JP4214602B2 - 記録液及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性媒体記録液、特にインクジェット用記録液、もしくは筆記具用記録液に適した記録液と、この記録液を用いたインクジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録用の記録液としては酸性染料や直接染料を水性媒体中に溶解した水性インク、或いは、油溶性染料を有機溶剤中に溶解した溶剤系インクが使用されている。このうち、溶剤系インクは有機溶剤を使用するため、環境安全面で問題があり、オフィスなどでの使用には適さないなど用途が限られている。一方、水性インクは水溶性の色素を使用するため、特に普通紙に記録した場合、記録物の耐水性が劣ることが問題となっている。また、これらの染料を用いたインクの記録物は耐光性の面でも十分とは言えず、改善が望まれている。このようなことはインクジェット用のみならず、筆記具用記録液についても同様に問題となっている。
【0003】
このような問題点を改良するために、色材として耐水性、耐光性に優れた顔料を用い、顔料を水性媒体中に分散した水性分散インクが一部で用いられている。
【0004】
このような水性分散インクにおいて、分散剤としてポリウレタン系分散剤を配合することが知られており、特開平6−200149号公報には、ポリウレタン系分散剤として、得られる樹脂の平均官能基数が2未満になるようにモノアルコール及び/又はモノアミンでNCO基の一部をキャップした、親水基を有するNCO末端ウレタンプレポリマーを、水及び/又はポリアミンで鎖伸長してなる水性ウレタン樹脂を用いることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来用いられているポリウレタン系分散剤はいずれも直鎖構造のものであり、このような直鎖構造のポリウレタン系分散剤を用いた顔料の水性分散インクでは、長期保存安定性、吐出安定性に劣るなどの問題があった。また、特開平6−200149号公報に記載されるNCO末端ウレタンプレポリマーを鎖伸長して得られる水性ウレタン樹脂を用いたものでも、やはり、長期保存安定性、吐出安定性が十分ではなかった。
【0006】
本発明は上記従来のポリウレタン系分散剤を用いた顔料分散型水性インクの問題点を解決し、インクジェット記録用もしくは筆記具用として普通紙に記録した場合にも記録物の印字品位が良く、高濃度の記録が可能で、かつ保存安定性が良好であり、耐光性、耐水性などの記録物の堅牢性な印字物を得ることができる水性分散記録液と、この記録液を用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録液は、水不溶性色材、水性媒体及び水性ポリウレタンを含有する記録液において、該水性ポリウレタンが、1分子中にイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアヌレート化合物(A)の該イソシアネート基の30%以上にウレタン結合を介してアニオン基(B)が導入されたものであることを特徴とする。
【0008】
即ち、本発明者らは、記録液用の水性分散インクの印字濃度の向上、保存安定性の向上等について種々検討した結果、イソシアヌレート環等の1位、3位及び5位に結合手を有する6員環を有する水性ポリウレタンを分散剤として用いた記録液は、保存安定性に優れ、高濃度の記録物が可能であること、特に、イソシアヌレート環を有する水性ポリウレタンは、カーボンブラック表面との親和性が高く、水不溶性色材としてカーボンブラックを用いた記録液の高濃度安定性に有効であることを見出し本発明に至ったものである。
【0009】
本発明のインクジェット記録方法は、記録液の液滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方法において、記録液として、この本発明の記録液を用いることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明で分散剤として用いる水性ポリウレタンについて説明する。
【0012】
本発明に係る水性ポリウレタンは、下記構造式(1)で表されるイソシアヌレート環等の、3本の結合手を有し、該結合手に置換基が導入されたシンメトリカル6員環を有する水性ポリウレタンであるが、このような6員環としては、イソシアヌレート環の他、下記構造式(2)で表されるトリアジン環、下記構造式(3)で表されるトリアミノベンゼン環が挙げられる。
【0013】
【化1】
Figure 0004214602
【0014】
特に、水性ポリウレタンとしてはイソシアヌレート環を有するものが好ましく、このイソシアヌレート環を有する水性ポリウレタンのうちでも、とりわけ、1分子中のイソシアネート基の官能基数が3以上のポリイソシアヌレート化合物(A)を原料とし、そのイソシアネート基にウレタン結合を介してアニオン基(B)が導入されたものが、得られる記録液が保存安定性に優れ、高濃度の記録が可能となることから好ましい。
【0015】
使用されるポリイソシアネート化合物(A)は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いても良いが、1分子中の官能基数は3以上であり、特に、平均官能基数は3〜20、とりわけ3〜10であることが好ましい。この値が3未満であるとアニオン基(B)の導入量が少なくなり、貯蔵安定性が良好な記録液を得ることができない。また、この値が大き過ぎると分岐が多くなり記録液のゲル化を引き起こす可能性がある。
【0016】
本発明において対象となるポリイソシアヌレート化合物(A)は、従来公知の製造方法により製造することが可能であり、通常、有機ジイソシアネートをイソシアヌレート化触媒の存在下で反応させることにより製造される。
【0017】
ここで、有機ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0018】
これら有機ジイソシアネートのうち、水不溶性色材としてカーボンブラックを用いる場合には、カーボンブラックとの親和性が高い芳香族ジイソシアネート類が好適であり、最も好ましいのは2,4及び/又は2,6−トリレンジイソシアネートである。
【0019】
イソシアヌレート化触媒としては従来公知のものが使用可能であり、具体例としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチルフェノール)、トリエチルアミン、N,N′,N″−トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、テトラアルキルアルキレンジアミン、ジアザビシクロオクタン及びその低級アルキル置換体等の3級アミン類、第3級アミン及びエチルアルコール、モノ置換カルバミン酸エステル、アルデヒド、アルキレンオキシド、アルキレンイミン、エチレンカーボネート、2,3−ブタンジオン等の共触媒併用系、第3級アルキルホスフィン類、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の第4級アルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム塩類、フタル酸イミドカリウム等のイミドのアルカリ金属塩類、N、P、As又はSbの第4級オニウムヒドロキシ化合物、S又はSeのオニウムヒドロキシ化合物等のオニウム化合物類、N−メチルエチレンイミン等のアルキル置換エチレンイミン類、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸マグネシウム等のカルボン酸の金属塩類、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、エノール性化合物及びフェノールの金属塩等、エポキシ化合物類、エポキシ化合物と第3級アミン類、芳香族第2級アミンの金属塩例えばジフェニルアミンのナトリウム塩等の共触媒類との併用系、チタンテトラブチレート、トリブチルアンチモン酸化物等の各種有機金属類、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素の等フリーデルクラフツ触媒類、サリチルアルデヒドナトリウム等のアルカリ金属のキレート化合物類、アルミニウムアセチルアセトン、リチウムアセチルアセトン等のβ−ジケトンの金属キレート化合物類等が挙げられる。上記イソシアヌレート化触媒の中でもN,N′,N″−トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン等の第3級アミン、酢酸ナトリウム、酢酸コバルト、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸マグネシウム等のカルボン酸金属塩類が好ましい。
【0020】
イソシアヌレート化触媒の使用濃度は、用いる触媒及び反応温度により異なるが、通常前記有機ジイソシアネートに対して0.001〜10重量%の範囲から選択される。
【0021】
なお、上記触媒の他に助触媒として、メタノール、エタノール、ブタノール等の脂肪族アルコール類、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、フェノール類、第2級アミン類及びイミダゾール類等を併用しても良く、この場合これらの助触媒の使用量は有機ジイソシアネートに対して通常0.05〜10重量%との範囲とするのが好ましい。
【0022】
これらの助触媒を使用する場合、脂肪族アルコール、多価アルコール、フェノール類等のアルコール類はイソシアヌレート化触媒と同時に添加することも可能であるし、予め有機ジイソシアネートと反応させてウレタン結合を形成させた後、イソシアヌレート化触媒の存在下にイソシアヌレート化反応を行うことも可能である。
【0023】
イソシアヌレート化の反応温度は通常0〜200℃、好ましくは0〜100℃の範囲から選ばれる。
【0024】
反応は溶剤を用いて行っても用いないで行っても良い。溶剤を用いる場合、使用される溶剤としてはポリウレタン製造に常用の不活性溶剤、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤が挙げられ、これらを1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。この場合、使用する溶剤の種類、量、有機ジイソシアネート濃度を選択することにより、使用条件に応じた粘度に調整することができる。
【0025】
イソシアヌレート化反応の進行は、反応液のNCO含有量の測定、赤外分光測定、屈折率測定等で追跡することが可能であり、所定のNCO含有量或いはイソシアヌレート化率に達した時点で、各触媒に適した重合停止剤で反応を停止する。
【0026】
ここで、重合停止剤としては塩酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸、リン酸モノメチル、リン酸モノエチル、リン酸モノブチル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル等のリン酸エステル類、亜リン酸モノメチル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル等の亜リン酸エステル類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル等のスルホン酸又は、そのアルキルエステル類、ノナフルオロブタンスルホン酸等の過フッ素化スルホン酸類等が挙げられる。重合停止剤の添加量は添加触媒量に対して当量〜2倍量の範囲が好ましい。
【0027】
イソシアヌレート化反応後は、通常は未反応モノマーを除去せずに使用可能であるが、イソシアヌレート化率によっては未反応モノマーを多量に含有する可能性があることから、未反応モノマーが悪影響を及ぼす場合には薄膜蒸留等を用いて未反応モノマーを除去することも可能である。
【0028】
このポリイソシアヌレート化合物の製造に当っては、色材分散性や水溶性を損なわない程度に多官能ヒドロキシ化合物を用いても良い。この場合、多官能ヒドロキシ化合物はイソシアヌレート化反応前に予め有機ジイソシアネートと反応させても、イソシアヌレート化反応終了後に反応させても構わない。多官能ヒドロキシ化合物としては例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール類、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族グリコール類、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール類等の単量体グリコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール等の高分子量ポリオール類等が挙げられる。
【0029】
上記ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の官能基数3以上のポリオール、エチレンジアミン、トルエンジアミン類のポリアミン類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させた水酸基含有ポリエーテルポリオール等及びテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0030】
上記ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸等と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等のジオール、又はトリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール、又はビスフエノールA、ビスフエノールF等との重縮合反応によって得られるもの等が挙げられる。
【0031】
上記ポリエーテルエステルポリオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物を前記ジカルボン酸又はそれらの無水物とを反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートが挙げられる。
【0032】
上記ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートの脱アルコール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られるものが挙げられる。この多価アルコールとしては例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、或いは、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等が挙げられる。
【0033】
また、ポリイソシアヌレート化合物を製造する際、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン等のジアミン類やモノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコール類等を併用することも可能である。
【0034】
本発明において、イソシアヌレート化合物(A)に導入するアニオン基(B)としては、アニオン基又は塩基と反応してアニオン基を形成するもの、即ち反応前、途中又は後に塩基で中和することによってアニオン基に変わるアニオン形成性基であれば特に制限はなく、従来公知のスルホン酸、カルボン酸、リン酸、或いはそれらの塩基等が挙げられる。これらの中で色材としてカーボンブラックを用いる場合には、分散性が良好なスルホン酸金属塩基或いは、スルホン酸金属塩形成性基が最も好ましい。
【0035】
アニオン基(B)の導入方法としては、1分子中に、イソシアネート基と反応してウレタン結合を生成する活性水素基を1つ又は2つ以上有し、かつ、上記アニオン基(B)を1つ以上有する化合物を、ポリイソシアヌレート化合物(A)と反応させることにより導入する方法が一般的であるが、このような化合物を予め前記有機ジイソシアネートと反応させた後、イソシアヌレート化反応を行って、本発明に係る水性ポリウレタンとすることもできる。
【0036】
本発明のポリイソシアヌレート化合物(A)へのアニオン基(B)の導入方法としては、従来公知の方法により行われる。例えば、アニオン基(B)としてスルホン酸塩基を導入する場合、具体的には以下の(1)〜(3)のような方法を採用することができる。
【0037】
(1) 1分子中に活性水素基とスルホン酸又はその金属塩基を含有する化合物を用いる方法。この場合、用いる化合物としてはイセチオン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、p−(2−ヒドロキシエトキシベンゼン)スルホン酸、スルファニル酸、2−アミノナフタレン−6,7−ジスルホン酸、1−アミノナフタレン−3,6−ジスルホン酸、或いはそれらのアルカリ金属塩等の、1分子中に1つの活性水素基とスルホン酸(塩)基を含有する化合物類、N,N−ジヒドロキシエチル−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ジヒドロキシプロピル−2−アミノエタンスルホン酸、3−ジヒドロキシエチル−2−アミノプロパンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸、1,7−ジヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸、或いはそのアルカリ金属塩等の1分子中に2つの活性水素基とスルホン酸(塩)基を含有する化合物等が挙げられる。
【0038】
(2) 1分子中に活性水素基とハロゲン元素を含有する化合物を用い、この化合物をポリイソシアヌレート化合物(A)のイソシアネート基と反応させた後、ハロゲンを亜硫酸アルカリ金属塩と反応させてスルホン酸アルカリ金属塩を導入する方法。
【0039】
(3) 1分子中に活性水素基と不飽和結合を含有する化合物を用い、この化合物をポリイソシアヌレート化合物(A)のイソシアネート基と反応させた後、亜硫酸水素アルカリ金属塩と反応させることによりスルホン酸アルカリ金属塩を導入する方法。
【0040】
また、芳香環(有機ジイソシアネートも含む)に濃硫酸を反応させてスルホン化し、その後塩基で中和する方法を採用することも可能である。
【0041】
アニオン基(B)の導入に当り、活性水素基とイソシアネート基との反応には、有機溶剤を用いても用いなくても良い。溶剤を用いる場合、溶剤としては前述したポリウレタン製造に常用の不活性溶剤の1種又は2種以上を使用することができる。
【0042】
この活性水素基とイソシアネート基との反応に当り、特にそのための触媒は不要であるが、場合によってはジブチルチンジラウレートやジブチルチンジオクトエート等の有機錫系触媒、オクタン酸鉛等の有機鉛系触媒、或いはトリエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の3級アミン系化合物等の触媒を使用することも効果的である。
【0043】
この反応温度は通常0〜200℃、好ましくは5〜100℃の範囲から選ばれる。
【0044】
上記(2),(3)の方法で、ポリイソシアヌレート化合物(A)に活性水素基とハロゲン元素又は不飽和結合とを含有する化合物を反応後、亜硫酸アルカリ金属塩或いは亜硫酸水素アルカリ金属塩と反応を行う場合は、通常、亜硫酸アルカリ金属塩、亜硫酸水素アルカリ金属塩を水に溶解して行う。ポリイソシアヌレート化合物(A)と、活性水素基とハロゲン元素又は不飽和結合とを含有する化合物との反応生成物が水で析出してしまう場合には、一般的な有機溶剤を用いることも可能である。この場合の反応温度は通常0〜150℃、好ましくは0〜110℃の範囲から選ばれる。
【0045】
上記アニオン基(B)の導入のための反応においては、ポリイソシアヌレート化合物(A)のイソシアネート基の30%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上、イソシアネート基にアニオン基(B)を導入し、アニオン基の導入量が0.5meq/g(樹脂固形分換算)以上、より好ましくは1meq/g以上、特に1〜4meq/gの水性ポリウレタンとするのが好ましい。
【0046】
なお、上記アニオン基(B)の塩形態としては、Li、Na、Kなどのアルカリ金属塩の他、アンモニア、ジメチルアミン、モノ,ジ,トリエタノールアミンなどの有機アミン塩などであっても良い。
【0047】
また、このようにして製造される本発明に係る水性ポリウレタンは、重量平均分子量が5万以下であることが吐出安定性上好ましいが、1万5千以下であることが更に好ましい。
【0048】
上述した反応に有機溶剤を用いた場合、得られる記録液の性能を損なうことがなければ、用いた有機溶剤を特に除去する必要性はないが、非水溶性有機溶剤を用いた場合には減圧留去等により除去することが好ましい。
【0049】
本発明で使用される水不溶性色材としては有機顔料、無機顔料、分散染料、油溶性染料等の非水溶性色素が挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
【0050】
イエローインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、114、128、129、151、154等が挙げられる。また、マゼンタインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、C.I.48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、123、168、184、202等が挙げられる。シアンインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:34、16、22、60、4、60等が挙げられる。以上の他に、C.I.ピグメントレツド209、122、224、177、194、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.バットバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、23、37、C.I.ピグメントグリーン36、7、C.I.ピグメントブルー15:6、209等も使用できる。
【0051】
油溶性色素としてはC.I.ソルベントイエロー16、21、25、29、33、56、82、88、89、150、151、163、C.I.ソルベントレッド24、27、C.I.ソルベントブルー14、25、38、48、67、68、70、132、C.I.ソルベントブラック3、5、7、27、28、29、34等が使用でき、それ以外にオイルイエロー105、107、バリファストイエロー1101、1105、バリファストレッド1306、バリファストブルー1603、1607、2610、バリファストブラック1802、1807、3830(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンイエローGRLH、3RH、アイゼンスピロンブルーGNH、2BNH、BPNH、アイゼンスピロンブラックMH、GMH(以上、保土谷化学工業(株)製)、オレオゾルブルーG、オレオゾルブラックAR(以上、田岡化学工業(株)製)、オラソールブラックRL1(チバガイギー社製)などが挙げられる。
【0052】
分散染料としてはC.I.ディスパースイエロー3、82、54、C.I.ディスパースレッド60、191、ディスパースバイレット57などが挙げられる。
【0053】
また、本発明では、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラックも水不溶性色材として使用できる。カーボンブラックとしてはそのDBP吸油量が通常60〜200ml/100g以上の範囲のものが用いられるが、DBP給油量は90ml/100g以上が好ましく、140ml/100g以上が特に好ましい。また、その揮発分は通常8重量%以下であることが好ましく、特に4重量%以下であることが好ましい。また、カーボンブラックのBET比表面積は150m2/g以上、特に200〜1000m2/gであることが好ましく、1次粒子径は40nm以下、特に20nm以下であることが好ましい。なお、ここでいうカーボンブラックのDBP吸油量はJIS K6221 A法で測定した値、揮発分はJIS K6221の方法で測定した値、1次粒子径は電子顕微鏡による算術平均径のことである。
【0054】
このようなカーボンブラックとしては、#2600、#2300、#990、#980、#960、#950、#900、#850、#750、#650、MCF-88、MA-600、#95、#55、#52、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#32 、#30、#25、#20、#10、#5(以上、三菱化学(株)製)、Color Black FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、Special Blaek4、4A、5、6、100、250、350、550、S160、S170、Printex U、V、140U、140V、95、90、85、80、75、45、40、P、60、300、30、35、25、200、A、G、L6、L(以上、デグッサ社製)、Regal415R、330R、250R、995R、Monarch800、880、900、460、280、120(以上、キャボット社製)、Raven 850、780ULTRA、760ULTRA、790ULTRA、520、500、410、420、430、450、460、890、1020(以上、コロンビア社製)等が具体例として挙げられる。
【0055】
本発明において、水不溶性色材としては上述した非水溶性色素の中でも、特にカーボンブラックを用いるのが好ましい。
【0056】
また、水不溶性色材としては、上記の非水溶性色素を化学的に処理(例えば、酸化処理、フッ素化処理等)したものや、分散剤、界面活性剤などを物理的又は化学的に結合させたもの(例えば、グラフト化処理、分散剤を分散前に予め吸着させたもの等)等を使用しても良い。
【0057】
また、本発明の記録液には、更にノニオン性添加剤を添加しても良い。ノニオン性添加剤としては中でもアルキレンオキサイド構造を有するノニオン性添加剤が好ましいが、特にエチレンオキサイド構造又はプロピレンオキサイド構造を有するノニオン性添加剤が、得られる記録液の保存安定性、印字濃度の点で好ましく、とりわけHLBが9〜17、特に10〜16であるものが好ましい。このようなノニオン性添加剤としては、具体的にはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アミノポリオキシエチレン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ナフトールエチレンオキシド付加物、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。
【0058】
本発明の記録液には、更に、表面張力調整剤や防腐剤等の他の添加剤を用いても良い。使用できる添加剤としては、各種の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子系分散剤等が挙げられる。
【0059】
陰イオン性界面活性剤としては脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類、アルカンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類、N−メチル−N−オレオイルタウリン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0060】
非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン誘導体類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類等が挙げられる。
【0061】
陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤としてはアルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、アルキルベタイン類、アミノオキサイド類が挙げられる。
【0062】
本発明の記録液には更に前記水性ポリウレタン以外の水溶性高分子系分散剤を添加しても良い。該水溶性高分子の具体例としては、(α−メチル)スチレン/アクリル酸共重合体、(α−メチル)スチレン/アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、(α−メチル)スチレン/マレイン酸共重合体、(α−メチル)スチレン/マレイン酸/アクリル酸エステル共重合体、(α−メチル)スチレン/メタクリル酸共重合体、(α−メチル)スチレン/メタクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、(α−メチル)スチレン/マレイン酸ハーフエステル共重合体、(α−メチル)スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、ビニルナフタレン/マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン/アクリル酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸、或いはこれらの塩等が挙げられる。
【0063】
これらの水溶性高分子の重量平均分子量は5万以下であることが吐出安定性上好ましいが、1万5千以下であることがさらに好ましい。またこれらの高分子系分散剤はLi、Na、Kなどのアルカリ金属塩、アンモニア、ジメチルアミン、モノ,ジ,トリエタノールアミンなどの有機アミン塩などの形で使用することもできる。
【0064】
本発明の記録液には上記の成分の他に、更に水溶性樹脂、防黴剤、殺菌剤、pH調整剤、尿素等を必要に応じて添加しても良い。
【0065】
本発明の記録液に用いられる水性媒体は水を主体とするが、水に水溶性有機溶剤を添加して用いるのが好ましい。水溶性有機溶剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200,#400)、グリセリン、上記グリコール類のアルキルエーテル類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、チオジグリコール、2−ピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0066】
上述の非水溶性色材、水性ポリウレタン、各種添加剤及び有機溶剤は各々1種類のものを単独で用いても良いが、場合により2種以上のものを併用することにより、より一層の添加効果を得ることができる。
【0067】
本発明において、非水溶性色材の使用量は記録液全重量に対し1〜10重量%の範囲とするのが良いが、3〜8重量%が好ましい。
【0068】
水性ポリウレタンの使用量は非水溶性色材の重量に対して3〜100重量%の範囲で用いられるが、3〜50重量%が好ましい。
【0069】
記録液中の水溶性有機溶剤の使用量は5〜30重量%の範囲であるが、10〜20重量%とするのが保存安定性上より好ましい。
【0070】
本発明の記録液は、水性媒体に水不溶性色材、水性ポリウレタン及び必要に応じてその他の添加剤を添加して摩砕、分散処理することにより調製されるが、この記録液の調製に当り、この摩砕、分散処理のために用いる分散機としては、ボールミル、ロールミル、サンドグラインドミル、その他、メディアを用いずに粉砕処理できるナノマイザー、アルティマイザー等のジェットミルが用いられるが、特にサンドグラインドミル、もしくはメディアに由来する汚染の少ないジェットミルが好ましい。この摩砕、分散処理の後、濾過機或いは遠心分離機を用いて粗大粒子を除去する。
【0071】
なお、摩砕、分散処理は高濃度で行うことが処理効率の面で好ましいため、高濃度で摩砕、分散処理して調製した処理液を、水性媒体で希釈して目的とする記録液の濃度に調整することが好ましい。
【0072】
また、記録液中の水不溶性色材の平均粒径は0.01〜0.4μmの範囲に調製することが分散安定性並びに吐出安定性上好ましいが0.01〜0.3μmが更に好ましく、0.1〜0.3μmが特に好ましい。更に、水不溶性色材の最大粒径は5μm以下であることが分散安定性並びに吐出安定性上好ましい。
【0073】
本発明のインクジェット記録方法は、このようにして調製された記録液を用いて、常法に従って、記録液の液滴を吐出させて印刷を行うものであり、良好な吐出安定性のもとに、高品位の印字を得ることができる。
【0074】
【実施例】
以下に製造例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、何ら以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は重量基準である。
【0075】
製造例1
温度計、冷却器、攪拌機、滴下漏斗付の四つ口フラスコに80トリレンジイソシアネート(2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート=80/20重量比)90.97部、酢酸ブチル90.97部を添加し、内温を25℃にし、攪拌下、酢酸ナトリウムの5%メタノール溶液を0.36部を添加し、2時間攪拌後、内温を5℃に冷却した。
【0076】
次いで、N,N′,N″−トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジンの5%酢酸ブチル溶液0.11部を添加し、2時間反応させた。その後、酢酸カリウムの5%メタノール溶液0.37部を徐々に滴下してイソシアネート含有量が8.2%に到達した時点で、重合停止剤としてリン酸を0.07部添加し、イソシアヌレート化反応を停止させ、ポリイソシアヌレート樹脂溶液▲1▼を得た。
【0077】
得られたポリイソシアヌレート樹脂溶液▲1▼182.85部を内温を25℃まで昇温後、2−ヒドロキシエトキシベンゼン−4−スルホン酸ナトリウムの8%N−メチルピロリドン溶液817.15部を徐々に滴下し、室温で4時間反応させた後、100℃の減圧下で溶媒を除去後、SO3Na含有量1.74meq/g(樹脂固形分換算)の水性ポリウレタンの黄色固体を得た。
【0078】
この固体に樹脂固形分50%になるように水を添加し、淡黄色透明液体の水性ポリウレタン系分散剤▲1▼を得た。
【0079】
なお、この水性ポリウレタンの代表的な構造式は下記の通りである。
【0080】
【化2】
Figure 0004214602
【0081】
製造例2
製造例1と同様な方法で得られたポリイソシアヌレート樹脂溶液▲1▼243.96部を、内温25℃に調節後、2−ヒドロキシエトキシベンゼン−4−スルホン酸ナトリウムの8%N−メチルピロリドン溶液756.04部を徐々に滴下し、以下製造例1と同様な方法で、SO3Na含有量1.38meq/g(樹脂固形分換算)の水性ポリウレタンの淡黄色透明液体を含む水性ポリウレタン系分散剤▲2▼を得た。
【0082】
実施例1
下記配合の記録液を調製した。
【0083】
【表1】
Figure 0004214602
【0084】
なお、用いたカーボンブラックの物性は下記の通りである。
【0085】
Figure 0004214602
上記の各成分を円筒形のステンレス容器に採り、平均0.5mm径のガラスビーズ67部と共にサンドグラインダーを用いて40時間分散処理を行った。グリセリン4部及びイオン交換水52部を加え良く撹拌した後、この液をNo.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とし、次のような試験を行って性能を評価した。
【0086】
[印字試験]
得られた記録液を用いて、下記条件にてインクジェット記録を行った。
即ち、記録液を、洗浄したヒューレット・パッカード製DeskWriter660C用ブラックカートリッジ(HP51629A)に充填し、プリンターにセットし、黒のベタを電子写真用紙(Xerox 4024紙、Xerox製品)にプリントした。
その結果、目詰まりなど無く安定でかつ良好な吐出性を示し、印字品位の良好な印字物が得られた。
【0087】
[印字濃度評価]
上記の印字試験で得た印字物の濃度をマクベス反射濃度計(RD914)を用いて測定し、結果を以下のように分類したところ、OD1.3以上で「○」であった。
【0088】
○・・・・OD1.3以上
△・・・・OD1.2以上1.3未満
×・・・・OD1.2未満
[保存安定性試験]
得られた記録液を70℃で1週間保存した後室温に戻した。その結果、記録液には凝集物は見られず、安定な分散性を示した。
【0089】
実施例2
実施例1において水性ポリウレタン分散剤▲1▼を用いる代わりに水性ポリウレタン分散剤▲2▼を用いた以外は実施例1と同様の方法で記録液を調製し、同様に評価を行って、結果を実施例1の結果と共に表2に示した。
【0090】
【表2】
Figure 0004214602
【0091】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、普通紙に記録した場合にも記録物の印字品位が良く高濃度の記録が可能で、かつ保存安定性が良好であり、耐光性、耐水性など記録物の堅牢性も良好な記録物が得られると共に、吐出耐久性に優れた記録液が提供される。本発明の記録液はインクジェット用及び筆記具用に限らず、他の用途の記録液としても有効に使用することもできる。
【0092】
このような本発明の記録液を用いる本発明のインクジェット記録法によれば、良好な吐出安定性のもとに高品質の印字物を得ることができる。

Claims (8)

  1. 水不溶性色材、水性媒体及び水性ポリウレタンを含有する記録液において、
    該水性ポリウレタンが、1分子中にイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアヌレート化合物(A)の該イソシアネート基の30%以上にウレタン結合を介してアニオン基(B)が導入されたものであることを特徴とする記録液。
  2. 請求項において、該ポリイソシアヌレート化合物(A)が、芳香環を有するものであることを特徴とする記録液。
  3. 請求項において、該ポリイソシアヌレート化合物(A)が、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート化により得られたものであることを特徴とする記録液。
  4. 請求項1ないしのいすれか1項において、該アニオン基がスルホン酸塩基であることを特徴とする記録液。
  5. 請求項1ないしのいすれか1項において、該アニオン基が1分子中に2つ以上の活性水素基とアニオン基又はアニオン形成性基とを含有する化合物を用いて導入されたものであることを特徴とする記録液。
  6. 請求項1ないしのいすれか1項において、該アニオン基が1分子中に1つの活性水素基とアニオン基又はアニオン形成性基とを含有する化合物を用いて導入されたものであることを特徴とする記録液。
  7. 請求項1ないしのいすれか1項において、該水不溶性色材がカーボンブラックであることを特徴とする記録液。
  8. 記録液の液滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方法において、記録液として請求項1ないしのいすれか1項に記載の記録液を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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