JP4207145B2 - 柔軟材の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体パネルとパネル間の挟所や車体の奥まった部位等に位置する車体の構造部材に形成されている開口を、治具を用いて柔軟材により閉塞する際に、治具の有効利用を図ることができる柔軟材の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車室内の騒音の侵入や風の侵入を防止するため、フロントピラーとフェンダーパネルとの間に騒音吸収用の遮音材が配設されることがある。遮音材を配設する場合は、タイヤのホイールハウスの泥よけとしてのフェンダーライナーを外した状態で、その開口から奥に押し込むようにして所定の場所に取付けなければならない。遮音材は、スポンジ状でフレキシブル性を有するため、フロントピラーとフェンダーパネル間に装着する際に、取付け位置まで人手が入らなかったりするような場合は、遮音材が挟所に詰まってしまったり、捻れてしまうこともあり、遮音材を奥まった位置の所定の場所に、所期の姿勢で取り付けることが困難であった。
【0003】
特開平11−227635号公報によれば、図13に示すように、遮音材51が、形状保持基材52に接着剤を付着して取付けられ、形状保持基材52により遮音材51の形状を保持させるようにしている。そして、フェンダーライナー53を外した状態でタイヤハウスの側から遮音材51をフロントピラー54とフェンダーパネル55との間に配設できるようにし、ネジ56により形状保持基材52をフロントピラー54に固定するようにして、遮音材51を取付けている。なお、図中の符号57はフロントドアである。
【0004】
また、特開2000−1178号公報によれば、図14に示すように、遮音材61は、その内部に心材62を埋設して心材62により遮音材61の形状を保持させるようにしている。そして、タイヤハウスの側から遮音材61をフロントピラー64とフェンダーパネル65との間に配設できるようにして、心材62に形成した図示しない取付部をネジ等によりフロントピラー64に固定するようにして、遮音材61を配設している。なお、図中の符号67はフロントドアであり、68はドアヒンジである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図13に示すように、遮音材51に接着剤または両面テープ等を用いて遮音材51を形状保持基材52に取付けるようにする方法は、接着剤の塗布または両面テープ等の取付け作業を行わなければならないので、取付工数が増えてしまう。また、図14に示すように、遮音材61に心材62を埋設する方法では、インサート成形する金型設備が高価になり、製品単価が上昇してしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、柔軟材を狭く奥まったような場所で人手が届かないような所でも容易に柔軟材を配設することができる柔軟材の取付構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の柔軟材の取付構造は、車体の奥まった部位に位置し該車体の構造部材に形成されている開口を柔軟材により閉塞し、該柔軟材を取付部材により上記構造部材に固定する柔軟材の取付構造において、前記柔軟材に形成した袋部又はバンド部に、前記取付部材の一部を差し込んで係止し、前記取付部材配置用治具として用いることにより前記柔軟材を前記奥まった部位に配置して前記開口を閉塞した後、前記取付部材を前記袋部又はバンド部に差し込んだまま上記構造部材に固定した
また上記取付部材の一部を袋部又はバンド部に差し込んで係止し前記柔軟材を前記奥まった部位に配置して前記開口を閉塞した後に、前記取付部材を前記袋部又はバンド部から引き抜いて上記構造部材に固定することできる。その場合に、上記袋部またはバンド部に脆弱部を形成しておけば、上記袋部またはバンド部に差し込んだ取付部材前記脆弱部を引き裂くようにして前記柔軟材から離脱させることもできる。
さらに上記構造部材にスタッドボルトをけ、上記取付部材に形成した孔を前記スタッドボルトの軸部係止取付部材を前記構造部材に固定することできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による柔軟材の取付構造について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の柔軟材の取付構造を採用している自動車1の斜視図であり、図2は、柔軟材としての遮音材2を取付部材3により固定している状態を示す斜視図であり、図3はその正面図であり、図4はその側面図である。
自動車1のタイヤ4の周部上側の車体外側面には、フェンダーパネル5が配設され、フェンダーパネル5の中間部とは間隔を開けてフロント側(Aピラー)のピラーパネル6が上下方向に配設されている。そして、自動車の構造物としてのこれらのフェンダーパネル5とピラーパネル6との間の隙間S(開口)には、遮音材2が装着されている。
【0008】
遮音材2は、ゴムまたは樹脂製でありフレキシブル性を有し、外力により容易に変形する性質を有する。遮音材2の形状は、隙間Sの形状にほぼ等しく、遮音材2を隙間Sに配設した状態では、隙間Sを閉塞する形状に形成している。すなわち、遮音材2は上下に長い長手状部材であり、車両の前方向から見た正面視では、図5に示すように、車幅方向内側に向く側面がピラーパネル6の外側面に対応させて、直線上に形成されている。他方、遮音材2の車幅方向外側に向く側面は、フェンダーパネル5面に対応して当接する形状に形成されている。すなわち、遮音材2の上端部及び下端部が先細形状であり、中間部が幅広の略三日月形状を有している。また、遮音材2の上部には下側に出入口7aを有する袋7を取付けている。袋7の配置場所は、遮音材2を取付けた状態にて、車両の前側に位置させる。袋7は、図6に示すように、遮音材2の上端部の表面にシート7bを張り付けたものを使用している。このシート7bは、遮音材2と同じ材質でも、異なる材質であってもよい。
【0009】
図3に示すように、遮音材2を隙間Sに配設した状態では、遮音材2が取付部材3により固定または抜け止めがされる。この取付部材3は、遮音材2を隙間Sに配置する際に、治具として用いることができるが、これについては後述する。
図7は、その取付部材3の正面図である。図に示すように、取付部材3は上側にかつ車幅方向外側に押さえ部8を形成し、この押さえ部8は図8及ぴ図9に示すように、ピラーパネル6よりも車幅方向外側のフェンダーパネル5側に突出させている。取付部材3の材質は、樹脂製であっても金属製であってもよく、取付部材3の上側と下側には、各々に取付部9,10を設けている。
【0010】
図10及び図11に示すように、この取付部9,10には、各々に取付孔9a,10aと一対の係止爪9b,9b及び係止爪10b,10bを形成している。一対の係止爪9b,9b間と係止爪10b,10b間の各々の幅は、基端側が広く、車両の後方側へ先端部が幅狭になるように傾斜して形成されている。
一方、フェンダーパネル5には、車体の前側に突出するスタッドボルト12,12が取付部9,10に対応する位置に固定され、一対の係止爪9b,9bの先端部間と係止爪10b,10bの先端部間は、スタッドボルト12,12の径よりも狭く形成されている。よって、係止爪9b,9b間と係止爪10b,10b間にスタッドボルト12,12の軸部を係止することができる。また、係止爪9b,9bと係止爪10b,10bの向きが車両の前側に狭くなるように向いているので、取付部材3が離脱しようとするときは、係止爪9b,9bと係止爪10,10bの先端部間が狭まわるので、スタッドボルト12から抜けることを防止する。また、図7、図10及び図11に示すように、取付部9の取付孔9aを角穴に形成し、取付部10の取付孔10aを丸穴に形成しているのは、取付部10側を基準として取付け、取付部9側は取付位置のバラツキを吸収するためである。
【0011】
図8及び図9に示すように、取付部材3の側面形状は下部がフェンダーパネル5の折り返し部13の形状に対応するように形成され、やや車両の後方側に曲げられている。また、遮音材2が取付けられた状態では、図8及び図9に示すように、フェンダーパネル5が車体の前方内側へ曲げられた折返し部13と、取付部材3の押え部8との間に規制される。よって、遮音材2の厚さは、取付部材3と折返し部13の先端部間に一致させる。また、図6に示すように、遮音材2の両側部にはフランジ2aを形成している。このような、遮音材2は、車両の左右両側に配設される。
なお、図8及び図9中のピラーパネル6の後方側には、フロントドア14が配設され、サイドボディインナパネル15とピラーパネル6とに形成されたフランジ16には、ウエザーストリップ17が設けられている。
【0012】
次に、遮音材2の取付手順について説明する。
この、遮音材2は、上記したように、フェンダーパネル5とピラーパネル6との間の隙間Sに配設される。隙間Sは、フロントドア14の前のピラーパネル6部にあり、遮音材2を装着するときには、タイヤハウス11から図示しないフェンダーライナーを取付けていない状態でそれを取付けなければならない。
実際に、フレキシブル性を有する遮音材2を隙間Sの奥まった部位に押し込むと、所定の位置に配置されるまでに、その形状が変形して捻れたり折り曲がったりしてしまう。
【0013】
そこで、図12の手順1に示すように、遮音材2の上端部にある袋7に取付部材3の一端部を挿入する。こうすると、取付部材3が遮音材2の心材の役目を果たし、遮音材2自体の形状が保持される。よって、作業者は、取付部材3の他端側を持って、隙間Sの上端側に遮音材2の上端部を押し込むようにして、遮音材2を隙間Sに配設することができる。
遮音材2が所定の部位に収納されたならば、手順2に示すように、遮音材2から取付部材3を下方に引くようにして袋7から引き抜く。そして、手順3に示すように、取付部材3を上下方向及び軸方向に各々180度回転させて、取付部材3の取付姿勢にする。そして、取付部材3を所定の取付位置に配置し、取付部9,10をピラーパネル6の上下に配設したスタッドボルト12,12に押し込む。この際、係止爪9b,9bと係止爪10b,10bの形状が、スタッドボルト12,12の入り口側を広くして傾斜させていることから、スタッドボルト12,12の先端部を、係止爪9b,9bと係止爪10b,10bに容易に取り入れることができる。そして、取付部9,10に各々係止爪9b,9bと係止爪10b,10bが設けられているので、係止爪9b,9bと係止爪10b,10bが、スタッドボルト12,12の軸部に噛合し、これが抜け止めとなって遮音材2が車体側に固定される。
よって、エンジン側からの騒音や風の流入を防止することができる。
【0014】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく本発明の技術的思想に基いて種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、遮音材2を隙間Sに配設するための手段として袋7を形成したが、遮音材2の袋7に代えてバンド状の係止部を形成し、この係止部に取付部材3を係止させるようにしてもよい。また、袋7及びバンドは、ミシン目のような脆弱部を形成し袋等を引きちぎるようにして、取付部材3との係合を解除してもよい。さらには、遮音材2の袋7に取付部材3を差し込んだまま取付けするようにしてもよい。
取付部材3のピラーパネル6への取付方法は、スタッドボルト12の代わりに、クリップや両面接着テープなどで取付けるようにしてもよい。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の柔軟材の取付構造によれば、車体の奥まった部位に位置し該車体の構造部材に形成されている開口を柔軟材により閉塞し、該柔軟材を取付部材により上記構造部材に固定する柔軟材の取付構造において、前記柔軟材に形成した袋部又はバンド部に、前記取付部材の一部を差し込んで係止し、前記取付部材配置用治具として用いることにより前記柔軟材を前記奥まった部位に配置して前記開口を閉塞した後、前記取付部材を前記袋部又はバンド部に差し込んだまま上記構造部材に固定したので、治具と取付部材を兼用することにより、部品点数の減少とコストの低減を図ることができる。また、前記取付部材を袋部又はバンド部に差し込んだまま上記構造部材に固定するようにすると、取付手順を減らすことができるようになり、作業時間の短縮を図ることができる。
また上記取付部材の一部を袋部又はバンド部に差し込んで係止し前記柔軟材を前記奥まった部位に配置して前記開口を閉塞した後に、前記取付部材を前記袋部又はバンド部から引き抜いて上記構造部材に固定するようにすると、取付部材を取り付ける位置のレイアウトの向上を図ることができる。その場合に、上記袋部またはバンド部に脆弱部を形成しておけば、上記袋部またはバンド部に差し込んだ取付部材前記脆弱部を引き裂くようにして前記柔軟材から離脱させることができ、作業性の向上を図ることができる。
さらに、上記構造部材にスタッドボルトをけ、上記取付部材に形成した孔を前記スタッドボルトの軸部係止取付部材を前記構造部材に固定するようにすると、取付部材の取付けがより簡単になり、取付工具も必要としないので、より作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による柔軟材の取付構造を採用している自動車の斜視図である。
【図2】図1のフェンダー部の拡大斜視図である。
【図3】図1のフェンダー部を車両の前面方向から見た断面図(なお、遮音材は断面でないが、分かりやすくするため、散点模様を付している。図4も同じである)である。
【図4】図1のフェンダー部を車両の側面方向から見た側面図である。
【図5】本発明の実施の形態による柔軟材の取付構造の遮音材と取付部材の斜視図である。
【図6】図5におけるA−A線方向の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態による柔軟材の取付構造の取付部材の拡大正面図である。
【図8】図2におけるB−B線方向の断面図である。
【図9】図2におけるC−C線方向の断面図である。
【図10】Aは、取付部材の上側の取付部の水平方向断面図であり、Bはその取付部の正面図である。
【図11】Aは、取付部材の下側の取付部の水平方向断面図であり、Bはその取付部の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態の柔軟材の取付構造の取付手順を示すための図である。
【図13】従来例による柔軟材の取付構造を採用している自動車の斜視図である。
【図14】他の従来例による柔軟材の取付構造を採用している自動車の斜視図である。
【符号の説明】
1 自動車
2 遮音材(柔軟材)
3 取付部材
5 フェンダーパネル
6 ピラーパネル
7 袋
9,10 取付部
9b,10b 係止爪
12 スタッドボルト

Claims (4)

  1. 車体の奥まった部位に位置し該車体の構造部材に形成されている開口を柔軟材により閉塞し、該柔軟材を取付部材により上記構造部材に固定する柔軟材の取付構造において、前記柔軟材に形成した袋部又はバンド部に、前記取付部材の一部を差し込んで係止し、前記取付部材配置用治具として用いることにより前記柔軟材を前記奥まった部位に配置して前記開口を閉塞した後、前記取付部材を前記袋部又はバンド部に差し込んだまま上記構造部材に固定したことを特徴とする柔軟材の取付構造。
  2. 車体の奥まった部位に位置し該車体の構造部材に形成されている開口を柔軟材により閉塞し、該柔軟材を取付部材により上記構造部材に固定する柔軟材の取付構造において、前記柔軟材に形成した袋部又はバンド部に、前記取付部材の一部を差し込んで係止し、前記取付部材配置用治具として用いることにより前記柔軟材を前記奥まった部位に配置して前記開口を閉塞した後、前記取付部材を前記袋部又はバンド部から引き抜いて上記構造部材に固定したことを特徴とする柔軟材の取付構造。
  3. 上記袋部またはバンド部に脆弱部を形成し、上記袋部またはバンド部に差し込んだ取付部材前記脆弱部を引き裂くようにして前記柔軟材から離脱させるようにしたことを特徴とする請求項に記載の柔軟材の取付構造。
  4. 上記構造部材にスタッドボルトをけ、上記取付部材に形成した孔を前記スタッドボルトの軸部係止取付部材を前記構造部材に固定するようにしたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の柔軟材の取付構造。
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