しかしながら、上記のような判定を行うようにした場合、識別データと同じデータである判定基準データが記憶されているため、メモリ内のデータ又はプログラムデータを解析することにより、判定基準データに基づいて識別データが特定され、識別データ及び判定基準データが改変される可能性がある。両者が同じように改変された場合、改変された識別データに対応する追跡パターンが出力画像データに付加されることとなる。そのため、上記のような判定を行ったとしても、追跡パターンに基づいて、紙幣等の偽造に使用された装置を特定することができなくなるおそれがあった。また、識別データの生成等を行うプログラムデータが改変された場合には、改変された識別データが付加された出力画像データが出力されてしまうという問題もあった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、自装置の識別データを出力画像データに付加する画像処理装置において、識別データが容易に改変されることがなく、万一、識別データが改変されても、改変された識別データが付加された出力画像データが出力されることを防止できる画像処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像処理装置は、入力画像に基づいて出力画像を生成する出力画像生成手段と、自装置を識別可能な情報である自装置識別情報を記憶する自装置識別情報記憶手段と、基準情報を記憶する基準情報記憶手段と、自装置識別情報記憶手段から読み出した自装置識別情報を含む第1情報に基づいて比較情報を生成する比較情報生成手段と、自装置識別情報記憶手段から読み出した自装置識別情報を含む第2情報に基づいて追跡用識別情報を生成する追跡用識別情報生成手段と、追跡用識別情報生成手段によって生成した追跡用識別情報を出力画像に付加する付加手段と、出力画像を出力する出力手段と、比較情報生成手段によって生成した比較情報と基準情報記憶手段から読み出した基準情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、判定手段が、前記基準情報と前記比較情報が一致すると判定した場合には、出力手段による出力画像の出力を許可し、前記基準情報と前記比較情報が一致しないと判定した場合には、出力手段による出力画像の出力を禁止する制御手段とを備え、追跡用識別情報は、内容が基準情報と相違するものであることを特徴としている。
上記構成によれば、自装置識別情報記憶手段により、自装置を識別可能な情報である自装置識別情報が記憶され、基準情報記憶手段により基準情報が記憶される。そして、比較情報生成手段により、自装置識別情報記憶手段から読み出した自装置識別情報を含む第1情報に基づいて比較情報が生成され、追跡用識別情報生成手段により、自装置識別情報記憶手段から読み出した自装置識別情報を含む第2情報に基づいて追跡用識別情報が生成される。また、付加手段により、追跡用識別情報生成手段によって生成した追跡用識別情報が出力画像に付加され、出力手段により出力画像が出力される。さらに、判定手段により、比較情報生成手段によって生成した比較情報と基準情報記憶手段から読み出した基準情報とが一致するか否かが判定され、判定手段が、基準情報と比較情報が一致すると判定した場合には、制御手段により、出力手段による出力画像の出力が許可され、基準情報と比較情報が一致しないと判定した場合には、制御手段により、出力手段による出力画像の出力が禁止される。
このような画像処理装置によれば、自装置識別情報が改変されて、追跡用識別情報も改変されたものとなる場合にも、基準情報を第1情報に基づいて生成し、比較情報と同じ情報としておけば、自装置識別情報が改変されると、基準情報と比較情報とが一致しなくなり、自装置識別情報が改変されたことを判定手段による判定の結果により検知できるので、制御手段により、改変された追跡用識別情報が付加された出力画像が出力されることを禁止することができる。また、基準情報と追跡用識別情報とは、内容が相違するので、追跡用識別情報から基準情報記憶手段に記憶されている基準情報を特定すること、及び、逆に、基準情報から追跡用識別情報を特定することが困難となる。したがって、出力画像に付加された追跡用識別情報に基づいて特定された基準情報が改変されて、判定手段によって正しい判定が行われなくなるという事態の発生を防止できる。さらに、基準情報記憶手段に記憶されている基準情報から追跡用識別情報が、引いては、自装置識別情報が特定されて改変されることにより、自装置識別情報を含む第2情報に基づいて生成される追跡用識別情報が改変されたものとなることを防止することができる。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の画像処理装置は、入力画像に基づいて出力画像を生成する出力画像生成手段と、自装置を識別可能な情報である自装置識別情報を記憶する自装置識別情報記憶手段と、基準情報を記憶する基準記憶情報手段と、自装置識別情報記憶手段から読み出した自装置識別情報を含む第1情報を第1の関数に従って変換することにより比較情報を生成する比較情報生成手段と、自装置識別情報記憶手段から読み出した自装置識別情報を含む第2情報を第1の関数と異なる第2の関数に従って変更することにより追跡用識別情報を生成する追跡用識別情報生成手段と、追跡用識別情報生成手段によって生成した追跡用識別情報を出力画像に付加する付加手段と、出力画像を出力する出力手段と、比較情報生成手段によって生成した比較情報と前記基準情報記憶手段から読み出した基準情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、判定手段が、基準情報と比較情報が一致すると判定した場合には、出力手段による出力画像の出力を許可し、基準情報と比較情報が一致しないと判定した場合には、出力手段による出力画像の出力を禁止する制御手段とを備えることを特徴としている。
上記構成によれば、自装置識別情報記憶手段により、自装置を識別可能な情報である自装置識別情報が記憶され、基準情報記憶手段により基準情報が記憶される。そして、比較情報生成手段により、自装置識別情報記憶手段から読み出した自装置識別情報を含む第1情報を第1の関数に従って変換して比較情報が生成され、追跡用識別情報生成手段により、自装置識別情報記憶手段から読み出した自装置識別情報を含む第2情報を第1の関数と異なる第2の関数に従って変換して追跡用情報が生成される。また、付加手段により、追跡用識別情報生成手段によって生成した追跡用識別情報が出力画像に付加され、出力手段により出力画像が出力される。さらに、判定手段により、比較情報生成手段によって生成した比較情報と基準情報記憶手段から読み出した基準情報とが一致するか否かが判定され、判定手段が、基準情報と比較情報が一致すると判定した場合には、制御手段により、出力手段による出力画像の出力が許可され、基準情報と比較情報が一致しないと判定した場合には、制御手段により、出力手段による出力画像の出力が禁止される。
このような画像処理装置によれば、比較情報は、自装置識別情報を含む第1情報を第1の関数で変換して生成されるので、比較情報は第1情報とは内容が相違する情報となるので、比較情報から第1情報を特定し、さらに、第1情報から自装置識別情報を特定することが困難となる。したがって、基準情報記憶手段に、比較情報と内容が同一の基準情報が記憶されている場合にも、この基準情報から自装置識別情報が特定され、自装置識別情報が改変されることを防止できる。また、追跡用識別情報は、自装置識別情報を含む第2情報を第2の関数で変換して生成されるので、追跡用識別情報は第2情報とは内容が相違する情報となるので、出力画像に付加された追跡用識別情報から第2情報を特定し、さらに、第2情報から自装置識別情報を特定することが困難になるので、自装置識別情報が改変されることを防止することができる。また、第1の関数と第2の関数とを互いに相違する関数とすれば、第1情報と第2情報とが同一の内容であっても、基準情報と追跡用識別情報とを内容が相違する情報とすることができるので、追跡用識別情報から基準情報記憶手段に記憶されている基準情報を特定すること、及び、逆に、基準情報から追跡用識別情報を特定することが困難となる。
請求項3に記載の画像処理装置は、請求項2に記載の画像処理装置において、第1の関数は、一方向関数であることを特徴としている。このように第1の関数は一方向関数であるので、基準情報が比較情報と内容が同一の情報である場合においても、基準情報記憶手段に記憶されている基準情報から第1情報が、引いては、自装置識別情報が特定されることを効果的に防止することができる。したがって、自装置識別情報を改変することが困難となる。
請求項4に記載の画像処理装置は、請求項2又は3に記載の画像処理装置において、第2の関数は、一方向関数であることを特徴としている。このように第2の関数は一方向関数であるので、出力画像に付加された追跡用識別情報から第2情報が、引いては、自装置識別情報が特定されることを効果的に防止することができる。したがって、自装置識別情報を改変することが困難となる。
請求項5に記載の画像処理装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置において、追跡用識別情報生成手段によって生成した追跡用識別情報を記憶する追跡用識別情報記憶手段と、付加手段による追跡用識別情報記憶手段から読み出した追跡用識別情報の出力画像への付加を終えた後に、追跡用識別情報記憶手段から追跡用識別情報を削除する削除手段とを更に備えることを特徴としている。
この構成によれば、追跡用識別情報記憶手段により、追跡用識別情報生成手段によって生成した追跡用識別情報が記憶され、削除手段により、付加手段による追跡用識別情報記憶手段から読み出した追跡用識別情報の出力画像への付加を終えた後に、追跡用識別情報記憶手段から追跡用識別情報が削除される。
このように、追跡用識別情報の使用を終えると、追跡用識別情報が追跡用識別情報記憶手段から削除されるので、追跡用識別情報を特定することは極めて困難である。そのため、追跡用識別情報から第2情報を、引いては、自装置識別情報を特定することも極めて困難であるから、自装置識別情報が改変されることを防止することができる。
請求項6に記載の画像処理装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の画像処理装置において、原稿の画像を読み取って入力画像を生成する読取手段を更に備え、自装置識別情報は、出力画像生成手段による出力画像の生成の処理における、原稿の画像に忠実な出力画像とするための処理に使用される自装置に固有の補正情報を含むことを特徴としている。
この構成によれば、読取手段により、原稿の画像を読み取って入力画像が生成され、自装置識別情報は、出力画像生成手段による出力画像の生成の処理における、原稿の画像に忠実な出力画像とするための処理に使用される自装置に固有の補正情報が含まれる。
このように、自装置識別情報には、出力画像生成手段による画像処理における、原稿の画像に忠実な出力画像とするための処理に使用される自装置に固有の補正情報が含まれるので、自装置識別情報のうちの補正情報が改変されると、原稿の画像に忠実な出力画像を得ることができなくなる。これにより、万一、自装置識別情報が改変されて、紙幣等の原稿を読み取って生成された出力画像に付加された追跡用識別情報に基づいて自装置を特定することができなくなった場合でも、偽造紙幣等の出力画像が不正に使用されるのを抑制することができる。
請求項7に記載の画像処理装置は、請求項6に記載の画像処理装置において、自装置識別情報は、補正情報として、前記入力画像のシェーディング補正に使用されるシェーディング補正情報を含むことを特徴としている。この構成によれば、自装置識別情報に含まれるシェーディング補正情報に基づいて入力画像のシェーディング補正が行われるので、自装置識別情報のうちのシェーディング補正情報が改変されると、シェーディング補正が正常に行われず、原稿の画像に忠実な出力画像を得ることができなくなる。これにより、万一、自装置識別情報が改変されて、紙幣等の原稿を読み取って生成された出力画像に付加された追跡用識別情報に基づいて自装置を特定することができなくなった場合でも、出力画像や出力画像が印刷された偽造紙幣等が不正に使用されるのを抑制することができる。
請求項8に記載の画像処理装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の画像処理装置において、出力手段は、複数の記録素子の発光エネルギを各々調整して出力画像に基づく画像を記録紙上に形成するものであり、自装置識別情報は、複数の記録素子間の光量のばらつきを補正する処理に使用される、自装置に固有の光量補正情報を含むことを特徴としている。
このような構成によれば、出力手段は、複数の記録素子の発光エネルギを各々調整して出力画像に基づく画像を記録紙上に形成するものであり、自装置識別情報には、複数の記録素子間の光量のばらつきを補正する処理に使用される、自装置に固有の光量補正情報が含まれるので、自装置識別情報のうちの光量補正情報が改変されると、複数の記録素子間の光量のばらつきが正常に補正されず、記録紙上に形成される画像の品位が低下する。これにより、万一、紙幣等の画像が形成された記録紙が出力された場合でも、その記録紙が偽造紙幣として不正に使用されることを抑制することができる。
請求項9に記載の画像処理装置は、請求項6〜8のいずれかに記載の画像処理装置において、第1情報と第2情報のどちらか一方、又は、両方は、読取手段による原稿の読み取りから出力手段による出力画像の出力までの処理に含まれる処理を実行し、改変されると自装置が正常に動作しなくなるプログラムデータを含むことを特徴としている。
このような構成によれば、第1情報と第2情報のどちらか一方、又は、両方には、読取手段による原稿の画像の読み取りから出力手段による出力画像の出力までの処理に含まれる処理を実行し、改変されると自装置が正常に動作になくなるプログラムデータが含まれるので、当該プログラムデータが改変されると、基準情報と比較情報とが一致しなくなり、正常な処理により生成されなかった出力画像が出力されることを防止できる。
請求項10に記載の画像処理装置は、請求項9に記載の画像処理装置において、プログラムデータは、追跡用識別情報生成手段を機能的に実現する追跡用識別情報生成プログラム、前記比較情報生成手段を機能的に実現する比較情報生成プログラム、及び、前記付加手段を機能的に実現する付加プログラムのうち、少なくとも1のプログラムのプログラムデータを含むことを特徴としている。
この構成によれば、プログラムデータには、追跡用識別情報生成手段を機能的に実現する追跡用識別情報生成プログラム、前記比較情報生成手段を機能的に実現する比較情報生成プログラム、及び、前記付加手段を機能的に実現する付加プログラムのうち、少なくとも1のプログラムのプログラムデータが含まれる。したがって、追跡用識別情報生成プログラムのプログラムデータが改変されて、正規の追跡用識別情報が生成されない場合には、基準情報と比較情報とが一致しなくなるので、正規のものでない、つまり、改変された追跡用識別情報が付加された出力画像が出力されることを防止できる。また、比較情報生成プログラムが改変されて正規のものでない比較情報が生成された場合は、基準情報と比較情報とが一致しなくなるので、不正な比較情報を生成することにより判定手段による判定をすりぬけて、改変された追跡用識別情報が付加された出力画像が出力されることを防止することができる。さらに、付加プログラムのプログラムデータが改変されて追跡用識別情報が出力画像に正常に付加されない場合は、基準情報と比較情報とが一致しなくなるので、追跡用識別情報が正常に付加されていない出力画像が出力されることを防止することができる。
請求項1に記載の画像処理装置によれば、自装置識別情報が改変されて、追跡用識別情報も改変されたものとなる場合にも、基準情報を第1情報に基づいて生成し、比較情報と同じ情報としておけば、自装置識別情報が改変されると、基準情報と比較情報とが一致しなくなり、自装置識別情報が改変されたことを判定手段による判定の結果により検知できるので、制御手段により、改変された追跡用識別情報が付加された出力画像が出力されることを禁止することができるという効果が得られる。また、基準情報と追跡用識別情報とは、内容が相違するので、追跡用識別情報から基準情報記憶手段に記憶されている基準情報を特定すること、逆に、基準情報から追跡用識別情報を特定することが困難となる。したがって、出力画像に付加された追跡用識別情報に基づいて特定された基準情報が改変されて、判定手段によって正しい判定が行われなくなるという事態の発生を防止できるという効果が得られる。さらに、基準情報記憶手段に記憶されている基準情報から追跡用識別情報が、引いては、自装置識別情報が特定されて改変されることにより、自装置識別情報を含む第2情報に基づいて生成される追跡用識別情報が改変されたものとなることを防止することができるという効果が得られる。
請求項2に記載の画像処理装置によれば、比較情報は、自装置識別情報を含む第1情報を第1の関数で変換して生成されるので、比較情報は第1情報とは内容が相違する情報となるので、比較情報から第1情報を特定し、さらに、第1情報から自装置識別情報を特定することが困難となる。したがって、基準情報記憶手段に、比較情報と内容が同一の基準情報が記憶されている場合にも、この基準情報から自装置識別情報が特定され、自装置識別情報が改変されることを防止できるという効果が得られる。また、追跡用識別情報は、自装置識別情報を含む第2情報を第2の関数で変換して生成されるので、追跡用識別情報は第2情報とは内容が相違する情報となるので、出力画像に付加された追跡用識別情報から第2情報を特定し、さらに、第2情報から自装置識別情報を特定することが困難になるので、自装置識別情報が改変されることを防止できるという効果が得られる。また、第1の関数と第2の関数とを互いに相違する関数とすれば、第1情報と第2情報とが同一の内容であっても、基準情報と追跡用識別情報とを内容が相違する情報とすることができるので、追跡用識別情報から基準情報記憶手段に記憶されている基準情報を特定すること、及び、逆に、基準情報から追跡用識別情報を特定することが困難となるという効果が得られる。
請求項3に記載の画像処理装置によれば、第1の関数は、一方向関数であることを特徴としている。このように第1の関数は一方向関数であるので、基準情報が比較情報と内容が同一の情報である場合においても、基準情報記憶手段に記憶されている基準情報から第1情報が、引いては、自装置識別情報が特定されることを効果的に防止することができる。したがって、自装置識別情報を改変することが困難となるという効果が得られる。
請求項4に記載の画像処理装置によれば、第2の関数は一方向関数であるので、出力画像に付加された追跡用識別情報から第2情報が、引いては、自装置識別情報が特定されることを効果的に防止することができる。したがって、自装置識別情報を改変することが困難となるという効果が得られる。
請求項5に記載の画像処理装置によれば、追跡用識別情報の使用を終えると、追跡用識別情報が追跡用識別情報記憶手段から削除されるので、追跡用識別情報を特定することは極めて困難である。そのため、追跡用識別情報から第2情報を、引いては、自装置識別情報を特定することも極めて困難であるから、自装置識別情報が改変されることを防止することができるという効果が得られる。
請求項6に記載の画像処理装置によれば、自装置識別情報には、出力画像生成手段による画像処理における、原稿の画像に忠実な出力画像とするための処理に使用される自装置に固有の補正情報が含まれるので、自装置識別情報のうちの補正情報が改変されると、原稿の画像に忠実な出力画像を得ることができなくなる。これにより、万一、自装置識別情報が改変されて、紙幣等の原稿を読み取って生成された出力画像に付加された追跡用識別情報に基づいて自装置を特定することができなくなった場合でも、偽造紙幣等の出力画像が不正に使用されるのを抑制することができるという効果が得られる。
請求項7に記載の画像処理装置によれば、自装置識別情報に含まれるシェーディング補正情報に基づいて入力画像のシェーディング補正が行われるので、自装置識別情報のうちのシェーディング補正情報が改変されると、シェーディング補正が正常に行われず、原稿の画像に忠実な出力画像を得ることができなくなる。これにより、万一、自装置識別情報が改変されて、紙幣等の原稿を読み取って生成された出力画像に付加された追跡用識別情報に基づいて自装置を特定することができなくなった場合でも、出力画像や出力画像が印刷された偽造紙幣等が不正に使用されるのを抑制することができるという効果が得られる。
請求項8に記載の画像処理装置によれば、出力手段は、複数の記録素子の発光エネルギを各々調整して出力画像に基づく画像を記録紙上に形成するものであり、自装置識別情報には、複数の記録素子間の光量のばらつきを補正する処理に使用される、自装置に固有の光量補正情報が含まれるので、自装置識別情報のうちの光量補正情報が改変されると、複数の記録素子間の光量のばらつきが正常に補正されず、記録紙上に形成される画像の品位が低下する。これにより、万一、紙幣等の画像が形成された記録紙が出力された場合でも、その記録紙が偽造紙幣として不正に使用されることを抑制することができるという効果が得られる。
請求項9に記載の画像処理装置によれば、第1情報と第2情報のどちらか一方、又は、両方には、読取手段による原稿の画像の読み取りから出力手段による出力画像の出力までの処理に含まれる処理を実行し、改変されると自装置が正常に動作しなくなるプログラムデータが含まれるので、当該プログラムデータが改変されると、基準情報と比較情報とが一致しなくなり、正常な処理により生成されなかった出力画像が出力されることを防止できるという効果が得られる。
請求項10に記載の画像処理装置によれば、プログラムデータには、追跡用識別情報生成手段を機能的に実現する追跡用識別情報生成プログラム、前記比較情報生成手段を機能的に実現する比較情報生成プログラム、及び、前記付加手段を機能的に実現する付加プログラムのうち、少なくとも1のプログラムのプログラムデータが含まれる。したがって、追跡用識別情報生成プログラムのプログラムデータが改変されて、正規の追跡用識別情報が生成されない場合には、基準情報と比較情報とが一致しなくなるので、正規のものでない、つまり、改変された追跡用識別情報が付加された出力画像が出力されることを防止できるという効果が得られる。また、比較情報生成プログラムが改変されて正規のものでない比較情報が生成された場合は、基準情報と比較情報とが一致しなくなるので、不正な比較情報を生成することにより判定手段による判定をすりぬけて、改変された追跡用識別情報が付加された出力画像が出力されることを防止することができるという効果が得られる。さらに、付加プログラムのプログラムデータが改変されて追跡用識別情報が出力画像に正常に付加されない場合は、基準情報と比較情報とが一致しなくなるので、追跡用識別情報が正常に付加されていない出力画像が出力されることを防止することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態に係るインターネットファクシミリ装置1(本発明に係る画像処理装置の実施形態の一例)について、図面に基づき説明する。図1は、インターネットファクシミリ装置1の構成例を示したブロック図である。図2は、インターネットファクシミリ装置1において原稿を複写する場合のデータ処理の流れを示したブロック図である。
このインターネットファクシミリ装置は、図1に示すように、制御部(MPU:Microprocessing Unit)2、ROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、原稿読取部5、コーデック(CODEC:Coder and Decoder)6、画像メモリ7、画像処理部8、プリンタ9、操作部10、報知部11、通信部12、及び、LAN I/F(Local Area Network Interface)13を備えたものであって、各部2〜13は、バス14によって通信可能に接続されている。
制御部2は、ROM3に記憶された制御プログラムに従ってインターネットファクシミリ装置1の各部の動作を制御する。ROM3は、制御部2によりこのインターネットファクシミリ装置1の各部の動作を制御するための前記制御プログラム等を記憶する読み出し専用の不揮発性メモリである。RAM4は、インターネットファクシミリ装置1の動作に用いる設定情報等の各種データ等を、一時的に記憶するものである。
原稿読取部5は、原稿の画像を読み取って入力画像データ(=入力画像)を生成するものであり、図示しないが、例えば、透明な原稿載置板に載置された原稿を読み取るフラット・ベッド・スキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)や、原稿トレイに載置された原稿を読み取るべく、その原稿を搬送する自動原稿給送装置(ADF:Automatic Document Feeder)を備えている。また、この原稿読取部5は、図2に示すように、カラーラインセンサ16、AFE(Analog Front End)回路17、A/Dコンバータ18、シェーディング補正回路19、及び、入力色空間変換回路20を具備している。
カラーラインセンサ16は、原稿の画像を読み取って入力画像データを生成するものであり、フラット・ベッド・スキャナに内蔵されている。このカラーラインセンサ16は、図示しないが、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3つのラインセンサにより構成されており、原稿の読み取りが行われると、カラーラインセンサ16により原稿から読み取られて電気信号に変換されたR、G、Bの3つの色成分のアナログ画像信号(入力画像データ)が所定の出力先に出力される。
AFE回路17は、カラーラインセンサ16から出力された入力画像データを増幅する所謂ゲイン調整を行う。A/Dコンバータ18は、AFE回路17においてゲイン調整された入力画像データの各色成分のデータをA/D変換(Analog to Digital Conversion)する。なお、本実施の形態においては、このようにしてA/D変換されて取得されたRGB表色系のカラー画像データ(入力画像データ)の各画素データは、8ビット(画素値が256階調)のデータである。また、本実施形態においては、各画素データが8ビットである場合について説明するが、各画素データは8ビットに限らず10ビットや12ビットであってもよい。
シェーディング補正回路19は、A/Dコンバータ18から出力された原稿の入力画像データに対して、光源の光量ムラや光学部品の影響、及びカラーラインセンサ16の受光素子間の感度のバラツキを補正するシェーディング補正を行う。このシェーディング補正は、ROM3が記憶しているシェーディング補正データを使用して行われる。シェーディング補正データには、白シェーディング補正データと黒シェーディング補正データとがある。白シェーディング補正データは、フラット・ベッド・スキャナの内部に原稿を読み取る際の主走査方向に沿って設けられ、光源からの光が照射された白基準板(不図示)をカラーラインセンサ16で読み取ることによって、インターネットファクシミリ装置1の工場出荷前に生成される。黒シェーディング補正データは、光源の消灯中に白基準板をカラーラインセンサ16で読み取ることによって、同じく工場出荷前に生成される。原稿や白基準板に光を照射する光源には、白色蛍光灯や冷陰極管等が使用されるため、その光量は時間の経過とともに変化する。白シェーディング補正データは、ある時点における光源の光量に基づいて決定されたデータであるので、白シェーディング補正データを決定したときの光源の光量と、実際に原稿を読み取る時の光源の光量とが異なる場合がある。したがって、ROM3が記憶している、工場出荷時に生成された白シェーディング補正データを入力画像データのシェーディング補正にそのまま使用すると、適切なシェーディング補正を行うことができないおそれがある。そこで、シェーディング補正回路19は、白シェーディング補正データを修正してシェーディング補正を行うようになっている。つまり、原稿の読み取り開始前にも、カラーラインセンサ16が白基準板を読み取ってROM3に記憶されている白シェーディング補正データを修正するための修正データを取得する。そして、シェーディング補正回路19は、ROM3に記憶された白シェーディング補正データを修正データにより修正し、その修正後の白シェーディング補正データを使用して、A/Dコンバータ18から出力された入力画像データのシェーディング補正を行う。なお、黒シェーディング補正データについても、修正データを取得し、取得した修正データでシェーディング補正するようにしてもよい。これらのシェーディング補正データは、自装置に固有のものであり、シェーディング補正データに基づいて自装置を識別することが可能である。
入力色空間変換回路20は、RGB表色系の入力画像データを、例えばL*a*b*表色系の入力画像データに色空間変換する。なお、ここで使用する表色系は、L*a*b*表色系に限定されるものではなく、例えば、YCrCb表色系などであってもよい。
コーデック6は、原稿読取部5から出力された入力画像データを符号化(エンコード)し、また、符号化された画像データを復号(デコード)するものである。画像メモリ7は、コーデック6によって符号化された入力画像データや受信した画像データ等を格納するものである。原稿読取部5から出力された入力画像データは、所定の処理(例えば、画像処理部8による画像処理)を経てコーデック6に入力され、JPEG、MH、MR、MMR、JBIG方式等に基づいて符号化された後、画像メモリ7に格納される。
画像処理部8は、原稿読取部5から出力された入力画像データ(=入力画像)に所定の画像処理を行って出力画像データ(=出力画像)を生成するものである。この画像処理部8は、図2に示すように、画像処理回路22、出力色空間変換回路23、及び、2値化回路24を具備している。
画像処理回路22は、原稿読取部5から出力されたL*a*b*表色系の入力画像データに対して、明度調整、色彩調整、彩度調整の色調整の他、拡大/縮小処理、とじしろ処理、回転処理、ミラー処理、枠消去処理などの画像処理を必要に応じて行うものである。
出力色空間変換回路23は、入力画像データを出力画像データに色空間変換するものである。具体的には、画像処理回路22において必要な画像処理が行われたL*a*b*表色系の入力画像データをC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)等の各色彩データに変換する色空間変換を行うことにより、これらの色彩データからなる出力画像データを生成する。
2値化回路24は、出力色空間変換回路23により生成された出力画像データを誤差拡散処理等により2値化するものである。このようにして2値化された出力画像データには、制御部2によって生成された追跡パターンが付加され、追跡パターンが付加された出力画像データは、プリンタ9に送られ、プリンタ9においてこの出力画像データに基づいた画像が記録紙上に形成される。なお、本実施形態では、出力画像データを2値化したのちに追跡パターンを付加することとしたが、2値化前の出力画像データに追跡パターンを付加し、追跡パターンが付加された出力画像データを2値化するようにしてもよい。この場合、出力画像データについてのCMYKデータの取りうる最高の値(画素データが8ビットである場合は、255)である追跡パターンを付加するようにするとよい。また、2値化回路24によって出力画像データを2値化することとしたが、2値化に限らず4値化するようにしてもよい。
プリンタ9(出力手段の一部に相当する)は、追跡パターンが付加された出力画像データに基づいた画像を記録紙上に形成するものであり、本実施形態においては、複数の記録素子(ここでは、複数のLED(Light Emitting Diode)素子)の発光エネルギを各々調整して出力画像データに対応する画像を記録紙上に形成するものである。すなわち、プリンタ9は、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成するための光書き込み光源として、LED素子を直線上に複数配列させたLEDアレイを用いるLEDプリンタである。このプリンタ9は、図2に示すように、LEDプリントヘッド26及び光量補正回路27を備えている。
LEDプリントヘッド26は、図示しないが、LEDアレイの他に、入力された出力画像データを1ラインずつ順次格納するシフトレジスタ、シフトレジスタに格納された1ライン分の出力画像データをラッチするメモリであるラッチ部等を有している。LEDアレイは、ラッチ部に格納された1ライン分の出力画像データに従って発光動作を行うことにより、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する。そして、プリンタ9は、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて可視のトナー画像とし、このトナー画像を用紙に転写することにより、出力画像データの画像を記録紙上に形成する。
光量補正回路27は、入力された、追跡パターンが付加された出力画像データに対して、ROM3に記憶されている光量補正データを用いて、LEDプリントヘッド26が備える複数のLED素子間の光量のばらつきを補正する光量補正を行うものである。光量補正が行われた出力画像データは、LEDプリントヘッド26を用いて印刷出力される。この光量補正データは、自装置に固有であり、光量補正データに基づいて自装置を識別することが可能である。なお、本実施形態においては、追跡パターンが付加された出力画像データを印刷出力する場合について説明するが、追跡パターンが付加されていない画像データ(出力画像データ)を印刷出力することも当然可能である。
操作部10は、図示しないが、原稿読取部5に原稿の読み取り動作の開始を指示するためのスタートキー、ファクシミリ番号やコピー部数等を入力するためのテンキー、各種設定を行うためのカーソルキーなど、報知部11と連動した各種操作キーを備えている。報知部11は、各種の設定状態やインターネットファクシミリ装置1の動作状態などを文字や図形などで表示するタッチパネル式の液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や、点灯又は消灯で表示するLEDランプ、所定の警告音を鳴動するスピーカなどを備えている。
通信部12は、原稿の画像データをファクシミリ送受信するためのものであり、モデム及びNCU(Network Control Unit)を備えている。モデムは、例えばITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の勧告V.34規格又はこれと同様のものに従った送受信データの変調及び復調を行うものである。NCUは、電話回線を制御して電話をかけたり、切ったりする回線網制御装置であり、PSTN(Public Switched Telephone Network)29に接続されている。PSTN29には、G3ファクシミリ装置30が通信可能に接続されており、インターネットファクシミリ装置1は、G3ファクシミリ装置との間で画像データをファクシミリ送受信することが可能である。
LAN I/F13は、LAN(Local Area Network)32とインターネットファクシミリ装置1とを通信可能に接続するインターフェースである。LAN32には、クライアントPC33が設置されており、クライアントPC33からインターネットファクシミリ装置1が有する各種機能を利用することができるようになっている。例えば、クライアントPC33から転送した画像データをインターネットファクシミリ装置1のプリンタ9において印刷出力させたり、インターネットファクシミリ装置1で処理された画像データをクライアントPC33へ転送させることができる。また、LAN32には、ルータ34も接続されており、ルータ34及びインターネット35を介してインターネットファクシミリ装置36が接続されている。したがって、インターネットファクシミリ装置1は、インターネット35を通じて他のインターネットファクシミリ装置36と、画像データが添付された電子メールを送信又は受信するインターネットファクシミリ通信を行うことができる。
上記構成を備えるインターネットファクシミリ装置1は、コピー機能やファクシミリ通信機能、インターネットファクシミリ通信機能のほか、紙幣や有価証券等を複製するといった偽造行為を抑制するために、原稿から読み取った入力画像データに基づいて出力画像データを生成し、生成した出力画像データにインターネットファクシミリ装置1を識別可能な追跡パターンを付加する機能や、追跡パターンが付加された出力画像データを印刷出力する機能を備えている。
図3は、本発明の主要部の一例を示す機能構成図である。インターネットファクシミリ装置1の制御部2は、機能的に、受付部2a、比較データ生成部2b、識別データ生成部2c、パターン生成部2d、付加部2e、出力制御部2f、出力部2g、及び、削除部2hを備えている。また、インターネットファクシミリ装置1のROM3は、機能的に、自装置識別データ記憶部3a、プログラムデータ記憶部3b、及び、基準データ記憶部3cを備えており、RAM4は、機能的に、追跡用識別データ記憶部4aを備えている。
ここでは、制御部2は、ROM3に予め格納されている制御プログラムを読み出して実行することにより、受付部2a、比較データ生成部2b、識別データ生成部2c、パターン生成部2d、付加部2e、出力制御部2f、出力部2g、及び、削除部2hを含む機能部として機能するものである。また、制御部2は、ROM3を、自装置識別データ記憶部3a、プログラムデータ記憶部3b、及び、基準データ記憶部3cを含む機能部として機能させるとともに、RAM4を、追跡用識別データ記憶部4aとして機能させるものである。
ROM3の自装置識別データ記憶部3aは、自装置1を識別可能なデータである自装置識別データを記憶するものである。この自装置識別データには、出力画像データを原稿の画像に忠実なものとするための処理に使用される自装置に固有の補正データ等が含まれる。この出力画像データを原稿の画像に忠実なものとするための処理に使用される自装置に固有の補正データとしては、シェーディング補正データが挙げられる。また、自装置識別データ記憶部3aに記憶されている、自装置1を識別可能なデータには、プリンタ9が備えるLEDアレイの複数の記録素子間の光量(発光量)のばらつきを補正する光量補正データ等も含まれる。
シェーディング補正データは、原稿の画像を読み取って形成された入力画像データのシェーディング補正に使用されるデータである。すなわち、シェーディング補正データは、シェーディング補正回路19において入力画像データに対して行われるシェーディング補正で使用されるデータであり、原稿読取部5が原稿の画像を読み取る際の主走査方向に1ライン分のデータである。このシェーディング補正データは、インターネットファクシミリ装置1の工場出荷時にROM3に予め書き込まれている。なお、シェーディング補正される入力画像データは、ここでは、R、G、Bの3つの色成分からなるカラー画像データであるため、自装置識別データ記憶部3aは、RGBの3ライン分のシェーディング補正データを各色成分毎に記憶している。また、シェーディング補正回路19において行われるシェーディング補正は、上記したように、ROM3の自装置識別データ記憶部3aが記憶しているシェーディング補正データと、前記修正データとを使用して行われる。シェーディング補正データには、上述したように、白シェーディング補正データと黒シェーディング補正データとがあるが、これらのいずれか一方、あるいは両方を自装置識別データとして使用することができる。
なお、本実施形態においては、シェーディング補正に使用されるシェーディング補正データがROM3の自装置識別データ記憶部3aに記憶されているが、シェーディング補正データを予め記憶するメモリは読み取り専用の不揮発性メモリであれば自装置識別データ記憶部3aに限定されるものではない。例えば、シェーディング補正回路19に読み出し専用の領域を有するメモリを設け、このメモリにシェーディング補正データを記憶させるようにしてもよい。
光量補正データは、複数の記録素子(前記複数のLED素子)間の光量のばらつきを補正するデータである。すなわち、光量補正データは、光量補正回路27により、追跡パターンが付加された出力画像データに対して行われる光量補正において使用されるデータである。この光量補正データは、LEDプリントヘッド26が備える複数のLED素子の配列方向(主走査方向)に1ライン分のデータである。光量補正データは、インターネットファクシミリ装置1の工場出荷時にROM3に予め書き込まれている。
なお、プリンタ9で記録紙上に形成される画像の基となる、追跡パターンが付加された出力画像データは、本実施形態においては、C、M、Y、Kの4つの色彩データからなるデータであるため、自装置識別データ記憶部3aは、CMYKの4成分(4ライン分)の光量補正データを各色成分毎に記憶している。
また、本実施形態においては、光量補正に使用される光量補正データがROM3の自装置識別データ記憶部3aに記憶されているが、光量補正データを予め記憶するメモリは読み取り専用の不揮発性メモリであれば補正データ記憶部3aに限定されるものではない。例えば、LEDプリントヘッド26に読み出し専用の補正データ記憶メモリを設け、このメモリに光量補正データを記憶させるようにしてもよい。
プログラムデータ記憶部3bは、原稿の画像を読み取って入力画像を生成してから出力画像を出力(例えば、記録紙上への記録)するまでの処理に含まれる処理を実行し、改変されるとインターネットファクシミリ装置1が正常に動作しなくなるプログラムデータを含む制御プログラムを記憶するものである。プログラムデータ記憶部3bは、具体的には、比較データ生成部2bを機能的に実現する比較データ生成プログラム、識別データ生成部2cを機能的に実現する識別データ生成プログラム、パターン生成部2dを機能的に実現するパターン生成プログラム、及び、付加部2eを機能的に実現する合成プログラム等を記憶している。
ところで、ROM3の所定領域には、インターネットファクシミリ装置1を他の装置と識別可能に割り当てられたデータであるシリアルナンバー(自装置1の識別番号データ)が記憶されており、シェーディング補正データ及び光量補正データとともに、工場出荷前にROM3に予め書き込まれている。
基準データ記憶部3c(基準情報記憶手段に相当する)は、基準データを記憶するものである。基準データは、自装置識別データが改変されているか否かを判定するためのデータであり、例えば、自装置識別データを少なくとも含む第1データを第1の関数に従って変換したデータである。第1データは、自装置識別データのみから構成されてもよいが、自装置識別データの他に、プログラムデータ記憶部3bに記憶されている、原稿の画像を読み取って入力画像を生成してから出力画像を出力(例えば、記録紙上への記録)するまでの処理に含まれる処理を実行し、改変されるとインターネットファクシミリ装置1が正常に動作しなくなるプログラムデータ等を含むようにしてもよい。ただし、本実施形態においては、第1データは、自装置識別データのみから構成されるものとして説明する。なお、第1の関数は、一方向性を持つ関数であり、本実施形態においてはハッシュ関数(以下、「ハッシュ関数f1」という。)であり、自装置識別データとして自装置識別データ記憶部3aが記憶しているシェーディング補正データを使用する場合、基準データは、シェーディング補正データをハッシュ関数f1に従って変換したデータ(ハッシュ値)である。なお、この基準データは、工場出荷時前に予めROM3に書き込まれている。
制御部2の受付部2aは、操作部10を介して入力された、原稿の読取条件、原稿の読み取り開始命令などを受け付けるものである。
比較データ生成部2b(比較情報生成手段に相当する)は、自装置識別データ記憶部3aから読み出された自装置識別データを少なくとも含む第1データを第1の関数に従って変換することにより、比較データを生成するものである。比較データ生成部2bは、具体的には、自装置識別データ記憶部3aが記憶しているシェーディング補正データをハッシュ関数f1に入力することにより、自装置識別データとしてのシェーディング補正データが改変されているか否かの判定において、基準データ記憶部3cに記憶されている基準データと照合される比較データを生成するものである。したがって、自装置識別データ記憶部3aに記憶されている自装置識別データ(ここでは、シェーディング補正データ)が改変されていなければ、判定において比較データと基準データとが一致することになる。なお、生成された比較データは、RAM4の所定領域に一時的に格納されるが、判定が完了した後に、RAM4から削除されるようになっている。なお、第1データを第1の関数に従って変換して比較データを生成するのではなく、第1データをそのまま比較データとすることもできる。この場合、基準データも第1データそのままの内容とする。
ところで、ハッシュ関数の特徴は公知であるが、ここでは、任意の桁数の第1データを、所定の桁数(例えば、10桁)の比較データ(ハッシュ値)に変換することができ、変換された比較データから元のデータである第1データを特定することができず(一方向性)、第1データのごく一部だけが改変された場合でも、第1データを変換することによって得られる比較データは異なるものとなり、違う元データ(第1データ)が同じハッシュ値(比較データ)に変換される可能性は極めて低いという特徴を有している。さらに、同じハッシュ値(比較データ)となる、複数の異なる元データ(第1データ)を作成することは非常に困難である。
識別データ生成部2c(追跡用識別情報生成手段に相当する)は、自装置識別データ記憶部3aから読み出された自装置識別データを少なくとも含む第2データを第2の関数に従って変換することにより、追跡用識別データを生成するものである。第2データは、自装置識別データのみから構成されてもよいが、自装置識別データと、プログラムデータ記憶部3bに記憶されている、原稿の画像を読み取って入力画像を生成してから出力画像を出力(例えば、記録紙上への記録)するまでの処理に含まれる処理を実行し、改変されるとインターネットファクシミリ装置1が正常に動作しなくなるプログラムデータとを含むようにしてもよい。なお、第2データと第1データとは同一の内容であってもよく、相違する内容であってもよいが、相違する場合にも、両者は自装置識別データをともに含む。ただし、本実施形態においては、第2データは、自装置識別データのみから構成されるものとして説明する。識別データ生成部2cは、具体的には、ハッシュ関数f1(第1の関数の一例)と相違するハッシュ関数f2(第2の関数の一例)にシェーディング補正データ(自装置識別データの一例)を入力することにより、追跡用識別データを生成するものである。ここで、追跡用識別データは、出力画像データを生成、或いは出力した装置を特定可能にするべく、追跡パターンとして出力画像データに付加されるデータである。生成された追跡用識別データは、追跡用識別データ記憶部4aに格納される。
ここで、第1の関数(ここでは、ハッシュ関数f1)と、第2の関数(ここでは、ハッシュ関数f2)とは異なる関数であることが好ましい。この場合、第1データを第1の関数に従って変換することによって生成される基準データと、第2データを第2の関数に従って変換することによって生成されれる追跡用識別データとは、異なるデータとなる。よって、判定用のデータとして基準データ記憶部3cに記憶されている基準データに基づいて追跡用識別データが特定され、さらに、特定された追跡用識別データに基づいて自装置識別データが特定されるおそれが極めて少ないという利点がある。なお、第2データを第2の関数に従って変換して追跡用識別データを生成するのではなく、第2データをそのまま追跡用識別データとすることも可能である。この場合にも、基準データと第2データ(=自装置識別データ(ここでは、シェーディング補正データ))とは異なるデータとなるので、基準データに基づいて自装置識別データが特定されるおそれが少ないという利点が得られる。
ところで、例えば、A3(日本工業規格A列3番)サイズの原稿を600dpiの解像度で読み取る場合、主走査方向の画素数は7016画素となる。そのため、自装置識別データ記憶部3aは、例えば1画素あたり8ビットで主走査方向に約7000画素分のシェーディング補正データをRGBの3ライン分記憶している。また、自装置識別データ記憶部3aは、例えば1画素あたり4ビットで主走査方向に約7000画素分の光量補正データをCMYKの4ライン分記憶している。すなわち、補正データ記憶部3aが記憶しているシェーディング補正データ及び光量補正データは、入力画像データの各画素にそれぞれ対応する複数ビットのデータから構成されている。
そこで、第2データには、自装置識別データ記憶部3aが記憶している自装置識別データを構成する複数ビットのデータのうち、一部のビットのデータを含むものとし、識別データ生成部2cは、この第2データに基づいて追跡用識別データを生成する。つまり、自装置識別データを構成する複数ビットのデータのうち、当該複数ビットのデータが示す値の上位の桁に対応するビットに基づいて追跡用識別データを生成する。例えば、第2データとしてシェーディング補正データのみを用いる場合(つまり、第2データ=自装置識別データ)には、1画素あたり8ビットあるデータのうちの、上位3ビットのデータを抽出し、抽出した上位3ビットのデータの集合(7016画素分)をハッシュ関数f2に入力する。つまり、シェーディング補正データの構成ビットのうち、改変された場合に、シェーディング補正される入力画像データに与える影響が大きい上位ビットに基づいて追跡用識別データを生成する。シェーディング補正データの1画素あたりのデータが2バイト以上のデータから構成されており、ビッグエンディアン方式で自装置識別データ記憶部3aに記憶されている場合には、最も上位のバイトの上位の一部のビットをハッシュ関数f2に入力して追跡用識別データを生成する。また、リトルエンディアン方式で自装置識別データ記憶部3aに記憶されている場合には、最も下位のバイトの上位の一部のビットをハッシュ関数f2に入力して追跡用識別データを生成する。このようにすれば、自装置識別データであるシェーディング補正データのうち、第2データに含まれる部分が特定され、特定された部分が改変されることによって、第2データが、引いては、第2データに基づいて生成される追跡用識別データが改変されたものとなる場合には、シェーディング補正された入力画像データは際立って異常なものとなる。
なお、第1の関数及び第2の関数は、本実施形態においてはハッシュ関数であるが、第1データ及び第2データのビット数(データ量)を減らすことができる関数であればハッシュ関数に限定されるものではなく、例えば、暗号化処理、圧縮処理、間引き処理などを行う関数であってもよい。但し、生成された追跡用識別データ(又は比較データ)に基づいて、元となった第2データ(又は第1データ)を特定することが困難な関数、つまり、一方向性を有する関数によって追跡用識別データ(又は比較データ)を生成するのが好適である。
パターン生成部2dは、識別データ生成部2cにより生成された追跡用識別データに基づいて、出力画像データに付加する追跡パターンを生成するものである。ここで、追跡パターンは、出力画像データを生成、或いは出力した装置を特定可能にするべく出力画像データに付加される画像データであり、追跡用識別データを画像データ化したものである。また、追跡パターンは、記録紙上に形成された追跡パターンの画像を人間の目には認識し難いものとするためにY成分の色彩データとなっている。なお、ここでは、記録紙に印刷出力される追跡パターンを人間の目には認識し難いものとするためにY成分の色彩データとしているが、追跡パターンを他の色成分の色彩データとして出力画像データに合成するようにしてもよい。
付加部2e(付加手段に相当する)は、パターン生成部2dにより生成された追跡パターンを、画像処理部8により生成された出力画像データに付加するものである。付加部2eは、具体的には、画像処理部8により生成されたCMYKの各色彩データからなる出力画像データのうちのY成分の色彩データに対して、パターン生成部2dにより生成された追跡パターン(Y成分の色彩データ)を加えることにより、出力画像データに追跡パターンを付加する処理を行う。
インターネットファクシミリ装置1を製造したメーカなどでは、追跡用識別データと、インターネットファクシミリ装置1のシリアルナンバー等の機器情報とを対応付けて管理している。そのため、紙幣や有価証券等が偽造された場合には、出力画像データに付加された追跡パターン(追跡パターンが付加された出力画像データが印刷出力された場合には、その画像が形成された記録紙上の追跡パターンの画像)を解析して追跡用識別データを特定し、特定された追跡用識別データと前記機器情報とを照合することにより、出力画像データを出力した装置を特定することができる。
出力制御部2f(禁止手段に相当する)は、出力部2gによる、追跡パターンが付加された出力画像データの出力を制御するものである。出力制御部2fは、具体的には、基準データと比較データとが一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合に、出力部2gによる出力画像データの出力を許可する。出力制御部2fは、逆に、基準データと比較データとが一致しないと判定した場合に、出力部2gによる、追跡パターンが付加された出力画像データの出力を禁止する。
基準データと比較データとが一致することは、自装置識別データ記憶部3aに格納されている自装置識別データ(ここでは、シェーディング補正データ)が改変されていないことを示している。したがって、基準データと比較データとが一致した際に、自装置識別データ記憶部3aに格納されている自装置識別データから生成される追跡用識別データを画像データ化した追跡パターンも改変されておらず正規なものとなるので、出力画像データに付加された追跡パターンに基づいて、出力画像データに基づく画像を印刷したインターネットファクシミリ装置1を特定することができる。
第1データと第2データとが、自装置識別データ以外のプログラムデータ等を含む場合は、第1データは少なくとも自装置識別データを含み、第2データは自装置識別データを含み、第1データと少なくとも一部が共通すればよい。しかし、第2データが、引いては、追跡用識別データ及び追跡パターンが改変されたものとなる場合には、必ず第1データも改変されたものとなり、第1データに基づいて生成される比較データが基準データと一致しなくなることが好ましいので、第1データは、第2データに含まれるデータを全て含むようにすることが望ましい。
出力部2g(出力手段の一部に相当する)は、プリンタ9を制御して追跡パターンが付加された出力画像データに基づく画像を記録紙上に形成するものである。この出力部2gからプリンタ9へ送られる出力画像データは、図外の印刷画像データ生成回路において強度変調信号に変換され、光量補正回路27を介してLEDプリントヘッド26へと出力され、印刷出力される。なお、本実施形態においては、2値の出力画像データに2値の追跡パターンを付加し、この追跡パターンが付加された出力画像データを印刷出力する場合について説明するが、多値の出力画像データに多値の追跡パターンを付加し、この追跡パターンが付加された出力画像データを2値化処理して印刷出力するようにしてもよい。
削除部2h(削除手段に相当する)は、付加部2eによって追跡パターンが出力画像データに付加された後に、追跡用識別データを追跡用識別データ記憶部4aから削除するものである。削除には、追跡用識別データ記憶部4aの記憶領域を上書き可能に開放する場合と、追跡用識別データ記憶部4aの記憶領域上の追跡用識別データを積極的に消去する場合とがあるが、追跡用識別データに基づいて自装置識別データが特定されないようにするという削除の目的のためには、後者のように、追跡用識別データ記憶部4aの記憶領域上の追跡用識別データを積極的に消去することが望ましい。
RAM4の追跡用識別データ記憶部4a(追跡用識別データ記憶手段に相当する)は、識別データ生成部2cによって生成された追跡用識別データを記憶するものである。なお、この追跡用識別データ記憶部4aに記憶された追跡用識別データは、上記のように削除部2hにより追跡用識別データ記憶部4aから削除されるようになっている。
以下、原稿読取部5に原稿がセットされて原稿の読み取り開始命令があった場合に、インターネットファクシミリ装置1において行われる動作について、図2〜4、図5(a)に基づき説明する。なお、図4のフローチャートに基づき以下に説明するインターネットファクシミリ装置1の各部の処理ステップ(S1〜S16)は、ROM3に格納されている制御プログラムに基づいて制御部2が発行する命令に従って行われる。
まず、受付部2aは、操作部10のスタートキーが押下されたか否かに基づいて、原稿の読み取り開始命令があったか否かを判断する(S1)。ここで、原稿の読み取り開始命令があったと判断した場合には(S1:YES)、原稿の画像を読み取って入力画像データを取得する(S2)。具体的には、図2に示すように、原稿読取部5のカラーラインセンサ16により、原稿の画像を読み取ってアナログ画像信号を生成する。このようにしてカラーラインセンサ16から出力されたアナログ画像信号は、AFE回路17においてゲイン調整された後、A/Dコンバータ18によりA/D変換されて、RGB表色系のカラー画像データ(入力画像データ)としてシェーディング補正回路19へと入力される。
これに対し、シェーディング補正回路19は、自装置識別データ記憶部3aに記憶されているシェーディング補正データと、原稿の読み取り開始前に予め取得した修正データとを使用して、A/Dコンバータ18から入力された入力画像データに対してシェーディング補正を行う。そして、シェーディング補正されたRGB表色系の入力画像データは、入力色空間変換回路20によりL*a*b*表色系の入力画像データに変換された後、画像処理部8へと出力される。
続いて、画像処理部8は、原稿読取部5から出力された入力画像データに基づいて出力画像データを生成する(S3)。このステップでは、具体的には、画像処理回路22により、入力色空間変換回路20から出力されたL*a*b*表色系の入力画像データに対して必要な画像処理を行った後、出力色空間変換回路23により、画像処理が行われたL*a*b*表色系の入力画像データに基づいてCMYKの各色彩データからなる出力画像データを生成する。
一方、比較データ生成部2bは、画像処理部8の出力色空間変換回路23により出力画像データが生成された際に、第1データに基づいて比較データを生成する(S4)。具体的には、自装置識別データ記憶部3aが記憶している自装置識別データを含む第1データ(ここでは、シェーディング補正データ)をハッシュ関数f1(第1の関数に相当する)に入力することにより、基準データ記憶部3cの基準データと照合される比較データを生成する。すなわち、第1データのハッシュ値である比較データを生成する。そして、比較データ生成部2bは、生成した比較データをRAM4の所定領域に格納する(S5)。
次に、識別データ生成部2cは、自装置識別データ記憶部3aが記憶している自装置識別データを含む第2データ(ここでは、シェーディング補正データ)に基づいて追跡用識別データを生成する(S6)。具体的には、第2の関数(ここでは、ハッシュ関数f2)にシェーディング補正データを入力することにより、追跡用識別データを生成する。そして、識別データ生成部2cは、生成した追跡用識別データを追跡用識別データ記憶部4aに格納する(S7)。
パターン生成部2dは、識別データ生成部2cによって生成された追跡用識別データが追跡用識別データ記憶部4aに格納されると、その追跡用識別データに基づいて、出力画像データに付加する追跡パターンを生成する(S8)。そして、付加部2eは、パターン生成部2dによって生成された追跡パターンを出力画像データに付加する(S9)。さらに、削除部2hは、追跡パターンが出力画像データに付加されたことにより追跡用識別データが不要になると、追跡用識別データを追跡用識別データ記憶部4aから削除する(S10)。
続いて、出力制御部2fは、比較データ生成部2bによって生成された後RAM4に格納された比較データと、基準データ記憶部3cに記憶されている基準データとを照合し(S11)、照合結果が一致するか否か、すなわち、比較データと基準データとが一致するか否かを判定する(S12)。ここで、比較データと基準データとが一致すると判定した場合(S12:YES)、すなわち、自装置識別データ(ここでは、シェーディング補正データ)が改変されていない場合、出力制御部2fは、RAM4に格納されている比較データを削除する(S13)。これは、比較データに基づいて第1データが、引いては、自装置識別データが特定されるのを防止するためである。さらに、出力制御部2fは、追跡パターンが付加された出力画像データの出力を許可し、出力部2gは、追跡パターンが付加された出力画像データを印刷出力するべくプリンタ9へと出力し、プリンタ9は、追跡パターンが付加された出力画像データに基づく画像を記録紙上に形成してその記録紙を排出する(S14)。一方、比較データと基準データとが一致しないと判定した場合(S12:NO)、すなわち、自装置識別データ(ここでは、シェーディング補正データ)が改変されている場合、出力制御部2fは、改変された追跡パターンが付加された出力画像データの出力を禁止する(S15)。これにより、追跡パターンが改変されたものとなっているがゆえに出力画像データに含まれる追跡パターンを解析しても、その追跡パターンを出力画像データに付加した装置を特定することができないといった問題が生じるのを防止することができる。出力制御部2fは、ステップ15(S15)の処理を行った後、エラー処理を実行する(S16)。出力制御部2fは、具体的には、追跡パターンが付加された出力画像データを削除してこの出力画像データの印刷出力(コピー)を禁止する禁止処理を行う。そして、出力制御部2fは、報知部11が備える液晶表示装置に警告メッセージを表示するとともにスピーカから所定の警告音を鳴動させる報知処理と、改変行為が行われたことを外部装置(例えば、コールセンターの通信端末装置)にファクシミリ通信やインターネットファクシミリ通信、電子メール等により通知する外部通知処理のいずれかを行う。なお、これら3つの処理を全て同時に、或いは、いずれか2つの処理を同時に行うようにしてもよい。
以上の説明から明らかなように、インターネットファクシミリ装置1によれば、自装置識別データに基づいて生成された追跡用識別データが、入力画像データに基づいて生成された出力画像データに追跡パターンとして付加される。そのため、出力画像データに付加された追跡パターン、すなわち、出力画像データとともに記録紙に印刷出力された追跡パターンを解析して追跡用識別データを特定し、インターネットファクシミリ装置1を製造したメーカーが保存・管理するシリアルナンバーと照合することにより、追跡パターンが付加された出力画像データを出力したインターネットファクシミリ装置1を特定することが可能である。したがって、紙幣や有価証券などの特定画像を複写するといった偽造行為を抑制することができる。
また、追跡用識別データ記憶部4aの追跡用識別データは、付加部2eにより追跡パターンが出力画像データに付加された後に削除されるため、追跡用識別データを特定することは極めて困難である。そのため、追跡用識別データから自装置識別データを特定することも極めて困難である。また、基準データは、例えば、自装置識別データを含む第1データが第1の関数(ここでは、ハッシュ関数f1)に入力された場合の出力データとして得られるものであり、第1データとは異なるデータであるため、基準データに基づいて第1データを、引いては、自装置識別データを特定することも極めて困難である。つまり、自装置(インターネットファクシミリ装置)1の識別データ(自装置識別データ、追跡用識別データ、及び、追跡パターン)が容易に改変されることがないという利点がある。
また、万一、自装置識別データが改変された場合には、基準データと比較データとが一致しなくなるため、改変された追跡パターンが付加された出力画像データが印刷出力されるのを防止することができる。
図6において、(a)は白紙原稿の画像を読み取った後の、シェーディング補正前の主走査方向に1ライン分の入力画像データの信号波形、(b)は改変されていない正規のシェーディング補正データを用いて同図(a)の入力画像データをシェーディング補正して得られる信号波形、(c)は改変されたシェーディング補正データを用いて同図(a)の入力画像データをシェーディング補正して得られる信号波形をそれぞれ例示したものである。
これらの図から明らかなように、シェーディング補正データを含むデータを第2データとして使用する場合、自装置識別データ記憶部3aが記憶しているシェーディング補正データが改変されることにより、入力画像データの画質が劣化し、結果として原稿の画像に忠実な複写物を印刷出力することができなくなる。これにより、万一、紙幣等の画像が形成された記録紙が出力された場合でも、その記録紙が偽造紙幣等として不正使用されるのを抑制することができる。
ところで、本実施形態においては、自装置識別データとしてシェーディング補正データを使用する場合について説明したが、自装置識別データを、光量補正データを含むものとしてもよい。この場合、自装置識別データのうちの光量補正データが改変されると、複数の記録素子(ここでは、複数のLED素子)間の光量のばらつきが正常に補正されず、記録紙上に形成される画像の品位が低下する。したがって、紙幣等を複製した場合には、記録紙上に形成された画像が複製されたものであるとわかり、偽造紙幣が不正に使用されることを防止できる。
また、第1の関数、及び、第2の関数が一方向性という性質を有するハッシュ関数であるため、第1データのハッシュ値である基準データや第2データのハッシュ値である追跡用識別データに基づいて、第1データや第2データが特定されるのを効果的に防止することができる。また、ハッシュ関数は、元のデータのごく一部だけが変更された場合でも、出力されるハッシュ値は大きく変化するので、万一、自装置識別データが改変された場合、基準データと比較データとが一致しなくなり、改変された追跡用識別データが生成されるのを確実に防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下の形態であってもよい。すなわち、本実施形態においては、出力手段が、追跡パターンが付加された出力画像データに基づく画像を記録紙上に形成するものである場合について説明したが、出力手段はこれに限定されるものではない。
すなわち、出力手段は、追跡パターンが付加された出力画像データを所定のネットワーク(例えば、LAN32)を介して他の装置(例えば、クライアントPC33)へ転送する転送手段、追跡パターンが付加された出力画像データをファクシミリ送信、或いはインターネットファクシミリ送信する送信手段等であってもよい。この場合、自装置識別データは、光量補正データではなく、原稿の画像に忠実な出力画像データとするための処理に必要なシェーディング補正データ等である。
このように、出力手段を転送手段や送信手段とした場合、出力画像データを、例えば、JPEGファイルやTIFFファイルなどとして出力するようにすればよい。その際、生成された出力画像データに対して、パターン生成部2dにより生成された追跡パターンを、付加部2eにより電子透かし情報として付加するようにしてもよい。
さらに、本実施形態においては、追跡用識別データを画像データ化した追跡パターンとして出力画像に付加することとしたが、これに替えて、画像データ化する前の追跡用識別データや第2データそのままを出力画像データに付加し、この追跡用識別データや第2データが付加された出力画像データを、LAN32等を介して、クライアントPC33等の他の装置へ転送し、転送先のクライアントPC33等において、出力画像データに付加された追跡用識別データや第2データを画像データ化し、画像データ化された追跡用識別データや第2データを出力画像データとともに、記録紙上に印刷するようにしてもよい。
また、本実施形態におては、第1データ及び第2データが、自装置識別データであり、この自装置識別データがシェーディング補正データ、或いは、光量補正データである場合について説明したが、第1データ及び第2データは自装置識別データのみから構成される場合に限定されるものではなく、例えば、その一部に、原稿読取部5による原稿の画像の読み取りからプリンタ9による出力画像データの記録紙上への記録までの処理に含まれる処理を実行し、改変されると自装置(インターネットファクシミリ装置)1が正常に動作しなくなるプログラムデータを含むようにしてもよい。
例えば、自装置識別データ記憶部3aが記憶しているシェーディング補正データの上位3ビットのデータと、プログラムデータ記憶部3bが記憶しているプログラムデータ上の情報とを連結し、連結したデータをハッシュ関数f1及びハッシュ関数f2に入力して、基準データ、比較データ、及び、追跡用識別データを生成するようにする(図5(b)参照)。その場合、プログラムデータとして、比較データ生成部2bを機能的に実現する比較データ生成プログラム、識別データ生成部2cを機能的に実現する識別データ生成プログラム、パターン生成部2dを機能的に実現するパターン生成プログラム、及び、付加部2eを機能的に実現する付加プログラムの内、少なくとも1のプログラムに対応するプログラムデータを第1データや第2データに含ませるようにする。
これにより、万一、第1データ及び第2データのうちの比較データ生成プログラムが改変された場合、比較データが正常に生成されなくなる。また、万一、第1データ及び第2データのうちの識別データ生成プログラムが改変された場合、追跡用識別データが正常に生成されなくなる。また、万一、第1データ及び第2データのうちのパターン生成プログラムが改変された場合、追跡パターンが正常に生成されなくなる。また、万一、第1データ及び第2データのうちの付加プログラムが改変された場合、追跡パターンが出力画像データに正常に付加されなくなる。しかし、これらのプログラムが改変された場合には、これらのプログラムが改変される前の工場出荷時等に第1データに基づいてハッシュ関数f1を使用して生成された基準データと、改変されたプログラムデータを含む第1データに基づいてハッシュ関数f1を使用して生成された比較データとが一致しなくなるので、改変された追跡パターンが付加された出力画像データが印刷出力されることを防止することができる。
また、本実施形態においては、自装置識別データがシェーディング補正データや光量補正データを含むものである場合について説明したが、自装置識別データはこれに限定されるものではなく、シリアルナンバー(自装置1の識別番号データ)を含むものであってもよい。この場合、万一、シリアルナンバーが改変されると、基準データと比較データとが一致しなくなり、改変された追跡パターンが付加された出力画像データが印刷出力されることを防止することができる。。
さらに、本実施形態においては、原稿の複写の態様と識別データ生成部2cによる追跡用識別データの生成との関係について特に限定をしなかったが、この関係については、適宜に設定することができる。例えば、1枚の原稿を1部だけ複写する場合や、1枚の原稿を複数枚複写する場合には、1度だけ追跡用識別データを生成するようにすればよい。また、複数枚の原稿を複写する場合には、複数枚の原稿を複写する1のジョブに対して1度だけ追跡用識別データを生成して、生成された追跡用識別データから生成した1の追跡パターンを同じジョブ内で生成される全ての出力画像データに付加するようにしてもよいし、同じジョブ内であっても、出力画像データ(原稿)毎に、追跡用識別データ及び追跡パターンを生成し、それぞれ付加するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、追跡用識別データに基づいて生成した追跡パターンを出力画像データに付加した直後に、追跡用識別データをRAM4の追跡用識別データ記憶部4aから削除することとしているが、これに替えて、出力画像データの印刷ジョブが終了した時点で追跡用識別データを削除するようにしてもよい。
さらに、本実施形態においては、基準データと比較データとが一致しない場合に、追跡パターンが付加された出力画像データの印刷出力を禁止する構成としたが、これに替えて、基準データと比較データとが一致しない場合に、追跡用識別データの生成を禁止する構成としてもよく、また、追跡パターンの出力画像データへの付加を禁止する構成としてもよい。
また、本実施形態においては、付加手段は常に、追跡パターンを出力画像データに付加することとしたが(第2データ又は追跡用識別データを付加する場合も含む)、これに替えて、入力画像データや出力画像データの内容を判断し、その判断結果に応じて追跡パターン等を付加するか否かを決定するようにしてもよい。
さらに、本実施形態においては、原稿読取部5によって原稿の画像を読み取ることによって生成された入力画像データに基づいて出力画像データを生成することとしたが、LAN32を介してクライアントPC33等から入力画像データや出力画像データを取得し、この出力画像データやこの入力画像データから生成した出力画像データに追跡パターンを付加するようにしてもよい。
さらに、本実施形態で示したインターネットファクシミリ装置1の構成は、本発明に係る画像処理装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更できることは勿論であり、出力画像データに対して追跡パターンを合成する機能を備えた装置であれば、例えば、複写機、ファクシミリ装置、スキャナ単体の装置、プリンタ単体の装置等としても実現可能である。