims (5)
- 正極と、
リチウム−アルミニウム−マンガン合金、又はリチウム−アルミニウム合金を用いた負極と、
溶質および溶媒からなる非水電解液とを備え、
前記溶媒は、2種以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒を含む、リチウム二次電池。 - 前記2種以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒は、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテルおよびテトラエチレングリコールジアルキルエーテルからなるグループより選択される2種以上の溶媒からなる混合溶媒である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記2種以上のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの混合溶媒は、ジエチレングリコールジアルキルエーテルとテトラエチレングリコールジアルキルエーテルとの混合溶媒である、請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
- 前記負極は、0.1質量%以上10質量%以下のマンガン含有率を有するリチウム−アルミニウム−マンガン合金を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
- 前記溶質は、リチウムパーフルオロアルキルスルホニルイミドを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
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