JP4216286B2 - 電流計測回路及びその集積回路素子 - Google Patents
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Description
(1)請求項1に係る電流計測回路は、被計測電流(i)がソース電流(iS1)またはドレイン電流として流れるべく構成された第1FET(Q1)と、
計測用電流(iS2)がソース電流またはドレイン電流として流れるべく構成された第2FET(Q2)と、
第1及び第2の2つの入力端と第1の出力端とを備え、該第1及び第2の入力端のうち一方の入力端に前記第1FET(Q1)のソース電位またはドレイン電位が印加され、該第1の出力端に前記第1FET(Q1)及び前記第2FET(Q2)の各ゲート電位を制御するための第1制御電位を出力するべく、所定の増幅率もつ増幅器として構成された第1のフィードバック手段(OP1)と、
第3及び第4の2つの入力端と第2の出力端とを備え、該第3及び第4の入力端のうち一方の入力端に基準電位として前記第1FET(Q1)のソース電位またはドレイン電位が印加されると共に他方の入力端に前記第2FET(Q2)のソース電位またはドレイン電位が印加され、該第2の出力端に該第2FET(Q2)のソース電位またはドレイン電位を制御するための第2制御電位を出力するべく、さらに計測用抵抗の一端に該第2制御電位に応じた電位が印加されると共に該計測用抵抗の他端が該第2FET(Q2)のソース電位またはドレイン電位を与えるべく、所定の増幅率をもつ増幅器として構成された第2のフィードバック手段(OP2)と、を有し、
前記第1のフィードバック手段(OP1)は、前記被計測電流(i)により前記第1FET(Q1)のソース電位またはドレイン電位が発生したとき、該被計測電流(i)の変化に応じて該第1FET(Q1)のソース電位またはドレイン電位、該第1制御電位、及び該第1FET(Q1)のオン抵抗がそれぞれ変化して所定の値となるように動作し、
前記第2のフィードバック手段(OP2)は、前記第2FET(Q2)のソース電位またはドレイン電位を前記基準電位と同電位とするように動作し、
前記第2制御電位に起因して前記計測用抵抗及び前記第2FET(Q2)に前記計測用電流(iS2)が流れ、該計測用抵抗の電圧降下により前記被計測電流(i)の計測を行うことを特徴とする。
(3)請求項3に係る電流計測回路は、請求項1において、所定のバイアス電位を生成するための手段(VR2)をさらに有し、
前記第1フィードバック手段は、前記第1及び第2の入力端のうち他方の入力端に前記バイアス電位に応じた電位が印加されるように構成されており、該バイアス電位に応じて前記第1制御電位をオフセットさせることにより、前記被計測電流(i)が流れ始めるときに前記第1FET(Q1)及び前記第2FET(Q2)がオン状態となっているように各ゲート電位を制御することを特徴とする。
本回路では、均衡状態における第1FETのソース電流と第2FETのソース電流とが比例するように、第1FET及び第2FETの特性が選択されている。この比例関係を実現し、かつ第1FET及び第2FETの非線形特性による測定精度への影響を解消するように第1と第2の2つのフィードバック手段を組み合わせており、その結果、第2フィードバック手段の出力である第2制御電位を用いて計測を行うことができる。
(2)請求項2に係る電流計測回路では、第1FET及び第2FETの各ゲート電位を調整する手段を設けている。第1FETと第2FETとは、理想的にはゲート電位変化に対するオン抵抗の変化特性が完全に同一であるように選択され、その場合には両FETのゲート電位を完全に同電位とすることができる。しかしながら、2つのFETの特性を理想的に一致させることは事実上困難であり、コスト高にもなる。従って、調整手段を設けることにより、少なくとも1つの計測レンジにおいて両FETのオン抵抗の変化特性を同じとすることができる。
(1−1)回路構成
図1は、本発明による電流計測回路の第1の実施形態である。本回路は、2つのNチャネル型FETQ1及びFETQ2並びに2つの演算増幅器OP1及びOP2を主たる構成要素とする。本回路は、被測定電流路から流れ込む(矢印の方向)被計測電流iを計測するためのものであり、被計測電流iの大きさに対応する計測出力は、計測用の電流iS2が流れる計測用抵抗Rx1...xnの一端の電位Voutとして得ることができる。
<概要>
本回路は、2つの演算増幅器の各々を含む第1及び第2のフィードバック手段により、被計測電流iすなわちFETQ1のソース電流iS1に対して常に同じ比率でFETQ2のソース電流iS2が流れるように動作する。初期状態から被計測電流iが流れ始めたとき、あるいは、被計測電流iが一定の値から別の値に変化したときは、これらのフィードバック手段が動作し、過渡状態を経て均衡状態が達成される。実際には、均衡状態へ移行する時間は瞬時であり、実時間電流計測には支障がない。この均衡状態において電流計測が行われる。
FETQ1のソースに、負荷を経由した電圧が印加される前の初期状態では、FETQ1は前記バイアス電圧回路により生じるオフセットにより、わずかながら導通状態にある。FETQ1のソースに前記電圧が印加されたとき(被測定電流が流れ始めるとき)、本回路の動作状態における最大の電圧がFETQ1のソースに印加されることになる。したがって、前記第1フィードバック手段を構成する演算増幅器OP1の非反転入力に印加されたFETQ1のソース電位が演算増幅器OP1により増幅されて、FETQ1のゲートに印加される。これにより、FETQ1のオン抵抗が小さくなりFETQ1のソース電位を下げる動作が実行される。この場合、FETQ1のソース電位によりフィードバックされるFETQ1のゲート電位、これにより決定されるFETQ1のソース・ドレイン間抵抗値及びこれにより決定されるFETQ1のソース電位が瞬時に均衡し、ある一定の値に落ち着く(FETQ1のソース電流が変動しないとする)。
演算増幅器OP1の出力電位はFETQ2のゲートにも印加されるため、FETQ1とFETQ2のゲート電位は、基本的に常に同電位となる。よって、FETQ1が所定のゲート電位でオン状態となると同時に、FETQ2もそのソース・ドレイン間抵抗がわずかながらFETQ2のソース・ドレイン間を導通させている状態から直ちに所定のオン抵抗の値となり、オン状態となる。
FETQ1とFETQ2とは、理想的にはゲート電位変化に対するオン抵抗の変化特性が完全に同一であるように選択され、その場合には両FETのゲート電位を完全に同電位とすることができ、可変抵抗VR1も不要である。しかしながら、2つのFETの特性を理想的に一致させることは事実上困難であり、コスト高にもなる。従って、少なくとも1つの計測レンジにおいて両FETのオン抵抗の変化特性が同じとなるように、両FETのゲート電位のバランスを可変抵抗VR1により調整する。
FETQ1のソース電位は、演算増幅器OP2の非反転入力にも印加される。そして演算増幅器OP2により所定の増幅率で増幅され、その出力電位によりFETQ2のソース電位を制御する。そして、FETQ2のソース電位は、演算増幅器OP2の反転入力に印加される。従って、演算増幅器OP2の非反転入力に印加されているFETQ1のソース電位を基準電位とし、反転入力に印加されるFETQ2のソース電位がこの基準電位と同電位となるように、演算増幅器OP2の出力電位によりFETQ2のソース電位を制御する。こうして、演算増幅器OP2のフィードバック動作によりFETQ2のソース電位がFETQ1のソース電位と同電位で均衡状態となる。
こうして均衡状態となったとき、FETQ2のソース電位及びゲート電位はFETQ1のそれらとそれぞれ同電位であり、FETQ2のオン抵抗も所定の値に定まる。演算増幅器OP2の出力電位及び計測用のソース電流iS2も一定に定まる。
演算増幅器OP1の反転入力に印加されるバイアス電圧は、反転増幅されて出力に反映される。一方、演算増幅器OP1の非反転入力に印加されたソース電位は、非反転増幅されて出力に反映される。これらの出力は差動増幅されてFETQ1及びFETQ2のゲート電位を制御する。従ってバイアス電圧は、FETQ1のソース電位のみから決定されるゲート電位を、所定の電圧だけオフセットさせる働きがある。なお、図1の場合はバイアス電圧が反転入力に印加されるので、ゲート電位を増加方向にオフセットさせる場合は負のバイアス電圧を入力し、減少方向にオフセットさせる場合は正のバイアス電圧を入力すればよい。仮にこのバイアス電圧を印加しないとすると、前記のとおり一つの計測レンジ内における最小電流の場合安定した高精度の電流計測ができないことがある。両FETを計測可能な程度にオン状態とするだけのゲート電位を与えるためのバイアス電圧を印加することにより見かけ上のゲートしきい値電位をオフセットさせることができるので、ソース電流が1つの計測レンジにおける最小電流の場合にも両FETをわずかながらオン状態とすることができ、安定かつ精確な計測を行うことができる。
上記の通り、第1のフィードバック手段によりFETQ1のゲート電位が一定に定まり、FETQ1とFETQ2のゲート電位が同電位に維持され、第2のフィードバック手段によりFETQ1とFETQ2のソース電位が同電位に維持されるという本回路動作により、被計測電流i(FETQ1のソース電流)と計測用電流iS2(FETQ2のソース電流)の比例関係を常に維持することが可能となる。このためにはFETQ1とFETQ2とを、ソース電位変化に対するソース電流の変化特性が同じであるように選択すればよい。両FETのソース電位は常に同電位に維持されるので、ソース電位が変化するときその変化量は両FETにおいて同じである。従って、ソース電位が変化したとき、例えばFETQ1のソース電流が2倍になったとすると、FETQ2のソース電流も2倍となるならば、両FETの変化特性が同じといえる。
本回路では、演算増幅器OP2の出力電位を用いて被計測電流iの計測を行っていると云うこともできる。
実用上は、図1のFETQ2のソース電流is2が流れる計測用抵抗Rx1〜Rxnの一端と接地電位との間で計測出力Voutを計測する。その場合、FETQ2のオン抵抗による計測誤差が問題とならない程度に計測用抵抗Rx1〜Rxnの各々の値を設定する。
また、計測用抵抗が1MΩのとき被計測電流iが1アンペアであれば、計測用電流iS2は1μアンペアとなるから計測出力は1ボルトとなる。こうして10〜1アンペアの被計測電流に対し、10〜1ボルトの線形出力電圧を得ることができる。
またさらに、被計測電流が増大するとその電流路の抵抗が減少する傾向があるので、電流路における電力消費が被計測電流に比例して増大することがない。
図1の回路では、被計測電流iが被測定電流路から流れ込む方向の場合にのみ計測可能である。被計測電流iが被測定電流路へ流れ出す方向の場合は、演算増幅器OP1の出力電位が負電位となり、また演算増幅器OP2の非反転入力もまた負電位となるため、FETQ1もFETQ2もオン状態とならず、回路が動作しないからである。
図3は、本発明による電流計測回路の第2の実施形態である。第2の実施形態は、演算増幅器OP1及びOP2のフィードバック動作等の基本動作については第1の実施形態と同じであるが、バイアス電圧回路の形態が異なる。なお、計測用抵抗Rxは省略して1つのみを示している。
図4は、本発明による電流計測回路の第3の実施形態である。第3の実施形態は、演算増幅器OP1及びOP2のフィードバック動作については第1及び第2の実施形態と同じであるが、バイアス電圧回路を用いることなく所定の計測レンジにおける最小電流領域での安定かつ精確な計測を実現している。
しかしながら、大きな電圧増幅率Aをもつエミッタ接地回路を挿入することにより、演算増幅器OP2が増幅できなくとも回路全体として増幅率が得られるためフィードバック動作が可能となり、FETQ2をオン状態とすることができる。FETQ2がオン状態となればRdsは極めて小さく(例えば数mΩ〜数百Ω)なるため、演算増幅器OP2も十分な増幅率を得てフィードバック動作に寄与できるようになる。
Q2 第2FET
Q3 トランジスタ
OP1 第1の演算増幅器
OP2 第2の演算増幅器
Rx、Rx1〜Rxn 計測用抵抗
VR1、VR2 可変抵抗
VR2 可変抵抗
Claims (6)
- 被計測電流(i)がソース電流(iS1)またはドレイン電流として流れるべく構成された第1FET(Q1)と、
計測用電流(iS2)がソース電流またはドレイン電流として流れるべく構成された第2FET(Q2)と、
第1及び第2の2つの入力端と第1の出力端とを備え、該第1及び第2の入力端のうち一方の入力端に前記第1FET(Q1)のソース電位またはドレイン電位が印加され、該第1の出力端に前記第1FET(Q1)及び前記第2FET(Q2)の各ゲート電位を制御するための第1制御電位を出力するべく、所定の増幅率もつ増幅器として構成された第1のフィードバック手段(OP1)と、
第3及び第4の2つの入力端と第2の出力端とを備え、該第3及び第4の入力端のうち一方の入力端に基準電位として前記第1FET(Q1)のソース電位またはドレイン電位が印加されると共に他方の入力端に前記第2FET(Q2)のソース電位またはドレイン電位が印加され、該第2の出力端に該第2FET(Q2)のソース電位またはドレイン電位を制御するための第2制御電位を出力するべく、さらに計測用抵抗の一端に該第2制御電位に応じた電位が印加されると共に該計測用抵抗の他端が該第2FET(Q2)のソース電位またはドレイン電位を与えるべく、所定の増幅率をもつ増幅器として構成された第2のフィードバック手段(OP2)と、を有し、
前記第1のフィードバック手段(OP1)は、前記被計測電流(i)により前記第1FET(Q1)のソース電位またはドレイン電位が発生したとき、該被計測電流(i)の変化に応じて該第1FET(Q1)のソース電位またはドレイン電位、該第1制御電位、及び該第1FET(Q1)のオン抵抗がそれぞれ変化して所定の値となるように動作し、
前記第2のフィードバック手段(OP2)は、前記第2FET(Q2)のソース電位またはドレイン電位を前記基準電位と同電位とするように動作し、
前記第2制御電位に起因して前記計測用抵抗及び前記第2FET(Q2)に前記計測用電流(iS2)が流れ、該計測用抵抗の電圧降下により前記被計測電流(i)の計測を行うことを特徴とする電流計測回路。 - 前記第1制御電位により制御される前記第1FET(Q1)及び前記第2FET(Q2)の各ゲート電位を調整するための手段(VR1)をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電流計測回路。
- 所定のバイアス電位を生成するための手段(VR2)をさらに有し、
前記第1フィードバック手段は、前記第1及び第2の入力端のうち他方の入力端に前記バイアス電位に応じた電位が印加されるように構成されており、該バイアス電位に応じて前記第1制御電位をオフセットさせることにより、前記被計測電流(i)が流れ始めるときに前記第1FET(Q1)及び前記第2FET(Q2)がオン状態となっているように各ゲート電位を制御することを特徴とする請求項1に記載の電流計測回路。 - 前記第2制御電位をエミッタ接地回路により増幅した出力電位を用いて前記第2FETのソース電位またはドレイン電位を制御することを特徴とする請求項1に記載の電流計測回路。
- 前記第1FET及び前記第2FETのドレインを接地することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電流計測回路。
- 請求項1〜5のいずれかの電流計測回路を内蔵したことを特徴とする集積回路素子。
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