JP4213240B2 - デファレンシャル装置 - Google Patents

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夙 影山
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、デファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−61253号公報に図3に示すようなデファレンシャル装置201が記載されている。
【0003】
このデファレンシャル装置201は、デフケース203を回転させるエンジンの駆動力をインターナルギヤ205からピニオンキャリヤ207とサンギヤ209とを介してそれぞれドライブシャフト211、213に分配する差動機構215と、多板クラッチと217、219と、増速ギヤ組221と、減速ギヤ組223と、伝動ギヤ組225と、多板クラッチ217、219をそれぞれ締結させる一対の油圧ピストン227、229と、油圧ピストン227、229を介して多板クラッチ217、219を各別に連結するコントローラなどから構成されている。
【0004】
多板クラッチ217、219は、一側がそれぞれドライブシャフト213(サンギヤ209)に連結され、他側がそれぞれ増速ギヤ組221と減速ギヤ組223とに連結されている。又、伝動ギヤ組225は増速ギヤ組221及び減速ギヤ組223とドライブシャフト211(ピニオンキャリヤ207)側とを連結する。
【0005】
多板クラッチ217を開放して多板クラッチ219を締結すると、ドライブシャフト211、213の間の差動回転は減速ギヤ組223で減速され、ドライブシャフト213側の車輪を減速する。又、多板クラッチ219を開放して多板クラッチ217を締結すると、ドライブシャフト211、213の間の差動回転は増速ギヤ組221で増速され、ドライブシャフト213側の車輪を増速する。
【0006】
このとき、コントローラは油圧ピストン227、229の作動圧を調節し多板クラッチ217、219を滑らせることによって、減速ギヤ組223、あるいは、増速ギヤ組221を介して移動するトルクを調整し、所望のトルク配分比を得ている。
【0007】
又、各多板クラッチ217、219をロックさせると、車輪と路面との間に滑りが生じる。
【0008】
このように各多板クラッチ217、219を断続し、滑らせることによって、差動回転を増速ギヤ組221と減速ギヤ組223で増減速し、各車輪へのトルク配分割合を制御し、例えば、車体のヨーモーメントを低減して直進安定性を向上させ、あるいは、車両の旋回性を向上させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、デファレンシャル装置201のように、差動機構215の差動回転を増速ギヤ組221と減速ギヤ組223とで増減速し、トルクを高速回転側から低速回転側に移動させる構成では、差動機構215の差動回転によって、例えば、ドライブシャフト213が増速ギヤ組221の出力回転より高速で回転しているときは、増速ギヤ組221を連結しても却ってドライブシャフト213は減速される。
【0010】
このように、差動機構215の差動回転が増速ギヤ組221と減速ギヤ組223の変速比に近づくとトルク配分割合の調整効果が減少し、変速比を超えるとトルクが移動しないから、トルク配分割合の調整範囲は増速ギヤ組221と減速ギヤ組223の変速比範囲以内に限定される。
【0011】
従って、例えば、車輪が空転し易い圧雪路などではトルク配分割合の調整が不可能になり、車両の走行性などを改善できないことがある。
【0012】
又、多板クラッチ217、219を滑らせてトルク配分割合を制御する構成では、多板クラッチ217、219の発熱によって大きなエネルギー損失が生じると共に、多板クラッチ217、219の耐久性が低下する。
【0013】
又、多板クラッチ217、219のように、トルク伝達容量を制御できるクラッチを用いる構成では、噛み合いクラッチのように、部品点数が少なく、構造簡単であり、小型軽量でトルク伝達容量が大きいクラッチを用いて、デファレンシャル装置を小型軽量にすることができない。
【0014】
又、デファレンシャル装置201のように、既成の差動機構215に後から増速ギヤ組221と減速ギヤ組223と伝動ギヤ組225とを組み合わせる構成では、デフケースに差動機構を組み込んだ通常のデファレンシャル装置に較べると、構造と形状とが極めて複雑であり、大型で重い。
【0015】
従って、デファレンシャル装置201を収容するデフキャリヤ231も、通常のデフキャリヤとの互換性が失われると共に、形状が複雑で大型のデフキャリヤを用いると、車体側にも大きな変更が必要になり、コストが大幅に上昇する。
【0016】
そこで、この発明は、トルク配分割合の調整範囲が広く、エネルギー損失が少なく、構造簡単、小型軽量で、部材の互換性が高く、低コストのデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動されるデフケースと、 車輪側に連結された一対の出力部材と、デフケースと各出力部材との間にそれぞれ配置され、第1のギヤ組によって2系統の第1トルク伝達系を構成する差動ギヤ機構と、第1のギヤ組とトルク伝達比の異なる第2のギヤ組によって構成される第2トルク伝達系と、第1と第2のトルク伝達系を各別に断続する切り換え手段とを備え、前記差動ギヤ機構を構成する第1のギヤ組が、出力側の一対の第1サイドギヤと、これらの第1サイドギヤを連結する少なくとも一対の第1ピニオンギヤ組とを有し、前記第2のギヤ組が、第1ピニオンギヤ組と噛み合う第2ピニオンギヤと、第2ピニオンギヤと噛み合う第2サイドギヤとを有していることを特徴とする。
【0018】
そこで、一方の出力部材側で第1のギヤ組と第2のギヤ組とを切り換えると、この出力部材側の車輪は、連結されたギヤ組のトルク伝達比に応じて、他方の出力部材側の車輪に対し増速又は減速される。こうして両車輪間に駆動トルク差を与えることにより、車体に必要な方向のヨーモーメントを与えれば、下記のように、車体の挙動を制御して操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0019】
例えば、本発明のデファレンシャル装置を車軸上に配置した場合、旋回走行するときに外輪側のトルクが大きくなるようにギヤ組を切り換えれば、旋回を促す方向のヨーモーメントによって、車両の旋回性が大きく向上する。
【0020】
又、悪路などで車体が蛇行するような場合は、ギヤ組の切り換えによって、蛇行と反対方向のヨーモーメントを車体に与えれば、蛇行が収束し、安定性が向上する。
【0021】
又、上記のように、従来例のデファレンシャル装置は、差動機構の差動回転を増速ギヤ組と減速ギヤ組とで増減速するように構成したことにより、差動機構の差動回転が各ギヤ組の変速比を超えるとトルク配分割合の調整機能を失う。
【0022】
しかし、本発明のデファレンシャル装置では、第1ギヤ組(第1トルク伝達系)と第2ギヤ組(第2トルク伝達系)の一方を連結し、他方を遮断すれば、両出力部材に均等なトルクが送られる(等トルク配分機能の)通常のデファレンシャル装置になる。
【0023】
又、一方の出力部材側の第1ギヤ組(第1トルク伝達系)を連結し、他方の出力部材側の第2ギヤ組(第2トルク伝達系)を遮断すれば、両出力部材に不均等なトルクが送られる(不等トルク配分機能の)デファレンシャル装置になる。
【0024】
このように、本発明のデファレンシャル装置は、等トルク配分機能と不等トルク配分機能との切り換え機能を持った差動装置であるから、従来例と異なって、トルク配分機能が差動回転数による制限を受けない。
【0025】
従って、あらゆる路面状況でトルク配分割合の調整が可能であり、車両の走行性や安定性などを路面状況の変化に応じて効果的に改善することができる。
【0026】
又、従来例と異なり、基本的には摩擦クラッチを滑らせてトルク配分割合を制御する構成ではないから、発熱による大きなエネルギー損失と、クラッチの耐久性低下とが防止される。
【0027】
又、本発明のデファレンシャル装置は、既成の差動機構に増速ギヤ組と減速ギヤ組と伝動ギヤ組などを組み合わせる従来例のような構成ではなく、上記のように、デフケースの内部に第1と第2のトルク伝達系を配置した構成であるから、形状が極めて簡単であり、小型軽量である。
【0028】
従って、本発明のデファレンシャル装置を収容するケースと通常のケースとの互換性が保たれると共に、通常のケースを使用できるから、車体側の変更も不要である。
【0030】
この構成のように、一対の第1サイドギヤを第1ピニオンギヤ組で連結した差動機構に、第1ピニオンギヤ組と噛み合う第2ピニオンギヤと、第2ピニオンギヤと噛み合う第2サイドギヤとを設けたデファレンシャル装置は、通常のデファレンシャル装置を一回り大きくした形状と寸法になる。
【0031】
このように、本発明のデファレンシャル装置は特殊な形状と寸法にはならないから、通常のケースに収容可能であり、従って、車体側の変更も不要である。
【0032】
請求項2の発明は、請求項1に記載のデファレンシャル装置であって、前記デフケースに形成された収容孔に前記各ピニオンギヤが摺動回転自在に収容されていることを特徴とし、請求項1の発明と同等の効果を得る。
【0033】
これに加え、各ピニオンギヤとデフケースとの間で機械式の差動制限特性が得られる。
【0046】
【発明の実施の形態】
図1と図2とによって本発明の一実施形態を説明する。これらの図面はこの実施形態のデファレンシャル装置1を示している。なお、左右の方向は図1での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0047】
このデファレンシャル装置1は、車両の後輪側車軸上に配置されている。
【0048】
図1と図2に示したように、デファレンシャル装置1は、デフケース3、第1のギヤ組5(第1のトルク伝達系)、第2のギヤ組7、7(第2のトルク伝達系)、切り換え手段9、9などから構成されている。
【0049】
この切り換え手段9は、多板クラッチ11、11(伝達トルクを制御可能なクラッチ:摩擦クラッチ)、ワンウェイクラッチ13、13、各多板クラッチ11を断続操作する油圧アクチュエータ15、15(アクチュエータ)、油圧アクチュエータ15、15を操作するコントローラなどから構成されている。
【0050】
デファレンシャル装置1はデフキャリヤ17の内部に配置されており、デフケース3の左右に形成されたボス部19、21はベアリング23、23を介してデフキャリヤ17に支承されている。デフキャリヤ17にはオイル溜りが設けられており、デファレンシャル装置1は、静止状態で下部がこのオイル溜りに浸されており、回転するとオイル溜りからオイルを撥ね上げる。
【0051】
デフケース3にはリングギヤ25がボルト27によって固定されており、リングギヤ25はドライブピニオンシャフト29の後端に形成されたドライブピニオンギヤ31と噛み合っている。ドライブピニオンシャフト29はベアリング33を介してデフキャリヤ17に支承されており、継ぎ手を介してプロペラシャフトに連結され、動力伝達系を構成している。
【0052】
エンジンの駆動力はトランスミッションからこの動力伝達系を介してデフケース3を回転駆動する。
【0053】
デフケース3には、左右の後輪側に連結された車軸35、37(出力部材)が貫入しており、各車軸35、37はベアリング39によってデフキャリヤ17に支承されている。又、デフキャリヤ17の左右の端部と車軸35、37との間にはシール41が配置され、オイル洩れと異物の侵入とを防止している。
【0054】
ワンウェイクラッチ13は結合リング43を介してそれぞれ車軸35、37上に配置されている。
【0055】
スパーギヤまたはヘリカルギヤの第1と第2のギヤ組5,7は、左右のスパーギヤまたはヘリカルギヤのサイドギヤ45、47(出力側サイドギヤ:第1サイドギヤ)と複数組のピニオンギヤ49、51(第1ピニオンギヤ組)とからなり、差動ギヤ機構53を構成している。
【0056】
各サイドギヤ45、47は同一径であり、ワンウェイクラッチ13を介してそれぞれ車軸35、37に連結されている。
【0057】
図2に示すように、各ピニオンギヤ49、51は互いに噛み合っており、更に、ピニオンギヤ49がサイドギヤ45と噛み合い、ピニオンギヤ51がサイドギヤ47と噛み合うことによってサイドギヤ45、47を連結している。各サイドギヤ45、47は各ピニオンギヤ49、51との噛み合いによって径方向外側から支持されている。
【0058】
又、各ピニオンギヤ49、51はデフケース3に設けられた収容孔55、55に摺動回転自在に収容されている。
【0059】
又、図2に示すように、第2のギヤ組7、7は、互いに噛み合ったピニオンギヤ57(第2ピニオンギヤ)とサイドギヤ59(第2サイドギヤ)とでそれぞれ構成されている。
【0060】
一方のピニオンギヤ57は差動ギヤ機構53のピニオンギヤ51と噛み合い、他方のピニオンギヤ57はピニオンギヤ49と噛み合っている。
【0061】
各ピニオンギヤ57はデフケース3に設けられた収容孔61に摺動回転自在に収容されている。
【0062】
サイドギヤ59は差動ギヤ機構53のサイドギヤ45、47より大径にしてあり、デフケース3から各車軸35、37に向かってトルク伝達比はサイドギヤ45、47とサイドギヤ59との径の比、例えば1.5倍に調整されている。
【0063】
各サイドギヤ59とデフケース3との間にはスラストワッシャ63が配置され、各ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力を受けている。
【0064】
各サイドギヤ59は噛み合い部65によって多板クラッチ11のクラッチドラム67に連結されている。これらのサイドギヤ59とクラッチドラム67はメタルベアリング69(滑り軸受け)を介してデフケース3に支承されており、各車軸35、37はメタルベアリング71を介してサイドギヤ59とクラッチドラム67に支承されている。
【0065】
各多板クラッチ11は、クラッチドラム67と各車軸35、37との間に設けられており、デフケース3のボス部19、21と各クラッチドラム67との間には、多板クラッチ11の押圧力を受けるニードルスラストベアリング73が配置されている。
【0066】
各油圧アクチュエータ15は、デフキャリヤ17に形成されたシリンダ75とピストン77とからなり、ピストン77はシール79、81を介してシリンダ75に液密に係合している。
【0067】
シリンダ75にはエンジン駆動または電動のオイルポンプからオイルプラグ83を介して油圧が送られ、ピストン77はニードルスラストベアリング85と押圧部材87とを介して多板クラッチ11を押圧する。
【0068】
各ピストン77は位置決めピン89によってデフキャリヤ17に廻り止めされており、ピストン77の回転に伴う遠心力によってオイル圧が生じることを防止し、このオイル圧による油圧アクチュエータ15と多板クラッチ11の誤動作を防止している。
【0069】
又、左右の油圧アクチュエータ15において、ピストン77に固定されたリテーナ91とデフキャリヤ17との間には、周方向等間隔に3個のコイルばね93が配置されており、油圧アクチュエータ15の作動を停止したときの多板クラッチ11による引きずりトルクを遮断する。
【0070】
コントローラは、車両の走行条件、操舵条件、路面状況などに応じ、各油圧アクチュエータ15を介して多板クラッチ11を連結し、又、連結を解除する。
【0071】
左右の多板クラッチ11の連結を解除すると、第2ギヤ組7、7のトルク伝達が遮断されるから、デフケース3を回転させるエンジンの駆動力は、第1ギヤ組5(差動ギヤ機構53)のピニオンギヤ49、51からサイドギヤ45、47に分配され、サイドギヤ45、47からワンウェイクラッチ13を介して車軸35、37に伝達され、左右の後輪を駆動する。
【0072】
このとき、サイドギヤ45、47が同一径であることによって差動ギヤ機構53は左右の後輪に均等なトルクを送る(等トルク配分の差動機構)。
【0073】
又、左の多板クラッチ11を連結すると、左の車軸35に連結された第2ギヤ組7によって、上記のように駆動トルクが、例えば前述の一例の1.5倍に増幅されて左の後輪を駆動する。このとき、サイドギヤ45と車軸35との相対回転はワンウェイクラッチ13によって許容される。
【0074】
当然のことながら、エンジンの駆動力はアクセル開度により変動するので、この変動するトルクを駆動輪に不等配分することになる。
【0075】
こうして、左後輪に右後輪の1.5倍の駆動トルクを送る不等トルク配分の差動機構が成立する。
【0076】
又、右の多板クラッチ11を連結すると、同様に、右後輪に左後輪の1.5倍の駆動トルクを送る不等トルク配分の差動機構が成立する。
【0077】
又、これらの不等トルク配分状態で、各多板クラッチ11を適度に滑らせて伝達トルクを制御すれば、第2ギヤ組7の伝達トルクを調整することができるから、トルク配分割合を1.5以下の範囲で連続的に制御することも可能である。
【0078】
デフケース3を回転させるエンジンの駆動力は、上記のように、多板クラッチ11、11の連結状態に応じて、第1のギヤ組5、あるいは、第2のギヤ組7を介して左右の後輪に伝達される。又、車両が悪路などを走行中に、後輪間に駆動抵抗差が生じるとエンジンの駆動力は、トルクが通過するギヤ組のピニオンギヤ(例えば、左の多板クラッチ11が連結された状態ではピニオンギヤ51、57)の自転によって左右各側に差動分配される。
【0079】
トルクを伝達する間、各ピニオンギヤ49、51、57の歯先はサイドギヤ45、47、59との噛み合い反力によって収容孔55、61の壁面に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。又、各ギヤにヘリカルギヤを採用した場合には、噛み合いスラスト力により、ピニオンギヤ49、51は両端をデフケース3とサイドギヤ59に押し付けられ、ピニオンギヤ57は両端をデフケース3に押し付けられる。又、サイドギヤ59は外側端部をスラストワッシャ63を介してデフケース3に押し付けられ、内側端部をサイドギヤ45、47とピニオンギヤ49、51とに押し付けられる。
【0080】
これらの各摺動部で摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗によってトルク感応型の差動制限機能も得られる。
【0081】
又、車両が右旋回をするとき、左の多板クラッチ11を連結すると、上記のように、左後輪に大きな駆動トルクが送られる不等トルク配分機能によって車体に右旋回方向のヨーモーメントが生じ、旋回性が大きく向上する。又、左旋回のときは、右の多板クラッチ11を連結すれば、右後輪に大きな駆動トルクが送られる不等トルク配分機能によって旋回性が大きく向上する。
【0082】
又、悪路などで車体が蛇行するような場合は、同様に、左右の多板クラッチ11を切り換え操作し、蛇行と反対方向のヨーモーメントを車体に与えることによって、蛇行が収束し、安定性が向上する。
【0083】
こうして、デファレンシャル装置1が構成されている。
【0084】
上記のように、デファレンシャル装置1では、差動ギヤ機構53を構成する第1のギヤ組5(第1のトルク伝達系)と、第1のギヤ組5とトルク伝達比の異なった第2のギヤ組7、7(第2のトルク伝達系)とを切り換えることによって、等トルク配分機能と不等トルク配分機能とを任意に選択することができる。
【0085】
このようなトルク配分割合を、車両の走行条件、操舵条件、路面状況などに応じて切り換え、車体に必要な方向のヨーモーメントを与えることによって、上記のように、車両の挙動を制御し、走行性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0086】
又、このように、デファレンシャル装置1は等トルク配分機能と不等トルク配分機能との切り換え機能を持った差動装置であるから、従来例と異なって、トルク配分機能が差動回転数による制限を受けない。従って、走行条件や路面状況などが広い範囲で変化してもトルク配分割合の調整が可能であり、操縦性や安定性などの向上効果が高い。
【0087】
又、従来例と異なって、基本的には多板クラッチ11を滑らせてトルク配分割合を制御する構成ではないから、多板クラッチ11の耐久性の低下と発熱による大きなエネルギー損失とが防止される。
【0088】
又、デファレンシャル装置1は、既成の差動機構に増速ギヤ組と減速ギヤ組と伝動ギヤ組などを組み合わせる従来例のような構成ではなく、上記のように、差動ギヤ機構53と、その外側に配置した第2ギヤ組7、7とをデフケース3に収容した構造であり、通常のデファレンシャル装置を一回り大きくした形状であるから、特殊な形状にはならない上に、従来例より小型軽量である。
【0089】
従って、デファレンシャル装置1は通常のデフキャリヤ17に収容可能であると共に、このデフキャリヤ17は通常のデフキャリヤとの互換性が保たれる。
【0090】
又、通常のデフキャリヤ17を使用できるから、車体側の変更も不要である。
【0091】
又、ワンウェイクラッチ13を用いたことにより、各切り換え手段9及びデファレンシャル装置1が、それだけ、構造簡単、小型軽量、低コストになる。
【0092】
又、多板クラッチ11を適度に滑らせて伝達トルクを制御すれば、トルク配分割合を1.5以下の範囲で連続的に制御することが可能である。
【0093】
なお、本発明の請求項2において、ピニオンギヤとサイドギヤはヘリカルギヤでなくスパーギヤで構成してもよい。
【0095】
又、実施形態と異なって、第1のギヤ組よりトルク伝達比が大きい第2のギヤ組と、第1のギヤ組よりトルク伝達比が小さい第2のギヤ組とを一方の出力部材側に配置し、これら3組のギヤ組を各別に切り換えるように構成してもよい。
【0096】
又、この発明のデファレンシャル装置は、フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に分配するデファレンシャル装置)と、リヤデフ(エンジンの駆動力を左右の後輪に分配するデファレンシャル装置)と、センターデフ(エンジンの駆動力を前輪と後輪に分配するデファレンシャル装置)のいずれにも用いることができる。
【0097】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1の発明によれば、互いにトルク伝達比の異なる第1のトルク伝達系と第2のトルク伝達系とを切り換えることによって、等トルク配分機能と不等トルク配分機能とを任意に選択することができるから、このようなトルク配分機能を車両の走行条件、操舵条件、路面状況などに応じて切り換え、車体に必要な方向のヨーモーメントを与えることによって、例えば、旋回性の向上や蛇行の収束など、車両の操縦性や安定性などを大きく改善することができる。
【0098】
又、前記従来例と異なって、トルク配分機能が差動回転数による制限を受けないから、走行条件や路面状況などが広い範囲で変化してもトルク配分割合の調整が可能であり、操縦性や安定性などの向上効果が高い。
【0099】
又、前記従来例と異なって、デフケースの内部に第1と第2のトルク伝達系を配置した構成であるから、形状が極めて簡単であり、小型軽量である。
【0100】
又、前記従来例と異なって、基本的には摩擦クラッチを滑らせる構成ではないから、クラッチの耐久性低下と発熱による大きなエネルギー損失とが防止される。
【0101】
また、特殊な形状にならずに通常のデファレンシャル装置と類似の形状となり、通常のケースに収容可能であり、従って、車体側の変更も不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1の実施形態に用いられるギヤ組を示す斜視図である。
【図3】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 デファレンシャル装置
3 デフケース
5 第1のギヤ組
7 第2のギヤ組
9 切り換え手段
11 多板クラッチ(伝達トルクを制御可能なクラッチ)
13 ワンウェイクラッチ
15 油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
35、37 車軸(出力部材)
45、47 第1サイドギヤ
49、51 第1ピニオンギヤ組
53 差動ギヤ機構
55、61 収容孔
57 第2ピニオンギヤ
59 第2サイドギヤ

Claims (2)

  1. エンジンの駆動力によって回転駆動されるデフケースと、 車輪側に連結された一対の出力部材と、
    デフケースと各出力部材との間にそれぞれ配置され、第1のギヤ組によって2系統の第1トルク伝達系を構成する差動ギヤ機構と、
    第1のギヤ組とトルク伝達比の異なる第2のギヤ組によって構成される第2トルク伝達系と、
    第1と第2のトルク伝達系を各別に断続する切り換え手段とを備え、
    前記差動ギヤ機構を構成する第1のギヤ組が、出力側の一対の第1サイドギヤと、これらの第1サイドギヤを連結する少なくとも一対の第1ピニオンギヤ組とを有し、
    前記第2のギヤ組が、第1ピニオンギヤ組と噛み合う第2ピニオンギヤと、第2ピニオンギヤと噛み合う第2サイドギヤとを有していることを特徴とするデファレンシャル装置。
  2. 請求項1に記載のデファレンシャル装置であって、
    前記デフケースに形成された収容孔に前記各ピニオンギヤが摺動回転自在に収容されていることを特徴とするデファレンシャル装置。
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