JP4215466B2 - プリント基板の部分はんだ付け方法 - Google Patents

プリント基板の部分はんだ付け方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板の必要箇所だけに噴流する溶融はんだではんだ付けする部分はんだ付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にプリント基板のはんだ付けは、自動はんだ付け装置で行なっている。自動はんだ付け装置とは、フラクサー、プリヒーター、噴流はんだ槽、冷却機等が設置されたものである。該自動はんだ付け装置でプリント基板のはんだ付けを行なう場合、プリント基板の裏面全面にフラクサーでフラックス塗布、プリヒーターで予備加熱、噴流はんだ槽ではんだの付着、冷却機で冷却してはんだ付けが完了する。
【0003】
ところで最近のプリント基板は、図10に示すようにプリント基板1の裏面にある多数のはんだ付け部2…が集合してはんだ付け群3を形成している。このように多数のはんだ付け部がはんだ付け群を形成するのは、プリント基板に搭載する電子部品がPGAやデュアルインパッケージのように一個の電子部品に多数のリードが設置されていたり、コネクターのように多数のジャックと導通する電極が取り付けられていたりしているからである。また最近のプリント基板は、実装密度を高めるために、プリント基板の裏面に表面実装部品DやコネクターC等を搭載することがある。従って、最近のプリント基板では、はんだ付け部がはんだ付け群となり、裏面に表面実装部品やコネクター等が搭載されているものが多くなっている。
【0004】
裏面に表面実装部品やコネクター等が搭載されたプリント基板を一般のプリント基板のはんだ付けに使用する自動はんだ付け装置ではんだ付けすると、表面実装部品やコネクターに問題が起きてしまう。つまり自動はんだ付け装置では、裏面全面にフラックス塗布を行ない、裏面全面を予備加熱し、そして裏面全面に溶融はんだを接触させるため、裏面に表面実装部品を搭載したプリント基板では、表面実装部品が高温となった溶融はんだと接触して機能劣化や熱損傷をおこし、また裏面に取り付けられたコネクターはジャックの挿入孔に溶融はんだが侵入してコネクターとしてまったく使用不能にしてしまう。そこで従来よりプリント基板の必要箇所だけに溶融はんだを接触させるとともに、不要箇所には熱影響を及ばすことがなくはんだ付けが行なえるという所謂「部分はんだ付け」が採用されていた。
【0005】
部分はんだ付けに使用する部分噴流はんだ槽は、図11に示すように部分噴流はんだ槽4の中に噴流ポンプ5と多数のノズル6…が設置されており、また内部には図示しないヒーターではんだ7が溶融状態に保たれている。ノズルの設置位置は、図10に示すプリント基板1のはんだ付け群3…と一致したところである。
【0006】
ここで従来の部分はんだ付け方法を図12〜16で説明する。
【0007】
図12:フラックス塗布工程
プリント基板1を図示しない搬送装置でフラクサーFまで搬送し、はんだ付 け群と噴霧ノズルを一致させる。その位置で噴霧ノズル8からフラックス6を噴霧して、はんだ付け群にフラックスを塗布する。このとき噴霧ノズルだけであるとフラックスが広い範囲に広がって噴霧されるため、噴霧ノズルを囲い9で囲って噴霧方向と噴霧領域を制御する。
【0008】
図13:予備加熱工程
次いでやはり図示しない搬送装置でプリント基板をプリヒーターPまで搬送して、プリヒーターPの熱風吹き出し口10とプリント基板のはんだ付け群が一致したところで停止する。そこでプリヒーターPの熱風吹き出し口10から熱風をプリント基板のはんだ付け群に当てて予備加熱を行なう。
【0009】
図14:プリント基板の位置設定工程
はんだ付け群の予備加熱が終了したならば、プリント基板1をはんだ槽Sに搬送し、はんだ槽の噴流ノズル11とプリント基板のはんだ付け群を一致させて停止する。このときプリント基板1と噴流ノズル11の上端との間隙は、噴流ノズルから噴流した溶融はんだ7がプリント基板に接触後、噴流ノズル11の外方に充分流出できる間隙とする。
【0010】
図15:はんだの付着工程
噴流ノズル11から溶融はんだ7を噴流させてはんだ付け群に当て、はんだ付け群のはんだ付け部にはんだを付着させる。従来の部分はんだ付けに用いられていた噴流ノズルは図17に示すようにはんだ付け群と略同一形状となった単なる筒状のものであった。従って、噴流ノズルから噴流された溶融はんだは、噴流後、噴流ノズルから外方に流出しなければならないものであった。
【0011】
図16:プリント基板の移動工程
はんだ付け群のはんだ付け部にはんだを付着させた後、噴流ノズル11内の溶融はんだ7をはんだ槽の液面までさげる。ここではんだ付け部に付着した溶融はんだが完全に凝固するまで待ち、はんだが凝固したならばプリント基板を図示しない冷却装置に移動させて、さらにプリント基板の温度を下げる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来の部分はんだ付け方法でプリント基板のはんだ付けを行なうと、はんだ付け部にはんだの酸化物やフラックスの炭化物などが付着したり、はんだ付け部にブリッジが発生したり、はんだ付け部にはんだが完全に付着しない未はんだが発生したり、さらには多層基板のスルーホール内にはんだが十分に侵入していかなかったりする等の問題があった。特に最近多く使用されるようになってきた鉛フリーはんだでは粘度が高いためブリッジが多発していた。本発明は、これらの問題を解決することができる部分はんだ付け方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の部分はんだ付け方法における問題点について鋭意検討を重ねた結果、次のようなことが分かった。つまりはんだ付け部にはんだの酸化物やフラックスの炭化物が付着するのは、従来のはんだ付け方法では、はんだ付け時に噴流ノズルから溶融はんだを噴流させて、はんだ付け群に接触させた後、噴流ノズル内の溶融はんだをはんだ槽の液面まで下げる。このとき噴流ノズルの内側に接触していた溶融はんだが噴流ノズルの内側にこびり付き、それが時間の経過とともに酸化されて酸化物となる。またはんだ付け部に塗布されていたフラックスが噴流ノズル内に付着し、それが溶融はんだで加熱されて炭化物となってやはり噴流ノズルの内側に付着する。そして次のプリント基板のはんだ付け時にはんだ槽の液面まで下がっていた溶融はんだを噴流ノズル内で上昇させると、噴流ノズル内に付着していたはんだの酸化物やフラックスの炭化物(以下、酸化物等という)が噴流ノズル内を上昇する溶融はんだで剥がされ、これらがプリント基板のはんだ付け部に付着してしまうものである。
【0014】
また従来の部分はんだ付け方法ではんだ付け部にツララ、ブリッジ、未はんだが発生し、スルーホール内への充分なはんだの侵入ができないのは、はんだ付け時にはんだ付け部の温度が充分に上昇していないからである。つまり、はんだ付け部が充分に予備加熱されていないと、はんだ付け部に溶融はんだが接触したときに、溶融はんだがはんだ付け部に完全に濡れる前に凝固してしまうため所謂濡れ不良となって、これらのはんだ付け不良が発生する。この原因は、はんだ槽内の溶融はんだの温度を所定の温度に保っていても、噴流ノズルから噴流する溶融はんだの温度が所定の温度よりも低かったり、予備加熱ではんだ付け部の温度が所定の温度になっていなかったりするからである。
【0015】
ツララやブリッジの原因としては、溶融はんだやはんだ付け部の温度ばかりではなく、溶融はんだを噴流ノズルから噴流させてはんだ付け部に接触させた後のはんだ付け部からの溶融はんだの離脱状態も影響している。つまり従来は、溶融はんだをはんだ付け部に接触させた後、早い速度で溶融はんだを噴流ノズル内ではんだ槽の液面まで下げており、この離脱条件が部分はんだ付け、特に鉛フリーはんだを用いた部分はんだ付けに適していないためはんだ付け部にツララやブリッジが発生してしまっていたものである。
【0016】
そこで本発明者らは、噴流ノズル内に酸化物等が残っていなければ、酸化物等がはんだ付け部へ付着しなくなり、また噴流ノズルを噴流直前に加熱すれば噴流ノズルから噴流する溶融はんだの温度が下がらず、さらにまた溶融はんだのはんだ付け部からの離脱を溶融はんだの引っ張る力で切るようにすればツララやブリッジの発生がなくなること等に着目して本発明を完成した。
【0017】
本発明は、噴流ノズル上で噴流ノズルとプリント基板とを一定の間隙を設けて停止させ、噴流ノズルからの溶融はんだの噴流高さを高くしてはんだ付け部へのはんだの付着を行った後、プリント基板を上昇させて溶融はんだがプリント基板から離れる直前でプリント基板の上昇を停止し、その後、噴流ノズルから噴流している溶融はんだをはんだ付け部にツララやブリッジが発生しない速度で下げてプリント基板のはんだ付け部から離脱させることを特徴とするプリント基板の部分はんだ付け方法である。
【0018】
また本発明は、プリント基板のはんだ付け部が集合して形成された多数のはんだ付け群にフラックスを塗布する行程;はんだ付け群に塗布されたフラックスを乾燥する工程;噴流ノズルから溶融はんだを噴流して噴流ノズル内の清浄を行なうとともに、噴流ノズルを加熱する行程;噴流ノズルとプリント基板のはんだ付け群とを一致させるとともに、噴流ノズルから噴流させた溶融はんだがプリント基板と噴流ノズル間から表面張力で流出しない程度の間隔をあけてプリント基板を噴流ノズルの上方で停止する行程;噴流ノズルから溶融はんだをプリント基板に十分接するまで噴流させてはんだ付け群のはんだ付け部に溶融はんだを付着させる行程;噴流ノズルから溶融はんだを噴流させたままプリント基板を上昇させ、溶融はんだがプリント基板から離れる直前でプリント基板の上昇を停止する行程;噴流ノズルから噴流している溶融はんだを所定の位置まではんだ付け部にツララやブリッジが発生しない速度で下げて、溶融はんだをプリント基板のはんだ付け部から離脱させる行程;噴流ノズル内の溶融はんだをはんだ槽内の溶融はんだの液面まで下げた後、プリント基板を噴流ノズルの位置から移動する行程;からなることを特徴とするプリント基板の部分はんだ付け方法である。
【0019】
本発明の部分はんだ付け方法では、プリント基板を噴流ノズルの上方で停止させたときのプリント基板と噴流ノズル間の間隙を設けると、噴流ノズルから溶融はんだを噴流させてはんだ付け部にはんだを付着させた後、プリント基板を移動させても、プリント基板にはんだがこびり付くことはない。この間隙は噴流ノズルから噴流する溶融はんだがプリント基板に接触後、溶融はんだの表面張力で噴流ノズルの外方に流出しない間隙である。該間隙ははんだの組成によって適宜決定されるものであるが、0.1~1.0mmが適当であり、Sn主成分の鉛フリーはんだでは0.7mmが適している。
【0020】
また本発明で、噴流ノズルから噴流している溶融はんだにプリント基板を接触させているときの噴流高さ、即ちプリント基板を噴流ノズルの上方に置かないで溶融はんだを噴流させた時の高さは、鉛フリーはんだでは4〜7mmくらいが適当である。そしてプリント基板が噴流ノズルの上方に置かれたところで、このような噴流高さとなる状態で溶融はんだを噴流させてプリント基板に溶融はんだを接触させる。その後、プリント基板を上昇させて所定の位置で停止させる。この所定の位置とは、プリント基板のはんだ付け部にはんだが付着した状態でプリント基板を上昇させると、溶融はんだは直ぐには切れずに延びてゆき、ある高さまで上昇すると、そこで溶融はんだは、はんだ付け部から切れて離れる。本発明では、上昇するプリント基板のはんだ付け部から溶融はんだが切れる直前でプリント基板の上昇を止める。この溶融はんだが切れるまでの高さ、即ち噴流ノズルの上端とプリント基板のはんだ付け部間の間隔は4〜7mmが適している。
【0021】
そしてプリント基板の上昇を止めた後、噴流ノズルから噴流している溶融はんだの噴流をゆっくり下げて、プリント基板から溶融はんだを離す。するとプリント基板のはんだ付け群にはブリッジが発生しなくなる。
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の部分はんだ付け方法を説明する。図1〜8は本発明の部分はんだ付け方法の工程を説明するものである。
【0023】
図1:フラックス塗布工程;
プリント基板1を図示しない搬送装置でフラクサーFまで搬送し、フラクサーFの周壁12上に載置する。フラクサーFには多数の周壁12…がプリント基板1のはんだ付け群と一致したところに設置されており、該周壁の中に噴霧ノズル13が取り付けられている。本発明に使用するフラクサーは、周壁12の内側に該周壁よりも高さの低い隔壁14が立設されていて、隔壁14には排気ダクト15が接続されている。
噴霧ノズル13からフラックスを霧状にして噴霧すると、霧状フラックス16は、はんだ付け群だけに付着し、余分の霧状フラックスは排気ダクト15から排出されてプリント基板の不要な箇所には付着しない。
【0024】
図2:フラックス乾燥工程;
はんだ付け群だけにフラックスが塗布されたプリント基板は、図示しない搬送装置で乾燥装置Dに搬送され、乾燥装置の囲い17上に載置される。乾燥装置Dは、多数の囲い17…がプリント基板1のはんだ付け群と一致したところに設置されており、該囲いには熱風ダクト18が接続されている。本発明に使用する乾燥装置は、囲い17の内側に該囲いよりも高さの低い隔壁19が立設されており、囲いの一部には排気口が開口している。熱風ダクト18から送られてきた熱風は、はんだ付け群に当たって、はんだ付け群に塗布されたフラックス中の溶剤を乾燥させる。そして熱風ダクト18から送られ、プリント基板のはんだ付け群に当たった後の熱風は、排気口から排出される。
【0025】
図3:噴流ノズル清浄・加熱工程;
プリント基板のはんだ付けを行なう前に噴流ノズルの清浄と加熱を行う。はんだ槽Sにはプリント基板のはんだ付け群と一致したところにはんだ付け群と同一形状となった多数の噴流ノズル20…が設置されている。本発明に使用して好適な噴流ノズルを図9に示す。噴流ノズル20の一壁面21の下部に溶融はんだの流出部22が形成されている。そして噴流ノズル内には上端が噴流ノズルの上端よりも僅か下方に位置した流動ダクト23が設置されており、流出部が形成された壁面21と流動ダクト23間には間隙24が設けられている。流動ダクト23は、はんだ槽S内の図示しない噴流ポンプ設置部と接続されている。
噴流ノズルの清浄と加熱は、プリント基板がはんだ槽に到達する前、或いはプリント基板がはんだ槽に搬送されて噴流ノズルとプリント基板のはんだ付け群とを一致させた位置でプリント基板を噴流ノズルの上方の高いところで停止した状態で噴流ノズルから溶融はんだを噴流させる。つまりプリント基板に溶融はんだを接触させない状態で噴流ノズル20から溶融はんだ7を噴流させるものである。これは前回のプリント基板のはんだ付け後に溶融はんだをはんだ槽の溶融はんだの液面まで下げたときに、噴流ノズルの内側に酸化物等が付着していて、このまま次のプリント基板のはんだ付けを行なうと、酸化物等が溶融はんだの噴流とともにプリント基板に付着してしまう。そこでプリント基板のはんだ付けを行なう前に噴流ノズルから溶融はんだを噴流させて噴流ノズルの内側に付着していた酸化物等を溶融はんだの噴流で清浄にする。このとき噴流ノズルは噴流する溶融はんだにより加熱されるため、この後に噴流ノズルから噴流する溶融はんだは、温度が下がることはない。
【0026】
図4:プリント基板の位置設定工程;
噴流ノズルの清浄と加熱が終了したならば、溶融はんだの噴流をダクト20より少し高い位置まで下げておく。このようにプリント基板の到来までの間に噴流ノズル内に溶融はんだを上昇させておくと、噴流ノズルの温度が下がらない。その後、プリント基板をはんだ槽の噴流ノズル上の所定の位置に搬送する。ここで言う所定の位置とは、多数の噴流ノズルとプリント基板のはんだ付け群と一致させるとともに、さらに噴流ノズルとプリント基板とを一定の間隙を設けて停止させることである。この一定の間隙とは、噴流ノズルから溶融はんだを噴流させてプリント基板のはんだ付け群に当てたとき、溶融はんだが自己の表面張力で噴流ノズルとプリント基板間から外方に流出しない間隙である。この間隙は、はんだの組成、つまりはんだ固有の表面張力にもよるが0.1~1.0mmが適当である。
噴流ノズルとプリント基板の間隙を大きくしてしまうと、噴流ノズルから溶融はんだを噴流させたときに溶融はんだが噴流ノズルの外部に流出してしまい、はんだ付け群の近傍に実装された表面実装部品やコネクター等の不要な箇所にはんだが付着してしまう。しかるに噴流ノズルとプリント基板間の間隙を設けることなくプリント基板を噴流ノズルに直接載置してしまうと、溶融はんだを噴流させてはんだ付け部にはんだを付着させた後、溶融はんだの噴流を止めてからプリント基板を噴流ノズルから移動させると、プリント基板には噴流ノズルと同一形状のはんだがこびり付いてしまう。この原因は、噴流ノズル内の溶融はんだを下方に下げたときに、噴流ノズルの上端が冷えるため、ここに残ったはんだがプリント基板にこびり付いてしまうからである。
【0027】
図5:はんだ付着工程;
噴流ノズル20からの溶融はんだ7の噴流高さを高くしてはんだ付け部へのはんだの付着を行う。溶融はんだの噴流高さを高くすることにより、溶融はんだはスルーホール内に充分に侵入し、またプリント基板のはんだ付け部とリードとに溶融はんだが完全に濡れるようになって未はんだを発生させなくなる。このときの噴流高さは、プリント基板が噴流ノズル上方に置かなかったときに噴流ノズル上端から略3mmぐらいのところである。
【0028】
図6:プリント基板の上昇工程;
噴流ノズルから溶融はんだを噴流させたまま、プリント基板を所定の高さ、つまりプリント基板に付着した溶融はんだがプリント基板から切れる寸前の高さまで上昇させ(矢印A)、その位置でプリント基板の上昇を停止する。このときのプリント基板を上昇させる所定の高さは、はんだの種類によって異なるが、4〜7mmである。
【0029】
図7:溶融はんだの離脱工程;
プリント基板を所定の位置まで上昇させて停止させたならば、噴流ノズルから噴流している溶融はんだ7をゆっくり下げて(矢印)はんだ付け部から離脱させる。このときの溶融はんだの降下速度ははんだ付け部にツララやブリッジが発生しない程度の速度にする。
【0030】
図8:プリント基板の移動工程;
プリント基板1のはんだ付け部から溶融はんだを離脱させた後、溶融はんだをはんだ槽S内の溶融はんだ液面まで降下させる。そしてはんだ付け部に付着した溶融はんだが完全に固まったならば、プリント基板を図示しない冷却領域に搬送して、ここで完全に冷却を行なう。
【0031】
本発明の部分はんだ付け方法でテレビゲーム用制御盤に使用する多層のプリント基板のはんだ付けを行った。該プリント基板には表面にPGAやデュアルインパッケージ等の電子部品が搭載され、裏面に表面実装部品とコネクターが取り付けられており、また多数のスルーホールが穿設されていた。PGAやデュアルインパッケージのリードはプリント基板の表面から裏面に挿通しており、裏面で多数のはんだ付け部がはんだ付け群となっている。
【0032】
プリント基板を搬送装置で搬送し、フラクサーでフラックス塗布、乾燥装置の熱風でフラックスの溶剤を乾燥させ、この間、はんだ槽では溶融はんだを1秒間噴流させて噴流ノズルの清浄と噴流ノズルの加熱を行なった。その後、噴流ノズルからの噴流を噴流ノズル上端から1.5mm下げて待機状態にしておき、プリント基板をはんだ槽に搬送してから、噴流ノズルとプリント基板の間隙を0.5mmにしてプリント基板を停止させた。
【0033】
次に噴流ノズルから溶融はんだを噴流ノズルの上端から3.0mmの高さまで噴流させる状態にしてプリント基板のはんだ付け群に溶融はんだを2秒間噴流させて、
はんだ付け部にはんだの付着を行った。
【0034】
そしてプリント基板を噴流ノズルの上端から5mmの高さまで上昇させる。このときプリント基板のはんだ付け部に付着している溶融はんだはプリント基板から切れない状態となっている。その後、溶融はんだの噴流をゆっくり下げて、プリント基板のはんだ付け部から溶融はんだを切っていく。そしてプリント基板を冷却装置に搬送し充分に冷却を行なった。
【0035】
上記本発明のはんだ付け方法ではんだ付けを行なったプリント基板を観察したところ、はんだ付け部への酸化物等の付着、はんだ付け部でのツララ、ブリッジ、未はんだの発生は皆無であり、またスルーホール内にははんだが完全に侵入していた。一方、従来のはんだ付け方法で同一のプリント基板のはんだ付けを行なったところ、はんだ付け部に酸化物等が付着しており、またツララ、ブリッジ、未はんだも発生していたばかりでなく、スルーホール内にもはんだが充分に侵入していなかった。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればプリント基板のはんだ付け時に、はんだ付け部に酸化物等が付着しないため、はんだ付け後の外観が優れたものとなり、しかもはんだ付け部でのツララやブリッジの発生、そして未はんだも発生しないばかりでなく、スルーホール内にもはんだが完全に侵入するため信頼性にも優れたはんだ付け部が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部分はんだ付け方法のフラックス塗布工程
【図2】本発明の部分はんだ付け方法のフラックス乾燥工程
【図3】本発明の部分はんだ付け方法の噴流ノズル清浄・加熱工程
【図4】本発明の部分はんだ付け方法のプリント基板位置設定工程
【図5】本発明の部分はんだ付け方法のはんだ付着工程
【図6】本発明の部分はんだ付け方法のプリント基板上昇工程
【図7】本発明の部分はんだ付け方法の溶融はんだの切断工程
【図8】本発明の部分はんだ付け方法のプリント基板の移動工程
【図9】本発明の部分はんだ付け方法に使用する噴流ノズルの斜視図
【図10】プリント基板の裏面
【図11】部分はんだ付け方法に使用するはんだ槽の平面図
【図12】従来の部分はんだ付け方法のフラックス工程
【図13】従来の部分はんだ付け方法の予備加熱工程
【図14】従来の部分はんだ付け方法のプリント基板の位置設定工程
【図15】従来の部分はんだ付け方法のはんだ付着工程
【図16】従来の部分はんだ付け方法のプリント基板の移動工程
【図17】従来の部分はんだ付け方法に使用する噴流ノズルの斜視図
【符号の説明】
1 プリント基板
7 溶融はんだ
20 噴流ノズル

Claims (1)

  1. プリント基板のはんだ付け部が集合して形成された多数のはんだ付け群にフラックスを塗布する工程;はんだ付け群に塗布されたフラックスを乾燥する工程;噴流ノズルから溶融はんだを噴流して噴流ノズル内の清浄を行なうとともに、噴流ノズルを加熱する工程;噴流ノズルとプリント基板のはんだ付け群とを一致させるとともに、噴流ノズルから噴流させた溶融はんだがプリント基板と噴流ノズル間から表面張力で流出しない程度の間隔をあけてプリント基板を噴流ノズルの上方で停止する工程;噴流ノズルから溶融はんだをプリント基板に十分接するまで噴流させてはんだ付け群のはんだ付け部に溶融はんだを付着させる工程;噴流ノズルから溶融はんだを噴流させたままプリント基板を上昇させ、溶融はんだがプリント基板から離れる直前でプリント基板の上昇を停止する工程;噴流ノズルから噴流している溶融はんだを所定の位置まで下げて、溶融はんだをプリント基板のはんだ付け部から離脱させる工程;噴流ノズル内の溶融はんだをはんだ槽内の溶融はんだの液面まで下げた後、プリント基板を噴流ノズルの位置から移動する工程;からなることを特徴とするプリント基板の部分はんだ付け方法。
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