JP4207311B2 - サイドウォール除去液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はサイドウォール除去液に関するものであり、さらに詳しくは、半導体製造工程でのドライエッチングの際に発生するサイドウォールを、低温で、短時間で除去でき、しかもその際に配線材料を浸食することのないサイドウォール除去液に関するものであり、有機物を全く含有しないことから廃液処理の負荷が極めて小さいサイドウォール除去液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスは、たとえば下記の▲1▼〜▲6▼の工程で製造されている。
▲1▼SiO2などの絶縁層上に配線材料となるAlなどの金属層を形成する。
▲2▼その上にフォトレジスト層を形成する。
▲3▼さらにその上にフォトマスクを重ねて露光する。
▲4▼現像処理を行ってレジストパターンを形成する。
▲5▼露出した金属層をエッチング処理する。
▲6▼レジストパターンを剥離除去することにより金属配線パターンを得る。
【0003】
近年、集積回路の高密度化のために、より微細なパターン形成が必要となってきている。エッチングにおいては従来は化学薬品を用いたケミカルエッチングが行われていたが、より微細なパターン形成のために、ハロゲン系ガスを用いたドライエッチングが多用されるようになってきている。
【0004】
ドライエッチングにおいてはサイドウォール(側壁保護膜)が生成し、これによって異方性エッチングが可能となっている。このサイドウォールはドライエッチングの際にフォトレジストと配線材料とエッチングガスの化学反応により生成するものである。その結果、サイドウォールはフォトレジスト由来の有機物、配線材料由来の無機物、エッチングガス由来のハロゲン化物からなる複雑な組成の化合物となっている。
【0005】
従来の剥離液は有機物であるフォトレジストの剥離を目的に設計されているため、このようなサイドウォールを充分に剥離除去することはできない。また、このサイドウォールにはハロゲン系ガスによるドライエッチングの際に発生したハロゲンラジカルやハロゲンイオンが閉じ込められており、空気中の水分により酸を発生して、配線材料を腐食する(アフターコロージョン)。従って、サイドウォールは完全に除去されなければならない。
【0006】
しかし通常用いられているレジスト用剥離液ではサイドウォールの除去は困難である。
例えば、アルキルベンゼンスルホン酸系の酸性の剥離液では100℃の高温に加熱してもサイドウォールの除去は困難である。また、これらの酸性剥離液は水への溶解度が低いために、水洗前にイソプロピルアルコール等の水可溶性の有機溶媒でのリンスが必要となり、工程が複雑になる。
【0007】
一方、有機アミン系のアルカリ性の剥離液でも100℃の高温に加熱してもサイドウォールの除去は困難である。また、直ちに水洗を行うと、有機アミン成分と水との作用により強アルカリ性を呈し、配線材料の腐食を発生する。従って、水洗に先立って、イソプロピルアルコール等でリンスを行う必要があり、工程が複雑となる。
【0008】
また、特開平6−202345号公報には、2−ピロリジノンなどのストリッピング溶媒、アミン、弱酸からなる高度に架橋または硬化されたフォトレジストストリッピング組成物が提案されており、特開平7−219240号公報には、含窒素有機ヒドロキシル化合物からなるレジスト剥離用組成物に、カルボキシル基含有有機化合物を配合したポジ型レジスト用剥離液が提案されているが、上記のようにレジスト用剥離液ではサイドウォールの除去は困難である。
【0009】
さらに塩酸や硫酸などの酸、またはアルキルアミンやアルカノールアミン水溶液などの塩基は、配線材料のアルミを溶解することによってサイドウォールを除去することは可能であるが、配線材料の腐食をさけることはできない。
【0010】
一方、優れたサイドウォール除去液の条件として上記のような基本的性能のほかに廃液処理に関わる問題点がある。従来より半導体生産工場で発生する廃液(廃水)は産業廃棄物として専門業者にて処理するか、または活性汚泥処理等の操作により清浄にして放流するなど、環境に対して影響を及ぼさない形で処理されてきた。しかしながらこのような処理を行うことは半導体のコストアップの要因となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、配線材料を腐食することなく、フォトレジスト形成後のドライエッチングにより生成するサイドウォールであって、フォトレジストと配線材料とエッチングガスの化学反応の結果として生成するような、フォトレジスト由来の有機物、配線材料由来の無機物、エッチングガス由来のハロゲン化物などからなる複雑な組成の化合物となっているサイドウォールを容易に除去できる除去液の開発が求められている。
また、廃液処理に関するコストダウンの観点から可能な限り廃水処理負荷の小さいサイドウォール除去液が求められている。
【0012】
本発明は配線材料を腐食することなく、低温でかつ短時間でサイドウォールを除去することを可能とし、廃水処理負荷の小さい剥離液を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、硝酸と硫酸および/またはリン酸との水溶液であることを特徴とするサイドウォール除去液が配線材料を腐食することなく低温でかつ短時間でサイドウォールを除去することが可能であることを見だし本発明に至った。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
本発明のサイドウォール除去液は通常、水溶液として提供される。硝酸は主にサイドウォールを除去するのに有効な成分として作用しており、硝酸の濃度は除去液全体に対して0.01〜50重量%の範囲が好ましい。これより硝酸濃度が低いとサイドウォールを完全に除去することが出来ない。一方、これより硝酸濃度が高くても効果の向上は認められない。
【0015】
硫酸および/またはリン酸は主に配線材料の腐食を押さえるのに有効な成分として作用しており、硫酸および/またはリン酸の濃度は組成物全体に対して0.001〜30重量%の範囲が好ましい。硫酸および/またはリン酸濃度がこれより低いと配線材料の腐食を押さえることができない。また、これより添加量が多くても効果の向上はない。
【0016】
図1(イ)〜(ホ)は、本発明のサイドウォール除去液を用いてサイドウォールを除去する工程を説明する説明図である。
【0017】
本発明の原理は明らかではないが、発明者らは以下のように推測している。
サイドウォールを除去するメカニズムは、主に硝酸が配線材料の金属成分をごく僅か溶解することによりその外側にあるサイドウォールが剥離されるものと推測される。
【0018】
一方、腐食を押さえるメカニズムは、硫酸および/またはリン酸が金属腐食のインヒビターとして作用したものと推測される。
【0019】
(イ)は、シリコン基板1の上にSiO2などの絶縁層2、その上に配線材料となるAlなどの金属層3を形成し、その上にポジ型フォトレジスト層4を形成し、さらにその上にフォトマスク5を重ねて露光する工程を示す。光の当たった部分のレジストがアルカリ水溶液現像液に可溶となる。
【0020】
(ロ)は、現像処理を行ってレジストパターンを形成する工程を示す。光の当たった部分のレジストが除去される。
【0021】
(ハ)は、露出した金属層3をドライエッチング処理する工程を示す。レジストが除去された部分の金属層3がエッチングされると同時にサイドウォール6が形成される。サイドウォール6は残った金属層3が過剰にエッチングされるのを保護する役割もある。
【0022】
(ニ)は、アッシングによりレジストパターン4を除去することにより金属配線パターン3を得る工程を示す。
【0023】
(ホ)は、本発明のサイドウォール除去液を用いてサイドウォール6を除去する工程を示す。本発明のサイドウォール除去液を用いることにより配線材料を腐食することなく低温(50℃以下、好ましくは50℃〜10℃)でかつ短時間(60分以下、好ましくは1分〜30分)でサイドウォール6を除去することができる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
(基板の作成)
シリコンウエハー基板上にSiO2膜を形成し、その上にAl−Cu層を形成した。この上にノボラックタイプのフォトレジストを塗布し、露光、現像してレジストパターンを形成した。塩素系ガスにより、ドライエッチングを行った後、アッシングによりサイドウォール以外のレジストを除去して試験用基板を得た。
(実施例1〜16)
上記基板を表1、表2に示す組成の本発明のサイドウォール除去液に浸漬し、水リンス、乾燥後、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察評価した。結果を表1、表2に示す。
(比較例1〜3)
上記基板を表3に示す組成の液に浸漬し、水リンス、乾燥後、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察評価した。結果を表3に示す。
【0025】
除去性 ◯:サイドウォールが完全に除去されている。
【0026】
×:サイドウォールが除去されない。
【0027】
腐食性 ◯:配線材料に腐食は認められない。
【0028】
×:配線材料に腐食が認められる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表1から、本発明の硫酸を添加したサイドウォール除去液(実施例1〜10)を用いることにより配線材料を腐食することなく低温でかつ短時間でサイドウォールを除去することができることが判る。
【0033】
表2から、本発明のリン酸を添加したサイドウォール除去液(実施例11〜16)を用いることにより配線材料を腐食することなく低温でかつ短時間でサイドウォールを除去することができることが判る。
それに対して硝酸水溶液(比較例1〜3)を用いるとサイドウォールを除去することはできたが、配線材料に腐食が認められた。(表3)
【0034】
【発明の効果】
本発明のサイドウォール除去液を用いることにより配線材料を腐食することなく低温でかつ短時間でサイドウォールを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン基板上のSiO2などの絶縁層2、その上に配線材料となるAlなどの金属層3を形成し、その上にポジ型フォトレジスト層4を形成し、さらにその上にフォトマスク5を重ねて露光する工程。
【図2】現像処理を行ってレジストパターンを形成する工程。
【図3】露出した金属層3をドライエッチング処理する工程。
【図4】アッシングによりレジストパターン4を除去することにより金属配線パターン3を得る工程。
【図5】本発明のサイドウォール除去液を用いてサイドウォール6を除去する工程。
【符号の説明】
1シリコン基板
2絶縁層
3金属層
4ポジ型フォトレジスト
5フォトマスク
6サイドウォール
Claims (7)
- 硝酸と硫酸および/またはリン酸との水溶液であることを特徴とするドライエッチングの際にフォトレジストと配線材料とエッチングガスの化学反応により生成するサイドウォールの除去液。
- 硝酸濃度が0.01重量%〜50重量%である請求項1記載のサイドウォール除去液。
- 硫酸および/またはリン酸濃度が0.001〜30重量%である請求項1または2記載のサイドウォール除去液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液を用いたドライエッチングの際にフォトレジストと配線材料とエッチングガスの化学反応により生成するサイドウォールの除去方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液にドライエッチングの際にフォトレジストと配線材料とエッチングガスの化学反応により生成するサイドウォールが付着した基板を浸漬させ、その後水リンスし、続いて乾燥させるサイドウォール除去方法。
- 半導体製造工程でのドライエッチングの際にフォトレジストと配線材料とエッチングガスの化学反応により生成するサイドウォールを請求項1乃至3のいずれかに記載のサイドウォール除去液で洗浄する工程を含むことを特徴とするパターンの形成方法。
- 請求項4または5に記載の方法により洗浄された構造体。
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