JP4203201B2 - 管埋設工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下水道管やガス管等の管を地下に埋設する管埋設工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中に水道管等の管を埋設する場合、図5に示すように、地面を掘削して溝20を形成し、この溝20の内部に所定長さの単位管21を溝の長手方向(図5の紙面を貫く方向)に沿って複数接続し、その後、溝20を埋め戻して管を設ける管埋設工法が知られている。かかる工法は、概ね、溝の掘削工程、単位管の設置工程、設置された単位管同士の溶接工程、溶接部分の検査工程、単位管接続部の防食工程及び埋め戻し工程から成り、これらの工程が順次施されて管を地中に埋設している。
【0003】
これらの工程中、防食工程では、熱収縮性を有するシュリンクチューブやシュリンクシートを加熱収縮させ、単位管21の接続部分の外周面に被覆して防食層22を形成して行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる防食工程が終了した直後は、防食層22の温度は約80℃と高温であり、防食層22はまだ固まっていない。この状態で埋め戻しを行うと溝20に注がれた土砂を突き固める際、この圧力が防食層22に伝わり土砂と防食層22との間に発生する摩擦力Fにより防食層22が単位管21の周面に沿って下部へ押し寄せられてしまう。そのため、図5に示すように単位管21の接続部分の下端部で、防食層22が単位管の外周面から剥離し、隙間23が形成される場合がある。この隙間23の部分に水が溜まると、隙間23の部分から管の腐食が進展してしまう。
【0005】
かかる不具合の発生を防止すべく、防食工程が終了した後に防食層22を保護するためその周囲に更にポリエチレンのシートを被覆することも行われているが、かかる手段を施しても防食層22が冷えて固まらないうちは管21の下部へ押しやられる現象を防止することができない。
【0006】
そのため、防食層22が冷えるのを待って埋め戻し工程に移るのが実情であり、施工効率が悪く、工期が長期化していた。
【0007】
本発明はかかる不都合に鑑みて成されたものであり、効率よく管を埋設し、しかも確実に接続部を防食する管埋設工法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、請求項1の発明では、地面を掘削して形成された溝内で、この溝の長手方向に沿って単位管を接続し、その後前記溝を埋める管埋設工法であって、前記単位管の接続部に対応する前記溝の位置に会所を形成し、前記会所の両側に土嚢を積み上げ、前記土嚢上に前記単位管を載置し、さらに土嚢を積み上げて堰を形成し、次いで、前記単位管を接続し、そして、前記会所内を流動体により埋め戻すと共に、前記会所間の前記溝を、前記溝を掘削した土砂により埋め戻すこととした。
【0009】
単位管同士を接続する接続部では、この接続部が腐食するのを防止するため防食層を接続部の外周面に設けることが行われている。このこの防食層は、熱収縮性を有するフィルム状の部材を加熱して接続部の外周面に密着させて形成される。
【0010】
本発明によれば、流動体と防食層との間には摩擦力が発生しないので防食層が接続の下面に押し集められることが無く、防食層の接続への密着状態を保持することができる。そのため、接続部と防食層との間に水が浸入することが無く、確実に防水する。
【0011】
また、流動体で埋め戻すゆえ、流動体が乾燥した後の層が均質であり突き固めの作業を要せず、工期を短縮する。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1記載の管埋設工法において、前記流動体は、前記溝を形成する際に掘削された土砂に水を混合して形成したものであることを特徴とする。
【0013】
本発明では、流動体に含有される水分が高温に加熱された防食層を冷却し、短時間で、防食層の接続部外周面への密着状態を形成する。また、掘削時の土砂を使用するので投棄される廃棄物を発生させることが無い。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、地面に形成された溝2に、本発明にかかる管埋設工法で水道管1を埋設する状況を示している。溝2は図示しない油圧ショベル等の重機を利用して、地表から一定の深さ水平方向に沿って掘削して形成されている。埋設される水道管1は、複数の単位管3‥3をクレーン装置等より溝内に搬入し、溝2の長手方法に沿って順次配置してこれらの端面同士を接続して設けられている。また、水道管1の接続部4‥4の近傍には、長手方向の前後両側に堰5‥5がそれぞれ設けられており、各単位管3‥3はその長手方向の両端部がこれら堰5‥5に支持されている。なお、各単位管3‥3の外周面には、単位管3‥3が腐食するのを防止するため、その全面に防食材が予め塗布されており、この防食材を保護するため、単位管3‥3を溝底部に直置きせずに溝底部から一定の高さを保持して堰5‥5により支持されている。
【0016】
なお、溝2には、その長手方向において水道管1の接続部4‥4に対応する位置に、幅広かつ深く形成された会所2A,2B‥が形成されている。これら会所2A,2B‥は、溝2の接続部4‥4に対応する分部に広いスペースを確保して、単位管同士を接続する際、作業者が溶接作業や検査作業を行いやすくするために形成されたものである。
【0017】
図2は、図1のII−II断面であり、堰5‥5を溝の長手方向に見た図を示している。この堰5‥5は、土砂を袋詰めして成る土嚢6‥6が複数積載されて形成されたもので、溝2内において溝2と各単位管3‥3の外周面との間の空間部を隙間なく閉塞するようにして設けられている。但し、溝2上端まですべてを閉塞するように積載する必要はなく、この図2に示すように、上部を若干あまらせる程度積載すれば十分である。なお、この堰は、土嚢を複数積載して形成するものには限定されず、例えば、粘土で壁を形成するようにして設ける等その他の手法で設けてもよい。
【0018】
図3は、単位管3,3同士が接続される接続部4を示している。単位管3,3の長手方向の端部には、単位管3,3の中央部に比し外径が若干小さく形成された突合わせ部3a,3aが長手方向に一定長さ形成されている。単位管3,3は突合わせ部3a,3aの端面同士を当接させて、この当接させた部分を全周に亘り溶接して接続されている。本図の符号7は溶接ビードを示している。なお、溶接作業をし終えた後は、放射線検査法、超音波探傷検査法、磁気探傷検査法その他の溶接欠陥検査方法により溶接部分の検査を行い、もし、溶接欠陥が有れば直ちに補修すようにしている。
【0019】
そして、検査・補修作業の後、この接続部4が腐食するのを防止するため、防食層8を設ける工程が施される。この防食工程では、例えば、両単位管3,3の端部に形成された突合わせ部3a,3aの外周面に防食性に優れたシュリンクシートを全面に被覆して行われる。この図3に示す防食層8は、熱収縮性のあるフィルム状の薄いシュリンクシートをおよそ80℃に加熱して、突き合わせ部3a,3aの外周全面に隙間なく密着させて形成されたものである。
【0020】
以上のようにして単位管を接続し終えた後は、この接続部に対応する会所と、この接続部より以前に単位管を接続した接続部に対応する会所との間の溝を順次埋め戻している。例えば、図1において、会所2B、会所2Aの順で接続作業を進めた場合、本図において接続作業が完了した会所2Bより右側の溝部分では埋め戻しが既に終了している。会所2Aと会所2Bと間の溝部は、会所2Aで単位管3‥3同士の溶接、検査、防食のすべての作業が終了した後に、埋め戻す作業が行われる。
【0021】
図4に示すように、溝2の単位管3の長手方向中央部に対応する部分2Cを埋め戻す場合に、溝2を形成する際に掘削した土砂をそのまま溝2に埋め戻している。これに対し、接続部4の近傍をを埋め戻す際には、流動体を堰5と堰5の間に充填して埋め戻している。なお、本実施形態において、この流動体は、掘削された土砂に水を混入して形成したものが使用されているがこれには限定されず、例えば、土砂とセメントの混合物に水を混入せしめたもの等その他のものを使用しても構わない。
【0022】
このように、流動体を充填すれば、流動体に含有される水分により防食層8が冷やされ、この防食層8は単位管3の突合わせ部外周面との密着状態を保持したまま固化する。また、流動体と防食層8の外周面との間に生じる摩擦を極力抑えることとができ、防食層8が突合わせ部の下端に押し集められることなく、単位管3の突合わせ部との密着状態が保持される。なお、流動体に含有される水分は、溝2の底部及び側壁面から地面へ吸収され、短時間で通常の土砂と同様の状態となる。その後は、溝上部の残りの部分に土砂を直接投入して溝を完全に埋め戻す。
【0023】
以上、水道管を例にして説明したがこれに限定されるものではなく、本発明は、ガス管等の他の管を埋設する場合にも適用できる。
【0024】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、管を構成する単位管同士の接続部を保護する防食層を確実に単位管に密着させて接続部での腐食の発生を確実に防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管埋設工法により水道管を埋設する様子を示す説明図。
【図2】図1に示す溝及び水道管のII−II断面を示す横断面図。
【図3】単位管同士の接続部を示す一部断面図。
【図4】水道管が埋め戻された状態を示す説明図。
【図5】従来の工法で埋め戻した管の単位管接続部を示す横断面図。
【符号の説明】
1 管(水道管)
2 溝
2A,2B 会所
3 単位管
4 接続部
5 堰
6 土嚢
8 防食層
Claims (2)
- 地面を掘削して形成された溝内で、この溝の長手方向に沿って単位管を接続し、その後前記溝を埋める管埋設工法であって、
前記単位管の接続部に対応する前記溝の位置に会所を形成し、前記会所の両側に土嚢を積み上げ、前記土嚢上に前記単位管を載置し、さらに土嚢を積み上げて堰を形成し、次いで、前記単位管を接続し、そして、前記会所内を流動体により埋め戻すと共に、前記会所間の前記溝を、前記溝を掘削した土砂により埋め戻すことを特徴とする管埋設工法。 - 前記流動体は、前記溝を形成する際に掘削された土砂に水を混合して形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の管埋設工法。
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