JP4212826B2 - 締結装置 - Google Patents

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JP4212826B2
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正一 酒井
武男 林
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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、締結装置に係り、特に、マシニングセンタ等の工作機械テーブルに取り付けられるベースエレメントと所定の治具が固定される治具プレートとを相互に締結するのに好適に用いられ得る締結装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、二つの部材を締結するための締結装置としては、種々の構造のものがあり、それらの中から、締結されるべき部材の形状や用途等に応じて、適宜に選択されて、使用されている。そして、例えば、マシニングセンタ等の工作機械においても、様々な締結装置が用いられている。
【0003】
すなわち、一般に、マシニングセンタ等の工作機械にあっては、加工されるべきワークを保持するために、クランプやバイス等の各種の治具が用いられているが、それらの治具は、その段取り変えを容易に且つ迅速に行なわしめるために、多くの場合、治具プレートに固定されており、この治具プレートがベースエレメントに対して締結せしめられることによって、各種の治具が、ベースエレメントに取り付けられるようになっている。そして、それら治具プレートとベースエレメントとを相互に締結せしめるものとして、所定の締結装置が用いられているのである。
【0004】
ところで、このような締結装置として用いられるものの一つとして、ベースエレメントと治具プレートの何れか一方に対して位置固定に取り付けられる締結ピンと、それらのうちの何れか他方に対して位置固定に取り付けられる、締結ピンが軸方向に挿入、嵌合可能な締結ブッシュとを有してなる締結装置が、知られている。この締結装置にあっては、締結ピンに設けられたねじ穴に螺合された所定のねじ部材が、かかるねじ穴に螺入されて、締結ピンの締結ブッシュへの挿入方向となる軸方向に移動せしめられることにより、締結ピンの内部に配置されたスチールボールが、ねじ部材と共に一体移動せしめられる押圧面にて、軸方向に対して直角な方向に押圧され、移動せしめられて、締結ピンの外周面から部分的に突出せしめられるようになっており、そして、締結ピンの締結ブッシュへの挿入状態下で、かかるスチールボールの突出部位に対して、締結ブッシュの内周面に設けられた係合部が係合せしめられると共に、締結ブッシュの外周面に設けられた係合部が、締結ピンに係合せしめられることにより、締結ピンの締結ブッシュへの挿入状態下でのそれらの軸方向における相対移動が阻止され得るように構成されている。
【0005】
このような構造を有する締結装置を用いれば、締結ピンと締結ブッシュとを、それぞれ、ベースエレメントと治具プレートとにそれぞれ取り付けた状態で、単に、締結ピンを締結ブッシュに挿入して、ねじ部材をねじ穴に螺入するだけで、ベースエレメントと治具プレートとの締結を、極めて容易に且つ迅速に行なうことが出来るのである。
【0006】
また、近年では、締結ピンの外周面と締結ブッシュの内周面に、互いに対応するテーパ面形状を呈するテーパ嵌合部が、それぞれ設けられて、締結ブッシュと締結ピンのそれぞれの係合部に対するスチールボールと締結ブッシュの係合状態下で、かかるテーパ嵌合部が相互にテーパ嵌合せしめられるように構成された締結装置も、一部で用いられてきている。
【0007】
このような構造が付加された締結装置にあっては、締結ピンと締結ブッシュとの間に形成される、締結ピンの締結ブッシュへの挿入に必要な隙間が、かかる挿入状態下において、テーパ嵌合部でのテーパ嵌合によって有利に吸収されて、それら締結ピンと締結ブッシュとの嵌合により締結されるベースエレメントと治具プレートの位置精度や、各種の治具を介して治具プレートに保持されるワークの保持精度等が、極めて有利に高められ得ることとなるのである。
【0008】
ところが、この締結ピンと締結ブッシュのテーパ嵌合構造を有する締結装置においては、テーパ嵌合部でのテーパ嵌合によって、締結ピンと締結ブッシュとが強固に嵌合せしめられることとなるため、締結ブッシュの係合部に対するスチールボールの係合を解消しても、締結ピンと締結ブッシュとの嵌合状態を解除して、締結ブッシュから締結ピンを離脱させることが容易ではなく、従って、ベースエレメントと治具プレートの締結を解除する際に、締結ピンと締結ブッシュとの間の強固な嵌合状態を解除するための多大な労力と時間が要される作業を行なわなければならないといった問題が、内在していたのである。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、締結されるべき二つの部材を、容易に且つ迅速に、しかも優れた位置精度をもって締結し得るばかりでなく、それら二つの部材の締結の解除も、可及的に少ない労力で、迅速に行なうことが出来るようにした締結装置の新規な構造を提供することにある。
【0010】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、(a)締結されるべき二つの部材のうちの一方の部材に対して位置固定に取り付けられる締結ピンと、(b)前記二つの部材のうちの他方の部材に対して位置固定に取り付けられ、前記一方の部材が取り付けられた前記締結ピンが挿入されて嵌合せしめられることにより、該二つの部材の締結を行なう締結ブッシュと、(c)前記締結ピンの内部に、その軸方向に対して直角な方向に向かって移動可能に配置された、少なくとも一つの第一の移動部材と、(d)前記締結ピンに対して軸方向に延びるように設けられたねじ穴に螺合するねじ部を有し、該ねじ部の該ねじ穴への螺入に伴って、軸方向一方側に移動せしめられると共に、かかる移動によって、前記第一の移動部材を、軸方向に直角な方向に押圧し、移動せしめて、該締結ピンの外周面から部分的に突出せしめる第二の移動部材と、(e)前記締結ブッシュの内周面に設けられ、前記締結ピンの該締結ブッシュへの挿入状態下で、該締結ピンの外周面から部分的に突出せしめられた前記第一の移動部材に係合せしめられて、該締結ブッシュから該締結ピンを離脱させる方向への該締結ブッシュの移動を阻止せしめる第一の係合部と、(f)前記締結ピンの外周面に設けられ、前記第一の移動部材の前記第一の係合部に対する係合状態下で、前記締結ブッシュに係合せしめられて、該締結ピンの該締結ブッシュに対する挿入方向への更なる移動を阻止せしめる第二の係合部と、(g)前記締結ピンの外周面と前記締結ブッシュの内周面に対して、互いに対応するテーパ面形状をもってそれぞれ設けられ、前記第一の係合部と前記第二の係合部とに対する前記第一の移動部材と前記締結ブッシュの係合状態下で、相互にテーパ嵌合せしめられるテーパ嵌合部と、(h)前記締結ピンのねじ穴に対する前記第二の移動部材の弛緩に伴う、該締結ピンの前記軸方向一方側とは反対の軸方向他方側への該第二の移動部材の移動により、前記第一の係合部に対する前記第一の移動部材の係合が解消せしめられた状態下で、該第二の移動部材に係合せしめられて、かかる第二の移動部材の移動方向に押圧され得るように、前記締結ブッシュに設けられた被押圧部を有し、かかる第二の移動部材の移動に伴う該被押圧部に対する押圧により、該締結ブッシュを該締結ピンから離間させる方向に変位せしめて、前記テーパ嵌合部におけるテーパ嵌合の縁切りを行なう縁切り機構とを含んで構成されていることを特徴とする締結装置を、その要旨とするものである。
【0011】
要するに、この本発明に従う締結装置にあっては、締結されるべき二つの部材のうちの一方の部材に対して位置固定に取り付けられる締結ピンの外周面に設けられた第二の係合部が、それら二つの部材のうちの他方の部材に位置固定に取り付けられる締結ブッシュに係合する位置まで、締結ピンを締結ブッシュに挿入せしめた状態下で、第二の移動部材のねじ部を締結ピンのねじ穴に螺入して、締結ピンの外周面から部分的に突出せしめられた第一の移動部材の突出部位を、締結ブッシュの内周面に設けられた第一の係合部に係合せしめることによって、締結ピンの締結ブッシュへの挿入方向とその反対方向、つまり締結ピンと締結ブッシュの軸方向への相対移動が阻止され得るようになっているところから、締結ピンの締結ブッシュへの挿入状態下で、単に、第二の移動部材のねじ部をねじ穴に螺入するだけの簡単な作業を行なうだけで、それら締結ピンと締結ブッシュとにそれぞれ取り付けられる二つの部材が、締結ピンと締結ブッシュの軸方向に相対移動不能な状態で、相互に締結せしめられ得るのである。
【0012】
また、かかる締結装置においては、締結ピンの外周面と締結ブッシュの内周面とに、テーパ嵌合部がそれぞれ設けられて、第一の係合部と第二の係合部とに対する第一の移動部材と締結ブッシュの係合状態下で、それらのテーパ嵌合部が、相互にテーパ嵌合せしめられるようになっているため、締結ピンと締結ブッシュとの間に形成される、締結ピンの締結ブッシュへの挿入に必要な隙間が、かかる挿入状態下において、テーパ嵌合部でのテーパ嵌合によって有利に吸収されて、締結ピンと締結ブッシュの軸方向に直角な方向への相対移動も阻止され得るのであり、それによって、それら締結ピンと締結ブッシュに取り付けられる二つの部材が、締結ピンと締結ブッシュの軸方向だけでなく、それに直角な方向への相対移動も不能とされた状態で、相互に締結せしめられ得るのである。
【0013】
そして、本発明に従う締結装置にあっては、特に、締結ブッシュに形成された被押圧部を有する縁切り機構が設けられ、第二の移動部材のねじ穴からの弛緩に伴って、第二の移動部材が、ねじ穴への螺入時における移動方向とは反対の方向に移動せしめられることにより、第一の係合部に対する第一の移動部材の係合が解消せしめられた状態下で、被押圧部が、かかる第二の移動部材にて、その移動方向に押圧され、以て締結ブッシュが、第二の移動部材の移動方向、つまり、締結ピンから離間する方向に変位せしめられて、テーパ嵌合部におけるテーパ嵌合の縁切りが行なわれるようになっているところから、単に、第二の移動部材のねじ穴からの弛緩操作を、第一の係合部に対する第一の移動部材の係合が解消された状態から更に継続して行なうだけで、テーパ嵌合部でのテーパ嵌合によって強固に嵌合せしめられた締結ピンと締結ブッシュとの嵌合状態が、確実に解除され得るのである。
【0014】
それ故、かかる締結装置においては、第一の係合部に対する第一の移動部材の係合を解消するための作業とは別に、締結ピンと締結ブッシュとの強化な嵌合状態を解除するための特別な作業を、何等行なうことなく、ベースエレメントと治具プレートの締結を容易に解除することが出来るのである。
【0015】
従って、かくの如き本発明に従う締結装置にあっては、締結されるべき二つの部材を、容易に且つ迅速に、しかも優れた位置精度をもって締結し得るばかりでなく、それら二つの部材の締結の解除も、可及的に少ない労力で、迅速に行なうことが出来るのである。
【0016】
しかも、このような本発明に従う締結装置によれば、前記締結ブッシュの前記軸方向他方側の端部に、前記第二の移動部材の前記ねじ穴に対する螺入及び弛緩操作を行なうための操作孔を有する底部が設けられて、かかる底部により、前記縁切り機構の被押圧部が構成され、該操作孔を通じての弛緩操作による該第二の移動部材の該ねじ穴に対する弛緩に伴って、該第二の移動部材が、該軸方向他方側に移動せしめられることにより、該底部の内面が、該第二の移動部材にて押圧され得るように構成されることとなる。
【0017】
このような構成を採用すれば、比較的に簡略な構造をもって、縁切り機構が構成され得るのであり、また、かかる縁切り機構の付加に伴う締結ピンと締結ブッシュの嵌合操作とその解除操作における操作性の低下が効果的に防止され得ることとなるのである。
【0018】
また、本発明に従う締結装置の別の有利な態様の一つによれば、前記底部が、前記締結ブッシュとは別体の部材にて構成されて、該締結ブッシュに固定されることにより、前記被押圧部が、該締結ブッシュに設けられるように構成される。
【0019】
このような構成を有する締結装置にあっては、例えば、底部が締結ブッシュに対して一体的に設けられる場合とは異なって、締結ブッシュが、単純な筒形状をもって構成され得るのであり、それによって、底部の形成による締結ブッシュ、ひいては締結装置全体の構造の複雑化が有利に回避され得るのである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る締結装置の具体的な構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0021】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有し、マシニングセンタ等の工作機械のテーブルに取り付けられるベースエレメントと治具プレートとを相互に締結するために用いられる締結装置の一例が、概略的に示されている。かかる図1からも明らかなように、締結装置は、締結ピン10と締結ブッシュ12とを有して構成されており、締結ピン10が、上下に対向配置された治具プレート14とベースエレメント16のうち、下方に位置するベースエレメント16に対して位置固定に取り付けられ、また、締結ブッシュ12が、上方に位置する治具プレート14に対して位置固定に取り付けられるようになっている。
【0022】
より具体的には、この締結装置を構成する締結ピン10は、全体として、略円柱形状を呈している。そして、この締結ピン10の軸方向中間部の外周面上には、下方に向かって次第に大径となるテーパ面形状を呈するピン側テーパ嵌合部22と、軸方向に直角な方向において、外方に向かって所定長さ延出し、且つ周方向に連続して延びるフランジ部24とが、上下に所定距離を隔てて位置する状態で、それぞれ一体的に設けられている。また、かかるフランジ部24においては、その上面と下面とが何れも水平な円環面とされて、それら上下面のうち、上面が、第二の係合部としてのピン側円環状係合面26とされている一方、下面が、位置決めのための基準面28として、構成されている。
【0023】
さらに、そのような締結ピン10にあっては、フランジ部24よりも上側の部分に、上方に向かって開口する大径の円形凹所30が設けられており、この円形凹所30の開口部側の周壁部には、軸方向に対して直角な方向に延出し、且つかかる円形凹所30の周壁部を厚さ方向に貫通して、その外周面上において側方に開口する円形貫通孔32が、周方向に等間隔をおいて、複数(ここでは、三つ)形成されている。更にまた、締結ピン10の中心部には、内周面に雌ねじが形成されたねじ穴34が、円形凹所30の底面と円形凹所30の形成側とは反対側の下側底面とにおいて上下方向に開口するように、つまり、円形凹所30の底面から下方に向かって、軸方向に一直線に延びるように、形成されている。
【0024】
そして、かかる締結ピン10の円形凹所30の周壁部に設けられた円形貫通孔32のそれぞれの内部には、それよりも所定寸法小さな径を有する、第一の移動部材としてのスチールボール36が、かかる円形貫通孔32内を、その延出方向たる、締結ピン10の軸方向に直角な方向、つまり締結ピン10の径方向に移動可能に、それぞれ一つずつ、配置されている。
【0025】
一方、締結ピン10の円形凹所30内には、比較的に厚肉のクランプリング38と、圧縮コイルばね40とが、上下に位置する状態で、収容配置されている。この円形凹所30内に収容配置されたクランプリング38は、その外径が、円形凹所30の内径よりも所定寸法小さくされていることによって、円形凹所30内を上下方向に移動可能とされていると共に、下側角部が面取りされて、かかる面取り部分が、下方に向かって次第に小径化するテーパ面からなるテーパ状押圧面42とされている。そして、かかるテーパ状押圧面42において、前記各円形貫通孔32内にそれぞれ配置されたスチールボール36に対して接触して、位置せしめられている。
【0026】
また、そのようなクランプリング38の下方に配置された圧縮コイルばね40は、その下端部において、円形凹所30の底面に接触せしめられる一方、上端部において、クランプリング38の下面に接触せしめられており、以て、クランプリング38が下方に移動せしめられた際に、クランプリング38に対して、上方に移動させるような付勢力が発揮され得るようになっている。なお、ここでは、円形凹所30の底部側周壁部に、該円形凹所30の底部側部分(下側部分)を開口部側部分(上部側部分)よりも小径化する段部39が設けられており、この段部39に、クランプリング38のテーパ状押圧面42が接触せしめられることにより、クランプリング38の下方への移動が、所定位置において規制されるようになっている(図3参照)。
【0027】
さらに、締結ピン10の中心部に上下方向に延びるように形成されたねじ穴34には、円形凹所30の底部側開口部に、全体としてT字形状を呈する六角穴付ボルトからなるクランプボルト44が螺合せしめられている。即ち、かかるクランプボルト44が、脚部において、円形凹所30内に収容配置されたクランプリング38の内孔と圧縮コイルばね40に挿通せしめられつつ、ねじ穴34に螺合せしめられて、かかるねじ穴34への螺入により、下方に移動せしめられる一方、ねじ穴34からの弛緩により、上方に移動せしめられるように、位置せしめられているのである。
【0028】
かくして、図2及び図3に示されるように、クランプボルト44の下方への移動に伴って、クランプリング38が、クランプボルト44の頭部の下側端面にて押圧され、圧縮コイルばね40の付勢力に抗して、円形凹所30内を下方に移動せしめられる一方、クランプボルト44の上方への移動によって、クランプリング38が、圧縮コイルばね40の付勢力にて、上方に移動せしめられるようになっている。
【0029】
そして、各円形貫通孔32内で、クランプリング38のテーパ状押圧面42に接触して配置されたスチールボール36が、クランプボルト44の下方への移動に伴うクランプリング38の下方への移動によって、それぞれ、クランプリング38のテーパ状押圧面42にて、締結ピン10の径方向外方に押圧されて、各円形貫通孔32内を、該円形貫通孔32における締結ピン10の外周面側開口部に向かって移動せしめられるようになっている。また、上述せる如く、クランプリング38のテーパ状押圧面42が円形凹所30の周壁部の段部39に接触せしめられた位置において、クランプリング38の下方への移動が規制されるようになっているため、クランプリング38の下方への移動に伴って各円形貫通孔32内を移動せしめられる各スチールボール36が、下方への移動が規制されたクランプリング38のテーパ状押圧面42との接触により、円形凹所30内側への移動が阻止された状態で、締結ピン10の外周面から部分的に突出位置せしめられるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、クランプボルト44とクランプリング38とにて、第二の移動部材が構成されている。
【0030】
而して、図1に示されるように、かくの如き構造を有する締結ピン10が、フランジ部24よりも下側部分において、ベースエレメント16に設けられた取付凹所46内に収容されると共に、フランジ部24の基準面28において、ベースエレメント16の上面に接触せしめられて、上下方向と左右方向が位置決めされた状態で、ベースエレメント16の取付凹所46内に下方から突出位置せしめられた取付ボルト18にて、ボルト固定されることにより、フランジ部24の形成部位よりも上側部分を、ベースエレメント16の上面から上方に突出せしめつつ、ベースエレメント16に対して位置固定に取り付けられているのである。
【0031】
一方、締結ピン10と共に締結装置を構成する締結ブッシュ12は、締結ピン10の外径よりも所定寸法大きな内径を有する、全体として、略円筒形状を呈している。また、かかる締結ブッシュ12の下端部には、その内周面に、径方向内方に向かって、低い高さで突出し、且つ周方向に連続して延びる内側突部48が、一体的に形成されている一方、その外周面には、径方向外方に向かって所定高さ突出し、且つ周方向に連続して延びる、上面が水平な基準面49とされた外フランジ部50が、一体形成されている。
【0032】
また、そのような締結ブッシュ12の内周面に設けられた内側突部48は、その内径が、締結ピン10の前記フランジ部24よりも上側部分が挿入可能な大きさとされている。そして、その上面が、下方に向かうに従って次第に小径となるテーパ面形状を有する、第一の係合部としてのテーパ状係合面51とされている一方、その下面が、該下面に連続する締結ブッシュ12の下側端面と共に、締結ピン10のフランジ部24に設けられたピン側円環状係合面26に対応した水平な円環面からなるブッシュ側円環状係合面52として、構成されており、更に、かかる内側突部48の内周面が、締結ピン10のフランジ部2よりも上側の外周面に設けられたピン側テーパ嵌合部22のテーパ面形状に対応した、下方に向かうに従って次第に大径となるテーパ面形状を呈するブッシュ側テーパ嵌合部54とされている。
【0033】
かくして、締結ブッシュ12にあっては、後述する如く、締結ブッシュ12の内孔内に、締結ピン10の前記上側部分が挿入せしめられた状態下で、ブッシュ側円環状係合面52が、締結ピン10のピン側円環状係合面26に対して係合せしめられることにより、締結ピン10の、上方、つまり締結ブッシュ12に対する挿入方向への更なる移動が、阻止され得るようになっており、また、そのような状態下で、テーパ状係合面51が、締結ピン10の円形貫通孔32から外方に部分的に突出位置せしめられた各スチールボール36の突出部位に係合せしめられることによって、締結ピン10の、下方、つまり締結ブッシュ12からの離脱方向への移動も、阻止され得るようになっているのである。更に、そのようにして、締結ピン10が締結ブッシュ12に挿入され、且つそれら締結ピン10と締結ブッシュ12の上下方向への相対移動が阻止された状態下において、締結ピン10のピン側テーパ嵌合部22と締結ブッシュ12のブッシュ側テーパ嵌合部54とが、相互にテーパ嵌合せしめられるようになっているのである(図3参照)。
【0034】
そして、ここでは、特に、締結ブッシュ12の上端部に、その上側開口部を閉塞する蓋体56が、取り付けられている。即ち、この蓋体56は、締結ブッシュ12の上側開口部を覆い得る大きさを備えた円板部58と、かかる円板部58の下面の外周部に一体形成された、前記締結ピン10の上側部分よりも十分に低い高さの円筒部60とを有して構成され、この円筒部60の外周面に設けられた雄ねじ部において、締結ブッシュ12の上側開口周面に設けられた雌ねじ部に螺合されることにより、締結ブッシュ12に対して取外し可能に固定されているのである。
【0035】
かくして、締結ブッシュ12にあっては、その上端部に、上側開口部を閉塞する底部62が、蓋体56の円板部58にて形成され、それにより、クランプボルト44が、ねじ穴34からの弛緩に伴って、上方に移動せしめられた際に、クランプボルト44の頭部の上側端面が底部62の下面に接触して、かかる底部62がクランプボルト44にて上方に押圧され、以て、底部62とそれが取り付けられる締結ブッシュ12の全体が、締結ピン10から離間するように、上方に変位せしめられるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、底部62を与える蓋体56の円板部58にて、被押圧部が構成されている。
【0036】
なお、ここでは、かかる底部62を与える円板部58の中心部に、クランプボルト44の頭部の外径よりも小さく、且つクランプボルト44の六角穴に挿入せしめられて、クランプボルト44を回転操作する六角レンチ等の工具が挿通可能な大きさの内径を有する操作孔64が設けられており、以て、この操作孔64を通じて、クランプボルト44のねじ穴34に対する螺入及び弛緩操作が行なわれ得るようになっている。
【0037】
そして、かくの如き構造を有する締結ブッシュ12が、その上端部に設けられた底部62の操作孔64を、治具プレート14に形成された貫通孔66に対応位置させつつ、外フランジ部50よりも上側部分において、治具プレート14に設けられた取付凹所68内に収容されると共に、外フランジ部50の基準面49において、治具プレート14の下面に接触せしめられて、上下方向と左右方向が位置決めされた状態で、外フランジ部50に挿通位置せしめられた取付ボルト20,20にて、ボルト固定されることにより、外フランジ部50の形成部位、換言すれば、内周面に内側突部48が形成された下端部を、治具プレート14の下面から下方に突出せしめつつ、治具プレート14に対して位置固定に取り付けられているのである。
【0038】
而して、このような締結ブッシュ12と前述の如き構造とされた締結ピン10とを有する本実施形態の締結装置を用いて、治具プレート14とベースエレメント16との締結とその解除とを行なう際には、例えば、以下のようにして、その操作が行われることとなる。
【0039】
すなわち、先ず、図1に示されるように、ベースエレメント16と治具プレート14とを、それらにそれぞれ固定された締結ピン10と締結ブッシュ12とが互いに離間し、且つ同軸的に位置するように、対向配置させる。このとき、例えば、クランプボルト44を、締結ピン10のねじ穴34から十分に弛緩させて、クランプボルト44の頭部とクランプリング38とを離間させておくことにより、各スチールボール36が、締結ピン10の外周面から、何等突出せしめられていないようにしておく必要がある。
【0040】
次いで、図2に示される如く、締結ブッシュ12の内孔内に、締結ピン10のフランジ部24よりも上側部分を挿入して、締結ピン10を締結ブッシュ12に対して内嵌せしめる。このときの締結ピン10の締結ブッシュ12への挿入位置は、締結ピン10のピン側テーパ嵌合部22と締結ブッシュ12のブッシュ側テーパ嵌合部54とが互いに接触するものの、締結ピン10のピン側円環状係合面26と締結ブッシュ12のブッシュ側円環状係合面52との間に、微小な隙間が形成される程度の位置とする。
【0041】
その後、図3に示されるように、締結ピン10の締結ブッシュ12への挿入状態下で、治具プレート14の貫通孔66と、締結ブッシュ12における底部62の操作孔64を通じて、例えば六角レンチ等(図示せず)をクランプボルト44の六角穴に挿入し、クランプボルト44のねじ穴34への螺入操作を行なって、クランプボルト44を、円形凹所30内で下方に移動させることにより、クランプボルト44の下方に配されたクランプリング38を、クランプボルト44の頭部にて押圧して、締結ピン10の円形凹所30における段部39に当接するまで、圧縮コイルばね38の付勢力に抗して、下方に移動せしめる。そして、そのようなクランプリング38の下方への移動に伴って、各円形貫通孔32内に配置されたスチールボール36を、それぞれ、クランプリング38のテーパ状押圧面42にて押圧して、各円形貫通孔32内を、締結ピン10の径方向外方に移動させ、それら各スチールボール36を、締結ピン10の外周面から側方に部分的に突出せしめることにより、締結ブッシュ12のテーパ状係合面51に対して、各スチールボール36の突出部位を係合させる。
【0042】
その際、各スチールボール36の移動により、締結ピン10の外周面からの各スチールボール36の突出量が増大せしめられるのに従って、締結ブッシュ12のテーパ状係合面51が、各スチールボール36の突出部位にて、下方に押圧されて、締結ブッシュ12全体が下方に徐々に移動せしめられ、それによって、ブッシュ側テーパ嵌合部54がピン側テーパ嵌合部22に噛み込んで、それら両テーパ嵌合部54,22が、より強固にテーパ嵌合せしめられると共に、ブッシュ側円環状係合面52が、ピン側円環状係合面26に当接せしめられる。そして、そのような状態下で、各スチールボール36が、前述せるように、締結ピン10の外周面からの突出側とは反対側の部位において、下方への移動が阻止されたクランプリング38のテーパ状押圧面42に接触せしめられるため、各スチールボール36の締結ピン10からの突出状態が保持されて、締結ピン10と締結ブッシュ12の径方向と上下方向への相対移動が、確実に且つ安定的に阻止されることとなる。
【0043】
これによって、締結ピン10と締結ブッシュ12が固定されたベースエレメント16と治具プレート14とが、上下方向とそれに直角な方向への相対移動が不能とされた状態で、相互に締結せしめられ、そして、そのような締結状態が、安定的に確保され得ることとなるのである。
【0044】
また、そのような治具プレート14とベースエレメント16との締結状態を解除するには、治具プレート14の貫通孔66と、締結ブッシュ12における底部62の操作孔64を通じて、図示しない六角レンチ等をクランプボルト44の六角穴に挿入し、クランプボルト44のねじ穴34からの弛緩操作を行なって、図2及び図3に示されるように、クランプボルト44を上方に移動させることにより、クランプリング38を、圧縮コイルばね40の付勢力にて、上方に移動させる。これによって、クランプリング38のテーパ状押圧面42からの各スチールボール36に対する締結ピン10の径方向外方への押圧力を解除して、それら各スチールボール36を、各円形貫通孔32内において、円形凹所30側に引込移動させ、以て、締結ブッシュ12のテーパ状係合面51に対する各スチールボール36の突出部位の係合を解消せしめる。
【0045】
そして、引き続き、クランプボルト44のねじ穴34からの弛緩操作により、クランプボルト44の頭部の上端面を、締結ブッシュ12の底部62の内面に当接させた状態から、クランプボルト44に対する弛緩操作を更に継続して行なって、クランプボルト44を上方に移動させることにより、かかるクランプボルト44の頭部の上端面にて、締結ブッシュ12の底部62を上方に押圧して、締結ブッシュ12の全体を、上方、つまり締結ピン10から離間する方向に変位させ、以て、締結ブッシュ12のブッシュ側テーパ嵌合部54と締結ピン10のピン側テーパ嵌合部22との間の強固なテーパ嵌合の縁切りを行なう。このことから明らかなように、ここでは、クランプボルト44と締結ブッシュ12の底部62とにて、縁切り機構が構成されているのである。
【0046】
そして、その後、締結ピン10を締結ブッシュ12の内孔内から引き抜くように、それらを上下方向に相対移動せしめることによって、治具プレート14とベースエレメント16との締結を解除するのである。
【0047】
このように、本実施形態の締結装置にあっては、ベースエレメント16に取り付けられた締結ピン10を、治具プレート14に取り付けられた締結ブッシュ12の内孔内に挿入せしめた状態下において、単に、締結ピン10のねじ穴34に、クランプボルト44を螺入するだけの簡単な操作を行なうだけで、締結ピン10の外周面から突出せしめられたスチールボール36が、締結ブッシュ12のテーパ状係合面51に係合せしめられると共に、締結ピン10のピン側テーパ嵌合部22と締結ブッシュ12のブッシュ側テーパ嵌合部54とがテーパ嵌合せしめられ、それによって、対する締結ピン10と締結ブッシュ12にそれぞれ取り付けられるベースエレメント16と治具プレート14とを、上下方向とそれに直角な方向への相対移動が不能とされた状態で、相互に締結せしめることが出来るのである。
【0048】
そして、かかる締結装置においては、特に、ベースエレメント16と治具プレート14とが相互に締結せしめられた状態下で、単に、締結ピン10のねじ穴34から、クランプボルト44を弛緩せしめるだけの、単純且つ容易な操作を行なうだけで、締結ブッシュ12のテーパ状係合面51に対するスチールボール36の係合を解消せしめると共に、締結ピン10のピン側テーパ嵌合部22と締結ブッシュ12のブッシュ側テーパ嵌合部54との間のテーパ嵌合の縁切りを行なうことが出来、それによって、テーパ嵌合により強固に嵌合せしめられた締結ピンと締結ブッシュとの嵌合状態を、簡単に且つ確実に解除することが出来るのである。
【0049】
従って、このような本実施形態に係る締結装置を用いれば、ベースエレメント16と治具プレート14とを、容易に且つ迅速に、しかも優れた位置精度をもって締結し得るのであり、しかも、スチールボール36のテーパ状係合面51に対する係合を解消させるための作業とは別に、特別な作業を何等行なうことなく、締結ピン10と締結ブッシュ12との強な嵌合状態を容易に解除することが出来、以て、ベースエレメント16と治具プレート14との締結の解除も、可及的に少ない労力で、迅速に行なうことが出来るのである。
【0050】
また、かかる本実施形態の締結装置にあっては、締結ブッシュ12の上端部に、中心部に操作孔64を有する底部62が設けられ、この底部62の操作孔64を通じての弛緩操作により、クランプボルト44が上方に移動せしめられることによって、底部62の内面が上方に押圧されて、締結ブッシュ12の全体が締結ピン10から離間する方向に変位せしめられ、以て、それら締結ブッシュ12のブッシュ側テーパ嵌合部54と締結ピン10のピン側テーパ嵌合部22との間のテーパ嵌合の縁切りが行なわれるようになっているところから、単に、締結ブッシュ12の上端部に底部62を設けただけの簡略な構造によって、ブッシュ側テーパ嵌合部54とピン側テーパ嵌合部22との間のテーパ嵌合の縁切りが、確実に行なわれ得るばかりでなく、そのような底部62の形成により、クランプボルト44に対する弛緩操作に悪影響が及ぼされるようなことも、有利に回避され得ているのである。
【0051】
さらに、かかる締結装置においては、上述の如く、ブッシュ側テーパ嵌合部54とピン側テーパ嵌合部22との間のテーパ嵌合の容易な縁切りを可能ならしめる底部62が、締結ピン10の上側開口部に対して、単に、かかる底部62を与える円板部58を備えた蓋体56を螺合して固定することによって形成されているため、締結ブッシュ12が、底部62を有しているにも拘わらず、単純な略円筒形状を有して構成され得るのであり、それによって、底部62の形成による締結ブッシュ12、ひいては締結装置全体の構造の複雑化が有利に回避され得るのである。
【0052】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0053】
例えば、前記実施形態では、第二の移動部材が、ねじ穴34に螺合されるクランプボルト44と、テーパ状押圧面42を有するクランプリング38の独立した二つの部材にて構成されていたが、それらクランプボルト44とクランプリング38の両方の機能を備えた一つの部材にて、第二の移動部材を構成することも、可能である。即ち、例えば、T字ボルトの頭部の下側角部を面取りする等して、かかる面取り部分に、テーパ状押圧面を形成してなるボルト部材にて、第二の移動部材を構成しても良いのである。そうすれば、クランプリング38やそれを上方に付勢する圧縮コイルばね40を省略することが出来、以て部品点数の削減が、有利に図られ得ることとなるのである。
【0054】
また、第一の移動部材も、前記実施形態に示される如きスチールボール36に、何等限定されるものではなく、第二の移動部材の軸方向への移動に伴って、それに直角方向に移動せしめられて、締結ピン10の外周面から部分的に突出位置せしめられ得る構造を有しておれば良く、従って、例えば、スチールボール36に代えて、第一の移動部材として、円柱状のコロ等を採用することも、勿論可能である。
【0055】
さらに、締結ピン10と締結ブッシュ12のベースエレメント16や治具プレート14への取付構造も、前記実施形態に示されるものに、決して限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0056】
更にまた、前記実施形態では、締結ブッシュ12とは別部材からなる蓋体56が、締結ブッシュ12の上側開口部に固定されることにより、かかる蓋体56の円板部58にて、縁切り機構の被押圧部を構成する底部62が、締結ブッシュ12に形成されるようになっていたが、そのような底部62を、締結ブッシュ12に対して一体的に設けても、何等差し支えない。
【0057】
また、そのような底部62に代えて、締結ブッシュ12の上端部に、クランプボルト44の上方への移動に伴って、そのクランプボルト44の頭部の上側端面に接触して押圧される内向きフランジ部や内側突部等を設け、それらのものにて、被押圧部を構成することも、可能である。
【0058】
加えて、前記実施形態では、本発明を、マシニングセンタ等の工作機械のテーブルに取り付けられるベースエレメントと治具プレートとを相互に締結するために用いられる締結装置に対して適用したものの具体例を示したが、本発明が、ベースエレメントと治具プレート以外の互いに締結されるべき二つの様々な部材を相互に締結するために用いられる締結装置に対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0059】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う締結装置を用いれば、締結されるべき二つの部材を、容易に且つ迅速に、しかも優れた位置精度をもって締結し得るばかりでなく、それら二つの部材の締結の解除も、可及的に少ない労力で、迅速に行なうことが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う締結装置の一例を示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示された締結装置の使用状態を示す説明図であって、締結ピンを締結ブッシュの内孔内に挿入せしめた状態を示している。
【図3】図1に示された締結装置の別の使用状態を示す説明図であって、締結ピンの内部に配置された複数のスチールボールを、締結ピンの外周面から部分的に突出させて、締結ブッシュのテーパ状係合面に係合させると共に、締結ピンのピン側テーパ嵌合部と締結ブッシュのブッシュ側テーパ嵌合部とをテーパ嵌合せしめて、締結ピンと締結ブッシュがそれぞれ取り付けられたベースエレメントと治具プレートとを相互に締結せしめた状態を示している。
【符号の説明】
10 締結ピン 12 締結ブッシュ
14 治具プレート 16 ベースエレメント
22 ピン側テーパ嵌合部 26 ピン側円環状係合面
34 ねじ穴 36 スチールボール
38 クランプリング 42 テーパ状押圧面
44 クランプボルト 51 テーパ状係合面
52 ブッシュ側円環状係合面 54 ブッシュ側テーパ嵌合部
56 蓋体 62 底部
64 操作孔

Claims (2)

  1. 締結されるべき二つの部材のうちの一方の部材に対して位置固定に取り付けられる締結ピンと、
    前記二つの部材のうちの他方の部材に対して位置固定に取り付けられ、前記一方の部材が取り付けられた前記締結ピンが挿入されて嵌合せしめられることにより、該二つの部材の締結を行なう締結ブッシュと、
    前記締結ピンの内部に、その軸方向に対して直角な方向に向かって移動可能に配置された、少なくとも一つの第一の移動部材と、
    前記締結ピンに対して軸方向に延びるように設けられたねじ穴に螺合するねじ部を有し、該ねじ部の該ねじ穴への螺入に伴って、軸方向一方側に移動せしめられると共に、かかる移動によって、前記第一の移動部材を、軸方向に直角な方向に押圧し、移動せしめて、該締結ピンの外周面から部分的に突出せしめる第二の移動部材と、
    前記締結ブッシュの内周面に設けられ、前記締結ピンの該締結ブッシュへの挿入状態下で、該締結ピンの外周面から部分的に突出せしめられた前記第一の移動部材に係合せしめられて、該締結ブッシュから該締結ピンを離脱させる方向への該締結ブッシュの移動を阻止せしめる第一の係合部と、
    前記締結ピンの外周面に設けられ、前記第一の移動部材の前記第一の係合部に対する係合状態下で、前記締結ブッシュに係合せしめられて、該締結ピンの該締結ブッシュに対する挿入方向への更なる移動を阻止せしめる第二の係合部と、
    前記締結ピンの外周面と前記締結ブッシュの内周面に対して、互いに対応するテーパ面形状をもってそれぞれ設けられ、前記第一の係合部と前記第二の係合部とに対する前記第一の移動部材と前記締結ブッシュの係合状態下で、相互にテーパ嵌合せしめられるテーパ嵌合部と、
    前記締結ピンのねじ穴に対する前記第二の移動部材の弛緩に伴う、該締結ピンの前記軸方向一方側とは反対の軸方向他方側への該第二の移動部材の移動により、前記第一の係合部に対する前記第一の移動部材の係合が解消せしめられた状態下で、該第二の移動部材に係合せしめられて、かかる第二の移動部材の移動方向に押圧され得るように、前記締結ブッシュに設けられた被押圧部を有し、かかる第二の移動部材の移動に伴う該被押圧部に対する押圧により、該締結ブッシュを該締結ピンから離間させる方向に変位せしめて、前記テーパ嵌合部におけるテーパ嵌合の縁切りを行なう縁切り機構とを、
    含んで構成され、且つ
    前記締結ブッシュの前記軸方向他方側の端部に、前記第二の移動部材の前記ねじ穴に対する螺入及び弛緩操作を行なうための操作孔を有する底部が設けられて、かかる底部により、前記縁切り機構の被押圧部が構成され、該操作孔を通じての弛緩操作による該第二の移動部材の該ねじ穴に対する弛緩に伴って、該第二の移動部材が、該軸方向他方側に移動せしめられることにより、該底部の内面が、該第二の移動部材にて押圧され得るようになっていることを特徴とする締結装置。
  2. 前記底部が、前記締結ブッシュとは別体の部材にて構成されて、該締結ブッシュに固定されることにより、前記被押圧部が、該締結ブッシュに設けられるようになっている請求項記載の締結装置。
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