JP4211548B2 - アルミニウムの連続鋳造における溶湯漏れ検出方法 - Google Patents
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連続鋳造装置50は、スラブを竪型半連続鋳造するもので、図9に示すように、一対の長辺鋳型52とその両端付近に位置する一対の短辺鋳型55とに囲まれ且つこれらの下方にて昇降可能に位置する下型56に包囲されたキャビティCにアルミニウム合金の溶湯mが注下される。
しかし、上記スラブMやビレットなどの鋳造材は、長辺・短辺鋳型52,55などの下方に下型56と共に下降した際、図10に示すように、周囲の凝固部分が内部の溶湯mにより再溶解され、係る位置から溶湯mが外側に漏れL出る、というトラブルを生じることがある。上記漏れLは、特に鋳造初期に生じ易い。
しかしながら、溶湯mの漏れLは、これまで目視で観察していたが、見付けることが難しく、多量の漏れLが発生した後で気が付く場合が多かった。
本発明は、以上に説明した背景技術における問題点を解決し、スラブなどのアルミニウムの鋳造材を連続鋳造する際に溶湯の漏れを正確且つ確実に検出できるアルミニウムの連続鋳造における溶湯漏れ検出方法を提供する、ことを課題とする。
即ち、本発明のアルミニウムの連続鋳造における溶湯漏れ検出方法(請求項1)は、鋳型の内側のキャビティにアルミニウムの溶湯を注下し且つ係る鋳型の下方に下型と共に下降する鋳造材を連続鋳造するに際し、上記鋳型の下方に位置し且つ上記下型が進入する水槽に上記鋳造材から漏れ出た溶湯が着水した際の周波数が3〜6kHzの音を集音マイクロホンで検出する、ことを特徴とする。
また、前記鋳造材には、アルミニウムからなるスラブやビレットなどが含まれる。
更に、前記周波数の範囲は、発明者らの調査により得られたものであり、係る周波数の範囲を外れると、溶湯の漏れは統計的にはほぼ皆無となる。
特に、集音マイクロホンが水槽の水中に配置された形態では、上記鋳型付近のノイズが入らないため、一層精度良く着水音を検出することが可能となる。
また、係るコンピュータと上記集音マイクロホンとの間には、着水音から変換された電気信号を増幅するアンプを配置しても良い。
更に、前記警報手段には、例えば、スピーカ、回転警告灯、あるいはディスプレイなどが含まれる。
図1は、本発明の溶湯漏れ検出方法が適用される幅可変鋳型(鋳型)1aを示す平面図である。係る幅可変鋳型1aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金を直方体形状のスラブに竪型半連続鋳造するものであり、図1に示すように、互いにほぼ平行な一対の長辺鋳型2と、係る長辺鋳型2,2の両端部付近で直角に配置される一対の短辺鋳型10と、を備えている。一対ずつの長辺・短辺鋳型2,10に囲まれ、且つこれらの下端部間に上端が進入し且つ昇降可能な下型3との間には、直方体形状のキャビティCが形成される。
また、短辺鋳型10は、図1および図2に示すように、アルミニウム合金からなる断面ほぼ箱形の鋳型本体12と、その長手両端に対称に固定した一対の密着片11と、を備え、図1中の矢印で示すように、図示しない機構により互いに接近・離間可能とされている。各密着片11は、その鋭角部分が長辺鋳型2,2の鋳型本体4における端部4a,4aの内側面に密着可能とされている。尚、図2は、図1中のX−X線に沿った矢視における断面図である。
また、図2に示すように、上記中空部14には、鋳型本体12の後方に接続され且つ途中に開閉弁(図示せず)を有する給水管16が連通している。
また、中空部6は、図3に示すように、鋳型本体4の下部と給水ジャケット5の下部との間の斜めの隙間を介して、冷却水Wを噴射するスリット状の噴射口8と連通している。このため、図3中の矢印で示すように、中空部6に供給された冷却水Wは、噴射口8から斜め下向きに水膜状に噴射される。
このため、溶湯漏れ検出装置1では、溶湯mの漏れLを直ちに検出するため、スラブMから漏れ出た溶湯mが水槽20の水面に着水した着水音を、係る水槽20の水中に配置した集音マイクロホン22にて集音可能としている。尚、集音マイクロホン22は、上記水槽20の水面の直上付近に配置しても良い。
また、上記コンピュータ24は、前記着水音から変換された信号の周波数が周波数3〜6kHzの範囲内にあるか否かを判別するもので、係る3〜6kHzの周波数帯域が記録されたROMなどの記憶部(図示せず)と、上記信号の周波数を計測し且つ上記周波数帯域との比較するCPU(図示せず)と、を含んでいる。
この場合、溶湯mの漏れLが極く軽微な場合を除き、前記幅可変鋳型1aのキャビティCへの溶湯mの注湯作業を直ちに停止する。その結果、品質上の問題があるスラブMの連続鋳造作業を可及的に早い段階で停止できる。このため、スラブMの品質および溶湯mの歩留まりの向上を図ることが可能となる。
尚、前記警報手段には、例えば液晶またはプラズマディスプレイや多数の発光ダイオードを用いたLEDディスプレイを用いても良く、更に、これらと上記回転警告灯26やスピーカ28とを併用して警告するようにしても良い。
尚、図6に示すように、鋳造されつつある水槽20中の4個のスラブMの中央で且つその中間付近に2個の集音マイクロホン22を配置しても、何れかのスラブMにおける溶湯mの漏れLによる着水音を、集音することが可能である。
連続鋳造鋳型41は、図7,8に示すように、平面視が細長い長方形のテーブル41aと、円筒形を呈し且つキャビティCを内設する複数の鋳型44とを備えている。複数の鋳型44は、1列にして係るテーブル41aに配置され、上端のフランジ45がテーブル41aの上方に位置している。各鋳型44のキャビティCの周囲には、テーブル41aの中空部42が包囲し、この中空部42に供給される冷却水は、各キャビティCの下端とテーブル41aの底面との間にて斜め下向きに開口する円錐形で且つスリット状の噴射口43から、ほぼ円錐形の水膜として噴射される。
連続鋳造鋳型41の各キャビティCに、上方からアルミニウムの溶湯mを個別に注下し且つ連続して注ぐと、各キャビティC内に溜まった溶湯mは、当該鋳型41および噴射口43から噴射される図示しない冷却水により冷却され、周囲から徐々に凝固し始めて円柱形のビレット(鋳造材)Mになる。
例えば、集音マイクロホン22とアンプ23やコンピュータ24との間は、ワイヤレスによって導通しても良く、この場合、前記水槽20,45の周囲にLANを配置し且つ活用しても良い。
また、鋳造材である前記スラブMにおける4つの側面の付近における水中に、4個の集音マイクロホン22を個別に配置しても良い。
更に、複数の前記スラブMまたはビレットMを連続鋳造する際に、これらに対して専用の集音マイクロホン22を個別に配置しても良い。
尚、前記溶湯漏れ検出装置1,40に用いる周波数測定手段は、前記コンピュータ24に限らず、これと同等の記憶機能、演算機能、および出力機能を有するコントローラなどの制御手段を用いても良い。
1a…………幅可変鋳型(鋳型)
3,46……下型
20,45…水槽
22…………集音マイクロホン
24…………コンピュータ(周波数測定手段)
26…………回転警告灯(警報手段)
28…………スピーカ(警報手段)
41…………連続鋳造鋳型(鋳型)
C……………キャビティ
m……………溶湯
M……………スラブ/ビレット(鋳造材)
Claims (1)
- 鋳型の内側のキャビティにアルミニウムの溶湯を注下し且つ係る鋳型の下方に下型と共に下降する鋳造材を連続鋳造するに際し、
上記鋳型の下方に位置し且つ上記下型が進入する水槽に上記鋳造材から漏れ出た溶湯が着水した際の周波数が3〜6kHzの音を集音マイクロホンで検出する、
ことを特徴とするアルミニウムの連続鋳造における溶湯漏れ検出方法。
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