JP4216231B2 - インダノンカルボン酸エステルの製造法 - Google Patents

インダノンカルボン酸エステルの製造法 Download PDF

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Description

本発明は、殺虫剤の中間体として有用なインダノンカルボン酸エステルを新規な酸ハライド誘導体を経由して製造する方法に関する。
従来、殺虫剤の中間体として有用なインダノンカルボン酸エステルの製造法についてはいくつかの方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1には、ハロゲン化アントラニル酸誘導体を亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸メチルと反応させてジアゾニウム塩を生成させた後、パラジウム含有触媒の存在下でアクリル酸誘導体と反応させて置換された桂皮酸及び桂皮酸エステルを得、これを水素化触媒下で水素化して置換されたアリールプロピオン酸を生成させ、次いで、塩基存在下における閉環反応によりインダノンカルボン酸エステルを製造する方法が開示されている。しかし、この方法は、安全上取扱いに困難なジアゾニウム塩を経由するという欠点を有しており、工業的規模で製造を行う場合に問題がある。
特許文献2には、パラ置換フェニルアセチルハライドとエチレンとのフリーデルクラフツ反応により置換されたテトラロンを生成させ、ペルオキシカルボン酸存在下における開環反応により置換されたアリールプロピオン酸を得、これをエステル化した後、塩基存在下における閉環反応により置換されたインダノンカルボン酸エステルを製造する方法が開示されている。この方法では、置換されたテトラロンを開環する際に過酸化物を使用しているため、工業的規模で製造を行う場合には安全上の問題を有している。
特許文献3には、置換されたインダノンを炭酸ジメチル等によりエステル化してインダノンカルボン酸エステルを製造する方法が開示されており、その具体例として、水素化ナトリウム存在下、5−クロロインダノンを炭酸ジメチルと反応させてインダノンカルボン酸メチルエステルを得る方法が記載されている。しかし、この方法による収率は50%以下であり、また、危険で取扱いに困難な水素化ナトリウムを使用しなければならない点で不利である。
また、マロン酸ジエステル誘導体、マロン酸モノエステル誘導体、酸ハライド誘導体の各製造法が知られている(例えば、非特許文献1〜3参照)。非特許文献1には、マロン酸ジエチルエステルとm−クロロベンジルクロリドを水素化ナトリウム存在下で反応させることにより3−クロロベンジルマロン酸ジエチルを得る方法、非特許文献2には、フェニルマロン酸ジエチルエステルを水酸化カリウム存在下、エタノール水溶液中で反応させることによりモノエステル(ハーフエステル)を得る方法、非特許文献3には、3−フェニル−2−エトキシカルボニルプロピオン酸を塩化チオニルと反応させることにより2−クロロホルミル−3−フェニル−プロピオン酸エチルを得る方法が開示されている。しかし、上記方法をアリール基に置換基のついた2−ハロホルミル−3−フェニル−プロピオン酸エステルの製造に適用した例はない。
国際公開第WO00/10963号パンフレット 国際公開第WO95/29171号パンフレット 特開平5−25164号公報 ジャーナル メディシナル ケミストリー(J.Med.Chem.)、13、1970、820 ジャーナル アメリカン ケミカル ソサイエティー(J.Amer.Chem.Soc.)、74、1952、5897 ケミカル ファーマシューティカル ブリティン(Chem.Pharm.Bull.)、22、1974、1795
本発明の目的は、新規な酸ハライド誘導体を経由して、工業的規模においても安全に、しかも高い収率で製造することができるインダノンカルボン酸エステルの製造法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、新規な酸ハライド誘導体を経由してインダノンカルボン酸エステルを安全に高収率で得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)下記式(II)
Figure 0004216231
(式中、X及びZは、同一又は異なって、ハロゲン原子を示す)
で表されるベンジルハライド誘導体を塩基存在下、下記式(III)
Figure 0004216231
(式中、Rは低級アルキル基を示す)
で表されるマロン酸ジエステルと反応させて、下記式(IV)
Figure 0004216231
(式中、X及びRは前記に同じ)
で表されるマロン酸ジエステル誘導体を得る工程、(B)前記式(IV)で表されるマロン酸ジエステル誘導体を加水分解して、下記式(V)
Figure 0004216231
(式中、X及びRは前記に同じ)
で表されるマロン酸モノエステル誘導体を得る工程、(C)前記式(V)で表されるマロン酸モノエステル誘導体をハロゲン化剤と反応させて、下記式(I)
Figure 0004216231
(式中、X及びRは前記に同じ。Yはハロゲン原子を示す)
で表される酸ハライド誘導体を得る工程、及び(D)前記式(I)で表される酸ハライド誘導体を触媒存在下で環化して、下記式(VI)
Figure 0004216231
(式中、X及びRは前記に同じ)
で表されるインダノンカルボン酸エステルを得る工程を含むインダノンカルボン酸エステルの製造法を提供する。
工程(D)における触媒としては無水塩化アルミニウムが好ましい。前記製造法においては、Xが塩素原子であり、Rがメチル基であるのが好ましい。また、工程(A)における塩基はアルカリ金属水酸化物であるのが好ましい。
本発明によれば、新規な酸ハライド誘導体を経由して、工業的規模においても安全に、しかも高い収率でインダノンカルボン酸エステルを製造することができる。こうして得られるインダノンカルボン酸エステルは、殺虫剤の中間体として利用できる。
本発明の製造法における前記式(I)で表される酸ハライド誘導体において、X及びYは、同一又は異なって、ハロゲン原子を示し、Rは低級アルキル基を示す。
前記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。好ましいハロゲン原子は塩素原子などである。前記低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、及び1−エチル−1−メチルプロピル基等の直鎖状又は分岐状のC1-6アルキル基等が挙げられる。なかでもC1-4アルキル基、特にメチル基が好ましい。
代表的な酸ハライド誘導体としては、2−クロロホルミル−3−(3−クロロフェニル)−プロピオン酸メチルが挙げられる。
本発明のインダノンカルボン酸エステルの製造法は、(A)式(II)のベンジルハライド誘導体を、塩基存在下、式(III)のマロン酸ジエステルと反応させて、式(IV)のマロン酸ジエステル誘導体を得る工程、(B)式(IV)のマロン酸ジエステル誘導体を加水分解して式(V)のマロン酸モノエステル誘導体を得る工程、(C)式(V)のマロン酸モノエステル誘導体をハロゲン化剤と反応させて式(I)の酸ハライド誘導体を得る工程、及び(D)式(I)で表される酸ハライド誘導体を触媒存在下で環化して式(VI)で表されるインダノンカルボン酸エステルを得る工程を含んでいる。
工程(A)中、前記式(II)で表されるベンジルハライド誘導体において、X及びZは、同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。Zにおけるハロゲン原子は、前記式(I)のXにおけるハロゲン原子として例示のものが挙げられる。Zにおける好ましいハロゲン原子は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、特に好ましくは塩素原子である。
前記式(III)、式(IV)及び式(V)中、X及びRとしては前記と同じものが例示できる。
塩基としては、例えば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩類(特にアルカリ金属の炭酸塩類);水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;リン酸二水素ナトリウムやリン酸二水素カリウム等のリン酸塩類(特にアルカリ金属のリン酸塩類);酢酸ナトリウムや酢酸カリウム等のカルボン酸塩類(特にアルカリ金属のカルボン酸塩類);トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド類(特にアルカリ金属のアルコキシ類);水素化ナトリウム等の金属水素化物類等が挙げられる。塩基は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。好ましい塩基としては、アルカリ金属の水酸化物等が用いられる。
式(III)のマロン酸ジエステルの使用量は、式(II)のベンジルハライド誘導体1モルに対して、例えば0.1〜1000モル、好ましくは1.1〜100モル、さらに好ましくは2〜10モル程度である。なお、前記マロン酸ジエステル1モルに対して前記ベンジルハライド誘導体が2モル反応して生じる副生成物を抑制するため、通常は、前記マロン酸ジエステルを過剰に用いる。反応終了後、未反応のマロン酸ジエステルを回収して再使用しても良い。塩基の量は、前記ベンジルハライド誘導体1モルに対して、一般には0.01〜100グラム当量、好ましくは0.1〜10グラム当量、さらに好ましくは0.25〜4グラム当量(特に0.9〜1.5グラム当量)程度である。
反応は、反応助剤の存在下で行ってもよい。このような反応助剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物;12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類;4級アルキル、又はアリール置換アンモニウム等の相間移動触媒等が例示できる。
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては、反応成分に対して不活性であって生成物と分離可能であれば特に限定されず、例えば、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;メタノール、エタノール、t−ブタノール等のアルコール類;ペンタン、ヘキサン、石油エーテル等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等の含ハロゲン化合物類;ポリエチレングリコール、シリコンオイル等の高沸点溶媒等の有機溶媒、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、反応成分が十分に分散できれば特に限定されず、上限は経済上の考慮によって決定される。
反応温度は、系の融点以上であれば特に制限されず、例えば−30℃〜300℃、好ましくは−10℃〜200℃程度であり、室温(5〜40℃)程度の穏和な条件であっても反応が効率良く進行する。
反応は、常圧、減圧、加圧下の何れであってもよいが、通常、常圧で行われる。反応は、回分式、半回分式、連続式などの方法により行うことができる。
工程(A)により生成したマロン酸ジエステル誘導体は反応混合物から単離してもよいが、生成物を含む反応混合物をそのまま又は濃縮して、工程(B)の原料として用いることもできる。
工程(B)において、加水分解反応に使用する水の量は、前記マロンジエステル誘導体の種類、反応様式、反応速度等に応じて選択でき、前記マロン酸ジエステル誘導体1モルに対して、例えば0.1〜1000000モル、好ましくは0.5〜1000モル、さらに好ましくは0.8〜100モル程度である。
加水分解反応には、反応を促進するため、反応助剤を用いてもよい。反応助剤としては、酸、又は塩基が用いられる。酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸等のC1-10飽和又は不飽和モノ又はポリカルボン酸等)、スルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のC1-6アルカンスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸等)、ハロゲン化有機酸(トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸;トリフルオロメタンスルホン酸等のハロゲン化アルカンスルホン酸等)等の有機酸;硫酸塩(硫酸カルシウム等)、金属酸化物(SiO2、Al23等)、ゼオライト(酸性OHを有するY型、X型、A型ゼオライト等)、イオン交換樹脂(H型等の陽イオン交換樹脂等)等の固体酸等が挙げられる。塩基としては、工程(A)における塩基として例示のものが挙げられる。好ましい塩基は、アルカリ金属の水酸化物である。これらの反応助剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
反応助剤の使用量は、特に制限されず、前記マロン酸ジエステル誘導体1モルに対して、例えば0.01〜5モル、好ましくは0.1〜2モル、さらに好ましくは0.8〜1.2モル程度である。なお、反応助剤を用いない場合には加熱等により反応を促進できる。
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては、工程(A)における溶媒として例示の有機溶媒が挙げられる。溶媒は単独で又は2種以上混合して使用できる。好ましい溶媒はアルコールであり、特に、ハロゲン交換反応を避けるため、前記マロンジエステル誘導体における置換基Rと同じ置換基を有するアルコールが好ましい。
反応温度は、系の融点以上沸点以下であれば特に制限されず、例えば−30℃〜300℃、好ましくは−10℃〜200℃程度であり、室温(5〜40℃)程度の穏和な条件であっても反応が効率良く進行する。
反応は、常圧、減圧、加圧下の何れであってもよいが、通常、常圧で行われる。反応は、回分式、半回分式、連続式などの方法により行うことができる。
工程(B)により生成したマロン酸モノエステル誘導体は反応混合物から単離してもよいが、生成物を含む反応混合物をそのまま又は濃縮して、工程(C)の原料として用いることもできる。
工程(C)において、ハロゲン化剤としては、例えば、フッ化水素カリウム、フッ化カリウム等のフッ素化剤;塩化チオニル、オキザリルクロリド、五塩化リン、オキシ塩化リン等の塩素化剤;臭化チオニル、三臭化リン、五臭化リン、オキシ臭化リン等の臭化剤;三ヨウ化リン等のヨウ化剤などが挙げられる。式(I)におけるYは、用いるハロゲン化剤に対応するハロゲン原子である。
ハロゲン化剤の使用量は、特に限定されないが、前記マロン酸モノエステル誘導体1モルに対して、無溶媒下で反応を行う場合には大過剰量、溶媒中で反応を行う場合には少なくとも等モル量程度、好ましくは1〜4倍モルである。
反応は、反応助剤の存在下で行ってもよい。このような反応助剤としては、塩化亜鉛、ピリジン、ヨウ素、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)等が例示される。
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒は、反応成分に対して不活性であって生成物と分離可能であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ペンタン、ヘキサン、石油エーテル等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等の含ハロゲン化合物類などを例示することができる。これらの溶媒は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。溶媒を使用する場合の溶媒の使用量は、反応成分が十分に分散できれば特に限定されず、上限は経済上の考慮によって決定される。
反応温度は、系の融点以上沸点以下であれば特に制限されず、例えば−30℃〜300℃、好ましくは−10℃〜200℃程度であり、さらに好ましくは10〜100℃程度である。
反応は、常圧、減圧、加圧下の何れであってもよいが、通常、常圧で行われる。反応は、回分式、半回分式、連続式などの方法により行うことができる。
上記方法では、式(II)で表されるベンジルハライド誘導体と式(III)で表されるマロン酸ジエステルの反応により式(IV)で表されるマロン酸ジエステル誘導体が生成し、これが加水分解された式(V)で表されるマロン酸モノエステル誘導体が生成した後、ハロゲン化剤との反応により、対応する式(I)で表される酸ハライド誘導体が生成する。反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、イオン交換、電気透析、晶析、再結晶、吸着、膜分離、遠心分離、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組合せることにより分離精製できる。
工程(D)において、前記式(VI)で表されるインダノンカルボン酸エステルは、前記式(I)で表される酸ハライド誘導体を触媒存在下で環化させる方法により製造される。前記式(VI)で表されるインダノンカルボン酸エステルにおいて、X及びRは前記と同様である。
式(I)の酸ハライド誘導体としては、上記方法により製造したものを利用でき、例えば、前記工程(C)における反応終了後に単離したものを用いてもよく、分離精製することなく反応混合液をそのまま又は濃縮して用いてもよい。
触媒としては、無水塩化アルミニウム、無水臭化アルミニウム、無水塩化鉄、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、無水三酸化ホウ素、濃硫酸などの一般にフリーデルクラフツ反応に使用し得るルイス酸触媒が例示される。好ましくは無水塩化アルミニウムが用いられる。
触媒の使用量は、前記酸ハライド誘導体1モルに対して、例えば1〜50モル、好ましくは2〜10モル程度である。
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒は、反応成分に対して不活性であって生成物と分離可能であれば特に限定されず、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、ブロモホルム、クロロベンゼン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二硫化炭素等の一般にフリーデルクラフツ反応で用いられる溶媒が例示される。これらの溶媒は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。用いる溶媒の量は制限されるものではない。溶媒が使用される場合は、単に成分の十分な分散が保証されるのみでよく、その使用量の上限は経済上の考慮によって決定される。
反応温度は、反応条件において、系の融点以上沸点以下であれば、特に制限されず、例えば−30℃〜300℃、好ましくは−10℃〜100℃程度である。
反応は、常圧、減圧、加圧下の何れであってもよいが、通常、常圧で行われる。反応は、回分式、半回分式、連続式などの方法により行うことができる。
上記方法では、反応により、式(I)で表される酸ハライド誘導体が触媒存在下で閉環して、対応する式(VI)で表されるインダノンカルボン酸エステルが生成する。反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、イオン交換、電気透析、晶析、再結晶、吸着、膜分離、遠心分離、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組合せることにより分離精製できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、生成物の定量は高速液体クロマトグラフィーにより行った。
NMRスペクトルは、日本電子JNM―EX270を用い、270MHz(1H−NMR)にてテトラメチルシラン(TMS)を内部標準として測定した。
実施例1
2−クロロホルミル−3−(3’−クロロフェニル)−プロピオン酸メチルの製造
[工程A:3−クロロベンジルマロン酸ジメチルの製造]
m−クロロベンジルクロリド6.6gとマロン酸ジメチル27.6gをジメチルアセトアミド41.8gに溶解させ、さらに水酸化ナトリウム2.5gを加えた。この混合物を室温下、6時間撹拌し、5℃以下に冷却した後、1.7重量%塩酸でpH3.5に調整した。水36.0gを加えてからトルエン37.0gで生成物を抽出し、トルエン層を水36.0gで2回水洗した。減圧下においてトルエン、未反応のマロン酸ジメチルを除去させることにより濃縮残渣9.7gを得た。該残渣の96重量%が3−クロロベンジルマロン酸ジメチルであった(収量9.3g、収率95%)。
[工程B:3−(3’−クロロフェニル)−2−メトキシカルボニルプロピオン酸の製造]
工程Aで得た3−クロロベンジルマロン酸ジメチルを含む濃縮残渣9.5gをメタノール118.6gに溶解し、1重量%水酸化ナトリウム水溶液148.0gを滴下した。室温下、3時間攪拌した後、5℃以下に冷却してから1.7重量%塩酸でpH2.5に調整した。トルエン102.3gで3回生成物を抽出し、減圧下においてトルエンを除去することにより濃縮残渣8.7gを得た。該残渣の95重量%が3−(3’−クロロフェニル)−2−メトキシカルボニルプロピオン酸であった(収量8.3g、収率92%)。
[工程C:2−クロロホルミル−3−(3’−クロロフェニル)−プロピオン酸メチルの製造]
工程Bで得た3−(3’−クロロフェニル)−2−メトキシカルボニルプロピオン酸を含む濃縮残渣8.0gを、窒素雰囲気下で1,2−ジクロロエタン32.8gに溶解してから、塩化チオニル11.8gとジメチルホルムアミド0.05gを加え、40℃で7時間攪拌した。この混合物を減圧下において、1,2−ジクロロエタンと未反応の塩化チオニルを除去することにより2−クロロホルミル−3−(3’−クロロフェニル)−プロピオン酸メチル7.98gを得た。この化合物のNMRスペクトルデータを以下に示す。
[2−クロロホルミル−3−(3’−クロロフェニル)−プロピオン酸メチルのスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3)ppm:3.27(d,2H,ClC64−CH2−CH)、3.78(s,3H,−COOCH3)、4.07(t,1H,ClC64−CH2−CH)7.07−7.26(m,4H,ClC64−)
実施例2
[工程D:5−クロロ−1−オキソ−2,3−ジヒドロインデン−2−カルボン酸メチル(=5−クロロ−2−メトキシカルボニルインダ−1−オン)の製造]
窒素雰囲気下において、無水塩化アルミニウム9.0gと1,2−ジクロロエタン151.3gを撹拌して懸濁状態にし、0℃に冷却した。そこへ、実施例1で得た2−クロロホルミル−3−(3’−クロロフェニル)−プロピオン酸メチル7.98gと1,2−ジクロロエタン151.3gの混合物を、5℃以下に維持しながら滴下した後、そのまま2時間攪拌した。得られた反応混合物を、5℃以下に冷却した1.7重量%塩酸53.6gに滴下し、そのまま1時間攪拌した。1,2−ジクロロエタン層と水層を分液後、さらに水層から1,2−ジクロロエタン15.1gで生成物を抽出する操作を2回繰り返した。これらの操作で得た1,2−ジクロロエタン層をあわせ、水33.0gで水洗した後、減圧下において1,2−ジクロロエタンを除去した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[移動相:ヘキサン/酢酸エチル=4/1(容積比)]で精製することにより、ベージュの固体として5−クロロ−1−オキソ−2,3−ジヒドロインデン−2−カルボン酸メチル5.21gを収率70%[3−(3’−クロロフェニル)−2−メトキシカルボニルプロピオン酸基準]で得た。
本発明によれば、殺虫剤の中間体として有用なインダノンカルボン酸エステルを効率良く、しかも工業的規模においても安全上、なんら問題なく製造できる。

Claims (4)

  1. (A)下記式(II)
    Figure 0004216231
    (式中、X及びZは、同一又は異なって、ハロゲン原子を示す)
    で表されるベンジルハライド誘導体を塩基存在下、下記式(III)
    Figure 0004216231
    (式中、Rは低級アルキル基を示す)
    で表されるマロン酸ジエステルと反応させて、下記式(IV)
    Figure 0004216231
    (式中、X及びRは前記に同じ)
    で表されるマロン酸ジエステル誘導体を得る工程、(B)前記式(IV)で表されるマロン酸ジエステル誘導体を加水分解して、下記式(V)
    Figure 0004216231
    (式中、X及びRは前記に同じ)
    で表されるマロン酸モノエステル誘導体を得る工程、(C)前記式(V)で表されるマロン酸モノエステル誘導体をハロゲン化剤と反応させて、下記式(I)
    Figure 0004216231
    (式中、X及びRは前記に同じ。Yはハロゲン原子を示す)
    で表される酸ハライド誘導体を得る工程、及び(D)前記式(I)で表される酸ハライド誘導体を触媒存在下で環化して、下記式(VI)
    Figure 0004216231
    (式中、X及びRは前記に同じ)
    で表されるインダノンカルボン酸エステルを得る工程を含むインダノンカルボン酸エステルの製造法。
  2. 工程(D)における触媒が無水塩化アルミニウムである請求項1記載のインダノンカルボン酸エステルの製造法。
  3. Xが塩素原子であり、Rがメチル基である請求項1又は2に記載のインダノンカルボン酸エステルの製造法。
  4. 工程(A)における塩基がアルカリ金属水酸化物である請求項1〜3の何れかの項に記載のインダノンカルボン酸エステルの製造法。


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