JP4205186B2 - 螺旋シールドを有するプラスチック複合絶縁体およびその製造方法 - Google Patents

螺旋シールドを有するプラスチック複合絶縁体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック複合絶縁体であって、そのシャンクは繊維強化プラスチックコアーおよびこのコアーの周りのシールド外装のジャケットを含み、シールド外装はジャケット、およびシャンクの周りを螺旋状に走る少なくとも1つのシールドによって形成されるプラスチック複合絶縁体に関する。
【0002】
【従来の技術】
頭上線用の高圧絶縁体はセラミック、電気絶縁材料、例えば磁器またはガラスから長い間製造されてきた。繊維およびプラスチックを含む材料複合体のコアー並びにプラスチックのシールド外装よりなる絶縁体も、それ自体がより軽量であると共に、小火器からの発射に対する機械的抵抗が改善されていることを含めた一連の利点を特徴とするので、ますます重要になっている。そのような複合絶縁体のシールド外装には同時に、シャンクの周りにほぼ垂直に走るかなりの数のプレート形シールドが通常取り付けられている。
【0003】
ガラスまたは磁器の従来の絶縁体と比較すると、複合絶縁体は、汚れを非常に弾く性質を有し、そしてまたある程度は絶縁状態で汚れを封入する性質を有するので、大気が非常に汚れた領域で用いたときに、すぐれた絶縁性をもつ利点を有する。従って、シリコーンゴムのシールド外装を有する複合絶縁体は、大気の不純物から生じる電気絶縁問題を有する既存の頭上線の改善にしだいに用いられてきており、磁器またはガラスの従来の絶縁体はシリコーンゴムのシールド外装を有する複合絶縁体に交換されている。
【0004】
プレート形シールドを有する複合体設計の高圧絶縁体は多くの用途、特に頭上線用に用いられている。複合絶縁体の製造は原則として公知である。例えば、DE−C2−27 46 870によると、これらは、樹脂含浸ガラス繊維コアー(GRP=ガラス繊維強化プラスチック)を押し出しによってシリコーンゴムで外装し、半径方向にプレストレスしながら予備加工したプレート形シールドを外装したガラス繊維コアー上に個々に押し付け、そしてそれらを外装と共に加硫することによって製造しうる。絶縁体が働くのに必要な沿面漏れ(creepage)路は特にシールドの数および直径によって得ることができる。製造工程のマスターが十分でなく、接合部がしっかりシールされていないと、ガラス繊維コアーを外装するジャケット、つまりシャンクの表面と、プレート形シールドの隙間との間の接合部の欠陥がこの場合に生じる可能性がある。
【0005】
DE−A1−42 02 653は、ジャケットとシールド外装のプレート形シールドとの間の接合を避けるために、コアーの周りにシールド外装を射出成形することによって複合絶縁体を製造する方法、およびこれらの絶縁体を射出成形するための装置を教示している。
【0006】
螺旋シールドを有する高圧絶縁体は公知である:
SU 659382には、セラミック物質のための開口を含む回転ディスクを有する押し出し機を用いて形成される螺旋リブを有する、磁器からの高圧絶縁体の製造方法が記載されている:回転ディスクの詳細についての記載はない。CH−A5−640 666では、予備加工したリブ形エラストマープロフィール化バンドをGRPコアーの周りに巻き付け、そして加硫した、螺旋シールドを有する複合絶縁体を教示している。
【0007】
CA−A1−2,046,682によると、ジャケットのための平行四辺形の断面を有する同様なリブ形エラストマープロフィール化バンドを、GRP管のような絶縁コアーの周りに巻き付け、そして加硫する。EP−B1−0 161 265によると、シリコーンゴムの薄いシールド形成螺旋バンドをプレート上に形成し、引き剥がし、GRPコアーの周りに巻き付け、接着する;この方法は多くの欠点を有する:シールドを変形せずにシールドバンドを施すことは製造工程から不可能である。これはむしろ、このフィラメントを通して破壊的なグロー放電がフィラメント/シールド境界面で生じるケースであるので、シールドの根元部分のナイロンフィラメントはこの問題を解消することはできない。この特許によると、シールドバンドをGRPコアーに固定するための接着剤は、シールド間の空間のGRPコアーを保護する働きもする;しかしながら、特に高電流部分アークが絶縁体表面で生じないとき、極めて薄い層が信頼性のある保護を行いうるとは思われない。破壊的放電の危険性が非常に多いので、シールドの薄い厚みから得られる短い接着部は同様に弱い個所である。
【0008】
プラスチック複合絶縁体の上記製造方法では接合部および/または継ぎ目が生じ、従って、電気技術的効果に悪影響を及ぼしやすい。これらはまた、とりわけ多くの操作を製造のために必要とし、従って、製造時間およびエネルギー消費の点で極めてコストがかかるという欠点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、より大きな機能的信頼性およびよりすぐれた電気技術的特性データを有する複合絶縁体を提供し、同時にそのような複合絶縁体のよりコストの低い別の製造方法を提供する目的に基づくものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的は、シャンク並びに少なくとも1つのシールドおよびキャップを含むプラスチック複合絶縁体であって、シャンクが繊維強化プラスチックコアーおよびこのコアーの周りのシールド外装のジャケットを含み、シールド外装がジャケットにより形成されており、少なくとも1つのシールドがシャンクの周りを螺旋状に走り、シールド外装が接合部のない一体部品に形成されている、プラスチック複合絶縁体による本発明によって達成される。
【0011】
この目的はまた、関連装置を用いてそのようなプラスチック複合絶縁体を製造する2つの方法による本発明によって達成される。
【0012】
当業者の見解に反して、本発明による複合絶縁体をはるかに簡単な方法で製造しうることを意外にも見いだした。さらに、絶縁体の汚染は少なく、そのためプレート形シールドを有する同等の複合絶縁体の場合よりも、より簡単に汚れを洗い落とすことができることを見いだした。
【0013】
本発明による複合絶縁体のプラスチックコアーは、低アルカリガラスで強化してもよい。これは、特に、円筒形、凸状にカーブした形、または円錐形の設計のものでもよく、結果としてシャンクの基本的な形を決定する。プラスチックコアーは中実のロッドまたは中空体でもよく、好ましくは管または中空円錐である。
【0014】
シールド外装に用いられる好ましい材料は、ショアA硬度が40を越える、特に60〜90のシリコーンゴムである。これにはHTVゴム(HTV=高温加硫)が好ましい。シールド外装は、高温(一般に50〜200℃)で加硫しうるゴム、特に側鎖にジエンの不飽和部分を含むEPDM(エチレン、プロピレンおよびジエンの三元共重合体)、および/またはEPM(エチレン−プロピレン共重合体)、ポリビニルジメチルシロキサンおよび充填剤、好ましくは過酸化物を用いて架橋される充填剤、または一般的なポリオルガノジメチルシロキサンを含有していてもよい。別の種類の適したHTVシリコーンゴムにはDIN ISO 1629に相当するMQ、FMQ、PMQおよびVMQが含まれる。シールド外装は縦方向の継ぎ目および横断方向の継ぎ目のない滑らかな表面を通常有する。汚れる傾向がより少なく、絶縁効果がよりすぐれているので、特に滑らかな表面であるのが好ましい。十分に水切りできるように、ジャケットは好ましくは実質的に同じ厚さであるか、または周りにリブ、溝または波形(好ましくは周りを螺旋状に走る)を付ける。螺旋シールドの上側は一般に凸状に形づくられ、螺旋シールドの下側はしばしば凹状に形づくられる。螺旋シールドの下側は波形または少なくとも1つのリブまたは少なくとも1つの溝を有し、これらは沿面漏れ路を長くしたり、シールドを補強したり、汚れを運び去ることもできる流水をそらせるのに役立つ。これらのシールドの外形はシャンクに対して放射状でもよく、すなわちこれらは外に向かって走っている。一般に、シールド表面とジャケット表面との間の遷移部分は丸くなっているか、あるいは2つのシールドの間の間隔が非常に少ないときは1つのシールドから次のシールドへ連続して丸くなっている。絶縁体の縦方向におけるシールドの上側を横切る断面部の弦は、縦方向Lに対して30〜80°の角度αを通常形成する。螺旋シールドはキャップに向かう側にランアウトを有していてもよく、これらのランアウトと共に、シールドの張り出しは通常、シャンク上の取り付き点に至るまでしだいに少なくなっていく。例示設計は少なくとも1つの螺旋シールドを示し、これはシャンクの中心部分で中断され、そしてこの中断側に対してランアウトまたは中断部分において少ない張り出しを有する。他の設計は、これらが、長さにわたって変化するシールド断面を有する少なくとも1つの螺旋シールドを有する点、あるいはキャップから比較的大きく隔たったところにのみランアウトを有する螺旋シールドが少なくとも1つ形成される点が異なる。複合絶縁体は少なくとも2つの螺旋シールドを有していてよく、これらのシールドの断面は一方の場合と他方の場合とでは異なる。シャンクの少なくとも1つの領域において、櫛のように縦の部分にシールド部分が接近して連続していてもよい。縦の部分におけるシールド部分間の距離は、例えば傾斜角度の変化または螺旋シールドのより多くの数を考慮して、シャンクの長さにわたって変えてもよい。ダイリングにおける回転装置またはプラスチックコアーのための回転装置の回転速度を増すことによって、シールド部分を互いにより接近させたり、シールドの傾斜角度を減じたり、従って沿面漏れ路を長くすることが非常に容易である。傾斜角度はこの場合変えることができ、螺旋シールドの360°の1回転は、10mmないし1000mm以上の縦方向Lにおける進み距離に相当する。さらに、特に全ての螺旋シールドをキャップから比較的大きく隔たったところにのみ形成するならば、1つ以上のプレート形シールドを、シャンクの少なくとも一端において、シャンク上に形成しても、あるいはシャンクに取り付けてもよい。
【0015】
プラスチックコアーは10cm〜8mの長さでもよく、これによって絶縁体全体の長さがほぼ決まる。螺旋シールドは(ランアウトの端は別として)5〜100mm、特に10〜70mm、特に好ましくは15〜40mmのジャケット表面からのシャンクに対して垂直な張り出しを有していてもよい。ジャケット表面のすぐ近くで測定した縦方向Lの2つのシールド部分間の距離は、5〜1000mm、特に10〜500mm、特に好ましくは20〜100mmである。
【0016】
シールド外装表面上の実質的に真っすぐなラインの真直度偏差は通常0.5mm以下、好ましくは0.3mm以下、特に0.1mm以下である。
【0017】
本発明によるシールド設計はさらに別の利点を提供する:シリコーンの合成は純粋な珪素から出発するので、シリコーンゴムが高価な材料であることは知られている。従って、シリコーンゴムのプレート形シールドを有する絶縁体の設計では、材料の使用を最少限にすることを目指し、その結果、薄いシールドとなる。シリコーンゴムの薄いシールド、特に張り出しが比較的大きなものは、ある状況下では機械的に不安定であり、貯蔵および輸送中に変形する傾向があり、また機械的な損傷を受けやすい。傾斜角度と共に適当なシールド断面を選択すること、および適しているならば、シールドの下側に溝、リブまたは波形を用いることによって、同じまたはより大きな沿面漏れ路を有する一方で、プレート形シールドよりも小さな張り出しをシールドに設けてもよく、これによってこの柔軟な材料のためのシールドの下側における外形補剛効果により、かなりの程度の機械的安定性が得られる。溝、リブまたは波形のあるシールド用材料の使用はわずかであり、そしてその使用はこれによって得られる沿面漏れ路の長さによって大いに補われる。平らなプレート形シールドまたは螺旋シールドの場合の沿面漏れ路の延長は、直径を大きくすることによってのみ得ることができるので、この効果は材料算定における2つの力によって高まる。
【0018】
本発明による複合絶縁体には接合部も通例の継ぎ目もない。シールド外装に垂直な、絶縁体の縦方向に走る薄いスキンを通常有するこれらの継ぎ目では、汚れ粒子が局部的に蓄積し、破裂的な電気技術的効果を有する。カーブしたかつ傾斜した螺旋シールドは、雨水が螺旋に沿って流れずに、シールドの形のために外側へそれ、そして滴り落ちるので、雨に特に有利である。
【0019】
目に見える放電および部分アークが操作中にあらゆるタイプの高圧絶縁体で生じうることは知られている。これらの放電は非常に強く、特に、高エネルギーのキャップとキャップの後に続く第1シールドとの間のシャンク領域における絶縁体の電圧側端において強い。観察すると、これらの放電はシャンク、およびシャンクに近いシールドの下側部分で選択的に生じうる。絶縁体の縦軸に沿った放電強度は、電圧を有する導体からの距離が増すにつれて減少する。プレート形シールドを有するプラスチック複合絶縁体の場合においても、放電はキャップとその後に続く第1シールドとの間(特に空気の汚染度が高い領域)で生じ、この放電はシールド外装を浸食する原因となり、ひどい場合は、絶縁体を破壊する。プレート形シールドは、絶縁体の地面側の方向に流れる放電を妨げるバリヤーとして働く。
【0020】
螺旋シールドのみを有する本発明によるプラスチック複合絶縁体の場合、放電はさらにシャンクに沿って移動することができ、それらの強度は消散する。この場合、浸食の原因となる大きな局部電流密度は生じない。
【0021】
【実施例】
本発明によるプラスチック複合絶縁体の製造では、同じ長さおよび同じ沿面漏れ路の一般的なプラスチック複合絶縁体と較べて、ゴムを高い割合で節約することができる。一般に、約40%の節約が期待される。次表に、従来の複合絶縁体と本発明の複合絶縁体との2つの異なる種類の絶縁体の相当する比較データを示す。重量に関する特性データは製造を中断してのデータであり、シャンクの端はジャケットによって完全に覆われていない。
【0022】
【表1】
Figure 0004205186
【0023】
本発明による複合絶縁体は次の方法によって製造しうる:
プラスチック複合絶縁体の1つの製造方法は、接着促進剤を繊維強化プラスチックコアーに施し、このように予備処理したプラスチックコアーを、回転可能なダイリングを有するサイドフィードダイを備えた押し出し機またはラムプレスへ導入し、プラスチックコアーの輸送速度は回転可能なダイリングの回転速度と連係させ、シールド外装を製造するための組成物を予備処理したプラスチックコアーの周りに圧縮し、そしてこれを回転可能なダイリングに通して、予備処理したプラスチックコアーに、ジャケットと1つ以上の螺旋の形のシールド(1つまたは複数)とを含む一体外装を縦方向に設けることを含むものである。さらに、プラスチックコアーは、この場合、回転状態で押し出し機またはラムプレスへ導入してもよく、プラスチックコアーの輸送速度をその回転速度と連係させることは可能である。
【0024】
プラスチック複合絶縁体の別の製造方法では、接着促進剤を繊維強化プラスチックコアーに施し、このように予備処理したプラスチックコアーを、ダイリングを有するサイドフィードダイを備えた押し出し機またはラムプレスへ導入し、プラスチックコアーの輸送速度はその回転速度と連係させ、シールド外装を製造するための組成物を予備処理したプラスチックコアーの周りに圧縮し、そしてこれをダイリングの開口に通して、予備処理したプラスチックコアーに、ジャケットと1つ以上の螺旋の形のシールド(1つまたは複数)とを含む一体シールド外装を縦方向に設けることを含むものである。
【0025】
この場合、接着促進剤は、組成物で外装する前に、吹き付け塗り、ハケ塗りまたは浸漬によってプラスチックコアーへ施してもよい。接着促進剤は加硫のための接着促進剤として通常作用し、シラン基剤上に用いうる。これはプラスチックコアーへ液体フィルム(例えば約1μmの厚さ)として施してもよい。
【0026】
本方法は一定の速度でまたは速度を変えて連続または非連続的に実施しうる。回転装置または輸送装置の速度は広範囲に変化させうるが、特にシールドは引き裂かれるかもしれないので、確実に、過度の速度が、被覆プラスチックコアーとゴム組成物との間に生じる剪断の原因とならないようにしなければならない。製造の際、ダイリングの開口の大きさまたは/および形は、特に開口を変える適当な装置が備わっているならば、押し出し機またはラムプレスによる押し出し中に変えてもよい;例えば、螺旋シールドを、ランアウトと共に、キャップに向かう側にプレスしてもよい。しかしながら、螺旋シールドの端は斜めに切ったり、丸く切ったり、あるいはキャップに向かう側を加工してランアウトを形成してもよい。螺旋シールドの端は切り取っただけでもよい。端を少し丸くすると有利である。本発明による絶縁体の製造では、押し出しの間、空気を取り込まずにサイドフィードダイを組成物で完全に満たすこと、および組成物をシールド外装のために空気を取り込むことなく排出することを確実なものにしなければならない。シャンクの製造プロセスは、加硫によりプラスチックコアーをシールド外装に結合することによって本質的に完了する。加硫は加熱帯域のサイドフィードダイの下流で行いうる。この場合、確実に、プラスチックコアーの外側の領域も加硫に適した温度に達していなければならない。共に加硫する2つの部分間をふくれまたは亀裂なしで化学結合することができるので、加硫の結果に対しては、接着促進剤を使用することが非常に有利であることが分かっている。水はふくれまたは亀裂中に溜まり、主にグロー放電によって、電気技術的な悪影響を及ぼすことになる。グロー放電は絶縁体を破壊するアークを招きうる。
【0027】
本発明による複合絶縁体は、次の装置を用いて製造しうる:
本発明によるプラスチック複合絶縁体を製造するための装置は、押し出し機またはラムプレス、サイドフィードダイ、開口を有するダイリングおよびプラスチックコアー用の輸送装置を含み、ダイリングは回転装置を備えている。本発明によるプラスチック複合絶縁体を製造するための別の装置は、押し出し機またはラムプレス、サイドフィードダイ、開口を有するダイリングおよびプラスチックコアー用の輸送装置を含み、輸送装置はプラスチックコアー用の回転装置を備えている。ダイリングは弾力的に取り付けられているプロフィールディスクを含み、プロフィールディスクに選択的に配置されている開口を隠す。開口は、プラスチックコアーの輸送軸に対して中心に配置されている円形の隙間を有し、半径方向または角度のそれた方向で少なくとも1つのほぼくぎの形をした延長部と合流する。ほぼくぎの形をした延長部領域の開口は、この延長部から枝分かれしている少なくとも1つの絞り部または少なくとも1つの第2延長部を有する。これは、操作中に開口の大きさおよび/または形を変えることができる装置を備えていてもよい。開口の円形隙間は、開口を通して輸送するときの地点で、プラスチックコアーの直径よりも少なくとも0.2mm大きな直径を有する。
【0028】
シールド外装を形づくるために働くプロフィールダイは、シャンクおよびシールド設計に関し需要家の要求に対して速やかに、柔軟に、かつ低コストで答えることができる簡単な構造のものであり、特に一体タイプの場合、高価な用具を備えなくともよい。
【0029】
本発明による複合設計の高圧絶縁体、その製造方法、および関連装置について、図面を参照しながら実施例によって説明する。
【0030】
図1は、本発明によるプラスチック複合絶縁体の詳細を示す図である。絶縁体1の中心部分はシャンク2およびこのシャンクの周りを螺旋状に巻くシールドを含む。シャンク2は、”継ぎ目がなく”、そして円筒形コアーの場合は軸に平行に配置されているエポキシ樹脂外装ガラス繊維からなりうる繊維強化プラスチックコアー3、およびシールド外装4を含む。プラスチックコアー3はジャケット5の継ぎ目のない層によって外装されており、ジャケット5は螺旋シールド6と接合部のない状態で合併している。図1の詳細図は縦断面図であり、絶縁体の縦方向におけるシールドの上側を横切る断面部の弦は、縦方向に対して30°〜80°、好ましくは40°〜70°の角度αをなす。ここでは、シールド17の断面部をはっきり見ることができる。螺旋シールド6の上側7および下側8のジャケット9への遷移は鋭角状でもよいが、好ましくは丸味がついた状態10および11であり、特に半径は0.1〜12mmである。図1は、一定の直径を有し、くぼみのない円筒形シャンク2を有し、そして断面が一定の単一螺旋シールド6を有する、本発明による絶縁体の例を示す図である。あるいは、リブ、溝または波形14を有する同じまたは異なる断面の複数のシールドも用いうる。図1には、金属取り付けの形で通常設計されている、シールドのランアウト15を有するシャンク末端16もキャップ19も示していない。キャップは、引っ張り力をプラスチックコアー3から絶縁体サスペンションまたは固定装置へ伝達するために働く(図示せず)。キャップは、例えば鋼、鋳鉄または他の金属材料からなり、半径方向の圧縮によってプラスチックコアー3の端に接続しうる。さらに、2つのシールド部分12の間の間隔およびシールド13の張り出しの間隔を示す。
【0031】
図2は、押し出し機21の領域におけるプラスチック複合絶縁体1の製造装置20を示す図である。シールド外装4を製造するための組成物24は押し出し機21によってフィードヘッド22へ運ばれる。接着剤を施すための装置37、捩れ防止手段36を有するプラスチックコアー3のための輸送装置26、回転可能なダイ23を有するフィードヘッド22、およびシールド外装を加硫するための加熱帯域35を、プラスチックコアー3が相当する隙間の中心を通るように軸方向に配置する。ダイ23は駆動装置33および34によって駆動する。
【0032】
図3は、フィードヘッド22および回転可能なダイ23の排出端の部分断面図である。プラスチックコアー3はフィードヘッド22の中心をマンドレル43から少し間隔をおいて通り抜け、この周りに、マンドレル43の後ろのシールド外装4のための組成物24を、プラスチックコアー3と開口25の端との間のほぼ円形の隙間30、およびまた延長部31、および適切ならば第2延長部32に押し入れ、そしてジャケット5および螺旋シールド6の形に形成する。ダイ23はボールベアリング41によってフィードヘッド22の周りを回転できるように取り付けてある。開口25を有するプロフィールディスク29はネジ38および圧縮ばね39によって回転可能なダイ23のハウジングに接続してある。開口25の断面はそこで形成されるシールド外装4の断面を決定する。フィードヘッド22の内部空間は、PTFEであると有利かもしれない、シールおよびスライドリング40によって、プロフィールディスク29とダイ23のハウジングとの間を密封される。プロフィールディスク並びにシールおよびスライドリング40上の圧力を全円周にほぼ等しく分布するために、締めトルクは全てのネジ38で同じでなければならない。締めトルクは、組成物24が操作中にシールおよびスライドリング40の領域で漏れず、ダイ23の回転が確実に満足なものとなるのに十分に大きくなければならない。このためには、正確なトルク設定、シールおよびスライドリング40の変形のための補正、その結果、プロフィールディスク29とシールおよびスライドリング40との間の不断の接触が圧縮ばね39によって達成される。この方法では、確実な密封を達成することができる。プラスチックコアー3に施される接着剤はいずれの図にも示していない。
【0033】
図4の左のいくつかの部分図は、様々な形の開口25を有する回転可能なダイ23の様々なプロフィールディスク29を示すものであり、これらは半径方向または角度のそれた方向でほぼくぎ形の延長部31と合流する円形隙間30を有し、そして必要に応じて曲がっていてもまたは真っすぐに並んでいてもよい。さらに、第2の延長部32は、上に形成されるリブまたは波形14のために、延長部31から横に分岐してもよい。プロフィールディスク29は、固定ボア46によって回転可能なダイ23のハウジングに接続しうる。開口の大きさまたは/および形を押し出し中に変える装置はここでは示していない。開口25の変更は、例えばシャンクを円錐形にする、絶縁体の押し出し時間の間、あるいは例えば横断リブを作るための、少しの時間、均等に行いうる。各種プロフィールディスク29の部分図の右隣は、左に示した開口25によって得ることができるプラスチックコアー3およびジャケット5を含むストランド2、並びに螺旋シールド6の詳細な縦断面図である。
【0034】
原則として、開口25の形および大きさはシールド外装4の断面を決定する。しかしながら、まだ未加硫材料であるこのプラスチックの場合、得られるシールドの断面17は開口25の形と全く同じではない。この方法で製造すると、一般に多少傾斜したおよび曲がった螺旋シールド6が得られる。このシールド6は通常、シャンク2により近いところではより厚くなっており、シールド6の端に向かってより薄くなる。同一の開口25で、回転速度を変えると異なる形のシールド断面17を得ることができる。部分図a〜dにおいて、開口25および得られるシールド断面17の様々な変化を示す。従って、螺旋シールド6の数、大きさおよび形は簡単な手段によって左右することができる。
【0035】
本発明を頭上線用の高圧絶縁体、製造方法および製造に必要な装置について上で詳しく説明してきた。本発明による複合絶縁体が高圧装置としてまたは電気機器、特に屋外機器、使用が考えられる広範囲な領域の機器用のハウジングとして使用しうることは自明のことである。本発明はまた、全高が一定の一般的な絶縁体が大気汚染領域においてフラッシュオーバーに関する電気的問題を有する場合にも有利に用いうる。本発明は、全高が同じままで、沿面漏れ路を大気条件に適応させることができる絶縁体の製造に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラスチック複合絶縁体の詳細図である。
【図2】 押し出し機21の領域におけるプラスチック複合絶縁体1の製造装置20を示す図である。
【図3】 フィードヘッド22および回転可能なダイ23の排出端の部分断面図である。
【図4】 図4の左側の図は、様々な形の開口25を有する回転可能なダイ23の様々なプロフィールディスク29を示す部分図であり、図4の右側の図は、左側に示した開口25によって得ることができるプラスチックコアー3およびジャケット5を含むストランド2、並びに螺旋シールド6の縦断面図である。
【符号の説明】
1 プラスチック複合絶縁体
2 シャンク
3 プラスチックコアー
4 外装
5 ジャケット
6 螺旋シールド
20 プラスチック複合絶縁体製造装置
21 押し出し機
22 フィードヘッド
23 ダイ
25 開口
29 プロフィールディスク
30 隙間
31 延長部
32 第2延長部
35 加熱帯域

Claims (35)

  1. シャンク(2)並びに少なくとも1つのシールド及びキャップを含み、シャンクは繊維強化プラスチックコアー(3)及びこのコアーの周りのシールド外装(4)のジャケット(5)を含み、シールド外装(4)はジャケット、及びシャンクの周りを螺旋状に走る少なくとも1つのシールド(6)によって形成される、プラスチック複合絶縁体(1)であって、
    そのシールド外装(4)は、継ぎ目のない一体部品に形成され、且つ縦方向の継ぎ目のない及び横断方向の継ぎ目のない滑らかな表面を有していることを特徴とする、前記複合絶縁体
  2. 螺旋シールド(6)の上側(7)が凸状に形づくられていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック複合絶縁体。
  3. 螺旋シールド(6)の下側(8)が凹状に形づくられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック複合絶縁体。
  4. 螺旋シールド(6)の下側(8)が波形、少なくとも1つのリブ又は少なくとも1つの溝を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  5. 縦方向(L)におけるシールドの上側を横切る断面部の弦が、縦方向(L)に対して30°〜80°の角度αを形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  6. プラスチックコアーが低アルカリガラスの繊維によって強化されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  7. シールド外装(4)が、高温で加硫しうるゴムを含有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  8. 螺旋シールド(6)が、キャップに向かって延びる側にランアウト(15)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  9. 少なくとも1つの螺旋シールド(6)が、シャンク(2)の中心部分で中断され、そしてこの中断側にランアウト(15)、又は中断部分において少ない張り出しを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  10. 少なくとも1つの螺旋シールド(6)が、長さにわたって変化するシールド断面部(17)を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  11. キャップから比較的隔たったところにのみ、ランアウト(15)を有する少なくとも1つの螺旋シールド(6)が形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  12. シールドの断面部(17)の異なる少なくとも2つの螺旋シールド(6)を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  13. シャンク(2)の少なくとも1つの領域において、櫛のように縦の部分においてシールド部分が接近して連続していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  14. 少なくとも1つのプレート形シールドが、シャンクの少なくとも一端において、シャンク上に形成されていても、又はシャンクに取り付けられていてもよいことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  15. 螺旋シールド(6)が、ランアウト(15)の端は別として、5〜100mm、特に10〜70mm、特に好ましくは15〜40mmのジャケット(9)表面からのシャンク(2)に対して、垂直な張り出し(13)を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  16. ジャケット表面の近くで測定した縦方向Lにおける2つのシールド部分間の距離(12)が、5〜1000mm、特に10〜500mm、特に好ましくは20〜100mmであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  17. プラスチックコアーが円筒形、凸状にカーブした形、又は円錐形のものであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  18. プラスチックコアーが中実ロッド又は中空体であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法であって、
    接着剤を繊維強化プラスチックコアー(3)へ施し、
    このように予備処理したプラスチックコアーを、回転可能なダイ(23)を有するフィードヘッド(22)を備えた押し出し機(21)又はラムプレスへ導入し、
    プラスチックコアーの輸送速度は回転可能なダイの回転速度と連係させ、
    シールド外装(4)を製造するための組成物(24)を予備処理したプラスチックコアーの周りへ圧縮し、そして回転可能なダイに通して、予備処理したプラスチックコアーにジャケット及び1つ以上の螺旋形のシールド(1つ又は複数)を含む一体シールド外装を縦方向に設けることを特徴とする、前記製造方法。
  20. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法であって、
    接着剤を繊維強化プラスチックコアー(3)へ施し、
    このように予備処理したプラスチックコアーを、ダイ(23)を有するフィードヘッド(22)を備えた押し出し機(21)又はラムプレスへ回転状態で導入し、
    プラスチックコアーの輸送速度はその回転速度と連係させ、
    シールド外装(4)を製造するための組成物(24)を予備処理したプラスチックコアーの周りへ圧縮し、そしてダイの開口(25)に通して、予備処理したプラスチックコアーにジャケット及び1つ以上の螺旋形のシールド(1つ又は複数)を含む一体シールド外装を縦方向に設けることを特徴とする、前記製造方法。
  21. プラスチックコアー(3)を回転状態で押し出し機(21)又はラムプレスへ導入し、且つプラスチックコアーの輸送速度をその回転速度と連係させることを特徴とする、請求項19に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法。
  22. 組成物(24)で外装する前に、吹き付け、塗布又は浸漬によって接着剤をプラスチックコアー(3)へ施すことを特徴とする、請求項19又は20に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法。
  23. シラン系接着剤を使用することを特徴とする、請求項19〜21のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法。
  24. ダイ(23)の開口(25)の大きさ又は/及び形を押し出し中に変えることを特徴とする、請求項19〜22のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法。
  25. 螺旋シールドを、ランアウト(15)と共に、キャップに向かう側に押し付けることを特徴とする、請求項19〜23のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法。
  26. 螺旋シールドの端を、斜めに切ったり、丸く切ったり、又は加工してキャップに向かう側にランアウト(15)を形成することを特徴とする、請求項19〜23のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法。
  27. プラスチックコアーを加硫によってシールド外装に結合することを特徴とする、請求項19〜25のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体の製造方法。
  28. 押し出し機(21)又はラムプレス、フィードヘッド(22)、開口(25)を有するダイ(23)、及びプラスチックコアーのための輸送装置(26)を含む請求項1〜18のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体を製造するための装置(20)であって、
    ダイが回転装置を備えていることを特徴とする、前記絶縁体を製造するための装置
  29. 押し出し機(21)又はラムプレス、フィードヘッド(22)、開口(25)を有するダイ(23)、及びプラスチックコアーのための輸送装置(26)を含む請求項1〜18のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体を製造するための装置(20)であって、
    輸送装置がプラスチックコアーのための回転装置を備えていることを特徴とする、前記絶縁体を製造するための装置
  30. ダイ(23)が、弾力的に取り付けられ且つ開口(25)を有するプロフィールディスク(29)を含むことを特徴とする、請求項28又は29に記載の装置。
  31. 開口が、プラスチックコアーの輸送軸に対して中心に配置され、且つ少なくとも1つのほぼくぎの形をした延長部(31)と半径方向又は角度のそれた方向で合流する円形隙間(30)を有することを特徴とする、請求項28〜30のいずれか一項に記載の装置。
  32. 開口(25)が、ほぼくぎの形をした延長部(31)の領域で、少なくとも1つのくびれ又はこの延長部から分岐している少なくとも1つの第2延長部(32)を有することを特徴とする、請求項31に記載の装置。
  33. 開口(25)が、開口の大きさ又は/及び形を操作中に変えることができる装置を備えていることを特徴とする、請求項30〜32のいずれか一項に記載の装置。
  34. 開口(25)の円形隙間(30)の直径が、開口を通して運ぶときの地点でのプラスチックコアーの直径よりも少なくとも0.2mm大きいことを特徴とする、請求項30〜32のいずれか一項に記載の装置。
  35. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のプラスチック複合絶縁体を、高圧絶縁体として、または電気機器、特に屋外機器用のハウジングとして使用する方法。
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