JP4213894B2 - X線管装置及びこれを用いたx線発生装置並びにx線画像診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線管装置及びこれを用いたX線発生装置並びにX線画像診断装置に係り、特にX線管の陽極の回転数を検出してX線曝射待機時間の短縮を図るとともにX線管の陽極にダメージを与えない回転陽極機構を有するX線管装置及びこれを用いたX線発生装置並びにX線画像診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子衝撃面を移動して許容負荷を増大させる回転陽極機構を有するX線管は、X線装置及びX線CT装置の分野で非常に多く用いられている。
このようなX線管の陽極は、回転子と傘状のターゲットからなり、誘導モータの原理で回転する。前記ターゲットを回転することによりターゲットの電子衝撃面積は増大し、短時間負荷の場合、焦点の単位面積当たりの入力を非常に大きくすることができるので、大容量のX線管が可能となる。前記X線管の陽極は、X線管球外にある固定子に電流を流して回転磁界を発生させると、X線管球内にある回転子コイルを具備した陽極が回転する。
【0003】
このように、陽極は、上記した誘導モータと同じ原理で回転するが、誘導モータと異なるのは、管球を覆っているガラス、またはメタルが固定子と回転子間に存在し,ギャップが大きいことである。
【0004】
このような構造の回転陽極X線管を用いたX線発生装置は、X線管からX線を曝射する前に陽極回転機構の固定子コイルに交流電圧(単相又は三相)を供給して回転磁界を発生させて陽極を回転させる。この陽極の回転が加速して前記誘導モータの発生するトルクと該誘導モータにかかる負荷トルク(陽極回転機構の機械系で決まるトルク)とが一致する一定の回転数となった後にX線高電圧装置から直流高電圧をX線管の陽極と陰極間に印加してX線を曝射し撮影を開始する。
【0005】
画像撮影の際、X線はX線管の陰極から電子ビームが発射され,その電子ビームが陽極ターゲットに衝突,反射してX線を発生する。陰極から発せられる電子ビームは非常に大きなエネルギーを持ち、電子ビームが衝突する陽極ターゲットが一瞬にして焼けてしまうのを回避する為に、上記のように陽極ターゲットを回転させている。
【0006】
上記のように陽極回転機構に電圧を供給し、陽極を回転駆動制御する装置は陽極駆動装置と呼ばれ、特開平2000-150193号公報に開示されているように、一般に、3つの動作モードで陽極を回転駆動制御する。第一の動作モードは起動モードで、この起動モードでは大きな起動トルクを必要とするので、例えば約500V程度の高い交流電圧を前記固定子コイルに供給して陽極を起動する。第二の動作モードは陽極が起動して設定した回転数、すなわち上記陽極回転機構の機械系で決まるトルクにほぼ一致する回転数付近で回転する定常モードで、その駆動トルクは前記起動トルクよりも小さいので約200V程度の低い交流電圧を前記固定子コイルに供給する。第三の動作モードは陽極回転を停止させるための制動モードで、直流制動をかけるために約120V程度の直流電圧を固定コイルに供給する。上記起動モードの動作時間は、陽極が所定の回転数に達するまでの時間である。この時間は、陽極回転軸に回転数計を取り付けて、これにより直接回転数を検出することができれば正確に検出する。しかし、前記回転数計を高温、真空、高電圧の環境下でかつ限られたスペースに取り付けることは技術的に困難であるために、予め陽極が所定の回転数に達するまでの時間を測定しておき、この時間をX線曝射待機時間としてX線高電圧装置に設定しておく。従って、撮影時は、X線高電圧装置から陽極駆動装置に回転駆動信号を出力し、予め設定された上記X線曝射待機時間が経過するとX線を曝射して撮影を開始する仕組みになっている。つまり、陽極が所定の回転数に達した状態でX線を曝射するようになっている。このようにして、X線装置は画像撮影時、X線高電圧装置が陽極駆動装置に陽極駆動信号を出力し、陽極駆動装置が陽極を回転駆動し、所定の回転数に確実に達するようにX線曝射待機時間予め設定しておき、このX線曝射待機時間を経過するとX線高電圧装置から直流の高電圧を出力し、これをX線管に印加して該X線管からX線が曝射される、といった一連の動作をする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のX線曝射待機時間と称した、回転陽極が所定の回転数に達するまでの時間は、以下の条件によって影響される。
【0008】
(1)固定子コイルの温度の影響
陽極の回転数が所定の回転数に達するまでの時間は、例えば、定常回転数の8000rpmに達する時間は、回転陽極の固定子コイルが冷えている状態では約5秒程度であり、撮影を何度か行い、固定子コイルが温まっている状態では約6秒程度となって、固定子コイルが温まっている状態の方が所定の回転数に達するまでの時間が多くかかる。
【0009】
これは、固定子コイルが温まることによって該固定子コイルの抵抗値が大きくなり電流小さくなるためである。このため、陽極が所定の回転数に達するまでのX線曝射待機時間は、固定子コイルが温まった状態で設定していた。このような方法でX線曝射待機時間を固定子コイルが温まっている状態の6秒に設定すると、固定子コイルが冷えている状態ではX線曝射まで約1秒程度の無駄時間が生じることになる。この1秒の無駄時間は、例えばバリュームによる胃の造影検査のように、X線透視で観察して撮影部位を決めて撮影する場合等においては撮影のタイミングを失したり、あるいはX線画像診断装置のスループットの向上を阻害する要因となるので、前記無駄時間はできるだけ小さい方が望ましい。
【0010】
(2)陽極駆動装置の電源電圧の変動の影響
陽極回転機構の固定子コイルに交流電圧(単相又は三相)を供給して回転磁界を発生させて陽極を回転させる陽極駆動装置は、商用交流電源電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧を単相又は三相の交流電圧に変換するインバータ回路を用いている。このインバータ回路の出力電圧は、前記商用交流電源電圧に対応して変動する。陽極駆動機構に発生するトルクは固定子コイルに印加される電圧のほぼ2乗に比例するので、商用電源電圧が変動すると陽極駆動機構に発生するトルクも変動することになり、これによって陽極の回転数が所定の回転数に達するまでの時間も異なり、これに対しては何ら考慮していない。
【0011】
(3)その他
上記(1),(2)の他に、陽極の温度や陽極回転軸の摩擦力の変化などにより陽極回転特性が変化し、これに対する配慮も必要である。
【0012】
このように、陽極回転数が所定の回転数に達するまでの時間は、さまざまな要因によって変化するので、従来のX線曝射待機時間を設定して行う方法では、上記(1)〜(3)等による諸条件を考慮して該X線曝射待機時間は十分余裕のある値に設定しなければならない。したがって、撮影タイミングを逸したり、撮影準備から撮影までの時間が長くなったり、さらに何等かの事情で陽極の回転数が設定した回転数に達する前にX線曝射が開始された場合は、陽極の発熱が増大して、放電を誘発したり、X線管の寿命を短くしてしまうということが懸念される。
【0013】
そこで、本発明の目的は、X線曝射待機時間の短縮を図るとともにX線管の陽極にダメージを与えない陽極回転機構を有するX線管装置及びこれを用いたX線発生装置及びX線画像診断装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、陽極を回転させるための回転磁界を発生させる固定子コイルの電圧と電流または電流情報から前記陽極の回転数が所定値に達したことを検出し、この検出信号によりX線高電圧装置から出力される直流高電圧を前記X線管装置の陽極と陰極間に印加して被検体にX線を曝射し該被検体を撮影するものである。すなわち、本発明のX線管装置は、下記の陽極回転数検出機能を有するものである。
【0015】
(1)誘導モータにより陽極を回転させる陽極回転機構を有するX線管装置において、前記誘導モータを回転させるための回転磁界を発生させる固定子コイルに関連する電圧と電流もしくは電流情報より上記陽極の回転数を検出する。
【0016】
(2)上記(1)の陽極の回転数を検出する手段は、固定子コイルの電圧を検出する電圧検出手段と、固定子コイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電圧検出手段と電流検出手段の出力より前記回転陽極機構のインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段と、陽極の所定の回転数に対応する前記回転陽極機構の所定インピーダンスを記憶しておく所定インピーダンス記憶手段と、この所定インピーダンスと前記インピーダンス演算手段で求めた現在のインピーダンスとを比較し、インピーダンスが前記所定インピーダンス近傍になったことを検出する手段とを備えて成る。
【0017】
(3)上記(1)の陽極の回転数を検出する手段は、固定子コイルの電圧を検出する電圧検出手段と、固定子コイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電圧検出手段と電流検出手段の出力より前記回転陽極機構のインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段と、このインピーダンス演算手段で求めた陽極回転開始時の初期インピーダンスを記憶する初期インピーダンス記憶手段と、この初期インピーダンスと前記インピーダンス演算手段で求めたインピーダンスとの比より陽極の回転数が所定の回転数に達したことを検出する手段とを備えて成る。
【0018】
(4)上記(1)の陽極の回転数を検出する手段は、固定子コイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、設定した陽極の回転数に対応する前記固定子コイル電流を記憶しておく設定固定子コイル電流記憶手段と、該設定固定子コイル電流と前記電流検出手段で求めた固定子コイル電流とを比較し固定子コイル電流が所定の固定子コイル電流近傍に達したことを検出する手段とを備えて成る。
【0019】
(5)上記(1)の陽極の回転数を検出する手段は、固定子コイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、この電流検出手段で検出した陽極回転開始時の初期固定子コイル電流を記憶する初期固定子コイル電流記憶手段と、この初期固定子コイル電流と前記電流検出手段で検出した固定子コイル電流との比より陽極の回転数が所定の回転数に達したことを検出する手段とを備えて成る。
【0020】
(6)上記(2),(3)のインピーダンス演算手段に入力する固定子コイルの電圧情報は、該固定子コイルに印加する電圧の目標値であっても良い。
【0021】
また、本発明のX線発生装置は、陽極回転機構を有するX線管装置と、このX線管装置の陽極と陰極間に印加する直流高電圧を発生するX線高電圧装置と、前記陽極の回転数が所定値になった時に前記X線高電圧装置の出力電圧を前記X線管装置の陽極と陰極間に印加して該X線管装置からX線を発生させる指令を出力するX線曝射開始指令手段を含むX線発生装置であって、前記X線管装置に上記(1)〜(6)の陽極回転数検出機能を有するX線管装置を用いたものである。 また、本発明のX線画像診断装置は、X線発生源に上記のX線発生装置を用いたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
《本発明のX線管装置及びX線発生装置》
図1は、X線管装置の陽極の回転数が所定値に達したことを検出して該X線管装置の陽極と陰極間に直流高電圧を印加し、X線を発生させる本発明のX線管装置及びX線発生装置の第1の実施例を示す図である。図1において、X線管装置2は、回転陽極23とフィラメント陰極24を真空容器に入れたX線管21と、回転磁界を発生させて前記回転陽極23を回転させるための固定子コイル22などから構成される。同図に示すように、X線は、フィラメント陰極24を所定の温度に加熱する回路(図示省略)で加熱した状態でX線高電圧装置1の出力電圧(直流高電圧)を回転陽極23とフィラメント陰極24間に印加することによって、X線管装置2のX線管21から発生する。
【0023】
前記X線高電圧装置には、日本工業規格の医用X線高電圧装置通則JIS Z 4702で定められている全ての装置が適用できる。すなわち、 変圧器式X線高電圧装置(電源の各周期に多ピークの整流出力電圧を供給する単相及び三相電源作動のX線高電圧装置で、電源の各周期ごとに二つのピーク値を持つ整流出力電圧が得られる2ピー形装置、六つのピーク値を持つ整流出力電圧が得られる6ピーク形装置、12のピーク値を持つ整流出力が得られる12ピーク形装置)、コンデンサ式X線高電圧装置(電気エネルギーを高電圧コンデンサに蓄え、その放電によってX線管に1回の負荷を供給するようにした、撮影用コンデンサの容量が2mF以下でX線照射の開閉を高電圧側で行う装置)、インバータ式X線高電圧装置(X線照射中に直流電力を交流電圧に変換して必要な高電圧を得る装置で、変圧器形及びエネルギー蓄積形の2種類があり、撮影時、X線照射エネルギーを電源設備から供給する変圧器形装置、電池またはコンデンサから供給するエネルギー蓄積形装置)などの全てのX線高電圧装置が適用できる。
【0024】
前記回転陽極23は、陽極駆動装置3から出力される所定の周波数と所定の電圧の交流電圧を固定子コイル22に印加して発生した回転磁界により上記所定の周波数に対応した回転数で回転する。図1の場合の回転陽極の誘導モータは三相式の場合であるが、本発明は、これに限定するものではなく単相式のものに適用することもできる。
【0025】
前記陽極駆動装置3は、例えば特開平2000-150193号公報に開示されている、商用の交流電源をコンバータ回路で直流電圧に変換し、この直流電圧をインバータ回路により本発明のX線発生装置を用いるX線画像診断装置の動作モードに対応した周波数、電圧の単相あるいは三相の交流電圧が出力できるように構成されているもの、あるいは商用電源からの単相や三相の交流電圧を所定の電圧に変換し、これを前記固定子コイル22に印加するように構成したものなど、X線画像診断装置の使用目的に応じた回転磁界を発生するための単相あるいは三相の交流電圧を固定子コイルに供給できるものであれば、どのような態様のものでも良い。このような構成のX線発生装置において、X線管装置の陽極の回転数が設定した回転数に達してX線の曝射が可能かどうかの判定は、前記陽極駆動装置3の出力電圧と出力電流を検出して、これらの検出値から以下のようにして行う。
【0026】
すなわち、陽極駆動装置3の出力電圧を検出する電圧検出器4と、陽極駆動装置3の出力電流を検出する電流検出器5と、これら電圧検出器4と電流検出器5からの検出電圧、電流値を入力して固定子コイル22を含む回転陽極機構のインピーダンスを演算するインピーダンス演算装置6と、回転陽極23の起動開始時の前記インピーダンスの演算値を記憶する初期インピーダンス記憶装置7と、該初期インピーダンス記憶装置7に記憶してある起動開始時のインピーダンス値と前記インピーダンス演算装置6で演算して求めた現在のインピーダンス値とを入力して、その比を演算して陽極の回転数が設定した回転数に達してX線の曝射が可能かどうかを判定し、X線高電圧装置1に対してX線曝射の開始を指令するX線曝射開始判定装置8とを設け、このX線曝射開始判定装置8から出力されるX線曝射開始信号をX線高電圧装置1に入力して該X線高電圧装置1の出力電圧(直流高電圧)をX線管装置2の回転陽極23と陰極24間に印加することによってX線の曝射を開始する。前記電圧検出器4には、交流電圧が検出できる周知の変圧器が用いられ、電流検出器5には、交流電流が検出できる周知のホール素子を用いたカレントトランスなどが用いられる。また、インピーダンス演算装置6、初期インピーダンス記憶装置7及びX線曝射開始判定装置8は、前記電圧検出器4及び電流検出器5で検出した交流の電圧、電流値を直流に変換し、これをディジタル値に変換するアナログ/ディジタル変換器(A/D変換器)、インピーダンスを求めるための割り算等の各種の演算機能を有する中央処理装置(CPU)、初期インピーダンスを初めととする各種の情報を記憶する記憶装置及び外部との情報の入出力に用いる入出力インターフェイスなどを含む周知のマイクロコンピュータで構成される。
【0027】
ここで、前記インピーダンス演算装置6で演算して求める固定子コイル22を含む回転陽極機構のインピーダンスの演算方法について説明する。上記図1に示す三相陽極回転機構を持つX線管装置の各相のインピーダンスは、固定子コイルの相電圧と相電流との比(実効値)で求められ、図1の場合は線間電圧を検出しているので、相電圧は線間電圧/√3となる。陽極回転機構のモータが単相式の場合の各相のインピーダンスはコモンに対する線間電圧/相電流で求めることができる。
【0028】
次に、上記インピーダンスと回転陽極の回転数との関係について説明する。回転陽極駆動機構のモータは誘導モータと同様であり、固定子コイルによって発生する回転磁界の回転速度は前記誘導モータの極数p、前記固定子コイルに印加する電圧の周波数fによって決まり、その同期速度nsは、ns=2f/p(rps)で表わされる。運転中における回転陽極の回転数nRは上記同期速度nsよりもわずか低く、その率sはすべりといい、s=(ns−nR)/nsで表わされる。本発明の回転陽極機構を有するX線管装置においても上記の関係が成り立ち、すべりが小さく、同期速度付近で回転しているところでは効率が高く、固定子コイルに流れる電流が小さいために固定子コイル側から見た陽極回転機構のインピーダンスは大きい。これに対して、起動時のすべりが大きいときところでは効率が悪く、大きな電流が流れてインピーダンスは小さくなる。本発明の第1の実施例は、上記回転数とインピーダンスの関係から回転陽極の回転数を推定するものである。
【0029】
図2に、陽極駆動装置3の出力電圧及びその周波数を一定とした場合における回転陽極23の誘導モータの回転数nと該モータの発生するトルクτ、固定子コイル22の相電流Ia及び上記インピーダンス演算装置6で演算して求めたインピーダンスZaとの関係を示す。この図2の特性において、回転陽極の誘導モータの静止時、すなわち、すべりが1におけるインピーダンスをZa0、誘導モータの回転が加速して該誘導モータの発生するトルクと誘導モータにかかる負荷トルク(陽極回転機構の機械系で決まるトルク)とが一致する同期速度付近の回転数(以下、定常回転数と呼ぶ)に達して一定の回転数で回転している時のインピーダンスをZasとすると、これらのインピーダンスの比からX線曝射開始が可能な回転数に達していることを検出することができる。
【0030】
そこで、撮影開始指令(図示省略)により陽極駆動装置3を動作させて固定子コイルに三相交流電圧を印加すると、回転陽極23は回転を開始する。この回転開始時、すなわちすべりs=1における固定子コイル22の線間電圧を電圧検出器4により、相電流を電流検出器5により検出し、これらの検出値をインピーダンス演算装置6に取り込んで前記すべりs=1におけるインピーダンスをZa0を計算して、この値を初期インピーダンス記憶装置7に記憶する。回転陽極23の回転が加速し、定常回転数に達するまでの間、逐次インピーダンスを計算し、この値と前記初期インピーダンス記憶装置に記憶してある初期インピーダンスZa0とをX線曝射開始判定装置8に取り込み、これらの比を求め、現在のインピーダンスが定常回転数に相当するインピーダンスZasになり、このインピーダンスZasと初期インピーダンスZa0との比が所定値になったかどうかを判定する。
【0031】
該ZasとZa0との比の所定値は、予めX線曝射開始判定装置8に記憶しておく必要がある。前記ZasとZa0との比が所定値になったことを判断したならば、X線曝射開始判定装置8からX線曝射開始信号をX線高電圧装置1に入力して該X線高電圧装置1の出力電圧(直流高電圧)をX線管装置2の回転陽極23と陰極24間に印加し、X線の曝射を開始する。このように、静止時と定常回転数時のインピーダンスの比から定常回転数に達したかどうかを判断するように構成したことによって、陽極駆動装置3の電源に商用電源を用いた場合に、該商用電源電圧が変動しても初期インピーダンスと定常回転数時のインピーダンスは比例して変化するので、前記ZasとZa0との比は陽極駆動装置3の電源電圧変化の影響を受けない。
【0032】
なお、前記陽極駆動装置3の電源電圧の変化の影響が小さい場合あるいは影響を全く受けない場合は、定常回転数時のインピーダンスZasを予めX線曝射開始判定装置8に記憶しておき、インピーダンスが前記Zasになったことを判断してX線曝射を開始するようにしても良い。このように構成すれば、初期インピーダンス記憶装置7が不要となり、装置構成が簡単になる。
【0033】
図3は、X線管装置の陽極の回転数が所定値に達したことを検出して該X線管装置の陽極と陰極間に直流高電圧を印加し、X線を発生させる本発明のX線管装置及びX線発生装置の第2の実施例を示す図である。図3の第2の実施例は、図2の相電流Iaが起動開始時と定常時で大きく異なる点に着目し、固定子コイル22に流れる電流値を用いて陽極の回転数が所定値に達したことを検出するもので、電圧検出器4を不要とした点、初期インピーダンス記憶装置7に代わって初期電流記憶装置9を設けた点及びX線曝射開始判定装置8'の判定方法が異なる点以外は図1の第1の実施例と同じである。
【0034】
図2の特性において、回転陽極の誘導モータの回転開始時のすべりが1における固定子コイルに流れる電流をIa0、誘導モータの回転が加速して該誘導モータの発生するトルクと前記誘導モータにかかる負荷トルク(陽極回転機構の機械系で決まるトルク)とが一致する同期速度付近の回転数(以下、定常回転数と呼ぶ)に達して一定の回転数で回転している時の固定子コイルに流れる電流をIasとすると、これらの電流値の比からX線曝射開始が可能な回転数に達していることを検出することができる。
【0035】
そこで、撮影開始指令(図示省略)により陽極駆動装置3を動作させて固定子コイルに三相交流電圧を印加すると、回転陽極23は回転を開始する。この回転開始時のすべりs=1における固定子コイル22の相電流を電流検出器5により検出し、この検出値Ia0を初期電流記憶装置9に取り込んで記憶する。回転陽極23の回転が加速し、定常回転数に達するまでの間、逐次相電流Iaを検出し、この検出値と前記初期電流記憶装置9に記憶してある初期電流値Ia0とをX線曝射開始判定装置8'に取り込み、前記IasとIa0との比を求め、現在の相電流値が定常回転数に相当する電流値Iasになり、この電流値Iasと初期電流値Ia0との比が所定値になったかどうかを判定する。
【0036】
前記定常回転数時の電流値Iasと初期電流値Ia0との比の所定値は、予めX線曝射開始判定装置8'に記憶しておく必要がある。前記IasとIa0との比が所定値になったことを判定したならば、X線曝射開始判定装置8'からX線曝射開始信号をX線高電圧装置1に入力して、該X線高電圧装置1の出力電圧(直流高電圧)をX線管装置2の回転陽極23と陰極24間に印加し、X線の曝射を開始する。このように、回転開始時と定常回転数時の相電流の比から定常回転数に達したかどうかを判断するように構成したことによって、陽極駆動装置3の電源電圧が変動しても初期電流値と定常回転数時の電流値は比例して変化するので、陽極駆動装置3の電源電圧の変化の影響を受けない。
【0037】
なお、前記陽極駆動装置3の電源電圧の変化の影響が小さい場合あるいは影響を全く受けない場合は、定常回転数時の電流値Iasを予めX線曝射開始判定装置8'に記憶しておき、電流値が前記Iasになったことを判断してX線曝射を開始するようにしても良い。このように構成すれば、初期電流値記憶装置が不要となり、装置構成が簡単になる。
【0038】
なお、上記第1の実施例においては、起動時などの大きなトルクの必要なときに陽極駆動装置3の出力電圧を上げることによって起動時間の短縮を図ったとしても、インピーダンスに影響は無く、より正確に回転数を推定することが可能となる。また、電圧検出器4を設けてあるが、これの代わりに陽極駆動装置3の出力電圧の目標値を用い、この目標値と電流検出器によって検出した電流値とからインピーダンスを求めるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0039】
上記の実施例で説明したように、本発明のX線管装置及びX線発生装置は、
(1)陽極回転機構を有するX線管装置の陽極回転数を陽極回転用回転磁界を発生させる固定子コイルの電圧、電流情報を用いて検出するようにした。したがって、前記陽極回転数を高温、真空、高電圧の環境下でかつ限られたスペースに取り付けて検出する必要がない。
(2)上記陽極回転数検出装置で検出した回転数情報を用いて陽極回転機構の誘導モータが最も効率の良い回転数(定常回転数)に達したことを検出してX線曝射開始指令を生成し、この指令でX線高電圧装置から直流高電圧を出力し、この電圧をX線管装置の回転陽極と陰極間に印加してX線曝射を開始するようにした。したがって、従来のX線曝射待機時間による方法よりもX線曝射待機時間を短縮することができると共に陽極回転機構の誘導モータを最も効率の良い回転数でX線曝射を開始できるのでX線管の陽極にダメージを与えない。
という効果が得られる。
【0040】
《本発明のX線画像診断装置》
電子衝撃面を移動して許容負荷を増大させる回転陽極機構を有するX線管は、X線撮影装置及びX線CT装置などのX線画像診断装置の分野で非常に多く用いられている。
【0041】
上記回転陽極X線管装置を用いたX線画像診断装置は、X線管からX線を曝射する前に陽極回転機構の固定子コイルに交流電圧(単相又は三相)を供給して回転磁界を発生させて陽極を回転させる。この陽極の回転が加速して陽極回転機構の誘導モータの発生するトルクと該誘導モータにかかる負荷トルク(陽極回転機構の機械系で決まるトルク)とが一致する一定の回転数、すなわち前記誘導モータの効率が最も良い回転数でX線高電圧装置から直流高電圧をX線管の陽極と陰極間に印加してX線を曝射し撮影を開始する。
【0042】
図4は本発明の第三の実施例で、図1のX線管装置及びX線発生装置をX線CT装置に用いた該X線CT装置の全体構成図である。
【0043】
図4において、11は周波数が50Hz又は60Hzの三相交流電源、12a,12b,12cは前記交流電源11に接続されこの交流電圧をスキャナの回転部100へ伝達するためのブラシ、13a,13b,13cは前記ブラシ12a,12b,12cに接触しながらスキャナ回転部100と共に回転するスリップリングで、前記ブラシ12a,12b,12cと前記スリップリング13a,13b,13cで電力伝達機構を構成している。スキャナ回転部100には、X線発生装置10とX線検出部101を搭載し、前記交流電源11からの交流電力を前記X線発生装置10に供給し、該X線発生装置10から発生するX線を被検体130に照射して該被検体130を透過したX線を前記X線検出部101で検出する。前記X線発生装置10は、図1に示したように、交流電源11から前記ブラシ12a,12b,12cとスリップリング13a,13b,13cから成る電力伝達機構を介して交流電力が供給されて直流の高電圧を発生するX線高電圧装置1と、このX線高電圧装置1で発生した直流高電圧を回転陽極23と陰極24間に印加してX線を発生するX線管21及び前記回転陽極23を回転させる回転磁界を発生させるための固定コイル22を含む陽極回転機構から成るX線管装置2と、前記電力伝達機構から交流電力が供給されて(図4の場合はブラシ12a,12bとスリップリング13a,13bから成る電力伝達機構)前記固定子コイル22に回転磁界を発生させるための所定の周波数と所定の電圧の三相交流電圧を生成する陽極駆動装置3と、前記固定子コイル22に印加される電圧を検出する電圧検出器4及び固定子コイル22に流れる電流を検出する電流検出器5と、これらの電圧検出器4と電流検出器5の検出値とから固定子コイル22を含む陽極回転機構の入力側から見たインピーダンスを演算するインピーダンス演算装置6と、前記回転陽極の回転開始時、すなわち陽極回転機構の誘導モータのすべりが1におけるインピーダンスの値を記憶する初期インピーダンス記憶装置7と、前記陽極回転機構の誘導モータが最も効率の良い回転数(定常回転数)に達したことを検出してX線曝射開始指令を出力するX線曝射開始判定装置8とより成る。
【0044】
X線高電圧装置1は、スキャナ回転盤に搭載されて高速に回転されるために、その重量はできるだけ軽い方が望ましい。このため、X線高電圧装置には、高電圧変圧器を小型、軽量化でき、かつX線管21の回転陽極23と陰極24間に印加される直流高電圧(管電圧)の脈動を小さくできるインバータ式X線高電圧装置が用いられる。
【0045】
このインバータ式X線高電圧装置は、商用の交流電源をコンバータ回路で直流電圧に変換し、この直流電圧をインバータ回路で前記商用電源周波数よりも高い周波数の交流電圧に変換して、この高周波の交流電圧を高電圧変圧器で昇圧し、この昇圧した交流高電圧を高電圧整流器で直流の高電圧に整流して、この直流高電圧をX線管に印加してX線を発生するように構成される。図4のX線高電圧装置1の場合は、交流電源11からブラシ12a,12b,12cとスリップリング13a,13b,13cから成る電力伝達機構を介して三相の交流電力が前記コンバータ回路に入力される。
【0046】
また、陽極駆動装置3は、一般に、3つの動作モードで陽極を回転駆動制御する機能が必要である。すなわち、第一の動作モードは起動モードで、この起動モードでは大きな起動トルクを必要とするので、例えば約500V程度の高い交流電圧を前記固定子コイルに供給して陽極を起動する。第二の動作モードは陽極が起動して設定した回転数、すなわち上記陽極回転機構の機械系で決まるトルクにほぼ一致する回転数付近で回転する定常モードで、その駆動トルクは前記起動トルクよりも小さいので約200V程度の低い交流電圧を前記固定子コイルに供給する。第三の動作モードは陽極回転を停止させるための制動モードで、直流制動をかけるために約120V程度の直流電圧を固定コイルに供給する。これらの各動作モードに対応した周波数と電圧を出力するために、図4に示すように固定子コイルが三相式の場合は、例えば特開平2000-150193号公報に開示されている、商用の交流電源をコンバータ回路で直流電圧に変換し、この直流電圧をインバータ回路で前記各動作モードに対応した周波数、電圧の三相の交流電圧が出力できるように構成されている。
【0047】
以上によりX線発生装置10を構成し、X線管21から放射されたX線は、被検体130を透過したのち、X線検出部101を構成する検出器102で検出され、さらに増幅器103で増幅される。13dはスキャナの回転部100に搭載されたスリップリング、12dはスリップリング13dに接触しながら前記増幅器103から出力されるX線検出信号を伝達するブラシ、110はブラシから伝達されたX線検出信号から断層像を生成する画像処理装置、120は画像処理装置110に接続され生成された断層像を表示する画像表示装置である。上記X線発生装置10とX線検出部101を搭載したスキャナ回転部100と、図示省略の被検体130を載置する寝台と、前記画像処理装置110と画像表示装置120を含む図示省略の操作卓との3つのユニットでX線CT装置は構成される。
【0048】
次に、このように構成されたX線CT装置の動作について説明する。
図示省略の操作卓からスキャン開始指令が発生すると、この指令により陽極駆動装置3を動作させて固定子コイルに三相交流電圧を印加すると、回転陽極23は回転を開始する。この回転開始時には大きな起動トルクを要するので、例えば500Vの電圧を固定子コイルに印加する(第一の動作モード)。起動開始時、すなわちすべりs=1における固定子コイル22の線間電圧を電圧検出器4により、相電流を電流検出器5により検出し、これらの検出値をインピーダンス演算装置6に取り込んで前記すべりs=1におけるインピーダンスZa0を計算して、この値を初期インピーダンス記憶装置7に記憶する。回転陽極23の回転が加速し、定常回転数に達するまでの間、逐次インピーダンスを計算し、この値と前記初期インピーダンス記憶装置に記憶してある初期インピーダンスZa0とをX線曝射開始判定装置8に取り込み、これらの比を求め、現在のインピーダンスが定常回転数に相当するインピーダンスをZasになり、このインピーダンスZasと初期インピーダンスZa0との比が所定値になったかどうかを判定する。
【0049】
該ZasとZa0との比の所定値は、予めX線曝射開始判定装置8に記憶しておく必要がある。前記ZasとZa0との比が所定値になったことを判断したならば、X線曝射開始判定装置8からX線曝射開始信号をX線高電圧装置1に入力して該X線高電圧装置1の出力電圧(直流高電圧)をX線管装置2の回転陽極23と陰極24間に印加し、X線の曝射を開始する。この時の陽極回転数は設定した回転数、すなわち上記陽極回転機構の機械系で決まるトルクにほぼ一致する回転数に達しているので、回転陽極を駆動するトルクは前記起動トルクよりも小さいので約200V程度の低い交流電圧を前記固定子コイルに供給する(第二の動作モード)。そして、スキャナ回転部100に搭載したX線発生装置10とX線検出部101が一体となって被検体130の周りを回転して一定角度ごとに前記X線発生装置10のX線管21から被検体130にX線を照射する。X線管21から放射されたX線は,被検体130を透過したのち、X線検出部101を構成する検出器102で検出し、さらに増幅器103で増幅する。この増幅した信号はスキャナの回転部100に搭載されたスリップリング13dとブラシ12dを介して画像処理装置110に入力され、再構成処理を行って得た断層像を画像表示装置120に表示する。前記再構成に必要なデータの計測終了によりX線管からのX線曝射を終了し、約120V程度の直流電圧を固定コイルに流して直流制動をかけて陽極の回転を停止させる(第三の動作モード)。
【0050】
このように、起動開始時と定常回転時のインピーダンスの比から定常回転数に達したかどうかを判断するように構成したことによって、陽極駆動装置3の電源電圧が変動しても初期インピーダンスと定常回転数時のインピーダンスは比例して変化するので、前記ZasとZa0との比は陽極駆動装置3の電源電圧変化の影響を受けない。なお、前記陽極駆動装置3の電源電圧の変化の影響が小さい場合、あるいは影響を全く受けない場合は、定常回転数時のインピーダンスZasを予めX線曝射開始判定装置8に記憶しておき、インピーダンスが前記Zasになったことを判断してX線曝射を開始するようにしても良い。
【0051】
このように構成すれば、初期インピーダンス記憶装置7が不要となり、装置構成が簡単になる。なお、上記第4図の実施例においては、起動時などの大きなトルクが必要なときに陽極駆動装置3の出力電圧を上げることによって起動時間の短縮を図ったとしても、インピーダンスに影響は無く、より正確に回転数を推定することが可能となる。また、電圧検出器4を設けてあるが、これの代わりに陽極駆動装置3の出力電圧の目標値を用い、この目標値と電流検出器5によって検出した電流値とからインピーダンスを求めるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0052】
上記のように、本発明のX線管装置及びX線発生装置をX線CT装置に適用することにより、陽極の回転数が最も効率の良い回転数に達したことを検出してX線曝射を開始するようにしたので、従来のX線曝射待機時間を十分余裕のある値に設定してX線曝射を開始する必要がない。したがって、陽極の回転開始からX線曝射までの時間が短縮されるので、装置のスループットの向上を図ることができる。また、何等かの事情で陽極の回転数が設定した回転数に達する前にX線曝射が開始されるということがないので、陽極の発熱が増大して、放電を誘発したり、X線管の寿命を短くしてしまうということがなくなるので、X線CT装置の信頼性が向上する。
【0053】
図5は本発明の第四の実施例で、図3のX線管装置及びX線発生装置をX線CT装置に用いた該X線CT装置の全体構成図である。図示省略の操作卓からスキャン開始指令が発生すると、この指令により陽極駆動装置3を動作させて固定子コイルに三相交流電圧を印加すると、回転陽極23は回転を開始する。この回転開始時のすべりs=1における固定子コイル22の相電流を電流検出器5により検出し、この検出値Ia0を初期電流記憶装置9に取り込んで記憶する。
【0054】
回転陽極23の回転が加速し、定常回転数に達するまでの間、逐次相電流Iaを検出し、この検出値と前記初期電流記憶装置9に記憶してある初期電流値Ia0とをX線曝射開始判定装置8'に取り込み、前記IasとIa0との比を求め、現在の相電流値が定常回転数に相当する電流値Iasになり、この電流値Iasと初期電流値Ia0との比が所定値になったかどうかを判定する。
【0055】
前記定常回転数時の電流値Iasと初期電流値Ia0との比の所定値は、予めX線曝射開始判定装置8'に記憶してある。前記IasとIa0との比が所定値になったことを判定したならば、X線曝射開始判定装置8'からX線曝射開始信号をX線高電圧装置1に入力して該X線高電圧装置1の出力電圧(直流高電圧)をX線管装置2の回転陽極23と陰極24間に印加し、X線の曝射を開始する。
【0056】
そして、スキャナ回転部100に搭載したX線発生装置10とX線検出部101が一体となって被検体130の周りを回転して一定角度ごとに前記X線発生装置10のX線管21から被検体130にX線を照射する。X線管21から放射されたX線は、被検体130を透過したのち、X線検出部101を構成する検出器102で検出し、さらに増幅器103で増幅する。この増幅した信号はスキャナの回転部100に搭載されたスリップリング13dとブラシ12dを介して画像処理装置110に入力され、再構成処理を行って得た断層像を画像表示装置120に表示する。
【0057】
このように、起動開始時と定常回転時の相電流の比から定常回転数に達したかどうかを判断するように構成したことによって、陽極駆動装置3の電源電圧が変動しても初期電流値と定常回転数時の電流値は比例して変化するので、前記陽極駆動装置3の電源電圧の変化の影響を受けない。
【0058】
なお、前記陽極駆動装置3の電源電圧の変化の影響が小さい場合、あるいは影響を全く受けない場合は、定常回転数時の電流値Iasを予めX線曝射開始判定装置8'に記憶しておき、電流値が前記Iasになったことを判断してX線曝射を開始するようにしても良い。このように構成すれば、初期電流値記憶装置が不要となり、装置構成が簡単になる。
【0059】
上記の第四の実施例でもX線CT装置としての効果は第三の実施例と同様で、第三の実施例よりも装置構成が簡単である。
【0060】
以上は本発明のX線管装置及びX線発生装置をX線画像診断装置に適用する例としてX線CT装置に用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、X線CT装置以外の陽極回転機構を有するX線管装置を用いた循環器X線診断装置やその他のX線画像診断装置に用いて有効なことは言うまでもない。
【0061】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、陽極回転機構を有するX線管装置の陽極の回転数を最も効率の良い回転数(定常回転数)に達したことを検出してX線の曝射を開始するようにしたことにより、従来のX線曝射待機時間による方法よりもX線曝射待機時間を短縮することができると共に陽極が定常回転数に達しない加速の途中でX線の曝射を開始することがないのでX線管の陽極にダメージを与えることがなく該X線管の寿命を長くすることができる。
また、このX線発生装置をX線CT装置を初めとするX線画像診断装置を適用することによって、装置のスループットの向上と信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるX線管装置及びこれを用いたX線発生装置の第1の実施例を示す図。
【図2】回転陽極X線管装置の陽極回転誘導モータの特性を示す図。
【図3】本発明によるX線管装置及びこれを用いたX線発生装置の第2の実施例を示す図。
【図4】図1のX線発生装置をX線CT装置に用いた本発明の第3の実施例図。
【図5】図3のX線発生装置をX線CT装置に用いた本発明の第4の実施例図。
【符号の説明】
1…X線高電圧装置、2…X線管装置、3…陽極駆動装置、4…電圧検出器、5…電流検出器、6…インピーダンス演算装置、7'…初期インピーダンス記憶装置,8,8’…X線曝射開始判定装置,10…X線発生装置、11…交流電源、12a,12b,12c,12d…ブラシ、13a,13b,13c,13d…スリップリング、21…X線管、22…固定子コイル、23…回転陽極、24…陰極、100…スキャナ、101…X線検出部、102…検出器、103…増幅器、110画像処理装置、120画像表示装置、130被検体
Claims (5)
- 固定子コイルを有する誘導モータにより陽極を回転させる陽極回転機構を有するX線管装置において、
前記固定子コイルの電圧を検出する電圧検出手段と、
前記固定子コイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電圧検出手段と前記電流検出手段の出力より前記回転陽極機構のインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段と、
前記陽極の所定の回転数に対応する前記回転陽極機構の所定インピーダンスを記憶しておく所定インピーダンス記憶手段と、
前記インピーダンス演算手段で求めたインピーダンスが前記所定インピーダンス近傍になったことを検出する手段と、を備えて成ることを特徴とするX線管装置。 - 固定子コイルを有する誘導モータにより陽極を回転させる陽極回転機構を有するX線管装置において、
前記固定子コイルの電圧を検出する電圧検出手段と、
前記固定子コイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電圧検出手段と前記電流検出手段の出力より前記回転陽極機構のインピーダンスを演算するインピーダンス演算手段と、
前記インピーダンス演算手段で求めた陽極回転開始時の初期インピーダンスを記憶する初期インピーダンス記憶手段と、
前記初期インピーダンスと前記インピーダンス演算手段で求めたインピーダンスとの比に基づいて、前記陽極の回転数が所定の回転数に達したことを検出する手段と、を備えて成ることを特徴とするX線管装置。 - 前記インピーダンス演算手段に入力する前記固定子コイルの電圧情報は、この電圧の目標値であることを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載のX線管装置。
- 陽極回転機構を有するX線管装置と、このX線管装置の陽極と陰極間に印加する直流高電圧を発生するX線高電圧装置と、前記陽極の回転数が所定値になった時に前記X線高電圧装置の出力電圧を前記X線管装置の陽極と陰極間に印加して該X線管装置からX線を発生させる指令を出力するX線曝射開始指令手段を含むX線発生装置であって、前記X線管装置に請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線管装置を用いることを特徴とするX線発生装置。
- 請求項4に記載のX線発生装置を用いることを特徴とするX線画像診断装置。
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