JP4203219B2 - 不完全燃焼防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃焼用空気を強制的に取り込んで燃焼する強制燃焼式ガス給湯器等の燃焼器に組み込んで、その不完全燃焼を防止する不完全燃焼防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃焼器においては、排気の漏洩による室内酸欠状態や燃焼器の給排気系不良によって起きる不完全燃焼を検知して一酸化炭素中毒を防止する安全装置が設けられている。
こうした安全装置は、図5に示されるように、燃料ガスと燃焼用空気とが吸入される導入管71と、導入管71から吸入されたガスと空気とが混合される混合管72と、この混合管72で混合された混合気が噴出するセラミックス製のバーナプレート73と、このバーナプレート73の全周を囲んでバーナプレート73の上に形成される火炎への燃焼用二次空気の接触を妨げる円筒形の燃焼筒75と、この燃焼筒75を混合管72に装着して固定するビス76とから、全一次空気式のバーナ本体70を構成する。
バーナプレート73の中央には主炎口部73a(炎口形成エリア)が複数の開口に分割されて形成され、主炎口部73aから所定距離をあけた外周には円周上に並んだ複数の開口からなる保炎炎口部73bが形成される。
このバーナ本体70は、導入管71の開口部71a近傍にガスノズル81を設け、燃焼に必要な空気を導入管71を介して混合管72へ吸入して、基本的に燃焼用二次空気を必要としない全一次空気燃焼を行うものである。
【0003】
このバーナ本体70上部の燃焼筒75には、熱電対90がその先端の感熱部90a(温接点)を燃焼筒75内に臨ませて溶接により固定されると共に、コントローラと電気的に接続される。この感熱部90aは、バーナプレート73の主炎口部73aの真上に配置される。
熱電対90は、感熱部90aが火炎により加熱されることにより、温接点と冷接点(図示略)との間で電位差が生じて熱起電力Vが発生し、この起電力Vからコントローラにて火炎温度を検知する。この熱電対90とバーナ本体70とからセンサーバーナ2が構成される。
【0004】
こうした構成のセンサーバーナ2では、全一次空気燃焼が行われ、火炎(図5中、実線)がバーナプレート73表面から熱電対90の感熱部90aに接触する位置まで形成される。
この状態から、風量の低下による一次空気比λの低下等に伴って供給酸素が不足すると、燃焼状態が悪化して燃料ガスの燃焼速度が噴出速度より遅くなり、バーナプレート73上でバランスすることができなくなり、火炎がリフトして燃焼筒75の先端開口75aに保炎される(図5中、破線)。このように火炎が大きくリフトして熱電対90が低温の未燃ガスによって囲まれるため、その起電力Vは低くなる。
【0005】
このような火炎の形成位置変化による起電力Vの低下を捉えることにより、給湯器のメインバーナが不完全燃焼を起こす前に、燃料ガスの供給を遮断し燃焼を停止させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このセンサーバーナ2には、以下のような問題があった。
第一の問題は、一次空気比λの低下等に伴って供給酸素が不足して火炎がリフトする際に、低温の未燃ガスが燃焼筒75内で下方から順に充満してくるため、熱電対90の感熱部90aがバーナプレート73表面から離れて設けられるほど、燃焼状態の悪化に対して起電力Vの変化が遅れることである。
【0007】
これを燃焼状態の悪化の進行に合わせて図6〜図9を用いて詳しく説明する。
図6〜図9は、燃焼筒75内の温度分布を等起電力線を用いて示したもので、一次空気比λがそれぞれ異なる。各λの大小関係は、符号n末尾の数字が小さいほどλ値が小さい。
図6に示された温度分布は、良好な燃焼をしている時のもので(λ=n4)、等起電力線の間隔がほぼ均一である。燃焼状態が悪化し始めると(λ=n3)、火炎がリフトし始めるため、図7に示されるように、バーナプレート73表面付近は、低温の未燃ガスにより温度が急激に低下し、一方、バーナプレート73表面からある程度離れた場所は、燃焼が完結していることから温度が高いままで殆ど変化しない。
【0008】
そして、更に燃焼状態が悪化すると、図8(λ=n2),図9(λ=n1)に示されるように、等起電力線の密になっている部分が上昇すると共に、温度が一層低下する。つまり、火炎が更に上昇し未燃ガス領域が拡大して、バーナプレート73から離れた場所もようやく温度が低下する。
感熱部90aが主炎口部73aの真上に配置されるため、燃焼悪化がかなり進行してから起電力Vが変化し、燃焼悪化の検知が遅れていた。
【0009】
第二の問題としては、燃焼筒75の中に形成される火炎中に熱電対90を挿入しているため、燃焼筒75内を流れる混合気が熱電対90上部で渦流を形成し、混合気の流れが熱電対90によって乱されることから、火炎が不安定に形成され、熱電対90の起電力Vが大きくふらついてしまうことである。
しかも、点火する度に、この混合気の渦の形成状態が異なるため、熱電対90の起電力特性がばらつきやすかった。
【0010】
そこで、本発明の不完全燃焼防止装置は上記課題を解決し、熱電対の起電力のばらつきを抑えて酸素供給状態の悪化を安定して検知することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1記載の不完全燃焼防止装置は、
酸素供給状態に応じて燃焼状態が変化するセンサーバーナを備え、該センサーバーナの燃焼状態に応じた検知信号を出力する熱電対によりメインバーナの酸素供給状態の悪化を検知して不完全燃焼を防止する不完全燃焼防止装置において、
上記センサーバーナは、
複数の炎口を形成して炎口形成エリアとその周囲に炎口を形成しない無炎口エリアとを設けたバーナプレートと、該バーナプレートを囲んで該炎口形成エリアの火炎に対して周囲の燃焼用空気との接触を妨げる筒体とを有する全一次空気式バーナとで構成され、
上記熱電対の先端の感熱部を上記筒体に挿入し上記バーナプレートの上記無炎口エリアの上方に配置したことを要旨とする。
【0012】
また、本発明の請求項2記載の不完全燃焼防止装置は、上記請求項1記載の不完全燃焼防止装置において、
上記熱電対の先端の感熱部を上記バーナプレート表面からの高さを6mm以下にして配置したことを要旨とする。
【0013】
また、本発明の請求項3記載の不完全燃焼防止装置は、上記請求項1または2記載の不完全燃焼防止装置において、
上記熱電対が挿入される上記筒体の開口部に断熱材を設けたことを要旨とする。
【0014】
上記構成を有する本発明の請求項1記載の不完全燃焼防止装置は、熱電対の先端の感熱部がバーナプレートの無炎口エリアの上方に配置されるため、感熱部によって火炎を乱すことがなく、起電力値がふらつきにくい。
従って、点火する度に熱電対の起電力特性が大きくばらつくことがなく、燃焼悪化を検知するタイミングがばらつきにくい。
また、筒体が主炎口形成エリアと熱電対とを囲んで、火炎と熱電対との間への燃焼用二次空気の混入を阻止するため、保炎性が良く、熱電対は、逆風等の外乱の影響を受けにくくなり、しかも、未燃ガスの燃焼による温度上昇の影響を受けず、閉塞等による空気比の変化を的確に捉えることができる。
もし筒体を設けないと、火炎が燃焼用二次空気と接触して保炎性が悪くなるため、メインバーナが完全燃焼をしている時でさえもリフトすることがあり、起電力が得られず不完全燃焼と判断したり、二次空気により未燃ガスが燃焼し起電力が得られてメインバーナの不完全燃焼を検知できないといった不具合が生じる。
これに対して、センサーバーナに筒体を設けた本発明では、酸素供給状態の悪化をセンサーバーナで的確に検知して、メインバーナの不完全燃焼を防止する。
【0015】
また、本発明の請求項2記載の不完全燃焼防止装置は、供給酸素が不足して火炎がリフトする際に、燃焼状態が悪化するにつれて低温の未燃ガスが筒体内でバーナプレート表面上から徐々に充満していくことから、バーナプレート表面近くに配置された熱電対の感熱部が出力する起電力は、緩やかに変化する。
尚、実験データから、バーナプレート表面と熱電対の感熱部との距離が6mm以下である場合において、起電力の変化が緩やかになる。
一般に、燃焼悪化に対して起電力が急激に変化するセンサーバーナでは、火炎が揺れる程度の小さな一次空気比の変化に対して、起電力値が不安定にふらつくことがある。本発明では、起電力の変化が緩やかなため、燃焼悪化の検知時期がばらつきにくい。
このようにして、燃焼状態の悪化をセンサーバーナで検知して、メインバーナが不完全燃焼することを防止する。
【0016】
また、本発明の請求項3記載の不完全燃焼防止装置は、火炎がリフトするまで筒体が高温ガスに接していることから、筒体の温度が燃焼の悪化に伴って変化するものの、熱電対が挿入される筒体の開口部に断熱材を設けたため、筒体付近から熱電対感熱部への伝熱の影響を抑えることができ、起電力特性が緩やかになり、的確に燃焼悪化を検知できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の不完全燃焼防止装置の好適な実施形態について説明する。
本実施形態は、従来例と熱電対の取付が異なる。尚、従来例と重複するものに関しては同じ符号を用いて説明を省略する。
【0018】
図3は、センサーバーナ1を備えた強制燃焼式ガス給湯器の燃焼部を上から見た説明図である。この給湯器は、燃焼室50内には偏平な複数のメインバーナ51が並設され、それらのスロート52先端に一次空気調整用のダンパー53が設けられ、ノズル台54に設けられたガスノズル55から燃料ガスが供給される。このノズル台54に設けられたガス流路には能力(燃焼量)を調整するための比例制御弁やガス流路を開閉する電磁弁が設けられる。また、燃焼室50の下部には送風ファン(図示略)が設けられ、燃焼用空気を燃焼室50に強制供給しメインバーナ51でブンゼン燃焼を行い、この燃焼熱で熱交換器を加熱して出湯するように構成されている。
【0019】
図1は、メインバーナ51に並設され、燃焼筒10に熱電対90を装着したセンサーバーナ1を表す。
燃焼筒10内には、熱電対90の感熱部90aが、燃焼筒10の壁面に外側から挿通され、バーナプレート73の表面から所定間隔(4.7mm)をあけてバーナプレート73と平行に設けられる。燃焼筒10における熱電対90の挿通口には、碍子やセラミックウールといったセラミック製の断熱材11が設けられる。
このバーナプレート73は、図2に示されるように、中央に主炎口部73a(主炎口形成エリア)が複数の開口に分割されて形成され、主炎口部73aから所定距離をあけた外周には円周上に並んだ複数の開口からなる保炎炎口部73bが形成される。各開口の直径は1.1mmである。
【0020】
主炎口部73aの半径は4.9mmで、保炎炎口部73bの外側半径は、7.75mmである。つまり、主炎口部73aと保炎炎口部73bとの間となる、バーナプレート73の中心から4.9mm〜6.65mmの場所には、無炎口部73c(無炎口エリア)がリング状に形成される。
熱電対90の感熱部90aの中心先端とバーナプレート73の中心との距離xは5.5mmで、感熱部90aの中心先端とバーナプレート73の表面との距離hは4.7mmである。つまり、感熱部90aの中心先端は、無炎口部73cの真上に配置され、主炎口部73aにはかからない。
【0021】
上述した構成のセンサーバーナ1は、点火操作により給湯器のメインバーナ51からセンサーバーナ1に火移りしてバーナプレート73の表面上で火炎を形成する。この場合、火炎を囲む燃焼筒10により二次空気の供給が遮られ、全一次空気燃焼が行われる。尚、燃焼筒10は、必ずしも火炎全体を二次空気から妨げなくてもよい。つまり、火炎の先端が若干二次空気に触れるような構成であってもよい。
【0022】
次に、室内の酸素濃度の低下や、給湯器の排気部の閉塞により、センサーバーナ1への供給酸素が不足する時の燃焼停止制御について説明する。
給排気系が閉塞して風量が減少する場合には、燃焼用の空気量が減少するため混合気の空気比λが低下し、一方、室内の酸素濃度が低下する場合には、風量(空気比λ)が同じであっても燃焼に寄与する酸素量が減少し、何れにしても供給酸素が減少する。センサーバーナ1は、メインバーナ51に併設されているため、メインバーナ51の酸素供給状態に合わせてその酸素供給状態が変化する。
【0023】
このように供給酸素が減少すると、混合管72内の空気比λが減少し燃焼速度が低下して、火炎はバーナプレート73上からリフトして、燃焼筒12の上端開口で保炎され、周囲から二次空気が供給されブンゼン燃焼に切り替わる。
熱電対90の出力する起電力Vは、図4の実線に示されるように、給湯器への供給酸素が不足するにつれて、つまり、λが減少する(図4で左側に進む)につれて、緩やかに低下する。
【0024】
そして、起電力Vが予め設定しておいた判定基準値Vsを下回った時に、電磁弁を閉成し、燃料ガスの供給を停止する。
つまり、メインバーナ51が不完全燃焼を起こす前に、火炎が酸素供給不足に対して敏感に変化するセンサーバーナ1によって酸素不足を捉えて、燃焼を停止する制御を行ってメインバーナ51の不完全燃焼を防止する。
【0025】
次に、保炎炎口部73bや燃焼筒10をセンサーバーナ1に設ける利点について説明する。
もし、バーナプレート73に保炎炎口部73bを設けなかったり、燃焼筒10内に二次空気が入るような構成にした場合には、保炎性が悪いためメインバーナ51が完全燃焼をしている時でさえもリフトすることがあり、起電力が得られず不完全燃焼と判断したり、燃焼筒10内に二次空気を送り込む構成では、二次空気により未燃ガスが燃焼し起電力が得られてメインバーナ51の不完全燃焼を検知できないことがある。
【0026】
これに対して、本実施形態では、主炎口部73aの周囲に保炎炎口部73bを形成したため、保炎炎口部73bの火炎により主炎口部73aの主炎が保炎され、しかも、誘引される燃焼用二次空気が主炎口部73aや保炎炎口部73bの火炎に接触することを燃焼筒10が妨げるため、この二次空気による主炎の吹き飛びが防止され、主炎の保炎性が良好となり、上述のような不具合は生じない。
このようにして、給排気系の閉塞等による空気比の低下をセンサーバーナ1で正確に検知でき、メインバーナ51の不完全燃焼を防止することができる。
【0027】
次に、感熱部90aをバーナプレート73に近づけて配置する利点について実験データを用いて説明する。
図4は、感熱部90aの中心先端のバーナプレート73表面からの高さhを5.6〜6.2mmと変化させて得られた起電力特性図である。図中の実線は高さhが6mm以下のもので、破線は比較例(h=6.2)を示す。尚、感熱部90aのバーナプレート73からの距離xはどれも5.5mmで、感熱部90aが主炎の外側に配置される。
【0028】
供給酸素の不足により火炎がリフトしていく際に、燃焼状態が悪化するにつれて低温の未燃ガスがバーナプレート73表面から徐々に充満していく。
従って、バーナプレート73からかなり離して熱電対90を配置する場合には、燃焼状態の悪化がかなり進行してから、低温の未燃ガスが感熱部90a付近へ達するため、起電力Vが急激に変化する。この起電力特性は、図6〜図9に示される温度分布からも分かる。尚、図中の点Aは比較例(x,h)=(4,6.2)を、点Bは本実施形態(x,h)=(5.1,4.7)を示す。
【0029】
このように、起電力Vが急激に変化する一次空気比λで燃焼している場合には、一次空気比λの値が少し増減するだけで、起電力値Vが大きく増減してしまう。つまり、火炎が揺れる程度の小さな一次空気比λの変化でも、起電力Vが大幅に変化してしまい、起電力値がふらつき、燃焼の悪化を検知するタイミングがばらつきやすいという欠点がある。
これに対し、本実施形態では、感熱部90aをバーナプレート73に近接して配置したため、起電力Vの変化が緩やかになり、燃焼悪化の検知時期がばらつきにくい。しかも、起電力Vが燃焼状態の悪化に追従して変化するため、正確に燃焼悪化を検知してメインバーナ51の不完全燃焼の防止動作を行うことができる。
図4から、高さhが6mm以下の場合では、起電力Vの変化がリニアで緩やかで燃焼悪化の検知時期がばらつきにくいことが分かる。尚、感熱部90aは、バーナプレート73に接触しても構わない。
【0030】
こうした起電力特性は、図6〜図9に示されるように、感熱部90aのバーナプレート73中心からの距離xによっても変化する。
これについて、能力大と能力小とにおいて、熱電対90の挿入位置を変えて、その時の起電力Vを3回ずつ測定して得られた実験データを表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
熱電対90の起電力のばらつきは、燃焼筒10のセンター側(主炎口部上方)に感熱部90aが配置される場合の方が、燃焼筒10の壁面側(無炎口部上方)よりも大きい。
熱電対90が火炎に挿入される場合(x=4や4.8)には、熱電対90が保炎器の働きをするため、この保炎効果により起電力特性に大きなばらつきが生じてしまうが、本実施形態では、熱電対90は主炎の外側に配置されるため、混合気が燃焼筒75内をスムーズに流れ、主炎の形成を妨害せず、起電力Vが安定してあまりばらつかず、起電力値Vが判定基準値Vsを下回って不完全燃焼防止動作を行うタイミングもばらつきにくい。
尚、保炎炎口部73bで形成される火炎は、主炎口部73aでの火炎よりも流速がかなり小さく、起電力特性に殆ど影響を及ぼさない。
【0033】
ところで、燃焼の悪化により火炎がリフトするまで、高温ガスが燃焼筒10に接しているため、燃焼筒10の温度が燃焼の悪化に伴って急激に低下するが、起電力はこの燃焼筒10の温度変化の影響を受けることがない。
これは、熱電対90が挿入される燃焼筒10の開口部に断熱材11を装着したために、燃焼筒10付近から熱電対90の感熱部90aへ伝熱しにくくなるからである。この結果、起電力特性が緩やかになり、的確に燃焼悪化を検知できる。
【0034】
上述のように、熱電対90の感熱部90aを、バーナプレート73の無炎口部73cの上方に配置したり、感熱部90aのバーナプレート73表面からの高さhが6mm以下になるように配置したり、熱電対90の燃焼筒10取付部の周囲を断熱材11で囲むことにより、起電力Vの変動を低減することができる。
この結果、給排気系の閉塞等による空気比λの低下をセンサーバーナ1で正確に検知して、メインバーナ51の不完全燃焼を未然に防止して、使用者の安全を確保できる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、燃焼筒10に断熱材11を設けなくてもよい。
また、熱電対90を傾斜して燃焼筒10に設けてもよい。
また、バーナプレート73に保炎炎口部73bを形成しなくてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の不完全燃焼防止装置によれば、熱電対の感熱部がバーナプレートの無炎口エリアの上方に配置されるため、感熱部によって火炎の形成を乱すことや保炎することがなく、起電力のばらつきを抑えることができ、適正なタイミングで燃焼の悪化を検知することができる。
しかも、筒体が主炎口形成エリアと熱電対とを囲んで、火炎と熱電対との間への燃焼用二次空気の混入を阻止するため、保炎性が良く、熱電対は、逆風等の外乱の影響を受けにくくなり、しかも、未燃ガスの燃焼による温度上昇の影響を受けず、閉塞等による空気比の変化を的確に捉えることができる。
従って、酸素供給状態の悪化を適切に検知して、メインバーナの不完全燃焼を防止することができる。
【0037】
更に、本発明の請求項2記載の不完全燃焼防止装置によれば、熱電対の感熱部を無炎口エリアから高さ6mm以下の場所に配置したため、起電力が緩やかに変化し、燃焼悪化の検知時期がばらつきにくい。
従って、酸素供給状態の悪化を適切に検知して、メインバーナの不完全燃焼を防止することができる。
【0038】
更に、本発明の請求項3記載の不完全燃焼防止装置によれば、熱電対が挿入される筒体の開口部に断熱材を設けたため、起電力特性が緩やかになり、燃焼悪化を検知するタイミングがばらつきにくく、適切な時期にメインバーナの不完全燃焼を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態としてのセンサーバーナを側面から見た断面図である。
【図2】本実施形態としてのセンサーバーナの上面図である。
【図3】本実施形態としての不完全燃焼防止装置の上面図である。
【図4】熱電対の出力特性図である。
【図5】従来例のセンサーバーナを側面から見た断面図である。
【図6】センサーバーナにおける燃焼筒内の温度分布図である。
【図7】センサーバーナにおける燃焼筒内の温度分布図である。
【図8】センサーバーナにおける燃焼筒内の温度分布図である。
【図9】センサーバーナにおける燃焼筒内の温度分布図である。
【符号の説明】
1,2…センサーバーナ、10,75…燃焼筒、11…断熱材、73…バーナプレート、73a…主炎口部、73b…保炎炎口部、73c…無炎口部、90…熱電対、90a…感熱部。
Claims (3)
- 酸素供給状態に応じて燃焼状態が変化するセンサーバーナを備え、該センサーバーナの燃焼状態に応じた検知信号を出力する熱電対によりメインバーナの酸素供給状態の悪化を検知して不完全燃焼を防止する不完全燃焼防止装置において、
上記センサーバーナは、
複数の炎口を形成して炎口形成エリアとその周囲に炎口を形成しない無炎口エリアとを設けたバーナプレートと、該バーナプレートを囲んで該炎口形成エリアの火炎に対して周囲の燃焼用空気との接触を妨げる筒体とを有する全一次空気式バーナとで構成され、
上記熱電対の先端の感熱部を上記筒体に挿入し上記バーナプレートの上記無炎口エリアの上方に配置したことを特徴とする不完全燃焼防止装置。 - 上記熱電対の先端の感熱部を上記バーナプレート表面からの高さを6mm以下にして配置したことを特徴とする請求項1記載の不完全燃焼防止装置。
- 上記熱電対が挿入される上記筒体の開口部に断熱材を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の不完全燃焼防止装置。
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