JP4219083B2 - 座標入力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子に関する。本発明の半導体素子は、電子機器、特にその表示装置および入力装置に有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロエレクトロニクス、とりわけ半導体素子の製造技術における顕著な進歩により、大規模集積回路(VLSI)に代表される、高度に集積化された高機能デバイスが実現されている。そして、それらを種々の装置の制御系に採用することにより、電子機器は飛躍的な小型化を達成し、各種産業のみならず、一般家庭における家電製品の小型化、多機能化にも大きく貢献している。特に、携帯電話やPDAなどの携帯情報端末における小型化は著しく、その入力素子または表示素子の本体中に占める体積的割合が大きくなってきている。
【0003】
例えば、従来においては、ペンなどを用いた座標入力装置、いわゆるタッチパネルなどの入力装置において、その加圧入力位置を高精度に検出するために、抵抗膜からの引き出し電線の数を多くするか、あるいは特開平6−187083号公報などに開示されているように、パネル周縁部に整流素子を配置するなどの方法を採用している。しかしながら、上記のように加圧入力位置を高精度に検出するために、引き出し電線の数を増やしたり、あるいはチップ化された整流素子などを抵抗膜の周囲に配置した場合、その実装面積や厚みが大きくなり、携帯情報端末などの小型化を阻害する要因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、上記の如き電子機器における表示装置や入力装置を小型化することのできる半導体素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、半導体性物質粒子をバインダー樹脂で結着することにより半導体層を形成することができ、これによって半導体素子の大きさを飛躍的に小型化することができることを見出し、本発明に到達したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、少なくとも半導体性物質粒子とバインダー樹脂とからなる半導体層を有する半導体素子を提供する。
この半導体素子は、本発明にしたがい、少なくとも半導体性物質粒子とバインダー樹脂と溶媒からなる樹脂ペーストを基材上に塗布または印刷することにより半導体層を形成することを含む方法により製造することができる。
【0007】
本発明は、また、上記本発明の半導体素子を含む表示素子を提供する。
本発明は、さらに、所定の入力領域面を有する入力部に対して、選択的に加圧する加圧体の加圧位置を座標情報として検出する座標入力装置であって、上記本発明の半導体素子を含む座標入力装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しながら、半導体素子として整流素子を形成する場合を例にとって説明する。
図1は、本発明にしたがう整流素子の原理構成図を示している。図において、半導体層1は、n−型シリコン粒子またはp−型シリコン粒子などの半導体粒子とバインダー樹脂とからなっている。半導体層1と接して、半導体とショットキー接合可能なAu、Ag、Cu、Crなどの金属からなる電極膜2が形成され、これにより整流素子が構成される。ここで、半導体層1がn−型あるいはp−型半導体として作用する場合、電極膜2はそれぞれp−型あるいはn−型半導体として作用するようなp−n接合を形成していてもよい。半導体層1の形成に用いる半導体粒子としては、n−型あるいはp−型にドーピングされたSiの粒子などが好適であるが、これらに限定されるものではない。かかる半導体粒子は、その粒径においても樹脂と溶媒とを混合してペースト化することが可能であり、整流特性を阻害しない程度の粒径であれば、特に限定されない。なお、図において、3はこの整流素子に接するITO抵抗膜、4は基板である。
【0009】
半導体粒子を結着するためのバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、飽和ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブタジエン、酢酸セルロース、硝酸セルロースなどを用いることができるが、半導体粒子の導電性を維持したまま結着可能な樹脂であれば、なんらこれらに限定されるものではない。
【0010】
なお、上記の如き半導体層において、必要ならば、その導電性を補うために、導電性物質の粒子を混在させてもよい。
上記した整流素子は、以下のようにして製造することができる。まず、粒径10ミクロン程度に粉砕した半導体粒子と、バインダー樹脂およびこのバインダー樹脂を溶解することのできる溶媒とを混合してペースト状とした後、このペースト状樹脂組成物をAu電極上に塗布し、乾燥して、半導体粒子を含有する樹脂膜を形成する。あるいは、上記ペースト状樹脂組成物を塗布するかわりに、印刷法により付与して、半導体粒子含有樹脂膜を形成してもよい。これにより、半導体粒子含有樹脂膜からなる半導体層1とAuからなる電極膜2とからなる整流素子が得られる。もちろん、このペースト状樹脂組成物中には、上記の如く、得られる半導体層の導電性を補うために、導電性物質の粒子が添加されていてもよい。
【0011】
上記において、半導体粒子含有樹脂膜をタッチパネル式の入力装置の周縁部に形成する際には、あらかじめ設けられたAu電極などの上に、数ミリ程度の大きさで形成すればよい。また、p−n接合型の整流素子を成形する場合には、前記Au電極の代わりに、前記半導体粒子の伝導型と反対の伝導型を有する半導体粒子を含むペーストを、上記と同様の手法で塗布し、乾燥して、予め基板上に電極膜を形成しておけばよい。
【0012】
さらに、これらの塗布または印刷法によって製造した整流素子の湿度などに対する特性の安定化を図るため、これら素子に透湿性の低い樹脂を被覆することができる。
これにより、実装面積の小さな整流素子を容易に製造することができる。
【0013】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。
実施例1
平均粒径10ミクロンに粉砕したn−型Si(0.1〜100Ω)25重量部、ポリエステル樹脂25重量部およびエステル系溶媒50重量部を混合してペースト状にした後、これを84mm×62mmの形状のタッチパネル式入力装置の抵抗膜周縁部に予め形成したAu引き出し電極上に塗布し、90℃で1時間真空乾燥して、たて・よこ3mm×3mmで、厚さ50μmの形状の半導体層を形成し、整流素子を作成した。この場合、得られたタッチパネル式入力装置の外形は、たて・よこ92mm×70mmで、厚さ50μmであった。
【0014】
一連の操作は、窒素置換したグローブボックス内で行った。
実施例2
Au電極をCu電極に置き換えたことを除いて実施例1の操作を繰り返して、タッチパネル入力装置上に整流素子を形成した。
実施例3
実施例1と同様の操作により、タッチパネル抵抗膜の引き出し電極としてAl電極を形成した後、p−型Si粉末(1〜10Ω)25重量部、ポリフッ化ビニリデン25重量部およびN−メチル−2−ピロリドン50重量部を混合した半導体粒子含有樹脂ペーストを、Al電極上に塗布し、乾燥して、p−型半導体層を形成した。さらに、このp−型半導体層の上に実施例1に述べた操作を繰り返してn−型半導体を形成し、たて・よこ4mm×4mmで、厚さ100μmの整流素子を形成した。
【0015】
一連の作業は、窒素置換したグローブボックス内で行った。
比較例1
実施例1で用いたものと同一のタッチパネルの抵抗膜の周縁部に、整流素子(Rohm社製、2.5mm×2.8mm×1.1mm)を実装した。この場合、実装部は一辺あたり10mmの幅を必要とし、得られたタッチパネル入力装置の外形はたて・よこ104mm×82mmで、厚さ2mmとなった。
【0016】
上記の実施例1、2および3で得られた整流素子の整流特性を図2に示す。また、実施例1〜3および比較例1により得られたタッチパネル入力装置における整流素子の実装部の大きさを示す。
【0017】
【表1】
Figure 0004219083
【0018】
これらの実施例および比較例によれば、十分な整流特性を有する整流素子が、たて・よこ4mm×4mm、厚さ100μm程度の形状で作製でき、チップ状の整流素子を実装した場合と比較して実装部の面積を1/4以下、厚さを1/10以下まで低減できることがわかる。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、電子機器における表示装置や入力装置を大幅に小型化することのできる半導体素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体素子の一例としての整流素子を含む装置例を示す模式断面図。
【図2】本発明の実施例で得られた整流素子の整流特性を示す図。
【符号の説明】
1…半導体層
2…電極膜
3…ITO抵抗膜
4…基板

Claims (3)

  1. 所定の入力領域面を有する入力部に対して、選択的に加圧する加圧体の加圧位置を座標情報として検出する座標入力装置であって、
    前記座標入力装置の周縁部に形成された引き出し電極と、
    前記引き出し電極上に形成された第1導電型の半導体性物質粒子とバインダー樹脂とを含む第1半導体層と、
    前記第1半導体層上に形成された前記第1導電型と反対の伝導型を有する第2導電型の半導体性物質粒子とバインダー樹脂とを含む第2半導体層と、
    を有することを特徴とする座標入力装置。
  2. 前記バインダー樹脂は、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、飽和ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブタジエン、酢酸セルロースまたは硝酸セルロースのいずれかである、請求項1に記載の座標入力装置。
  3. 前記第1導電型の半導体性物質粒子および前記第2導電型の半導体性物質粒子は、予めp型またはn型にドーピングされたSiの粒子である、請求項1または2に記載の座標入力装置。
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