JP4207547B2 - 自動変速機の油圧サーボ機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁弁等の調圧弁によって油圧源からの油圧を調整し、この調整された油圧に応じてピストンに押圧力を発生させることで摩擦係合要素の係合状態を制御する自動変速機の油圧サーボ機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
供給される油圧に応じてピストンを作動させることでクラッチの係合力を制御する自動変速機の変速制御において、リニアソレノイドバルブを介して油圧源からピストンに供給される油圧を直接制御し、スムースかつ高レスポンスな変速フィーリングを達成する技術(クラッチツウクラッチ制御)がある。クラッチツウクラッチ制御では、変速の時間遅れを回避するために係合側のクラッチが係合を開始する直前、つまりピストンが摩擦係合要素に当接する直前までは、油圧室内に急速に油圧を充填させる、いわゆるプリチャージ制御を行っている。そしてプリチャージ制御後に急激にピストンが摩擦係合要素を係合してピストンのストローク終了時にサージ圧が発生するのを防止するため、リターンスプリングの付勢力に相当する比較的低い油圧(待機油圧)を一定時間保持する待機制御が行われている。その後、解放側のクラッチの解放状態に応じて係合側のクラッチの係合力を徐々に変化させながら、クラッチの係合力を精度良く制御している。
【0003】
ここで、プリチャージ制御後における待機油圧は、自動変速機やエンジンなどの個体バラツキや経時変化、環境変化などによりバラツキが発生する。そのため、実験的に得られたデータから状況に応じた油圧を算出する方法や、油圧センサを用いた方法など、最適な待機油圧を検出ための様々な方法が行われている。
【0004】
しかしながら、最適な待機油圧を得ることができたとしても、電磁弁への指示電流のバラツキ、油圧のバラツキ、更には使用環境の違いなどによって、指示された油圧に対して実際に出力される油圧がずれてしまう。一般的なリターンスプリング特性として、低温時の摩擦係合要素のひきずりを防ぐために取付荷重を高くし、ピストンが摩擦係合要素に当接した時点(最大ストローク時)での荷重のバラツキを少なくするためにバネ定数を小さくしている。そのため、リターンスプリングの取付時と最大ストローク時との油圧の差は小さくなり、上記のように実際の油圧が指示した油圧とずれた場合、ピストンは所定ストローク位置に対して係合側或いは解放側に大きくずれてしまう、という問題があった。
【0005】
そこで、ピストンの全ストローク域でピストンに当接するスプリングと、予圧縮荷重が与えられてピストンが所定量係合方向にストロークしたクラッチ係合寸前の位置でピストンに当接するスプリングとを有することにより、ピストンを係合寸前の位置までストロークさせる供給油圧と、該位置から更にクラッチ係合方向にストロークさせる供給油圧との間に段差を与えることで、若干の油圧のずれが発生しても所定のストローク位置に待機できるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−113465号公報(第2頁、第図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術は自動変速機のニュートラル制御時にピストンを待機位置に待機させるための技術であって、実際の油圧が指示した油圧とずれた場合には有効である。しかしながら、製品毎のばらつきや摩擦係合要素の摩耗などにより、実際にピストンが摩擦係合要素に当接する直前のストローク位置が、設定されたストローク位置からずれることがある。
【0008】
このように予め設定されたストローク位置に対して実際のストローク位置がずれる場合、上記した従来技術では、油圧の段差によってピストンが待機している位置が摩擦係合要素と当接する直前のストローク位置からずれてしまう。例えばストローク位置が解放側にずれた場合には、油圧の段差が摩擦係合要素の係合側となりピストンが摩擦係合要素を押圧してしまい、クラッチツウクラッチ制御時に変速ショックが生じる要因となる。また、ストローク位置が係合側にずれた場合には、油圧の段差が摩擦係合要素の解放側となりピストンと摩擦係合要素との間隔が長くなってしまい、クラッチツウクラッチ制御時にエンジンの空吹きが生じてしまう、という問題がある。
【0009】
そこで本発明は、製品毎、使用環境等による指示(設定)油圧と実際の油圧とのずれ、及び設定されたピストン待機位置に対する実際のピストン待機位置のずれが生じた場合であっても、ピストンをできる限り実際の待機位置近傍にストロークさせて、クラッチツウクラッチ制御時における変速フィーリングの劣化を抑えることが可能な自動変速機の油圧サーボ機構を提供することを技術的課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、摩擦係合要素と、調整された油圧源からの油圧を導入する油圧室と、該油圧室内に導入された油圧に応じて摩擦係合要素を係合するピストンと、該ピストンとリテーナとの間に配設され、前記ピストンを係合方向と反対方向に付勢するリターンスプリングと、を備える自動変速機の油圧サーボ機構であって、前記油圧室内に油圧が充填された後に前記ピストンが係合側にストロークを開始してから所定ストローク位置に達するまでは、供給油圧に対するストローク量が第1の勾配に基づいて変化し、前記ピストンが前記所定ストローク位置に達した時点から前記ピストンが前記摩擦係合要素に当接するまでは、供給油圧に対するストローク量が前記第1の勾配よりも小さい第2の勾配に基づいて連続的に変化するようにした。
【0011】
プリチャージ制御等によって油圧室内に油圧が供給されると油圧室内に油圧が充填され、その後、油圧室内の油圧がリターンスプリングの付勢力よりも大きくなると、供給される油圧の大きさに応じてピストンが係合方向にストロークする。請求項1では、ピストンのストローク位置が所定ストローク位置に達してからは、供給油圧に対するピストンのストローク量が第2の勾配に基づいて連続的に変化する。
【0012】
ここで、第2の勾配は、第1の勾配に比べて供給油圧に対するピストンのストローク量が小さいので、供給油圧が同じだけ増大した場合には、第1の勾配に基づくストローク量よりも第2の勾配に基づくストローク量が小さくなる。言い換えれば、同じ量だけピストンをストロークさせるのに要する油圧の増加は、第1の勾配よりも第2の勾配のほうが大きくなる。したがって、ピストンのストロークが第1ストロークに達するまでは供給油圧に対してピストンが素早くストロークし、ピストンが所定ストローク位置に達してからは供給油圧に対してピストンはゆっくりとストロークする。
【0013】
これによると、プリチャージ制御後にピストンを摩擦係合要素に当接する直前の位置に待機させる待機制御を行うにあたり、実際の油圧が指示した油圧とずれるような場合であっても、油圧のずれに対するピストンのストローク位置のずれ量を抑えることができる。また、第1の勾配から第2の勾配への移行に際して、油圧の段差が生じないように供給油圧に対するピストンのストローク位置が連続的に変化するので、製品毎のバラツキ等により設定されたピストンの待機位置が実際の待機位置からずれるような状況が生じたとしても、ストロークのずれに追従した油圧特性を得ることができる。
【0014】
以上より、請求項1の発明によると、指示(設定)油圧に対する実際の油圧や、予め設定されたピストンの待機位置に対する実際のピストンの待機位置にずれが生じたとしても、これらのずれに対する変速遅れや変速ショックを可及的に抑えることが可能となり、変速フィーリングが向上する。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1において、前記第2の勾配が直線あるいは複数の直線の連続的な組合せからなるようにしたことである。これによると、第2の勾配を適宜設定することで、ピストンの待機位置近傍での供給油圧に対するピストンのストローク量を適切な値とすることが可能になる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1或いは請求項2において、前記第1の勾配及び前記第2の勾配を、前記リターンスプリングの付勢力に基づいて設定したことである。
【0017】
請求項4の発明は、リターンスプリングの構成を具体的に説明したものであり、請求項3において、前記リターンスプリングを、前記ピストンの全ストローク領域で前記ピストン及び前記リテーナに当接する第1スプリングと、前記ピストンが所定ストローク位置に達した時点から前記ピストン及び前記リテーナに当接する第2スプリングとから構成する。これによると、供給油圧に対するストローク量は、第1スプリングのみが撓む領域では第1の勾配に基づいて変化し、第1スプリングと第2スプリングとが撓む領域では第2の勾配に基づいて変化する。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4を更に具体的に説明したものであり、前記第1スプリング及び前記第2スプリングをコイルスプリングから構成したことである。特に、請求項6に示すように、前記第1スプリングと前記第2スプリングは同一のスプリングであり、前記リテーナには第1スプリングを支持する第1凹部及び前記第2スプリングを支持する第2凹部が形成され、第1凹部に対して第2凹部の軸方向深さが深く構成すると、第1スプリングと第2スプリングとを同一のスプリングで構成することができるので、油圧サーボ機構の組付けが容易になる。
【0019】
請求項7の発明も、請求項5を具体的に説明したものであり、前記第1スプリングの内周に、前記第1スプリングよりも軸方向長さが短い前記第2スプリングが配設したことである。これによると、リテーナのスプリングを支持する箇所に請求項6に示すような特別な加工を行う必要がないので、好適である。
【0020】
請求項8の発明は、請求項4を具体的に説明したものであり、前記第1スプリングがコイルスプリングであり、前記第2スプリングが板バネであるようにしたことである。このように異なる種類のリターンスプリングを用いることで、供給油圧に対するピストンのストローク量を任意に設定しやすくなり、好適である。
【0021】
請求項9の発明は、請求項3において、前記リターンスプリングは、円筒部と該円筒部から連続して徐々に外径が小さくなる円錐部とを一体的に備えるコイルスプリングからなり、前記円筒部の最大撓み量が前記第1ストロークとなるように構成したことである。
【0022】
請求項9によると、ピストンがストロークを開始してから所定ストローク位置に達するまでの間は円筒部のみが撓むことで第1の勾配に基づいてピストンがストロークし、所定ストローク位置に達した時点で円筒部はそれ以上の撓みが規制される。そして、所定ストローク位置に達してからは円錐部が撓むことで第2の勾配に基づいてピストンがストロークする。このように、単一のリターンスプリングの撓み状態に応じて供給油圧に対するピストンのストローク量を変化させることが可能になり、好適である。
【0023】
請求項10の発明は、請求項3において、前記リターンスプリングは、第1巻線部と該第1巻線部から連続するとともに前記第1巻線部よりも巻線ピッチが大きい第2巻線部とを一体的に備えるコイルスプリングからなり、前記第1巻線部の最大撓み量が前記第1ストロークとなるように構成したことである。
【0024】
請求項10によると、ピストンがストロークを開始してから所定ストローク位置に達するまでの間は第1巻線部が撓むことで第1の勾配に基づいてピストンがストロークし、所定ストローク位置に達した時点で第1巻線部はそれ以上の撓みが規制される。そして、所定ストローク位置に達してからは第2巻線部のみが撓むことで第2の勾配に基づいてピストンがストロークする。このように、単一のリターンスプリングの撓み状態に応じて供給油圧に対するピストンのストローク量を変化させることが可能になり、好適である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本実施形態における油圧サーボ機構を含む自動変速機1の全体構成を示す概略図である。同図に示されるように、本実施形態の自動変速機1は、変速機本体2と、制御部を構成する油圧制御部3及び電子制御部4とを備えている。
【0026】
上記変速機本体2は、エンジンの出力軸(図示省略)に連結されており、エンジンの動力を車輪へと伝達する。すなわち、この変速機本体2は、エンジンの出力軸に連結されたトルクコンバータ10と、同トルクコンバータ10のタービン10aに連結された入力軸11と、図示しない差動装置を介して車輪に連結された出力軸12と、入力軸11に連結された第1列のシングルピニオンプラネタリギヤG1と、第2列のシングルピニオンプラネタリギヤG2と、第3列のシングルピニオンプラネタリギヤG3とを備えている。そして、上記変速機本体2の内部には、油圧駆動式の複数(5つ)の摩擦係合要素としての第1摩擦クラッチC1と、第2摩擦クラッチC2と、第3摩擦クラッチC3と、第1摩擦ブレーキB1と、第2摩擦ブレーキB2とが組み込まれている。この変速機本体2は、上記油圧制御部3及び電子制御部4によりこれら第1〜第3摩擦クラッチC1〜C3、第1及び第2摩擦ブレーキB1,B2の係合・非係合が選択されることで後述の変速段を達成するようになっている。なお、上記第1〜第3摩擦クラッチC1〜C3、第1及び第2摩擦ブレーキB1,B2は、それぞれ油圧制御部3により高圧に設定されることで係合状態とされ、低圧に設定されることで非係合状態とされる。
【0027】
上記油圧制御部3は、電子制御部4により駆動制御されることで内部の油圧回路を切り替えることにより、図示しない電磁弁によって油圧源からの油圧を調整するとともに、この油圧が供給される摩擦係合要素(係合・非係合となる摩擦係合要素)を選択する。
【0028】
上記電子制御部4はマイクロコンピュータを備えており、各種センサの出力を入力するとともにこれらに基づき前記油圧制御部3を駆動制御する。本実施形態では、前記入力軸11(タービン10a)のタービン回転数Ntを検出するタービン回転数センサ13が設けられており、同タービン回転数センサ13の出力も電子制御部4に入力されている。また、運転者の操作によるセレクターレバー(図示省略)のポジション、すなわち走行レンジ(Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ)を検出するポジションセンサ14が設けられており、同ポジションセンサ14の出力も電子制御部4に入力されている。
【0029】
図2は、上記第1〜第3摩擦クラッチC1〜C3、第1及び第2摩擦ブレーキB1,B2の係合・非係合と、その対応する変速段との関係を示す一覧図である。同図に示されるように、この自動変速機1は、後進と、ニュートラルと、1速から4速のアンダードライブと、5速及び6速のオーバードライブとを有する後進1段、前進6段の変速段を達成している。すなわち、第3摩擦クラッチC3及び第2摩擦ブレーキB2のみが係合されると、上記入力軸11に対して出力軸12の回転を逆転させて車両を後進させるようになっている。また、第2摩擦ブレーキB2のみが係合されると、ニュートラルとなるようになっている。さらに、第1摩擦クラッチC1及び第2摩擦ブレーキB2のみが係合されると1速に、第1摩擦クラッチC1及び第1摩擦ブレーキB1のみが係合されると2速になるようにそれぞれなっている。また、第1及び第3摩擦クラッチC1,C3のみが係合されると3速に、第1及び第2摩擦クラッチC1,C2のみが係合されると4速になるようにそれぞれなっている。さらにまた、第2及び第3摩擦クラッチC2,C3のみが係合されると5速に、第2摩擦クラッチC2及び第1摩擦ブレーキB1のみが係合されると6速になるようにそれぞれなっている。
【0030】
従って、例えば1速から2速に変速するときには、電子制御部4は油圧制御部3を介して第2摩擦ブレーキB2を非係合(開放)にするとともに第1摩擦ブレーキB1を係合する。また、2速から3速に変速するときには、第1摩擦ブレーキB1を非係合(開放)にするとともに第3摩擦クラッチC3を係合する。さらに、3速から4速に変速するときには、第3摩擦クラッチC3を非係合(開放)にするとともに第2摩擦クラッチC2を係合する。さらにまた、4速から5速に変速するときには、第1摩擦クラッチC1を非係合(開放)にするとともに第3摩擦クラッチC3を係合する。また、5速から6速に変速するときには、第3摩擦クラッチC3を非係合(開放)にするとともに第1摩擦ブレーキB1を係合する。
【0031】
なお、同図2に併せ示されるように、通常の変速制御においては、セレクターレバーの操作によって選択された走行レンジがRレンジのときに後退を、Nレンジのときにニュートラルを、Dレンジのときにニュートラル及び1速〜6速のいずれかをそれぞれ選択しうるようになっている。
【0032】
次に、自動変速機1の油圧サーボ機構20について説明する。図3に自動変速機10における摩擦クラッチC3を係合・非係合する油圧サーボ機構20の周辺部分の断面図を示す。
【0033】
この油圧サーボ機構20は、摩擦クラッチC3と、クラッチドラム21と、スナップリング22によってクラッチドラム21の小径側円筒部に係止されるリテーナ23と、クラッチドラム21の軸方向側面とリテーナ23との間に収容され、この間での軸方向に変位可能なピストン24と、クラッチドラム21とピストン24とにより形成されるとともに電磁弁等の調圧弁によって調整された油圧源からの油圧を導入する油圧室25と、ピストン24とリテーナ23との間に配設され、ピストン24を係合方向と反対方向(図3右側)に付勢するリターンスプリング26とを主な構成要素としている。
【0034】
摩擦クラッチC3は、リングギアR1の外周面から外径に向けて形成される複数の摩擦材27と、この複数の摩擦材27と交互に重なり合うようにクラッチドラム21の内周側から内径に向けて形成される複数の摩擦材28とにより構成されている。クラッチドラム21は、その内周側がプラネタリギヤG2のリングギアR2と連結する軸とスプライン結合している。
【0035】
油圧源からの油圧が油圧制御部3を介して油圧室25に供給されることによってピストン24に押圧力が作用し、両摩擦材27、28が係合する。また、油圧室25に供給される油圧が低減するとリターンスプリング26の付勢力によって摩擦材27、28同士が離間して非係合となる。このように、油圧室25に供給される油圧を制御することによって各摩擦クラッチの連結・或いは各摩擦ブレーキの固定が選択的に行なわれる。尚、摩擦クラッチC1、C2、摩擦ブレーキB1、B2についても、各摩擦材が形成される部材が相違するものの、図3に示した油圧サーボ機構20と略同様の構成により油圧に応じて摩擦材同士を係合・非係合させることで摩擦クラッチC1、C2の連結或いは摩擦ブレーキB1、B2の固定が選択的に行なわれる。
【0036】
本発明の主旨であるリターンスプリング26の構成について説明する。本実施形態のリターンスプリング26は、ピストン24の全ストローク領域でピストン24とリテーナ23の両方に当接する第1スプリング26Aと、油圧室25内の油圧が増大してピストン24がストロークし、ピストン24が所定ストローク位置に達した時点からピストン24及びリテーナ23に当接する第2スプリング26Bとからなる。
【0037】
更に詳細には、第1スプリング26Aと第2スプリング26Bとは同一のコイルスプリングにより構成されており、各スプリング26A、26Bはリテーナ23の周方向に略等間隔に複数個ずつ、それぞれが重ならないように配設されている。リテーナ23には第1スプリング26Aを支持する第1凹部23Aと第2スプリング26Bを支持する第2凹部23Bが形成され、第1凹部23Aに対して第2凹部23Bの軸方向深さが深く構成されている。つまり、スプリング自体は同一であって、第1凹部23Aに支持されるスプリングが第1スプリング26A、第2凹部23Bに支持されるスプリングが第2スプリング26Bと定義されることになる。ピストン24には第1及び第2スプリング26A、26Bをピストン24側に保持するための保持板29が配設されており、保持板29によってピストン24のストローク位置に拘らず第1及び第2スプリング26A、26Bが保持されている。尚、第1スプリング26Aは、ピストン24がストロークしていない状態で既にピストン24と第1凹部23Aの両方に当接しているので、保持板29による保持を行わなくてもよい。
【0038】
本実施形態では、油圧室25内に油圧が導入されておらずピストン24がストロークしていないときのピストン24の押圧端面と、摩擦クラッチC3の端面との軸方向隙間が距離Spに設定されている。第1凹部23Aは、油圧室25内に油圧が導入されず油圧室25の容積が最小となっているときにピストン24と第1凹部23Aとの間で第1スプリング26Aに若干の予圧がかかるように、その軸方向深さが設定されている。また、第2凹部23Bは、油圧室25内に油圧が導入されず油圧室25の容積が最小となっているときに第2スプリング26Bと第2凹部23Bとの間の軸方向隙間が距離δ(<Sp)となるように、その軸方向深さが設定されている。
【0039】
次に、摩擦クラッチC3の係合に係る作動について説明する。車両の各種状態に基づいて電子制御部4が変速指令を出力すると、油圧室25内に油を充填させるとともにピストン24が摩擦板27,28に当接する直前までピストン24をストロークさせるべく、プリチャージ制御を行う。プリチャージ制御では、油圧室25内に供給される油の流量を増大させることで油圧室25を急速に充填する。これにより、ピストン24が摩擦板27,28に当接する直前の位置まで急速にストロークされ、変速遅れを防止している。その後、ピストン24が摩擦板27,28に当接する直前の位置に一定時間だけ待機させるべく待機制御を行う。待機制御では、プリチャージ制御時に供給されたプリチャージ油圧よりも低圧に設定される待機油圧を油圧室25に供給している。これにより、ピストン24が急激に摩擦クラッチC3と係合することがなく、ピストン24のストローク終了時にサージ圧が発生するのが抑えられる。待機制御が終了すると、車両の各種状態(車速、スロットル開度、解放側の摩擦係合要素の解放状態等)に応じて摩擦クラッチC3が所望のスリップ量でスリップしながら徐々に摩擦クラッチC3が係合するように供給油圧を制御することで、摩擦クラッチC3の係合状態を所望の状態とする。これにより、円滑なクラッチツウクラッチ制御が実行される。
【0040】
図4は、摩擦クラッチC3における油圧室25への供給油圧とピストン24のストロークとの関係を示すグラフである。この図からわかるように、プリチャージ制御が行われたとしても、ピストン24にかかる油圧がピストン24にかかる第1スプリング26Aのバネ荷重以下のときは、ピストン24は第1スプリング26Aにより図3右方向に付勢された状態から変位することなく、図3に示す状態を維持している(ピストン24のストローク=0)。プリチャージ制御によって油圧室25内が充填されてピストン24にかかる油圧がピストン24にかかる第1スプリング26Aのバネ荷重よりも大きくなると、ピストン24は油圧の大きさに応じて図3左方向に変位し始める。
【0041】
ピストン24がストロークを開始し、距離δだけストロークしたときの位置(所定ストローク位置)に達するまでは、第1スプリング26Aのみが弾縮し、第2スプリング26Bと第2凹部23Bとは当接しない。つまり、ピストン24が所定ストローク位置よりも解放側の領域でストロークしているときは、供給油圧に対するピストン24のストローク量は第1スプリング26Aのみの弾縮に依存する第1の勾配に基づいて変化する。
【0042】
ピストン24が、距離δだけストロークした位置(所定ストローク位置)に達すると、第2スプリング26Bと第2凹部23Bとが当接する。そして、このストローク位置からピストン24の係合側のストローク領域では、第1スプリング26Aと第2スプリング26Bがともに弾縮される。つまり、ピストン24が所定ストローク位置以上の領域でストロークしているときは、供給油圧に対するピストン24のストローク量は第1スプリング26Aと第2スプリング26Bとの弾縮に依存する第2の勾配に基づいて変化する。
【0043】
ここで、電磁弁への指示電流のバラツキ、油圧自体のバラツキ、更には使用環境の違いなどによって、指示された油圧に対して実際に出力される油圧がずれる場合がある。このような場合、実際に出力された油圧のバラツキによりピストン24が予め設定していたストローク位置で維持されなくなってしまう。つまり、ピストン24の待機位置からバラツキ分に相当するストローク量だけ係合側或いは解放側にピストン24が変位してしまい、これによってピストン24を所望の待機位置に維持することができなくなってしまう。
【0044】
本実施形態では、ピストン24のストロークが0からδまでの領域における供給油圧に対するピストン24のストローク量に対して、ピストン24のストロークがδ以上の領域における供給油圧に対するピストン24のストローク量は小さくなるように、供給油圧に対するピストン24のストローク量の勾配を設定している。
【0045】
つまり、ピストン24のストロークが所定ストローク位置δ以上の領域では、供給油圧に対するストローク量が小さくなる。したがって、待機制御時に設定された圧力として電子制御部4から指示される指示油圧Psに対して実際に出力される油圧がずれてしまう場合であっても、油圧のバラツキ範囲が第2勾配上にあるように所定ストローク位置を設定しておけば、指示油圧Psを中心としてバラツキΔPの範囲で実際の油圧にバラツキが発生しても、この油圧のバラツキΔPに対するピストン24のストローク位置のバラツキ範囲ΔSを比較的小さい範囲内とすることが可能になる。これにより、待機制御時におけるピストン24のストローク位置が所望の位置Spから大きく外れることがなく、クラッチツウクラッチ制御時における変速フィーリングの劣化が抑えられる。
【0046】
また、製品毎のバラツキ等により設定されたピストン24の待機位置が実際の待機位置からずれるような状況が生じたとしても、第1の勾配から第2の勾配への移行に際して、油圧の段差が生じないように供給油圧に対するピストン24のストローク位置が連続的に変化するので、ストロークのずれに追従した油圧特性を得ることができ、これもまたクラッチツウクラッチ制御時における変速フィーリングの劣化を抑えるのに好適である。
【0047】
特に、第1の実施形態では第1スプリング26Aと第2スプリング26Bとは同一のスプリングであるので、油圧サーボ機構20へのスプリングの組付けが容易になる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は第2の実施形態における油圧サーボ機構120の周辺部分の断面図を示す。第2の実施形態は、上述した第1の実施形態におけるリターンスプリングの構造及びこれを支持するリテーナの凹部の構造が異なる実施形態であり、それ以外の構成については同一であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
第2の実施形態のリターンスプリング126は、ピストン24の全ストローク領域でピストン24及びリテーナ123に当接する第1スプリング126Aと、ピストン24が所定ストローク位置に達した時点からピストン24及びリテーナ123に当接する第2スプリング126Bとから構成される点においては、第1の実施形態と同様である。
【0050】
しかしながら、第1スプリング126Aと第2スプリング126Bとは、その軸方向長さ及びスプリングの径がそれぞれ異なるコイルスプリングであり、第2スプリング126Bは、第1スプリング126Aよりも軸方向長さが短く且つスプリングの径が小さく、第1スプリング126Aの内周に第2スプリング126Bが配設されている。したがって、リテーナ123側でスプリングを支持するべくリテーナ123に形成される複数の凹部123Aは全てその軸方向深さが同一であり、それぞれの凹部123Aに第1スプリング126Aが常に当接するとともに、第2スプリング126Bが保持板129によってピストン24側に保持されている。
【0051】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、油圧室25内に油圧が導入されておらずピストン24がストロークしていないときのピストン24の押圧端面と、摩擦クラッチC3の端面との軸方向隙間が距離Spに設定されている。また、第1スプリング126Aは、油圧室25内に油圧が導入されず油圧室25の容積が最小となっているときにピストン24と凹部23Cとの間で若干の予圧がかかるようにその軸方向長さが設定されている。第2スプリング126Bは、油圧室25内に油圧が導入されず油圧室25の容積が最小となっているときに第2スプリング126Bと凹部123Aとの軸方向隙間が距離δ(<Sp)となるように、その軸方向長さが設定されている。
【0052】
摩擦クラッチC3のプリチャージ制御及び待機制御について説明する。プリチャージ制御が行われたとしても、ピストン24にかかる油圧がピストン24にかかる第1スプリング126Aのバネ荷重以下のときは、ピストン24は第1スプリング126Aにより図5右方向に付勢された状態から変位することなく、図5に示す状態を維持している(ピストン24のストローク=0)。プリチャージ制御によって油圧室25内が充填されてピストン24にかかる油圧がピストン24にかかる第1スプリング126Aのバネ荷重よりも大きくなると、ピストン24は油圧の大きさに応じて図5左方向に変位し始める。
【0053】
ピストン24がストロークを開始し、距離δだけストロークしたときの位置(所定ストローク位置)に達するまでは、第1スプリング126Aのみが弾縮し、第2スプリング126Bと凹部123Aとは当接することなく、供給油圧に対するピストン24のストローク量は第1スプリング126Aのみの弾縮に依存する第1の勾配に基づいて変化する。
【0054】
ピストン24が、距離δだけストロークした位置(所定ストローク位置)に達すると、第2スプリング126Bと凹部123Aとが当接する。そして、このストローク位置からピストン24の係合側のストローク領域では、第1スプリング126Aと第2スプリング126Bがともに弾縮され、供給油圧に対するピストン24のストローク量は第1スプリング126Aと第2スプリング126Bとの弾縮に依存する第2の勾配に基づいて変化する。
【0055】
上記したように、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様にピストン24の押圧端面と摩擦クラッチC3との軸方向長さが距離Spに設定されるとともに、第2スプリング126Bと凹部123Aとの軸方向隙間が距離δに設定されているので、摩擦クラッチC3における油圧室25への供給油圧とピストン24のストロークとの関係は、図4に示したグラフと略同様になる。但し、第1の実施形態と第2の実施形態における第2スプリングの諸元が異なるので、第2勾配の傾きは図4で示した傾きと若干異なるが、第2の勾配を設定したことにより第1の実施形態と略同等の作用を得ることができる。
【0056】
更に第2の実施形態によると、リテーナ123に形成される凹部123Aの軸方向深さが全て同一であるので、リテーナ123への凹部123Aの成形に係る工程が簡素化され、好適である。
【0057】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は第3の実施形態における油圧サーボ機構220の周辺部分の断面図を示す。第3の実施形態は、第2の実施形態と同様に、リターンスプリングの構造及びこれを支持するリテーナの構造が異なるだけであり、それ以外の構成は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
第3の実施形態では、コイルスプリングにより構成される複数の第1スプリング226Aと、第1スプリング226Aとは周方向に関して異なる位置に配設され、ピストン24側に保持される板バネによって構成される第2スプリング226Bとによってリターンスプリングを構成している。
【0059】
第3の実施形態においても、油圧室25内に油圧が導入されておらずピストン24がストロークしていないときのピストン24の押圧端面と、摩擦クラッチC3の端面との軸方向隙間が距離Spに設定されている。リテーナ223に形成され第1スプリング226Aを支持する凹部223Aは、油圧室25内に油圧が導入されず油圧室25の容積が最小となっているときにピストン24と凹部223Aとの間で第1スプリング226Aに若干の予圧がかかるように、その軸方向深さが設定されている。また、リテーナ223における第2スプリング226Bに対向する箇所には、ピストン24側に向かって突出する突出部223Bが形成されており、油圧室25内に油圧が導入されず油圧室25の容積が最小となっているときの突出部223Bの端面と第2スプリング226Bとの間の軸方向隙間が距離δに設定されている。
【0060】
上記のように各隙間が設定されることで、油圧室25への供給油圧に対するピストン24のストローク量は、図4に示されるのと略同等の関係となる。尚、第3の実施形態においても、第2スプリング226Bは板バネであって第1の実施形態で示した第2スプリングとは異なるので、第2の勾配の傾きは図4で示した傾きと若干異なるが、第2の勾配を設定したことにより第1の実施形態、第2の実施形態と略同等の作用を得ることができる。
【0061】
図7及び図8は、本発明におけるリターンスプリングの変形例であり、第2の実施形態のように、リテーナの凹部が全て同一の軸方向深さに構成される油圧サーボ機構に配設されるものとする。先述した第1から第3の実施形態では、リターンスプリングとして第1スプリングと第2スプリングの異なるスプリングを設定し、第1スプリングと異なる第2スプリングが弾縮し始める時点から、第2の勾配に従ってピストンがストロークするように構成したが、図7及び図8の変形例は、1つのスプリングにおける異なる箇所の形状(スプリングの径、巻線ピッチ)を変化させることで、スプリングの弾縮量に応じて、スプリングを所定量だけ弾縮させるのに必要な力が変化するように構成されている。
【0062】
図7の変形例について説明する。図7のリターンスプリング326は、円筒部326Aと円筒部326Aから連続して徐々に外径が小さくなる円錐部326Bとを一体的に備えるコイルスプリングであり、円筒部326Aの最大撓み量が、第1から第3の実施形態で説明した距離δとなるように設定されている。また、リターンスプリング326は、油圧室内に油圧が導入されず油圧室の容積が最小となっているときにピストンとリテーナの凹部との間で若干の予圧がかかるように、その軸方向長さが設定されている。
【0063】
図7のようにリターンスプリング326を構成することによって、プリチャージ制御及び待機制御が実行されると先ず円筒部326Aが弾縮し、円筒部326Aが距離δだけ撓んだ後に円錐部326Bが弾縮し始める。これにより、油圧室への供給油圧とピストンのストロークとの関係は図4に示すグラフと略同様になる。
【0064】
次に、図8の変形例について説明する。図8のリターンスプリング426は、第1巻線部426Aと第1巻線部426Aから連続するとともに第1巻線部426Aよりも巻線ピッチが大きい第2巻線部426Bとを一体的に備えるコイルスプリングであり、第1巻線部426Aの最大撓み量が、第1から第3の実施形態で説明した距離δとなるように設定されている。また、リターンスプリング426は、油圧室内に油圧が導入されず油圧室の容積が最小となっているときにピストンとリテーナの凹部との間で若干の予圧がかかるように、その軸方向長さが設定されている。
【0065】
図8のようにリターンスプリング426を構成することによって、プリチャージ制御及び待機制御が実行されると先ず第1巻線部426Aが弾縮し、第1巻線部426Aが距離δだけ撓んだ後に第2巻線部426Bが弾縮し始める。これにより、油圧室への供給油圧とピストンのストロークとの関係は図4に示すグラフと略同様になる。
【0066】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上述した実施形態或いは変形例に限定されるものではなく、例えば、第1の実施形態において、第1凹部23Aと第2凹部23Bの軸方向深さを同一に設定し、油圧室25内に油圧が供給されていない状況下にて第2凹部23Bと第2スプリング26Bとの軸方向隙間が距離δとなるように、第2スプリング26Bの軸方向長さを第1スプリング26Aよりも短く設定してもよい。
【0067】
【発明の効果】
本発明によると、プリチャージ制御後にピストンを摩擦係合要素に当接する直前の位置に待機させる待機制御を行うにあたり、実際の油圧が指示した油圧とずれるような場合であっても、油圧のずれに対するピストンのストローク位置のずれ量を抑えることができる。また、第1の勾配から第2の勾配への移行に際して、油圧の段差が生じないように供給油圧に対するピストンのストローク位置が連続的に変化するので、製品毎のバラツキ等により設定されたピストンの待機位置が実際の待機位置からずれるような状況が生じたとしても、ストロークのずれに追従した油圧特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における油圧サーボ機構を含む自動変速機の全体構成を示す概略図である。
【図2】摩擦係合要素の係合・非係合と変速段との関係を示す一覧図である。
【図3】油圧サーボ機構の周辺部分の断面図である。
【図4】油圧室への供給油圧とピストンのストロークとの関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態における油圧サーボ機構周辺の断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における油圧サーボ機構周辺の断面図である。
【図7】本発明におけるリターンスプリングの変形例を示す図である。
【図8】本発明におけるリターンスプリングの別の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 自動変速機
3 油圧制御部
4 電子制御部
10 トルクコンバータ
20、120、220 油圧サーボ機構
23、123、223 リテーナ
24 ピストン
25 油圧室
26、126、226、326、426 リターンスプリング
26A、126A、226A 第1スプリング
26B、126B、226B 第2スプリング
C1〜C3 摩擦係合要素としての摩擦クラッチ
B1、B2 摩擦係合要素としての摩擦ブレーキ

Claims (11)

  1. 摩擦係合要素と、調整された油圧源からの油圧を導入する油圧室と、該油圧室内に導入された油圧に応じて摩擦係合要素を係合するピストンと、該ピストンとリテーナとの間に配設され、前記ピストンを係合方向と反対方向に付勢するリターンスプリングと、を備える自動変速機の油圧サーボ機構であって、
    前記油圧室内に油圧が充填された後に前記ピストンが係合側にストロークを開始してから所定ストローク位置に達するまでは、供給油圧に対するストローク量が第1の勾配に基づいて変化し、前記ピストンが前記所定ストローク位置に達した時点から前記ピストンが前記摩擦係合要素に当接するまでは、供給油圧に対するストローク量が前記第1の勾配よりも小さい第2の勾配に基づいて変化し、
    前記ピストンのストロークは、前記供給油圧に対し、油圧の段差なしに前記第1の勾配から前記第2の勾配に連続して移行する
    ことを特徴とする自動変速機の油圧サーボ機構。
  2. 前記第2の勾配は、直線あるいは複数の直線の連続的な組合せからなることを特徴とする、請求項1に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  3. 前記第1の勾配及び前記第2の勾配は、前記リターンスプリングの付勢力に基づいて設定されることを特徴とする、請求項1或いは請求項2に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  4. 前記リターンスプリングは、前記ピストンの全ストローク領域で前記ピストン及び前記リテーナに当接する第1スプリングと、前記ピストンが所定ストローク位置に達した時点から前記ピストン及び前記リテーナに当接する第2スプリングとからなることを特徴とする、請求項1から請求項3に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  5. 前記第1スプリング及び前記第2スプリングはコイルスプリングであることを特徴とする、請求項4に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  6. 前記第1スプリングと前記第2スプリングは同一のスプリングであり、前記リテーナには第1スプリングを支持する第1凹部及び前記第2スプリングを支持する第2凹部が形成され、第1凹部に対して第2凹部の軸方向深さが深く構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  7. 前記第1スプリングの内周に、前記第1スプリングよりも軸方向長さが短い前記第2スプリングが配設されることを特徴とする、請求項5に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  8. 前記第1スプリングはコイルスプリングであり、前記第2スプリングは板バネであることを特徴とする、請求項4に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  9. 前記リターンスプリングは、円筒部と該円筒部から連続して徐々に外径が小さくなる円錐部とを一体的に備えるコイルスプリングからなり、前記円筒部の最大撓み量が前記第1ストロークとなるように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  10. 前記リターンスプリングは、第1巻線部と該第1巻線部から連続するとともに前記第1巻線部よりも巻線ピッチが大きい第2巻線部とを一体的に備えるコイルスプリングからなり、前記第1巻線部の最大撓み量が前記第1ストロークとなるように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の自動変速機の油圧サーボ機構。
  11. 摩擦係合要素と、調整された油圧源からの油圧を導入する油圧室と、該油圧室内に導入された油圧に応じて摩擦係合要素を係合するピストンと、該ピストンとリテーナとの間に配設され、前記ピストンを係合方向と反対方向に付勢するリターンスプリングと、を備える自動変速機の油圧サーボ機構であって、
    前記油圧室内に油圧が充填された後に前記ピストンが係合側にストロークを開始してから所定ストローク位置に達するまでは、供給油圧に対するストローク量が第1の勾配に基づいて変化し、前記ピストンが前記所定ストローク位置に達した時点から前記ピストンが前記摩擦係合要素に当接するまでは、供給油圧に対するストローク量が前記第1の勾配よりも小さい第2の勾配に基づいて変化し、
    前記第2の勾配は常に増加を示し、前記第1の勾配と直接連続する
    ことを特徴とする自動変速機の油圧サーボ機構。
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