JP4203818B2 - 保温積層体 - Google Patents

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Description

本発明は保温積層体に関するものであり、更に詳しくには掛け布団、膝掛けなど人体に掛けて使用する寝具、生活資材等に関するものである。
寝具やクッション積層体、座布団など生活資材向けに多数の商品が上市、提案されている。とりわけクッションや敷き布団、座布団等の用途には体圧分散性を良くし圧迫による血行不良を防止すべく低反撥性ポリウレタンフォームや硬綿クッション材を用いた商品がある。しかしながらこれらは良好な体圧分散性能を有するが肉厚であり収納し難いという欠点があった。この欠点を改善する為に例えばダブルラッセル経編地を組み合わせた積層体による薄厚クッションが提案されている(例えば、特許文献1など。)。
特開2002−209679号公報
敷き布団などの用途においては上記のように体圧分散性や吸湿・吸汗性、速乾性等を考慮し多数の商品が提案されている。掛け布団や膝掛けなど人体に掛けて使用する寝具、生活資材においては軽量感、嵩高性、吸湿・吸汗性、生地表面の触感、中綿羽毛の吹出抑制等が従来から重要視されているが、敷き布団で提案されているような身体へのフィット性を考慮した商品は殆どない現状にある。
本発明は従来の掛け布団や膝掛け等の寝具、生活資材ではあまり考慮されていなかった人体へのフィット性に着眼し、特に冬季使用時には人体へのフィット性を向上させて布団と人体との空間(隙間)を少なくし体位の変化(寝返りなど)による空間空気の移動量を少なくすることにより保温性を向上させること、及びよりコンパクトに収納が可能になること、季節に応じて使用面を変更することにより何れの季節であっても適度な保温性、吸湿性を実現させる保温積層体の提供を課題とする。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1.親水性繊維を含む紡績糸からなる高密度織物A、疎水性合成繊維糸からなる高密度織物B、及び親水性繊維を含む紡績糸を用いてなる立毛布帛Cが順に積層され、前記Aと前記Bとの間に中綿が吹込み充填されてなる積層体であって、積層体嵩比重が35000g/m以上60000g/m以下、積層体厚さが10mm以上30mm以下であることを特徴とする保温積層体。
2.疎水性合成繊維がポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維から選択される少なくとも一種類の素材からなるものであり単繊維繊度が0.1デシテックス以上2.5デシテックス以下、中綿充填材が羽毛であることを特徴とする上記第1に記載の保温積層体。
3.KES−FB2−L(Kawabata’s Evaluation System for Fabrics)システムによる純曲げ試験による曲げ剛性(B)が下記を満足することを特徴とする上記第1又は第2に記載の保温積層体。
Bf(高密度織物面を表面とした際の曲げ);5.0≦Bf≦15.0
Bb(立毛布帛面を表面とした際の曲げ);2.0≦Bb≦10.0
但し、上記純曲げ試験でいう表面とは曲げ試験によって凸形状に変形する面を言う。
本発明によれば、季節に応じて使用面を変更することにより長期にわたって使用することが出来、人体へのフィット性を向上させて布団と人体との空間(隙間)を少なくし、体位の変化(寝返りなど)による空間空気の移動量を少なくすることにより保温性を向上させ、尚且つコンパクト収納が可能になるなどの効果を有する積層体が得られる。
以下、本発明に付いて詳述する。
本発明の保温積層体は、立毛布帛C、疎水性合成繊維よりなる高密度織物B、中綿、親水性繊維を含む紡績糸よりなる高密度織物Aを順に積層し、縫製されてなるものであり、必要に応じてステッチを入れる(キルティング)ものである。前記Bと前記Aの間に詰め綿(中綿)が充填され、詰め綿(中綿)としては、羽毛、合繊綿、棉綿、羊毛綿等が挙げられ、軽量感や保温性を考慮すると羽毛が最も好ましい。羽毛とはグース、ダック等に代表される水鳥の羽毛を指すものであり、ダウンとフェザーに大別される。ダウンとフェザーの混率はフェザーの量が多いほど嵩高で軽くなるが、目的に応じて適宜組み合わせればよい。羽毛に用いる水鳥の種別や原産地についても同様である。
疎水性合成繊維よりなる高密度織物Bに用いる疎水性合成繊維はポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維から選択される少なくとも一種類の素材からなるものが好ましい。特にポリエステルが強度面で好ましい。該疎水性合成繊維の形態は長繊維束(マルチフィラメント)の形態でも紡績糸の形態であってもよい。勿論、紡績糸には長繊維と短繊維を複合させた長短複合紡績糸や各種革新紡績技術を用いてなる糸条が包括される。特に紡績糸の形態とすると中綿に羽毛を使用した場合、羽毛の吹出しが少なく好ましい。一方、長繊維束(マルチフィラメント)の形態は細繊度糸による高密度織物の製織が容易で、薄い軟らかい高密度織物が得られる点で好ましい。織組織についても特に限定されるものではなく平織、斜文織、朱子織など公知の織組織を採用することが出来るし、必要に応じてプラストカレンダー加工を付与し低通気性のものにすることが出来る。
また親水性繊維を含む紡績糸から構成される高密度織物Aについても低通気度とする為にプラストカレンダーや各種樹脂加工等を施したダウンプルーフ仕様とすることが好ましく、織組織についても公知の織組織を採用することが出来る。使用する紡績糸の製法についても通常のリング紡績の他、各種革新紡績技術を用いた紡績法を採用することも出来る。紡績糸に含まれる親水性繊維としては絹、羊毛、綿、レーヨン、キュプラ、セルロースアセテート等が例示されるが、単一組成である必要はなく該親水性繊維を複数種混合使用したものや65重量%以下のポリエステルなど疎水性繊維と混合使用したものであってもよい。特に綿混紡績糸は強度や中綿吹出防止等の観点から好ましく用いられる。
また立毛布帛Cはベルベット、コーデュロイ、シール織、シールフライス、シンカーベロア等のパイル織編物が好ましく、カットパイル(切毛)、ループパイル(輪奈毛)の何れであってもよい。立毛布帛とすることによって空間を稼ぐと共に、接触温感や軽量感を付与することが可能となるのである。パイル糸については特に限定されるものではないが、絹や綿、レーヨン、キュプラ、セルロースアセテート等の親水性繊維を使用した方が吸湿性、吸汗性の観点から有効であり好ましい。また立毛(パイル)密度は特に限定するものではないが、該密度は高い方が毛倒れし難く、毛倒れによる含気量の減少が少ない為、保温性や接触温感及び耐圧効果の観点からも有効である。立毛布帛の地組織は特に高密度である必要はない。上記疎水性合成繊維よりなる高密度織物を介して中綿と接触している為に中綿吹出しの問題が回避されるのである。
本発明の保温積層体の嵩比重は35000g/m3以上60000g/m3以下、より好ましくは40000g/m3以上55000g/m3以下とすることが望ましい。該嵩比重が35000g/m3未満では中綿充填量が少なくなり過ぎてしまい、収納性には優れるが保温性に乏しいものとなる。また60000g/m3を著しく超過する範囲では適度な保温性を有するものの嵩高くなり収納性が損なわれ易くなり、あまり好ましくない。また保温積層体の積層体厚さは10mm以上30mm以下、より好ましくは15mm以上20mm以下であることが好ましい。積層体厚さが10mm未満であると適度な保温性を保持し難く、30mmを著しく超過する範囲では本発明の意図するコンパクトな収納性を保持しにくくなるので、あまり好ましくない。
またKES−FB2−L(Kawabata's Evaluation System for Fabrics)システムによる積層体純曲げ試験では下記を満足することが望ましい。
Bf(高密度織物面を表面とした際の曲げ);5.0≦Bf≦15.0
Bb(立毛布帛面を表面とした際の曲げ);2.0≦Bb≦10.0
但し、上記純曲げ試験でいう表面とは曲げ試験によって凸形状に変形する面を言う。
Bf(高密度織物面を表面とした際の曲げ)は立毛布帛側が肌面であることを想定しての曲げ変形作用であり、外側が高密度織物面となる。立毛布帛面は積層体自体の重量、立毛布帛自身の自重、ドレープ性の効果で人体に沿って変形し易く、Bfが大きくなる方が積層体自身の見掛けの嵩高性が大きくなり保温性に優れたものとなる。Bfが5.0未満であれば適度な保温性を与えることができにくく、15.0を著しく超過する範囲では曲げ変形が阻害されやすい為、コンパクトな収納性を与えるづらくなり、あまり好ましくない。
またBb(立毛布帛面を表面とした際の曲げ)は高密度織物面が肌面であることを想定しての曲げ変形作用であり、外側が立毛布帛面となる。この曲げ作用の曲率半径は高密度織物側の方が大きく曲げ剛性が大きいほど積層体と人体との空間空隙が生じ易くなることを意味する。夏季に高密度織物側を肌面として使用すると、体位変化によって空間空気が移動する換気の効果で熱気や蒸れを低減させることが可能である。Bbが10.0を超過する範囲では人体と積層体の間に空間が生じ易いが、高密度織物自体が曲げ難く剛直なものとなる為、肌触り性の良くないものになり易く、あまり好ましくない。またBbが2.0未満では人体と積層体間の空間が生じ難くなり、上記の換気効果が小さく留まり蒸れ感を生じ易く、あまり好ましくない。
本発明の保温積層体は上述の如く積層体としての各要件を満足するものである。ステッチやその他の部位の縫製については公知の方法による。審美性を考慮すると積層体端部はチュービングとすることが好ましいが勿論、これに限定されるものではない。また本発明の寝具を構成する立毛布帛、疎水性合成繊維よりなる高密度織物、親水性繊維を含む紡績糸からなる高密度織物は無地染のみならず、各種プリント、糸染めによるものの何れであってもよく、染色方法も公知の技術を用いて実施することが出来る。また必要に応じて寝具を構成する生地に防黴加工や帯電防止加工、黒ずみ防止加工、撥水・撥油加工、その他機能加工を施すことも可能である。
本発明の保温積層体に供する上記部材、即ち疎水性合成繊維よりなる高密度織物、親水性繊維を含む紡績糸から構成される高密度織物、立毛布帛はその必要に応じ公知の捺染、浸染方法によって染色することが出来る。また必要に応じ各種機能加工を施すことも可能であるが揮発性有機溶媒やホルマリンを用いた機能加工は残留薬剤による皮膚刺激や呼吸器刺激が懸念される為、水系エマルションの状態とし機能剤をパッドドライ法、パッドスチーム法等の方法で付着させるか、染料同時吸尽法により機能剤を吸尽させる方法が好ましく採用される。
使用する疎水性合成繊維の単繊維繊度は0.1デシテックス以上2.5デシテックス以下、より好ましくは0.3デシテックス以上2.0デシテックス以下であることが高密度織物とするには好ましい領域である。これら疎水性合成繊維は通常、公知の溶融紡糸法で生産することが出来る。0.1デシテックス未満の超細繊度繊維は商用的には複合紡糸方法で生産されているが、極細化するには揮発性有機溶媒等を用いる必要があり、廃液負荷や労働環境悪化、更には商品に残留して人の健康を害する可能性もあり好ましくないばかりか、布帛の引裂強度が実用強度を保持するものにはなりづらく、あまり好ましくない。また単繊維繊度2.5デシテックスを超過すれば高密度織物としダウンプルーフ加工を施しても通気度が高いままに留まり中綿の吹出しが問題になる場合があり、あまり好ましくない。
疎水性合成繊維の断面形状については特に限定を加えるものでなく丸断面、三角断面、偏平断面、多葉断面、また中実断面のみならず中空断面であってもよい。またフラットヤーンのみならず公知の仮撚加工や空気交絡加工、高圧流体攪乱加工等を施した各種加工糸も含まれる。また必要に応じて二酸化チタンや硫酸バリウム、カオリナイト、二酸化珪素、カーボンブラック、顔料等々を混練分散して用いてもよい。
本発明の保温積層体は図1のように立毛面と親水性繊維を含む紡績糸からなる高密度織物の両面リバーシブルの構成となっている。立毛布帛の内側は疎水性合成繊維よりなる高密度織物が配置されており立毛布帛ではカバーしきれなかった中綿の吹出しを抑制している。夏季など高温高湿環境においては親水性繊維を含む紡績糸からなる高密度織物を肌側面として使用し吸汗・吸湿、接触冷感効果を利用し、冬季など低温環境においては立毛側を肌側面として使用し立毛による空気層による保温性向上、接触温感効果を利用し積層体と人体の空間環境(寝床内気候、衣服内気候)を適正化することが出来る。
また立毛面を構成する織物は地組織とパイルによって構成されており、立毛布帛の曲げ剛性は比較的粗い密度で構成される地組織に左右される。故に立毛布帛は人体に沿って変形し易く人体と積層体の間の空間空気量が少なくなる為、寝返りなどの体位変化が生じても空間空気の移動が少なく適度な保温性を保持することが出来る。また親水性繊維を含む紡績糸からなる高密度織物は適度な吸湿、吸汗性を有するが曲げ剛性大であり人体に沿って変形し難く、人体と積層体の間の空間空気量が大となる。即ち、体位変化による換気効果により熱や湿気がこもり難い。冬季使用時は立毛面を肌面とし、夏季使用時は高密度織物面を肌面に使用することによって四季を問わず快適に使用することが出来る。また上記高密度織物は熱しやすく冷めやすく(熱伝導性が高い、接触冷感がある)、立毛布帛は高密度織物対比で熱しにくく冷めにくい(熱伝導性が低い、接触温感がある)為、これらの相乗効果も相俟って快適な寝心地を消費者に提供することが可能である。
以下具体的実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、本文中及び実施例中の特性値は下記評価方法によるものである。また言うまでもないが本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(寝床内温湿度)
特開平10−332683号公報に記載された衣服内気候シミュレーション装置により計測した。尚、衣服内気候シミュレーション装置の概要及び計測条件は以下の通りである。発汗孔を有する基体及び産熱体からなる産熱発汗機構、発汗孔に水を供給するための送水機構、産熱体の温度を制御する産熱制御機構、温湿度センサーから構成される。基体は黄銅製で面積120cm2、発汗孔が6個付与されており、面状ヒーターからなる産熱体によって一定温度に制御される。送水機構にはチューブポンプを用いて一定水量を基体の発汗孔に送り出す。基体表面に厚み0.1mm〜0.6mmのポリエステルフィラメント織物からなる模擬皮膚を張り付けることによって発汗孔から吐出された水が基体表面全体に広がり、発汗状態を作り出す。本基体の周囲には高さ1cmの外枠が設けられている。温湿度センサーは基体と試料の間の空間に設置され、基体が発汗状態の時の「基体と試料と外枠で囲まれた空間」の温湿度を測定し寝床内温湿度とした。測定条件は32±0.2℃、環境湿度68±2%RH、基体温度37℃、発汗量245g/(m2・Hr)で発汗時間3分とした。実験回数5回の平均値を以ってその測定値とした。尚、測定用試料は測定環境下で24時間の調温湿を実施した後、測定に供した。
(曲げ特性)
KES−FB2−L(Kawabata's Evaluation System for Fabrics(カトーテック社製大型純曲げ試験機))を用い曲げ特性を評価した。測定環境は20±2℃、65±2%RH条件である。積層体を10cm巾のキルトに縫製し、キルトの端面が曲げ変形に対し極力影響を及ぼさないようにして測定用試料を調製した。尚、積層体は構成する高密度織物、立毛布帛の経糸方向を布団長手方向に想定して縫製した。曲げ特性は該高密度織物、立毛布帛の緯糸が曲げられるように評価した。
(積層体表面温度分布)
15±2℃、50±2%RH環境に調整した恒温恒湿条件下で表面温度35±2℃に調整した実物大の発汗マネキン(身長168cm)を仰向けに寝かせ、積層体(掛け布団)を掛け3分経過後、積層体を外し積層体の肌面の温度分布をサーモトレーサーを用いて評価した。但しサーモトレーサーのデータ取り込みを10秒毎とした。発汗マネキンの皮膚表面温度はワイヤーヒーター方式による加熱、発汗は飽和蒸送入方式によるもので22万個(2mmφ、3mmピッチ)の模擬汗腺から35g/(1.6m2・時間)の発汗を行なわせた。尚、敷き布団は使用せずに評価を実施した。
(積層体厚さ)
ノギスを用いて積層体中央部の厚さを測定した。総測定回数10回の算術平均値を積層体厚さとした。
(積層体目付)
積層体を10cm×10cm四方のキルトに縫製し、上皿天秤に積層体試料を乗せ秤量した。総測定回数10回の算術平均値から積層体としての目付(g/m2)を算出した。
(実施例1)
綿コーマ紡績糸40/1(英式綿番手40番単糸、148デシテックス相当)を織物の経糸、緯糸双方に用いエアージェットルームで製織して得られたツイル織物生機(2/1左上がりツイル)を両面ガス毛焼き、次亜塩素酸ナトリウム水溶液による精練漂白を実施した後、ヒートセッターによるプレセットを実施し、拡布及び布目矯正を行なった。得られた晒生地を用い反応染料による公知の捺染加工を実施した後、ダウンプルーフ加工して仕上げた(以下、綿100%ツイル生地Aと称する)
ポリエステルマルチフィラメントの仮撚加工糸84デシテックス72フィラメントを織物の経糸、緯糸双方に用いウォータージェットルームで製織して得られたタフタ織物生機(平織タフタ)を水酸化ナトリウム水溶液による連続精練を実施した後、ヒートセッターによるプレセット、拡布及び布目矯正を実施した後、裏面プラストカレンダー処理をして仕上げた。(以下、ポリエステルタフタ生地Bと称する)
立毛カットパイル糸(パイル経糸)及び地糸が綿コーマ糸で構成された両面シール織物を立毛布帛Cとし、綿ツイル生地A、ポリエステルタフタ生地B、立毛布帛Cをそれぞれ積層してキルト縫製し、AとBからなる空間層にダウン85重量%、フェザー15重量%からなる羽毛を吹込み中綿とした。得られた積層体は片面から綿ツイル生地A/羽毛/ポリエステルタフタ生地B/立毛布帛Cの順に積層構成されてなるものであり、積層体厚さは20mm、積層体嵩比重は55000g/m3であった。
積層体は通常市販の羽毛布団対比、中綿羽毛充填量が少ない為にコンパクトに収納可能なものとなり両面リバーシブル(立毛布帛側、高密度織物(平滑)側)に仕様となっており気候に応じて肌面に使用する側を適宜選択して使用することが可能である。また積層体自体非常に曲げ易いものであり人体に沿って変形し易く、立毛面を肌側に用いた場合は人体/積層体の空間空気層を少なく留められるものとなった。また高密度織物面を肌側に用いた場合は人体/積層体間に空隙が生じ易く、体位変化による換気効果を期待出来るものであった。(表1に得られた積層体の特性値をまとめた。)
(比較例1)
積層体厚さを30mmにした他は実施例1同様の方法で積層体を得た。立毛布帛面を肌側に用いた際の積層体保温性は良好であったが、高密度織物面を肌側に用いた際の人体/積層体間の空間空隙は積層体厚さ大、自重大の効果によって換気効果に乏しくなった。また嵩高性が高くなる効果によって収納性も損なわれる結果となった。(表1に得られた積層体の特性値をまとめた。)
(比較例2)
積層体厚さを5mmにした他は実施例1同様の方法で積層体を得た。立毛布帛面を肌側に用いた際は積層体自体の保温性に乏しく快適な寝心地を与えるものにはならなかった。(表1に得られた積層体の特性値をまとめた。)
(比較例3)
積層体嵩比重を70000g/m3とした他は実施例1同様の方法で積層体を得た。立毛布帛面を肌側に用いた際の積層体保温性は良好であったが、高密度織物面を肌側に用いた際の人体/積層体間の空間空隙は積層体厚さ大、自重大の効果によって換気効果に乏しくなった。また嵩高性が高くなる効果によって収納性も損なわれる結果となった。(表1に得られた積層体の特性値をまとめた。)
(比較例4)
積層体嵩比重を30000g/m3とした他は実施例1同様の方法で積層体を得た。羽毛吹込み量が少ない為に積層体自体は非常に軽いものの、羽毛によるクッション性に乏しくクタッとした布帛積層体となった。また体位変化や曲げ変形によって積層体自体の空間空隙量が容易に小さくなり、適度な保温性を保持するものにはならなかった。(表1に得られた積層体の特性値をまとめた。)
本発明の保温積層体は、季節に応じて使用面を変更することにより、長期にわたって掛け布団、膝掛けの寝具、生活資材として使用することができ、人体へのフィット性を向上させて布団と人体との空間(隙間)を少なくし、体位の変化(寝返りなど)による空間空気の移動量を少なくすることにより保温性を向上させ、尚且つコンパクト収納が可能になるなど、産業上の利用価値の大きなものである。
本発明の積層体の一態様を示す模式図である。 本発明の積層体に用いる立毛布帛(織物)の組織図実施態様の一例(ファーストパイル)であり、緯糸(毛緯)の浮きの大きい部分をナイフで切断しカットパイルとする。 本発明の積層体に用いる立毛布帛(織物)の組織図実施態様の他の一例(ルーズパイル)であり、緯糸(毛緯)の浮きの大きい部分をナイフで切断しカットパイルとする。 本発明積層体の寝床内温度測定結果の一例である。 本発明積層体の寝床内湿度測定結果の一例である。 サーモトレーサーによる積層体表面(肌面)温度分布の一例である。 積層体(掛け布団)を発汗マネキンに掛け3分経過後、積層体を外し発汗マネキンの腋周辺の温度分布の一例である(サーモトレーサーによる)。 図6のサーモトレーサー温度分布より、最高温度部分を読みとってプロットしたグラフである。 図7のサーモトレーサー温度分布より、最高温度部分を読みとってプロットしたグラフである。
符号の説明
1:親水性繊維を含む紡績糸からなる高密度織物
2:中綿充填材
3:疎水性合成繊維糸からなる高密度織物
4:立毛布帛

Claims (3)

  1. 親水性繊維を含む紡績糸からなる高密度織物A、疎水性合成繊維糸からなる高密度織物B、及び親水性繊維を含む紡績糸を用いてなる立毛布帛Cが順に積層され、前記Aと前記Bとの間に中綿が吹込み充填されてなる積層体であって、積層体嵩比重が35000g/m以上60000g/m以下、積層体厚さが10mm以上30mm以下であることを特徴とする保温積層体。
  2. 疎水性合成繊維がポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維から選択される少なくとも一種類の素材からなるものであり単繊維繊度が0.1デシテックス以上2.5デシテックス以下、中綿充填材が羽毛であることを特徴とする請求項1に記載の保温積層体。
  3. KES−FB2−L(Kawabata’s Evaluation System for Fabrics)システムによる純曲げ試験による曲げ剛性(B)が下記を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の保温積層体。
    Bf(高密度織物面を表面とした際の曲げ);5.0≦Bf≦15.0
    Bb(立毛布帛面を表面とした際の曲げ);2.0≦Bb≦10.0
    但し、上記純曲げ試験でいう表面とは曲げ試験によって凸形状に変形する面を言う。
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