JP4217142B2 - セラミックス成形用顆粒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックス成形用顆粒、その製造方法、成形体、焼結体及び電子部品に関する。
種々の電子部品に幅広く用いられているセラミックス焼結体は、一般にセラミックス粉末とバインダーから構成されたセラミックス成形用顆粒を、目的に応じて種々の形状に成形して得られた成形体を焼成することによって得られる。
近年、この種のセラミックス焼結体は、用いられる各種電子部品の小型化・薄型化・軽量化に伴って、益々小型化・薄型化・軽量化されていく傾向にある。そのため、これらの電子部品として使用される小型または薄型で、かつ高い強度を有する焼結体の開発が望まれている。
従来、セラミックス成形用顆粒から成形体を製造する方法としては、乾式の加圧成形法が一般的に広く用いられている。この方法は、例えば、セラミックス粉末とバインダーと水とから水系スラリーを調製し、これをスプレードライヤーで噴霧乾燥して作製した顆粒、またはセラミックス粉末とバインダー溶液とを攪拌混合し、乾燥とオシレーティング押出し造粒を繰り返して作製した顆粒を加圧成形することにより成形体を製造するというものである。そして、製造された成形体を、必要により加工した後、脱脂し、所定温度で焼成を行い、必要に応じて2次加工することで最終製品である焼結体とする。
セラミックス成形用顆粒を製造する際に用いられるバインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂等が一般的に使用されている。バインダーは、セラミックス粉末100質量部に対して、通常1〜10重量部添加される。ポリビニルアルコールに代表されるバインダーを用いて噴霧造粒されたセラミックス成形用顆粒を成形して得られる成形体は、通常の3点曲げによる抗折強度が2.0MPa未満である。
一方、最近の電子部品の小型化の要請により、成形体をコア型に成形する場合、コアの直径を2mm以下にしたり、板状に成形する場合、その厚みを1mm程度にする場合がある。このように成形体を小型、薄層化する場合、成形体の抗折強度が2.0MPa未満であると、取り扱い中に僅かな衝撃で破損したり、クラックが発生したりすることがある。
そこで、抗折強度が2.0MPa以上の成形体を成形可能なセラミックス成形用顆粒の開発が望まれている。
成形体の強度を高めるには、顆粒形成時のバインダーの量を増加させることが有効である。しかしながら、単にバインダーの量を増加させただけでは、不要なバインダーを除去するための脱脂時間が増加したり、焼成して得られた焼結体の密度が低下したり、あるいは強い焼成収縮が発生し、焼結体の寸法制御が困難になる等の不都合が生じるために、バインダーの添加量にもおのずと制限がある。
成形体の強度を高める別の方法としては、バインダーを含むセラミックス成形用顆粒の水分量を通常よりも増加させることが考えられる。顆粒中の水分量増加は、これまで主として成形体の成形性の向上、すなわちセラミックス成形用顆粒の加圧時の変形を容易にして、変形に伴う成形体内の欠損を除去するために行われる。例えば、特許文献1には、セラミックス成形用顆粒100質量部に対して水分量が1.5〜7質量部となるように調整することが提案されている。しかしながら、一般にセラミックス成形用顆粒中の水分が1.0質量%以上となると、セラミックス成形用顆粒が成形用の型に付着するという、いわゆるスティッキングが発生しやすくなり、得られた成形体の外観不良や連続成形時におけるトラブル発生の原因になる。
以上のように、セラミックス成形用顆粒中のバインダーの量や水分量を調整する方法では、高い抗折強度と引き替えに、焼結体の密度低下、強い焼成収縮の発生及びスティッキングの増加等と言った別の問題が発生してしまう。
また、成形体の抗折強度を高める別の方法として、特許文献2には、バインダーとしてフェノール樹脂を含み、溶媒として水の替わりにイソプロピルアルコール等の有機系溶剤を用いたセラミックススラリーを噴霧造粒して得た顆粒をCIP成形後に加熱処理を行うことが提案されている。この特許文献2記載の方法によると、フェノール樹脂50質量部以上含有するバインダーをセラミックス粉末100質量部に対して3〜30質量%添加するものである。しかしながら、このように多量のバインダーを添加すると、前記の通り脱脂を長時間行う必要があり、焼成後の製品密度が低下し、さらには寸法制御が困難となり、その結果得られたセラミックス成形体の寸法精度が低下するという不都合が生じる。さらに、セラミックススラリーに可燃性であるイソプロピルアルコールに代表される有機系溶剤を使用するために、製造設備に防爆設備を追加する必要が生じるとともに、環境衛生上の問題点も生じる。
特公平6−8201号公報 特開平10−259060号公報
本発明の目的は、焼結体の密度低下などの問題を生じさせず、安価に、たとえば2.0MPa以上の高い抗折強度を持つ成形体を成形可能なセラミックス成形用顆粒及びその製造方法と、該顆粒を成形して得られる高い抗折強度を持つ成形体と、該成形体を焼成して得られる欠け、ヒビ、折れ等の外観不良の少ない焼結体と、該焼結体で構成されるコア材を有する電子部品とを、提供することである。
本発明者は、セラミックス成形用顆粒の造粒に際し、少なくとも2種類の化合物を含むバインダーを用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、
少なくともセラミックス粉末及びバインダーを含む混合物を造粒して得られるセラミックス成形用顆粒であって、
前記バインダーが、水溶性樹脂と、熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョンとを含む、セラミックス成形用顆粒が提供される。
本発明に係るセラミックス成形用顆粒は、
たとえば、セラミックス粉末と、水溶性樹脂と、熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョンと、水とを含む混合物を、噴霧乾燥法により造粒する方法により、あるいは、
セラミックス粉末と、水溶性樹脂と、熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョンとを含む混合物を、オシレーティング押出法により造粒する方法により、
製造することができる。
好ましくは、前記セラミックス粉末100質量部に対する各成分の添加量が、 水溶性樹脂:0.4〜1.4質量部、
熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョン:固形分濃度で0.1〜5.5質量部(ただし、5.5質量部は除く)である。
好ましくは、前記水溶性樹脂が、500〜2500の平均重合度及び88モル%以上の平均鹸化度を持つポリビニルアルコールである。
好ましくは、前記熱硬化性イミド化合物が、アルケニル置換ナジイミド(より好ましくはビスアリルナジイミド)である。
これらの発明によると、焼結体の密度低下などの問題を生じさせず、安価に、高い抗折強度(たとえば2.0MPa以上)を持つ成形体を得ることが可能なセラミックス成形用顆粒を提供できる。特に、造粒対象の前記混合物が特定の水系バインダーを含む水系スラリーで構成されており、有機溶剤を含まない。このため、造粒の際に、防爆設備などの付加的設備が不要であり、製造コストを抑制可能であるとともに、環境衛生上も好ましい。
好ましくは、94.5〜97.5モル%の平均鹸化度を持つポリビニルアルコールを用いる。この範囲の平均鹸化度を持つポリビニルアルコールをバインダーの一成分として用いることで、得られるセラミックス成形用顆粒の、低圧つぶれ性、耐崩壊性及び耐スティッキング性を高いレベルでバランスさせることができる。このセラミックス成形用顆粒を成形することで、寸法バラツキが少なく、高い抗折強度を持つ良好な成形体及び焼結体を得ることができる。
なお、「低圧つぶれ性」とは、セラミックス成形用顆粒を金型成形する際に低圧(代表的には29〜147MPa)での顆粒のつぶれ易さを意味する。そして、「低圧つぶれ性が良好」とは、セラミックス成形用顆粒が均一につぶれることを意味する。「耐崩壊性」とは、貯蔵時や運搬時あるいは型への充填時に転動や相互衝突により生じるセラミックス成形用顆粒の崩壊に対する耐性を意味する。「耐スティッキング性」とは、金型等の表面に対するセラミックス成形用顆粒中の微粒子等の耐付着性を意味する。
本発明によれば、上記いずれかのセラミックス成形用顆粒を乾式加圧成形した後に熱処理して得られた、成形体が提供される。
この発明によると、熱処理により顆粒中の熱硬化性イミド化合物が硬化するので、たとえば2.0MPa以上の高い抗折強度を持ち、製造条件によっては2.5MPa以上、あるいは3.0MPa以上の抗折強度を持つ成形体を提供することができる。すなわち、提供される成形体の抗折強度が高いため、該成形体の取り扱い中に、破損やクラックなどが発生するおそれが減少し、その結果、最終製品である高密度焼結体を高い寸法精度で製造することが可能となる。
本発明によれば、上記成形体を焼結して得られた焼結体が提供される。
この発明によると、欠け、ヒビ、折れなどの外観不良が少なく、高密度で、かつ高い寸法精度を持つ焼結体を提供することができる。
この焼結体は、たとえば、直径2mm以下のコア状に成形されたり、厚さ1mm以下の板状に成形される。本発明の焼結体は、高密度で、かつ高い寸法精度を持つので、直径2mm以下のコア状や、厚さ1mm以下に板状に加工しても、欠け、ヒビ、折れ等が発生せず、十分な機械的強度を有する。また、本発明の焼結体は、高い寸法精度を持ち、機械的強度に優れるので、小型で複雑な形状のセラミックスとすることが可能である。また、このような比較的細かいコアや比較的薄いコアは、電子部品の小型軽量化に対する要求に十分に合致するものである。
本発明によれば、上記いずれかの焼結体で構成されるコア材を有する電子部品が提供される。
上記焼結体は、高い寸法精度を持ち、小型で複雑な形状に加工することが可能であるので、小型、薄型、軽量化等が要望されている各種電子部品に好適に用いることができる。
電子部品としては、特に限定されないが、ノート型パソコン、PDA等の情報端末や携帯電話、PHS等の移動式電話あるいはこれらの周辺機器等の携帯を前提にした電子機器用電子部品、又、テレビ、ステレオ等の比較的大型の家電製品用電子部品などが例示される。
本発明によれば、焼結体の密度低下などの問題を生じさせず、安価に、たとえば2.0MPa以上の高い抗折強度を持つ成形体を成形可能なセラミックス成形用顆粒及びその製造方法と、該顆粒を成形して得られる高い抗折強度を持つ成形体と、該成形体を焼成して得られる欠け、ヒビ、折れ等の外観不良の少ない焼結体と、該焼結体で構成されるコア材を有する電子部品とを、提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。ここにおいて、図1(a)〜(c)及び図2(a)〜(b)は本発明の一実施形態に係るセラミックス成形用顆粒を用いて成形した成形体、あるいは該成形体を焼成して得られた焼結体の形状の一例を示す図であり、図1(a)は円柱型コアの模式図、図1(b)は円柱型コアの中央部を切削したドラム型コアの模式図、図1(c)は別のドラム型コアの模式図、図2(a)は板状コアの模式図、図2(b)は乾式加圧成形法により作製した箱状コアの模式図、である。
なお、図1(a)〜(c)及び図2(a)〜(b)中の矢印部分は、焼結体において外観不良が発生しやすい箇所を示すものであるが、この点については後述する。
セラミックス成形用顆粒
本発明に係るセラミックス成形用顆粒は、特定の混合物を造粒して製造される。
特定の混合物は、少なくとも、セラミックス粉末と、バインダーを含んで構成される。
混合物中のセラミックス粉末の含有量は、好ましくは90〜99質量%、より好ましくは95〜98質量%である。
混合物中のバインダーの含有量は、好ましくは0.5〜6質量%、より好ましくは0.6〜2質量%である。
セラミックス粉末としては、特に限定されず、最終的に焼結されるセラミックス焼結体の用途に応じて適宜選択される。代表的には、フェライト、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物系セラミックス、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の非酸化物系セラミックス、チタン酸バリウム、チタン・ジルコン酸塩およびこれらの複合化合物等の粉末が挙げられる。これらのセラミックス粉末は、単独で用いても良くあるいは二種類以上の混合して用いても良い。
セラミックス粉末の粒径は、最終製品であるセラミックス焼結体の原料として従来使用されてきた範囲内で適宜選択すれば良く、一般には0.5〜5μm、好ましくは0.7〜3μm程度である。
バインダーは、主位的バインダーとしての水溶性樹脂と、補助的バインダーとしての熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョンとを含む。
水溶性樹脂としては、特に限定されず、従来、セラミックス成形用顆粒を造粒するために使用されてきた水溶性樹脂から使用目的にあわせて適宜選択することができる。代表的には、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂などが挙げられる。これらの水溶性樹脂は、単独であるいは二種類以上の混合して使用することができる。
本発明では、特に、水溶性樹脂として、特定のPVAを用いることが好ましい。水溶性樹脂として特定のPVAを用いることにより、顆粒粒界による欠陥が少なく、かつ高い成形体強度を保つことにより、焼結体の密度と抗折強度を向上させることができる。また、スプリングバックと称する離型後の膨張化現象を抑制させることができ、成形体の亀裂の発生を抑制し、金型への負担を軽減することもできる。
水溶性樹脂であるPVAは、一次粒子の結合剤、すなわちセラミックス粉末同士の結合剤として機能し、セラミックス成形用顆粒の低圧つぶれ性、耐崩壊性および成形体強度に影響を及ぼす。特に、PVAの平均鹸化度は、成形体の成形性に影響を及ぼす。
本発明で好適に使用されるPVAの平均鹸化度は、PVA全体として、好ましくは88モル%以上である。このような範囲の鹸化度のPVAを中間鹸化PVAと称する。
全体の平均鹸化度が88モル%未満のいわゆる部分鹸化PVAでは、セラミックス成形用顆粒の低圧つぶれ性は良好なものの、耐崩壊性および耐スティッキング性が悪化する。また、平均鹸化度が88モル%未満のPVAは水への溶解性が良好で、スラリー調整が簡単なため噴霧造粒には適するが、オシレーティング押出法で造粒を行う際には、金網に材料が付着するため連続造粒が困難となる。
これに対し、PVAの平均鹸化度が過度に高すぎるいわゆる完全鹸化PVAでは、耐崩壊性は良好であるが、造粒したセラミックス成形用顆粒が比較的に硬くなるため低圧つぶれ性が悪い場合がある。更に水への溶解性が悪くなり、スラリー調整が困難となる場合がある。このため、PVAの平均鹸化度は、より好ましくは94.5〜97.5モル%である。なお、単一の平均鹸化度(88モル%以上)を有するPVAを水溶性樹脂として使用することが好ましいが、異なる鹸化度を有するPVAをブレンドして全体で平均鹸化度を88モル%以上として用いることも可能である。
また、PVAの平均重合度は、好ましくは500〜2500,より好ましくは500〜1700である。平均重合度が500未満では、造粒されたセラミックス成形用顆粒の低圧つぶれ性は良いものの、耐崩壊性が悪くなり、またこのセラミックス成形用顆粒により得られたセラミックス成形体の抗折強度も低くなる傾向にある。逆に、平均重合度が2500を超えると、造粒されたセラミックス成形用顆粒の耐崩壊性および得られるセラミックス成形体の抗折強度は比較的良いものの、セラミックス成形用顆粒が硬くなりすぎ、低圧つぶれ性が悪化し、顆粒粒界による欠陥が発生しやすくなる傾向にある。
PVAは、全体として前記の所定の平均鹸化度、重合度を有していれば特に制限されず、また未変性のものであっても、たとえばアルキルビニルエーテル、ヒドロキシビニルエーテル、酢酸アリル、アミド、ビニルシラン、エチレン等により変性されていてもよい。
バインダー中の水溶性樹脂の含有量は、セラミックス粉末100質量部に対して、好ましくは0.4〜1.4質量部、より好ましくは0.5〜1質量部である。水溶性樹脂(特にPVA)の含有量が少なすぎると、セラミックス成形用顆粒を造粒し難くなり、多すぎると得られたセラミックス成形用顆粒が硬くなりすぎて、つぶれ性が悪くなり、その結果、セラミックス成形体中における顆粒粒界の残留量が増加して成形不良が発生しやすくなる傾向がある。
熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョンは、熱硬化性イミド化合物と、たとえば保護コロイドおよび/または界面活性剤とを含有する。
一般に、イミド化合物としては、非熱可塑性イミド化合物(アミック酸型、イソイミド型など)、熱可塑性イミド化合物(長鎖エーテル結合型ポリイミド、脂環式ポリイミド、シリコーン変性ポリイミド、フッ素変性ポリイミドなど)、熱硬化性イミド化合物、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミドなどが挙げられる。中でも、本発明では、熱硬化性イミド化合物を用いる。
熱硬化性イミド化合物としては、マレイミド型、その他の付加硬化型が挙げられる。マレイミド型としては、マレイン酸末端型、シアネート変性ポリイミドなどが挙げられる。その他の付加硬化型としては、ナジック酸末端型、アセチレン基末端型、ビスナジイミド系樹脂、長鎖エーテル結合型熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。これらの中でも、ビスナジイミド系樹脂が好ましい。
ビスナジイミド系樹脂としては、アルケニル置換ナジイミドが好ましい。アルケニル置換ナジイミドとしては、特開昭59−80662号公報、特開昭60−178862号公報、特開昭61−18761号公報、特開昭61−197556号公報および特開昭63−170358号公報等に記載されている、公知のアルケニル置換ナジイミド、あるいは特願平5−222258号および特願平6−22096号に係る種々のアルケニル置換ナジイミドを用いることができる。一般には、下記の一般式(1)で表されるアルケニル置換ナジイミドが用いられる。
Figure 0004217142
式(1)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子またはメチル基を示す。nは1または2の整数を示す。
は、n=1のとき、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12の一価の芳香族基若しくはベンジル基を示すか、または基−[(C2qO)(C2rO)2v+1](ここでq、r、vはそれぞれ2〜6の整数を示し、tは0または1の整数を示し、uは1〜30の整数を示す。)もしくは基−C−T−C{ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−O−、−S−、−SO−を示す。}を示す。
は、n=2のとき、炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜8のシクロアルキレン基、基−[(C2xO)(C2zO)2b]−(ここで、x、z、bはそれぞれ2〜6の整数を示し、yは0または1の整数を示し、wは1〜30の整数を示す。)、炭素数6〜12の二価の芳香族基、基−R−C−(R´)−(ここで、mは0または1の整数を示し、R、R´は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数5〜8のシクロアルキレン基を示す。)もしくは基−C−A−C−{ここでAは−CH−、−C(CH−、−CO−、−O−、−OCC(CHO−、−S−、−SO−を示す。}を示す。
の基は、その水素原子の1〜3個が水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、カルバモイル基またはイソシアノ基で置換されていてもよい。
式(1)中、n=2の場合のRで示される基−R−C−(R´)−に含まれる非対称なアルキレン・フェニレン基としては、例えば式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 0004217142
式(1)で表されるアルケニル置換ナジイミドの一例を下に示す。
n=1の例としては、N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどが挙げられる。
n=2の例としては、N,N′−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、1,2−ビス[3′−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ]エタン、ビス[2′−[3″−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ]エチル]エーテル、1,4−ビス[3′−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ]ブタン、
N,N′−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N−[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドエチル)フェニル]アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、2,2−ビス[4′−[4″−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ]フェニル]プロパン、ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]メタン、ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]エーテル、ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]スルホンなどが挙げられる。
なお、使用可能なアルケニル置換ナジイミドは、これらに限定されない。また、これらのアルケニル置換ナジイミドは、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよく、さらにオリゴマーとして用いても差し支えない。
バインダー中の上記熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョンの含有量は、セラミックス粉末100質量部に対して、固形分濃度で、好ましくは0.1〜5.5質量部(ただし、5.5質量部は除く)、より好ましくは0.5〜3.5質量部である。すなわち、水系エマルジョン中の熱硬化性イミド化合物の含有量は、セラミックス粉末100質量部に対して、好ましくは0.1〜5.5質量部(ただし、5.5質量部は除く)、より好ましくは0.5〜3.5質量部である。エマルジョン中の熱硬化性イミド化合物の含有量が少なすぎると、セラミックス成形体に十分な強度を与えることができず、多すぎると、セラミックス成形体と金型との付着性が強くなり、加圧成形終了時に、金型からのセラミックス成形体を脱型する際に、上型に成形体が貼り付く等の成形トラブルが発生し易くなるおそれがある。
熱硬化性イミド化合物粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜1.5μm、より好ましくは0.2〜0.6μmである。
保護コロイドとしては、例えばPVA、変性PVA、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、でんぷん、寒天、ゼラチン、アルブミン、アラビアゴム、プロタルビン酸、リサルビン酸、アルギン酸、スチレン無水マレイン酸共重合体、マレイン化液状ポリブタジエン誘導体、ナフタレンスルホン酸縮合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アクリル酸アミド、アクリル酸エステル等が挙げられる。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤が用いられる。
保護コロイドおよび界面活性剤は、これらに限定されるものではない。また、保護コロイドまたは界面活性剤をそれぞれ単独でまたは複数種組合せて用いてもよく、さらに、保護コロイドおよび界面活性剤を組合せて用いてもよい。
エマルジョン中の保護コロイドおよび/または界面活性剤の含有量は、熱硬化性イミド化合物粒子100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは2〜15質量部であり、残部は一般には水である。
熱硬化性イミド化合物の一例としてのアルケニル置換ナジイミドの水系エマルジョンは、例えば次のようにして調製される。まず、ホモミキサー等の撹拌容器に規定量の水、アルケニル置換ナジイミドならびに保護コロイドおよび/または界面活性剤を入れて、短時間の予備的混合撹拌を室温〜90℃で行なう。引続きこの混合液を、コロイドミル、サンドミル、ボールミルまたはホモジナイザー等により処理する。なお、アルケニル置換ナジイミドを予め少量の有機溶剤に溶解してエマルジョンとすることも可能である。この場合に使用される有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンおよびN−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
このような熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョンは、上述した水溶性樹脂と混合することが可能である。また、熱硬化性イミド化合物を含むセラミックス成形体を加熱することで、熱硬化性イミド化合物が硬化するので、セラミックス成形体に高い成形体強度を付与することができる。
特定の混合物からセラミックス成形用顆粒への造粒は、公知の噴霧乾燥造粒法またはオシレーティング押出し造粒法により行うことができる。具体的には、前述のセラミックス粉末、バインダーおよび所望に応じて各種添加剤を水に分散させたスラリーを調製し、この調製されたスラリーを噴霧乾燥装置(スプレードライヤー)等で噴霧乾燥することによって、あるいはセラミックス粉末、バインダーおよび所望に応じて各種添加剤を攪拌造粒機にて混合造粒して造粒粉を作製し、この造粒粉をオシレーティング造粒機により押出し造粒と乾燥を繰り返して適用することで、セラミックス成形用顆粒が作製される。これらの造粒方法は、セラミックス成形用顆粒の造粒量、目的とするセラミックス成形体の性状等に依存して適宜選択することが可能である。なお、オシレーティング押出し造粒法とは、例えば数mm程度の粒径に造粒された粒子を網上で押し潰して細かくした粒子を落下させる作業を、編み目を順次細かくした数段の工程を行うことにより、所定の粒径以下の粒子を得る方法である。
以下に、噴霧乾燥法及びオシレーティング押出法により、セラミックス成形用顆粒を造粒する場合を例示する。
噴霧乾燥法では、まず、セラミックス粉末100質量部、水溶性樹脂0.4〜1.4質量部、熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョン0.1〜5.5質量部(ただし、5.5質量部は除く)(固形分濃度)、所望に応じて任意の量で添加される任意成分および水25〜100質量部を混合し、セラミックス成形用顆粒造粒用の水系セラミックススラリーを調製する。次に、調製された水系セラミックススラリーを従来公知の噴霧乾燥法によってセラミックス成形用顆粒に造粒する。
オシレーティング押出法では、セラミックス粉末100質量部、水溶性樹脂0.4〜1.4質量部、および熱硬化性イミド化合物の水系エマルジョン0.1〜5.5質量部(ただし、5.5質量部は除く)(固形分濃度)を混合し、オシレーティング押出法によってセラミックス成形用顆粒に造粒する。
造粒されたセラミックス成形用顆粒の平均粒径は、造粒方法や、目的とする成形体の形状等に依存して適宜選択することができる。通常は、平均粒径が小さすぎると、セラミックス成形用顆粒の流動性および金型への充填性が悪くなり、得られる成形体の寸法及び成形体の質量のバラツキが大きくなる場合がある。また、金型への微粉付着(スティッキング)が発生しやすくなる傾向にある。逆に、粒径が250μmを超える場合には、成形体中に顆粒粒界を多く残し、成形不良を発生する場合や、成形体の寸法および単質量のバラツキが大きくなる場合がある。
本発明では、特に、電子部品の益々の小型化、薄型化、軽量化などの要請に応えるために、噴霧乾燥法により造粒された場合には、セラミックス成形用顆粒の平均粒径が、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下となるように、造粒条件などを調整する。平均粒径の下限は、好ましくは40μm、より好ましくは60μm、さらに好ましくは70μm程度である。オシレーティング押出法により造粒された場合には、フェライト顆粒の平均粒径が、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下となるように、造粒条件などを調整する。平均粒径の下限は、好ましくは80μm、より好ましくは100μm、さらに好ましくは120μm程度である。
セラミックス成形用顆粒の形状は、流動性などを考慮して、球形であることが好ましい。
なお、セラミックス成形用顆粒への造粒に際し、上記セラミックス粉末及びバインダーの他に、所望に応じて本発明の目的・効果を損なわれない範囲で従来公知の各種添加物を含有させることができる。このような添加物の例として、ポリカルボン酸塩、縮合ナフタレンスルホン酸等の分散剤、グリセリン、グリコール類、トリオール類等の可塑剤、ワックス、ステアリン酸(塩)等の滑剤、ポリエーテル系、ウレタン変性ポリエーテル系、ポリアクリル酸系、変性アクリル酸系高分子等の有機系高分子凝集剤、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等の無機系凝集剤等が挙げられる。
なお、本発明に係るセラミックス成形用顆粒は、異なる顆粒の混合物であってもよい。
成形体
本発明に係る成形体は、上記セラミックス成形用顆粒を、金型に充填して圧縮加圧(プレス)することにより行う乾式加圧成形した後に、熱処理して得られる。
成形体の形状は、特に限定されず、たとえばトロイダル(Toroidal)形状などが挙げられる。
乾式加圧成形後に熱処理することで、得られる成形体に少なくとも2.0MPa以上の高い抗折強度を付与することが可能となり、製造条件によっては2.5MPa以上、あるいは3.0MPa以上の抗折強度を付与することが可能となる。
熱処理の温度は、成形体中に存在する熱硬化性イミド化合物成分の硬化温度以上であることが好ましく、より好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは110〜170℃、特に好ましくは150〜170℃である。
熱処理の時間は、成形体の形状や大きさ等にも拠るが、成形体中に存在する熱硬化性イミド化合物成分が成形体内部においても十分に硬化するだけの時間であることが好ましい。具体的には5〜90分程度が好ましい。
熱処理は、流動層、箱型乾燥器、連続乾燥炉、ロータリーキルン中で行うことができる。
焼結体及び電子部品
本発明に係る焼結体は、上記成形体を焼成して得られる。焼成は、多くの空隙を含んでいる成形体の粉体粒子間に、融点以下の温度で粉体が凝着する焼結を起こさせ、緻密な焼結体を得るために行われる。焼成に用いる炉としては、バッチ式、プッシャー式、台車式などが挙げられる。焼成温度は、好ましくは1000〜1450℃である。焼成時間は、好ましくは1〜3時間程度である。焼成は、大気中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気で行っても良い。
このような焼成を行うことで、たとえば図1(a)、図1(b)及び図1(c)に示されるような直径2mm以下のコア状や、図2(a)及び図2(b)に示されるような厚さ1mm以下に板状に加工しても、従来は図中の矢印部分で多発していた欠け、ヒビ、折れ等の外観不良の頻度が低減された焼結体が得られる。
この焼結体は、たとえば、ノート型パソコン、PDA等の情報端末や携帯電話、PHS等の移動式電話あるいはこれらの周辺機器等の携帯を前提にした電子機器用、又、テレビ、ステレオ等の比較的大型の家電製品用の種々の電子部品のコア材として使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
次に、本発明の実施の形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
セラミックス成形用顆粒の作製
まず、Ni−Cu−Zn系フェライト粉末(セラミックス粉末)100質量部と、水50質量部と、ポリカルボン酸アンモニウム塩(分散剤)0.3質量部と、平均重合度、平均鹸化度および添加量を表1のように変化させたPVA(バインダー)と、添加量を表1のように変化させたビスアリルナジイミド([C3734。熱硬化性イミド化合物としてのアルケニル置換ナジイミドの一例)の水系エマルジョンとを、湿式粉砕混合機で混合して水系セラミックススラリーを調製した。
次に、調製されたスラリーを、スプレードライヤーを用いて噴霧造粒し、平均粒径90μm、含有水分0.3質量%である球形状のセラミックス成形用顆粒を得た。
成形体の作製(1)
次に、それぞれのセラミックス成形用顆粒6gを、金型に充填し、成形圧力を40〜150MPaの間で変化させ、乾式加圧成形することにより、成形体密度が3.0g/cmであり、長さ55mm×幅12mm×高さ3.0mmの直方体ブロック状の成形体(第1ブロック成形体)と、成形体密度が3.2g/cmのであり、長さ55mm×幅12mm×高さ2.8mmの直方体ブロック状の成形体(第2ブロック成形体)とを、作製した(試料1〜13)。成形体密度の測定は、成形体を切断し、水銀ポロシメータを用いて算出した。
次に、得られた第1ブロック成形体および第2ブロック成形体を、箱型の乾燥器中に置き、130℃で30分間、熱処理を施し、成形体中のビスアリルナジイミドを硬化させた。その後、成形体を常温中に1時間放置して、常温になるまで冷却した。
次に、熱処理、冷却後の第1および第2ブロック成形体の抗折強度を、荷重試験機(アイコーエンジニアリング社製)を用いて、JIS−R1601に準拠した方法で測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0004217142
表1に示すように、本発明の実施例である試料1〜7では、第1および第2ブロック成形体は、いずれも2.5MPa以上の高い抗折強度を示した(熱処理後欄を参照)。また、熱処理前のブロック成形体の抗折強度について同様にして測定を行ったところ、抗折強度は1.1〜1.8MPaの範囲であり、熱処理前であっても試料1〜7の第1および第2ブロック成形体は、比較的高い抗折強度を示した(熱処理前欄を参照)。これらのことにより、試料1〜7のセラミックス成形用顆粒により得られた第1および第2ブロック成形体は、熱処理前であっても、ある程度の抗折強度を有しており、取り扱い時に欠け、ヒビ、折れ等の外観不良が発生し難いことが推測される。
一方、本発明の比較例である試料10では、第1および第2ブロック成形体は、熱処理前の抗折強度が0.2MPaと低いものとなっており、降伏強さが低く、取り扱い時に欠け、ヒビ、折れ等の外観不良が発生する可能性が大きいことが示唆される。
本発明の参考例としての試料8,9,11のセラミックス成形用顆粒から作製された第1および第2ブロック成形体は、試料10と比較すると、熱処理前の抗折強度は高めであるが、取り扱い時に欠け、ヒビ、折れ等の外観不良が発生することも想定される。
本発明の比較例である試料12〜13では、ビスアリルナジイミドを添加していないため、第1および第2ブロック成形体は、熱処理前後で抗折強度の変化がほとんど見られなかった。このことは、試料1〜7においては、セラミックス成形体中に存在するビスアリルナジイミドの熱処理による硬化がセラミックス成形体の機械的強度(抗折強度)を増加させることを示している。
また、試料8〜13のセラミックス成形用顆粒より得られた第1および第2ブロック成形体の中には、熱処理後の抗折強度が2.0MPa以上のものも存在する。しかしながら、本発明の比較例である試料10では、PVAを添加していないため、造粒時にセラミックス粉末同士の結合性が悪く、粒径が40μm以下の微細粒子および表面に多くの孔や陥没を有するセラミックス成形用顆粒が多量に発生し、所定の粒径(90μm程度)を有するセラミックス成形用顆粒造粒時の歩留まりが低下した。本発明の参考例である試料11では、ビスアリルナジイミドの添加量が多いため、乾式加圧成形時に金型からの成形体の脱型性に劣る傾向がある。本発明の比較例である試料12〜13では、ビスアリルナジイミドを添加していないため、得られるセラミックス成形体の低圧つぶれ性が劣り、内部に多量の顆粒粒界を含んでしまった。
以上より、試料1〜7の場合に、顆粒の低圧つぶれ性、耐崩壊性および耐スティッキング性並びに得られた成形体と焼結体の抗折強度、後記の寸法精度、歩留まりおよび金型からの脱型性の各要素が高いレベルで調和していた。
成形体の作製(2)
試料1、3および12のセラミックス成形用顆粒を用い、直径1.8mm、L寸法2.0mmの円柱コア形状の成形体(図1(a))を10万個連続成形した(試料14〜16)。
次に、得られた成形体に対して、箱型乾燥器を用いて、130℃で30分の熱処理を施し、成形体の機械的強度(抗折強度)を向上させた。
次に、熱処理後の成形体を常温まで冷却後、ダイヤモンドホイル(ダイヤモンド砥石)にて切削加工して図1(b)に示した形状の芯径0.8mmのコイル用ドラム型コアを作製し、さらに1050℃にて焼成を行ってセラミックス焼結体を得た。
表2に、切削加工後のセラミックス成形体および焼結体に対して行った外観評価(欠け、ヒビ、折れ)の結果を示す。表2の欠け及びヒビについては、いずれも、5個以下を○、6〜20個を△、21個以上を×とした。折れについては、3個以下を○、4〜15個を△、16個以上を×とした。なお、表2に示した外観評価の結果は、連続成形された10万個のセラミックス成形体および焼結体の平均値である。
Figure 0004217142
表2に示すように、本発明の比較例である試料16の成形体および焼結体においては、いずれも評価結果が×または△となっているが、本発明の実施例である試料14〜15の成形体および焼結体にあっては、いずれも評価結果が○となり、欠け、ヒビ、折れの発生が非常に少なくなっていることがわかる。
また、最終製品であるセラミックス焼結体の寸法バラツキを調査したところ、試料14〜15の全ての焼結体は、寸法バラツキが許容公差以内に収まっていた。これに対し、試料16の焼結体では、全焼結体中の0.3%において、寸法バラツキが許容公差を超えていた。
このことより、本発明のセラミックス成形用顆粒によれば、寸法精度に優れたセラミックス焼結体が作製でき、それにより、セラミックス焼結体の歩留まりを向上することが可能となることが明らかとなった。
また、本発明のセラミックス成形用顆粒を用いることで、従来ヒビ、欠け、折れ等の外観不良が多数発生するために、製造歩留まりに劣っていた直径2mm以下のコア状セラミックス焼結体を歩留まり良く製造することが可能となった。
図1(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係るセラミックス成形用顆粒を用いて成形した成形体、あるいは該成形体を焼成して得られた焼結体の形状の一例を示す図であり、図1(a)は円筒型コアの模式図、図1(b)は円筒型コアの中央部を切削したドラム型コアの模式図、図1(c)は別のドラム型コアの模式図である。 図2(a)〜(b)は本発明の一実施形態に係るセラミックス成形用顆粒を用いて成形した成形体、あるいは該成形体を焼成して得られた焼結体の形状の一例を示す図であり、図2(a)は板状コアの模式図であり、図2(b)は乾式加圧成形法により作製した箱状コアの模式図である。

Claims (2)

  1. セラミックス粉末と、500〜2500の平均重合度及び88モル%以上の平均鹸化度を持つポリビニルアルコールと、アルケニル置換ナジイミドの水系エマルジョンと、水とを含み、
    前記セラミックス粉末100質量部に対する各成分の添加量が、
    ポリビニルアルコール:0.4〜1.4質量部、
    アルケニル置換ナジイミドの水系エマルジョン:固形分濃度で0.1〜5.5質量部(ただし、5.5質量部は除く)、
    水:25〜100質量部、である混合物を、
    噴霧乾燥法により造粒することを特徴とするセラミックス成形用顆粒の製造方法。
  2. セラミックス粉末と、500〜2500の平均重合度及び88モル%以上の平均鹸化度を持つポリビニルアルコールと、アルケニル置換ナジイミドの水系エマルジョンとを含み、
    前記セラミックス粉末100質量部に対する各成分の添加量が、
    ポリビニルアルコール:0.4〜1.4質量部、
    アルケニル置換ナジイミドの水系エマルジョン:固形分濃度で0.1〜5.5質量部(ただし、5.5質量部は除く)、である混合物を、
    オシレーティング押出法により造粒することを特徴とするセラミックス成形用顆粒の製造方法。
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