JP4212317B2 - パレット式化粧料容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、収納部がその両側に形成される仕切り壁の厚さを薄くすることができるパレット式化粧料容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アイシャドウやブラッシャーなどの化粧料が充填された複数の化粧皿を交換可能に収納するパレット式の化粧料容器、特に大きさの異なる化粧皿を収納するパレット式化粧料容器としては、特開2000−114に開示されたものが知られている。この化粧料容器では、容器本体内部を2つに区分けする仕切り壁が設けられ、化粧皿は仕切り壁両側の各収納部に収納される。各収納部は、小さな化粧皿を複数個並べて収納したり、最も大きな化粧皿を少なくとも一つ収納できる大きさに形成されている。仕切り壁自体は、その断面が逆U字状に形成されて、中央の間隙を挟んで対面する2つの壁面を備え、これら各壁面がそれぞれ各収納部に面している。各壁面にはそれぞれ可撓片部が複数形成され、これら可撓片部は、仕切り壁の厚さ方向に弾性変形できるようになっている。
【0003】
特に、これら可撓片部のうち、一方の壁面に形成されたものは、当該一方の壁面が面する収納部のみに面し、また他方の壁面に形成されたものは、他方の収納部のみに面するようになっている。これら可撓片部にはすべてに、それらが面する収納部内へ突出させて、化粧皿の係合凹部と係脱自在に係合する係合部が形成されている。また仕切り壁と対面する容器本体の壁面にも収納部内に突出させて、化粧皿の係合凹部と係脱自在に係合する係合凸部が形成されている。
【0004】
そして、一方の収納部に化粧皿を収納する際、この収納部に面している壁面の可撓片部は、化粧皿を挿入するに従って弾性変形されて間隙に向かって押し込まれ、その後、係合部および係合凸部が係合凹部に係合することで弾性復帰して、これにより化粧皿を収納部内に保持するようになっている。他方のもう一つの収納部にあっても、これに面する壁面の可撓片部が同様に弾性変形されるようになっている。また、化粧皿を取り外す際にも、いずれの収納部にあっても、可撓片部を弾性変形させれば、化粧皿の係合凹部を係合部および係合凸部から離脱させることができ、化粧皿を収納部から取り出せるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のパレット式化粧料容器にあっては、収納部を区画形成する仕切り壁の厚さが厚いという課題があった。具体的に説明すると上述したように、仕切り壁は、間隙を挟んで各収納部に面する2つの壁面を備え、そして一方の壁面にはこれが面する一方の収納部に臨む可撓片部を形成し、他方の壁面には他方の収納部に臨む可撓片部を形成していた。このように各収納部に面する可撓片部を別々の2つの壁面に形成していて、この2つの壁面を確保する必要性から仕切り壁の厚さが厚くなってしまい、この仕切り壁の厚さのために、化粧料を収納するための容器本体内のスペースが無駄になっていた。
【0006】
そしてこのことは、収納部の数を2つではなく、もっと多く設定するために、仕切り壁の枚数を増やせば増やすほど、一枚の仕切り壁の厚さの影響が累積していき、容器本体などの外形寸法に与える影響も顕著なものとなってしまう。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、収納部がその両側に形成される仕切り壁の厚さを薄くすることができるパレット式化粧料容器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるパレット式化粧料容器は、化粧皿を収納する収納部が仕切り壁の両側にそれぞれ形成されたパレット式化粧料容器において、上記仕切り壁には、表裏面が上記各収納部にそれぞれ面し、かつ当該仕切り壁の厚さ方向に弾性変形可能な可撓片部を複数形成するとともに、これら可撓片部の表裏面のいずれか一方に、上記化粧皿に係脱自在に係合する係合部を形成したことを特徴とする。これにより、収納部がその両側に形成される仕切り壁の厚さを薄くすることが可能となる。
【0009】
また、前記仕切り壁が互いに相対向させて複数設けられ、一方の仕切り壁の前記係合部が、他方の仕切り壁の前記係合部に対し位置ずれさせて配置されていることを特徴とする。これにより、仕切り壁の係合部によって、各収納部に収納される化粧皿を適切に保持させることが可能となる。
【0010】
また、前記可撓片部は、前記係合部と反対側の面が窪ませられて、前記仕切り壁よりも薄く形成されていることを特徴とする。これにより、可撓片部の弾性変形が保証される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるパレット式化粧料容器の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかるパレット式化粧料容器1は図1〜図5に示すように、内部に一連の収納凹部2が形成された容器本体3と、この容器本体3の収納凹部2内に組み込まれて接着剤や超音波接着などの方法によって固定され、化粧料Pを充填した化粧皿4が着脱自在に収納される収納部5a〜5dを区画形成する皿枠6と、容器本体3に一端がヒンジ7を介して回動自在に連結されて容器本体3を開閉するとともに、他端がフック手段8を介して容器本体3に係脱自在に係合されて容器本体3の閉止状態を維持する、鏡9付きの蓋体10とから主に構成される。
【0012】
フック手段8は、容器本体3の凹所11に形成されたフック用突起12と、蓋体10から垂下され、フック用突起12に係脱自在に係合されるフック部13と、凹所11内にスライド自在に設けられ、容器本体3内方へ向かって押し込まれることで蓋体10を押し上げてフック部13をフック用突起12から離脱させるプッシュピース14とから構成される。
【0013】
皿枠6は合成樹脂製で形成され、容器本体3の収納凹部2の輪郭に沿って形成された外周壁部6aと、フック手段8側とヒンジ7側との間で、外周壁部6a間に互いに平行に掛け渡して形成された4枚の平板状の仕切り壁15a〜15dとを備えて、枠体状に形成される。そしてこれら仕切り壁15a〜15dは収納凹部2内に、フック手段8側からヒンジ7側に向かって、化粧具を収納する第1収納部16、並びに化粧皿4を着脱自在に収納する第2収納部5aから第5収納部5dを区画形成する。第1収納部16は、第1仕切り壁15aとフック手段側の外周壁部6aとの間に区画形成され、第5収納部5dは、第4仕切り壁15dとヒンジ側の外周壁部6aとの間に区画形成され、また第2収納部5aから第4収納部5cは、第1仕切り壁15aから第4仕切り壁15dの各仕切り壁の間に、それぞれ外周壁部6aに挟まれて区画形成される。すなわち、平板状の各仕切り壁15b〜15dの両側には第2収納部5aから第5収納部5dが形成され、これら仕切り壁15b〜15dの表裏面は両側の収納部5a〜5dにそれぞれ面する。
【0014】
第2収納部5aから第5収納部5dは、幅寸法が同一であってかつ長さ寸法が異なる、各種大きさの化粧皿4を適宜に組み合わせて収納できる寸法に設定される。換言すれば、化粧皿4は、幅寸法Hが仕切り壁間寸法Hとほぼ同一であって、かつ長さ寸法Lが仕切り壁の長さ寸法Sとほぼ同一、もしくはその長さ寸法Sの二分の一、四分の一などの寸法に形成され、仕切り壁15a〜15dの長さ寸法に組み合わせて配列することで収納部5a〜5dに収納される。これら化粧皿4には、仕切り壁15a〜15dと向かい合う幅方向両側面に、その長さ方向全長にわたって一連に係合凹部17が形成される。図示例にあっては、化粧皿4として、その長さ寸法Lが仕切り壁の長さ寸法と同一の大きなものと、半分の小さなものとが示されている。また、化粧皿4には、係合凹部17が形成された側面からその底面にわたって面取りして、テーパ面18が形成される。
【0015】
化粧皿4の係合凹部17と向かい合うことになる第2仕切り壁15bから第4仕切り壁15dには、表裏面が仕切り壁15b〜15d両側の各収納部5a〜5dにそれぞれ面し、当該仕切り壁15b〜15dの厚さ方向に弾性変形可能な可撓片部19が複数形成される。平板状の仕切り壁15b〜15dにはその長さ方向に沿って間隔を隔てて、深さ寸法を深く設定した複数の脚部20が形成され、可撓片部19は、これら脚部20間に仕切り壁15b〜15dを貫通する縦スリット21を介して、当該脚部20よりも段違いに浅い寸法で、互いに間隔を隔てて複数形成される。そして、容器本体3の収納凹部2に脚部20の位置に合わせて、脚部20と可撓片部19との段差よりも浅い深さで形成した複数の溝部22にそれぞれ脚部20を挿入することにより、可撓片部19は、左右の縦スリット21、並びに収納凹部2との間に生じる、仕切り壁15b〜15dを貫通する横スリット23に取り囲まれ、これによって仕切り壁15b〜15dの厚さ方向に弾性変形可能とされる。
【0016】
図示例にあっては各仕切り壁15b〜15dには、5つの脚部22の間に4つの可撓片部19が形成されている。他方、第2仕切り壁15bと向かい合う第1仕切り壁15a、並びに第4仕切り壁15dと向かい合うヒンジ側の外周壁部6aには、可撓片部19は形成されない。
【0017】
さらに、可撓片部19には、仕切り壁15b〜15dに連なる固定端とは反対側の自由端に、その表裏面のいずれか一方、具体的には仕切り壁15b〜15dの両側に位置する収納部5a〜5dのいずれか一方に臨ませて、化粧皿4の係合凹部17に係脱自在に係合する係合部24が収納部5a〜5d内方へ突出させて形成される。また、可撓片部19を有しない第1仕切り壁15aおよびヒンジ側の外周壁部6aにも、それぞれ第2収納部5aおよび第5収納部5d内方へ突出させて、化粧皿4の係合凹部17に係脱自在に係合する係合凸部25が形成される。特に、互いに相対向する仕切り壁15a〜15d同士、また第4仕切り壁15dとヒンジ側の外周壁部6aとの関係において、係合部24および係合凸部25は、互いに向かい合わないように、一方の仕切り壁15b〜15dの係合部24に対し、他方の仕切り壁15a〜15dまたはヒンジ側の外周壁部6aの係合部24もしくは係合凸部25が位置ずれさせて配置される。
【0018】
図示例にあっては係合部24は、中央部の2つが一方の収納部5a〜5cに臨むとともに、両端部の2つが他方の収納部5b〜5dに臨むように配置されている。また係合凸部25は、第2収納部5aにおいて、第2仕切り壁15bの中央の係合部24と位置ずれさせて両端部に形成されているとともに、第5収納部5dにおいて、第4仕切り壁15dの両端部の係合部24と位置ずれさせて中央部に形成されている。
【0019】
このように位置をずらして配置することによって、一つの仕切り壁15b〜15dに、その両側の収納部5a〜5d双方に面する係合部24を備えつつ、各収納部5a〜5dでは、互いに相対向する仕切り壁15b〜15d同士もしくは仕切り壁15aおよびヒンジ側の外周壁部6aに設けた係合部24もしくは係合凸部25によって、化粧皿4をその両側から挟み込んで適切に保持することができる。図示例にあっては、小さな化粧皿4の場合、一側面の係合凹部17の一方の隅に中央部の係合部24が係合し、他側面の係合凹部17の他方の隅に端部の係合部24が係合するようになっている。
【0020】
さらに、可撓片部19は、その弾性変形能を向上させるとともに、係合部24の反対側にその変形を許容するスペースを十分に確保するために、係合部24と反対側の面19aが窪ませられて、その厚さが仕切り壁15b〜15dの厚さよりも薄く形成される。また、収納凹部2には、各収納部5a〜5dに対応させて、化粧皿4を取り外す際に棒状物を差し込むための穴部26が形成される。
【0021】
本実施形態にかかるパレット式化粧料容器1の作用について説明すると、収納部5a〜5d内に化粧皿4を収納する際には、その係合凹部17を仕切り壁15a〜15d等に向けて押し入れると、当該収納部5a〜5dのみに面する係合部24を介して、化粧皿4のテーパ面18が可撓片部19を仕切り壁15b〜15dの厚さ方向に収納部5a〜5d外方へと押圧して弾性変形させ、その後、係合凹部17に係合部24もしくは係合凸部25が係合すると可撓片部19が弾性復帰し、これにより化粧皿4は収納部5a〜5d内に保持される。仕切り壁15b〜15dを挟んだ隣の収納部5a〜5dに対しても、同様にして化粧皿4を装着することができる。この際、隣接する収納部5a〜5dに化粧皿4が装着されていない場合はもちろんのこと、装着されていても、可撓片部19は隙間を利用して、隣接する収納部5a〜5d側に向かって弾性変形することができ、特に係合部24とは反対側の面19aを窪ませて形成した場合には、十分に弾性変形することができて、適切に化粧皿4を収納部5a〜5dに収納することができる。
【0022】
他方、仕切り壁15b〜15d両側のいずれの収納部5a〜5dにあっても、化粧皿4を取り外す際には、穴部26から棒状物を挿入して化粧皿4の底面を押し上げると、化粧皿4が係合部24を介して可撓片部19を再び弾性変形させるので、これにより係合凹部17が係合部24および係合凸部25から離脱されて、化粧皿4を収納部5a〜5d内から取り出すことができる。
【0023】
この際、本実施形態にかかるパレット式化粧料容器1にあっては、化粧皿4を収納する収納部5a〜5dがその両側にそれぞれ形成される仕切り壁15b〜15dに、表裏面が各収納部5a〜5dにそれぞれ面し、かつ当該仕切り壁15b〜15dの厚さ方向に弾性変形可能な可撓片部19を複数形成するとともに、これら可撓片部19の表裏面のいずれか一方に、化粧皿4に係脱自在に係合する係合部24を形成したので、従来のように、各収納部に面する可撓片部を別々の2つの壁面に形成していて、この2つの壁面を確保する2つの壁面を確保する必要性から厚さが厚くなっていた仕切り壁とは異なり、単一壁面の仕切り壁15b〜15dによってその両側に収納される化粧皿4を適切に保持することができて、仕切り壁15b〜15dの厚さを薄く形成することができる。
【0024】
このように、両側に収納部5a〜5dが形成される仕切り壁15b〜15dの厚さを薄くすることができるので、化粧料Pを収納するための容器本体3内のスペースを無駄なく有効利用できるとともに、特に収納部5a〜5dの数を多く設定するために、仕切り壁15b〜15dの枚数を増やしても、仕切り壁厚さの累積の影響を抑えることができて、容器本体3などの外形寸法に与える影響を小さくすることができる。
【0025】
また、仕切り壁15a〜15dを互いに相対向させて複数設ける場合に、一方の仕切り壁15b〜15dの係合部24を、他方の仕切り壁15a〜15dや外周壁部6aの係合部24および係合凸部25に対して位置をずらして配置するようにしたので、両側の収納部5a〜5d双方に面する可撓片部19の表裏面のいずれかにしか設けられない係合部24を、合理的に各収納部5a〜5dに収納される化粧皿4の係脱に利用することができ、従来と遜色なく化粧皿4を適切に収納部5a〜5dに保持させることができる。さらに、可撓片部19を、係合部24と反対側の面19aを窪ませて、仕切り壁15b〜15dよりも薄く形成したので、可撓片部19の適切かつ十分な弾性変形量を保証することができる。
【0026】
図6には可撓片部19の変形例が示されている。この変形例にあっては、可撓片部19は、脚部20間に当該脚部20よりも段違いに凹まされて、かつ仕切り壁15b〜15dを貫通するL字状スリット27に取り囲まれて仕切り壁15b〜15dに形成される。そして、容器本体3の複数の溝部22にそれぞれ脚部20を挿入することにより、可撓片部19は、L字状スリット27、並びに収納凹部2との間に生じる、仕切り壁15b〜15dを貫通する横スリット23に取り囲まれ、これによって仕切り壁15b〜15dの厚さ方向に弾性変形可能とされる。そしてこの可撓片部19には、脚部20と連なる固定端とは反対側の自由端に係合部24が形成される。このような可撓片部19であっても、上記実施形態と同様の作用・効果が得られることはもちろんである。また上記実施形態にあっては、容器本体3と皿枠6とを別体に形成した場合を例示したが、これらを一体的に成形しても良いことはもちろんである。
【0027】
【発明の効果】
以上要するに、本発明にかかるパレット式化粧料容器にあっては、収納部がその両側に形成される仕切り壁の厚さを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるパレット式化粧料容器の好適な一実施形態を示す、容器本体および皿枠の一部破断斜視断面図である。
【図2】図1のパレット式化粧料容器の容器本体および皿枠の平面図である。
【図3】図1のパレット式化粧料容器の側断面図である。
【図4】図3中のA部拡大図である。
【図5】図1中のB部拡大正面図である。
【図6】本発明にかかるパレット式化粧料容器に適用される可撓片部の変形例を示す、図5に対応する拡大正面図である。
【符号の説明】
1 パレット式化粧料容器
4 化粧皿
5a〜5d 収納部
15a〜15d 仕切り壁
19 可撓片部
24 係合部
Claims (3)
- 化粧皿を収納する収納部が仕切り壁の両側にそれぞれ形成されたパレット式化粧料容器において、
上記仕切り壁には、表裏面が上記各収納部にそれぞれ面し、かつ当該仕切り壁の厚さ方向に弾性変形可能な可撓片部を複数形成するとともに、これら可撓片部の表裏面のいずれか一方に、上記化粧皿に係脱自在に係合する係合部を形成したことを特徴とするパレット式化粧料容器。 - 前記仕切り壁が互いに相対向させて複数設けられ、一方の仕切り壁の前記係合部が、他方の仕切り壁の前記係合部に対し位置ずれさせて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット式化粧料容器。
- 前記可撓片部は、前記係合部と反対側の面が窪ませられて、前記仕切り壁よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のパレット式化粧料容器。
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