JP4213461B2 - インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、インクヘッドと記録媒体とが非接触であるので、記録媒体に印字以外の汚れなどが付着することがほとんどなく、安価で小型化が可能であり、カラー印字を容易に記録することができ、印刷時の騒音が低いといった利点を有し、コピー用紙、レポート用紙、ノート紙などの普通紙にも印字可能なプリンタとして広く市販されている。
【0003】
インクジェットプリンタに用いられるインク組成物には、保存安定性、吐出安定性ならびに記録媒体に対する浸透性および乾燥性に優れることが要求される。保存安定性に優れるインク組成物は、保存中に、含有成分の変質、凝集などが起こらず、成分が均一に分散した状態が長期にわたって保たれるので、インク組成物の吐出安定性に悪影響を及ぼすことがない。吐出安定性に優れるインク組成物は、吐出ノズル内で乾燥して目詰まりを起こすことがなく、連続的にかつ安定的に吐出される。また、記録媒体に対する浸透性および乾燥性に優れるインク組成物は、記録媒体の内部または裏面まで浸透せず、表面から浅い部分にのみ浸透するという適度な浸透性を示し、しかも記録媒体上で速やかに乾燥するので、良好な耐水性を有し、画像濃度および鮮明度が高く、ひげ状の色滲み、隣り合う異なる色の混じり合い、裏写りなどのない高画質品位の記録画像が形成される。色滲みなどは記録媒体が普通紙である場合に特に発生し易いので、その抑制は、高画質化を達成する上で非常に重要であり、従来から様々な検討がなされている。
【0004】
たとえば、水溶性染料、水溶性有機溶剤、水および一般式
O−(CO)−(CO)−R (2)
〔式中、RおよびRは炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を示す。mおよびnはそれぞれ1〜4の整数を示す。〕
で表されるポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとのブロックポリマー(以後「ブロックポリマー(2)」と呼ぶ)を含むインクジェット用インク組成物が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
ブロックポリマー(2)は、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの重合度がそれぞれ1〜4と小さく、また末端の酸素原子に結合するアルキル基も最大でもペンチル基にとどまる、分子量の比較的小さなものである。
【0006】
特許文献1の実施例では、ブロックポリマー(2)をインク組成物全量の20〜30重量%と多量に用いることによって、インク組成物に良好な吐出安定性を付与している。しかしながら、ブロックポリマー(2)をこのように多量に配合すると、インク組成物の記録媒体に対する浸透性が良くなりすぎ、色滲み、裏写りの発生が顕著になり、インク組成物の保存安定性および吐出安定性にも悪影響を及ぼす。
【0007】
また、水溶性色材、水溶性有機溶剤、水および一般式
HO−(CO)−(CO)−R (3)
〔式中、Rは炭素数4〜10のアルキル基を示す。qおよびrは、2≦q+r≦6を満足する整数を示す。〕
で表されるポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとのブロックポリマー(以後「ブロックポリマー(3)」と呼ぶ)を含有するインクジェット用インク組成物が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0008】
ブロックポリマー(3)は、エチレンオキサイドの重合度とプロピレンオキサイドの重合度との合計が最大でも6である。また、末端の酸素原子に結合するアルキル基の炭素数は4〜10と規定されている。しかしながら、実施例において具体的に開示されているアルキル基はメチル基およびブチル基のみである。ブロックポリマー(3)も、ブロックポリマー(2)と同様に、比較的分子量の小さなものに過ぎない。
【0009】
特許文献2の実施例においては、インク組成物に、記録媒体に対する充分な浸透性を付与するために、インク組成物全量の8〜10重量%のブロックポリマー(3)が用いられている。しかしながら、ブロックポリマー(3)は、8〜10重量%という含有量では、インク組成物の吐出安定性およびインク組成物の記録媒体に対する乾燥性(浸透速度)が不十分であり、色滲み、裏写りなどが発生する場合がある。
【0010】
また、水溶性染料、水溶性有機溶剤、水および一般式
−(X)−O−R (4)
〔式中、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数10以下のアルキル基を示す。Xはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダムポリマーを示し、その重合度は5〜32である。〕
で表されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダムポリマー(以後「ランダムポリマー(4)」という)を含有するインクが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。しかしながら、ランダムポリマー(4)は、親水性が高くかつ水への溶解性を向上させるエチレンオキサイド基と、疎水性が高くかつ記録媒体への浸透性を向上させるエチレンオキサイド基とがランダムに配列し、両者が各々の効果を打ち消し合うので、充分な性能を得ることができない。たとえば、ランダムポリマー(4)の使用量が、ブロックポリマー(2)および(3)よりも多いにもかかわらず、充分な乾燥性(浸透速度)を得ることができない。このため、このインク組成物によって形成される記録画像は、画像濃度および鮮明度が不充分である。
【0011】
【特許文献1】
特公平1−25789号公報
【特許文献2】
特開平11−80639号公報
【特許文献3】
特許第3060319号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保存安定性および吐出安定性に優れ、記録媒体が普通紙であっても、色滲み、混色、裏写りなどが発生せず、画像濃度および鮮明度の高い良好な画質品位を示し、耐水性にも優れた記録画像を形成することのできるインクジェット記録用インク組成物を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも、下記一般式(1)で表されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックポリマー、顔料、水分散性樹脂、水およびグリコールエーテル類を含むことを特徴とするインクジェット用インク組成物である。
O−(CO)−(CO)−R (1)
〔式中、R は炭素数16〜25のアルキル基を示し、 水素原子を示す。xは1〜20の整数を示す。yは1〜40の整数を示す。ただし、6≦x+y≦45である。〕
【0014】
本発明に従えば、上記一般式(1)で表されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックポリマー(以後特に断らない限り単に「ブロックポリマー(1)」と呼ぶ)、顔料、水分散性樹脂、グリコールエーテル類および水という特定の成分を組み合わせて用いることによって、保存安定性、吐出安定性、記録媒体に対する浸透性および乾燥性に優れるインクジェット用インク組成物を得ることができる。
【0015】
特に、酸素原子に結合する末端のアルキル基の炭素数が16〜25であるブロックポリマー(1)を用いることによって、インク組成物の保存安定性、吐出安定性および記録媒体に対する乾燥性に悪影響を及ぼすことなく、却ってこれらの特性を向上させるとともに、記録媒体に対する適度の浸透性を付与することができる。
【0016】
したがって、本発明のインク組成物は、記録媒体の種類に関係なく、記録媒体が普通紙であっても、色滲み、異なる色の混じり合い、裏写りなどがなく、耐水性に優れ、高い画像濃度および鮮明度を有する、良好な画質品位の記録画像を形成することができる。
【0017】
また本発明のインク組成物は、ブロックポリマー(1)のHLB値が7以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、HLB値が7以上のブロックポリマー(1)を用いることによって、インク組成物の吐出安定性がさらに向上する。
【0019】
また本発明のインク組成物は、ブロックポリマー(1)の含有量が、インク組成物全量の0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、ブロックポリマー(1)の含有量を、インク組成物全量の0.1〜10重量%とすることによって、インク組成物の吐出安定性、記録媒体に対する浸透性および乾燥性などがさらに向上する。
【0021】
また本発明のインク組成物は、顔料が、水に対して自己分散性を有する顔料であることを特徴とする。
【0022】
また本発明のインク組成物は、顔料が、その表面に親水性官能基を有するかまたは該親水性官能基を含む塩が形成されていることを特徴とする。
【0023】
また本発明のインク組成物は、親水性官能基が、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、水酸基および第4級アンモニウム基から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、水に対する自己分散性を有する顔料、好ましくはその表面に親水性官能基を有するかまたは該親水性官能基を含む塩が形成されている顔料、より好ましくは該親水性官能基がスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、水酸基および第4級アンモニウム基から選ばれる1種または2種以上である顔料を用いることによって、顔料の水中での分散性が向上し、インク組成物の保存安定性をさらに向上させることができる。
【0025】
また本発明のインク組成物は、水分散性樹脂が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、特定の水分散性樹脂を用いることによって、インク組成物の定着性をさらに向上させることができる。
【0027】
また本発明のインク組成物は、グリコールエーテル類が、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類およびアルコキシ置換脂肪族アルコール類から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0028】
また本発明のインク組成物は、グリコールエーテル類が、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類およびジプロピレングリコールモノアルキルエーテルから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、特定のグリコールエーテル類を用いることによって、インク組成物とプリンタのインクヘッドとのなじみが良くなり、インク組成物の吐出安定性をさらに向上させることができる。さらに、特定のグリコールエーテル類の中でもさらに特定の疎水性の高いものを用いることによって、プリンタのインクヘッドの疎水部分とのなじみが良くなり、インク組成物の吐出安定性を向上させるとともに、記録媒体に対する浸透性および乾燥性をさらに向上させることができる。
【0030】
本発明は、本発明のインクジェット記録用インク組成物を用いるインクジェット記録方法であって、せん断歪を吐出力発生源とする圧電素子方式のインクヘッドによって、前記インクジェット記録用インク組成物をノズルから記録媒体上に吐出させて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0031】
本発明に従えば、本発明のインク組成物を用い、圧電素子方式のインクヘッドを備えるインクジェットプリンタで記録を行うことによって、記録を円滑に行うことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明のインク組成物は、少なくとも、ブロックポリマー(1)、顔料、水分散性樹脂、水およびグリコールエーテル類を含む。
【0033】
すなわち本発明のインク組成物は、ブロックポリマー(1)、顔料、水分散性樹脂およびグリコールエーテル類を含み、残部が水である水性組成物である。
【0034】
〔ブロックポリマー(1)〕
ブロックポリマー(1)は、主に、界面活性剤として働き、インク組成物の記録媒体に対する浸透性および乾燥性を向上させるとともに、プリンタのインクヘッドへの濡れ性を向上させ、インク組成物の吐出性を一層安定化する効果を有していると考えられる。
【0035】
ブロックポリマー(1)は、上記一般式(1)において符号R 示される、末端のアルキル基の炭素数が16〜25であり、R が水素原子である。この点で、ブロックポリマー(1)は、従来からインクジェット用インク組成物に配合されているポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとのブロックポリマーと異なっている。アルキル基の炭素数が6未満では、色滲み、裏写りなどの発生が顕著になる。炭素数が30を超えると、吐出ノズルでの目詰まりが起こりやすくなり、インク組成物の吐出安定性が低下する。
【0036】
また、上記一般式(1)において、符号xで示されるポリプロピレンオキシドの重合度は、1〜20、好ましくは2〜10である。重合度が1未満(x=0)ではエチレンオキサイドのホモポリマーになる。エチレンオキサイドのホモポリマーを用いると、色滲み、裏写りなどは発生しにくい。しかしながら、インク組成物の記録媒体に対する浸透性が不充分になる。一方、重合度が20を超えると、親水性が高くなりヘッドの疎水性部分との親和性が低下する。
【0037】
符号yで示されるポリエチレンオキシドの重合度は、1〜40、好ましくは5〜30である。重合度が1未満(y=0)ではプロピレンオキサイドのホモポリマーになる。プロピレンオキサイドのホモポリマーを用いると、インク組成物の記録媒体に対する浸透性は良好である。しかしながら、色滲み、裏写りなどが多くなり、記録画像の画質が低下する。また、該ホモポリマーは、水に対する溶解性が低く、インク組成物に配合できる量が限定されるので、インク組成物に充分な吐出安定性を付与できない。一方、重合度が40を超えると、疎水性が高くなり、インクとの相溶性が低下し、保存安定性が悪くなる。
【0038】
ポリプロピレンオキサイドの重合度xとエチレンオキサイドの重合度yとの和x+yは、6〜45、好ましくは10〜35である。6未満では、記録媒体に対する十分な浸透性が確保できない。一方、45を超えると、増粘や溶解性の低下が著しくなる。
【0040】
ブロックポリマー(1)の具体例としては、たとえば、RおよびRのいずれか一方がヘキサデシル基、もう一方が水素原子、x=8およびy=20であるブロックポリマー、RおよびRのいずれか一方がヘキサデシル基、もう一方が水素原子、x=4およびy=10であるブロックポリマー、RおよびRのいずれか一方がペンタコシル基、もう一方が水素原子、x=10およびy=20であるブロックポリマーなどを挙げることができる。
【0041】
ブロックポリマー(1)の中でも、インク組成物への溶解性ひいてはインク組成物の保存安定性、吐出安定性などを考慮すると、HLB値が7以上のものが好ましく、9以上のものが特に好ましい。
【0042】
ブロックポリマー(1)は、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0043】
本発明のインク組成物におけるブロックポリマー(1)の含有量は特に制限されないけれども、通常はインク組成物全重量の0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%である。0.1重量%未満では、ブロックポリマー(1)の効果が充分に発揮されない場合がある。10重量%を超えると、インク組成物の保存安定性が低下するおそれがある。
【0044】
〔顔料〕
本発明のインク組成物は、色材として、顔料を含む。色材として水性染料を用いると、インク組成物の溶剤と共に水性染料も記録媒体の内部に浸透してしまい、にじみ、裏写りなどが発生する。
【0045】
顔料としては公知のものを使用できる。その具体例をカラーインデックスナンバー(CI)で示すと、シアン色顔料としては、たとえば、ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:34、16、22、60などが挙げられる。マゼンタ色顔料としては、たとえば、ピグメントレッド5、7、12、48、48:1、57、112、122、123、146、168、184、202などが挙げられる。黄色顔料としては、たとえば、ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、114、128、129、151、154などが挙げられる。また黒色顔料としては、たとえば、酸性カーボン、中性カーボン、塩基性カーボンなどのカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックは、たとえば、チャネルブラック法、ファーネスブラック法、ランプブラック法、アセチレンブラック法などの種々の方法によって製造される。
【0046】
顔料は、樹脂、界面活性剤などの分散剤によって水などの溶媒中に分散させた形態で使用される。分散剤としては、従来から顔料の分散に使用されている分散剤を使用できる。
【0047】
また顔料は、自己分散型顔料の形態で使用される。自己分散型顔料は、顔料の表面に、親水性官能基を有するかまたは該親水性官能基とイオンとからなる塩が形成されたものである。親水性官能基の存在によって、自己分散型顔料は水に対する分散性が付与されている。親水性官能基としては、たとえば、スルホン酸、カルボキシル基、ホスホン酸、水酸基、第4級アンモニウム基などを挙げることができる。
【0048】
顔料に親水性官能基を導入するには、公知の方法を利用できる。たとえば、酸化処理、スルホン化処理などの表面処理法、芳香族アゾ化合物、アルキルアゾ化合物などのアゾ化合物と顔料とを反応させ、フェニル基またはアルキル基を連結基にしてカルボキシル基、スルホン酸基などを顔料表面に導入する方法、シラン化合物などのカップリング剤による処理、ポリマーグラフト化処理、プラズマ処理などを挙げることができる。
【0049】
市販の自己分散型顔料も使用できる。その具体例としては、キャボット社製のCab−o−jet 200、Cab−o−jet 300(商品名)、オリエント化学工業(株)製のBONJET BLACK CW1、MicrojetBlack CW−1(いずれも商品名)などが挙げられる。
【0050】
顔料は、インク組成物の保存安定性の面からは、自己分散性顔料の形態で用いることが好ましい。
【0051】
顔料は1種を単独で使用できまたは同系色もしくは異系色の2種以上を併用できる。
【0052】
本発明のインク組成物における顔料の含有量は、特に制限されないけれども、通常はインク組成物全量の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。0.1重量%未満では、充分な画像濃度が得られず、画質向上効果が少ない。また、20重量%を超えると、顔料の凝集および沈降が起こってインク組成物の吐出安定性が悪くなるとともに、記録画像に粒状感が認められるようになり、高画質の画像を得ることができない。
【0053】
〔水分散性樹脂〕
本発明のインク組成物は、水分散性樹脂を含む。水分散性樹脂は、たとえば、インク組成物の定着性を向上させ、耐水性に優れた記録画像を得るために用いられる。水性樹脂としては、インク組成物中で均一に分散するかまたはインク組成物中でエマルジョンを形成することができるものが用いられる。その具体例としては、たとえば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。市販品を使用することもでき、たとえば、日本ペイント(株)製のマイクロジェル(商品名、水分散性スチレン−アクリル系樹脂)、大日本インキ化学工業(株)製のボンコート(商品名、水分散性スチレン−アクリル系樹脂)、東洋紡(株)製のバイロナール(商品名、水分散性ポリエステル樹脂)、ジョンソンポリマー社製のジョンクリル(商品名、エマルジョンタイプ)などが挙げられる。
【0054】
水分散性樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明のインク組成物における水分散性樹脂の含有量は特に制限されないけれども、通常はインク組成物全量の0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。0.1重量%未満では、十分な定着性が確保出来ない。10重量%を超えると、インク組成物の吐出安定性や保存安定性に悪影響を及ぼす。
【0055】
〔グリコールエーテル類〕
本発明のインク組成物は、グリコールエーテル類を含む。グリコールエーテル類は、たとえば、インク組成物の吐出安定性をさらに向上させるために用いられる。グリコールエーテル類としては公知のものを使用することができ、たとえば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのトリエチレングリコールモノアルキルエーテル類、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどのテトラエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエ−テルなどのジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、アルコキシ置換脂肪族アルコール類などが挙げられる。
【0056】
これらの中でも、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類およびアルコキシ置換脂肪族アルコール類が好ましい。
【0057】
さらに、これらの好ましいグリコールエーテル類の中でも、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類およびジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類がより好ましい。さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどが特に好ましい。これらのものは、高い疎水性を有している。これらのものを含むインク組成物は、プリンタのインクヘッドの疎水部分となじみ易く、インクヘッド内を円滑に流れ、吐出ノズルから極めて安定的に吐出される。また、これらのものは、インク組成物の記録媒体に対する乾燥性をもさらに向上させ、色滲みなどの発生をさらに抑制する。
【0058】
なお、疎水性の高いエチレングリコール類を用いる場合には、水に対する溶解性の高い他のグリコールエーテル類と併用するのがよい。
【0059】
グリコールエーテル類は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明のインク組成物におけるグリコールエーテル類の含有量は特に制限されないけれども、通常はインク組成物全量の1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。1重量%未満では、インク組成物の浸透性の向上が不充分である。30重量%を超えると、普通紙上での色滲みの発生を充分抑制することができない場合が生じる。
【0060】
〔他の添加剤〕
本発明のインク組成物は、その好ましい特性を損なわない範囲で、従来からインクジェット記録用インク組成物に用いられている種々の添加剤の1種または2種以上を含んでいてもよい。このような添加剤としては、たとえば、界面活性剤、水溶性有機溶剤、アルコール類、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬などを挙げることができる。
【0061】
界面活性剤は、たとえば、インク組成物の表面張力を調整するために用いられる。ここでいう界面活性剤とは、ブロックポリマー(1)以外の界面活性剤である。界面活性剤としては公知のものを使用でき、たとえば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが好ましく、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン系界面活性剤、ポリオキシプロピレン系界面活性剤、ポリオキシ(エチレン−プロピレン)系ノニオン界面活性剤、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。界面活性剤の含有量は特に制限されないけれども、通常はインク組成物全量の0.1〜10重量%である。
【0062】
水溶性有機溶剤は、たとえば、インク組成物の粘度、表面張力などを調整し、インク組成物の保存中および吐出ノズル内での乾燥を防止し、インク組成物の分散安定性ひいては保存安定性を向上させるために用いられる。ここでいう水溶性有機溶剤とは、グリコールエーテル以外の水溶性有機溶媒である。水溶性有機溶媒としては公知のものを使用することができ、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1、2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオールなどの多価アルコ−ル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタムなどの含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリセロール、エチレン尿素、尿素等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。水溶性有機溶剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。水溶性有機溶剤の含有量は特に制限されないけれども、通常はインク組成物全量の20〜60重量%である。
【0063】
アルコール類は、たとえば、インク組成物の記録媒体への浸透性をさらに向上させるために用いられる。アルコール類としては公知のものを使用することができ、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。アルコール類は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。アルコール類の含有量は特に制限されないけれども、通常はインク組成物全重量の1〜8重量%である。
【0064】
防腐防黴剤としては、たとえば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどを挙げることができる。
【0065】
pH調整剤としては、調合されるインク組成物に悪影響を及ぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができ、たとえば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などを挙げることができる。
【0066】
キレート試楽としては、たとえば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0067】
防錆剤としては、たとえば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどを挙げることができる。
【0068】
本発明のインク組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、溶解助剤、酸化防止剤、消泡剤、粘度調整剤、目詰まり防止剤、殺菌剤などを含んでいてもよい。
【0069】
本発明のインク組成物は、たとえば、ブロックポリマー(1)、顔料、水分散性樹脂およびエチレングリコール類の所定量、ならびに必要に応じてその他の添加剤などの適量を用い、これに水を加えて全量を100重量%に調整し、各成分を水に分散または混合させることによって製造できる。
【0070】
分散は、通常の分散機を用いて行われる。該分散機には、たとえば、ディスパ、サンドミル、ホモジナイザ、ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカ、超音波分散機などが含まれる。
【0071】
また混合は、攪拌用の羽根を備えている攪拌機、高速の分散機、乳化機などによって行われる。
【0072】
この様にして得られる本発明のインク組成物はそのまま使用できるけれども、その使用に先立ち、濾過を施してもよい。濾過は、たとえば、孔0.3〜1.0μm程度のフィルタを用い、常圧下、加圧下または減圧下に行われる。
【0073】
本発明のインク組成物は、インクジェット記録方式用の水性インクとして用いられるだけでなく、水性インクが用いられる実質的に全ての用途に用いることができる。用途の具体例としては、たとえば、グラビアインクなどの印刷インク、水性塗料、化粧品、筆記具用インク、トナー、液体現像剤、電子写真用材料などを挙げることができる。
【0074】
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物を、せん断歪を吐出力発生源とする圧電素子方式のインクヘッドを備えるインクジェット記録装置によって、記録媒体上に吐出することによって、行われる。
【0075】
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物を使用する以外は、従来のインクジェット記録方法と同様に実施できる。
【0076】
圧電素子方式のインクヘッドを備えたインクジェット記録装置としては、従来から知られているものを用いることができる。
【0077】
記録媒体としては、従来から使用されているものを用いることができ、たとえば、普通紙、葉書、カラーコピー用紙、インクジェット用紙、プラスチックシート、プラスチックフィルムなどを挙げることができる。
【0078】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「%」および「部」は、特に断らない限りそれぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
なお、本実施例で使用する各成分は、具体的には次のとおりである。
【0079】
〔ブロックポリマー〕
ブロックポリマーとしては、表1に記載のものを用いた。このうち、ブロックポリマー(1a)〜(1c)は、ブロックポリマー(1)に含まれるものである。ブロックポリマー(イ)および(ハ)は、酸素原子に結合する末端のアルキル基の炭素数が本発明の規定から外れるものである。ブロックポリマー(ロ)は、従来技術で用いられるブロックポリマー(2)または(3)に相当するものである。
【0080】
【表1】
Figure 0004213461
【0081】
〔色材〕
C1:自己分散型カーボンブラック(Cab−O−jet−200、キャボット社製)を孔径1.2μmのメンブランフィルターにより濾過したもの。
C2:カーボンブラック
カーボンブラック(商品名:MA100、三菱化学(株)製)15部と界面活性剤型顔料分散剤(商品名:ニッサンノニオンNS−220、日本油脂(株)製)3部と水32部とをロールミルに入れて1時間混練および分散し、さらに水50部を加えて1時間攪拌後、孔径1.2μmのメンブランフィルターにより濾過しカーボンブラックの15%水分散体(平均粒子径 約100nm)が得られる。
D1:染料(ダイレクトブラック19)
【0082】
〔水分散性樹脂〕
P1:水分散性ポリエステル樹脂(商品名バイロナール、平均粒子径60nm、東洋紡績(株)製)
S1:水分散性スチレン−アクリル系樹脂(商品名ジョンクリル、平均粒子径60nm、ジョンソンポリマー(株)製)
S2:水溶性スチレン−アクリル系樹脂(商品名トヨクリル、東洋インキ(株)製)
【0083】
実施例1〜3および比較例1〜5
表2に示す配合割合(%)で、色材に、水、水分散性樹脂、グリコール類、ブロックポリマー(1)および水溶性有機溶剤の順に加え、25℃で2時間攪拌し、室温で1日放置後、孔径0.9μmのメンブランフィルターにより濾過し、本発明のインク組成物および比較例のインク組成物を調整した。
【0084】
なお、表2において、色材および水分散性ポリエステル樹脂の配合量は、固形分量で示した。
【0085】
実施例1〜3および比較例1〜5で得られたインク組成物を、それぞれ評価用インクカートリッジに詰め、ピエゾヘッドを有するインクジェットプリンタ(エプソン社製)を用いて、普通紙(商品名NM−4A、シャープ(株)製)上に黒の100%(ベタ)〜10%(ドット密度)、文字およびラインチャートの入った評価用チャートを記録し、下記の評価項目について評価を行った。結果を表2に示す。
【0086】
[色滲み性]
普通紙(商品名NM−4A)に評価用カラーパッチを印刷し、エッジの色滲みおよび裏写りを目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:ほとんど滲みが生じない
△:滲みが生じる。しかしながら、画像の判別は可能である
×:滲みが顕著で、画像の判別が困難である
【0087】
[乾燥性]
普通紙(NM−4A)に評価用カラーパッチを印刷し、印字直後にベタ部分を指で擦り、下記の基準で評価した。
○:インクが指につかない
×:インクが指に付く
【0088】
[耐水性]
普通紙(NM−4A)に評価用カラーパッチを印刷した。24時間後、印刷部分に水道水をかけて十分に濡らして目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:ほとんど滲みが生じない
△:滲みが生じる。しかしながら、画像の判別は可能である
×:滲みが顕著で、画像の判別が困難である
【0089】
[保存安定性]
試験用スクリュウ管瓶にインク組成物を60cc入れ、−10℃と50℃の環境下にそれぞれ1ヶ月間放置して沈降物の有無を調べ、下記の基準で評価した。
○:沈降物なし
×:沈降物あり
【0090】
[吐出安定性]
インク組成物を調製後すぐにインクカートリッジに詰め、10分間連続して印字を行った後、印字を停止し、40℃・25%RHの環境に72時間放置し、ノズルのクリーニング操作を行ってから再度印字を行い、下記の基準で評価した。
○:ノズルのクリーニング操作が3回未満で初期と同等の印字ができる
△:ノズルのクリーニング操作が3〜10回で初期と同等の印字ができる×:ノズルのクリーニング操作を10回を超えて行っても、初期と同等の
印字ができない
【0091】
[総合評価]
総合評価の評価基準は、下記のとおりである。
○:各項目で良好な性能を示す
△:実使用上使用可能なレベルである。
×:使用に支障の生じる項目がある。
【0092】
【表2】
Figure 0004213461
【0093】
実施例4〜5および比較例6〜8
表3に記載の成分を、表3の配合割合(%)で使用する以外は、実施例1と同様にして、本発明および比較例のインク組成物を調製した。得られたインク組成物について、実施例1と同様にして評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
Figure 0004213461
【0095】
実施例6および比較例9〜11
表4に記載の成分を、表4の配合割合(%)で使用する以外は、実施例1と同様にして、本発明および比較例のインク組成物を調製した。得られたインク組成物について、実施例1と同様にして評価試験を行った。結果を表4に示す。
【0096】
【表4】
Figure 0004213461
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、保存安定性、吐出安定性、記録媒体に対する浸透性および乾燥性に優れ、記録媒体の種類に関係なく、記録媒体が普通紙であっても、色滲み、異なる色の混じり合い、裏写りなどがなく、耐水性に優れ、高い画像濃度および鮮明度を有する、良好な画質品位の記録画像を形成することができる。
【0098】
本発明によれば、HLB値が7以上のブロックポリマー(1)を用いることによって、インク組成物の吐出安定性がさらに向上する。
【0099】
本発明によれば、ブロックポリマー(1)の含有量を、インク組成物全重量の0.1〜10重量%とすることによって、インク組成物の吐出安定性、記録媒体に対する浸透性および乾燥性などがさらに向上する。
【0100】
本発明によれば、色材として、水に対して自己分散性を有する顔料、好ましくはその表面に親水性官能基を有するかまたは該親水性官能基を含む塩が形成されている顔料、より好ましくは該親水性官能基がスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、水酸基および第4級アンモニウム基から選ばれる1種または2種以上である顔料を用いることによって、顔料の水中での分散性が向上し、インク組成物の保存安定性をさらに向上させることができる。
【0101】
本発明によれば、水分散性樹脂として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれるものを用いることによって、インク組成物の定着性をさらに向上させることができる。
【0102】
本発明によれば、グリコールエーテル類として、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類およびアルコキシ置換脂肪族アルコール類から選ばれるもの、を用いることによって、インク組成物とプリンタのインクヘッドとのなじみが良くなり、インク組成物の吐出安定性をさらに向上させることができる。
【0103】
本発明によれば、特定のグリコールエーテル類の中でも、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類およびジプロピレングリコールモノアルキルエーテルから選ばれる疎水性の高いものを用いることによって、プリンタのインクヘッドの疎水部分とのなじみが良くなり、インク組成物の吐出安定性を向上させるとともに、記録媒体に対する浸透性および乾燥性をさらに向上させることができる。
【0104】
本発明によれば、本発明のインク組成物を用い、圧電素子方式のインクヘッドを備えるインクジェットプリンタで記録を行うことによって、記録を円滑に行うことができる。

Claims (10)

  1. 少なくとも、下記一般式(1)で表されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックポリマー、顔料、水分散性樹脂、水およびグリコールエーテル類を含むことを特徴とするインクジェット用インク組成物。
    O−(CO)−(CO)−R (1)
    〔式中、R は炭素数16〜25のアルキル基を示し、 水素原子を示す。xは1〜20の整数を示す。yは1〜40の整数を示す。ただし、6≦x+y≦45である。〕
  2. エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックポリマーのHLB値が7以上であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インク組成物。
  3. エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックポリマーの含有量が、インク組成物全量の0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット用インク組成物。
  4. 顔料が、水に対して自己分散性を有する顔料であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
  5. 顔料が、その表面に親水性官能基を有するかまたは該親水性官能基を含む塩が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
  6. 親水性官能基が、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、水酸基および第4級アンモニウム基から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
  7. 水分散性樹脂が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
  8. グリコールエーテル類が、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類およびアルコキシ置換脂肪族アルコール類から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  9. グリコールエーテル類が、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類およびジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項8記載のインクジェット用インク組成物。
  10. 請求項1〜9のうちのいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いるインクジェット記録方法であって、せん断歪を吐出力発生源とする圧電素子方式のインクヘッドによって、前記インクジェット記録用インク組成物をノズルから記録媒体上に吐出させて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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