JP4210849B2 - 加硫接着剤および複合成形体 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、加硫接着剤および複合成形体に関し、さらに詳しくは、環境問題の原因となる塩素化ゴムを用いなくても、ゴム部材と金属などの他の部材との接着力に優れる加硫接着剤、および該加硫接着剤を用いて加硫接着された複合成形体に関する。
背景技術
天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体ゴム等のゴム部材と金属等の他の部材との接着には、従来から加硫接着剤が使用されている。
ゴム部材と金属とを接着する加硫接着剤としては、ベースポリマーとして塩素化ポリオレフィン、塩素化天然ゴム等の塩素化ゴムを、架橋剤として芳香族ニトロソ化合物、芳香族ジオキシム化合物、脂肪族ビスニトロソアミン化合物等を含有するものが知られている。しかしながら、このような加硫接着剤を使用すると、製造時や製品を焼却処理する際に、塩素化ゴムの塩素原子が環境汚染の原因となる問題がある。
また、上記のような加硫接着剤は、通常、ビスフェノールA型フェノール樹脂又はビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノールA型樹脂を含有するプライマーを組み合わせて使用される。しかしながら、このようなプライマーは、環境ホルモンと呼ばれる環境外乱物質である遊離のビスフェノールAを含有し、多用すると人体へ悪影響を与える問題がある。
遊離のビスフェノールAを含有しないように、ビスフェノールA型樹脂に代えてアルキル置換フェノール樹脂を含有するプライマーを用いる方法が提案されている(特開2001−11366号公報)。このようなプライマーを用いることで、遊離のビスフェノールAに起因する問題は解決できるものの、加硫接着剤のベースポリマーとしては塩素化ゴムが使用されるため、塩素化ゴム中の塩素原子に起因する問題を解決できていない。
本発明の目的は、環境問題の原因となる塩素化ゴムを用いなくても、ゴム部材と金属などの他の部材との接着力に優れる加硫接着剤および該加硫接着剤を用いて加硫接着された複合成形体を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、共役ジエン重合体の環化物に無水マレイン酸を付加反応させて得られる変性環化重合体をベースポリマーとして用いると、塩素原子を含有せず、ゴム部材と金属との接着力に優れる加硫接着剤が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに到った。
かくして本発明によれば、共役ジエン重合体(a)の環化物(A)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加反応生成物である変性環化重合体(C1)、または、共役ジエン重合体(a)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加反応生成物の環化物である変性環化重合体(C2)であって、環化率が30〜95%、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量が0.1〜20重量%である変性環化重合体(C)を有効成分として含有してなる加硫接着剤が提供される。
また、本発明によれば、ゴム部材と他の部材とを前記の加硫接着剤を用いて加硫接着してなる複合成形体が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の加硫接着剤及び複合成形体を詳細に説明する。
(加硫接着剤)
本発明で用いる変性環化重合体(C)は、共役ジエン重合体(a)の環化物(A)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加反応生成物である変性環化重合体(C1)、または、共役ジエン重合体(a)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加反応生成物の環化物である変性環化重合体(C2)であって、環化率が30〜95%、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量が0.1〜20重量%のものである。なかでも、変性環化重合体(C1)が好ましく使用できる。
共役ジエン重合体(a)の環化物(A)(以下、単に「環化物(A)」という場合がある。)は、共役ジエン重合体(a)(以下、単に「重合体(a)」という場合がある。)を環化反応させることによって得ることができる。共役ジエン重合体(a)としては、天然ゴムおよび公知の方法により共役ジエン単量体を重合して得られるものを使用することができる。
共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。なかでも、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、イソプレンがより好ましく使用できる。
重合体(a)中の共役ジエン単量体単位含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
また、重合体(a)としては、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲であれば、共役ジエン単量体と、共役ジエン単量体と共重合可能な他の単量体とを共重合して得られる共重合体を使用することもできる。
共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−フェニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−メトキシメチルスチレン、4−tert−ブトキシスチレン、2−クロロ−4−メチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N−ビニルピロリドン等の芳香族ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系化合物;等が挙げられる。これらの中でも、芳香族ビニル化合物が好ましく、スチレンおよびα−メチルスチレンがより好ましく使用できる。
重合体(a)の重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)法で測定し、標準ポリスチレンに換算した値で、通常,10,000〜800,000、好ましくは50,000〜500,000、より好ましくは80,000〜400,000の範囲である。重量平均分子量が小さすぎると、加硫接着剤のゴム部材の表面又は他の部材の表面に対する接着性が劣る場合があり、逆に大きすぎると変性環化重合体(C)の粘度が高くなるため、加硫接着剤中に均一に分散または溶解させにくい場合がある。
重合体(a)の環化物(A)は、環化触媒の存在下に、重合体(a)を内部環化反応させる公知の方法により製造することができる。例えば、重合体(a)を得る重合反応が終了した後の反応液に所定量の環化触媒を加えることにより、重合体(a)を内部環化反応させればよい。
環化触媒としては、例えば、硫酸;フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、これらの無水物及びエステル化物等の有機スルホン酸化合物;四塩化スズ、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化第二鉄等の金属ハロゲン化物類;エチルアルミニウムジクロライド/ベンジルクロライドのようなアルキルアルミニウムハライド/ハロゲン化炭化水素;等が挙げられる。
環化触媒は、重合体(a)と不活性溶媒中で接触させることが好ましい。環化触媒の使用量は、使用する重合体(a)の構造、使用する触媒の種類、目標とする環化率、環化反応条件等により異なるが、共役ジエン重合体の共役ジエン単量体単位1モル当たり、好ましくは0.01〜5モル%である。
不活性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の飽和炭化水素系溶剤;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶剤;等を使用できる。これらの中でも、沸点が70℃以上の炭化水素系溶剤が好ましく使用できる。
重合体(a)の環化物(A)の環化率(%)は、環化反応前の重合体(a)中の共役ジエン単位が有する二重結合量に対する,環化反応後に残存する共役ジエン単位が有する二重結合量の割合である。
Manfred Gordonら、Industrial and Engineering Chemistry,Vol.43,No.2,P386(1951)、Yasuyuki Tanakaら,J.Polymer Science:Polymer Chemical Edition,Vol.17,P3027(1979)等に記載の方法により、重合体(a)の共役ジエン単位の二重結合量とその環化物(A)の共役ジエン単位の二重結合量をプロトンNMRで測定することで求めることができる。
環化物(A)の環化率は30〜95%、好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜85%である。環化率が小さすぎても、大きすぎても、加硫接着剤のゴム部材の表面及び他の部材の表面に対する接着性に劣る。
本発明に用いられる変性環化重合体(C1)は、前記の環化物(A)にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を付加反応させたものである。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸等を使用できる。なかでも、無水マレイン酸が好ましく使用できる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を付加させることにより、加硫接着剤と金属等の他の部材との接着性を強固なものとすることができる。
環化物(A)にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を付加させる方法は特に限定されず、一般的なエン付加反応やグラフト重合させる方法を採用できる。エン付加反応やグラフト重合は、溶液中、水分散液中又は固相中で行なうことができる。なかでも、溶液中でエン付加させる方法が好ましい。
付加反応は、環化反応液中にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を添加して行なうことができるが、環化反応液から環化物(A)を粗精製又は精製した後、その粗精製物又は精製物にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を添加して行なうこともできる。
また、付加反応させる場合には、反応を促進するためにラジカル発生剤を使用することができる。用いられるラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシドベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレートのごときパーオキシド類;アゾビスイソブチロニトリルのごときアゾニトリル類;等が挙げられる。
変性環化重合体(C1)中のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量は0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.3〜5重量%である。この付加量が少ないと、ゴム部材と金属部材との接着性に劣る。この付加量が多い変性環化重合体の製造は困難である上に、付加量が多い変性環化重合体を含有する加硫接着剤を用いて、加硫接着した後の複合成形体を、水に浸漬した場合に接着性が低下する場合がある。
変性環化重合体(C1)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量を求める方法としては、付加反応前後における重合体の重量変化から重量増加量を直接測定し、付加反応前の環化物(A)の重量に対する付加反応による重量増加の割合を求める方法や、後述する変性環化重合体(C)の酸価および赤外吸収スペクトル分析からα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量を計算して求める方法が挙げられる。
環化物(A)にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を付加させた場合、反応工程や重合体を取得する工程において、水の存在によって酸無水物基が加水分解してジカルボキシル基になる場合がある。
変性環化重合体(C1)において、付加により重合体に結合したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)中、加水分解されずに残存する酸無水物基を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(I)、および加水分解して形成されたα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸(II)の総量に対する(I)の割合(以下、「酸無水物基含有率」ともいう。)は60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。
この酸無水物基含有率が高い変性環化重合体(C)を含有する加硫接着剤は、ゴム部材と金属部材との接着性により優れている。
前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量および酸無水物基含有率は、例えば、次の(1)〜(6)の方法により求めることができる。
(1)環化物(A)及び変性環化重合体(C1)の酸価を滴定により求め、その酸価の差から、付加したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)中の全酸無水物基が加水分解されたものとして仮定して、付加したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)の加水分解物量(X’)を重量基準で算出する。
(2)環化物(A)及び変性環化重合体(C1)の赤外吸収スペクトルをそれぞれ測定し、赤外吸収スペクトルの酸無水物基に帰属されるピークの総面積をそれぞれ求め、その面積差から検量線を用いて、付加により重合体に結合したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)中、加水分解されずに残存する酸無水物基を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)の量(Y)を重量基準で算出する。この量(Y)は前記した加水分解されずに残存する酸無水物基を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(I)に相当する。
(3)上記の量(Y)から、その酸無水物基が全て加水分解されてジカルボキシル基になった場合の量(Y’)に換算する。
(4)上記(3)における量(Y’)と上記(1)における(X’)の差から、変性環化重合体(C1)に付加したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)のうち、酸無水物基が加水分解によりジカルボキシル基となっているα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸の量(X)を重量基準で算出する。この量(X)は、前記した加水分解して形成されたα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸(II)に相当する。
(5)上記(4)における量(X)と、上記(2)における量(Y)とに基づいて変性環化重合体(C1)中のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量を算出する。
(6)上記(4)における量(X)と、上記(2)における量(Y)とに基づいて、酸無水物基含有率(Y×100/(X+Y)(%))を算出する。
変性環化重合体(C)において、酸無水物基含有率を高めるためには、付加反応工程や付加反応後の重合体を取得する工程などにおいて、水の不在下に操作を行なうことが肝要である。また、該酸無水物基が加水分解して形成されたジカルボキシル基は、加熱により脱水して、酸無水物基に転化するので、酸無水物基含有率が低い変性環化重合体を、好ましくは窒素やヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下または減圧下で、加熱処理(例えば、160〜180℃の温度で、30分間〜4時間の処理時間)して、酸無水物基含有率を高めた変性環化重合体(C)に転化させることも可能である。
本発明で用いる変性環化重合体(C2)は、共役ジエン重合体(a)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加反応生成物(以下、「付加物A2」ともいう。)の環化物である。
変性環化重合体(C2)は、重合体(a)にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を付加させた後、それをさらに環化して製造する。
重合体(a)にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を付加反応させる方法は、特に限定されず、前述の、環化物(A)にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)を付加反応させる方法を採用できる。
付加物(A2)を内部環化反応させる方法は、前述の、重合体(a)を内部環化反応させる方法を採用できる。変性環化重合体(C2)の環化率は、環化物(A1)の環化率と同様に測定でき、その範囲も環化物(A1)における環化率と同様である。
変性環化重合体(C2)中のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量は、変性環化重合体(C1)中のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量と同様に測定でき、その範囲も変性環化重合体(C1)における範囲と同じである。
変性環化重合体(C2)における酸無水物基含有率は、変性環化重合体(C1)における方法と同様に測定でき、その範囲も変性環化重合体(C1)における範囲と同じである。
なお、変性環化重合体(C1)として、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量が5重量%以上のものを製造するのは困難な場合があり、また、変性環化重合体(C2)として、環化率が85%以上のものを製造するのは困難な場合がある。
変性重合体(C)の重量平均分子量は、GPC法により測定し、標準ポリスチレンに換算した値で、通常5,000〜600,000、好ましくは25,000〜400,000、より好ましくは40,000〜300,000の範囲である。
本発明の加硫接着剤は、前記の変性環化重合体(C)を有効成分として含有してなる。
本発明の加硫接着剤は、変性環化重合体(C)以外に、さらに共役ジエン重合体(a)の環化物(A)を含有することが好ましい。変性環化重合体(C)および環化物(A)を含有する加硫接着剤は、ゴム部材と金属部材との接着性をより高めることができる。
変性環化重合体(C)および環化物(A)との量比は、重量比で、変性環化重合体(C)/環化物(A)が90/10〜10/90であることが好ましい。この範囲で両者を含有すると、ゴム部材と金属部材との接着性をより高めることができる。
本発明の加硫接着剤は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を添加することにより、ゴム部材と金属部材との接着性をより高めることができる。
架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、芳香族ニトロソ化合物、芳香族ジオキシム又は脂肪族ニトロソアミン等を使用することができる。なかでも、有機過酸化物が好ましく使用できる。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。
また、上記の架橋剤に、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールトリメタクリレート、1,3−フェニレンビスマレイミドなどの共架橋剤を併用することもできる。
架橋剤の使用量は、変性環化重合体(C)または変性環化重合体(C)と共役ジエン重合体(a)の環化物(A)との混合物100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の範囲である。
本発明の加硫接着剤は、さらに溶剤を含有することが好ましい。溶剤に各成分を溶解または分散させることにより、より均一な加硫接着剤からなる塗布層を形成することができ、より均一に接着した複合成形体を得ることができる。
溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;水等が用いられる。水を使用する場合には、乳化剤を用いて直接エマルジョン化しても、変性環化重合体(C)を、それが溶解しうる溶剤に溶解し、得られた溶液を水中で乳化した後、所望により該溶剤を留去して、加硫接着剤のエマルジョンとしてもよい。
溶剤の使用量は、変性環化重合体(C)または変性環化重合体(C)と共役ジエン重合体(a)の環化物(A)との混合物100重量部に対して、通常300〜3500重量部の範囲である。
本発明の加硫接着剤には、無機フィラーをさらに含有させることが好ましい。
無機フィラーとしては、例えば、酸化チタン、ゼオライト、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、タルクの一種又はこれら二種以上の組み合わせを使用することができる。無機フィラーの添加量は、変性環化重合体(C)または変性環化重合体(C)と共役ジエン重合体(a)の環化物(A)との混合物100重量部に対して、通常、10〜100重量部、好ましくは25〜60重量部の範囲である。
また、本発明の加硫接着剤には、塗工性を改善する目的でカーボンブラック、シリカ等の補強剤、アクリル共重合体等のレベリング剤をさらに添加することができる。
補強剤の添加量は、変性環化重合体(C)または変性環化重合体(C)と共役ジエン重合体(a)の環化物(A)との混合物100重量部に対して、5〜100重量部であることが好ましい。
レベリング剤の添加量は、変性環化重合体(C)または変性環化重合体(C)と共役ジエン重合体(a)の環化物(A)との混合物100重量部に対して、0.5〜5重量部であることが好ましい。
さらに、本発明の加硫接着剤には、所望により、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、着色剤、染料、消泡剤、分散剤、増粘剤、湿潤剤、カップリング剤などを所定量配合することができる。
(複合成形体)
本発明の複合成形体は、ゴム部材と他の部材とを上記の加硫接着剤を用いて加硫接着してなる。
ゴム部材は、ゴムを所定の形状に成形したもの(以下、「ゴム成形体」ともいう。)であって、少なくとも該ゴム部材が他の部材と接着する部分に有しているものであれば、その形状、大きさ、ゴム以外の配合剤等は、特に制約されない。
ゴム部材に用いられるゴムとしては、未加硫ゴム(原料ゴム)であれば特に限定されない。原料ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム及びこれらの混合物等が挙げられる。
原料ゴムに配合される配合剤としては、ゴム製品の目的用途に応じて、その種類及び配合量を適宜選択することができるが、例えば、硫黄、有機過酸化物などの加硫剤;グアニジン類、スルフェンアミド類、チウラム類、チアゾール類、ジチオカルメート類などの加硫促進剤;ジフェニルアミン、トリメチルジヒドロキノン類、フェニレンジアミン類、フェノール類等の老化防止剤;ホワイトカーボン、極微細沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ハードクレイ、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、ハイスチレン樹脂、クマロン樹脂、環化ゴム等の補強剤;炭酸カルシウム、クレー等の充填剤;不飽和脂肪酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の化学的シャク剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等のプロセスオイル類;重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、ニトロソ化合物、アゾ化合物等の発泡剤;カーボンブラック、酸化チタン、弁柄、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料等の着色剤;高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸カルシウム等の滑剤;可塑剤;炭化水素樹脂;フェノール系樹脂;再生ゴム等が挙げられる。
ゴム成形体は、通常、原料ゴムに各種配合剤を配合したゴム組成物を成形して得られる。
ゴム組成物の調製から成形は、一般的には、(1)原料ゴムをロールミルや密閉型混合機を用いて素練りして、原料ゴムの粘度を低下させる素練り工程、(2)素練りした原料ゴムに各種配合剤を添加し、ロールミルや密閉式混合機を用いて混練してゴム組成物を調製する混練工程、(3)混練されたゴム組成物を所定の形状に成形する成形工程、及び(4)必要に応じて製品の形に組み立てる組み立て工程を経ることにより行なわれる。これらの工程は、連続式又はバッチ式のいずれでも行なうことができる。
ゴム部材と接着させる他の部材としては、その材質や大きさ等に特に制限はない。
その部材の材質としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルなどのエンジニアリングプラスチック;不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;金属;セラミック;などが挙げられる。本発明の加硫接着剤は、より優れた接着性が得られる点で、これらの中でもスチール等の金属材料からなる部材に好ましく適用できる。
また、部材の形状も特に制約されず、例えば、繊維状、フィルム状、シート状、板状、直角柱状、円柱状等が挙げられる。
前記他の部材としては、その接着面にプライマー層が形成されたものであってもよい。プライマー層を形成することにより、ゴム部材とより強固な接着を得ることができる場合がある。
プライマー層は、例えば、部材表面に市販のプライマー組成物をスプレー塗布法又は刷毛塗り法等の公知の塗工法により塗布し、約12時間以上空気乾燥させることにより形成することができる。プライマー層の厚みは特に制約されないが、通常7〜15μmの範囲である。
また他の部材は、その接着面に表面処理を施したものであってもよい。例えば、他の部材として金属部材を用いる場合には、該部材表面にシールショットブラストをあてて、ブラスト処理を施したり、該部材表面をパークロロエチレン等による蒸気洗浄又は炭化水素系溶剤若しくはトルエン等による溶剤洗浄を行なったり、アルカリ洗浄剤等による水洗浄及びリン酸塩皮膜処理等を行なうこともできる。
本発明の複合成形体は、例えば、次の方法により製造することができる。
先ず、他の部材の接着面に本発明の加硫接着剤を塗布する。塗布方法は特に制約なく、スプレー塗布法、刷毛塗り法等の公知の塗工方法を採用することができる。
次いで、加硫接着剤の塗膜を1時間以上空気乾燥した後、50〜140℃で一定時間焼成する。加硫接着剤の塗膜の厚みは特に制限されないが、通常15〜50μmの範囲である。
加硫接着剤の塗膜の厚み(プライマー層を形成した場合には、加硫接着剤の塗膜とプライマー層の合計の厚み)を測定し、加硫接着剤の塗膜の膜厚が15〜50μmとなっていることを確認するのが強固な接着を得る上で好ましい。
加硫接着剤を塗布した他の部材とゴム成形体とを、加硫接着剤層とゴム成形体が対向するように接触させた後、加圧状態で、所定温度で所望の時間、加硫する。
加圧圧力は、通常、1〜100MPa、好ましくは5〜50MPaの範囲である。加熱温度は、通常、30〜200℃、好ましくは100〜190℃の範囲である。
本発明の複合成形体は、例えば、モール、メタルインサートゴム、オイルパン、防振ゴム、タイヤ等の自動車用部品、電気装置、ゴムローラ、オイルシール、免震支承構造体、防舷材等、金属上にゴム層が接着されてなる構造体として有用である。
(実施例)
以下、本発明を合成例、実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の例中の部及び%は、特に断わりがない限り重量基準である。
(1)重量平均分子量
重合体の重量平均分子量は、GPC法に従って、標準ポリスチレン換算値として算出した。
(2)変性重合体の無水マレイン酸付加量
変性重合体の酸価を、“基準油脂分析試験法”(日本油化学協会)の下記の酸価の項目に記載される方法に準じて測定した。
酸価 2,4,1項(1983年版)
この酸価に基づいて全酸無水物基がジカルボキシル基に変換されていると仮定して付加した無水マレイン酸の加水分解物量(X’)を求めた。次いで、フーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定し、1760〜1780cm−1の酸無水物基に帰属されるピーク強度を用いて、検量線法により変性重合体に付加し、加水分解されずに無水物基のまま残存する無水マレイン酸量(Y)を定量した。さらに、この(Y)が加水分解してジカルボキシル基に転化したものとして換算した量(Y’)を求め、付加した無水マレイン酸のうち加水分解してジカルボン酸に転化している量(X=X’−Y’)と(Y)とに基づき、無水マレイン酸付加量(重量%)を求めた。
(3)酸無水物基含有率
上記の方法に準じて、付加した無水マレイン酸のうち加水分解してジカルボン酸に転化している量(X)と付加した無水マレイン酸のうち加水分解されずに無水物基のまま残存する無水マレイン酸量(Y)から、酸無水物基含有率(重量%)を、両者の合計量(X+Y)に対する酸無水物基含有率(Y)の割合として求めた。
(4)環化率
環化反応前後の共重合体のプロトンNMRスペクトルを測定し、二重結合由来のプロトンのピーク面積をそれぞれ測定し、式:環化率(%)=(環化反応後の共重合体の二重結合のプロトンのピーク面積)÷(環化反応前の共重合体の二重結合のプロトンのピーク面積)×100により求めた。
(5)剥離試験
作製した剥離試験用の試験片を用いて、温度23℃、湿度50%の条件の恒温恒湿室内で、90°方向に50mm/分の速度で引っ張ることにより剥離試験を行い、破断時の応力(もしくは最大値に達した値;N/inch)を測定し、破断面の状態を観察した。
破断面の状態については、試験面全体を100とし、各破断状態の割合を観察して、以下の基準に基づき判定した。
100R:全面にわたり、ゴム層が破壊されて破断されている。
100C:全面にわたり、接着剤層が破壊されて破断されている。
50R/50C:約50%の面積のゴム層が破壊されていて、残り部分は接着剤層が破壊されて破断されている。
RM:金属試験面と接着剤層との境界面で破断している。
なお、試験は4回繰り返して行い、その結果の平均で示す。
(合成例1)
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ポリイソプレン(シス−1,4−構造イソプレン単位86%、トランス−1,4−構造イソプレン単位12%、3,4−構造イソプレン単位2%、重量平均分子量=200,000)100部を10mm角に裁断し、トルエン1570部とともに仕込んだ。フラスコ内を窒素置換した後、オイルバスで85℃に加温して、撹拌下でポリイソプレンをトルエンに溶解させた。次いで、p−トルエンスルホン酸3.9部を投入し、溶液を85℃に保ち、撹拌を続けて約5時間環化反応を行った。反応液にイオン交換水400部を投入して反応を停止させ、30分間静置した。分離した油層を分取し、この油層を400部のイオン交換水で洗浄する操作を3回繰り返した後、回転数300rpmで遠心分離を行い、水を除去し、さらに油層を130℃に加熱して水分を完全に除去した。
このようにして得られた環化物を含むトルエン溶液を、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール1%を含むメタノール溶液3000部に投入した後、析出物を回収した。これを減圧乾燥して環化重合体PA−1を得た。環化重合体PA−1の重量平均分子量及び環化率を第1表に示す。
(合成例2)
ポリイソプレンとして、シス−1,4−構造イソプレン単位73%、トランス−1,4−構造イソプレン単位22%、3,4−構造イソプレン単位5%からなり、重量平均分子量が107,000のものを用い、p−トルエンスルホン酸量3.9部を3.6部に変える以外は、合成例1と同様に処理して環化反応を行い、環化重合体PA−2を得た。環化重合体PA−2の特性値を第1表に示す。
(合成例3)
ポリイソプレンの代わりに、ポリブタジエン(シス−1,4−構造ブタジエン単位26%、トランス−1,4−構造ブタジエン単位18%、1,2−構造ブタジエン単位56%、重量平均分子量210,000)を用い、トルエン量を1620部とし、ポリブタジエンをトルエンに溶解させた後、23℃に保ち、p−トルエンスルホン酸の代わりにベンジルクロライド2.78部及びエチルアルミニウムジクロライド1.8部を投入し、投入後12分でメタノール20部を加えて反応を停止する以外は、合成例1と同様に処理して環化反応を行い、環化重合体PA−3を得た。環化重合体PA−3の特性値を第1表に示す。
(合成例4)
合成例1と同様にして環化反応を行なって得られた環化物を含むトルエン溶液に、撹拌を行いながら無水マレイン酸2.5部を5分かけて等速度で投入し、反応温度160℃で反応を4時間継続させた。反応液を2,6−ジ−tert−ブチルフェノール1%を含むアセトン溶液3000部に投入して、析出物を回収した。これを減圧乾燥してマレイン化環化重合体PB−1を得た。得られたマレイン化環化重合体PB−1の重量平均分子量、環化率、無水マレイン酸付加量及び酸無水物基含有率を第1表に示す。
(合成例5)
ポリイソプレンとして、シス−1,4−構造イソプレン単位73%、トランス−1,4−構造イソプレン単位22%、3,4−構造イソプレン単位5%からなり、重量平均分子量が107,000のものを用い、p−トルエンスルホン酸量を3.6部に変える以外は、合成例1と同様に処理して環化反応を行なった。
無水マレイン酸量を2部とする以外は、合成例4と同様に付加反応を行い、マレイン化環化重合体PB−2を得た。得られたマレイン化環化重合体PB−2の特性値を第1表に示す。
(合成例6)
合成例3と同様にして環化反応を行なって得られた環化物を含むトルエン溶液に、無水マレイン酸1.5部を添加する以外は合成例4と同様に付加反応を行い、マレイン化環化重合体PB−3を得た。得られたマレイン化環化重合体PB−3の特性値を第1表に示す。
(合成例7)
ポリイソプレンとして、シス−1,4−構造イソプレン単位73%、トランス−1,4−構造イソプレン単位22%、3,4−構造イソプレン単位5%からなり、重量平均分子量が307,000のものを用い、p−トルエンスルホン酸量を3.6部に変える以外は、合成例1と同様に処理して環化反応を行なった。
無水マレイン酸量を2.5部とする以外は、合成例4と同様に付加反応を行い、マレイン化環化重合体PB−4を得た。得られたマレイン化環化重合体PB−4の特性値を第1表に示す。
(合成例8)
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ポリイソプレン(シス−1,4−構造イソプレン単位73%、トランス−1,4−構造イソプレン単位22%、3,4−構造イソプレン単位5%からなり、重量平均分子量が107,000)100部を10mm角に裁断し、トルエン1570部とともに仕込んだ。フラスコ内を窒素置換した後、オイルバスで80℃に加温して、撹拌下でポリイソプレンをトルエンに溶解させた。この溶液に無水マレイン酸7.2部を投入し、反応温度180℃で1時間反応させた。反応液を2,6−ジ−tert−ブチルフェノール1%アセトン溶液3000部に投入して、析出物を回収し、減圧乾燥してマレイン化イソプレン重合体を得た。
得られたマレイン化イソプレン重合体100部をトルエン300部に再溶解させ、p−トルエンスルホン酸3.6部を投入し、溶液を85℃に保ち、攪拌を続けて環化反応を行った。約5時間後、イオン交換水400部を投入して反応を停止させ、30分間静置した。分離した油層を分取し、400部のイオン交換水で洗浄を3回繰り返した。水洗した油層を2,6−ジ−tert−ブチルフェノール1%アセトン溶液1000部に投入して、析出物を回収し、それを50℃で減圧乾燥した。
得られた析出物を、減圧下、180℃で、攪拌しながら1時間熱処理し、マレイン化環化重合体PB−5を得た。マレイン化環化重合体PB−5の特性値を第1表に示す。
Figure 0004210849
(実施例1)加硫接着剤の調製
表2に示す溶剤分に無機フィラーを加え高速分散機ディスパーで撹拌して、無機フィラーを溶剤中に均一分散させた。この分散液に、上記で得られた重合体PA−1〜PA−3およびマレイン化環化重合体PB−1〜PB−5を第2表に示す量比で加えて、500rpmで30分撹拌した後、添加剤(カーボンブラック及びレベリング剤)を加えて、さらに500rpmで15分撹拌することにより、実施例の加硫接着剤(配合1〜5)をそれぞれ得た。
なお、配合6〜9においては、添加剤(カーボンブラックおよびレベリング剤)を加える際に、架橋剤も添加して、加硫接着剤を調製した。
(比較例1)
第2表に示す配合割合で、実施例1と同様にして、加硫接着剤(配合10)を得た。
Figure 0004210849
第2表中、*1は酸化チタン(CR−60;石原産業(株)製)、*2は珪酸アルミニウム(ハードクレークラウン;サウスイースタン社製)、*3はカーボンブラック(#45L;三菱化学(株)製)、*4はアクリル系共重合体(ポリフロー50E;共栄社化学(株)製)、*5はジクミルパーオキサイド(パークミルD;日本油脂(株)製)をそれぞれ表す。
(実施例2)
(ゴム組成物の調製)
第3表〜第5表に示す配合のゴム組成物を密閉式混練機およびオープンロールを使用して混練して、未加硫ゴムシートSA〜SCを調製した。
Figure 0004210849
第3表中、*1は天然ゴム(MR CV60)、*2はカーボンブラック(シースト3;東海カーボン(株)製)、*3はオイル(フレックスM;富士興産(株)製)、*4は酸化亜鉛(亜鉛華#1;堺化学工業(株)製)、*5は老化防止剤(ノクラック810NA;大内新興化学(株)製)、*6は硫黄(325メッシュ通過品;鶴見科学工業(株)製)、*7は加硫促進剤(ノクセラーMSA;大内新興化学(株)製)をそれぞれ表す。
Figure 0004210849
第4表中、*8はEPDM(ケルタン4502N;出光化学(株)製)、*9はカーボンブラック(旭60G;旭カーボン(株)製)、*10は軟質炭酸カルシウム(シルバーW;白石工業(株)製)、*11はオイル(ダイナプロセスPW−380;出光興産(株)製)、*12は滑剤(マイクロクリスタルワックス;川口化学(株)製)、*13は活性亜鉛華(Zinca−20;堺化学工業(株)製)、*14は硫黄(325メッシュ通過品;鶴見科学工業(株)製)をそれぞれ表す。
なお、第4表中の*15の加硫促進剤は以下の組成からなる。
テトラメチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTT;大内新興化学(株)製)20%/
2−メルカプトベンゾチアゾール(ノクセラーM;大内新興化学(株)製)28%/
ジベンゾチアジルジスルフィド(ノクセラーDM;大内新興化学(株)製)16%/
ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(ノクセラーTRA;大内新興化学(株)製)20%/
ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ノクセラーBZ;大内新興化学(株)製)16%
Figure 0004210849
第5表中、*16はEPDM(ケルタン708;出光化学(株)製)、*17はカーボンブラック(旭60G;旭カーボン(株)製)、*18は軟質炭酸カルシウム(シルバーW;白石工業(株)製)、*19はオイル(ダイナプロセスPW−380;出光興産(株)製)、*20は酸化亜鉛(亜鉛華#1;堺化学工業(株)製)、*21は有機過酸化物(パークミルD−50;日本油脂(株)製)、*22はトリメチロールプロパントリメタクリレートをそれぞれ表す。
(加硫接着剤の塗布)
端部に7mmφの穴2個があけられた金属板(SPCCの鋼板)を用意し、この金属板の端25mm角の部分(以下、「試験面」という。)に、シールショットブラストをあててブラスト処理した。その後、試験面をトルエンで洗浄し、乾燥した後、加硫接着剤を、刷毛塗り法によって均一に塗布し、1時間以上空気乾燥した後、オーブンにて70℃で10分間乾燥して加硫接着剤層を形成した。電磁膜厚計を用いて各金属板の面内で5点ずつ測定し、加硫接着剤層の厚みが25〜40μmの範囲であることを確認した。
なお、プライマー処理を施す場合は、以下のように行なった。
ブラスト処理後、トルエンで洗浄し、乾燥した試験面に市販のプライマー層形成用塗布液(ケムロック205;ロードファーイーストコーポレーション製)を刷毛塗り法によって均一に塗布し、12時間空気乾燥させた。電磁膜厚計を用いて各金属板の面内で5点ずつ測定し、プライマー層の厚みが10〜15μmの範囲内であることを確認した。
次いで、加硫接着剤を前記プライマー層上に刷毛塗り法に塗布し、1時間以上空気乾燥した後、オーブンにて70℃で10分間焼成して接着剤層を形成した。電磁膜厚計を用いて各金属板の面内で5点ずつ測定し、プライマー層と接着剤層の合計の厚みを測定し、各点において各々プライマー層の厚みを差し引いた接着剤層の厚みを求め、該接着剤層の厚みが15〜25μmの範囲であることを確認した。
(複合成形体の製造)
次いで、未加硫ゴムシートSA〜SCを、金型にあった形状に切出し、加硫接着剤が塗布された金属板とともに剥離試験用試験片作製用金型に仕込み、プレス圧力9.8MPaで、未加硫ゴムシートSAの場合には145℃で15分間、未加硫ゴムシートSBおよびSCの場合には160℃で20分間、それぞれ加硫接着し、実施例の剥離試験用試験片1〜11をそれぞれ作製した。各試験片のそれぞれについて、用いた未加硫ゴムの種類、加硫接着剤の種類とその層の厚み、プライマーの種類とその層の厚みを、第6表にまとめて示す。
これらの試験片を用いて、剥離試験を行い、結果を第6表に示す。
(比較例2)
実施例2と同様にして、第6表に示す試験片12〜14を作成した。各試験片のそれぞれについて、用いた未加硫ゴムの種類、加硫接着剤の種類とその層の厚み、プライマーの種類とその層の厚みを、第6表にまとめて示す。なお、試験片13および14では、市販の加硫接着剤(ケムロック252HT;ロードファーイーストコーポレーション製)を用いた。
各試験片を用いて、実施例2と同様に、剥離試験を行い、その結果を第6表に示す。
Figure 0004210849
第6表から明らかなように、本発明の複合成形体である試験片1〜11は、比較例の試験片12〜14に比べ、破断応力が高く、破断状態も良好である。
産業上の利用可能性
本発明によれば、環境問題の原因となる塩素化ゴムを用いなくても、ゴム部材と金属などの他の部材との接着力に優れる加硫接着剤、および該加硫接着剤を用いて加硫接着された複合成形体が提供される。

Claims (10)

  1. 共役ジエン重合体(a)の環化物(A)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加反応生成物である変性環化重合体(C1)、または、共役ジエン重合体(a)のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加反応生成物の環化物である変性環化重合体(C2)であって、環化率が30〜95%、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)付加量が0.1〜20重量%である変性環化重合体(C)を有効成分として含有してなる加硫接着剤。
  2. 変性環化重合体(C)が、付加により重合体に結合したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(B)中、加水分解されずに残存する酸無水物基を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸無水物(I)および加水分解して形成されたα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸(II)の総量に対する(I)の割合が60重量%以上のものである請求項1記載の加硫接着剤。
  3. さらに共役ジエン重合体(a)の環化物(A)を含有する請求項1または2に記載の加硫接着剤。
  4. 共役ジエン重合体(a)の環化物(A)と変性環化重合体(C)との重量比が、90/10〜10/90の範囲である請求項3記載の加硫接着剤。
  5. さらに架橋剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の加硫接着剤。
  6. さらに溶剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の加硫接着剤。
  7. さらに無機フィラーを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の加硫接着剤。
  8. さらに補強剤を含む請求項1〜7のいずれかに記載の加硫接着剤。
  9. ゴム部材と他の部材とを請求項1〜8のいずれかに記載の加硫接着剤を用いて加硫接着してなる複合成形体。
  10. 他の部材が金属材料からなるものである請求項9記載の複合成形体。
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