JP4208128B2 - ディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼル内燃機関のコモンレールシステムや、P−L−D(ポンプ・ライン・デリバリー)噴射システム(以下「P−L−D噴射システム」と称する)等に接続して用いる高圧燃料噴射管に係り、より詳しくは燃料噴射に伴う燃料圧力変動を防止するオリフィス機能を有するディーゼルエンジン用燃料噴射管とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のディーゼルエンジン用燃料噴射管としては、例えば円錐もしくは球面状シート面を有する接続頭部と、締付けナットを有する噴射管において、少なくとも片側の管端部付近の管内に管路径より小径もしくは同一径の外径を有するオリフィス管やオリフィスピースを管端もしくは管端より内部に設けたもの(特許文献1、2、3参照)、同じく片側の管端部付近の管内に管路径より小径の内径を有する少なくとも一つのオリフィスリングを設けたもの(特許文献4参照)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した噴射管の管端部付近の管内にオリフィス管やオリフィスピース、あるいはオリフィスリングを設けたものは、これら別体のオリフィス部品を必要としコストが高くつくのみならず、これらのオリフィス部品の組付け作業性が悪い上、噴射管とオリフィス部品とのシール性の確保が困難でありシールの安定性に乏しいという欠点がある。
【0004】
なお、噴射管側とは反対に、コモンレール側にオリフィスを設ける方法も開示されている。この方法には、コモンレールに設ける分岐孔の径をより小さくしてオリフィス機能を付与する方法(特許文献5参照)と、コモンレールの分岐孔の部分にオリフィス付きの金属リング部材(駒)や筒体を介在させる方法(特許文献6、7参照)が知られている。しかし、コモンレール側の分岐孔の径をより小さくしてオリフィス機能を付与する方法は、コモンレール端面から深い位置での加工となるためオリフィスの形成が容易でないという難点があり、また、オリフィス付きの金属リング部材(駒)や筒体を分岐孔部に介在させる方法は、噴射管側に組込んだ一つの締付け用ナットによる軸力でコモンレールと金属リング部材との間および噴射管と金属リング部材との間の2箇所をシールするためにシールの安定性に乏しい上、加工が容易でなく、かつねじ締めの時に発生する摩耗粉がコンタミとなってノズルを詰まらせる原因となる等の欠点がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−227431号公報
【特許文献2】
特開2002−221123号公報
【特許文献3】
特開2001−349261号公報
【特許文献4】
特開2002−174155号公報
【特許文献5】
特開平8−277764号公報
【特許文献6】
特開2001−280217号公報
【特許文献7】
特開2003−49741号公報
【0006】
本発明の目的は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、オリフィス部品を用いることなく噴射管自体にオリフィス部を設けることにより、脈動を低く抑えかつ伝播を遅くかつ少なくして安定した燃料の噴射を行うことができるディーゼルエンジン用燃料噴射管とその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るディーゼルエンジン用燃料噴射管は、円錐もしくは球面状シート面を有する接続頭部と締付けナットを有するディーゼルエンジン用燃料噴射管において、前記シート面部より先端側であって、当該流路に別部品を組込むことなく前記シート面より小径の外径を有し、当該噴射管内径よりも縮径された内径を有するオリフィス部を一体に、かつ前記シート面部より突出させて設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係るディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法は、円錐もしくは球面状シート面を有する接続頭部と締付けナットを有するディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法において、前記接続頭部のシート面部分の塑性加工後にその先端部を絞り加工もしくはローリング加工してオリフィス部を形成することを特徴とするものである。
本発明方法における前記絞り加工もしくはローリング加工は、接続頭部先端部に芯金を内挿させた状態で行ったり、また、本発明方法では前記絞り加工もしくはローリング加工後にオリフィス部の内周面を切削仕上げ加工したりするものである。
さらに、本発明の他の製造方法として、噴射管素材の先端を絞り加工もしくはローリング加工してオリフィス部を形成し、しかる後、プレス加工によりシート面を有する接続頭部を塑性加工することを特徴とするものである。また、この方法においては、前記接続頭部の塑性加工後にオリフィス部の内周面を切削仕上げ加工したりするものである。
【0009】
すなわち、本発明に係るディーゼルエンジン用燃料噴射管は、接続頭部のシート面部より先端側に塑性加工により当該管体と一体に、かつ前記シート面部より突出させてオリフィス部を設けることにより、シール性に悪影響を与えずに、脈動を低く抑えかつ伝播を遅くかつ少なくして安定した燃料の噴射を行うことができるように構成したものである。
【0010】
また、オリフィス部の形成手段には、絞り加工やローリング加工等の塑性加工、あるいは切削加工を用いるため、低コストで形成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のディーゼルエンジン用燃料噴射管の第1実施態様を示す縦断面図、図2は同じく本発明の第2実施態様を示す縦断面図、図3は同じく本発明の第3実施態様の一実施例を示す縦断面図、図4は図2に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法の一実施例を示す工程図、図5は図3に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法の一実施例を示す工程図であり、1、11、21はディーゼルエンジン用燃料噴射管、1−1、11−1、21−1は厚肉鋼管、1−2、11−2、21−2は接続頭部、1−3、11−3、21−3は流路、1−4、11−4、21−4はオリフィス部、1−5、11−5、21−5はシート面、11−6、21−6はポケットである。
【0012】
図1に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管1は、流路1−3を有する厚肉鋼管1−1の端部に設けてなる外側周面をシート面1−5とする截頭円錐状の接続頭部1−2の前記シート面1−5より先端側に、該シート面より小径の外径を有し、流路1−3の直径よりも縮径された内径を有するオリフィス部1−4を一体に設けて構成したものである。
【0013】
図2に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管11は、流路11−3を有する厚肉鋼管11−1の端部に設けてなる外側周面を球面状のシート面11−5とするほぼ球体状の接続頭部11−2の前記シート面11−5より先端側に、該シート面より小径の外径を有し、流路11−3の直径よりも縮径されたオリフィス部11−4を一体に設けて構成したもので、11−6はポケットである。
【0014】
図3に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管11は、流路21−3を有する厚肉鋼管21−1の端部に設けてなる外側周面を球面状のシート面21−5とするほぼ球体状の接続頭部21−2の前記シート面21−5より先端側に、該シート面より小径の外径を有し、流路21−3の直径よりも縮径されたオリフィス部21−4を一体に設けて構成したもので、21−6はポケットである。
【0015】
上記図1〜図3に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管1、11、21の各オリフィス部1−4、11−4、21−4の内径、肉厚、内径の長さは特に限定するものではないが、内径は流路1−3の直径の1/5〜2/3、肉厚は0.5〜1.5mm、内径の長さは1〜7mmが好ましい。すなわち、内径については、流路直径の1/5未満では流路抵抗が大となり、他方、2/3を超えるとオリフィス効果が小さくなるためである。また、肉厚は0.5mm未満では製作性が悪く、他方、1.5mmを超えるとスペースが大きくなるためである。さらに、内径の長さは1mm未満ではオリフィス効果が小さく、他方、7mmを超えるとスペースが大きくなるためである。
【0016】
次に、本発明のディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法を図4、図5に基づいて説明する。
図4は図2に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法の一実施例を示すもので、流路11−3を有する厚肉鋼管11−1の先端部をプレスにより塑性加工してシート面11−5を有する截頭円錐形の接続頭部11−2を成形し、続いて前記接続頭部11−2の先端部をさらにローリング加工すると同時に流路を11−3を縮径してオリフィス部11−4を形成する。このオリフィス部11−4の形成に際しては、前記ローリング加工時に接続頭部11−2の先端部に芯金(図示せず)を介在させておき、加工後に芯金を除去してオリフィス部11−4を形成することができる。そして、最終的に、前記ローリング加工後にオリフィス部11−4の内周面を切削または研削仕上げ加工してもよい。
【0017】
図5に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法は、流路21−3を有する厚肉鋼管21−1の先端部を絞り加工もしくはローリング加工してオリフィス部21−4を形成し、しかる後、プレス加工によりシート面21−5を有する接続頭部21−2を塑性加工する。またこの場合は、接続頭部21−2の塑性加工時にオリフィス部21−4に前記と同様の芯金を介在させておき、加工後に芯金を除去してオリフィス部21−4を形成することができる。そして、最終的に、前記接続頭部21−2の塑性加工後にオリフィス部21−4の内周面を切削または研削仕上げ加工してもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明に係るディーゼルエンジン用燃料噴射管は、接続頭部の先端に塑性加工により当該管体と一体に、かつ前記シート面部より突出させてオリフィス部を設けたことにより、オリフィスを形成するための別部品が不要となりコストが安価につくこと、シール性に悪影響を与えずに、脈動を低く抑えかつ伝播を遅くかつ少なくして安定した燃料の噴射を行うことができること、接続頭部の流路にねじをきる必要がないことから摩耗粉がコンタミとなってノズルを詰まらせる危惧がないこと、組付け作業性が良くなること、等の多くの優れた効果を奏する。
また、本発明方法によれば、塑性加工のみでオリフィス部を形成できるので、別部品を用いてオリフィスを形成する従来の製造方法に比べ、燃料噴射管の製造コストが安価につく効果があり、高品質のディーゼルエンジン用燃料噴射管を安価に提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディーゼルエンジン用燃料噴射管の第1実施態様を示す縦断面図である。
【図2】同じく本発明の第2実施態様を示す縦断面図である。
【図3】同じく本発明の第3実施態様の一実施例を示す縦断面図である。
【図4】図2に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図5】図3に示すディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法の一実施例を示す工程図である。
【符号の説明】
1、11、21 ディーゼルエンジン用燃料噴射管
1−1、11−1、21−1 厚肉鋼管
1−2、11−2、21−2 接続頭部
1−3、11−3、21−3 流路
1−4、11−4、21−4 オリフィス部
1−5、11−5、21−5 シート面
11−6、21−6 ポケット
Claims (5)
- 円錐もしくは球面状シート面を有する接続頭部と締付けナットを有し、前記シート面部より先端側であって、当該流路に別部品を組込むことなく前記シート面より小径の外径を有し、当該噴射管内径よりも縮径された内径を有するオリフィス部を一体に設けたディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法であって、前記接続頭部の塑性加工後にその先端部を絞り加工もしくはローリング加工してオリフィス部を形成することを特徴とするディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法。
- 前記絞り加工もしくはローリング加工は、接続頭部先端部に芯金を内挿させた状態で行うことを特徴とする請求項1記載のディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法。
- 前記絞り加工もしくはローリング加工後にオリフィス部の内周面を切削仕上げ加工することを特徴とする請求項1または2記載のディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法。
- 円錐もしくは球面状シート面を有する接続頭部と締付けナットを有するディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法において、噴射管素材の先端を絞り加工もしくはローリング加工してオリフィス部を形成し、しかる後、プレス加工によりシート面を有する接続頭部を塑性加工することを特徴とするディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法。
- 前記接続頭部の塑性加工後にオリフィス部の内周面を切削仕上げ加工することを特徴とする請求項4記載のディーゼルエンジン用燃料噴射管の製造方法。
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