JP4212086B2 - 水硬性セメント組成物 - Google Patents
水硬性セメント組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4212086B2 JP4212086B2 JP2002169456A JP2002169456A JP4212086B2 JP 4212086 B2 JP4212086 B2 JP 4212086B2 JP 2002169456 A JP2002169456 A JP 2002169456A JP 2002169456 A JP2002169456 A JP 2002169456A JP 4212086 B2 JP4212086 B2 JP 4212086B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acrylic acid
- fine aggregate
- blast furnace
- furnace slag
- hydraulic cement
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
- Y02W30/91—Use of waste materials as fillers for mortars or concrete
Landscapes
- Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水硬性セメント組成物に関する。近年、天然砂が枯渇しつつあるなかで資源保護の観点から、水硬性セメント組成物の調製に用いる天然砂の代替として、高炉水砕スラグを粒度調整した高炉スラグ細骨材を使用する機会が増えてきている。かかる高炉スラグ細骨材は、天然砂に比べて粒が角張り、粒度分布が比較的均一なため、吸水率が低く、天然砂を用いた場合に比べて、調製した水硬性セメント組成物のブリーディングが多いという問題がある。ブリーディングは、水硬性セメント組成物を調製するときに用いた練り混ぜ水の一部がセメント粒子や骨材から分離する現象である。調製した水硬性セメント組成物のブリーディングが多いと、得られる硬化体の表面仕上げに支障をきたすだけでなく、型枠内における硬化体の沈降が大きくなったり、また硬化体に水みちが形成されたり、更には分離した水により硬化体と鉄筋との付着強度が低下する等の問題を生じる。本発明は、骨材のうちで細骨材の少なくとも一部として高炉スラグ細骨材を用いた水硬性セメント組成物において、ブリーディングの発生を抑制し、かかる問題を改善した水硬性セメント組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水硬性セメント組成物のブリーディングを抑制する方法として、1)水溶性セルロース系増粘剤を用いる例(特開昭63−156052)、2)減水剤、AE剤、AE減水剤或は高性能減水剤と共に非イオン系の水溶性セルロース系増粘剤やポリアクリルアミド系増粘剤を用いる例(特開平3−45544、特開平5−147995、特開平5−194003)、3)アルケニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体と共にバイオガムであるヘテロ多糖類のラムザンガムを用いる例(特開平7−242454)、4)β−ナフタレンスルホン酸塩やポリカルボン酸塩等の高性能減水剤と共にバイオガムであるウエランガムを用いる例(特開平7−311298、特開平8−21091)等が提案されている。ところが、これらの従来提案には、水溶性セルロース系増粘剤、ポリアクリルアミド系増粘剤、バイオガム等がいずれも粉体として供され、これらの水に対する溶解性が低いため、これらを用いて水硬性組成物を調製するのが誠に厄介であり、とりわけ、細骨材として天然砂を用いた場合にはブリーディングを抑制する効果が相応に得られるものの、細骨材の全部又は一部として高炉スラグ細骨材を用いた場合にはブリーディングを抑制する効果が不充分という問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、細骨材の全部又は一部として高炉スラグ細骨材を用いる場合に、特別な設備を必要とせず、手間をかけずに調製でき、しかもブリーディングの発生を抑制できる水硬性セメント組成物を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、セメント、骨材、水及びセメント混和剤を含有してなる水硬性セメント組成物において、骨材のうちで細骨材の少なくとも一部として、高炉スラグ細骨材に特定の重合体を所定割合で付着したものを用いることが正しく好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、セメント、骨材、水及びセメント混和剤を含有してなる水硬性セメント組成物において、骨材のうちで細骨材の少なくとも一部として、高炉スラグ細骨材に平均分子量50000〜6000000のアクリル酸重合体、全構成単位中にアクリル酸から形成された構成単位を80〜95モル%有する平均分子量50000〜6000000のアクリル酸共重合体及びこれらの塩から選ばれる一つ又は二つ以上のアクリル酸系重合体を水で希釈した水性液を散布及び混合して付着したものであって且つ高炉スラグ細骨材100重量部当たりアクリル酸系重合体を0.008〜0.03重量部の割合となるよう付着したものを用いて成ることを特徴とする水硬性セメント組成物に係る。
【0006】
本発明の水硬性セメント組成物は、セメント、骨材、水及びセメント混和剤を含有するものである。本発明では、かかる骨材のうちで細骨材の少なくとも一部として、高炉スラグ細骨材にアクリル酸重合体、アクリル酸共重合体及びこれらの塩から選ばれる一つ又は二つ以上のアクリル酸系重合体を付着したものを用いる。
【0007】
本発明において、高炉スラグ細骨材に付着するアクリル酸重合体としては、平均分子量50000〜6000000のものを用いる。
【0008】
また高炉スラグ細骨材に付着するアクリル酸共重合体としては、その全構成単位中にアクリル酸から形成された構成単位を80〜95モル%有する平均分子量50000〜6000000のものを用いる。
【0009】
高炉スラグ細骨材に付着するアクリル酸共重合体において、アクリル酸から形成された構成単位以外の他の構成単位としては、メタクリル酸、メタクリル酸の塩、クロトン酸、クロトン酸の塩、マレイン酸、マレイン酸の塩、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸の塩、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリルアミド、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸の塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸の塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、イソプレン及びイソアミレン等から選ばれる一つ又は二つ以上の単量体から形成された構成単位が挙げられるが、なかでもメタクリル酸、メタクリル酸の塩、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリルアミド、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸の塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸の塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩から選ばれる一つ又は二つ以上の単量体から形成された構成単位が好ましく、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩から選ばれる一つ又は二つ以上の単量体から形成された構成単位がより好ましい。
【0010】
以上説明したアクリル酸重合体やアクリル酸共重合体の塩、更にはアクリル酸と共重合する単量体の塩としては、1)ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、2)カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、3)トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられるが、なかでもアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0011】
本発明に供するアクリル酸重合体、アクリル酸共重合体及びこれらの塩は、いずれも公知の方法で合成できる。これには例えば、特開平5−117306号に記載の方法が挙げられる。
【0012】
本発明の水硬性セメント組成物は、これを調製するために用いる骨材のうちで細骨材の少なくとも一部として、高炉スラグ細骨材に以上説明したアクリル酸重合体、アクリル酸共重合体及びこれらの塩から選ばれる一つ又は二つ以上のアクリル酸系重合体を付着したものを用いたものである。高炉スラグ細骨材に対するアクリル酸系重合体の付着量は、高炉スラグ細骨材100重量部当たり、アクリル酸系重合体を0.008〜0.03重量部の割合とする。調製した水硬性セメント組成物の流動性を保持しつつ、ブリーディングの発生をより良く抑制するためである。
【0013】
本発明において、高炉スラグ細骨材にアクリル酸系重合体を付着させる方法は、アクリル酸系重合体を水で希釈した水性液を高炉スラグ細骨材に散布及び混合して付着させる方法である。
【0014】
本発明の水硬性セメント組成物では、高炉スラグ細骨材に、アクリル酸系重合体を水で希釈した水性液を散布及び混合することにより、該アクリル酸系重合体を付着したもの(以下、処理済高炉スラグ細骨材という)を、細骨材の少なくとも一部として用いるが、全細骨材中10〜90重量%となる割合で用いるのが好ましい。処理済高炉スラグ細骨材と共に用いる細骨材としては、いずれも公知の川砂、山砂、海砂、砕砂等が挙げられる。また粗骨材としては、いずれも公知の川砂利、砕石、軽量骨材等が挙げられる。
【0015】
本発明に供するセメントとしては、普通セメント、早強セメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントの他に、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリフュームセメント等の各種混合セメントが挙げられる。
【0016】
本発明に供するセメント混和剤としては、いずれも公知のセメント混和剤を使用できる。これには例えば、減水剤、AE剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、増粘剤、硬化促進剤、防錆剤等が挙げられる。
【0017】
本発明の水硬性セメント組成物は、以上説明したような結合材、骨材、水及びセメント混和剤を含有して成るものである。水硬性セメント組成物がコンクリートである場合には通常、水/セメント比を40〜70%、単位水量を160〜200kg/m3、細骨材の単位量を700〜920kg/m3、粗骨材の単位量を720〜1200kg/m3、セメント100重量部当たりセメント混和剤を0.02〜2重量部とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の水硬性セメント組成物の実施形態としては、次の1)〜12)が挙げられる。
1)セメントとして普通ポルトランドセメント(比重3.16、ブレーン値3300)366kg、細骨材として大井川水系砂(比重2.63)245kg及び処理済高炉スラグ細骨材{鋼管鉱業社製福山産高炉水砕スラグ(比重2.74)をJIS−A5011(コンクリート用スラグ骨材)に準じて粒度分布5mmに調整した高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量300000のアクリル酸重合体を0.01重量部の割合で付着したもの}597kg、粗骨材として岡崎産砕石(比重2.68)925kg、水183kg及びセメント混和剤としてAE減水剤を前記の普通ポルトランドセメント100重量部当たり0.2重量部の割合で含有してなる水硬性セメント組成物。
【0019】
2)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量300000のアクリル酸重合体を0.03重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0020】
3)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量1200000のアクリル酸重合体を0.008重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0021】
4)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量1200000のアクリル酸重合体を0.03重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0022】
5)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量5000000のアクリル酸重合体を0.008重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0023】
6)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量5000000のアクリル酸重合体を0.03重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0024】
7)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量300000のアクリル酸重合体のナトリウム塩を0.03重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0025】
8)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量1200000のアクリル酸重合体のナトリウム塩を0.03重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0026】
9)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量350000のアクリル酸共重合体{アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体であって、アクリル酸から形成された構成単位/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から形成された構成単位=90/10(モル比)の割合で有する共重合体}を0.03重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0027】
10)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量350000のアクリル酸共重合体のナトリウム塩{アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体であって、アクリル酸から形成された構成単位/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から形成された構成単位=90/10(モル比)の割合で有する共重合体のナトリウム塩}を0.03重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0028】
11)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量500000のアクリル酸共重合体{アクリル酸とスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体であって、アクリル酸から形成された構成単位/スチレンスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位=90/10(モル比)の割合で有する共重合体}を0.01重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0029】
12)処理済高炉スラグ細骨材として、前記1)の高炉スラグ細骨材100重量部当たり平均分子量500000のアクリル酸共重合体{アクリル酸とスチレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体であって、アクリル酸から形成された構成単位/スチレンスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位=90/10(モル比)の割合で有する共重合体}を0.03重量部の割合で付着したものを用いたこと以外は前記1)と同様の水硬性セメント組成物。
【0030】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【0031】
【実施例】
試験区分1(アクリル酸系重合体の合成及び水性液の調製)
・アクリル酸重合体(P−3)の合成及び水性液の調製
反応容器にn−へキサン2600部を仕込み、攪拌しながら雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を60℃に保った。次にアクリル酸350部、ポリプロピレングリコール3部、アセトン140部及び重合開始剤として2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1部を添加した。白濁による反応が始まってからアクリル酸1200部及びアセトン360部の混合液1560部と前記の重合開始剤0.5部を分割して添加した。全量仕込みが終わった後、更に60℃の温度下で2時間熟成して、重合体の懸濁液を得た。この懸濁液を濾過し、濾別した固形分を乾燥して、重合体を得た。この重合体を分析したところ、平均分子量300000のアクリル酸重合体(P−3)であった。アクリル酸重合体(P−3)に水を加え、固形分濃度1%の水性液を調製した。
【0032】
・アクリル酸重合体(P−4),(P−5)の合成及び水性液の調製
アクリル酸重合体(P−3)の場合と同様にして、アクリル酸重合体(P−4),(P−5)を合成し、それぞれ固形分濃度1%の水性液を調製した。
【0033】
・アクリル酸重合体のナトリウム塩(P−6)の合成及び水性液の調製
アクリル酸重合体(P−3)を水性液とした後、これに20%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、アクリル酸重合体のナトリウム塩(P−6)を水性液として得た。この水性液に水を加え、固形分濃度1%の水性液を調製した。
【0034】
・アクリル酸重合体(P−7)の合成及び水性液の調製
アクリル酸重合体(P−4)を水性液とした後、これに20%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、アクリル酸重合体のナトリウム塩(P−7)を水性液として得た。この水性液に水を加え、固形分濃度1%の水性液を調製した。
【0035】
・アクリル酸共重合体(P−12)の合成及び水性液の調製
反応容器にn−へキサン3100部を仕込み、攪拌しながら雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を60℃に保った。次にアクリル酸315部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部、ポリプロピレングリコール1部、アセトン160部及び重合開始剤として2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.15部を添加した。白濁による反応が始まってから、アクリル酸945部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸300部及びアセトン400部の混合液1645部と前記の重合開始剤0.5部を分割して添加した。全量仕込みが終わった後、更に60℃の温度下で3時間熟成して、共重合体の懸濁液を得た。この懸濁液を濾過し、濾別した固形分を乾燥して、共重合体を得た。この共重合体を分析したところ、平均分子量350000のアクリル酸共重合体{アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体であって、アクリル酸から形成された構成単位/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から形成された構成単位=90/10(モル比)の割合で有する共重合体}(P−12)であった。アクリル酸共重合体(P−12)に水を加え、固形分濃度1%の水性液を調製した。
【0036】
・アクリル酸共重合体のナトリウム塩(P−13)の合成及び水性液の調製
アクリル酸共重合体(P−12)の水性液を20%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、アクリル酸共重合体のナトリウム塩(P−13)を水性液として得た。この水性液に水を加え、固形分濃度1%の水性液を調製した。
【0037】
・アクリル酸共重合体(P−18)の合成及び水性液の調製
アクリル酸共重合体(P−12)の場合と同様にして、アクリル酸共重合体(P−18)を合成し、固形分濃度1%又は5%の水性液を調製した。以上で合成したアクリル酸系重合体の内容及び更に調製した水性液の内容を表1にまとめて示した。
【0038】
【表1】
【0039】
表1において、アクリル酸系重合体のうちでアクリル酸共重合体の組成についてはその構成単位を形成することとなる単量体で示し、またかっこ内の数値はかかる単量体から形成された構成単位のモル比で示した。したがって、例えばP−12は、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体であって、アクリル酸から形成された構成単位/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から形成された構成単位=90/10(モル比)の割合で有する共重合体を意味する。
【0040】
試験区分2(処理済高炉スラグ細骨材の調製)
バットに高炉スラグ細骨材{鋼管鉱業社製福山産高炉水砕スラグをJIS−A5011(コンクリート用スラグ骨材)に準じて粒度分布5mmに調整したもの}を広げ、試験区分1で調製したアクリル酸系重合体等の水性液又は粉体を表2に記載の付着量となるよう散布しながらハンドスコップで混合した後、高炉スラグ細骨材の含水比が10%となるよう水を加え、更にミキサーで5分間混合して処理済高炉スラグ細骨材を得た。ここで調製した処理済高炉スラグ細骨材の内容を表2にまとめて示した。
【0041】
【表2】
【0042】
表2において、
付着量:高炉スラグ細骨材100重量部当たりのアクリル酸系重合体等の付着量(部)
AM:ポリアクリルアミド
MC:メチルセルロース
HC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
AA−MA:アクリルアミドとアクリル酸メチルとの共重合体であって、アクリルアミドから形成された構成単位/アクリル酸メチルから形成された構成単位=70/30(モル比)の割合で有する平均分子量21000の共重合体
【0043】
試験区分3(処理済高炉スラグ細骨材の評価)
試験区分2で調製した処理済高炉スラグ細骨材を屋外に高さ3mの小山状にして8週間に亘り野積みし、野積み期間中に表3に記載した所定の期間でサンプリングした処理済高炉スラグ細骨材を、20kg×60分間の条件で遠心脱水し、遠心脱水後の処理済高炉スラグ細骨材の含水比(%)を測定した。結果を表3にまとめて示した。ここで遠心脱水後の含水比(%)の数値が大きいほど処理済高炉スラグ細骨材の保水性が高いことを意味する。
【0044】
【表3】
【0045】
試験区分4(水硬性セメント組成物の調製及び評価)
表4に記載の調合条件で、各例の水硬性セメント組成物(コンクリート)を次のように調製した。50Lのパン型強制練りミキサーに普通ポルトランドセメント(比重3.16、ブレーン値3300)、細骨材として大井川水系砂(比重2.63)及び試験区分3で8週間に亘り野積み状態で屋外放置試験した処理済高炉スラグ細骨材並びに粗骨材(岡崎産砕石、比重2.68)を順次投入して15秒間空練りした。次に各例いずれも目標スランプが18±1cmの範囲内に入るようAE減水剤(竹本油脂社製の商品名チューポールEX20)をセメント重量に対し0.2重量%となるよう練り混ぜ水と共に添加して2分間練り混ぜた。この際、目標空気量が4〜5%となるよう空気量調整剤(竹本油脂社製の商品名AE200)を添加した。
【0046】
【表4】
【0047】
調製した各例の水硬性セメント組成物(コンクリート)について、その物性を次のように評価した。結果を表5にまとめて示した。
スランプ:JIS−A1101に準拠して測定した。
空気量:JIS−A1128に準拠して測定した。
圧縮強度:JIS−A1108に準拠して測定した。
ブリーディング率:JIS−A1123に準拠してブリーディング量を測定し、ブリーディング率を次の式を用いて求めた。
ブリーディング率(%)=(最大ブリーディング量/試料中の全水量)×100
尚、表5において、ブリーディング率(%)の数値が小さいほどブリーディングが少ないことを意味する。
【0048】
【表5】
【0049】
表5において、
比較例6:処理済高炉スラグ細骨材に代えて処理前の高炉スラグ細骨材を用い、またアクリル酸重合体(P−1)を0.18kg/m3の割合で水硬性セメント組成物(コンクリート)を調製する時に添加した。
比較例7:処理済高炉スラグ細骨材に代えて処理前の高炉スラグ細骨材を用い、またアクリル酸系重合体(P−2)を0.18kg/m3の割合で水硬性セメント組成物(コンクリート)を調製する時に添加した。
【0050】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、骨材のうちで細骨材の少なくとも一部として高炉スラグ細骨材を用いた水硬性セメント組成物において、ブリーディングの発生を抑制し、また得られる硬化体の諸物性に何ら悪影響を与えない水硬性セメント組成物を提供できるという効果がある。
Claims (5)
- セメント、骨材、水及びセメント混和剤を含有してなる水硬性セメント組成物において、骨材のうちで細骨材の少なくとも一部として、高炉スラグ細骨材に平均分子量50000〜6000000のアクリル酸重合体、全構成単位中にアクリル酸から形成された構成単位を80〜95モル%有する平均分子量50000〜6000000のアクリル酸共重合体及びこれらの塩から選ばれる一つ又は二つ以上のアクリル酸系重合体を水で希釈した水性液を散布及び混合して付着したものであって且つ高炉スラグ細骨材100重量部当たりアクリル酸系重合体を0.008〜0.03重量部の割合となるよう付着したものを用いて成ることを特徴とする水硬性セメント組成物。
- アクリル酸系重合体が、アクリル酸共重合体及びその塩から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1記載の水硬性セメント組成物。
- アクリル酸共重合体が、アクリル酸から形成された構成単位以外の他の構成単位として、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩から選ばれる一つ又は二つ以上の単量体から形成された構成単位を有するものである請求項1又は2記載の水硬性セメント組成物。
- 塩がいずれもナトリウム塩である請求項1〜3のいずれか一つの項記載の水硬性セメント組成物。
- 高炉スラグ細骨材にアクリル酸系重合体を付着したものを、全細骨材中で10〜90重量%となる割合で用いた請求項1〜4のいずれか一つの項記載の水硬性セメント組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002169456A JP4212086B2 (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 水硬性セメント組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002169456A JP4212086B2 (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 水硬性セメント組成物 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006345454A Division JP4845714B2 (ja) | 2006-12-22 | 2006-12-22 | 水硬性セメント組成物の調製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004010455A JP2004010455A (ja) | 2004-01-15 |
JP4212086B2 true JP4212086B2 (ja) | 2009-01-21 |
Family
ID=30436012
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002169456A Expired - Lifetime JP4212086B2 (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 水硬性セメント組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4212086B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4798806B2 (ja) * | 2009-06-29 | 2011-10-19 | 竹本油脂株式会社 | 高炉セメントを用いた低収縮aeコンクリート組成物 |
-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002169456A patent/JP4212086B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004010455A (ja) | 2004-01-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2003534227A (ja) | 組成物及びコンクリート組成物の調製方法 | |
JP4798806B2 (ja) | 高炉セメントを用いた低収縮aeコンクリート組成物 | |
JP7328979B2 (ja) | 水酸化カルシウムナノ粒子の製造及びミネラルバインダー組成物での硬化促進剤としてのその使用 | |
JPH1179818A (ja) | セメント混和材、セメント組成物、吹付材料、及びそれを用いた吹付工法 | |
JP2003252666A (ja) | コンクリート用材料分離低減剤 | |
JP4212086B2 (ja) | 水硬性セメント組成物 | |
JP3315523B2 (ja) | 無機水硬性組成物用分散剤、水硬性組成物及びその硬化物 | |
JP4845714B2 (ja) | 水硬性セメント組成物の調製方法 | |
JP2004043238A (ja) | 水硬性組成物 | |
JP4266557B2 (ja) | 粉末状セメント分散剤組成物 | |
JP3375279B2 (ja) | セメント用分散剤 | |
JPH05319889A (ja) | 水硬性セメント組成物 | |
JP2546385B2 (ja) | コンクリートの遠心力締固めノロ低減法 | |
JPH07144949A (ja) | フレッシュコンクリートの製造方法、フレッシュコンクリート及びコンクリート打肌面の美麗化方法 | |
JP2004196624A (ja) | 水硬性組成物 | |
JPH1045457A (ja) | 無収縮硬化性組成物及びその硬化物 | |
JP4263033B2 (ja) | 水硬性セメント組成物用骨材及び水硬性セメント組成物 | |
JP2515275B2 (ja) | コンクリ−トの製造方法 | |
JPH0826792A (ja) | 遠心力成形用セメント組成物、およびコンクリート成形製品 | |
JP4056836B2 (ja) | 水硬性組成物 | |
JP3085780B2 (ja) | 遠心成形用セメント | |
JP2004002194A (ja) | セメント用分散剤及びセメント配合物 | |
JPH0832580B2 (ja) | セメント用混和剤 | |
WO2021234461A1 (en) | Composition for aerated or lightweight concrete | |
CN111630017A (zh) | 用于缩短矿物粘结剂体系的混合时间的分散剂 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040416 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20060119 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061012 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061023 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061222 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070810 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071003 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081027 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081027 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111107 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4212086 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121107 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131107 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |