JP2007111743A - ダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビティ内に流入する金属溶湯の挙動を的確に捉えることにより鋳造される製品の良否を精度良く判定できると共に、この溶湯の挙動に基づいてガス混入量が少ない高品質な鋳造品を製造することが可能なダイカスト鋳造装置およびその方法を提供する。
【解決手段】金型10に形成されたキャビティ14内のガスを排気しながらキャビティ14内の圧力を減圧すると共に、射出装置20から金属溶湯Mを射出して湯道13を介して前記キャビティ14内に前記金属溶湯Mを充填させるようにしたダイカスト鋳造装置1であって、該鋳造装置1は、湯道13または湯道13近傍のキャビティ14の少なくとも一部の空間に所定の周波数を有した磁場を発生させる磁場発生手段30と、前記空間内における磁場の周波数を検出する磁場検出手段30と、を少なくとも備えてなる。
【選択図】図1
【解決手段】金型10に形成されたキャビティ14内のガスを排気しながらキャビティ14内の圧力を減圧すると共に、射出装置20から金属溶湯Mを射出して湯道13を介して前記キャビティ14内に前記金属溶湯Mを充填させるようにしたダイカスト鋳造装置1であって、該鋳造装置1は、湯道13または湯道13近傍のキャビティ14の少なくとも一部の空間に所定の周波数を有した磁場を発生させる磁場発生手段30と、前記空間内における磁場の周波数を検出する磁場検出手段30と、を少なくとも備えてなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム合金などの金属材料を鋳造するダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法に係り、特に、鋳造製品中の溶湯のガス巻き込みを把握して、鋳造品の良否を判定すると共に、鋳造品のガス混入を低減することができるダイカスト鋳造装置およびダイカスト鋳造装置に関する。
従来、固定金型と可動金型によって形成されるキャビティに、溶融されたアルミニウム合金等の金属溶湯を射出し、冷却して鋳物製品を製作するダイカスト鋳造装置は一般的に知られており、このような鋳造装置を用いて鋳造した場合には、キャビティ内への金属溶湯の射出時においてガスが巻き込まれ、鋳物製品にガスが含有することがあった。
そして、この鋳物製品へのガスの混入を抑制しガス含有による製品のばらつきを低減する技術として、金型内に形成されるキャビティ内の圧力を減圧し、該減圧状態のキャビティ内に金属溶湯を射出するような真空ダイカスト鋳造方法が一般的に利用されている。しかし、このような真空ダイカスト鋳造方法は、キャビティ内をより高真空化することにより、良質の製品を鋳造することを狙いとした方法であるが、このような方法を用いた場合には、金属溶湯が射出される前に、一部の金属溶湯が減圧されたキャビティ内に吸引されることがあり、この現象により、鋳造された製品に欠陥が生じることがあった。
そこで、このような課題を鑑みて、一対の金型の間に形成されるキャビティ内を排気してキャビティ内の圧力を減圧し、この排気を停止して減圧状態を保持し、前記キャビティ内に金属溶湯を射出、充填して鋳造品を成形する鋳造装置であって、該装置は、前記キャビティ内に金属溶湯の鋳造圧力を検出する圧力検出器を備えており、圧力検出器にキャビティ減圧に起因した溶湯が付着して圧力検出器が正常に検出できないときは、減圧起因の溶湯がキャビティ内に吸引されて凝固し製品の品質に不良が発生したと判定し、次回のサイクルにおいて、キャビティ内のガス排気の停止タイミングをこの結果に基づいて調整する鋳造装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−291047号公報
ところで、前記の如くキャビティ内の圧力(鋳造圧力)を検出するような装置を用いて鋳造を行った場合には、この鋳造圧力を検出する圧力検出器は、溶湯の流れに影響を与えないように、キャビティを形成する固定型または可動型の壁面に配置させることになる。しかし、この圧力検出器を用いて、鋳造圧力を検出したとしても、減圧により吸引される溶湯飛沫は、型の中央部を通過することが多く、圧力検出器を配置した金型壁面に衝突することは少ないため、このようなキャビティ壁面を沿わない溶湯の断続的な流れは、圧力検出器では検出することはできない場合が多い。
また、射出前にキャビティの減圧に起因した溶湯飛沫などが圧力検出器に付着したとしても、キャビティ内に流入する減圧起因の溶湯飛沫の量が少ない場合もある。このような場合には、たとえ溶湯飛沫がキャビティ内おいて凝固したとしても、プランジャからキャビティ内に射出される溶湯により、この凝固物が再溶融し、品質上の問題は発生しない場合が多い。
さらに、この鋳造装置は、あるサイクルで不良品と判定してから、次回のサイクルにおいて、キャビティ内のガス排気の停止タイミングを調整するものであり、リアルタイムに(1サイクル内において)鋳造中の溶湯をコントロールして、不良品の製造を回避するものではない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、キャビティ内を減圧して金属溶湯を鋳造する場合において、キャビティ内に流入する溶湯の挙動を的確に捉えることにより鋳造される製品の良否を精度良く判定すると共に、この溶湯の挙動に基づいてガス混入量が少ない高品質な鋳造品を製造することが可能なダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ダイカスト鋳造において、ガス混入を低減した良質の鋳造品を製作するためには、まず鋳造時に湯道を通過する溶湯の挙動を捉えること、具体的には、鋳造時に、キャビティ内の減圧による湯道およびその近傍における溶湯の飛沫、溶湯の先走りの挙動などの溶湯のガス巻き込みの挙動を的確に捉えることが重要であると考えた。
そこで、発明者らはこの考察に基づいて多くの実験と研究を行うことにより、この溶湯が金属溶湯であることに着眼し、湯道およびその近傍に所定の周波数で磁場(動磁場)を発生させたときに、該磁場を通過する金属溶湯の表面に電流が流れ、この電流により発生させた磁場の周波数が変化するので、この磁場の周波数の変化を検出することにより、磁場を通過する金属溶湯の挙動(金属溶湯のガスの巻き込みの挙動)を把握することができるとの知見を得た。
本発明は、本発明者らが得た上記の新たな知見に基づくものであり、本発明に係るダイカスト鋳造方法は、金型に形成されたキャビティ内のガスを排気しながらキャビティ内の圧力を減圧すると共に、射出装置から金属溶湯を射出して湯道を介して前記キャビティ内に前記金属溶湯を充填するダイカスト鋳造方法であって、該鋳造方法は、湯道または湯道近傍のキャビティの少なくとも一部の空間に所定の周波数を有した磁場を発生させると共に該空間内の磁場の周波数を検出し、該検出した磁場の周波数の変化によりキャビティ内に充填される金属溶湯のガス巻き込みをモニタリングしながら、キャビティ内に前記金属溶湯を充填することを特徴としている。
本発明の如く、所定周波数を有する動磁場を利用することにより、この磁場が発生した湯道または湯道近傍のキャビティの少なくとも一部の空間を通過する溶湯に電流が流れ、この電流により磁場の周波数が変化する。この周波数の変化は金属溶湯のガスの巻き込みと相関関係があるので、空間を通過する溶湯の飛沫などを把握することができる。さらに、このようなモニタリングにより、キャビティ内に充填された金属溶湯中にどの程度のガスが混入されたか、ガス混入による鋳造された製品の良否等を把握することができる。
また、充填後の鋳造された製品は、鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に基づいて、鋳造される製品の良否を判定されることがより好ましい。すなわち、磁場の周波数の変化量は、金属溶湯のガスの巻き込み量(湯道を流れる溶湯とガスの割合)に依存するものであり、鋳造時における時間経過に伴う磁場の周波数の変化量を時間積分した値は、鋳造中にキャビティ内に流入したガス総量に関連付けられるので、得られた鋳造品にどの程度ガスが混入したかを把握することができ、精度良く鋳造された製品の良否判定をすることができる。
さらに、鋳造時においての好ましい態様としては、本発明に係るダイカスト鋳造方法は、前記磁場の周波数の変化量に基づいて、前記キャビティ内の減圧度を調整する。この減圧度の調整は、溶湯を射出装置に投入してから、鋳造品が鋳造されるまでの1サイクル内において行われることが好ましい。この減圧度の調整にあたっては、キャビティの形状、大きさ等に基づいて、その調整方向(キャビティ内をさらに減圧すべきか、または、キャビティ内の圧力を緩める(圧力を増加させる)べきか)、及び、最適な減圧度の調整量が決定される。別の態様としては、この磁場の周波数の変化により、溶湯のガス巻き込みを検知した場合に、この検出した周波数に基づいて、ガス巻き込みを軽減するように、この減圧度をフィードバック制御してもよい。
このように、溶湯飛沫などの溶湯の流れに乱れがあること(ガス巻き込み)を検出した場合には、ガス巻き込み量(磁場の周波数の変化量)にあわせて減圧されているキャビティ内の減圧度を調整することにより、リアルタイムにキャビティ内への溶湯飛沫等を抑制し、鋳造部品内への更なるガスの混入を低減させることができる。
また、鋳造時においての別のより好ましい態様として、本発明に係るダイカスト鋳造方法は、前記磁場の周波数の変化量に基づいて、前記射出装置の射出速度を調整する。この射出速度の調整は、上記の如き1サイクル内において行われることが好ましい。この速度調整にあたっては、減圧度の調整と同様に、キャビティの形状、大きさ等に基づいて、その調整方向(射出速度を大きくするか、小さくするか)、及び、最適な射出速度の調整量が決定される。別の態様としては、この磁場の周波数の変化により、溶湯のガス巻き込みを検知した場合に、この検出した周波数に基づいて、ガス巻き込みを軽減するようにこの射出速度をフィードバック制御してもよい。
このように、溶湯の流れに乱れがあること(ガス巻き込み)を検出した場合には、ガス巻き込み量(磁場の周波数の変化量)にあわせて、射出装置の射出速度を調整することにより、先と同様に、キャビティ内への溶湯飛沫、先走りの状態等を抑制し、鋳造部品内への更なるガスの混入を低減させることができる。
さらに、好ましい態様としては、鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に基づいて、射出装置を構成するプランジャとスリーブとのリークを診断する。このように、磁場の周波数の変化量からガス巻き込み量を把握することができ、このガス巻き込み量と射出装置を構成するプランジャとスリーブとのリーク量とを対応付けて診断することになるので、プランジャとスリーブとのシール性が悪化する前に予防保全を行うことができる。
上記のダイカスト鋳造方法を効果的に実施することのできる装置として、本発明は、金型に形成されたキャビティ内のガスを排気しながらキャビティ内の圧力を減圧すると共に、射出装置から金属溶湯を射出して湯道を介して前記キャビティ内に前記金属溶湯を充填させるようにしたダイカスト鋳造装置であって、該鋳造装置は、湯道または湯道近傍のキャビティの少なくとも一部の空間に所定の周波数を有した磁場を発生させる磁場発生手段と、前記空間内における磁場の周波数を検出する磁場検出手段と、を少なくとも備えることを特徴とするダイカスト鋳造装置をも開示する。
前記の如きダイカスト鋳造装置は、磁場発生手段が湯道または湯道近傍のキャビティの少なくとも一部の空間に所定の周波数を有した磁場を発生させて、磁場検出手段が該空間内の磁場の周波数を検出するような構成としたので、溶湯が通過する際の前記空間内のおける磁場の周波数の変化を得ることができ、この周波数変化によりキャビティ内に充填される金属溶湯のガス巻き込みをモニタリングすることができる。
このような磁場発生手段は、高周波の電源をコイルに接続して、このコイルに高周波の交流電流を流すことにより磁場を発生させるようなものであり、この磁場を発生するコイルが、磁場の周波数の変化を検出するコイルとして利用される(磁場発生手段と磁場検出手段とを一体化した)構成であってもよい。
また、本発明に係るダイカスト鋳造装置は、該磁場検出手段が検出した磁場の周波数の変化量に基づいて前記キャビティ内の減圧度を調整する減圧調整手段を備えることが好ましい。この場合、キャビティ内の減圧度を調整するにあたっては、このダイカスト鋳造装置は、キャビティ内のガスを吸引排気する吸引排気手段と、キャビティから吸引排気手段へ流れる排気ガスの減圧度を調整する圧力調整手段と、を備え、この減圧調整手段は、圧力調整手段を作動させることによりキャビティ内の減圧度を調整することがより好ましい。
この吸引排気手段とは、例えば、真空ポンプなどのキャビティ内のガスを吸引して排気し、キャビティ内の圧力を減圧できる機器(例えばポンプなど)であれば特に限定されるものではなく、さらに、減圧調整手段とは、排気されるガスの減圧度を調整することにより、キャビティ内の圧力の減圧度を調整できる機器(例えば圧力調整弁などのバルブ)であれば特に限定されるものではない。そして、圧力調整手段を介してキャビティ内の減圧度を調整するので直接、吸引排気手段に溶湯が流入することがないので、機器の損傷を未然に防ぐことができる。また別の態様として、この減圧調整手段が、吸引排気手段の吸引排気するガス量を調整することにより、キャビティ内の減圧度を調整するようにしてもよい。
さらに、好ましい態様としては、本発明に係るダイカスト鋳造装置は、前記磁場検出手段が検出した磁場の周波数の変化量に基づいて、前記射出装置の射出速度を調整する射出速度調整手段を備えており、このような射出速度調整手段を備えることにより、溶湯の流れに乱れがあること(ガス巻き込み)を検出した場合には、射出装置の射出速度を調整することにより、先と同様に、キャビティ内への溶湯飛沫等を抑制し、鋳造部品内への更なるガスの混入を低減させることができる。
さらに本発明に係るダイカスト鋳造装置は、鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に基づいて、鋳造される製品の良否を判定する判定手段を備えることが好ましく、このような積分値に基づいて、射出装置を構成するプランジャとスリーブとのリークを判定するリーク判定手段を備えることが好ましい。
本発明によれば、キャビティ内を減圧して金属溶湯を鋳造する場合において、キャビティ内に流入する金属溶湯の挙動を的確に捉えることにより鋳造される製品の良否を精度良く判定できる。また、この金属溶湯の挙動に基づいてガス混入量が少ない高品質な鋳造品を製造することができると共に、射出装置のリーク等を診断し、メンテナンス時期等を判断することができる。
以下図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は、本発明によるダイカスト鋳造方法を好適に実施することができるダイカスト鋳造装置の装置構成の一例であり、図2は、図1に示す渦流センサの原理を説明するための図であり、図3は、図2に示す渦流センサの出力波形と金属溶湯の挙動との関係を説明するための図であり、図4は、鋳造時における渦流センサの出力波形を示す図である。
図示の例において、ダイカスト鋳造装置1は、主に、金型10、射出装置20、真空ポンプ(吸引排気手段)40、圧力調整バルブ(圧力調整手段)50、モニタリング手段60、制御ユニット70を備えている。
金型10は、固定型11と、図示しない作動装置により固定型11に接離自在に配置される可動型12とからなり、鋳込み時には可動型12と固定型11を合わせて型締めを行い、成形用のキャビティ14が形成される。
また、金型10の下方には、射出装置20が配置されており、該射出装置20は、スリーブ21と、該スリーブ21の内壁と嵌合したプランジャ22と、該プランジャ22に推力を付加すべくプランジャ22に連接された油圧ユニット23と、からなる。さらに、スリーブ21には、金属溶湯Mを供給するための給湯口24が形成されており、スリーブ21は、この給湯口24からスリーブ21内に投入された金属溶湯Mが、湯道13を介して、キャビティ内に射出可能なように金型10の下方に配設されている。尚、図1では、射出装置は、金型の下方に配置されているが、射出装置によりキャビティ内に溶湯が射出できるのであれば特に限定されるものではない。
一方、金型10により形成されたキャビティ14の上方端には、ガス排出口15が設けられており、このガス排出口15は、ガス排出管51を介して真空ポンプ40に接続されている。そして、ガス排出口15の上方近傍の固定型11には、キャビティ内に充填される金属溶湯Mが流出し、ガス排出管51に流入しないように開閉弁52が備えられている。この開閉弁52は、金属溶湯がキャビティ内に略充填されるタイミングに合わせて、閉弁されるようになっている。さらに、ガス排出管51には、キャビティ14から真空ポンプ40へ流れる排気ガスの減圧度を調整する圧力調整弁(圧力調整手段)50が設けられている。
このように構成することにより、鋳造時において、真空ポンプ40は、キャビティ14内のガスを吸引排気しながらキャビティ14内の圧力を減圧し、圧力調整弁50が、キャビティ14から真空ポンプ40へ流れる排気ガスの減圧度を調整することにより、キャビティ14内の減圧度を調整することができる。なお、キャビティ内の圧力は、この圧力調整弁により検出してもよいが別途、圧力検出計をキャビティ内に設置してもよい。
さらに、図2に示すように、ダイカスト鋳造装置1は、金型10の固定型11に、2つの渦流センサ30を備えている。この渦流センサ30は、湯道13の少なくとも一部の空間Sに所定の周波数を有した磁場H(動磁場)を発生させると共に、この空間S内における磁場の周波数を検出するものであって、具体的には、導体コイル31に高周波電源32を接続して、高周波数の交流電流を流すことにより、この空間Sに所定の周波数の磁場Hを発生させるようになっている。一方、この導体コイル31には、周波数検出計33が接続されており、この導体コイル31を検出コイルとして、この空間S内の磁場の周波数を検出するようになっている。尚、この渦流センサ30は、本発明でいう「磁場発生手段」及び「磁場検出手段」に相当する。
このような渦流センサ30を設けることにより、図2に示すように、所定の周波数で磁場Hを湯道13に発生させたときに、該磁場を発生させた湯道13を通過する金属溶湯Mの量に応じてその溶湯表面に渦電流Iが流れ、この渦電流Iにより動磁場の周波数が変化し、該変化から磁場を通過してキャビティ14内に充填される金属溶湯Mのガス巻き込み状態(金属溶湯の状態及びその挙動)をモニタリングすることができる。
このモニタリングをする一例として、この渦流センサ30によって検出された磁場の周波数の信号は、後述する制御ユニット70とモニタリング手段60に出力されようになっている。このモニタリング手段60は、図3に示すように、渦流センサ30により検出された周波数に基づいて、検出された磁場の周波数の変化量を、変化率として表示するように構成されている。具体的には、渦流センサ30によって検出される周波数に基づいて、湯道13にガスの巻き込み無く金属溶湯が充填されている場合には、周波数の変化率を100%とし、湯道に金属溶湯が全く無い場合には、周波数の変化率を0%と校正されて表示されるようになっている。
このようなモニタリング手段60を設けることにより、図3に示すように、射出装置20が、金属溶湯Mを射出して、この金属溶湯Mが渦流センサ30を配置した湯道13を通過する時刻T0を検知でき、さらに、湯道13を通過する金属溶湯Mに応じて、周波数の変化率(変化量)も変わるので、湯道13を通過中の金属溶湯Mにガスが混入しているような場合には、そのガスの混入状態を、検出される周波数の変化率から容易に把握することができる。
すなわち、周波数の変化率が略100%を示している場合(例えば図3に示す時刻T1)には、図3の(a)に示すように、ガスを巻き込んでいない金属溶湯Mが湯道13を通過していることを把握することができる。また、周波数の変化率が減少する(例えば図3に示す時刻T2,T3)と、図3の(b),(c)に示すように、湯道13を通過する金属溶湯にガス巻き込みが増加し、金属溶湯が飛沫へと変化して湯道13を通過することを把握することができる。さらに、周波数の変化率が略0%を示している場合(時刻T4)には、図3の(d)に示すように、湯道13に金属溶湯がほとんど流れていないことを把握することができる。
さらに、この渦流センサ30が検出した磁場の周波数の変化率(変化量)は、そのときの湯道に存在する金属溶湯内のガス巻き込み量に相当するので、鋳造時における時間経過に伴う磁場の周波数の変化率(変化量)を時間積分した値から、キャビティ内に流入したガスの総量を類推することができ、この積分値に基づいて、鋳造される製品の良否を判定してもよい。
例えば、図3に示すように、金属溶湯Mが湯道13を通過したことを渦流センサ30により検知してから、図3の(d)の如く、キャビティ内に金属溶湯Mの代わりにガスのみが充填されるような状態が継続されると、鋳造された製品には、ガスが多量に混入されることになるので、このような値(0%)が検出される時間に合わせて、先の積分値に相当する図3の斜線部の面積Dを求め(簡易的には周波数0%近傍を検出した時間t4を求め)、この面積D(時間)に基づいて鋳造された製品の良否を決定することにより、より精度の良い検出を行うことができる。また、この積分値は、この時間t4における積分値(面積D)と、時間2、時間t3における積分値(面積D2,面積D3)の総和としてもよく、このような積分値を用いることにより、ガスの巻き込み量をより正確に把握し、精度のよい鋳造品の良否判定を行うことができる。
さらに、図4に示すように、金属溶湯Mの流入を検出してから、周波数の変化率が略100%近傍の値にある場合には、鋳造される製品には、ガスがほとんど巻き込んでいないと考えられ、良質の鋳造品が鋳造されたと把握することができる。そして、このような鋳造品の良否の判定としては、鋳造時における時間経過に伴う磁場の周波数の変化量(変化率)を時間積分した値に基づいて、鋳造される製品の良否を判定する判定手段を、後述する制御ユニット70内に設けてもよい。
さらに、渦流センサ30により検出された磁場の周波数は、制御ユニット70にも出力されるようになっている。この制御ユニット70は、射出装置20、真空ポンプ40、圧力調整バルブ50、開閉弁52などの鋳造装置1を構成するハード機器を制御するものであり、演算装置(CPU)、記憶装置(RAM)、入出力ポートを主に備えている(図示せず)。この演算装置において、記憶装置に予め入力された鋳造条件に基づいて、キャビティ内の最適な減圧度調整量や射出速度の調整量など演算し、出力ポートを介して、油圧ユニット23、圧力調整弁50(場合によっては真空ポンプ40)、に制御信号を出力するようになっている。そして、図1に示すように、制御ユニット70(の演算装置)は、減圧調整手段71、射出速度調整手段72、リーク判定手段73、を備えている。
減圧調整手段71は、渦流センサ30が検出した磁場の周波数の変化量に基づいて、真空ポンプ40によって減圧された前記キャビティ14内の圧力の減圧度を調整するものである。具体的には、渦流センサ30が検出した磁場の周波数の変化量に基づいて、圧力調整弁50を作動させることにより、キャビティ14内の圧力の減圧度を調整するようになっている。また、圧力調整弁50を制御せずに、真空ポンプ40を制御することにより、キャビティ14内の圧力の減圧度を調整するようにしてもよい。
そして、この減圧度の調整は、溶湯を射出装置に投入してから、鋳造品が鋳造されるまでの1サイクル内において行われ、この減圧度の調整にあたっては、キャビティの形状、大きさ等に基づいて、その調整方向(キャビティ内をさらに減圧すべきか、または、キャビティ内の圧力を緩めるべきか)、及び、最適な減圧度の調整量が決定される。また、これに代わる調整として、この磁場の周波数の変化により、溶湯のガス巻き込みを検知した場合に、この検出した周波数に基づいて、ガス巻き込みを軽減するように(具体的には鋳造中にはこの磁気の周波数の変化率を100%に維持することができるように)この減圧度をフィードバック制御してもよい。
このように鋳造時におけるガスの巻き込み状態またはその挙動を把握した上で、たとえば、図3に示す時刻T3,時刻T4における変化率(変化量)が出力された場合には、湯道13を通過する金属溶湯Mにガスの巻き込みが多いと判断すると共に、減圧調整手段71は圧力調整弁50を作動させて、キャビティ14内の圧力の減圧度を調整するので、リアルタイムにキャビティ内の金属溶湯の飛沫を軽減することができ、ガスの混入が少ない鋳造品を得ることができる。
また、射出速度調整手段72は、渦流センサ30が検出した磁場の周波数の変化量に基づいて、前記射出装置20の射出速度を調整するものであり、具体的には、油圧ユニット23を制御することにより、プランジャ22の射出速度を調整するようになっている。
そして、この射出速度の調整は、溶湯を射出装置に投入してから、鋳造品が鋳造されるまでの1サイクル内において行われ、この射出速度の調整にあたっては、キャビティの形状、大きさ等に基づいて、その調整方向(射出速度を大きくするか、小さくするか)、及び、最適な射出速度の調整量が決定される。また、これに代わる調整として、この磁場の周波数の変化により、溶湯のガス巻き込みを検知した場合に、この検出した周波数に基づいて、ガス巻き込みを軽減するように(具体的には鋳造中にはこの磁気の周波数の変化率を100%に維持することができるように)この射出速度をフィードバック制御してもよい。
このように鋳造時におけるガスの巻き込み状態またはその挙動を把握した上で、たとえば、図3に示す時刻T3,時刻T4における変化率(変化量)が出力された場合には、湯道13を通過する金属溶湯Mにガスの巻き込みが多いと判断し、射出速度調整手段72は油圧ユニット23を作動させて、金属溶湯の射出速度を調整して、キャビティ14内の金属溶湯の充填速度を調整するので、減圧によるキャビティ内への金属溶湯の先走り等を軽減し、ガスの混入が少ない鋳造品を得ることができる。なお、この減圧調整手段71と射出速度調整手段72とは、同時に機能させてもよい。
また、リーク判定手段73は、鋳造時における時間経過に伴う磁場の周波数の変化率(変化量)を時間積分した値に基づいて、射出装置20を構成するプランジャ22とスリーブ21とのリークを診断するものであり、プランジャ22とスリーブ21とがリークしていると診断された場合には、このリーク判定手段73は、その結果をモニタリング手段60に出力し、モニタリング手段60は、プランジャ22とスリーブ21をメンテナンスすべき旨の警告情報を出力し、表示する。
具体的なリーク診断としては、図3に示すように、鋳造時において継続して磁場の変化率が低い値である場合には、キャビティ内の負圧により、ガスが外気からスリーブ21とプランジャ22の摺動部から流入しているものであると考えられ、この判定基準としては、例えば、所定の時間において、周波数の変化がほとんどない場合はリークしているものと判断される。
上記実施形態係るダイカスト鋳造装置の実施例を以下に示す。
(実施例1)
型締め力800T,キャビティが板状(400mm×100mm×t4mm)となる金型を有したダイカスト鋳造装置(東芝機械DC800CL−T)を用いて、固定型及び可動型を250℃に加熱し、一方で、射出装置において、600℃に加熱したアルミニウム合金(JIS規格:ADC12Z)の金属溶湯10kgを、給湯口からスリーブ内へ投入した後、プランジャが給湯口を塞いだ時点で、真空ポンプを用いて、金型のキャビティ内を400Torrに減圧した。そして、プランジャの射出速度を1m/sにして、この金属溶湯を射出時に、湯道を通過する金属溶湯を渦流センサで検知し、この検知後、0.2msに磁場の周波数に変化がなくなったため(金属溶湯を未検知)、減圧調整手段が圧力調整弁を制御して、キャビティ内の減圧度を調整して圧力を600Torrに下げた。このようにして得られた鋳造品に含まれるガス混入割合を測定した。この結果を以下の表1に示す。
(実施例1)
型締め力800T,キャビティが板状(400mm×100mm×t4mm)となる金型を有したダイカスト鋳造装置(東芝機械DC800CL−T)を用いて、固定型及び可動型を250℃に加熱し、一方で、射出装置において、600℃に加熱したアルミニウム合金(JIS規格:ADC12Z)の金属溶湯10kgを、給湯口からスリーブ内へ投入した後、プランジャが給湯口を塞いだ時点で、真空ポンプを用いて、金型のキャビティ内を400Torrに減圧した。そして、プランジャの射出速度を1m/sにして、この金属溶湯を射出時に、湯道を通過する金属溶湯を渦流センサで検知し、この検知後、0.2msに磁場の周波数に変化がなくなったため(金属溶湯を未検知)、減圧調整手段が圧力調整弁を制御して、キャビティ内の減圧度を調整して圧力を600Torrに下げた。このようにして得られた鋳造品に含まれるガス混入割合を測定した。この結果を以下の表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同じようにして、ダイカスト鋳造を行った。実施例1と異なる点は、渦流センサを用いて圧力調整弁を制御しなかった(減圧度の調整をしなかった)点であり、鋳造中のキャビティ内の圧力は、400Torr一定の状態で鋳造を行った。そして、実施例1と同じようにして鋳造された製品に含まれるガス混入割合を測定した。この結果を以下の表1に示す。
実施例1と同じようにして、ダイカスト鋳造を行った。実施例1と異なる点は、渦流センサを用いて圧力調整弁を制御しなかった(減圧度の調整をしなかった)点であり、鋳造中のキャビティ内の圧力は、400Torr一定の状態で鋳造を行った。そして、実施例1と同じようにして鋳造された製品に含まれるガス混入割合を測定した。この結果を以下の表1に示す。
(結果1)
実施例1の鋳造品は、アルミニウム合金100g中に5ccのガスが混入していたのに対して、比較例1の鋳造品は、アルミニウム合金100g中に30ccガスが混入しており、実施例1の鋳造品は、ガスの混入量が少なかった。
実施例1の鋳造品は、アルミニウム合金100g中に5ccのガスが混入していたのに対して、比較例1の鋳造品は、アルミニウム合金100g中に30ccガスが混入しており、実施例1の鋳造品は、ガスの混入量が少なかった。
(考察1)
この結果1から、鋳造時において、金属溶湯がキャビティまたはスリーブを塞ぎ、減圧側であるキャビティ側と、給湯口側との差圧によりスリーブまたはキャビティ内に大気中のガスが吸い込まれ、その結果金属溶湯にガスが巻き込まれたものであると考えられ、実施例1に示すようにキャビティ内の減圧度を調整することにより、この差圧を低減し、鋳造時にキャビティ内に流入する金属溶湯のガスの巻き込みが抑制されたと考えられる。
この結果1から、鋳造時において、金属溶湯がキャビティまたはスリーブを塞ぎ、減圧側であるキャビティ側と、給湯口側との差圧によりスリーブまたはキャビティ内に大気中のガスが吸い込まれ、その結果金属溶湯にガスが巻き込まれたものであると考えられ、実施例1に示すようにキャビティ内の減圧度を調整することにより、この差圧を低減し、鋳造時にキャビティ内に流入する金属溶湯のガスの巻き込みが抑制されたと考えられる。
(実施例2)
実施例1と同じようにして、ダイカスト鋳造を行った。実施例1と異なる点は、渦流センサを用いて圧力調整弁を調整する代わりに射出速度を調整した点である。具体的には、渦流センサが、金属溶湯を検知して0.3ms後に、磁場の周波数の変化がなくなった(略変化率が0%となった)ため、射出速度調整手段が、プランシャの射出速度を1m/sから0.5m/sとなるように射出装置を制御し、さらに、0.5ms後に、渦流センサが、磁場の周波数が100%となり、溶湯にガス巻き込みがなくなったので、射出速度調整手段が、プランシャの射出速度を1m/sとなるように射出速度を制御した。なお、鋳造中のキャビティ内の圧力は、400Torr一定の状態で鋳造を行った。そして、実施例1と同じようにして鋳造された製品に含まれるガス混入割合を測定した。この結果を以下の表1に示す。
実施例1と同じようにして、ダイカスト鋳造を行った。実施例1と異なる点は、渦流センサを用いて圧力調整弁を調整する代わりに射出速度を調整した点である。具体的には、渦流センサが、金属溶湯を検知して0.3ms後に、磁場の周波数の変化がなくなった(略変化率が0%となった)ため、射出速度調整手段が、プランシャの射出速度を1m/sから0.5m/sとなるように射出装置を制御し、さらに、0.5ms後に、渦流センサが、磁場の周波数が100%となり、溶湯にガス巻き込みがなくなったので、射出速度調整手段が、プランシャの射出速度を1m/sとなるように射出速度を制御した。なお、鋳造中のキャビティ内の圧力は、400Torr一定の状態で鋳造を行った。そして、実施例1と同じようにして鋳造された製品に含まれるガス混入割合を測定した。この結果を以下の表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同じようにして、ダイカスト鋳造を行った。実施例1と異なる点は、渦流センサを用いて射出速度を制御しなかった点であり、鋳造中の射出速度を、1m/s一定として鋳造を行った。そして、実施例1と同じようにして鋳造された製品に含まれるガス混入割合を測定した。この結果を以下の表1に示す。
実施例1と同じようにして、ダイカスト鋳造を行った。実施例1と異なる点は、渦流センサを用いて射出速度を制御しなかった点であり、鋳造中の射出速度を、1m/s一定として鋳造を行った。そして、実施例1と同じようにして鋳造された製品に含まれるガス混入割合を測定した。この結果を以下の表1に示す。
(結果2)
実施例2の鋳造品は、アルミニウム合金100g中に8ccのガスが混入していたのに対して、比較例2の鋳造品は、アルミニウム合金100g中に40ccガスが混入しており、実施例2の鋳造品は、ガスの混入量が少なかった。
実施例2の鋳造品は、アルミニウム合金100g中に8ccのガスが混入していたのに対して、比較例2の鋳造品は、アルミニウム合金100g中に40ccガスが混入しており、実施例2の鋳造品は、ガスの混入量が少なかった。
(考察2)
この結果2から、鋳造時において、金属溶湯がキャビティまたはスリーブを塞ぎ、減圧側であるキャビティ側と、給湯口側との差圧によりスリーブまたはキャビティ内に大気中のガスが吸い込まれ、その結果金属溶湯にガスが巻き込まれたものであると考えられ、実施例2に示すように射出速度を遅くすることにより、キャビティ内の減圧による金属溶湯の先走りを軽減し、鋳造時にキャビティ内に流入する金属溶湯のガスの巻き込みが低減されたと考えられる。
この結果2から、鋳造時において、金属溶湯がキャビティまたはスリーブを塞ぎ、減圧側であるキャビティ側と、給湯口側との差圧によりスリーブまたはキャビティ内に大気中のガスが吸い込まれ、その結果金属溶湯にガスが巻き込まれたものであると考えられ、実施例2に示すように射出速度を遅くすることにより、キャビティ内の減圧による金属溶湯の先走りを軽減し、鋳造時にキャビティ内に流入する金属溶湯のガスの巻き込みが低減されたと考えられる。
(実施例3)
実施例1と同じようにして、ダイカスト鋳造を繰り返し行った。実施例1と異なる点は、渦流センサを用いて、リーク判定を行った点である。具体的には、湯道を通過する金属溶湯を渦流センサで検知し、断続的に検知、未検知(変化率0%)を繰り返し、未検値が計10ms(上記実施形態でいうところの鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に相当)となった時点で、プランジャとスリーブとがリークしてプランジャを交換する時期であると判定(リーク判定)し、このプランジャを交換後、同じようにダイカスト鋳造を行った。そして、本鋳造を開始からプランジャ交換時期と判定するまでに製造された鋳造品及びプランジャ交換後の鋳造品のガス混入割合を測定した。
実施例1と同じようにして、ダイカスト鋳造を繰り返し行った。実施例1と異なる点は、渦流センサを用いて、リーク判定を行った点である。具体的には、湯道を通過する金属溶湯を渦流センサで検知し、断続的に検知、未検知(変化率0%)を繰り返し、未検値が計10ms(上記実施形態でいうところの鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に相当)となった時点で、プランジャとスリーブとがリークしてプランジャを交換する時期であると判定(リーク判定)し、このプランジャを交換後、同じようにダイカスト鋳造を行った。そして、本鋳造を開始からプランジャ交換時期と判定するまでに製造された鋳造品及びプランジャ交換後の鋳造品のガス混入割合を測定した。
(結果3)
鋳造初期の状態では、アルミニウム合金100g中に5ccのガスが混入していたが、その値が次第に増加し、プランジャ交換と判定される時点における鋳造品には、アルミニウム合金100g中に10ccのガスが混入していた。さらに、プランジャ交換後の鋳造品の
アルミニウム合金100g中に5ccのガスが混入していた。
鋳造初期の状態では、アルミニウム合金100g中に5ccのガスが混入していたが、その値が次第に増加し、プランジャ交換と判定される時点における鋳造品には、アルミニウム合金100g中に10ccのガスが混入していた。さらに、プランジャ交換後の鋳造品の
アルミニウム合金100g中に5ccのガスが混入していた。
(考察3)
この結果3より、減圧側であるキャビティ側と給湯口側との差圧により大気中のガスを吸い込みにより発生するプランジャとスリープとのリークが、鋳造品のガス混入割合に依存していると考えられ、センサ未検知時間の総計(磁場の周波数の変化量を時間積分した値)から製品のガス混入割合を類推し品質管理を行うことができ、さらに、この割合の許容値に従って、プランシャのメンテナンス時期を決定する、コンディションベースのメンテナンス(CBM)を行うことができる。
この結果3より、減圧側であるキャビティ側と給湯口側との差圧により大気中のガスを吸い込みにより発生するプランジャとスリープとのリークが、鋳造品のガス混入割合に依存していると考えられ、センサ未検知時間の総計(磁場の周波数の変化量を時間積分した値)から製品のガス混入割合を類推し品質管理を行うことができ、さらに、この割合の許容値に従って、プランシャのメンテナンス時期を決定する、コンディションベースのメンテナンス(CBM)を行うことができる。
以上のように本発明に係る実施形態を示したが、本実施形態では、湯道を形成する固定型に、湯流れの方向に沿って、2つの渦流センサを設けたが、この渦流センサの個数は、特に限定されるものではなく、さらに、この渦流センサの配置箇所は、湯道を形成する固定型だけでなく、湯道近傍のキャビティの少なくとも一部の空間であっても、キャビティ内に充填される金属溶湯の状態及び挙動を把握することはできる。
さらに、この渦流センサは、磁場を発生させる磁場発生手段と、磁場の周波数を検出する磁場検出手段とを兼ね備えたものであったが、磁場を発生させる発生コイルと、磁場を検出する検出コイルとを分離して設けても同様の効果が得られることは、当業者であれば、容易に相到することができるであろう。
本実施形態では、金属溶湯としては、アルミニウム合金を使用したが、金属結合を有した材料であり、磁場を通過したときに電流が流れるものであれば、これに限定されるものではない。
また、実施例において、実施例1では、減圧調整として、キャビティ内の圧力の減圧度を下げる(圧力を大気圧に近づけるように圧力を上げる)ように圧力調整弁を調整し、実施例2では、射出速度を小さくするように調整したが、これは、一例であり、キャビティの大きさ及び形状によって、その減圧度を大きくする(さらに減圧する)ように調整したり、射出速度を大きくするように調整することにより、鋳造品のガスの混入を抑制することができ、さらにこの減圧度と射出速度の大きさも、キャビティの大きさ及び形状によって決定されることは、当業者であれば、容易に相到することができるであろう。
1:鋳造装置,10:金型,11:固定型,12:可動型,13:湯道,14:キャビティ,15:排出口,20:射出装置,21:スリーブ,22:プランジャ,23:油圧ユニット,24:給湯口,30:渦流センサ(磁場発生手段と磁場検出手段),40:真空ポンプ(吸引排気手段),50:圧力調整弁(圧力調整手段),51:排出管,52:開閉弁,60:モニタリング手段,70:制御ユニット,71:減圧調整手段,72:射出速度調整手段,73:判定手段,D,D2,D3:面積(周波数の変化量を時間積分した値),H:磁場,I:渦電流,M:金属溶湯,S:空間
Claims (11)
- 金型に形成されたキャビティ内のガスを排気しながらキャビティ内の圧力を減圧すると共に、射出装置から金属溶湯を射出して湯道を介して前記キャビティ内に前記金属溶湯を充填するダイカスト鋳造方法であって、
該鋳造方法は、湯道または湯道近傍のキャビティの少なくとも一部の空間に所定の周波数を有した磁場を発生させると共に該空間内の磁場の周波数を検出し、該検出した磁場の周波数の変化によりキャビティ内に充填される金属溶湯のガス巻き込みをモニタリングしながら、キャビティ内に前記金属溶湯を充填することを特徴とするダイカスト鋳造方法。 - 前記磁場の周波数の変化量に基づいて、前記キャビティ内の減圧度を調整することを特徴とする請求項1に記載のダイカスト鋳造方法。
- 前記磁場の周波数の変化量に基づいて、前記射出装置の射出速度を調整することを特徴とする請求項1または2に記載のダイカスト鋳造方法。
- 鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に基づいて、鋳造される製品の良否を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイカスト鋳造方法。
- 鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に基づいて、射出装置を構成するプランジャとスリーブとのリークを診断することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダイカスト鋳造方法。
- 金型に形成されたキャビティ内のガスを排気しながらキャビティ内の圧力を減圧すると共に、射出装置から金属溶湯を射出して湯道を介して前記キャビティ内に前記金属溶湯を充填させるようにしたダイカスト鋳造装置であって、
該鋳造装置は、湯道または湯道近傍のキャビティの少なくとも一部の空間に所定の周波数を有した磁場を発生させる磁場発生手段と、前記空間内における磁場の周波数を検出する磁場検出手段と、を少なくとも備えることを特徴とするダイカスト鋳造装置。 - 前記ダイカスト鋳造装置は、該磁場検出手段が検出した磁場の周波数の変化量に基づいて前記キャビティ内の減圧度を調整する減圧調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のダイカスト鋳造装置。
- 前記ダイカスト鋳造装置は、キャビティ内のガスを吸引排気する吸引排気手段と、キャビティから吸引排気手段へ流れる排気ガスの減圧度を調整する圧力調整手段と、を備えており、前記減圧調整手段は、圧力調整手段を作動させることによりキャビティ内の減圧度を調整することを特徴とする請求項7に記載のダイカスト鋳造装置。
- 前記ダイカスト鋳造装置は、前記磁場検出手段が検出した磁場の周波数の変化量に基づいて、前記射出装置の射出速度を調整する射出速度調整手段を備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のダイカスト鋳造装置。
- 鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に基づいて、鋳造される製品の良否を判定する判定手段を備えることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のダイカスト鋳造装置。
- 前記ダイカスト鋳造装置は、鋳造時における時間経過に伴う前記磁場の周波数の変化量を時間積分した値に基づいて、射出装置を構成するプランジャとスリーブとのリークを判定するリーク判定手段を備えることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のダイカスト鋳造装置。
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JP2005306036A JP2007111743A (ja) | 2005-10-20 | 2005-10-20 | ダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法 |
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CN112170811A (zh) * | 2020-09-21 | 2021-01-05 | 滁州市共赢汽车配件有限公司 | 一种离合器压盘盖挤压铸造设备 |
CN114247868A (zh) * | 2021-12-30 | 2022-03-29 | 广东富盛达智能科技有限公司 | 一种手机中框等速降温压铸模具 |
-
2005
- 2005-10-20 JP JP2005306036A patent/JP2007111743A/ja not_active Withdrawn
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