JP4213987B2 - 二成分現像剤におけるトナー濃度制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ等の電子写真法による画像形成に使用される二成分系現像剤のトナー濃度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法では、感光体表面を所定極性に一様に帯電し、次いで所定の原稿情報に基づいての光照射による画像露光を行って静電荷像を形成し、この電荷像を現像してトナー像を形成し、このトナー像を所定の用紙に転写し、定着ローラでの加熱及び加圧によって該トナー像を用紙に定着することにより、画像形成が行われる。また、トナー像転写後において、感光体表面は、クリーニングブレード等によりクリーニングされて残存するトナーが除去され、さらに必要により光照射等による除電が行われ、次の画像形成行程が行われる。
【0003】
このような画像形成行程で静電荷像の現像に用いる現像剤としては、トナーと磁性キャリア(例えばフェライトや鉄粉)とからなる二成分系磁性現像剤が代表的である。
【0004】
この二成分系磁性現像剤は、例えば多数の磁極を有するマグネット内蔵の現像ローラ(感光体に対面する位置に配置されている)と、攪拌及び搬送部材とを備えた現像器中に充填されて現像に供される。即ち、攪拌及び搬送部材によるトナーと磁性キャリアとの摩擦混合によってトナーを所定極性に帯電し、且つ該現像剤を現像ローラ上に供給する。この現像ローラにより、帯電トナーを含む磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシを現像域(感光体に対面する部分)に搬送し、静電力を利用して磁気ブラシ中の帯電トナーを感光体上の静電潜像部に付着させることにより、静電潜像の現像、即ちトナー像の形成が行われる。この場合、磁気ブラシ中の磁性キャリアは現像によっては消費されず、そのまま回収され、再び現像器中でトナーと混合されて使用されるが、トナーは現像によって消費される。従って、現像器には、補給用トナーを収容したホッパーやカートリッジなどの補給トナー収容容器が取り付けられており、現像器中のトナー濃度が一定値以下に低下した場合には、この補給トナー収容容器からトナー補給が行われる。
【0005】
上記のようなトナー濃度の制御は、一般に、磁性キャリアの濃度に比例して出力電圧を発生する透磁率センサを用いて行われる。即ち、センサの出力電圧が一定レベル(トナー補給電圧)を超えた時点でトナー補給を行うことによりトナー補給を行い、トナー補給によっても出力電圧が一定のトナー補給電圧にまで低下しない場合には、トナーエンプティとの信号を発するように構成されているものである。このような透磁率センサを用いてのトナー濃度の制御方法は種々提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−131585号公報
【特許文献2】
特開平9−73222号公報
【特許文献3】
特開2001−215788号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような透磁率センサを用いてのトナー濃度制御方法においては、画像比率の高い画像を高濃度で連続して出力する場合など、単位時間当りのトナーの消費量が多いときは、安定した濃度制御を行うには、未だ不十分な点があり、その改善が求められている
【0008】
即ち、画像比率が6%程度と低い画像出力の場合には、一定の基準レベルのトナー濃度が保持されるようにセンサ出力電圧によって安定した制御が行われるが、画像比率が高い画像を高濃度で出力する場合には、単位時間当たりのトナー消費量が増加するため、ホッパーなどからのトナー補給がトナー消費に追いつかなくなるという問題がある。例えば、画像比率が100%のベタ画像のように、極端に画像比率の高い画像を、連続して高濃度で出力する場合には、トナー補給が追いつかずに、トナー濃度が極端に低下してしまい、センサ出力が急激に上昇してしまう。しかも、トナー消費位置(即ち、現像域)とセンサ位置とが離れている場合には、トナー濃度が低下した現像剤がセンサ位置に来るまでにタイムラグがあるため、センサ出力が、トナー補給電圧を大幅に超えて急激に上昇してしまい、場合によっては、トナーエンプティを示す電圧レベルを超えてしまうこともある。この結果、現像剤のトナー濃度が極端に低下してしまい、キャリア飛び等の不都合を生じてしまう。
【0009】
また、現像剤のトナー濃度が極端に低下した後に、トナー補給を行ってセンサの出力レベルを一定の基準レベルに戻したとしても、通常より多量のトナーを短時間で補給するため、現像剤中にトナー濃度の濃い部分と薄い部分とを発生してしまい、現像剤をある程度攪拌しないとセンサ出力が安定せず、トナー補給直後の画像形成動作によりトナーエンプティを誤検知してしまうという不都合をも生じる。また、トナーエンプティを誤検知しないとしても、センサ出力が不安定なため、正常なトナー濃度制御が困難となり、さらに現像剤中のトナー濃度が不均一である場合には、画像ムラなどの問題を生じてしまう。
【0010】
前述した特許文献1〜3に記載されているトナー濃度制御方法は、上記のような多量のトナーが消費されたときに生じる上記のような問題に対処し得ない。
【0011】
従って本発明の目的は、多量のトナーが短時間で消費されたときに生じるトナー濃度の低下や、画像濃度の低下、キャリア飛び、トナー濃度ムラによる画像ムラ、トナーエンプティの誤検知などの問題を有効に回避することが可能な二成分系現像剤におけるトナー濃度制御方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、トナーと磁性キャリアとからなり、現像器中に充填された二成分系現像剤のトナー濃度を、透磁率センサの出力によって検知し、この出力値に応じて補給トナー収容容器から該現像器中にトナーを補給するトナー濃度制御方法において、
前記透磁率センサの出力電圧について、補給トナー収容容器から該現像器中にトナーを補給するための閾値をトナー補給電圧として設定し、且つ一定時間当りの前記透磁率センサの出力上昇変化率(ΔV/ΔT)について、該透磁率センサの出力電圧がトナー補給電圧以下であったときにも、該出力電圧が直ちに該トナー補給電圧トナーを超えてしまうような閾値を設定しておき、
前記透磁率センサの出力電圧がトナー補給電圧を超え、且つ出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が前記閾値以下である通常制御モードでは、その際に実行されている画像形成サイクルを実行しながら、該出力電圧がトナー補給電圧に低下するまでトナー補給を行い、引き続き画像形成サイクルを実行し、トナー補給開始から一定時間経過後に該出力電圧がトナー補給電圧にまで低下しないときには、トナーエンプティの信号を発して、次の画像形成サイクルは停止することとし、
前記出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が前記閾値を超えた出力上昇変化率による制御モードでは、トナー補給電圧を超えた透磁率センサの出力電圧がトナー補給電圧に低下するまでトナーを補給し、且つ次の画像形成サイクルを実行せず、トナー補給停止後に、一定時間、現像剤の攪拌動作のみを行うエージングを実行した後に次の画像形成サイクル工程を実行し、トナー補給開始から所定時間が経過した時点でセンサ出力値が前記トナー補給電圧にまで低下しない場合には、トナーエンプティの信号を発することを特徴とする二成分現像剤におけるトナー濃度制御方法が提供される。
【0013】
即ち、本発明においては、センサの出力上昇変化率(ΔV/ΔT)をトナー濃度制御のパラメータとして用いることが重要な特徴である。即ち、センサ出力値のみによる制御では、画像比率の高い画像を高濃度で出力したときには、トナー消費量が多量であるため、前述した種々の問題(トナー濃度の極端な低下、トナー濃度のバラツキ、及びこれらに起因する画像濃度の低下やキャリア飛び、トナーエンプティの誤検知など)を生じる。特に、センサ位置がトナー消費位置と離れている場合には、トナー消費時のトナー濃度とセンサ出力との間にタイムラグがあるため、上記の問題は顕著となる。しかるに、本発明では、センサ出力値に加え、センサの出力上昇変化率(ΔV/ΔT)をも制御パラメータとしているため、上記のような問題を有効に解決することができる。
【0014】
即ち、センサ出力値が所定のトナー補給電圧を超えた場合には、出力値がトナー補給電圧に低下するまでトナー補給が行われるが(所謂通常モードの濃度制御)、出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が一定レベルを超えている場合には、画像比率の高い画像が高濃度で連続して出力されており、短時間で多量のトナーが消費される。従って、この時には、センサ出力値にかかわらず、トナー補給を開始する。また、次の画像形成サイクルを行わず(連続して画像形成を実行しているときには、そのときの画像形成サイクル完了した時点で画像形成の実施を中断ないし停止する)、トナー補給停止後、一定時間、エージングを実行する。これにより、急激な多量のトナー消費にもトナー濃度を追随させることができ、また、多量のトナーを短時間で補給することによる濃度ムラの発生を有効に回避することができる。さらに、トナーエンプティの誤検知を防止でき、センサ出力を安定化することができ、その後の画像形成サイクルの実行時において、画像濃度ムラや画像濃度の低下、キャリア飛びなどの不都合も有効に解消することができる。
【0015】
尚、出力上昇変化率(ΔV/ΔT)の検出値に応じてトナー補給を行う場合においても、トナー補給は、センサ出力値がトナー補給電圧以下に低下するまで行われる(トナー補給電圧に達した時点でトナー補給を停止する)。この場合、センサ出力値がトナー補給電圧よりも低いときに出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が一定のレベルを超えたときには、センサ出力は直ちにトナー補給電圧を超えてしまうため、上記のように出力上昇変化率を基準として、トナーの補給を行っても問題は生じない。
【0016】
また、通常モードのトナー補給及び出力上昇変化率によるトナー補給の何れの場合においても、トナー補給開始から一定時間経過した時点で、センサ出力値がトナー補給電圧まで低下しない場合には、トナーエンプティの信号が発せられ、例えばトナー収容容器の交換をユーザーに促すこととなる。
【0017】
本発明において、上記の出力上昇変化率(ΔV/ΔT)による制御は、具体的には、用いるセンサ等に応じて、一定の閾値を設定しておき、この閾値を越えたときに、上記のエージングを実行するように設定される。
【0018】
また、本発明においては、前記出力上昇変化率(ΔV/ΔT)に複数の閾値を設定しておくことも可能であり、その閾値のレベルが高いほど、エージング実行時間を長く設定することが好ましい。即ち、認識された出力上昇変化率が高いほど、画像比率の高い画像が出力されていることを意味するから、上記のように複数の閾値を設定してエージング時間を調整することにより、例えば画像比率が100%ベタ画像を高濃度で出力した場合にも、上述した問題を有効に回避することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明方法の実施に使用される現像器の構造を示す図1及び図2において(図1は現像器の側断面を感光体ドラムと共に示す図であり、図2は、現像器の平面断面図である)、全体として9で示す現像器9は、感光体ドラム7とともに、画像形成装置内に設けられ、感光体ドラム7の近傍に配置されている。尚、図1では示されていないが、感光体ドラム7の周りには、現像器9と共に、主帯電器、露光用光学系、転写装置及びクリーニング装置が設けられている。即ち、感光体ドラム7の回転方向に沿って、主帯電器、露光用光学系、現像器9、転写装置及びクリーニング装置の順に位置している。
【0020】
画像形成に際しては、主帯電器によって感光体ドラム7の表面が、所定極性に一様に帯電され、次いで、所定の画像情報に基づいて光学系により感光体ドラム7表面にレーザ光等が照射され(画像露光)、光照射部の電位低下によって静電潜像が形成される。感光体ドラム7に形成された静電潜像は、現像器9内に充填された現像剤によって現像され、電位低下部分にトナー像が付着することにより、トナー像が形成される。このトナー像は、転写装置と感光体ドラム7との間に導入された転写紙上に転写される。トナー像が転写された転写紙は、画像形成装置内に設けられている定着装置内に導入され、熱及び圧力によってトナー像が転写紙表面に定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。また、トナー像の転写後には、クリーニング装置によって、感光体ドラム7表面に残存するトナーが除去され、必要により除電され、画像形成の一サイクルが終了し、次の画像形成サイクルが行なわれることとなる。
【0021】
現像器9は、20で示すハウジング内に、パドル21、スパイラル22及び現像ロール23を備え、且つフェライト、鉄粉などの磁性キャリアとトナーとの混合物からなる二成分系現像剤が充填されている。
【0022】
パドル21とスパイラル22は、図2から明らかな通り、互いに平行に延びており、且つ互いに反対方向に現像剤を搬送するように設けられている(この例では、互いに反対方向に回転するように設けられている)。また、スパイラル22とパドル21との中央部分は、仕切り壁24で仕切られており、スパイラル22とパドル21とによって混合されながら現像剤が循環して搬送されるようになっている。さらに、スパイラル22の近傍に位置するハウジング20の壁には透磁率センサ25が設けられ、キャリア濃度に比例する出力値からトナー濃度が検知されるようになっている。
【0023】
また、現像ロール23は、内部にマグネットを備え、磁気ブラシの形で現像剤を搬送するものであり、パドル21に隣接して平行に延びており、且つハウジング20に形成されている開口を介して感光体ドラム7に対面している。パドル21と現像ロール23との間の上部には、ガイド板26が設けられ、パドル21から現像ロール23への現像剤の供給がスムーズに行い得るようになっている。また、現像ロール23と一定のクリアランスで穂切ブレード27が設けられ、このブレード27によって磁気ブラシの穂長調整が行なわれるようになっている。
【0024】
即ち、トナーと磁性キャリアとからなる現像剤は、スパイラル22とパドル21とにより混合攪拌されながらスパイラル22とパドル21との間を循環して搬送される。この混合攪拌によってトナー及びキャリアが所定極性に摩擦帯電され、且つパドル21による搬送経路中で現像ロール23上に現像剤が供給される。現像ロール23上で現像剤は磁気ブラシを形成し、ブレード27により穂長調整されて現像域(感光体ドラム7と対面する領域)に供給され、現像が行われる。
【0025】
現像は、それ自体公知の方法で行われ、例えば現像ロール23と感光体ドラム7との間に所定の現像バイアスを印加し、磁気ブラシ中の帯電トナーを、感光体ドラムの潜像部(例えば電位低下部分)に付着することにより現像が行われる。この際、現像ロール23上の現像剤磁気ブラシと感光体ドラム7表面とは、接触でも非接触でもよい。上記の現像によって消費されなかったトナー及び磁性キャリアは、磁気ブラシの形で現像ロール23に回収され、再利用される。
【0026】
ところで、現像剤中のトナー濃度は、適正な画像を形成するために、一定の範囲、例えば3乃至6重量%程度の範囲に保持されていることが必要であるが、上記の現像によって、トナーのみが消費され、トナー濃度は次第に低下する。トナー濃度が極端に低下すると、画像濃度が低下するばかりか、キャリア飛びなどを生じてしまう。このために、現像器9には、トナーホッパーHが設けられており、このトナーホッパーHからトナーが補給されるようになっている。
【0027】
トナーホッパーHには、補給用ローラ28が設けられており、この補給ローラ28は、コントローラ29を介して前記透磁率センサ25と連動するようになっている。さらに、トナーホッパーH内には、攪拌板30が設けられており、攪拌下に補給用ローラ28を介して、トナーが現像器9内に補給される。補給ローラ28によるトナー補給位置は、通常、センサ25による検出部Dに対して現像剤搬送方向下流側に設定されている。
【0028】
トナー濃度を一定範囲に保持するために、透磁率センサ25を用いてトナー濃度制御が行われるが、本発明では、以下のようにして、センサ出力電圧による制御(通常モードの制御)とセンサ出力上昇変化率(ΔV/ΔT)による制御とによって、トナー濃度の制御が行われる。
【0029】
センサ25の出力電圧値と時間との関係を示す図3を参照して、この出力電圧値はキャリア濃度に比例するものであり、トナー濃度が低下するほど、出力値は高くなる。即ち、この出力値を経時的に計測していくことにより、出力電圧による通常モードの制御と出力上昇変化率による制御とが行われるのである。
【0030】
(通常モードによる制御)
通常モードの制御は、基本的には、従来公知と同様に行われるものであり、かかる制御のために、一般に、トナー補給電圧(以下、基準レベルと呼ぶことがある)と、基準レベルよりも高い第2トナー補給電圧(以下、TEレベルと呼ぶことがある)との2つの閾値を設定しておく。
【0031】
基準レベル(トナー補給電圧)は、多少のトナー消費があっても安定な画像を形成し得るトナー濃度に対応する出力値であり、図3の例では2Vに設定されている。
【0032】
また、TEレベル(第2補給電圧)は、それ以上トナーが消費されると、画像濃度が不安定となり、キャリア飛びなどが生じるおそれもあるため、画像形成サイクルを停止してトナー補給が行われるレベルを示すものであり、従って、基準レベルよりも高く、図3の例では、3Vに設定される。
尚、上記の基準レベル及び補給レベルの出力値は、用いるセンサの感度等によって当然異なるものであり、上記の数値(2V,3V)は、単なる一例である。
【0033】
即ち、通常モードでは、基本的には、センサ出力電圧(出力値)が基準レベルを超えると、コントローラ29を介して補給用ローラ28が駆動してトナー補給がなされる。この際には、画像形成サイクルはそのまま実行することができ、例えば連続して画像形成サイクルを実行している場合には、引き続いて画像形成サイクルを実行することができる。
【0034】
そして、トナー補給から一定時間が経過したときに、センサ出力値が基準レベルにまで低下しないときには、トナーエンプティの信号が発せられ、トナーホッパーHの交換を促す。また、トナー補給から一定時間が経過したときに、センサ出力値が基準レベルにまで低下したときには、トナー補給を停止する。
【0035】
さらに、通常モードにおいて、トナー補給にもかかわらず、センサ出力値がTEレベルを越えてしまったときは、画像形成サイクルは停止されてトナー補給が行われる。即ち、この場合、連続して画像形成サイクルが行われていたときには、TEレベルを越えた時点での画像形成サイクルが完了した後、続いての画像形成サイクルは、中断される。
【0036】
(出力上昇変化率による制御)
ところで、上記のセンサ出力値のみの通常モードによる濃度調整では、画像比率の高い画像を連続して出力した場合には対処できない。即ち、センサ25による検出部Dは、トナー消費部(現像領域)とは、最低でもL2の間隔がある(図2参照)。このため、センサ25により検出されるトナー濃度とトナー消費部でのトナー濃度とにはタイムラグを生じている。従って、画像比率の高い画像、例えば画像比率が100%のベタ画像を出力した場合などでは、急激に多量のトナーが消費されてしまい且つトナー補給のタイミングが遅れている結果、センサ出力値が基準レベルを大幅に超えてしまい、著しいトナー濃度の低下及び画像濃度の低下がもたらされ、場合によってはTEレベルをも越えてしまい、キャリア飛びなども生じてしまう。また、トナー補給により基準レベルにまで出力値を戻したとしても、多量のトナー消費に追随させるような多量のトナー補給は、トナー濃度ムラを生じ、センサ出力が不安定となったり、場合によっては、トナーエンプティの誤検知を生じることもある。
【0037】
しかるに、本発明においては、センサ出力値による通常モードによる制御に加え、センサ出力上昇変化率(ΔV/ΔT)に基づいてのトナー濃度制御を行うことにより、上記のような不都合を有効に回避することができる。
【0038】
具体的には、センサ出力値とともに、出力上昇変化率(ΔV/ΔT)を計測し、この変化率(ΔV/ΔT)が一定の閾値を超えた場合には、前述したセンサ出力値にかかわらず、トナー補給を行い、且つ画像形成サイクルは停止する。即ち、変化率(ΔV/ΔT)が一定の閾値を超えた時点での画像形成サイクルが完了した後、次の画像形成サイクルの実行は行わない。この変化率(ΔV/ΔT)はトナー消費量に対応するものであり、この変化率(ΔV/ΔT)が大きいほど、トナー消費量が多いこと、換言すると画像比率の高い画像が高濃度で連続的に出力されていることを意味するからである。このような変化率(ΔV/ΔT)によってトナー補給を行うことにより、出力値が基準レベルを大幅に超えてしまい、或いはさらにTEレベルをも越えてしまうことを回避でき、トナー濃度の著しい低下や、それに起因する画像濃度の低下、或いは更に、キャリア飛びなどの不都合を有効に回避することができる。
【0039】
また、出力上昇変化率(ΔV/ΔT)によるトナー補給を行った場合には、その変化率に応じて、エージングを行う。このエージングは、トナー無補給状態で且つ画像形成サイクルの停止状態で、現像剤の攪拌搬送のみを行うものであり、例えば現像器9内のスパイラル22及びパドル21のみを駆動させて現像剤の攪拌しながら現像器9内を循環させることにより行われる。かかるエージングにより、多量のトナーが補給された場合にも濃度ムラがなく、一定のトナー濃度を確保することができ、またトナーエンプティの誤検知も防止することができる。
【0040】
上記のエージングは、出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が高いほど長い時間行うことが好ましい。即ち、この変化率(ΔV/ΔT)が高いほど、画像比率が大きく、急激に多量のトナーが消費される結果として、多量のトナーが供給されるからである。従って、前述したトナー補給のための閾値とは別個に、複数の閾値を設定しておき、かかる閾値に対してのトナー補給後のエージング時間を設定しておくことができる。これにより、ベタ画像の如き画像比率が著しく高い画像が高濃度で連続的に出力が行われた場合から、画像比率が比較的高い画像(例えば写真画像と文字画像が混在しているようなもの)が高濃度で出力された場合にまで、不必要にエージングに時間をかけることなく、有効に対処することができる。例えば、変化率(ΔV/ΔT)が一定値以下の場合には、エージング時間をゼロ、即ち、エージングを行わないようにすることも可能である。
【0041】
尚、上記のような出力上昇変化率(ΔV/ΔT)の計測は、ΔTを比較的長く(例えば毎分30枚の画像出力が可能な場合は250msec程度)とって行うのがよい。ΔTを短時間として変化率(ΔV/ΔT)を計測すると、その変動が大きくなって、計測が不安定となってしまうためである。
【0042】
上記のように、トナー補給後にエージングが行われた後、画像形成サイクルが再開されることとなる。
【0043】
尚、本発明において、通常モード及び出力上昇変化率によるトナー補給は、単位時間で一定量のトナー量が補給される限りにおいて、例えば補給ローラ28を連続的に回転して連続的に行ってもよいし、補給ローラ28を間欠的に回転して断続的に行ってもよい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0045】
京セラミタ製の大型デジタル複写機を改造し、図1に示すように透磁率センサを取り付けた。この透磁率センサの感度は1V/1%(トナー濃度の1%変化に対して出力値が1V変化する)である。
また、現像器中に充填された現像剤は、正帯電トナーとフェライトキャリアとの混合物であり、その初期トナー濃度は5重量%に設定した。
【0046】
また、トナーホッパーからのトナー落下量は5〜10g/分であった。
【0047】
さらに、A0紙に画像形成を行う場合において、最高濃度で出力したときの画像比率とトナー消費量との関係は、以下の通りであった。
【0048】
実施例1
センサ出力値において、基準レベルを2V、TEレベルを3Vに設定すると同時に、センサ出力上昇変化率(ΔV/ΔT)の閾値を6mV/秒に設定し、該変化率(ΔV/ΔT)がこの閾値以上でトナー補給を行い、且つエージングを5分間行い、該閾値以下の変化値でトナー補給が行われる場合には、エージングを行わないように設定した。尚、出力変化値が6mV/秒は、A0紙での画像形成において、約30%の画像比率の画像を最大濃度で出力するときのトナー消費量に匹敵する。
【0049】
上記の条件で、A0紙を使用し、画像比率100%のベタ画像を最大濃度で連続して出力したところ、安定にトナー濃度の制御が行うことができ、トナーエンプティの誤検知や画像濃度の低下、キャリア飛びなどの不都合も生じなかった。
【0050】
実施例2
センサ出力上昇変化率(ΔV/ΔT)の閾値を13mV/秒(A0紙で画像比率50%に対応)及び4mV/秒(A0紙で画像比率15%に対応)に設定し、エージング時間を以下のように設定した。
13mV/秒以上: 6分
13mV/秒未満4mV/秒以上: 4分
4mV/秒未満: 2分
【0051】
さらに、出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が13mV/秒以上でトナー補給を行うように設定するとともに、センサ出力値については、実施例1と全く同様に設定した。
【0052】
上記の制御条件を採用し、A0紙について、画像比率100%、50%、25%、15%及び6%の画像出力を、それぞれ連続して行った。何れの場合も、安定にトナー濃度の制御が行うことができ、トナーエンプティの誤検知や画像濃度の低下、キャリア飛びなどの不都合も生じなかった。
【0053】
比較例1
出力上 昇変化率(ΔV/ΔT)に関する設定を全く行わなかった以外は実施例1と同様の制御条件を設定し、画像比率100%のベタ画像を最大濃度で連続して出力したところ、トナーエンプティの誤検知や画像濃度の低下、キャリア飛びなどの不都合がしばしば生じた。
【0054】
【発明の効果】
本発 明によれば、ベタ画像のように、画像比率の高い画像出力により、多量のトナーが消費されたときにも、トナー濃度の低下や、画像濃 度の低下、キャリア飛び、トナー濃度ムラによる画像ムラ、トナーエンプティの誤検知などを有効煮回避し、安定してトナー濃度の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に使用される現像器の構造を示す側断面図。
【図2】図1の現像器の平面断面図。
【図3】透磁率センサの出力値と時間との関係を示す図。
【符号の説明】
7:感光体ドラム
9:現像器
21:パドル
22:スパイラル
23:現像ロール
25:透磁率センサ
28:補給用ローラ
Claims (3)
- トナーと磁性キャリアとからなり、現像器中に充填された二成分系現像剤のトナー濃度を、透磁率センサの出力によって検知し、この出力値に応じて補給トナー収容容器から該現像器中にトナーを補給するトナー濃度制御方法において、
前記透磁率センサの出力電圧について、補給トナー収容容器から該現像器中にトナーを補給するための閾値をトナー補給電圧として設定し、且つ一定時間当りの前記透磁率センサの出力上昇変化率(ΔV/ΔT)について、該透磁率センサの出力電圧がトナー補給電圧以下であったときにも、該出力電圧が直ちに該トナー補給電圧トナーを超えてしまうような閾値を設定しておき、
前記透磁率センサの出力電圧がトナー補給電圧を超え、且つ出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が前記閾値以下である通常制御モードでは、その際に実行されている画像形成サイクルを実行しながら、該出力電圧がトナー補給電圧に低下するまでトナー補給を行い、引き続き画像形成サイクルを実行し、トナー補給開始から一定時間経過後に該出力電圧がトナー補給電圧にまで低下しないときには、トナーエンプティの信号を発して、次の画像形成サイクルは停止することとし、
前記出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が前記閾値を超えた出力上昇変化率による制御モードでは、トナー補給電圧を超えた透磁率センサの出力電圧がトナー補給電圧に低下するまでトナーを補給し、且つ次の画像形成サイクルを実行せず、トナー補給停止後に、一定時間、現像剤の攪拌動作のみを行うエージングを実行した後に次の画像形成サイクル工程を実行し、トナー補給開始から所定時間が経過した時点でセンサ出力値が前記トナー補給電圧にまで低下しない場合には、トナーエンプティの信号を発することを特徴とする二成分現像剤におけるトナー濃度制御方法。 - 前記透磁率センサの出力電圧について、前記トナー補給電圧よりも高い第2補給電圧を設定しておき、
該出力電圧が第2補給電圧を超えた前記通常制御モードでは、該出力電圧がトナー補給電圧に低下するまでトナー補給が行われ、且つその際に実行されている画像形成サイクルは実行するが、実行されている画像形成サイクルが終了した時点で画像形成を中断して次の画像形成サイクルを実行せず、トナー補給開始から所定時間が経過した時点でセンサ出力値が前記トナー補給電圧にまで低下しない場合には、トナーエンプティの信号を発することとし、
該出力電圧が第2補給電圧を超えていると同時に前記出力上昇変化率(ΔV/ΔT)が前記閾値を超えている出力上昇変化率による制御モードでは、前記出力上昇変化率による制御モードにしたがい、トナー補給停止後に一定時間エージングを実行する請求項1に記載のトナー濃度制御方法。 - 前記出力上昇変化率に複数の閾値を設定し、認識された出力上昇変化率が超えている閾値のレベルが高いほど、エージング実行時間が長く設定されている請求項1に記載のトナー濃度制御方法。
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