JP4207273B2 - ナフタレンジカルボン酸の製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ジアルキルナフタレンの液相酸化によるナフタレンジカルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナフタレンジカルボン酸、特に2,6-ナフタレンジカルボン酸(以下、2,6-NDCAと記す)及びそのエステルは、高機能性ポリエステルの原料として有用な物質である。従来、2,6-ジアルキルナフタレンや2- アルキル -6- アシルナフタレンおよびその誘導体を、低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒中でコバルト、マンガン及び臭素を含む触媒を用いて酸化し、2,6-NDCAを得る方法が、特公昭56−3337号、特開昭60−89445号、米国特許第5183933号(特表平6−503586号)等に多数提案されている。
【0003】
一般にジアルキルナフタレンの酸化では、パラキシレンの酸化によるテレフタル酸の製造の場合と異なり、ナフタレン環の開裂によるベンゾトリカルボン酸の副生が多い。特に2,6-ジアルキルナフタレンの場合にはトリメリット酸(以下、TMAと記す)が副生する。しかも、TMA等のベンゾトリカルボン酸は重金属触媒のコバルト、マンガン等と低級脂肪族カルボン酸溶媒に対して難溶性の錯塩を形成し、重金属触媒を不活性化させる。重金属触媒が不活性化し触媒として有効な濃度が低下すると、更にTMAの副生が増大し、重金属触媒の不活性化が促進される悪循環を招き、最悪の場合は酸化反応が停止する。
【0004】
反応で副生するTMAが母液の循環使用で蓄積し重金属触媒を不活性化させることに対しては、TMA錯塩の形成量に見合うようにコバルト、マンガン等の重金属触媒濃度を高める方法が用いられている(米国特許第5183933号、特開平7−48314号等)。特に米国特許第5183933号の方法では、コバルトに比して安価なマンガンを多量に使用するのが好ましいとされている。
しかしながら、このように重金属触媒を多量に使用する方法では、2,6-NDCA結晶中に多量のTMA重金属錯体が析出し、結晶中の重金属触媒濃度が非常に高くなる。この結晶中の重金属は、触媒の損失となるだけでなく、2,6-NDCAの精製工程に於いて閉塞等の問題を起こす原因となる。
【0005】
2,6-NDCA結晶中に多量のTMA重金属錯体が析出することに対しては、2,6-NDCA結晶中のTMA重金属錯体を除去し、重金属触媒を回収する方法が、幾つか提案されている。例えば、特開平1−121237号では、TMA重金属錯体が水に対して比較的高い溶解度を有すること利用して、2,6-NDCAの結晶を水で洗浄し、その洗浄液に炭酸イオンを生じる化合物を添加して重金属触媒を不溶性の炭酸塩として回収する方法が示されている。また、米国特許第5183933号では、酸化反応生成物に水を添加し低級脂肪族カルボン酸溶媒中の水分濃度を高めてTMA重金属錯体を溶解した後、2,6-NDCA結晶と溶媒を固液分離する方法が示されている。
【0006】
しかしながら、2,6-NDCA結晶中の重金属触媒を水で洗浄し回収する方法(特開平1−121237号)では、触媒回収後の廃水にTMA等の有機物が溶解しているためその処理に費用がかかり、工業規模での実施には適さない。
また、米国特許第5183933号の方法では、母液中の水分濃度が高くなる為、触媒及び低級脂肪族カルボン酸を回収再使用するには母液中の水分を除去しなければならず、これに大量のエネルギーを必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上の如く2,6-ジアルキルナフタレンを酸化して2,6-NDCAを製造する方法では、反応で副生するTMAが重金属触媒を不活性化させるので、大量の重金属触媒を用いなければならず、これにより2,6-NDCA結晶中に多量のTMA重金属錯体が析出することになる。また母液を循環使用すれば、TMAが蓄積するので更に大量の重金属触媒を用いなければならず、2,6-NDCA結晶中に更に多量のTMA重金属錯体が析出することになる。
この2,6-NDCA結晶中の重金属触媒を回収するには大量の水を用いる必要があるので、重金属触媒成分や溶媒(低級脂肪族カルボン酸)を有効に回収することが困難である。
本発明の目的は、ジアルキルナフタレンを酸化してナフタレンジカルボン酸を製造する方法において、重金属触媒や溶媒を有効に回収し、ナフタレンジカルボン酸を工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、2,6−ジメチルナフタレンを酸化して2,6−ナフタレンジカルボン酸を製造する際の上記の如き前述の課題を解決するために反応条件を鋭意検討した結果、特定の反応条件下、特にマンガン濃度を低くしてコバルトの比率を高めた触媒組成条件で反応し、2,6−ナフタレンジカルボン酸の結晶化を特定濃度範囲で行うことにより、2,6−ナフタレンジカルボン酸が高い収率で得られると共に、2,6−ナフタレンジカルボン酸の結晶へのベンゾトリカルボン酸と重金属の錯体の析出を抑え、結晶中の重金属濃度を著しく低減でき、重金属触媒や溶媒を有効に回収できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
即ち本発明は、2,6−ジメチルナフタレンを、酢酸中でコバルト化合物、マンガン化合物及び臭素化合物からなる触媒の存在下に、分子状酸素を含むガスを用いて酸化して2,6−ナフタレンジカルボン酸を製造するに際して、2,6−ジメチルナフタレン1グラムモルに対して反応器に供給するコバルトとマンガンの合計量を0.025〜0.1グラム原子、コバルトに対するマンガンの原子比を0.03〜0.5とし、160〜240℃の温度で酸化反応を行ない、反応生成物に臭素イオンを発生する化合物を添加し臭素イオン濃度を3000〜5000ppmに調整した後、2,6−ナフタレンジカルボン酸の濃度が8〜30重量%の範囲において反応生成物中の固液分離を行ない、得られた結晶を水分濃度10%以下の酢酸に分散させ再度固液分離してコバルトとマンガン濃度の低い2,6−ナフタレンジカルボン酸を得つつ、弱塩基性陰イオン交換樹脂を使用し母液中の触媒を回収することを特徴とする2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で原料として用いられるジアルキルナフタレンとしては、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン及びその酸化誘導体が挙げられる。高機能性ポリエステルの原料にはジアルキルナフタレンの2,6-体が一般に用いられ、原料として入手の容易性等から2,6-ジメチルナフタレンが最も好適に用いられる。
液相酸化で溶媒として使用される低級脂肪族カルボン酸としては蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等、或いはこれらの混合物が挙げられるが、熱安定性や非腐食性等から、酢酸が最も好ましい。溶媒には水が含有されていても良いが、水の含有量は好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。水の含有量が多すぎるとTMA等のベンゾトリカルボン酸の生成量が増加し易い。溶媒の使用量は酸化原料のジアルキルナフタレンに対して2〜20重量倍、好ましくは2.5〜15重量倍である。
【0011】
本発明では酸化触媒として、コバルト化合物、マンガン化合物及び臭素化合物が用いられるが、必要に応じてこれに鉄、セリウム、ニッケル等の重金属化合物を添加しても良い。用いられるコバルト、マンガン及びその他の重金属化合物としては、有機酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩等が例示し得るが、特に酢酸塩及び臭化物が好ましい。また、臭素化合物としては、反応系で溶解し、臭素イオンを発生するものであれば如何なるものでも良く、臭化水素、臭化ナトリウム及び臭化コバルト等の無機臭化物、ブロモ酢酸等の有機臭化物を例示し得るが、特に臭化水素、臭化コバルト、臭化マンガンが好ましい。
【0012】
本発明における酸化反応条件は、反応で生成するTMA等と触媒重金属の錯体が2,6-NDCA等の結晶中に析出するのを抑制する条件が選ばれる。本発明者等の検討によれば、TMA等の重金属錯体の溶解度は、一般的な電解質の溶解度と同様に溶解度積の形で表される。従って、TMA等の重金属錯体が2,6-NDCA等の結晶中に析出するのを抑えるには、反応で副生するTMA等の濃度と重金属触媒の濃度の積が、より小さくなる様な反応条件が好適である。
更に本発明者等は、TMAとマンガンの錯体はTMAとコバルトの錯体に比べ低級脂肪族カルボン酸溶媒への溶解度が小さく、2,6-NDCA結晶中に析出し易いことを見い出した。従って、マンガンの使用量を必要最低限度に抑え、相対的にコバルトの使用比率を高めることで、TMA重金属錯体の2,6-NDCA結晶中への析出を著しく低減することが出来る。
【0013】
以上より本発明の酸化反応におけるコバルトとマンガンの使用量は、次のような条件が選定される。
まず、コバルトとマンガンの合計量は、酸化原料のジアルキルナフタレン1グラムモルに対して、0.025〜0.1グラム原子、好ましくは0.03〜0.08グラム原子の範囲となるように反応器に供給する。この範囲内で触媒金属の使用量が多いほどTMAの副生量が低減され、高い収率で2,6-NDCAを得ることが出来る。しかしながら、この範囲よりも金属使用量を多くしてもその効果は頭打ちとなり、過剰の触媒金属がTMAと錯体を形成して2,6-NDCA結晶中に多量に析出することになる。一方、重金属触媒使用量がこの範囲よりも少ない場合には、TMAの生成が大幅に増大し、やはりTMA重金属錯体の結晶への析出が多くなり、最悪の場合は反応が停止する。
【0014】
次に、重金属触媒中のマンガンとコバルトの比率は、コバルトに対するマンガンの原子比で0.03〜0.5、好ましくは0.05〜0.4、より好ましくは0.07〜0.3の範囲とする。この範囲よりもマンガンの比率が高い場合には、TMA重金属錯体が結晶中に多量に析出する。一方、この範囲よりもマンガンの比率が低い場合には、TMAの副生量が増大し、やはりTMA重金属錯体の結晶への析出が増大する。
【0015】
また臭素量は、酸化原料のジアルキルナフタレン1グラムモルに対して、0.005〜0.2グラム原子、好ましくは0.01〜0.15グラム原子、より好ましくは0.02〜0 .1グラム原子の範囲となるように反応器に供給する。この範囲に於いては臭素濃度が高いほど、TMAの副生量が減少し、しかもTMA重金属錯体の溶解度が高くなる。しかし、この範囲よりも臭素濃度が高くなると、ナフタレンジカルボン酸の核臭素化物や着色物質の生成が多くなる。臭素濃度がこの範囲よりも低くなるとTMAの副生量が増加し、TMA重金属錯体の結晶への析出量が多くなる。
【0016】
本発明における酸化反応の温度は160〜240℃、好ましくは180〜220℃の範囲である。この範囲より低い反応温度では、TMAの生成が増大し、さらに6-ホルミル- 2-ナフトエ酸等の反応中間体が多量に生成物中に残存する。またこの範囲より高い反応温度にしても、TMA生成量を低減できず、しかも低級脂肪族カルボン酸溶媒の燃焼量が増大するため好ましくない。
反応圧力は、5〜40 kg/cm2 G 、好ましくは10〜30 kg/cm2 G の範囲である。反応器内の酸素分圧としては、0.005kg/cm2 (絶対圧)以上とするのが好ましく、酸素分圧がこれより低いと反応中間体の生成量が多くなり2,6-NDCAの収率が低下する。
【0017】
本発明で使用される分子状酸素を含むガスとしては、酸素ガスまたは酸素を窒素、アルゴン等の不活性ガスと混合したガスが挙げられるが、空気が最も一般的である。
反応の方式は、原料のジアルキルナフタレンの全量を予め反応器に仕込む回分方式よりは、半回分方式または連続方式が好ましい。
【0018】
酸化反応で生成したナフタレンジカルボン酸の結晶は、固液分離機により溶媒と分離される。本発明の方法では、反応生成物スラリー中のナフタレンジカルボン酸の濃度が、8〜30重量%、好ましくは10〜25重量%、更に好ましくは12〜20重量%の範囲で固液分離を行なう。反応生成物スラリー中のナフタレンジカルボン酸の濃度が上記範囲よりも高い場合は、副生するTMA等の濃度も高くなり、分離されたナフタレンジカルボン酸の結晶中に多量のTMA等の重金属錯体が残留する。一方、溶媒量が多くなりナフタレンジカルボン酸の濃度が小さくなるほど、TMAや重金属触媒の濃度が低くなりTMA等の重金属錯体の析出を抑えることが出来る。しかしながら、溶媒量が多くなると固液分離機の負荷が大きくなるので、過剰な量の溶媒を使用するのは好ましくない。
【0019】
なお、酸化反応器から抜き出された反応生成物スラリー中のナフタレンジカルボン酸の濃度が上記範囲よりも高い場合には、低級脂肪族カルボン酸を添加してスラリーを希釈し、逆にナフタレンジカルボン酸の濃度が低い場合には、スラリーを加熱して溶媒を蒸発させて濃縮する方法により、ナフタレンジカルボン酸の濃度を上記の範囲に調節する事が出来る。
また、結晶中のTMA等の重金属錯体濃度を低減するために、必要に応じて、反応生成物スラリーに臭素イオンを発生する化合物を添加することにより、TMA等の重金属錯体の溶解度を高めて、結晶中の重金属錯体を溶解してから固液分離を行うことも行われる。添加する臭素イオンを発生する化合物としては、臭化水素酸、臭化ナトリウム、臭化カリウム等が例示されるが、臭化水素酸が最も好ましい。
【0020】
固液分離機の形式としては、遠心沈降機、遠心濾過機、真空濾過機等が挙げられる。これらの分離機で分離されるケーキは、不純物や酸化触媒を溶解している母液を含んでいる。従ってより純度の高いナフタレンジカルボン酸の結晶を得るために、反応生成物を固液分離して得られた結晶(ケーキ)を洗浄することが好ましい。
この結晶を洗浄する方法としては、▲1▼分離機内でケーキを洗浄液と接触させて結晶に付着する母液を置換する方法や、あるいは▲2▼反応生成物を固液分離して得られた結晶(ケーキ)を、低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒に分散させた後、再度固液分離する方法が用いられる。
なお、再度固液分離して得られた母液の少なくとも一部を循環して反応生成物に添加し一段目の固液分離を行なうこともでき、これにより洗浄に用いる低級脂肪族カルボン酸の使用量を削減することができる。
【0021】
以上の洗浄液には水や低級脂肪族カルボン酸を使用するのが適当であるが、本発明の方法では、大量の水を用いてTMA等の重金属錯体を溶解する必要は無く、水分濃度10%以下の低級脂肪族カルボン酸溶媒で充分に洗浄できる。
従来のプロセスで粗ナフタレンジカルボン酸の結晶に含まれる触媒重金属分を低下させるためには大量の水を使用しなければならず、該洗浄廃液から触媒成分を回収することが困難であった。これに対して本発明の方法では水分濃度10%以下の低級脂肪族カルボン酸溶媒で洗浄できるので、該洗浄廃液は酸化反応の溶媒として直接に使用することができ、系内に添加される水量が著しく減少する。従って本発明によりエネルギーを大量に消費することなく触媒成分や溶媒が有効に回収され、酸化反応に利用されることになる。
【0022】
固液分離で得られたナフタレンジカルボン酸の粗結晶は、精製して高純度のナフタレンジカルボン酸とすることや、或いはメタノールでエステル化してナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルにした後、精製して高純度ナフタレンジカルボン酸ジメチルとすることで、高機能性ポリエステルの原料として使用できる。従来のプロセスでは、これらの精製工程において粗ナフタレンジカルボン酸に含まれる触媒重金属分が配管の閉塞等の問題を発生させる原因になるが、本発明の方法では粗ナフタレンジカルボン酸に含まれる重金属分の濃度が低いので、このような問題を回避することができる。
【0023】
一方、固液分離で得られた母液は、酸化触媒成分の大部分を含有している。この触媒成分、特に重金属触媒は高価であるので、回収して再使用することが必要である。触媒を再使用する最も簡単な方法として通常用いられるのは、母液をそのまま反応器に再循環する方法である。しかしながら、本発明の方法では反応で生成したTMA等の大部分がこの母液中に含まれており、この母液を反応器に循環することは、酸化反応系内にTMA等を蓄積させ、TMA等の重金属錯体の結晶への析出をもたらす結果となる。よって、母液の大部分を反応器に再循環することは好ましくなく、母液の循環割合はTMA等の重金属錯体が酸化反応系内で析出しないような比率に抑える必要がある。
【0024】
本発明において母液中の触媒を回収再使用する方法として好ましいのは、触媒成分を化学的または物理的な手段で母液から分離して回収する方法であり、特開昭51−97592号等に示される母液に蓚酸イオンを添加し難溶性の蓚酸塩として重金属触媒を回収する方法、あるいは特開昭53−104590号等に示されるイオン交換樹脂を用いる方法などが例示される。
特に好ましいのは、重金属成分だけでなく臭素イオンも同時に回収される陰イオン交換樹脂を用いる方法である。この方法で用いられる陰イオン交換樹脂としては、第一、第二、第三級アミン及び第4級アンモニウム型の強塩基性及び弱塩基性の陰イオン交換樹脂のいずれも使用可能であり、例えばアンバーライトIRA−900、アンバーライトIRA−96SB(商標名、オルガノ社製)、ダウエックスI−X4(商標名、ダウケミカル社製)、ダイヤイオンSA10(商標名、三菱化学社製)等が挙げられる。陰イオン交換樹脂を用いる方法において、処理する母液中の水分濃度は15重量%以下が好ましく、水分濃度が15重量%を超えると金属の回収率が低下する。本発明の方法では、母液及び粗ナフタレンジカルボン酸結晶の洗浄液の水分濃度を15重量%以下に出来るので、蒸留等の水分濃度を下げる処理なしでそのまま陰イオン交換樹脂による触媒回収処理を行える。
なお、陰イオン交換樹脂による方法では、触媒金属成分のコバルト及びマンガンに対して2倍モルの臭素イオンが同時に吸着される。従って、処理する母液中の臭素イオンの金属成分に対するモル比は2以上とするのが好ましく、必要に応じて臭化水素酸等の臭素イオンを発生する化合物を母液に添加する。また、陰イオン交換樹脂に吸着した金属及び臭素を溶離回収するには、水、もしくは15重量%以上、好ましくは25重量%以上の水分を含む低級脂肪族カルボン酸溶媒が溶離液として用いられる。
この陰イオン交換樹脂を用いる方法及び前述の蓚酸を用いる方法では、以下の実施例に示されるように、高価な重金属であるコバルトに関してはいずれも99%を越える回収率が得られ、母液側から失われるコバルト触媒は極めて少ない量に抑えることが出来る。
【0025】
【実施例】
次に実施例によって本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により制限されるものではない。
なお、表1において DMN,Co,Mnは、各々、反応器への原料の2,6-ジメチルナフタレン、コバルト触媒およびマンガン触媒の供給量を示す。
また、表1〜3において、コバルト (マンガン) 残留率は、コバルト (マンガン) 供給量に対する結晶中に残留したコバルト( マンガン) の割合を示す。
【0026】
実施例1
氷酢酸に、酢酸コバルト・ 4水塩、酢酸マンガン・ 4水塩、47重量%臭化水素酸水溶液及び水を混合し溶解させ、コバルト濃度0.20重量%、マンガン濃度0.05重量%、臭素濃度0.30重量%、水分濃度3重量%の触媒液を 320g調合した。
撹拌機、還流冷却器及び原料送液ポンプを備えた500ml チタン製オートクレーブに、前記の触媒液 120gを仕込んだ。残りの触媒液 200gは、2,6-ジメチルナフタレン40gと混合し原料供給槽に仕込み、加熱してジメチルナフタレンを溶解させ、原料液を調製した。
窒素で反応系内の圧力を 18kg/cm2 G に調整し、撹拌しながら温度200 ℃に加熱した。温度、圧力が安定した後、原料液及び圧縮空気を反応器に供給し酸化反応を開始した。排ガス中の酸素濃度が約2容量%になるように供給空気流量を調節しながら、原料液を1時間かけて連続的に供給した。原料液の供給終了後、排ガス中の酸素濃度が10容量%になるまで空気の供給を継続した。
反応終了後、オートクレーブを約70℃に冷却して反応生成物を取り出し、ガラスフィルターで吸引濾過し結晶と母液を分離した。フィルター上のケーキを氷酢酸80gで洗浄した後、乾燥し、粗2,6-NDCAの結晶52.6gを得た。
得られた結晶の組成及び反応収率を表1に示す。結晶中の重金属触媒の濃度は非常に低く、供給した量に対してコバルトは98.7重量%、マンガンは97.9重量%が分離した母液中に回収されている。
【0027】
実施例2
触媒液の組成をコバルト濃度0.15重量%、マンガン濃度0.06重量%、臭素濃度0.30重量%、水分濃度3重量%とした他は、実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶52.4gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。
【0028】
実施例3
触媒液の組成をコバルト濃度0.30重量%、マンガン濃度0.05重量%、臭素濃度0.30重量%、水分濃度3重量%とした他は実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶52.8gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。
【0029】
実施例4
反応温度220 ℃、反応圧力 20kg/cm2 G とした他は実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶52.3gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。
【0030】
実施例5
反応温度 180℃、反応圧力 16kg/cm2 G とした他は実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶52.1gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。
【0031】
実施例6
氷酢酸に、酢酸コバルト・ 4水塩、酢酸マンガン・ 4水塩、47重量%臭化水素酸水溶液及び水を混合し溶解させ、コバルト濃度0.24重量%、マンガン濃度0.04重量%、臭素濃度0.30重量%、水分濃度3重量%の触媒液 325gを調合した。
実施例1で用いた500ml チタン製オートクレーブに、前記の触媒液 125gを仕込んだ。残りの触媒液 200gは、2,6-ジメチルナフタレン50gと混合し原料供給槽に仕込み、加熱してジメチルナフタレンを溶解させ、原料液を調製した。以後は実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶65.8gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。
【0032】
比較例1
触媒液の組成をコバルト濃度0.40重量%、マンガン濃度0.10重量%、臭素濃度0.30重量%、水分濃度3重量%とした他は実施例1と同様にして酸化反応を実施し、粗2,6-NDCAの結晶53.5gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。重金属触媒の使用量が多くなるとTMAの副生が減少するが、結晶中に残留する重金属触媒量、特にマンガン濃度が高くなっている。
【0033】
比較例2
触媒液の組成をコバルト濃度0.08重量%、マンガン濃度0.02重量%、臭素濃度0.30重量%、水分濃度3重量%とした他は実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶50.7gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。重金属触媒の使用量が少ない場合には、2,6-NDCAの収率が低下し、TMAや2-ホルミル-6- ナフトエ酸の副生が非常に多くなる。
【0034】
比較例3
触媒液の組成をコバルト濃度0.15重量%、マンガン濃度0.10重量%、臭素濃度0.30重量%、水分濃度3重量%とした他は実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶52.9gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。触媒中のコバルトに対するマンガンの比率が高い場合には、マンガンが多量に2,6-NDCA結晶中に残留するだけでなく、コバルトの結晶中濃度も高くなっている。
【0035】
比較例4
触媒液の組成をコバルト濃度0.25重量%、マンガン濃度0.005 重量%、臭素濃度0.30重量%、水分濃度3重量%とした他は実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶51.0gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。コバルトに対するマンガンの比率が過小になると、2,6-NDCAの収率が低下すると共に、結晶中のコバルト濃度が高くなっている。
【0036】
比較例5
反応温度 150℃、反応圧力 14kg/cm2 G とした他は実施例1と同様にして酸化反応を行い、粗2,6-NDCAの結晶50.8gを得た。
得られた結晶の組成、反応収率及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表1に示す。反応温度が低くなると、TMAや2-ホルミル-6- ナフトエ酸の副生が非常に多くなり、2,6-NDCAの収率が低下している。また、結晶中の重金属触媒濃度も高くなっている。
【0037】
【表1】
【0038】
【0039】
比較例6
氷酢酸7kgに、酢酸コバルト・ 4水塩、酢酸マンガン・ 4水塩、47重量%臭化水素酸水溶液及び水を混合し溶解させ、コバルト濃度0.60重量%、マンガン濃度0.15重量%、臭素濃度0.75重量%、水分濃度2重量%の触媒液を調合した。
撹拌機、還流冷却器を備えた内容積約3Lのチタン製反応器に、前記の触媒液1200gを仕込んだ。また、触媒液とは別の槽に純度99.7重量%の2,6-ジメチルナフタレンを仕込み、120 ℃以上の温度に加熱して溶融させた。
窒素で反応器内の圧力を 14kg/cm2 G に調整し、撹拌しながら温度200 ℃に加熱した。温度、圧力が安定した後、2,6-ジメチルナフタレンを反応器に 300g/hrの流量で供給し同時に圧縮空気を約 0.3Nm3 /hr の流量で反応器に供給して酸化反応を開始した。2,6-ジメチルナフタレンを 450g供給した時点(反応開始より90分後)より、前記の触媒液の供給を 800g/hr の流量で開始し、続いて反応器内の液面が一定になるように反応生成物を常圧下にある受槽へ抜き出した〔(Co+Mn)/DMN=0.054 、Mn/Co=0.27 〕。
約8時間反応を継続した後、2,6-ジメチルナフタレン、触媒液、空気の供給を停止し反応を終了した。反応器内のスラリーも受槽に抜き出し、10.2kgの反応生成物スラリーを得た。スラリー中の2,6-NDCAの濃度は30.8重量%であった。
供給した2,6-ジメチルナフタレン基準の収率は、2,6-NDCAが94.8モル%、TMAが1.7 モル%、2-ホルミル-6- ナフトエ酸が0.27モル%であった。
以上の酸化反応により得られた反応生成物スラリー1000gを約70℃の温度でガラスフィルターを用いて吸引濾過して固液分離を行った。次にフィルター上のケーキを氷酢酸500gで洗浄した後、乾燥して粗2,6-NDCAの結晶を得た。得られた結晶の組成及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表2に示す。スラリー中の2,6-NDCA濃度が高い条件で固液分離を行うと、極めて大量の重金属触媒が結晶中に残留し、氷酢酸による洗浄では充分に除去できないことが分かる。
【0040】
実施例7
比較例6の酸化反応により得られた反応生成物スラリー1000gに水分濃度5重量%の含水酢酸300gを添加し、さらに47重量%臭化水素酸水溶液を添加して母液中の臭素イオン濃度を 5000ppmに調整した。これを約70℃の温度に保持し15分間撹拌した後、ガラスフィルターで吸引濾過して固液分離を行った。次にフィルター上のケーキを氷酢酸500gで洗浄した後、乾燥した。得られた粗2,6-NDCAの結晶の組成及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表2に示す。
【0041】
実施例8
比較例6の酸化反応により得られた反応生成物スラリー1000gに水分濃度5重量%の含水酢酸800gを添加し、さらに47重量%臭化水素酸水溶液を母液中の臭素イオン濃度が 3000ppmになるように添加した。その後、実施例7と同様の操作で、粗2,6-NDCAの結晶を得た。得られた結晶の組成及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表2に示す。
【0042】
実施例9
比較例6の酸化反応により得られた反応生成物スラリー1000gに水分濃度5重量%の含水酢酸800gを添加し、さらに臭化ナトリウムを母液中の臭素イオン濃度が 4000ppmになるように添加した。その後、実施例7と同様の操作で、粗2,6-NDCAの結晶を得た。得られた結晶の組成及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表2に示す。
【0043】
実施例10
比較例6の酸化反応により得られた反応生成物スラリー1000gに水分濃度5重量%の含水酢酸1200g を添加した。その後、実施例7と同様の操作で、粗2,6-NDCAの結晶を得た。得られた結晶の組成及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表2に示す。
【0044】
実施例11
比較例6の酸化反応により得られた反応生成物スラリー1000gに水分濃度5重量%の含水酢酸 1200gを添加した。これを約70℃の温度に保持し15分間攪拌した後、ガラスフィルターで吸引濾過し固液分離を行った。次に、分離したケーキに水分濃度5重量%の含水酢酸を加え合計 1600gとした。このスラリーを約70℃の温度で保持し15分間攪拌した後、再度ガラスフィルターで吸引濾過し固液分離を行った。分離したケーキを乾燥して得られた結晶の組成及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表3に示す。
【0045】
比較例7
触媒液中の重金属触媒の濃度をコバルト0.20重量%、マンガン0.60重量%とした他は比較例6と同様にして酸化反応を実施し、10.3kgの反応生成物スラリーを得た。スラリー中の2,6-NDCAの濃度は30.2重量%であった〔(Co+Mn)/DMN=0.060 、Mn/Co=3.22 〕。
供給した2,6-ジメチルナフタレン基準の収率は、2,6-NDCAが93.9モル%、TMAが2.5 モル%、2-ホルミル-6- ナフトエ酸が0.31モル%であった。
次に、反応で得られたスラリー1000gに、実施例11と同様に水分濃度5重量%の含水酢酸 1200gを添加した後、固液分離した。更に実施例11と同様の方法で分離したケーキに水分濃度5重量%の含水酢酸を加えスラリー化した後、再度固液分離を行いケーキを乾燥して粗2,6-NDCAの結晶を得た。得られた結晶の組成及び結晶中に残留した重金属触媒の割合を表3に示す。
触媒中のコバルトに対するマンガンの比率が高い場合には、比較例3と同様に洗浄後も2,6-NDCA結晶中に多量の重金属触媒が残留している。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
実施例12
実施例10で得られた分離母液と洗浄液の混合液(コバルト濃度 0.150重量%,マンガン濃度 0.037重量%,水分濃度 5.3重量%) 200g に蓚酸・2 水和物を0.9g添加し、10分間攪拌した後、生成した沈殿をフィルターで分離した。分離した母液中の触媒金属濃度はコバルトが1.2ppm、マンガンが15ppm で、蓚酸塩結晶への金属回収率はコバルトが99.92 重量% 、マンガンが96.0重量% であった。
実施例10の結果で示される2,6-NDCA結晶中に残留した触媒金属と本実施例で母液から回収されなかった触媒金属の合計量より、プロセス全体での酸化反応触媒の回収率を求めると、コバルト回収率は98.7重量% 、マンガン回収率は94.6重量% で、非常に良好な値が得られている。
【0049】
実施例13
実施例10で得られた分離母液と洗浄液の混合液に47重量% 臭化水素酸水溶液を添加し、コバルト濃度 0.149重量% 、マンガン濃度 0.037重量% 、臭素イオン濃度0.56重量% 、水分濃度 5.8重量% に調合した (金属に対する臭素イオンのモル比は2.2)。
この液を、予め臭化水素酸の酢酸溶液を通液して臭素イオン型にした弱塩基性陰イオン交換樹脂 (オルガノ社製、IRA96SB)50mlを充填したジャケット付イオン交換塔 (内径20mm、70℃に調節) に、流量 250 g/hr で 2.5時間供給した。得られた流出液の組成及び金属と臭素の回収率を表4に示す。
続いてこのイオン交換塔に水を35重量% 含む酢酸溶液を流量 250 g/hr で 1時間供給し、吸着した触媒を溶離した。溶離液中の金属及び臭素イオンは、それぞれの吸着量に見合う量であった。
実施例10の結果で示される2,6-NDCA結晶中に残留した触媒金属と本実施例で母液から回収されなかった触媒金属の合計量より、プロセス全体での酸化反応触媒の回収率を求めると、コバルト回収率は98.6重量% 、マンガン回収率は93.7重量% で、非常に良好な値が得られている。
【0050】
参考例
実施例10で得られた分離母液と洗浄液の混合液に47重量% 臭化水素酸水溶液及び水を添加し、コバルト濃度 0.130重量% 、マンガン濃度 0.032重量% 、臭素イオン濃度0.49重量%(金属に対する臭素イオンのモル比は2.2)、水分濃度18重量% に調合した以外は、実施例13と同様の方法でイオン交換塔に供給して触媒の回収を行った。得られた流出液の組成及び金属と臭素の回収率を表4に示す。
供給液の水分濃度が高い場合には、触媒の回収率が低下することが分かる。
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】
以上の実施例から示されるように、本発明の方法によれば、(1)トリメリット酸等の副生物の生成を抑えられて高い収率でナフタレンジカルボン酸を得ることができ、(2)トリメリット酸等のベンゾトリカルボン酸と錯塩を形成してナフタレンジカルボン酸の結晶に析出する重金属触媒の量が著しく低減されることにより、粗ナフタレンジカルボン酸の精製が容易になると共に、(3)高価な重金属触媒を非常に高い割合で容易に回収再使用することができ、(4)また系内で使用する水量が減少するので溶媒を回収するための使用エネルギーを削減することができる。
従って本発明の方法により、ナフタレンジカルボン酸を工業的に極めて有利に製造することができる。
Claims (2)
- 2,6−ジメチルナフタレンを、酢酸中でコバルト化合物、マンガン化合物及び臭素化合物からなる触媒の存在下に、分子状酸素を含むガスを用いて酸化した2,6−ナフタレンジカルボン酸を製造するに際して、2,6−ジメチルナフタレン1グラムモルに対して反応器に供給するコバルトとマンガンの合計量を0.025〜0.1グラム原子、コバルトに対するマンガンの原子比を0.03〜0.5とし、160〜240℃の温度で酸化反応を行ない、反応生成物に臭素イオンを発生する化合物を添加し臭素イオン濃度を3000〜5000ppmに調整した後、2,6−ナフタレンジカルボン酸の濃度が8〜30重量%の範囲において反応生成物中の固液分離を行ない、得られた結晶を水分濃度10%以下の酢酸に分散させ再度固液分離してコバルトとマンガン濃度の低い2,6−ナフタレンジカルボン酸を得つつ、弱塩基性陰イオン交換樹脂を使用し母液中の触媒を回収することを特徴とする2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造法。
- 再度固液分離して得られた母液の少なくとも一部を循環して反応生成物に添加し一段目の固液分離を行う請求項1に記載の2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造法。
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