JP4206412B2 - 色校正方法および装置並びに色校正プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

色校正方法および装置並びに色校正プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、印刷工程において、校正印刷機による校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性を向上させるための色校正方法および装置に関するものである。
印刷機による印刷物が作成される前に、色校正がなされる。色校正は、1)誤字、脱字等の有無、2)ゴミ、傷、汚れ等の有無、3)印刷物の明るさ、暗さ等の階調再現性、4)印刷物の色再現性、5)印刷物のシャープネス等々、印刷の仕上がりをチェックするためのものである。
この色校正は、校正印刷機によってなされるが、特に、近年、印刷前処理工程のコンピュータ化が進展したことにより、ディジタルデータからインクジェット方式や昇華熱転写方式等を用いて、直接的に校正刷りを作成できるディジタル方式のカラープリンタが、校正印刷機として普及している。
この場合、印刷機による印刷物と、校正印刷機による校正刷りの色再現域を近似させて、視覚的に同じになるようにする、カラーマッチング処理は重要である。
ところが、多くの場合、印刷物および校正刷りのそれぞれの固有の色再現域は相違しており、両者を高い精度で近似させることは非常にむずかしい。
例えば、印刷工程においては、滅色法の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクに加えて、ブラック(Bk)インクが一般に使用されている。このBkインクの使用は、印刷紙面上で多用される墨文字を単色インクで表現することによるインクの節約という経済的効果だけでなく、高濃度部における濃度域や色再現域の増加による品質向上効果をももたらしている。
CMYの3色からBk の色を導き出す方法として、フルブラック法およびスケルトンブラック法の2つの方法がある。
BkはCMYが均等に混ざり合った色であると考えるならば、min(CMY)の値、すなわち、CMYのうちの最小値をBk に置き換えて3色で表現することができる。これは、Bkへの置き換え値を最大限にとる方法で、フルブラック法と呼ばれる。図5に示された例では、C=72%、M=94%、Y=43%の3色の中で最小値であるYの値をBkに置き換え、かつCおよびMからその値を引いた値に置き換えられる。この場合、43%×2の量のインクが節約されたことになる。
フルブラック法では、ハイライト部でBkの地汚れが発生して汚く見えるので、図6に示されるように、min(CMY)の値のすべてをBkに置き換えずに一部を残しておく。この方法は、スケルトンブラック法と呼ばれる。
インクの色のCMYBkは、相対的な色である。印刷機による印刷物のCMYBkとカラープリンタによる校正刷りのCMYBk は異なる色であり、また、同じ印刷物のCMYBkであってもメーカーによって微妙に異なった色となる。したがって、このままでは単純には色を比較することはできない。さらに、モニターおよびカラープリンタの間における色の比較を考えると、モニターはRGBの3色で表現されており、そもそも両者の色空間が相違することになる。
このため、実際の表現手段に依存しない絶対的な色空間を想定し、比較する表現物を絶対色空間に置き直して比較する方法が考えられた。これは、デバイス・インディペンデント・カラーと呼ばれる。
絶対色空間は、本来、人間の眼の刺激値を数値化したxyz空間を意味するが、この空間は極めていびつな空間であるので、色差を見るのには適していない。そのために、均等な3次元空間に再配置した空間(均等色空間)が提案された。この均等色空間として、現在、主として、Lab空間が用いられている。均等色空間はユークリッド空間であるから、色差は簡単に求められる。
さて、実際のカラーマネジメントにおいては、印刷機による印刷物の色もカラープリンタによる校正刷りの色も、さらにはモニターの色もすべて、分光測色計で測色し、Lab値で色再現域が表される。ここでは、同じ色空間であるから、色を単純に比較することができる。したがって、一方の色再現域を他方の色再現域に圧縮することによってカラーマッチングがなされ得る。これは、ガモットマッピング(Gamut Mapping)と呼ばれる。
ここでカラーマッチングされた色空間は、Lab空間であるから、これを再度それぞれの相対的な色空間に変換することによって、実際の変換値が求められる。図7は、この手順を印刷物および校正刷りの間のカラーマッチングに適用した例を示している。
このように、デバイス・インディペンデント・カラーは、極めて有効なカラーマネジメント手法であるが、ブラックの表現において大きな問題を生じさせる。すなわち、もともとBkは人為的に作られた色であるから、CMYBk→Lab→CMYBkという変換が行われると、元のBkの値が失われてしまう。つまり、この場合、2つのCMYBkの間には可逆牲が存在しない。
これが実際の処理にもたらす最大の影響は、墨文字等の表現で多用されるブラックの面積率100%部(C=M=Y=0、Bk=100)が失われて、3色または4色(例えば、C=71,M=75,Y=85,Bk=35)になってしまうことである。これでは、墨文字をシャープに表現できないし、インクをより多く使用しなければならない。
また、印刷工程において、カラープリンタを使用してオフセット印刷やグラビア印刷の色校正を行う場合、校正刷りを行うカラープリンタで使用可能な用紙と、本刷りを行う印刷機で使用可能な用紙(以下、「本紙」という)とは、ほとんどの場合一致していない。特に、インクジェットプリンタや昇華熱転写型プリンタ等では専用の用紙を使用する必要があるため、本紙と同一の用紙を使用することは事実上不可能である。
そして、印刷する用紙が異なると、校正刷りを印刷物に近似させることがより困難となる。
このため、画像データ上に本紙の紙色を再現することによって視覚上本紙に近似させる方法が、従来技術において存在する。この方法によれば、カラープリンタの専用紙が本紙の紙色の再現を妨げるほど極端な紙色を有していない限り、校正刷りにおいて比較的容易に印刷本紙を再現することができ、結果として、印刷物により近似した校正を得ることができる。
しかしながら、この方法によれば、校正刷り上のインクが転写されない領域、すなわち、白色の領域については問題がないが、インクが転写される領域については次のような問題が生じる。すなわち、インクの転写されない白色の領域だけに紙色を付加すると、インクが転写された領域には紙色が付加されず、そのまま元の色が残ってしまう。
印刷の階調表現は、主として面積階調であるから、基本的には、インクと紙色は視覚的には混ざり合って映る。すなわち、視覚的にはインクの色に紙色が影響を及ぼしている。この影響は、特に、インクの面積率が低いハイライト部において強く現れ、それだけ視覚的な紙色の影響は高くなる。
また、印刷する用紙が異なる場合に校正刷りを印刷物に近似させる別の方法として、印刷画像全体に紙色を一様に付加する方法がある。これには、画像データに対して本紙の紙色を付加する方法と、予め本紙の紙色を専用紙の全面に印刷した後印刷画像を印刷する方法の2つの方法がある。この方法によれば、ハイライト部において、比較的正確に、校正刷りと印刷物とのカラーマッチングは良好となるが、中間部からシャドウ部にかけての、紙色の露出面積が小さく、紙色による影響を受けにくい領域にも紙色の影響が強く出て、校正刷りの色再現域が印刷物の色再現域から大きくずれてくる。
特開平7−107312号公報 特開平10−294876号公報
したがって、本発明の課題は、校正印刷機、特に、カラープリンタによる校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性をより向上させることにある。
また、本発明の課題は、校正刷りにおいて印刷物上のブラックインクの表現特性を再現することにある。
この課題を解決するため、第1発明によれば、校正印刷機による校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性を向上させるための色校正法であって、校正刷りと印刷物とのカラーマッチングの結果得られた減法混色色空間の全体にわたる校正印刷用画像データのうち、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データを、(1)前記印刷物上のブラックインクの面積率100%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C 100 ,M 100 ,Y 100 ,Bk 100 )から、min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )を求め、Bk 100 の指定値Pを決定するステップと、
(2)Bk 100 に対する追加値α 100 を、
α 100 =min(C 100 ,M 100 ,Y 100
×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
ただし、1≦P≦100とする、
によって求めるステップと、
(3)前記追加値α 100 をBk 100 に加えるとともに、C 100 =M 100 =Y 100 =0とするステップと、
(4)n=99から1までについて、以下の(4-1)〜(4-4)のステップを繰り返すステップと、を順次実行することによって修正することを特徴とする色校正法が提供される。
(4-1)前記印刷物上のブラックインクの面積率n%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C ,M ,Y ,Bk )から、min(C ,M ,Y )を求めるステップ
(4-2)Bk に対する追加値α
α =(min(C ,M ,Y )−(100−n))
×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
ただし、1≦P≦100とする、によって求めるステップ
(4-3)前記追加値α をBk に加えるとともに、
β =α ×((P−Bk 100 )/C 100 )、
γ =α ×((P−Bk 100 )/M 100 )、
δ =α ×((P−Bk 100 )/Y 100 )、
ただし、1≦P≦100とする、
によってC 、M およびY のそれぞれに対する削減値β 、γ およびδ を求めるステップ
(4-4)前記削減値β 、γ およびδ をC 、M およびY から差し引くステップ
上記課題を解決するため、また、第2発明によれば、コンピュータを利用して校正印刷機による校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性を向上させるための色校正装置であって、(1)校正印刷機による校正刷りと印刷機による印刷物とのカラーマッチングの結果得られた、減法混色色空間の全体にわたる校正印刷用画像データの入力を受ける画像データ入力部と、(2)前記画像データ入力部に入力された画像データのうち、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データを、印刷物上のブラックインクの面積率100%部は校正刷り上においてもブラックインクだけで表現されるが、印刷物上のブラックインクの面積率100%部以外は、校正刷り上において下色除去操作を用いて表現されるように修正し、修正した画像データを出力する画像データ修正部と、を有し、前記画像データ修正部は、(2-1)前記印刷物上のブラックインクの面積率100%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C 100 ,M 100 ,Y 100 ,Bk 100 )から、min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )を求め、Bk 100 の指定値Pを決定し、Bk 100 に対する追加値α 100
α 100 =min(C 100 ,M 100 ,Y 100
×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
ただし、1≦P≦100とする、によって求め、前記追加値α 100 をBk 100 に加えるとともに、C 100 =M 100 =Y 100 =0とするブラック100%部画像データ修正部と、(2-2)n=99から1までについて、(i)前記印刷物上のブラックインクの面積率n%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C ,M ,Y ,Bk )から、min(C ,M ,Y )を求める手順と、(ii)Bk に対する追加値α を、
α =(min(C ,M ,Y )−(100−n))
×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
ただし、1≦P≦100、C 100 =M 100 =Y 100 =0とする、によって求める手順と、(iii)前記追加値α をBk に加えるとともに、
β =α ×((P−Bk 100 )/C 100 )、
γ =α ×((P−Bk 100 )/M 100 )、
δ =α ×((P−Bk 100 )/Y 100 )、
ただし、1≦P≦100、C 100 =M 100 =Y 100 =0とする、によってC 、M およびY のそれぞれに対する削減値β 、γ およびδ を求める手順と、(iv)前記削減値β 、γ およびδ をC 、M およびY から差し引く手順を繰り返す99%以下ブラック部画像データ修正部と、を有することを特徴とする色校正装置が提供される。
上記課題を解決するため、また、第3発明によればコンピュータによって校正印刷機による校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性を向上させるための色校正プログラムを記録した記録媒体であって、前記色校正プログラムは、コンピュータに対し、
校正印刷機による校正刷りと印刷機による印刷物とのカラーマッチングの結果得られた減法混色色空間の全体にわたる校正印刷用画像データのうち、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データを、
(1)前記印刷物上のブラックインクの面積率100%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C 100 ,M 100 ,Y 100 ,Bk 100 )から、min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )を求め、Bk 100 の指定値Pを決定する手順と、
(2)Bk 100 に対する追加値α 100
α 100 =min(C 100 ,M 100 ,Y 100
×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
ただし、1≦P≦100とする、
によって求める手順と、
(3)前記追加値α 100 をBk 100 に加えるとともに、C 100 =M 100 =Y 100 =0と設定する手順と、
(4)n=99から1までについて、以下の(4-1)〜(4-4)の手順を繰り返す手順と、を順次実行することによって修正させることを特徴とする色校正プログラムを記録した記録媒体が提供される。
(4-1)前記印刷物上のブラックインクの面積率n%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C ,M ,Y ,Bk )から、min(C ,M ,Y )を求める手順
(4-2)Bk に対する追加値α
α =(min(C ,M ,Y )−(100−n))
×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
ただし、1≦P≦100とする、によって求める手順
(4-3)前記追加値α をBk に加えるとともに、
β =α ×((P−Bk 100 )/C 100 )、
γ =α ×((P−Bk 100 )/M 100 )、
δ =α ×((P−Bk 100 )/Y 100 )、
ただし、1≦P≦100とする、
によってC 、M およびY のそれぞれに対する削減値β 、γ およびδ を求める手順
(4-4)前記削減値β 、γ およびδ をC 、M およびY から差し引く手順
本発明によれば、本発明によれば、印刷の色校正において、印刷物および校正刷りの間の高精度の色再現性が容易に達成され得る。特に、本発明によれば、校正刷りにおいて、印刷物の紙色および印刷物上のブラックインクの表現特性が精度良く再現される。したがって、本発明は、印刷の校正作業の効率化に大きく貢献するものである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例について説明する。図1は、本発明の好ましい実施例による色校正法の概略構成を示すフロー図である。図1を参照して、まず最初、校正印刷機、例えば、カラープリンタに対する色空間の全体にわたる画像データの変換値からなるルックアップテーブルが作成される(図1、ステップ(1)参照)。次に、校正印刷機の印刷用紙(本紙)の紙色のバラツキの程度を表すノイズの強度および分布量が指定され(図1、ステップ(2)参照)、本紙の紙色が指定される(図1、ステップ(3)参照)。
そして、オフセット印刷のような面積階調のみを行う印刷方式の校正刷りを行う場合であって、かつ本紙と校正印刷機の印刷用紙との間において紙色がインクの透過率を考慮する必要がない程度に近似している場合には、ルックアップテーブルにおける任意の参照データPの色値が(Cp,Mp,Yp,Bkp)で、それぞれ8ビットのデータであるとするとき、紙面露出面積率αが
α=(1−Cp/255)×(1−Mp/255)×(1−Yp/255)
×(1−Bkp/255)
によって求められる(図1、ステップ(4)参照)。
なお、参照データの色値が百分率で表されるときは、αは、
α=(1−Cp/100)×(1−Mp/100)×(1−Yp/100)
×(1−Bkp/100)
によって求められる。
その後、紙面露出面積率が100%の位置に本紙の紙色値(Ca,Ma,Ya,Bka)を付加したとき、ルックアップテーブルにおける任意の参照データIの色値(Ci,Mi,Yi,Bki)の、変更値(Ci',Mi',Yi',Bki')が、
Ci'=Ci+Ca×α、Mi'=Mi+Ma×α、Yi'=Yi+Ya×α、
Bki'=Bki+Bka×α
によって求められ(図1、ステップ(5)参照)、この変更値が参照データの色値と置き換えられることによって(図1、ステップ(6)参照)、ルックアップテーブルが修正される(図1、ステップ(7)参照)。
この場合、実際に良好な印刷物の場合、Murray-Davies の方式またはYule-Nielsenの方式によって求められるドットゲイン特性は、階調中間部において10〜20%程度膨らませた曲線特性となる。したがって、ここでは紙色影響率に対して同程度の曲線特性を加えることにより、結果としてMurray-Daviesの方式またはYule-Nielsenの方式によって求められるドットゲイン特性に近似した色再現を得ることができる。
グラビア印刷のような濃度階調および面積階調の両方を行う印刷方式の校正刷りを作成する場合であって、かつ本紙と校正印刷機の印刷用紙との間において紙色がインクの透過率を考慮する必要がない程度に近似している場合には、本紙の紙色値を色空間内に付加したときに、色空間におけるどの範囲までの参照データに影響が及ぼされるのかを表す影響範囲が指定され(図1、ステップ(8)参照)、紙色値および影響範囲の値に基づいて各参照データに対する影響値が求められる(図1、ステップ(9)参照)。この影響値が参照データに加えられ、ルックアップテーブルが修正される(図1、ステップ(7)参照)。
影響範囲および影響値の導出方法について説明する。本紙の紙色値(Ca,Ma,Ya,Bka)は、色空間の全体または一定の影響範囲内においてリニアまたは特性の曲線特性をもってルックアップテーブルの各参照データに影響を及ぼすと仮定される。今、任意の参照データIの色値(Ci,Mi,Yi,Bki)に対して、紙色値(Ca,Ma,Ya,Bka)がリニアに影響を及ぼした場合の影響値(Cieff,Mieff,Yieff,Bkieff)は次のように求められる。
まず、参照データIにおける紙色影響率は、色空間全体における紙色値が導入される点Qの座標値(x=0,y=0,z=0,w=0)から参照データIの座標値までの距離の比に等しいと考える。参照データIの座標値を(xi,yi,zi,wi )とすると、点Qおよび参照値データIの間の距離Dは、
D=max(|xi−0|,|yi−0|,|zi−0|,|wi−0|)
ここで、max(a,b,c)は、a、b、cの値のうちの最大値を取り出すことを意味する、によって規定される。
そして、参照データIに対する影響値は、
Cieff=Ca×(255×D)/255
Mieff=Ma×(255×D)/255
Yieff=Ya×(255×D)/255
Bkieff=Bka×(255×D)/255
となる。ただし、各値は8ビットのデータであるものとする。なお、各値が百分率で表されている場合には、参照データIに対する影響値は、
Cieff=Ca×(100×D)/100
Mieff=Ma×(100×D)/100
Yieff=Ya×(100×D)/100
Bkieff=Bka×(100×D)/100
となる。
このようにして修正されたルックアップテーブルを用いて変換された画像データは、ノイズの強度および分布量に基づいて変化せしめられ(図1、ステップ(11)参照)、この変化せしめられた画像データを用いてカラープリンタによる校正刷りが作成される(図1、ステップ(12)参照)。
この場合にも、紙色影響率をリニアにとったときは、光学的ドットゲイン値が考慮されなくなるが、これも適当な曲線特性を付加した影響率の導出を行うことにより十分に目的を達成することができる。
作成された校正刷りは、本紙の紙色を的確に再現したものとなっている。
図2は、本発明の別の好ましい実施例による色校正法の概略構成を示すフロー図である。図2を参照して、まず最初、校正印刷機による校正刷りと印刷機による印刷物とのカラーマッチングの結果得られた、減法混色色空間の全体にわたる校正印刷用画像データのうち、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データが抽出される(図2、ステップ(20)参照)。
そして、印刷物上のブラックインクの面積率100%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C100, M100,Y100,Bk100)から、min(C100, 100,Y100)が求められ(図2、ステップ(21)参照)、Bk100の指定値Pが決定される(図2、ステップ(22)参照)。その後、
α100=min(C100,M100,Y100
×(P−Bk100)/min(C100, 100,Y100)、
ただし、1≦P≦100とする、
によってBk100に対する追加値α100が求められる(図2、ステップ(23)参照)。そして、追加値α100がBk100に加えられるとともに、C100=M100=Y100=0とされる(図2、ステップ(24)参照)。
さらに、n=99から1までについて、次の(a)〜(c)までの処理が繰り返される(図2、ステップ(25)〜(30)参照)。
(a)印刷物上のブラックインクの面積率n%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C,M,Y,Bk)から、min(C,M,Y)が求められ(図2、ステップ(27)参照)、
(b)α=(min(C,M,Y)−(100−n)
×(P−Bk100)/min(C100,M100,Y100)、
ただし、1≦P≦100とする、
によってBkに対する追加値αが求められて、これがBkに加えられ(図2、ステップ(28)参照)、
(c)β=α×((P−Bk100)/C100)、
γ=α×((P−Bk100)/M100)、
δ=α×((P−Bk100)/Y100)、
ただし、1≦P≦100とする、
によってC、MおよびYのそれぞれに対する削減値β、γおよびδが求められ、これらがC、MおよびYから差し引かれる(図2、ステップ(29)参照)。
こうして修正された、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データ、並びにそれ以外の修正されない校正印刷用画像データを用いて、カラープリンタによる校正刷りがなされる(図2、ステップ(31)参照)。
得られた校正刷りにおいては、印刷物上の墨文字等の表現で多用されるブラックインクの面積率100%部が再現される等々、印刷物上のブラックインクの表現特性が的確に再現される。さらには、校正刷りにおいて、ブラックインクを可能な限り多く使用することによってC、M、Yのインクの使用量を減らすことができるので、校正刷りのコストの低減が図られる。
本発明による色校正法をコンピュータに実行させる色校正プログラムを、フロッピイディスクやCD−ROM等の記録媒体に記録しておけば、この記録媒体をコンピュータに読み込ませることによって、本発明による色校正法を容易に実施することができる。
図3は、本発明の好ましい実施例による色校正装置の概略構成を示すブロック図である。本発明による色校正装置は、コンピュータを利用して、校正印刷機による校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性を向上させるようにしたものである。図3に示されるように、本発明による色校正装置は、校正印刷機に対する色空間の全体にわたる画像データの変換値からなるルックアップテーブルを生成するルックアップテーブル生成部40と、印刷機の印刷用紙(本紙)の紙色のバラツキの程度を表すノイズの強度と分布量とを設定するためのノイズ強度・分布量入力部41と、本紙の紙色を指定するための本紙紙色入力部42とを有している。色校正装置は、さらに、本紙紙色入力部42に入力された紙色、および校正刷りにおける紙面露出面積率に基づいてルックアップテーブルを修正するルックアップテーブル修正部43と、ルックアップテーブル修正部43によって修正されたルックアップテーブルを用いて変換した画像データを、ノイズ強度・分布量入力部41に入力されたノイズの強度と分布量とに基づいて変化させ、この変化させた画像データを出力する画像データ変換部44とを有している。
面積階調のみを行う印刷方式の校正刷りを作成する場合であって、かつ本紙と校正印刷機の印刷用紙との間において紙色がインクの透過率を考慮する必要がない程度に近似している場合には、ルックアップテーブル修正部43は、ルックアップテーブルにおける任意の参照データPの色値が(Cp,Mp,Yp,Bkp)で、それぞれNビットデータであるとするときは、紙面露出面積率αを、
α=(1−Cp/(2−1))×(1−Mp/(2−1))
×(1−Yp/(2−1))×(1−Bkp/(2−1))
によって求めるが、ルックアップテーブルにおける任意の参照データPの色値が(Cp,Mp,Yp,Bkp)で、それぞれ百分率データであるとするときには、紙面露出面積率αを、
α=(1−Cp/100)×(1−Mp/100)
×(1−Yp /100)×(1−Bkp/100)
によって求める紙面露出面積率演算部45と、
紙面露出面積率が100%の位置に本紙の紙色値(Ca,Ma,Ya,Bka)を付加したときの、ルックアップテーブルにおける任意の参照データIの色値(Ci,Mi,Yi,Bki)の変更値(Ci',Mi',Yi',Bki')を、
Ci'=Ci+Ca×α、Mi'=Mi+Ma×α、Yi'=Yi+Ya×α、
Bki'=Bki+Bka×α
によって求め、この変更値を参照データの色値に置き換える色変更値演算部46と、を有している。
濃度階調および面積階調の両方を行う印刷方式の校正刷りを作成する場合であって、かつ本紙と校正印刷機の印刷用紙との間において紙色がインクの透過率を考慮する必要がない程度に近似している場合には、ルックアップテーブル修正部43は、本紙の紙色値を色空間内に付加したときに、色空間におけるどの範囲までの参照データに影響が及ぼされるのかを表す影響範囲を指定するための影響範囲入力部47と、紙色値および影響範囲の値に基づいて各参照データに対する影響値を求め、参照データに影響値を加える影響値演算部48とを有している。
図4は、本発明の別の好ましい実施例による色校正装置の概略構成を示すブロック図である。本発明による色校正装置は、コンピュータを利用して、校正印刷機による校正刷りにおいて本紙の色再現性を向上させるようにしたものである。
図4に示されるように、本発明による色校正装置は、校正印刷機による校正刷りと印刷機による印刷物とのカラーマッチングの結果得られた、減法混色色空間の全体にわたる校正印刷用画像データの入力を受ける画像データ入力部50と、画像データ入力部50に入力された画像データのうち、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データを、印刷物上のブラックインクの面積率100%部は校正刷り上においてもブラックインクだけで表現されるが、印刷物上のブラックインクの面積率100%部以外は、校正刷り上において下色除去操作を用いて表現されるように修正し、修正した画像データを出力する画像データ修正部51と、を有している。
画像データ修正部51は、さらに、印刷物上のブラックインクの面積率100%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C100,M100,Y100,Bk100)から、min(C100,M100,Y100)を求め、Bk100の指定値Pを決定し、
α100=min(C100,M100,Y100
×(P−Bk100)/min(C100,M100,Y100)、
ただし、1≦P≦100とする、
によってBk100に対する追加値α100を求め、追加値α100をBk100に加えるとともに、C100=M100=Y100=0とするブラック100%部画像データ修正部52と、
n=99から1までについて、印刷物上のブラックインクの面積率n%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C,M,Y,Bk)から、min(C,M,Y)を求め、
α=(min(C,M,Y)−(100−n))
×(P−Bk100)/min(C100,M100,Y100)、
ただし、1≦P≦100、C 100 =M 100 =Y 100 =0とする、
によってBkに対する追加値αを求めて、これをBkに加えるとともに
β=α×((P−Bk100)/C100)、
γ=α×((P−Bk100)/M100)、
δ=α×((P−Bk100)/Y100)、
ただし、1≦P≦100、C 100 =M 100 =Y 100 =0とする、
によってC、MおよびYのそれぞれに対する削減値β、γおよびδを求めて、これらをC、MおよびYから差し引く手順を繰り返す99%以下ブラック部画像データ修正部53と、を有している。
本発明の好ましい実施例による色校正法の概略構成を示すフロー図である。 本発明の別の好ましい実施例による色校正法の概略構成を示すフロー図である。 本発明の好ましい実施例による色校正装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の別の好ましい実施例による色構成装置の概略構成を示すブロック図である。 フルブラック法を説明する図である。 スケルトンブラック法を説明する図である。 印刷物と校正刷りとの間における従来のカラーマッチング法を説明する図である。

Claims (3)

  1. 校正印刷機による校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性を向上させるための色校正法であって、校正刷りと印刷物とのカラーマッチングの結果得られた減法混色色空間の全体にわたる校正印刷用画像データのうち、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データを、
    (1)前記印刷物上のブラックインクの面積率100%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C 100 ,M 100 ,Y 100 ,Bk 100 )から、min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )を求め、Bk 100 の指定値Pを決定するステップと、
    (2)Bk 100 に対する追加値α 100 を、
    α 100 =min(C 100 ,M 100 ,Y 100
    ×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100とする、
    によって求めるステップと、
    (3)前記追加値α 100 をBk 100 に加えるとともに、C 100 =M 100 =Y 100 =0とするステップと、
    (4)n=99から1までについて、以下の(4-1)〜(4-4)のステップを繰り返すステップと、を順次実行することによって修正することを特徴とする色校正法。
    (4-1)前記印刷物上のブラックインクの面積率n%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C ,M ,Y ,Bk )から、min(C ,M ,Y )を求めるステップ
    (4-2)Bk に対する追加値α
    α =(min(C ,M ,Y )−(100−n))
    ×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100とする、によって求めるステップ
    (4-3)前記追加値α をBk に加えるとともに、
    β =α ×((P−Bk 100 )/C 100 )、
    γ =α ×((P−Bk 100 )/M 100 )、
    δ =α ×((P−Bk 100 )/Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100とする、
    によってC 、M およびY のそれぞれに対する削減値β 、γ およびδ を求めるステップ
    (4-4)前記削減値β 、γ およびδ をC 、M およびY から差し引くステップ
  2. コンピュータを利用して校正印刷機による校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性を向上させるための色校正装置であって、
    (1)校正印刷機による校正刷りと印刷機による印刷物とのカラーマッチングの結果得られた、減法混色色空間の全体にわたる校正印刷用画像データの入力を受ける画像データ入力部と、
    (2)前記画像データ入力部に入力された画像データのうち、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データを、印刷物上のブラックインクの面積率100%部は校正刷り上においてもブラックインクだけで表現されるが、印刷物上のブラックインクの面積率100%部以外は、校正刷り上において下色除去操作を用いて表現されるように修正し、修正した画像データを出力する画像データ修正部と、を有し、
    前記画像データ修正部は、
    (2-1)前記印刷物上のブラックインクの面積率100%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C 100 ,M 100 ,Y 100 ,Bk 100 )から、min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )を求め、Bk 100 の指定値Pを決定し、
    Bk 100 に対する追加値α 100
    α 100 =min(C 100 ,M 100 ,Y 100
    ×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100とする、
    によって求め、
    前記追加値α 100 をBk 100 に加えるとともに、C 100 =M 100 =Y 100 =0とするブラック100%部画像データ修正部と、
    (2-2)n=99から1までについて、
    (i)前記印刷物上のブラックインクの面積率n%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C ,M ,Y ,Bk )から、min(C ,M ,Y )を求める手順と、
    (ii)Bk に対する追加値α を、
    α =(min(C ,M ,Y )−(100−n))
    ×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100、C 100 =M 100 =Y 100 =0とする、
    によって求める手順と、
    (iii)前記追加値α をBk に加えるとともに、
    β =α ×((P−Bk 100 )/C 100 )、
    γ =α ×((P−Bk 100 )/M 100 )、
    δ =α ×((P−Bk 100 )/Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100とする、
    によってC 、M およびY のそれぞれに対する削減値β 、γ およびδ を求める手順と、
    (iv)前記削減値β 、γ およびδ をC 、M およびY から差し引く手順を繰り返す99%以下ブラック部画像データ修正部と、を有することを特徴とする色校正装置。
  3. コンピュータによって校正印刷機による校正刷りにおいて印刷機による印刷物の色再現性を向上させるための色校正プログラムを記録した記録媒体であって、前記色校正プログラムは、コンピュータに対し、
    校正印刷機による校正刷りと印刷機による印刷物とのカラーマッチングの結果得られた減法混色色空間の全体にわたる校正印刷用画像データのうち、印刷物上におけるブラック単色の階調の各段階を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データを、
    (1)前記印刷物上のブラックインクの面積率100%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C 100 ,M 100 ,Y 100 ,Bk 100 )から、min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )を求め、Bk 100 の指定値Pを決定する手順と、
    (2)Bk 100 に対する追加値α 100
    α 100 =min(C 100 ,M 100 ,Y 100
    ×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100とする、
    によって求める手順と、
    (3)前記追加値α 100 をBk 100 に加えるとともに、C 100 =M 100 =Y 100 =0と設定する手順と、
    (4)n=99から1までについて、以下の(4-1)〜(4-4)の手順を繰り返す手順と、を順次実行することによって修正させることを特徴とする色校正プログラムを記録した記録媒体。
    (4-1)前記印刷物上のブラックインクの面積率n%部を校正刷り上で表現する校正印刷用画像データの色値(C ,M ,Y ,Bk )から、min(C ,M ,Y )を求める手順
    (4-2)Bk に対する追加値α
    α =(min(C ,M ,Y )−(100−n))
    ×(P−Bk 100 )/min(C 100 ,M 100 ,Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100とする、によって求める手順
    (4-3)前記追加値α をBk に加えるとともに、
    β =α ×((P−Bk 100 )/C 100 )、
    γ =α ×((P−Bk 100 )/M 100 )、
    δ =α ×((P−Bk 100 )/Y 100 )、
    ただし、1≦P≦100、C 100 =M 100 =Y 100 =0とする、
    によってC 、M およびY のそれぞれに対する削減値β 、γ およびδ を求める手順
    (4-4)前記削減値β 、γ およびδ をC 、M およびY から差し引く手順
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