JP4218219B2 - プラズマ成膜装置及び炭素膜の形成方法 - Google Patents

プラズマ成膜装置及び炭素膜の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ成膜装置及び炭素膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ダイヤモンド膜を含む炭素膜の形成方法として、平行平板からなる一対の電極を用いてグロー放電を行うことでプラズマを形成し、このプラズマによって、陽極上に設置した基板に炭素膜を形成する方法が提案されている。
このグロー放電による形成方法では、比較的大きなプラズマが均一に形成するため、大面積の炭素膜を形成できるという利点がある一方で、放電電流が低いためにプラズマ密度が低くなって炭素膜の成膜速度が遅いという欠点がある。
【0003】
また、炭素膜の別の形成方法として、棒状の陰極の先端からアーク放電を行ってプラズマを形成し、このプラズマにより陽極上の基板に炭素膜を形成する方法が提案されている。
このアーク放電による形成方法では、放電電流が大きいためにプラズマ密度が高く、炭素膜の成膜速度が速いという利点がある一方で、陰極の先端のみから放電が起きるために、プラズマの照射面積が陰極自体の断面積より小さくなり、均一な炭素膜を広い面積で形成することが困難であるという欠点があった。
また上記の陰極を複数個配列したとしても、プラズマの照射面積が陰極自体の断面積より小さいため、隣接する陰極同士の間でプラズマの分布が生じて均一な炭素膜の形成が困難であった。
【0004】
そこで最近では、棒状の陰極と陽極上の基板との間に中間グリッドを設け、中間グリッドにバイアス電圧を印加してプラズマの照射範囲を拡大させることにより、均一かつ大面積な炭素膜を得る方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、中間グリッドを設けたとしても、期待したほどプラズマの照射面積が拡大されず、依然として均一かつ大面積の炭素膜の形成が困難な状況であった。
また、プラズマにより中間グリッド自体がスパッタリングされて炭素膜に不純物が混入するいわゆるコンタミネーションが発生する場合があった。
更に、中間グリッドの設置によってプラズマ成膜装置の構造が複雑化し、プラズマ成膜装置自体のメンテナンスが煩雑になるという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡単な構造で均一かつ大面積の炭素膜の形成が可能なプラズマ成膜装置及び炭素膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明のプラズマ成膜装置は、反応ガスが導入される反応室と該反応室内に配置された陽極と棒状の陰極とが少なくとも備えられ、前記陰極と前記陽極との放電により生成したプラズマを前記反応ガスに作用させて前記陽極上の基体に炭素膜を形成するプラズマ成膜装置であり、前記陰極は、熱電子放出特性の異なる複数の放電部から構成され、前記の各放電部は前記陽極に接近するにつれて熱電子放出特性が低下する順に配列されていることを特徴とする。
【0008】
係るプラズマ成膜装置によれば、陰極を構成する各放電部が前記陽極に接近するにつれて熱電子放出特性の低下する順に配列されているので、陽極に近接する部分のみならず陽極から離れた部分からも熱電子を放出させることができ、これにより均一で大きなプラズマを形成することができ、均一かつ大面積な炭素膜の形成が可能になる。
また、中間グリッド等が設けられていないため、構造が複雑にならず、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【0009】
また本発明のプラズマ成膜装置は、先に記載のプラズマ成膜装置であって、前記陰極は、電源に接続される端子部と、該端子部に接続される第1放電部と、該第1放電部に接続される第2放電部と、該第2放電部に接続される第3放電部とからなり、少なくとも各放電部の表面が熱電子放出特性の異なる材料によりそれぞれ構成され、各放電部の熱電子放電特性が、第1放電部、第2放電部、第3放電部の順に低下するものであることを特徴とする。
【0010】
係るプラズマ成膜装置によれば、陰極を構成する各放電部の表面が、熱電子特性の異なる材料から構成されているため、陽極から離れて位置する第1放電部からも熱電子を放出させることができ、これにより均一で大きなプラズマを形成することができ、均一かつ大面積な炭素膜の形成が可能になる。
【0011】
更に本発明のプラズマ成膜装置は、先に記載のプラズマ成膜装置であって、前記陰極は、電源に接続される端子部と、該端子部に接続される第1放電部と、該第1放電部に接続される第2放電部と、該第2放電部に接続される第3放電部とからなり、前記第2放電部が第1放電部に隣接する高抵抗部と該高抵抗部に連結する放電基部とから構成されるとともに、前記第3放電部が第2放電部に隣接する高抵抗部と該高抵抗部に連結する放電基部とから構成されていることを特徴とする。
【0012】
係るプラズマ成膜装置によれば、第1放電部と第2放電部、及び第2放電部と第3放電部とがそれぞれ高抵抗部を介して隣接するため、第1放電部から第3放電部に至るまでの間に電気抵抗が高くなる。これにより熱電子放出特性は、第3放電部よりも第2放電部が、第2放電部よりも第1放電部が大きくなり、陽極から離れて位置する第1放電部からも熱電子を放出させることができ、これにより均一で大きなプラズマを形成することができ、均一かつ大面積な炭素膜の形成が可能になる。
【0013】
次に、本発明の炭素膜の形成方法は、反応ガスが導入される反応室と該反応室内に配置された陽極と棒状の陰極とが少なくとも備えられ、該陰極は、熱電子放出特性の異なる複数の放電部から構成されるとともに、前記の各放電部は前記陽極に接近するにつれて熱電子放出特性が低下する順に配列されてなり、前記陰極と前記陽極との放電により生成したプラズマを前記反応ガスに作用させて前記陽極上の基体に炭素膜を形成することを特徴とする。
【0014】
係る炭素膜の形成方法によれば、陰極を構成する各放電部が前記陽極に接近するにつれて熱電子放出特性の低下する順に配列されているので、陽極に近接する部分のみならず陽極から離れた部分からも熱電子を放出させることができ、これによりこれにより均一で大きなプラズマを形成することができ、均一かつ大面積な炭素膜の形成が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。
図1には本発明の第1の実施形態であるプラズマ成膜装置の模式図を示す。
このプラズマ成膜装置1は、反応ガスが導入される反応室2と、反応室2内に配置された陽極3及び棒状の陰極4と、直流電源5とを主体として構成されている。
反応室2には反応ガス導入部6が設けられており、メタン、水素等の反応ガスを内部に導入できるようになっている。また、反応室2には排気口7が設けられ、この排気口7には図示しない真空ポンプ等の排気手段が接続されていて、反応室2内を減圧雰囲気とすることが可能になっている。
【0016】
次に陽極3は、直流電源5の正極側に接続されるとともに、反応室2内部に設置されている。また陽極3は試料ステージを兼ねており、陽極3上に基板8が載置されている。また陽極3と基板8とは電気的に接続された状態になっている。
【0017】
次に陰極4は熱電子放出特性の異なる複数の放電部から構成されている。即ち、直流電源5の負極側に接続される端子部4aと、端子部4aに隣接する第1放電部4bと、第1放電部4bに隣接して第1放電部4bよりも熱電子放電特性が小さな第2放電部4cと、第2放電部4cに隣接して第2放電部4cよりも熱電子放電特性が小さな第3放電部4dとから構成されている。
この棒状の陰極4は、その長手方向が陽極3の電極面3a及び基板8に対してほぼ垂直方向に一致するように配置されている。そして第3放電部4dが陽極4及び基板8に最も近接している。即ち、第1〜第3放電部4b、4c、4dは、陽極3に接近するにつれて熱電子放出特性が低下する順に配列されている。
【0018】
図2には陰極4の具体的な構造を示す。この陰極4は、例えば熱電子特性が比較的小さなTa等の金属棒4eの表面に、熱電子特性が異なる材料を被覆させた構造を例示できる。即ち図2に示すように、Ta等の金属棒4eの表面に対し、第1放電部4bに相当する部分には1000K以上で熱電子放出が起きるBaO、SrO等からなる層4fを被覆させ、第2放電部4cに相当する部分には1900K以上で熱電子放出が起きるThO2を含むW等からなる層4gを被覆させ、第3放電部4dに相当する部分にはTa等からなる金属棒4eを露出させる。尚、Taは2600K以上で熱電子放出が起きる性質がある。
従って、第1放電部4bの熱電子特性が最も大きく、ついで第2放電部4c、第3放電部の順に熱電子特性が小さくなる。
【0019】
図3〜図5には陰極4の放電によるプラズマ形成の様子を示す。
上記の陽極3及び陰極4に対し、直流電源5から電流が一定の直流を印加すると、陰極4の温度が徐々に上昇し、図3に示すように、最も熱電子放出特性が大きな第1放電部4bから熱電子が放出され、陽極3との間でプラズマp1が形成される。
更に直流の印加を継続すると、陰極4の温度が更に上昇し、図4に示すように、第1放電部4bに次いで熱電子放出特性が大きな第2放電部4cから熱電子が放出され、陽極3との間でプラズマp2が形成される。
更に直流の印加を継続すると、陰極4の温度が更に上昇し、図5に示すように、第3放電部4dから熱電子が放出され、陽極3との間でプラズマp3が形成される。
このように本発明に係る陰極4においては、第1〜第3放電部4b、4c、4dから熱電子が放出されてプラズマp1,p2,p3が形成されるので、従来のように陰極の先端のみから放電させる場合よりもプラズマを大きくすることができる。
【0020】
次に、上記のプラズマ成膜装置1を用いて炭素膜を形成する方法について説明する。
この方法は、前記の陰極4と前記の陽極3との放電により生成したプラズマを、反応室2内に導入した反応ガスに作用させて、陽極3上に載置した基板8に炭素膜を形成する方法である。
反応室2内部に導入する反応ガスとしては、例えば、メタン、エタン等の炭化水素ガスと水素の混合ガスが好ましい。また炭化水素ガス以外に、分子内に酸素、窒素、ハロゲン元素等を含む炭化水素ガスであっても良い。
反応室2内の圧力は0.5〜500Torrの範囲が好ましい。特に、炭素膜としてダイヤモンド膜を形成する場合は60〜200Torrの範囲とすることが好ましい。
【0021】
また、陽極3、陰極4に印加する直流は0.5〜10A程度の電流とすることがが好ましい。即ち、異常グロー放電領域で放電を行うことが好ましい。電流が0.5A未満では放電がグロー放電となり、炭素膜の成膜速度が低下し、またダイヤモンド膜の形成が困難になるので好ましくない。また電流が10Aを越えると放電がアーク放電に移行し、陰極4の先端のみから放電が生じ、プラズマの照射範囲が著しく狭くなるので好ましくない。
【0022】
炭素膜を形成するには、陽極3上に基板を設置し、反応室2内部に反応ガスを導入した上で減圧雰囲気とし、直流電源5から陰極4及び陽極3に直流を印加して放電させる。
放電を開始すると、上述したように、まず第1放電部4bから熱電子の放電が開始され、陰極4の温度が上昇するにつれて第2放電部4c及び第3放電部4dからも熱電子の放出が開始され、陰極4の先端のみならず、陰極4のほぼ全面から熱電子が放出される。
放出された熱電子が反応ガスに衝突してプラズマが形成され、このプラズマが基板8に照射されて基板8上に炭素膜が形成される。尚、反応ガス種類や圧力等の条件によってはダイヤモンド膜が形成される。
【0023】
上記の炭素膜の形成方法によれば、陰極4のほぼ全面から熱電子が放出させることにより、容積が大きなプラズマを形成することができるので、均一かつ大面積な炭素膜を形成することができる。
また上記の炭素膜の形成方法によれば、異常グロー放電の領域で放電を行うため、成膜速度を早くできるとともに大きなプラズマを形成することができ、均一な炭素膜を素早く形成することができる。
【0024】
[第2実施形態]
次に本発明の第2の実施形態を図面を参照して説明する。
図6には本発明の第2の実施形態であるプラズマ成膜装置11を示す。
このプラズマ成膜装置11は、反応ガスが導入される反応室2と、反応室2内に配置された陽極3及び棒状の陰極14と、直流電源5とを主体として構成されている。
なお、図6に示す反応室2と、陽極3及び直流電源5は、第1の実施形態で説明した反応室、陽極及び直流電源と同一の構成であるので、図1と同一符号を伏してその説明を省略する。
【0025】
図6に示す陰極14は、第1の実施形態の陰極4と同様に、熱電子放出特性の異なる複数の放電部から構成されている。即ち、直流電源5の負極側に接続される端子部14aと、端子部14aに隣接する第1放電部14bと、第1放電部14bに隣接して第1放電部14bよりも熱電子放電特性が小さな第2放電部14cと、第2放電部14cに隣接して第2放電部14cよりも熱電子放電特性が小さな第3放電部14dとから構成されている。
【0026】
この棒状の陰極14は、その長手方向が陽極3の電極面3a及び基板8に対してほぼ垂直方向に一致するように配置されている。そして第3放電部14dが陽極4及び基板8に最も近接している。即ち、第1〜第3放電部14b、14c、14dは、陽極3に接近するにつれて熱電子放出特性が低下する順に配列されている。
【0027】
第2放電部14cは、第1放電部に隣接する第2高抵抗部14eと、ここの第2高抵抗部に隣接する第2放電基部14fとから構成されている。更に第3放電部14dは、第2放電部14cに隣接する第3高抵抗部14gと、この第3高抵抗部14gに隣接する第3放電基部14hとから構成されている。
【0028】
第1放電部14b、第2放電基部14f及び第3放電基部14hはいずれも、同一の材質からなることが好ましく、例えば、熱電子放電特性が比較的低いW等から形成される。
また、第2,第3高抵抗部14e、14gも同一の材料からなることが好ましく、特に第1放電部14b、第2放電基部14f及び第3放電基部14hよりも高抵抗な材質からなることが好ましく、例えば、Ta等を例示できる。
【0029】
この陰極14においては、第1放電部14bと第2放電基部14fとの間に第2高抵抗部14eが配置され、第2放電基部14fと第3放電基部14hとの間に第3高抵抗部14gが配置されているため、第1放電部14bから第3放電基部14h(第3放電部14d)に至るまでに電気抵抗が徐々に増加する構造になっている。従って、第1放電部14bの熱電子特性が最も大きく、ついで第2放電部14c、第3放電部14dの順に熱電子特性が小さくなる。
【0030】
図7〜図9には陰極14の放電によるプラズマ形成の様子を示す。
上記の陽極3及び陰極14に対し、直流電源5から電流が一定の直流を印加すると、陰極14の温度が徐々に上昇し、図7に示すように、最も熱電子放出特性が大きな第1放電部14bから熱電子が放出され、陽極3との間でプラズマp1が形成される。
更に直流の印加を継続すると、陰極14の温度が更に上昇し、図8に示すように、第1放電部14bに次いで熱電子放出特性が大きな第2放電部14cから熱電子が放出され、陽極3との間でプラズマp2が形成される。
更に直流の印加を継続すると、陰極14の温度が更に上昇し、図9に示すように、第3放電部14dから熱電子が放出され、陽極3との間でプラズマp3が形成される。
このように本発明に係る陰極14においては、第1〜第3放電部14b、14c、14dから熱電子が放出されてプラズマp1。p2、p3が形成されるので、従来のように陰極の先端のみから放電させる場合よりもプラズマを大きくすることができる。
【0031】
次に、上記のプラズマ成膜装置11を用いて炭素膜を形成する方法について説明する。
この方法は、前記の陰極14と前記の陽極3との放電により生成したプラズマを、反応室2内に導入した反応ガスに作用させて、陽極3上に載置した基板8に炭素膜を形成する方法である。
反応室2内部に導入する反応ガスとしては、第1の実施形態と同様、炭化水素ガスと水素の混合ガスが好ましい。また炭化水素ガス以外に、分子内に酸素、窒素、ハロゲン元素等を含む炭化水素ガスであっても良い。
また、反応室2内の圧力、陽極3、陰極14に印加する直流の大きさは、第1の実施形態の場合とほぼ同等である。
【0032】
炭素膜を形成するには、陽極3上に基板を設置し、反応室内部に反応ガスを導入した上で減圧雰囲気とし、直流電源から陰極14及び陽極3に直流を印加して放電させる。
放電を開始すると、上述したように、まず第1放電部14aから熱電子の放電が開始され、陰極4の温度が上昇するにつれて第2放電部14c及び第3放電部14dからも熱電子の放出が開始され、陰極4の先端のみならず、陰極4のほぼ全面から熱電子が放出される。
放出された熱電子が反応ガスに衝突してプラズマが形成され、このプラズマが基板8に照射されて基板8上に炭素膜が形成される。尚、反応ガス種類や圧力等の条件によってはダイヤモンド膜が形成される。
【0033】
上記の炭素膜の形成方法によれば、第1の実施形態の炭素膜の形成方法と同じ効果が得られる。
【0034】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0035】
(実施例1)
直径12mm、長さ100mmのTaよりなる電極棒を用意し、この電極棒の基端側に外部電源に接続するための端子部を設けた。そして、端子部に近い側の電極棒の表面にBaO層を形成して第1放電部とし、第1放電部より電極棒の先端側にThO2を2%含むW層を形成して第2電極部とし、電極棒の先端部はTaを露出させて第3放電部とした。このようにして、図2に示す陰極を作成した。
【0036】
作成した陰極を図1に示すプラズマ成膜装置に組み込み、基板としてSi板を用意し、直流電源から陰極に直流を印加してプラズマを発生させることにより、基板上に炭素膜を形成した。
炭素膜の形成条件は次の通りである。まず、反応ガスは水素とメタンの混合ガスとし、ガスの供給量は水素を300sccm、メタンを9sccmとし、反応室内の圧力は60Torr(8.0kPa)とした。基板は直径2インチ(約5cm)で厚さ1mmのSi基板とし、陰極の先端と基板との距離は50mmとし、陰極に印加する電流は5Aの定電流とし、成膜時間は5時間とした。
【0037】
直流電流を1000Vで印加したところ、第1放電部から電子の放出が開始するとともに陰極の温度が1000K以上になり、更に電圧が700Vまで低下した。更に電流を印加すると陰極先端部の温度が2600Kに達し、電圧は400Vに低下して異常グロー放電状態になった。この状態で陰極の第1〜第3放電部の全ての領域で電子の放出が見られた。また、放電により生成したプラズマは基板の全面に広がり、発光強度もプラズマ全体で均一であった。また基板の中心部の温度は約780℃まで上昇した。
【0038】
得られた炭素膜はダイヤモンド膜であって基板全面に形成され、基板中心部で厚さ4μm、基板の周辺部で厚さが3.7μmであった。即ち、ダイヤモンド膜の膜厚分布は最大で10%以内の範囲であった。
【0039】
(実施例2)
直径12mm、長さ30mmのWよりなる電極棒を3本用意し、各電極棒の間に厚さ1mmのTa板をそれぞれ挟むことにより図6に示す陰極を作成した。なお、Wの電気抵抗は5×10-8Ω・mであり、Taの電気抵抗は13×10-8Ω・mであった。これにより、陰極の端子部から先端に向けて抵抗値が高くなるように構成された。
【0040】
作成した陰極を図6に示すプラズマ成膜装置に組み込み、基板としてSi板を用意し、直流電源から陰極に直流を印加してプラズマを発生させることにより、基板上に炭素膜を形成した。尚、炭素膜の形成条件は実施例1と同じであった。
【0041】
直流電流を1250Vで印加したところ、第1放電部から電子の放出が開始するとともに陰極の温度が1000K以上になり、更に電圧が800Vまで低下した。更に電流を印加すると陰極先端部の温度が2600Kに達し、電圧は600Vに低下して異常グロー放電状態になった。この状態で陰極の第1〜第3放電部の全ての領域で電子の放出が見られた。また、放電により生成したプラズマは基板の全面に広がり、発光強度もプラズマ全体で均一であった。また基板の中心部の温度は約800℃まで上昇した。
【0042】
得られた炭素膜はダイヤモンド膜であって基板全面に形成され、基板中心部で厚さ4.2μm、基板の周辺部で厚さが3.6μmであった。即ち、ダイヤモンド膜の膜厚分布は最大で15%以内の範囲であった。
【0043】
(比較例1)
直径12mm、長さ100mmのW(タングステン)よりなる電極棒を用意し、これを陰極とした。
上記の陰極を図1に示すプラズマ成膜装置に組み込み、基板としてSi板を用意し、直流電源から陰極に直流を印加してプラズマを発生させることにより、基板上に炭素膜を形成した。
炭素膜の形成条件は、実施例1の場合と同様であった。
【0044】
直流電流を1000Vで印加したところ、陰極の先端から放電が開始され、電極の先端の温度は放電開始から5秒で2800Kまで達した。先端部の温度上昇とともに放電電圧が低下し、700Vで一定になった。放電により生成したプラズマは陰極の断面積とほぼ同じ大きさに広がり、発光強度もプラズマの周辺部と中心部で分布が見られた。また、時折アーク放電状態になった。
【0045】
得られた炭素膜はダイヤモンド膜であるが、大きさが直径約50mm程度の円形状の膜であり、実施例1,2のように基板全面には形成されなかった。
またダイヤモンド膜の膜厚は、膜の中心部で6μm、膜の周辺部で0μmであり、膜厚分布が極めて大きいものとなった。更に、アーク放電の発生により、ダイヤモンド膜の一部に損傷が発生した。
【0046】
以上のように、実施例1及び実施例2のプラズマ成膜装置では、放電が陰極の全体で発生したため、プラズマが大きくなり、ダイヤモンド膜を直径50mm以上の大きさで形成することができ、しかもその膜厚分布が10〜15%の範囲となり、均一かつ大面積のダイヤモンド膜の形成が可能であった。
一方、比較例1においては、放電が陰極の先端部のみで発生したため、プラズマが小さくなってダイヤモンド膜の大きさが25mm程度になり、しかもその膜厚分布は極めて大きく、更にダイヤモンド膜の一部に損傷が発生し、均一かつ大面積のダイヤモンド膜の形成が困難であった。
【0047】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明のプラズマ成膜装置によれば、陰極を構成する各放電部が前記陽極に接近するにつれて熱電子放出特性の低下する順に配列されているので、陽極に近接する部分のみならず陽極から離れた部分からも熱電子を放出させることができ、これによりプラズマの分布が小さくなって均一かつ大面積な炭素膜を形成することができる。
また、中間グリッド等が設けられていないため、構造が複雑にならず、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるプラズマ成膜装置を示す模式図である。
【図2】 図1のプラズマ成膜装置に用いられる陰極を示す部分断面図である。
【図3】 図1のプラズマ成膜装置における陰極の放電状態を示す模式図である。
【図4】 図1のプラズマ成膜装置における陰極の放電状態を示す模式図である。
【図5】 図1のプラズマ成膜装置における陰極の放電状態を示す模式図である。
【図6】 本発明の第2の実施形態であるプラズマ成膜装置を示す模式図である。
【図7】 図6のプラズマ成膜装置における陰極の放電状態を示す模式図である。
【図8】 図6のプラズマ成膜装置における陰極の放電状態を示す模式図である。
【図9】 図6のプラズマ成膜装置における陰極の放電状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 プラズマ成膜装置
2 反応室
3 陽極
4、14 陰極
4a 端子部
4b、14b 第1放電部(放電部)
4c、14c 第2放電部(放電部)
4d、14d 第3放電部(放電部)
5 直流電源(電源)
8 基板(基体)
14e 第2高抵抗部(高抵抗部)
14f 第2放電基部(放電基部)
14g 第3高抵抗部(高抵抗部)
14h 第3放電基部(放電基部)

Claims (4)

  1. 反応ガスが導入される反応室と該反応室内に配置された陽極と棒状の陰極とが少なくとも備えられ、前記陰極と前記陽極との放電により生成したプラズマを前記反応ガスに作用させて前記陽極上の基体に炭素膜を形成するプラズマ成膜装置であり、
    前記陰極は、熱電子放出特性の異なる複数の放電部から構成され、前記の各放電部は前記陽極に接近するにつれて熱電子放出特性が低下する順に配列されていることを特徴とするプラズマ成膜装置。
  2. 前記陰極は、電源に接続される端子部と、該端子部に接続される第1放電部と、該第1放電部に接続される第2放電部と、該第2放電部に接続される第3放電部とからなり、
    少なくとも各放電部の表面が熱電子放出特性の異なる材料によりそれぞれ構成され、各放電部の熱電子放電特性が、第1放電部、第2放電部、第3放電部の順に低下するものであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ成膜装置。
  3. 前記陰極は、電源に接続される端子部と、該端子部に接続される第1放電部と、該第1放電部に接続される第2放電部と、該第2放電部に接続される第3放電部とからなり、
    前記第2放電部が第1放電部に隣接する高抵抗部と該高抵抗部に連結する放電基部とから構成されるとともに、前記第3放電部が第2放電部に隣接する高抵抗部と該高抵抗部に連結する放電基部とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ成膜装置。
  4. 反応ガスが導入される反応室と該反応室内に配置された陽極と棒状の陰極とが少なくとも備えられ、該陰極は、熱電子放出特性の異なる複数の放電部から構成されるとともに、前記の各放電部は前記陽極に接近するにつれて熱電子放出特性が低下する順に配列されてなり、
    前記陰極と前記陽極との放電により生成したプラズマを前記反応ガスに作用させて前記陽極上の基体に炭素膜を形成することを特徴とする炭素膜の形成方法。
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