JP4211065B2 - 粉体貯蔵容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内部に粉体が貯蔵されて下部からこの粉体が外部に供給される粉体貯蔵容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から例えばポリオレフィン製造プラント等においては、安定剤であるステアリン酸カルシウム等の粉体が、粉体貯蔵容器に貯蔵され、この粉体貯蔵容器の下部から粉体が順次気流輸送されるようになっている。
【0003】
かかる粉体の安息角が大きく、流動性の悪い場合等には、粉体貯蔵容器にこの粉体を貯蔵した状態で、粉体圧によって、いわゆるブロッキングを起こしやすく、気流輸送による供給が途切れることがある。
【0004】
この場合には、粉体の輸送工程が、モーノポンプのように粉体を輸送力伝達の媒体としている場合には、粉体供給が途切れると配管内の沈積により配管詰まりを生じるという不都合が生じていた。
【0005】
この対策として、粉体貯蔵容器の側壁部の角度を大きくして、鉛直方向に近づけたり、その側壁部を鏡面仕上げしたり、粉体貯蔵容器の下部の抜出し開口を大きくしたり、撹拌機を設置したり、又、側壁部にオートノッカーを設置したり、様々な工夫がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように従来のものにあっては、粉体貯蔵容器からの粉体の供給が途切れるのを防止するため、上記のような種々の方法が採用されているが、粉体の安息角が40°を越えるような粉体に対しては、不十分であり、依然として粉体貯蔵容器内で粉体圧により、いわゆるブロッキングを起こす虞がある。
【0007】
そこで、この発明は、ブロッキングを起こさず、外部に安定して粉体を供給できる粉体貯蔵容器を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、内部に粉体が貯蔵されて下部から該粉体を外部に供給する粉体貯蔵容器において、該粉体貯蔵容器は大型の上側ホッパーと小型の下側ホッパーとの上下二段に構成され、前記上側ホッパー内には、円錐形状を呈し、上下動自在に駆動されると共に、振動するように構成されたバルブが設けられ、該バルブが上昇させられて開くと、前記粉体が前記上側ホッパーから前記下側ホッパーへ供給されると共に、前記下側ホッパーには、内部の粉体量を検出する上限レベルセンサーと、該上限レベルセンサーよりも下側に設けられた、前記内部の粉体量を検出する下限レベルセンサーとが配設され、前記上側ホッパーから前記粉体が流入して前記上限レベルセンサーまで達すると、該上限レベルセンサーからの信号により、前記バルブが閉じて前記上側ホッパーから前記下側ホッパーへの前記粉体の流入が停止されるように構成されると共に、前記内部の粉体の量が減少して前記下限レベルセンサーまで達すると、該下限レベルセンサーからの信号により、前記バルブが振動しながら上昇させられて、前記バルブが開いて前記上側ホッパーから前記下側ホッパーに前記粉体が流入されるように構成し、前記下側ホッパーの側壁部における前記上限レベルセンサーと前記下限レベルセンサーとの間の上下方向位置に開口部を形成し、該開口部を分散部材で閉成し、該分散部材の略全面に形成された微細孔から前記下側ホッパーの内部に気体を噴射させるように設定したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記分散部材は、前記下側ホッパーの側壁部の周囲に複数配設され、該各分散部材から前記下側ホッパーの内部に噴射された気体が衝突して、上方に吹き上げられるように設定したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記下側ホッパーは、底面を上にした略四角錐形状を呈し、4面の各側壁部に亘って、前記分散部材が配設されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記下側ホッパーは、底面を上にした略円錐形状を呈し、側壁部に亘って、前記分散部材が配設されたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0013】
[発明の実施の形態1]
図1乃至図6には、この発明の実施の形態1を示す。
【0014】
まず構成について説明すると、図2中符号1は大型の上側ホッパーで、この上側ホッパー1の下側には、この発明の「粉体貯蔵容器」としての小型の下側ホッパー2が配設されている。
【0015】
これらホッパー1,2は、この実施の形態では、ポリオレフィン製造プラント中に配設され、これらホッパー1,2内に、安定剤である例えばステアリン酸カルシウム等の粉体が貯蔵され、下側ホッパー2の下部からこの粉体が順次気流輸送されるようになっている。
【0016】
詳しくは、上側ホッパー1は、下部に逆円錐形状を呈するコニカル部1aが形成され、このコニカル部1a内には、円錐形状のバルブ3が配設され、このバルブ3は上下動自在に移動すると共に、振動するように設計されている。これにより、バルブ3が上昇したとき粉体が下側ホッパー2に供給されると共に、このバルブ3が振動されることにより、粉体のブロッキングが防止されるようになっている。
【0017】
また、下側ホッパー2は、略四角錐形状を呈し、上部が前記上側ホッパー1に接続されて上側ホッパー1から粉体が流入されるようになっており、この下側ホッパー2には、粉体の量を検出する上限レベルセンサー4及び下限レベルセンサー5が配設されている。上側ホッパー1から下側ホッパー2に粉体が流入して上限レベルセンサー4まで達すると、このセンサー4からの信号により、前記バルブ3が締となり上側ホッパー1からの粉体の流入が停止するようになっている。又、この下側ホッパー2の下部からは、後述するように粉体が順次供給されるようになっており、粉体の量が減少して下限レベルセンサ5まで達すると、このセンサー5からの信号により、前記バルブ3が開となり、上側ホッパー1から下側ホッパー2に粉体が流入されるようになっている。
【0018】
また、この下側ホッパー2の4面の側壁部6には、図5及び図6に示すように、開口部6aが形成され、この開口部6aを閉成するように「分散部材」としての焼結金属板7が固定されている。この焼結金属板7は、微細な多孔を有し、この孔を介して容器内に気体が流通するように設計されている。さらに、この側壁部6の外面側には、その燒結金属板7を覆うようにカバー部材8が装着されて気体供給室9が形成され、このカバー部材8に気体供給室9に臨む気体供給管10が接続されている。この気体供給管10を介して窒素ガスが気体供給室9内に供給されるようになっている。この気体供給管10の途中には、図1及び図5に示すように、この気体供給管10の窒素ガス流量を調整する手動調節弁11及び流量を検出する流量計12が設けられている。
【0019】
さらに、この下側ホッパー2の下部側には、図3及び図4に示すように、モーター13により回転する回転軸14が設けられ、この回転軸14から多数の撹拌棒15が突設されている。この回転軸14を回転させることにより、撹拌棒15にて粉体を撹拌するようにしている。
【0020】
さらにまた、この下側には、輸送パイプ16が設けられ、この輸送パイプ16内には、下側ホッパー2内の粉体を輸送するスクリュー17がモーター18により回転自在に設けられている。しかも、この輸送パイプ16には、ガス吹き込みパイプ19が接続され、このガス吹き込みパイプ19から窒素ガスが送られることにより、スクリュー17にて押し出された粉体が矢印方向に気流輸送されるようになっている。
【0021】
なお、図3及び図4中符号20はガス抜き部である。
【0022】
次に、作用について説明する。
【0023】
常時、スクリュー17がモータ18にて回転されることにより、下側ホッパー2内の粉体が図3中左方に向けて送られると共に、ガス吹き込みパイプ19を介して窒素ガスが送り込まれることにより、矢印方向に粉体が順次気流輸送される。そして、この下側ホッパー2内の粉体の量が減少し、下限レベルセンサ5により下限が検出されると、バルブ3が振動しながら上昇させられる。これにより、上側ホッパー1内の粉体が下側ホッパー2内に落下して供給され、この下側ホッパー2内の粉体の量が増加して上限レベルセンサ4により上限が検出されると、バルブ3が下降して、上側ホッパー1から下側ホッパー2への粉体の供給が停止される。この間においても気流輸送は継続している。
【0024】
かかる動作中、上側ホッパー1内では、バルブ3の振動等により、粉体のいわゆるブロッキングが発生し難いが、下側ホッパー2内では、従来においてはブロッキングが発生し易かった。しかし、この発明により、かかる不都合は以下のように解消された。
【0025】
すなわち、気流供給管10を介して窒素ガスが気体供給室9に供給されると、焼結金属板7の全面に形成された多数の微細孔から下側ホッパー2内に噴射される。この焼結金属板7は四方に配設されて、各焼結金属板7が対向しているため、各燒結金属板7から均一に噴射された窒素ガスは、図1中矢印に示すように、下側ホッパー2内の略中央部で衝突した後、その窒素ガスが上方に吹き上げられることとなる。これにより、粉体全体が気体を巻き込み、流動化することにより、従来のようなブロッキングが防止され、更に、この下側に設けられた撹拌棒15で撹拌することにより、途切れることなく、スクリュー17まで粉体が供給されて、気流輸送が可能となる。
【0026】
このように、焼結金属板7の広い範囲から窒素ガスを均一に噴射させることにより、一ヶ所に集中して噴射させるものと比較すると、撹拌性能を向上させることができる。すなわち、一ヶ所に集中して噴射させると、その噴射した部分だけ、ラットホールと呼ばれる空洞を生じ、ブロッキングを解消できない。これに対して、この発明のように、広い範囲から窒素ガスを均一に噴射させると、ラットホールが生じることがなく、ブロッキングを前者より解消することができる。
【0027】
また、各燒結金属板7から噴射された窒素ガスが中央部で衝突して上方に吹き上げられるようになっているため、より窒素ガスの拡散性能を向上させることができる結果、粉体全体を良好に流動化出来る。
【0028】
さらに、各気体供給管10には、流量計12が設けられており、この流量計12にて、窒素ガスの流量を検出することにより、手動調節弁11を均一に調整することにより、粉体中への窒素ガス拡散を良好とし、粉体の流動性を確保することができる。すなわち、ブロッキングが生じ易い箇所が各側壁部6の内の特定の側壁部6に偏っている場合には、この特定の側壁部6から噴射される窒素ガス量を多くするように手動調節弁11を調整する。また、各側壁部6からの窒素ガスの噴射量を均等にした方がブロッキングを生じ難い場合には、手動調節弁11をそのように調整する。換言すれば、試験により、ブロッキングが生じ難い噴射量を予め測定し、この測定値に合うように各手動調節弁11を調整する。勿論、手動調節弁11の代わりに、自動で流量を調整することもできる。
【0029】
しかも、噴射する気体として窒素ガスを用いることにより、安定剤等の粉体の酸化劣化を防止することができる。
【0030】
[発明の実施の形態2]
図7には、この発明の実施の形態2を示す。
【0031】
上記実施の形態1の下側ホッパー2は、水平断面が四角形であるのに対し、この実施の形態2の下側ホッパー22は、水平断面が円形である。この下側ホッパー22の側壁部23には、開口部23aが三ヶ所、等間隔に形成されている。そして、この開口部23aを閉成するように湾曲した燒結金属板24が配設され、この燒結金属板24を覆うようにカバー部材25が配設され、更に、このカバー部材25に気体供給管26が接続されている。
【0032】
このようなものにおいて、各焼結金属板24から噴射された窒素ガスは、下側ホッパー22の中心部に向けて進行し、中央部で衝突して上方に向けて吹き上げられる。これにより、窒素ガスの拡散が良好となり、十分な粉体の流動性が確保されることとなる。
【0033】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0034】
なお、上記各実施の形態では、「分散部材」として燒結金属板7,24を用いたが、これに限らず、広い範囲から分散して気体を噴射できるような構造のものであれば、布、金網、多孔板、格子板等、如何なるものでも良い。
【0035】
また、上記各実施の形態では、ポリオレフィン製造プラントに用いられている下側ホッパー2,22に、この発明を適用したが、これに限らず、他のプラント等でも良いし、又、この実施の形態のように上下に2段のホッパーを有しているものでなくても、ホッパーが一つのものにも適用できることは勿論である。しかも、「粉体」も安定剤に限られるものでない。
【0036】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、粉体貯蔵容器の下側ホッパーの側壁部に開口部を形成し、この開口部に拡散部材を配設し、この分散部材の略全面に形成された微細孔から内部に気体を噴射させるようにしたため、広い範囲から気体を噴射することにより、気体の拡散性が良く、粉体の十分な流動性を確保できる結果、いわゆるブロッキングを生じることなく、粉体を外部に安定して供給できる
また、上側ホッパーの下部コニカル部のバルブは円錐形状を呈し、上下動自在に駆動されると共に、振動するようにしたため、上側ホッパーでのブロッキングが発生し難い。
さらに、下側ホッパー内部の粉体量が上限レベルセンサー位置になると粉体の流入が停止するので、下側ホッパー内の粉体上部には空隙が常時存在し、上方に吹き上げられた気体の逃げ場ができ、気体の拡散性をより向上させることができる。
【0037】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、前記分散部材は、前記下側ホッパーの前記側壁部の周囲に複数配設され、該各分散部材から内部に噴射された気体が衝突して上方に吹き上げられるように設定したため、より一層、気体の拡散性を向上させることができる。
【0038】
請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は2に記載の効果に加え、底面を上にした略四角錐形状を呈し、4面の各側壁部に亘って設けられた分散部材の広い範囲から気体を噴射できるため、気体の拡散性をより向上させることができる。
請求項4に記載された発明によれば、請求項1又は2に記載の構成に加え、底面を上にした略円錐形状を呈し、側壁部に亘って設けられた分散部材の広い範囲から気体を噴射できるため、気体の拡散性をより向上させることができる。
【0039】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れか一つに記載の効果に加え、複数の分散部材から噴射される気体の流量を、各々独立して調整可能としたため、粉体の性質等に応じてブロッキングが発生し易い状態を把握することにより、例えば、ブロッキングの発生し易い側の流量を多くしたりすることができ、ブロッキングが発生し難いように制御することができる、という実用上有益な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る下側ホッパーを示す概略図である。
【図2】同実施の形態1に係る下側ホッパー及び上側ホッパー等を示す概略図である。
【図3】同実施の形態1に係る下側ホッパーを示す正面図である。
【図4】同実施の形態1に係る図3の左側面図である。
【図5】同実施の形態1に係る図3のA−A線に沿う断面図である。
【図6】同実施の形態1に係る図3のBーB線に沿う断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2を示す水平方向に沿う断面図である。
【符号の説明】
2,22 下側ホッパー(粉体貯蔵容器)
6,23 側壁部
6a,23a 開口部
7,24 焼結金属板(分散部材)
Claims (5)
- 内部に粉体が貯蔵されて下部から該粉体を外部に供給する粉体貯蔵容器において、該粉体貯蔵容器は大型の上側ホッパーと小型の下側ホッパーとの上下二段に構成され、
前記上側ホッパー内には、円錐形状を呈し、上下動自在に駆動されると共に、振動するように構成されたバルブが設けられ、
該バルブが上昇させられて開くと、前記粉体が前記上側ホッパーから前記下側ホッパーへ供給されると共に、
前記下側ホッパーには、内部の粉体量を検出する上限レベルセンサーと、該上限レベルセンサーよりも下側に設けられた、前記内部の粉体量を検出する下限レベルセンサーとが配設され、前記上側ホッパーから前記粉体が流入して前記上限レベルセンサーまで達すると、該上限レベルセンサーからの信号により、前記バルブが閉じて前記上側ホッパーから前記下側ホッパーへの前記粉体の流入が停止されるように構成されると共に、前記内部の粉体の量が減少して前記下限レベルセンサーまで達すると、該下限レベルセンサーからの信号により、前記バルブが振動しながら上昇させられて、前記バルブが開いて前記上側ホッパーから前記下側ホッパーに前記粉体が流入されるように構成し、
前記下側ホッパーの側壁部における前記上限レベルセンサーと前記下限レベルセンサーとの間の上下方向位置に開口部を形成し、該開口部を分散部材で閉成し、該分散部材の略全面に形成された微細孔から前記下側ホッパーの内部に気体を噴射させるように設定したことを特徴とする粉体貯蔵容器。 - 前記分散部材は、前記下側ホッパーの側壁部の周囲に複数配設され、該各分散部材から前記下側ホッパーの内部に噴射された気体が衝突して、上方に吹き上げられるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の粉体貯蔵容器。
- 前記下側ホッパーは、底面を上にした略四角錐形状を呈し、4面の各側壁部に亘って、前記分散部材が配設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体貯蔵容器。
- 前記下側ホッパーは、底面を上にした略円錐形状を呈し、側壁部に亘って、前記分散部材が配設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体貯蔵容器。
- 複数の前記分散部材から噴射される気体の流量を、各々独立して制御可能としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の粉体貯蔵容器。
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JPH10147396A JPH10147396A (ja) | 1998-06-02 |
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- 1996-11-16 JP JP32114596A patent/JP4211065B2/ja not_active Expired - Fee Related
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