JP4203985B2 - 電飾照明装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、携帯電話、カーオーディオ、パチンコ台、スロット台、車両室内、犬の首輪、キッチンの足元、交通標識、洗面台、シャワー、浴槽の湯温表示機等の電飾用や照明用として好適な電飾照明装置に係り、特に、柔軟で可とう性に優れることから大口径化した場合にも容易に任意の形状に配設することが可能であるとともに、耐衝撃性に優れ破損の恐れがなく、又、高温高湿の条件下や温水中における側面出射光量の低下が殆どなく、優れた側面出射特性を長期間安定して維持することが可能な電飾照明装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、装飾ディスプレイ、家庭用電気製品、屋外看板、各種照明装置等の電飾照明として、ネオン管や蛍光管が使用されている。ところが、これらは高電圧を必要とするため、例えば、水中での使用や雨など水のかかる場所での使用は、感電や漏電の恐れがあり危険が伴ってしまう。又、これらはガラス管で構成されており容易に破損してしまう恐れがあるとともに、予め形状を設計しなければならないため、任意の形状に配設できないという問題がある。そのため、例えば、携帯電話、カーオーディオ、パチンコ台、スロット台、車両室内、犬の首輪、キッチンの足元、交通標識、洗面台、シャワー、浴槽の湯温表示機等への使用は事実上困難である。そこで近年では、これらに代わるものとして、コア及びクラッドからなる光ファイバの長さ方向の少なくとも一端から入射された光を、コア及びクラッドの周方向(側面)から出射させる側面出射型の光散乱体と光源とを組み合わせた、線状の電飾照明装置が種々提案されている。
【0003】
この種の電飾照明装置に用いられる光散乱体としては、例えば、透明なコア材と、このコア材よりも屈折率の小さなクラッド材とからなり、コア材中に散乱性粒子が分散された構成のものがある。ここで、コア材としては、メチルメタクリレート(MMA)等の(メタ)アクリル系ポリマー、クラッド材としては、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系ポリマーが、好ましい材料として挙げられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
又、別の光散乱体としては、樹脂製コア材と、このコア材よりも低屈折率の樹脂製クラッド材とからなり、コア材中に微粒子が混合された構成のものがある。ここで、コア材としては、シリコーンゴム、クラッド材としては、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系樹脂が好ましい材料として挙げられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−131529号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2000−321444号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成によると、次のような問題があった。まず、特許文献1に開示された光散乱体を電飾照明装置の構成部分として用いた場合、可とう性に劣っているため配設作業性が悪く、大口径になるに従い任意の形状に配設することが困難になり、電飾照明装置としての使用用途が大幅に制限されてしまうという欠点があった。更に、この光散乱体は非常に硬いため、端面を切断しただけでは光を導入する際の損失が大きいため側面出射光量の低下が著しく、少なくとも入射端の研磨加工が必要となりコストが高いものとなってしまう、即ち電飾照明装置としてのコストが上がってしまうという欠点もあった。
【0008】
次に、特許文献2に開示された光散乱体を電飾照明装置の構成部分として用いた場合、柔軟で可とう性に優れることから、大口径化した場合にも容易に任意の形状に配設することができるとともに、常態では、側面出射光量の低下が殆どなく優れた側面出射特性を有しているものの、高温高湿度の条件下や温水中では白濁してしまい、側面出射光量が著しく低下してしまい電飾照明装置として機能を失うという欠点があった。
【0009】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、光散乱体部分が柔軟で可とう性に優れることから大口径化した場合にも容易に任意の形状に配設することが可能であるとともに、耐衝撃性に優れ破損の恐れがなく、又、高温高湿の条件下や温水中における光散乱体部分の側面出射光量の低下が殆どなく、優れた側面出射特性を長期間安定して維持することができる電飾照明装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1による電飾照明装置は、チューブ状クラッド材と上記チューブ状クラッド材内に収容されチューブ状クラッド材よりも屈折率の高い非晶質コア材とからなる光散乱体と、この光散乱体の少なくとも一端に配設された光源とを有し、上記光源から入射した光を光散乱体の側面から出射させる電飾照明装置であって、上記非晶質コア材はポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物からなる重合体を少なくとも構成成分として有した非流動化物から構成されているとともに、上記非晶質コア材中に微粒子が分散されていることを特徴とするものである。
又、請求項2による電飾照明装置は、請求項1記載の光散乱体において、上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物はイソシアネート基を持つ化合物から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3による電飾照明装置は、請求項2記載の光散乱体において、上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物が、イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4による電飾照明装置は、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の光散乱体において、上記ポリマーポリオールはポリオキシプロピレンポリオールから構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項5による電飾照明装置は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の光散乱体において、上記微粒子の粒径が50μm以下であることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において使用するチューブ状クラッド材の構成材料としては、プラスチックやエラストマーなどのように可とう性があり、チューブ状に成形可能なものであれば何でも良く特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、シリコーン樹脂、天然ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン(PFA)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル、TFE−パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体、フッ素化アルキルメタクリレート系共重合体、フッ素系熱可塑性エラストマーなどのフッ素系ポリマーが挙げられる。これらは、単独、又は、2種以上をブレンドして用いることができる。これらの中でも、FEP、PFA、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、THV、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル、TFE−パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体、フッ素系熱可塑性エラストマーなどは、透明性と機械的特性に優れることから好ましい。本発明ではこれらの材料を用いて、公知の成形法によりチューブ状に成形してチューブ状クラッド材とする。
【0012】
コア材の構成材料としては、上記のチューブ状クラッド材よりも屈折率の高い材料を使用する必要がある。本発明においては、コア材として、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物の重合体を構成成分の一つとして使用している。ポリマーポリオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレンポリオール、ウレタン変性ポリエーテルポリオール、シリコーン変性ポリエーテルポリオール等の変性ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエーテルエステルコポリマーポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、又は、これらの共重合体又は混合物などが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシプロピレンポリオールは、高温高湿度の条件や温水中でも優れた側面出射特性を示すことから好ましい。
【0013】
上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物としては、N−カルボニルラクタム基を持つ化合物、ハロゲン化物、イソシアネート基を持つ化合物、イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物などが挙げられる。イソシアネート基を持つ化合物としては、例えば、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、芳香族系ポリイソシアネートなどが挙げられる。イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物としては、例えば、イソシアネートをラクタム等公知の方法でブロックしたブロックイソシアネート、イソシアネート基を公知の方法で多量化したイソシアヌレートを持つ化合物などが挙げられる。これらは、単独、又は、2種以上をブレンドして用いることができる。これらの中でも、イソシアネート基を持つ化合物、又は、イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物は、高温高湿の条件下や温水中でも優れた側面出射特性を示すことから好ましい。イソシアネート基を持つ化合物の中でも脂環族ポリイソシアネートは更に好ましい。イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物の中でもイソシアヌレート結合を有するものは更に好ましい。
【0014】
微粒子としては、まず、無機材料として、石英ガラス、多成分ガラスなどのガラス微粒子、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウムなどの金属酸化物粒子、硫酸バリウムなどの硫酸塩粒子、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。次に、有機材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子、ポリスチレン粒子、ポリカーボネート粒子などやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン(PFA)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル、TFE−パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体、フッ素化アルキルメタクリレート系共重合体、フッ素系熱可塑性エラストマーなどのフッ素系ポリマーの粒子などが挙げられる。これらは、使用するコア材の構成材料や非流動化処理条件、本発明によって得られる光散乱体の長さ、側面出射光量、使用条件、又は、微粒子の真比重、形状、粒径、濃度、屈折率などを考慮して適宜に選択すれば良い。例えば、粒径が50μm以下のものは、非流動化処理時に微粒子が均一な分散状態を保持することができ、ムラのない側面出射特性が得られることから好ましい。要は、非流動化処理時に、微粒子が均一な分散状態を保持することができるような条件を吟味して選択すれば良い。
【0015】
本発明における光散乱体は、上記の構成材料を使用して、例えば、以下に示すような方法によって製造する。まず、チューブ状クラッド材の内部に流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物を少なくとも充填する。ここで「少なくとも」とは、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物の重合体と微粒子を構成成分として有している物であれば良く、その他の第三成分を含む場合も当然のことながら想定されるものである。次いでポリマーポリオールとヒドロキシ基多官能化合物を、微粒子の分散状態を保持したまま、例えば、加熱などにより反応させ非流動化処理を施す。ここで、流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物を、チューブ状クラッド材の内部に充填する前に、ポリマーポリオールとヒドロキシ基多官能化合物に加熱などの前処理を行い、粘度を高めておくことも考えられる。こうすることにより、微粒子の分散状態をより均一なものとすることが可能である。
【0016】
流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物をチューブ状クラッド材の内部に充填する方法としては、例えば、真空ポンプやチューブポンプを使用する方法や、加圧充填する方法が挙げられる。又、別の方法として、例えば、チューブ状クラッド材を押出成形法により製造する際に、同時に流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基多官能性化合物と、微粒子の混合物を充填する方法を考えられる、こうすることにより、長尺の光散乱体を連続して製造することが可能である。
【0017】
本発明における光源としては、従来公知の発光素子、例えば、LED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)などが使用可能である。又、光源の発光色や設置個数については、特に限定はなく、例えば、発光色が赤、青、緑、黄、橙、白等のLEDから適宜選択したり、複数個のLEDを組み合わせたりすることにより、様々な発色を得ることや、光量を増大させることができる。
【0018】
上記のようにして得られた光散乱体と光源とを、例えば、図1に示すように接続することによって、本発明の電飾照明装置が得られる。ここで、符号1は電飾照明装置を、符号2は光散乱体を、符号3は光源を示す。尚、図1では、光散乱体2の片端のみに光源3を接続した電飾照明装置1を示したが、光散乱体2の両端に光源3を接続することも考えられる。こうすることにより、より高輝度な発光を得ることが可能となるとともに、夫々の端で異なる発光色の光源を用いることによって、電飾照明装置の長さ方向で徐々に変色しながら発光させることもでき、多彩な装飾表現が可能となる。
【0019】
又、電飾照明装置1の光散乱体2と光源3との接続に関して、図2に示すように、光散乱体2のコア材2bと光源3との接続面が光散乱体2のチューブ状クラッド材2aで覆われている構造とすることも考えられる。こうすることにより、光散乱体2と光源3の接続部分での光の損失を低減することができる。
【0020】
【実施例】
以下に図面を参照して本発明の実施例と比較例を説明する。
【0021】
実施例1
コア材2bを構成するポリマーポリオールとしては、ポリオキシプロピレントリオール10gとポリオキシプロピレンジオール10gを使用する。ヒドロキシ基反応性多官能化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート20gを使用する。又、チューブ状クラッド材2aを構成するチューブとしては、外径10.6mmのFEPチューブを使用する。又、微粒子としては、平均粒径5μmのガラスビーズ0.01gを使用する。そして、流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物を上記のチューブ内に充填し、100℃で加熱して非流動化処理を施した後、両端を切断して光散乱体2を得た。この光散乱体2と光源3としての白色LEDを図1に示すように接続し、電飾照明装置1を得た。
【0022】
実施例2
コア材2bを構成するポリマーポリオールとしては、ポリオキシプロピレントリオール12gとポリオキシプロピレンジオール12gを使用する。ヒドロキシ基反応性多官能化合物としては、コスモネートNBDI(三井武田ケミカル社製)13gを使用する。又、チューブ状クラッド材2aを構成するチューブとしては、外径10.6mmのFEPチューブを使用する。又、微粒子としては、平均粒径5μmのガラスビーズ0.01gを使用する。そして、流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物を上記のチューブ内に充填し、100℃で加熱して非流動化処理を施した後、両端を切断して光散乱体2を得た。この光散乱体2と光源3としての白色LEDを図1に示すように接続し、電飾照明装置1を得た。
【0023】
実施例3
コア材2bを構成するポリマーポリオールとしては、ポリオキシプロピレントリオール10gとポリオキシプロピレンジオール10gを使用する。イソシアヌレート結合を有するヒドロキシ基反応性多官能化合物としては、コロネートHX(日本ポリウレタン工業社製)20gを使用する。又、チューブ状クラッド材2aを構成するチューブとしては、外径10.6mmのFEPチューブを使用する。又、微粒子としては、平均粒径5μmのガラスビーズ0.01gを使用する。そして、流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物を上記のチューブ内に充填し、100℃で加熱して非流動化処理を施した後、両端を切断して光散乱体2を得た。この光散乱体2と光源3としての白色LEDを図1に示すように接続し、電飾照明装置1を得た。
【0024】
実施例4
コア材2bを構成するポリマーポリオールとしては、ポリオキシプロピレントリオール20gを使用し、イソシアヌレート結合を有するヒドロキシ基反応性多官能化合物としては、コロネートHX(日本ポリウレタン工業社製)20gを使用する。又、チューブ状クラッド材2aを構成するチューブとしては、外径10.6mmのFEPチューブを使用する。又、微粒子としては、平均粒径5μmのガラスビーズ0.01gを使用する。そして、流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物を上記のチューブ内に充填し、100℃で加熱して非流動化処理を施した後、両端を切断して光散乱体2を得た。この光散乱体2と光源3としての白色LEDを図1に示すように接続し、電飾照明装置1を得た。
【0025】
実施例5
微粒子として平均粒径70μmのガラスビーズ0.01gを使用した他は、実施例3と同様にして光散乱体2を得た。この光散乱体2と光源3としての白色LEDを図1に示すように接続し、電飾照明装置1を得た。
【0026】
比較例1
コア材2bとしては、PMMA系のプラスチック材料を使用する。又、チューブ状クラッド材2aとしては、外径10.6mmのFEPチューブを使用する。又、微粒子としては、平均粒径5μmのガラスビーズ0.01gを使用する。そして、上記のコア材と微粒子を混合したものを上記のチューブ内に充填し、加熱硬化させた後、両端を切断し光散乱体2を得た。この光散乱体2と光源3としての白色LEDを図1に示すように接続し、電飾照明装置1を得た。
【0027】
比較例2
コア材2bとしては、市販の2液混合タイプのポリオルガノシロキサンを使用する。又、チューブ状クラッド材2aとしては、外径10.6mmのFEPチューブを使用する。又、微粒子としては、平均粒径5μmのガラスビーズ0.01gを使用する。そして、上記のコア材と微粒子を混合したものを上記のチューブ内に充填し、加熱硬化させた後、両端を切断し光散乱体を得た。この光散乱体2を得た。この光散乱体2と光源3としての白色LEDを図1に示すように接続し、電飾照明装置1を得た。
【0028】
ここで、本実施例による電飾照明装置の特性を評価するために、以下に示すような試験を実施した。
【0029】
端面状態の観察:
電飾照明装置1の光散乱体2部分の切断面を目視にて観察する。結果は表1に示した。
可とう性:
電飾照明装置1の光散乱体2部分を長さ200mmに切断し、質量200gのおもりを吊り下げた後、一端を水平状態に固定して、水平面に対してたわむ距離を測定した。結果は表1に示した。
側面出射特性:
(A)初期特性
電飾照明装置1の光散乱体2部分の長さを約400mmとして、直線状態に配設し、側面出射光量の測定を行った。側面出射光量は、光源3としての白色LEDを原点とし、そこから所定の位置での側面出射光量を照度計で測定した。結果は図3に示した。
(B)均一性
電飾照明装置1の光散乱体2部分の長さを約400mmとして、直線状態に配設し、側面出射光量の測定を行った。側面出射光量は、光源3としての白色LEDを原点とし、そこから200mmの位置において、同一円周上の側面出射光量を0°〜270°の範囲で90°おきに照度計で測定した。結果は、表2に示した。
(C)経時特性
電飾照明装置1の光散乱体2部分約400mmを60℃の温水中に所定時間放置した後取出し、室温で30分間放置する。そして、直線状に配設した状態で側面出射光量の初期値からの出射光量変化率を測定した。出射光量変化率は、光源3としての白色LEDを原点とし、そこから200mmの位置における側面出射光量を照度計で測定し、算出した。結果は図4に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
これらの試験結果から次のことが判明した。まず、端面状態であるが、本実施例による電飾照明装置1の光散乱体2端面は何れも切断面が平滑であり、端面の研磨加工等は不要であった。これに対して、比較例1の電飾照明装置1の光散乱体2端面は、切断面に凹凸が見られため約20秒間研磨加工を施す必要があった。
【0033】
次に、可とう性であるが、本実施例によるものは何れも比較例1に比べて著しく可とう性に優れていた。
【0034】
次に、側面出射特性(初期特性)であるが、実施例1〜4によるものは何れも、光源3からの距離に係わらず安定した側面出射光量が得られており、優れた側面出射特性を示している。コア材2bを構成するヒドロキシ基反応性多官能化合物として、脂環族ポリイソシアネートを使用した実施例2及び、ヒドロキシ基反応性多官能化合物として、イソシアヌレート結合を有するものを使用した実施例3及び実施例4は、特に優れた側面出射特性を示している。これに対して、使用した微粒子の粒径が本発明の好ましい範囲の上限値(50μm)を超える実施例5は、実使用上問題はないものの、光源3からの距離が離れるに従って、次第に側面出射光量が減少していることが確認された。
【0035】
次に、均一性であるが、使用した微粒子の粒径が本発明の好ましい範囲の上限値(50μm)以下の実施例1〜4は、何れも同一円周上で均一な側面出射光量が得られている。これに対して、使用した微粒子の粒径が本発明の好ましい範囲の上限値(50μm)を超える実施例5は、実使用上問題はないものの、同一円周上での側面出射光量に若干のバラツキが見られた。
【0036】
次に、側面出射特性(経時特性)であるが、本実施例によるものは何れも温水中における側面出射光量の低下が殆どなく、優れた側面出射特性を長期間安定して維持している。コア材2bを構成するヒドロキシ基反応性多官能化合物として、脂環族ポリイソシアネートを使用した実施例2及び、ヒドロキシ基反応性多官能化合物として、イソシアヌレート結合を有するものを使用した実施例3及び実施例4は、特に優れた経時特性を示している。これに対して、コア材2bとしてポリオルガノシロキサンを使用した比較例2は、50時間経過後に、白濁してしまい側面出射光量の測定が不可能となってしまった。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、光散乱体部分が柔軟で可とう性に優れることから、大口径化した場合にも容易に任意の形状に配設することが可能であるとともに、耐衝撃性に優れ破損の恐れがなく、又、高温高湿の条件下や温水中における側面出射光量の低下が殆どなく、優れた側面出射特性を長期間安定して維持することができる電飾照明装置を低コストで提供することが可能である。そのため、この電飾照明装置は、例えば、携帯電話、カーオーディオ、パチンコ台、スロット台、車両室内、犬の首輪、キッチンの足元、交通標識、洗面台、シャワー、浴槽の湯温表示機等の電飾用や照明用として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、電飾照明装置の概略構成図である。
【図2】本発明の他の実施の形態を示す図で、電飾照明装置の概略構成図である。
【図3】本実施例による電飾照明装置の側面出射特性(初期特性)を示す図である。
【図4】本実施例による電飾照明装置の側面出射特性(経時特性)を示す図である。
【符号の説明】
1 電飾照明装置
2 光散乱体
2a チューブ状クラッド材
2b コア材
3 光源
Claims (5)
- チューブ状クラッド材と上記チューブ状クラッド材内に収容されチューブ状クラッド材よりも屈折率の高い非晶質コア材とからなる光散乱体と、この光散乱体の少なくとも一端に配設された光源とを有し、上記光源から入射した光を光散乱体の側面から出射させる電飾照明装置であって、上記非晶質コア材はポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物との重合のみによって非流動化した重合体を少なくとも構成成分として有しているとともに、上記非晶質コア材中に微粒子が分散されていることを特徴とする電飾照明装置。
- 上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物はイソシアネート基を持つ化合物から構成されていることを特徴とする請求項1記載の電飾照明装置。
- 上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物はイソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物から構成されていることを特徴とする請求項2記載の電飾照明装置。
- 上記ポリマーポリオールはポリオキシプロピレンポリオールから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の電飾照明装置。
- 上記微粒子の粒径が50μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の電飾照明装置。
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