JP4214493B2 - 高彩度c.i.ピグメントレッド254及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、被着色物を従来よりも高彩度に着色することが出来るC.I.ピグメント レッド 254及びその製造方法に関する。
典型的なジケトピロロピロール系顔料は、下記式で表されるC.I.ピグメント レッド 254である。
Figure 0004214493
C.I.ピグメント レッド 254で得られる赤色の中で、黄味と青味で表わす色相角を指標として様々な色相の顔料が知られている。近年、例えば塗料、プラスチック等の着色分野では、青味がより強く、かつ彩度がより高いC.I.ピグメント レッド 254が求められるようになっているが、従来のC.I.ピグメント レッド 254では不十分であった。
また、C.I.ピグメント レッド 254以外の有機顔料同士を従来の技術に従って調色することにより、C.I.ピグメント レッド 254と同様の色相を得ることは可能であるが、調色によって得られる被着色物の彩度は低くなり、意図した色相における優れた彩度を兼備するC.I.ピグメント レッド 254は得られていなかった。
従来から、この様なC.I.ピグメント レッド 254は、1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロールを有機溶媒中で加熱することで製造していた、この1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロールは合成により得られた粗顔料である。この際の有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性有機溶媒が知られている(特許文献1)。
また、粗顔料をメタノールと硫酸の混合物に加えて加熱した後、更にジメチルアセトアミド中で加熱することでC.I.ピグメント レッド 254とする方法も知られている(特許文献2)。
さらに、粗顔料をアルコール中塩基の存在下50℃以下の温度にて、粉砕媒体(メディア)を用いて湿式粉砕することにより、不透明なC.I.ピグメント レッド 254とする製造方法も知られている(特許文献3)。
これらの方法は、極めて大きな粒子径の粗顔料を粉砕して着色剤として有効な粒子径となる様に微細化するか、逆に、小さな粒子径の粗顔料を結晶成長させて着色剤として有効な粒子径となる様に制御するかのいずれかを示している。
しかしながらこれらの製造方法は、いずれも本来持つ顔料性能の発現に至っておらず、優れた品質を兼備したC.I.ピグメント レッド 254の製造方法とは言い難い。
C.I.ピグメント レッド 254の彩度はこれらの製造方法で得られた場合、依然として不充分であった。
特開平4−372632号公報(第2頁特許請求の範囲及び段落番号0010) WO 03/022847A2(第27頁クレーム、第13頁第15〜25行) 特開平1−306474号公報(第1頁特許請求の範囲及び第2頁右下欄最下行〜第3頁左上欄第12行)
本発明は、被着色物を着色するC.I.ピグメント レッド 254に関し、所定の色相範囲にしても、従来の製造方法で得られるC.I.ピグメント レッド 254よりも高彩度に着色することができるC.I.ピグメント レッド 254を提供する。
さらに本発明は、粉砕媒体を必要とせず、しかも粉砕の様な手間はかからないので生産性に優れる、被着色物を高彩度に着色することが出来るC.I.ピグメント レッド 254の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、粗顔料を非プロトン性極性有機溶媒中で加熱して、着色剤としての適性を有する様にするためのコンディショニング方法について鋭意検討したところ、アルカリの仕込方法を工夫することで、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、後記するアクリルメラミン塗料試験における着色塗膜の原色ΔHとΔCの交点が、前記ΔHをX軸としΔCをY軸として規定されるXY座標平面上において、下記3つの式で包囲される領域にあることを特徴とするC.I.ピグメント レッド 254を提供する。
Figure 0004214493
Figure 0004214493
Figure 0004214493
ここで、HとCは、色相角Hと、彩度Cを表わす。ΔHとΔCは、アクリルメラミン塗料試験において標準原色の着色塗膜の測定値である色相角H 28.9と、彩度C 59.8のそれぞれを基準にし、本発明のC.I.ピグメント レッド254の着色塗膜のHとCとのズレを表す。前記各数式は、それぞれΔHをX軸、ΔCをY軸とするXY座標平面で規定した際、ΔHを−0.2〜0.8の範囲にした際の、ΔHとΔCの取り得た特定の包囲領域を規定したものである。
また本発明は、平均粒径0.10以上0.20μm未満の1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール粗顔料を、強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において、100〜130℃で2〜10時間に亘り加熱する工程を含ませるC.I.ピグメント レッド 254の製造方法において、前記の加熱工程に先駆けて、事前に、中性又はより弱いアルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において、100〜130℃で加熱する工程を設けて、最終的に平均粒径0.30〜0.80μmとすることを特徴とするC.I.ピグメント レッド 254の製造方法を提供する。

本発明のC.I.ピグメント レッド 254は、標準原色の色相角H 28.9かつ彩度C 59.8に対するHとCとのズレを表すΔHとΔCの各値を、それぞれΔHをX軸、ΔCをY軸とするXY座標平面で規定した際、ΔHが−0.2〜0.8の範囲において、ΔHとΔCを特定の包囲領域にするC.I.ピグメント レッド 254を得ることができ、それによって被着色物を従来よりも高彩度に着色出来るという格別顕著な効果を奏する。
また本発明のC.I.ピグメント レッド 254の製造方法は、中性又はより弱いアルカリ性の下で加熱してコンディショニングを開始し、引き続いてより強いアルカリ性の下でコンディショニングを行うことで、より彩度が高い顔料とすることが出来、品質にも優れた顔料を製造することが出来る、という格別顕著な効果を奏する。
図1は、本発明において式(1)〜(3)で規定された好適な包囲領域(実線)、及び(4)〜(6)で規定された好適な包囲領域(破線)、ならびに実施例1〜5の色相角ΔHおよび彩度ΔCの位置づけを示す図である。
本発明のC.I.ピグメント レッド 254は、着色塗膜の原色ΔHとΔCの交点が、前記ΔHをX軸としΔCをY軸として規定されるXY座標平面上において、次の式(1)〜(3)で規定される包囲領域(以下、特定包囲領域という。)にあるC.I.ピグメント レッド 254である。当業界では、色相角がH、彩度がCで表される。
Figure 0004214493
Figure 0004214493
Figure 0004214493
C.I.ピグメント レッド 254以外の有機顔料同士を従来の技術に従って調色することにより、C.I.ピグメント レッド 254と同様の色相を得ることは可能であるが、彩度は低くなる。本発明は、調色をすることなく、これら意図した色相と優れた彩度を兼備するC.I.ピグメント レッド 254を初めて提供する。
この特定包囲領域は、従来のC.I.ピグメント レッド 254にない高彩度領域に当たる。ΔCはΔHを小さくすると同様に小さくなるため、従来、この特定包囲領域の色域を得ることが難しかったが、後記する本発明の製造方法によれば、この特定包囲領域にあるC.I.ピグメント レッド 254が容易に得られるようになった。
しかしながら、本発明のC.I.ピグメント レッド 254としては、上記した特定包囲領域内にあって、かつ、次の包囲領域内にあるものが、より好ましい。
Figure 0004214493
Figure 0004214493
Figure 0004214493
本発明において各包囲領域は、顔料のアクリルメラミン塗料試験における着色塗膜の色相角と彩度とにより定義される。この顔料のアクリルメラミン塗料は、顔料、アクリル樹脂、メラミン樹脂、及び溶剤を混合し、均一となるまで混合分散を行うことで調製することが出来る。顔料分散の終点は、事前に、一定条件のもとで分散しながら、経時サンプリングを行い、アクリルメラミン塗料の色相角や彩度が飽和し(一定となり)、その値が変化しなくなった点である。ΔHとΔCは、例えば、紙やフィルム等の被着色物に所定乾燥膜厚となる様に展色し乾燥焼付させた着色塗膜を、市販の分光光度計にて測色し、標準と対にしてそれらを対比することで、容易に求めることが出来る。
尚、原色HとCは着色塗膜からそのまま求めることが出来るが、本発明では、当業者にとって、より取扱いやすく、より測定誤差の影響を受け難いデータセットであるΔHとΔCを採用することとした。ΔHとΔCの各値は、いずれも標準からのズレを表す。本発明においては、測定対象の顔料におけるΔHとΔCの各値を求めるため、色相角H 28.9かつ彩度C 59.8を標準とした。
図1に本発明の実施例1〜5のΔHおよびΔCの位置づけを示した。図1に示したのは、本発明における好適な顔料を規定する式(1)〜(3)で規定される包囲領域であり、この包囲領域の内側に式(4)〜(6)で規定される特定包囲領域が存在する。この座標平面において、原点を中心として、ΔHに係るX軸のマイナス方向が、赤色の中でも青味がより強くなる方向であり、一方、ΔCに係るY軸のプラス方向が、彩度がより高くなる方向である。
特定包囲領域を規定するための座標は、縦軸と横軸とが等間隔目盛であっても良いが、特定包囲領域をより明確に認識するために、横軸の目盛は縦軸のそれより細かくしてもよい。一種の顔料を対象とする場合、色相角に関するΔHは、彩度に関するΔCよりも取りうる値の幅が小さいため、ΔHにおける0.1の差と、彩度に関するΔCにおける0.1の差は、技術的意義が全く異なる。
ΔHとΔCが特定包囲領域にある本発明のC.I.ピグメント レッド 254は、着色剤として機能する粒径であればその粒径に制限はないが、平均粒径0.30〜0.80μm、好ましくは0.40〜0.70μmである。
この平均粒径とは、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子(株)製)で視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の凝集体を構成する顔料一次粒子の50個につき、その長い方の径(長径)を各々求め、それを平均した値である。この際、試料である本発明の顔料は、これを溶媒に超音波分散させてから前記顕微鏡で粒子を撮影する。また、透過型電子顕微鏡の代わりに走査型電子顕微鏡を使用してもよい。
この様なΔHとΔCが特定包囲領域にある、本発明のC.I.ピグメント レッド 254は、例えば、平均粒径0.10以上0.20μm未満の1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール(いわゆる粗顔料)を、所定条件の下でコンディショニングすることにより得ることが出来る。
従来から前記した粗顔料を強アルカリ性となした非プロトン性極性有機溶媒中において所定温度かつ所定時間加熱することにより、前記した様な着色剤として機能する粒径とすることは既に良く知られている。しかし、粗顔料をいきなり強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において加熱するだけでは、所定の色相角Hの範囲における彩度Cは本発明の効果を達成できるものではなかった。そしてこのような着色剤用の粗顔料の粒径、粒子形状、粒度分布のばらつきが大きいことがあった。そこで本発明者等は、結晶成長を充分に制御し、得られるC.I.ピグメント レッド 254が高彩度となる様に、粗顔料をいきなり強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において加熱するのではなく、予め粗顔料を中性又は弱いアルカリ性において加熱して、粗顔料自体の粒径、粒子形状、粒度分布等を出来るだけ揃えてから、強アルカリ性として加熱するコンディショニング方法を知見するに至った。こうすることで、粗顔料をいきなり強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において加熱することによりもたらされる、彩度に代表される生成顔料の不具合の解消を目論んだわけである。
本発明のC.I.ピグメント レッド 254の製造方法は、1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロールを、強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において、100〜130℃で2〜10時間に亘り加熱する工程を含ませるC.I.ピグメント レッド 254の製造方法において、前記の加熱工程に先駆けて、事前に、中性又はより弱いアルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において、100〜130℃で加熱する工程を設けて、最終的に加熱する前よりも大きな平均粒径とすることを特徴とするC.I.ピグメント レッド 254の製造方法である。
本発明において、1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロールは、公知慣用のものがいずれも使用出来るが、前記する顔料に比べて小さな平均粒径の粒子であり、例えば、平均粒径0.10以上0.20μm未満の1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール(粗顔料という。)である。この様な粗顔料は、例えば、1モルのコハク酸ジエステルと2モルのベンゾニトリル類とを金属アルコラートの様な強塩基の存在下有機溶媒中で反応させて、この反応生成物を水もしくは酸により加水分解することで製造することが出来る。粗顔料も顔料も、化学構造上に相違はなく、いずれも上記化学式1で表される。
この粗顔料は、その状態に制限はなく、例えば、乾燥パウダー、乾燥グラニュール等の乾燥形態、ウェットケーキ、水性スラリー等の湿潤形態の各種形態で用いることが出来る。乾燥形態の粗顔料にあってはそれを浸漬した水のpHが、湿潤形態の粗顔料にあってはそれを含む液媒体が中性〜弱アルカリ性であることが、加熱に要する非プロトン性極性有機溶媒を目標とする同一の塩基性度とするのに、後記するアルカリ金属水酸化物の使用量をより低減することが出来るので好ましい。
粗顔料は、乾燥履歴のない、ウェットケーキや水性スラリーの様な湿潤形態であることが好ましい。粗顔料を湿潤する液媒体を水とすればpHを求めることが出来、下記するコンディショング開始時の系の塩基性度を把握することが出来る。粗顔料は、湿潤状態を経て乾燥状態となされる。一端、乾燥を経ると粗顔料は強い凝集を引き起こしやすく、コンディショニングを行っても、顔料粒子がほぐれ難くなりやすいし、ほぐすにもより多くのエネルギーが必要となり、彩度の点のみならず、生産性の点でも好ましくない。
本発明では、粗顔料を非プロトン性極性有機溶媒中で加熱する。この非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルホルムアミド、N,N’−ジメチル−1,3−イミダゾリジン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等が挙げられる。非プロトン性極性有機溶媒は単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。安全性がより高く、水と適当な親和性があることから、好適な溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンの様な親水性の含窒素有機溶媒であり、所望の大きさに結晶をより容易に成長させることが出来る点で、N−メチルピロリドンの様な親水性の含窒素複素環を有する有機溶媒が最も好ましい。
本発明において非プロトン性極性有機溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、例えば、質量換算で粗顔料100部に対して100〜5,000部、中でも、粗顔料と非プロトン性極性有機溶媒と下記アルカリの混合物が比較的低粘度となり、弱いせん断力で攪拌が可能であり、粗顔料が粉砕されることなく、容易に均一加熱出来ることから、500〜2,000部であることが好ましい。
尚、アルカリ金属水酸化物を含有する非プロトン性極性有機溶媒は、無水状態であることが好ましいが、やむを得ず、水を少量含有していても良い。水の含有量は、質量換算で非プロトン性極性有機溶媒100部に対して、0を越えて50部の範囲で出来るだけ少ない方が好ましい。
本発明では、非プロトン性極性有機溶媒の液性を、中性〜強アルカリ性へ塩基性度を変化させつつ加熱することで、コンディショニングを行う。この液性の調整に、各種のアルカリを用いることが出来る。このアルカリとしては、上記した様な、非プロトン性極性有機溶媒に可溶かつ水溶性の無機アルカリが好ましい。本発明における好適なアルカリはアルカリ金属水酸化物であり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。このアルカリ金属水酸化物は、例えば、単体、或いは水溶液等、任意の形態で用いることが出来る。潮解性のあるアルカリ金属水酸化物は、通常、少量ではあるが水を含有している。
非プロトン性極性有機溶媒は水ではないため、その液性はpHでは表すことが出来ない。そこで、例えば、予め粗顔料を湿潤させているのが水であれば、そのpHをコンディショニングの開始点とすることで、加えるアルカリの量により、中性〜弱アルカリ性〜強アルカリ性という様に、非プロトン性極性有機溶媒の液性の制御をすることが出来る。つまり、加熱すべき対象物の塩基性度が、アルカリを加える前より高くなる様に、非プロトン性極性有機溶媒に対してアルカリが加えられる。N−メチルピロリドンは、それ自体が弱アルカリ性であり、アルカリ不含の状態の加熱開始時は弱アルカリ性であり、アルカリの追加に伴いその塩基性度は高まり、強アルカリ性に到達する。アルカリの使用量は、最終用途、粗顔料の質量、溶媒種等の条件に合わせ、必要に応じて調整することが出来る。
この様に本発明者らは、アルカリの仕込み方法を工夫して、粗顔料を非プロトン性極性有機溶媒中で加熱することで、被着色媒体を着色するのに適当な高彩度のC.I.ピグメント レッド 254が得られることを見出した。
本発明のC.I.ピグメント レッド 254の製造方法では、より弱いアルカリ性の下で加熱してコンディショニングを開始し、引き続いてアルカリを系内に追加してより強いアルカリ性にてコンディショニングを行うので、彩度が高い顔料とすることが出来、品質に優れた顔料を製造することが出来る。
本発明において、強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中における加熱に先駆けて行われる事前のコンディショニングは、質量換算で非プロトン性極性溶媒100部に対してアルカリ金属水酸化物を0.00〜0.20部、好適には0.00〜0.07部を含有する非プロトン性極性有機溶媒中で行うことが出来る。その後の強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中における加熱によるコンディショニングは、質量換算で非プロトン性極性溶媒100部に対して0.01〜0.20部、好適には0.02〜0.15部のアルカリ金属水酸化物を追加することができる。事前コンディショニング以降のアルカリの追加添加は、事前コンディショニング以降に仕込まれるアルカリ総量を、一括で加えても良いし、幾つかに分割して間欠的に加えても良いし、連続的に添加する様にしても良い。
粗顔料と、非プロトン性極性有機溶媒と、アルカリとを含有する混合物の加熱は、その混合物がより均一に加熱される様に、攪拌しながら行われることが好ましい。前記した事前コンディショニング及びその後の強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中における加熱によるコンディショニングを合わせた、アルカリを含有する非プロトン性極性有機溶媒中における粗顔料の加熱は、加圧または非加圧を必要に応じて選択した上で、例えば、70〜140℃、好ましくは100〜130℃で実施することが出来る。また加熱時間は、例えば、1〜15時間、好ましくは3〜7時間である。
アルカリの追加の時期は、追加の効果を最大限に発揮するため、加熱開始から1時間後以降かつ加熱終了前1時間までが望ましい。前記した事前コンディショニングを、100〜130℃で2〜10時間の範囲で行い、次いで、その後の強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中における加熱によるコンディショニングを行い、全体として、100〜130℃かつ3〜7時間の範囲で行うのが最も好ましい。
コンディショニングにおける加熱は、例えば、経時的にサンプリングを行い、得られた顔料に対して、前記した様な粒径や彩度を測定することで、一定条件のもとでの加熱時間と粒径又は彩度との関係を事前に求めておき、所期の特性が得られた点を終点として終了させれば良い。こうすることで得られる顔料の特性を、加熱時間で制御することが可能となる。勿論、この加熱は、非プロトン性極性有機溶媒中に含有するアルカリ金属水酸化物の含有量に応じて、実態に合わせた最適な加熱温度や時間をその都度設定することが望ましい。
この加熱は、通常、前記加熱を行う前の粗顔料に比べて、粒子が相対的により大きくなる様に行なわれる。こうして前記した様な加熱により、例えば、平均粒径0.30〜0.80μm、好ましくは0.40〜0.70μmの顔料を得ることが出来る。
こうして得られたC.I.ピグメント レッド 254を含む非プロトン性極性有機溶媒は、例えば、冷却してから濾過し、得られたウェットケーキを有機溶媒や水で洗浄することで、C.I.ピグメント レッド 254のウェットケーキとすることが出来る。また、このウェットケーキを更に乾燥し必要に応じて粉砕分級することで、グラニュール状やパウダー状の乾燥C.I.ピグメント レッド 254とすることが出来る。
この様に詳しく述べてきた本発明の製造方法は、従来標準のC.I.ピグメントレッド254に対して、赤色の中でも青味がより強く、かつ彩度がより高い、換言すれば、ΔH*およびΔC*で規定されるXY座標平面において、第2象限左上方に位置するC.I.ピグメントレッド254を製造するのに好適な製造方法である。本発明の製造方法は、前記した特定包囲領域にあるC.I.ピグメントレッド254を製造するのに好適な製造方法であり、中でも特定包囲領域にあってかつ式(4)〜(6)に規定される包囲領域にあるC.I.ピグメントレッド254を製造するのに最適な製造方法である。
本発明の製造方法で得られた顔料は、着色力に優れ、例えば、着色プラスチック成形品、着色ワニス、油性又は水性塗料、印刷インキ、ラッカーなどの形態で使用することが出来る。隠蔽力は、塗料やインキにおける着色力の大小の評価をするため尺度の一つである。本発明の製造方法で得られた顔料は、その高彩度と高隠蔽力の赤色発色が可能な点で、とりわけ自動車用塗料の調製に適している。これらは、本発明の製造方法で得られた顔料、下記する様な樹脂、充填剤、各種添加剤及び必要に応じて溶媒を混合することで調製することが出来る。
本発明の製造方法で得られた顔料は、被着色媒体としての各種樹脂の着色剤として好適である。この際に用いられる樹脂としては、例えば、天然または合成樹脂、例えば重合樹脂や縮合樹脂、特に尿素樹脂/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル/メラミン、ポリスチレン、セルロースエーテル、ニトロセルロース、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン等が挙げられる。これらは単独または混合物として使用することが出来る。本発明においては、前記した通り、便宜的に彩度評価において、アクリル/メラミンの樹脂系を採用している。
また充填剤としては、例えば、各種金属箔、酸化チタン、シリカ等を用いることが出来る。各種添加剤としては、例えば、界面活性剤、防腐剤等を、溶媒としては、水の他、顔料の結晶状態を変化させない各種有機溶剤を用いることが出来る。
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。以下、部及び%は特に断りがない限り、質量基準である。
公知の方法で製造された3,6−ビス(4−クロロフェニル)−1,4−ジケトピロロ[3,4−C]ピロールの粗顔料ウェットケーキを準備した。このウェットケーキは含水率68.4%で、乾燥履歴を経ておらず、平均粒径0.10μm以上0.20μm未満の範囲の粗顔料からなっていた。
1L広口セパラブルフラスコの中に、この粗顔料ウェットケーキ158.23部(固形分換算50部、水分108.23部)を、水41.77部とともにN−メチルピロリドン600部中に撹拌懸濁させ、アルカリを含ませない状態の弱アルカリ性にて、110℃まで昇温し、110℃で4時間撹拌した。4時間後、8.4部の10%水酸化ナトリウムを加え強アルカリ性とし、さらに3時間110℃で加熱攪拌した。60℃まで冷却し、同温度で濾過を行い、ウェットケーキをN−メチルピロリドンおよび水で洗浄し、乾燥し、C.I.ピグメント レッド 254の45.7部を得た。この顔料は、平均粒径0.40〜0.70μmの範囲にあった。
1L広口セパラブルフラスコの中に、実施例1で用いたのと同一の粗顔料ウェットケーキ158.23部を、水41.77部、水酸化ナトリウム10%水溶液3.0部とともにN−メチルピロリドン600部中で撹拌懸濁させ、アルカリを含むアルカリ性にて、110℃まで昇温し、110℃で4時間撹拌した。4時間後、3.0部の10%水酸化ナトリウムを加え強アルカリ性とし、さらに3時間110℃で加熱攪拌した。60℃まで冷却し、同温度で濾過を行い、ウェットケーキをN−メチルピロリドンおよび水で洗浄し、乾燥し、C.I.ピグメント レッド 254の46.0部を得た。この顔料は、平均粒径0.40〜0.70μmの範囲にあった。
1L広口セパラブルフラスコの中に、実施例1で用いたのと同一の粗顔料ウェットケーキ158.23部(固形分換算50部、水分108.23部)を、水41.77部とともにN−メチルピロリドン600部中に撹拌懸濁させ、アルカリを含ませない状態の弱アルカリ性にて、110℃まで昇温し、110℃で4時間撹拌した。4時間後、6.0部の10%水酸化ナトリウムを加え強アルカリ性とし、さらに3時間110℃で加熱攪拌した。60℃まで冷却し、同温度で濾過を行い、ウェットケーキをN−メチルピロリドンおよび水で洗浄し、乾燥し、C.I.ピグメント レッド 254の45.7部を得た。この顔料は、平均粒径0.40〜0.70μmの範囲にあった。
1L広口セパラブルフラスコの中に、実施例1で用いたのと同一の粗顔料ウェットケーキ158.23部(固形分換算50部、水分108.23部)を、水41.77部とともにN−メチルピロリドン600部中に撹拌懸濁させ、アルカリを含ませない状態の弱アルカリ性にて、110℃まで昇温し、110℃で4時間撹拌した。4時間後、7.2部の10%水酸化ナトリウムを加え強アルカリ性とし、さらに3時間110℃で加熱攪拌した。60℃まで冷却し、同温度で濾過を行い、ウェットケーキをN−メチルピロリドンおよび水で洗浄し、乾燥し、C.I.ピグメント レッド 254の45.9部を得た。この顔料は、平均粒径0.40〜0.70μmの範囲にあった。
1L広口セパラブルフラスコの中に、実施例1で用いたのと同一の粗顔料ウェットケーキ158.23部(固形分換算50部、水分108.23部)を、水41.77部とともにN−メチルピロリドン600部中に撹拌懸濁させ、1.2部の10%水酸化ナトリウムを加えた弱アルカリ性にて、110℃まで昇温し、110℃で4時間撹拌した。4時間後、5.1部の10%水酸化ナトリウムを加え強アルカリ性とし、さらに3時間110℃で加熱攪拌した。60℃まで冷却し、同温度で濾過を行い、ウェットケーキをN−メチルピロリドンおよび水で洗浄し、乾燥し、C.I.ピグメント レッド 254の46.0部を得た。この顔料は、平均粒径0.40〜0.70μmの範囲にあった。
[比較例1]
1L広口セパラブルフラスコの中に、実施例1で用いたのと同一の粗顔料を乾燥した粉体50部をN,N−ジメチルホルムアミド250部中で撹拌懸濁させ、140℃まで昇温し、140℃で6時間撹拌した。6時間後120℃まで冷却し、同温度で濾過を行い、ウェットケーキをN,N−ジメチルホルムアミドおよび水で洗浄し、乾燥し、C.I.ピグメント レッド 254の46.3部を得た。この顔料は、平均粒径0.40〜0.70μmの範囲にあった。
[比較例2]
ガラス製攪拌翼、温度計、窒素注入管、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた1L広口セパラブルフラスコに、t−アミルアルコール450.0部及び固体ナトリウム15.45部を注ぎ入れた。この混合物をオイル温度130℃のオイルバスで加熱して、三塩化鉄(III )少量を加えた。金属ナトリウムが完全に消失したら、4−クロロベンゾニトリル45.51部、3−メトキシベンゾニトリル1.50部、ジイソプロピルスクシンイミド50.76部及びt−アミルアルコール90.0部の混合物を2時間以内に加えた。反応液温度を85℃まで下げて、反応混合物を更に2時間撹拌した。
温度を40℃まで下げて、反応混合物を、イオン交換水900部、メタノール900部及び硫酸360部の混合物を含む次の反応器に40℃で30分以内に移した。顔料を40℃で18時間コンディショニングした。
濾過及び乾燥後、赤色の3,6−ビス(4−クロロフェニル)−1,4−ジケトピロロ[3,4−C]ピロール(上記した式で表される、C.I.ピグメント レッド 254と同一の化学構造を有する)の粗顔料粉末45.6部を得た。
1L広口セパラブルフラスコの中に、この粗顔料粉末40.0部をジメチルアセトアミド800部中で撹拌懸濁させ、更に140℃で5時間加熱攪拌した。濾過、洗浄及び乾燥後、赤色顔料37.9部を得た。この顔料は、平均粒径0.40〜0.70μmの範囲にあった。
2L陶器製容器中、実施例1で用いたのと同一の粗顔料を乾燥した粉体50部、30%水酸化ナトリウム53.6部、メタノール643部を、直径2.5mmのジルコニアビーズとともに、20−25℃でロールギアテーブルを用いて、遠心力が重力より大きくなることでジルコニアビーズがフラスコ壁にとどまるように48時間回転させた。
その後、ジルコニアビーズを分離して顔料懸濁液を濾過した。濾過ケーキをアルカリ分がなくなるまでメタノールで洗浄し、真空乾燥機中において80℃で乾燥させ、微粉砕することにより赤色顔料48.6部を得た。この顔料は、平均粒径0.40μm未満であった。
実施例及び比較例にて得られた各C.I.ピグメント レッド 254について、以下に示めすアクリルメラミン塗料による色相角および彩度の評価を行った。尚、着色塗膜の原色ΔHとΔCを求めるのに、比較標準品としては以下に記すアクリルメラミン塗料試験において、色相角H 28.9、彩度C 59.8を示すC.I.ピグメント レッド 254を用いた。
(アクリルメラミン塗料試験)
100ml蓋付きプラスチック容器に、アクリディック(登録商標)47−712(大日本インキ化学工業株式会社製アクリル樹脂):12.00部、実施例及び比較例で得られた各C.I.ピグメント レッド254:6.00g、混合溶剤(キシレン/n−ブタノール=3/1):24.00g、ガラスビーズ60gを量り込み、試験用分散機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて2時間分散してミルベースを作成した。その後、そこに前記したのと同じアクリディック47−712:36.00g、スーパーベッカミン(登録商標)L−117−60(大日本インキ化学工業株式会社製メラミン樹脂):10.00gを追加して、試験用分散機で10分間分散して、アクリルメラミン塗料を得た。
上で得られた各アクリルメラミン塗料をアート紙に展色した。展色は、左に比較標準品であるC.I.ピグメント レッド 254を用いたスタンダード塗料、右に実施例1〜3で得られたC.I.ピグメント レッド 254を用いた塗料を適量落とし、6mil(約0.15mm)のアプリケーターを用いて行った。1時間静置後、140℃で20分間焼き付けし放冷した。実施例4〜5、及び比較例1〜3についても同様に行った。
アクリルメラミン塗料試験における着色塗膜の原色ΔHとΔCの交点が、前記ΔHをX軸としΔCをY軸として規定されるXY座標平面上において、上記した3つの式(1)〜式(3)を、予めグラフ用紙にプロットした。
こうして得られた各展色物について、米国dator color international社製の分光光度計(SPECTRA FLASH SF600 PLUS CT)を使用して測色を行い、比較標準品を基準とした色相角ΔHおよび彩度ΔCを求め、準備した前記グラフ用紙にプロットした(図1参照)。
図1からわかる様に、本発明の製造方法を採用して得られた実施例1〜5のC.I.ピグメント レッド 254だけが、表1の様に、本発明で定めた特定包囲領域内であって、かつ式(4)〜(6)で規定された包囲領域内にも存在していることがわかった。各比較例のC.I.ピグメント レッド 254は、比較例1では色相角ΔHが0.9を超えたことから他色と調色する必要があり、その調色後の彩度ΔCは低くなった。比較例2及び比較例3では彩度ΔCが0.7を下回り実施例に対して劣っていた。各比較例はいずれも、式(1)〜(3)で規定された本発明の特定包囲領域外に存在していた。
Figure 0004214493
色相角ΔHおよび彩度ΔCの評価結果から明らかな様に、本発明のC.I.ピグメント レッド254は、比較標準との差である色相角ΔHが−0.2〜0.8の範囲において、彩度ΔCが従来得られない高彩度な着色物を得ることができ、これらの展色物を目視で観察したところ、優れた彩度の着色塗膜が得られていることが観察できた。特にΔHが0.5以下のときに、比較標準に比べΔCが1以上を達成する塗膜が得られることは、比較標準により近い色相角においても、目視で十分に彩度の差を観察できる顕著な効果を示すものであった。
この彩度の高さは、たとえC.I.ピグメント レッド 254以外の有機顔料同士を従来の技術に従って調色して、C.I.ピグメント レッド 254と同様の色相を得たとしても達成できなかった効果である。
本発明のC.I.ピグメント レッド 254は、調色をすることなく、これら意図した色相角の範囲において、優れた彩度を兼備するC.I.ピグメント レッド 254が提供できるものであり、調色してもなお従来のように彩度が低下しにくい顔料が提供できる。
本発明の製造方法で得られた顔料は、着色力に優れ、例えば、着色プラスチック成形品、着色ワニス、油性又は水性塗料、印刷インキ、ラッカーなどの形態で使用することが出来る。
また本発明の製造方法は、1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロールを、強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において、100〜130℃で2〜10時間に亘り加熱する工程を含ませるC.I.ピグメント レッド 254の製造方法において、前記の加熱工程に先駆けて、事前に、中性又はより弱いアルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において、100〜130℃で加熱する工程を設けて、最終的に加熱する前よりも大きな平均粒径とするため、従来に比べて容易に高彩度のC.I.ピグメント レッド 254が得られるばかりでなく、粗顔料を着色剤として機能させるための、粉砕の様な手間や大きな動力は不要で、粉砕媒体も不要であるためそれの粉砕による異物混入も最小限に留めることが出来る。また粉砕により得られた顔料の粒径分布が極端に広がってしまい、塗料等を調製した際の保存安定性が低下することもないという優れた効果が得られる。

Claims (6)

  1. 平均粒径0.10以上0.20μm未満の1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール粗顔料を、強アルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において、100〜130℃で2〜10時間に亘り加熱する工程を含ませるC.I.ピグメント レッド 254の製造方法において、前記の加熱工程に先駆けて、事前に、中性又はより弱いアルカリ性の非プロトン性極性有機溶媒中において、100〜130℃で加熱する工程を設けて、最終的に平均粒径0.30〜0.80μmとすることを特徴とするC.I.ピグメント レッド 254の製造方法。
  2. 事前に非プロトン性極性有機溶媒に含有させるアルカリ金属水酸化物が、質量換算で非プロトン性極性有機溶媒100部に対して0〜0.07部であり、その後に引き続いて非プロトン性極性有機溶媒に追加するアルカリ金属水酸化物が、質量換算で非プロトン性極性有機溶媒100部に対して0.02〜0.15部である請求項1記載のC.I.ピグメント レッド 254の製造方法。
  3. 非プロトン性極性有機溶媒が、含窒素複素環を有する親水性の非プロトン性極性有機溶媒であり、アルカリが、アルカリ金属水酸化物である請求項1または2に記載のC.I.ピグメント レッド 254の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のC.I.ピグメント レッド 254の製造方法により得られるC.I.ピグメント レッド 254。
  5. アクリルメラミン塗料試験における、標準とする顔料の原色の着色塗膜の色相角H を28.9としかつ彩度C を59.8としたとき、着色塗膜の原色ΔHとΔCの交点が、前記ΔHをX軸としΔCをY軸として規定されるXY座標平面上において、下記3つの式で包囲される領域にあることを特徴とする請求項4に記載のC.I.ピグメント レッド 254。
    Figure 0004214493
    Figure 0004214493
    Figure 0004214493
  6. アクリルメラミン塗料試験における、標準とする顔料の原色の着色塗膜の色相角H を28.9としかつ彩度C を59.8としたとき、着色塗膜の原色ΔHとΔCの交点が、前記ΔHをX軸としΔCをY軸として規定されるXY座標平面上において、下記3つの式で包囲される領域にあることを特徴とする請求項4に記載のC.I.ピグメント レッド 254。
    Figure 0004214493
    Figure 0004214493
    Figure 0004214493
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