JP4202839B2 - 地中レーダ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、地中掘削機などに搭載される地中レーダ装置に関するものであり、特に、地中掘削機の回転角に応じて変化するビーム方向を高精度で検出可能な地中レーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地上からの開削を行うことなく地上からの操作によって地中に小径のトンネルを掘削するという非開削ドリリング工法が開発されている。この非開削ドリリング工法では、ロッドと称される3メートルほどの長さの可撓性のパイプを継ぎ足すことによって形成される長尺体の先端部に直径数cmから数十cmの地中掘削機が取付けられる。また、この長尺体の根元側を地上に設置した駆動装置に取付け、この長尺体に回転力と推進力とを与えることにより、トンネルの掘削が行われる。トンネルの掘削の進行に伴い、根元側でロッドが1本ずつ継ぎ足される。
【0003】
このような非開削ドリリング工法では、地中に埋設されている水道管やガス管などの障害物との接触を回避するために、地中掘削機の先端部や側部に地中レーダ装置を設置し、障害物の検出を行うという方法が開発されてきたこの地中レーダ装置では、掘削機の先端部や側部に取付けられたアンテナから前方や側方の地中にパルス状の電波が放出され、地中の障害物によって生じた反射波がアンテナに受信される(特許文献1乃至6)。
【0004】
上述した地中レーダ装置のうち先端部にアンテナを取付けるものでは、図4に示すように、ロッドQの先端に取付けられた円筒形状の掘削機Pの軸線Zに対して所定の角度で掘削刃BLが取付けられ、この掘削刃BLの中心部に形成された窓の内部に送信アンテナTXと受信アンテナRXが取付けられる。地中での電波の減衰量が大きいため、送受各アンテナの指向性は図示のような横長の楕円形状を呈する。両アンテナの指向性のパターンが重なり合った斜線部分が障害物の検出可能領域DAとなる。掘削機Pがその軸線Zのまわりに回転しながら推進されるため、掘削に伴い、検出可能領域DAは、図4の(A)と(B)とに例示するように、軸線Zのまわりに回転することになる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−147137号公報
【特許文献2】
特開2000−204883号公報
【特許文献3】
特開2001− 21663号公報
【特許文献4】
特開2001− 51066号公報
【特許文献5】
特開2001− 56373号公報
【特許文献6】
特開2002− 16553号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行技術の地中レーダ装置では、掘削機の軸線Zのまわりの回転角度を高精度で検出することが困難なため、その先端部に傾けて取付けられる地中アンテナの向きを高精度で検出することも困難であった。このため、障害物が掘削機の前方に存在するということは検出できるものの、その正確な方向が不確実になり、このため、掘進方向の変更等による障害物の回避作業に支障をきたすという問題があった。
【0007】
このアンテナの向き、すなわち、掘削機の回転角度を正確に検出することが困難になるのは、次のような理由による。第1に、多数本のロッドを螺合によって継ぎ足して長尺体を形成するため、この長尺体の軸線のまわりの回転角度に関して、地中の先端部と地上の根元部との正確な差を管理することが困難になるためである。第2に、可撓性のロッドが継ぎ足された長尺体にその軸線のまわりの捩じれが発生するため、先端部と根元部とでは回転角に差が生じ、しかも、この差は長尺体の長さや、回転速度や土の粘性などに応じて変化するからである。
【0008】
従って、本発明の目的は、アンテナの向きを正確に検出でき、従って、前記の障害物の位置を正確に検出できる地中レーダ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決する本発明に係わる地中レーダ装置は、非開削ドリリング工法に使用される地中掘削機に取付けられ、地中に送信信号を放射し地中からの反射信号を受信する地中アンテナを備えた地中レーダ装置において、
前記地中掘削機に設置され、その軸線の回りの回転角度が所定の基準値になった時点を検出しその旨を通知する基準タイミングパルスを発生する基準タイミングパルス発生手段であって、この地中掘削機の側壁面とともに回転する外部円筒体と、おもりが取付けられて静止状態を保つ内部回転体とが互いに同軸状態で対向せしめらることにより相対回転角に応じた大きさの電気信号を発生するポテンショメータを備えたものと、
この基準タイミングパルスと前記地中アンテナが受信した反射信号とを合成し、周波数変調して地上に伝送する伝送手段とを備えている。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記地中アンテナが受信した反射信号を前記基準タイミングパルスを用いて分析し、前記反射信号を発生させた障害物の方向を検出する反射信号処理手段を、前記伝送手段の前段に更に備えている。
【0015】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例の地中レーダ装置の構成を示す機能ブロック図である。この地中レーダ装置は、図4に示した非開削ドリリング工法に使用される地中掘削機Pの内部に設置され、地中アンテナAT、レーダ送受信部TR、0°センサS、信号合成部ML、周波数変調部FM及び信号送信部STを備えている。
【0016】
地中アンテナATは、図4に示したように概ね円筒形状の掘削機Pの中心線(軸線)Zに対して法線を所定角度傾けて取付けられた掘削刃の中心部に形成された窓の内部に取付けられた平面型の送信アンテナTXと同じく平面型の受信アンテナRXとから構成されている。レーダ送受信部TRは、この地中アンテナATの送信アンテナTXにパルス状の送信信号を供給し、地中に放射させる。地中アンテナATの受信アンテナRXに受信された障害物からの反射波を含む受信反射信号はレーダ送受信部TRに供給される。
【0017】
0°センサSは、掘削機Pの軸線Zのまわりの回転角度を検出し、これが所定の基準値0°と一致した時点を検出すると、その旨を通知するパルス信号(0°パルス)を出力する。信号合成部MLは、レーダ送受信部TRから供給される反射信号と0°センサSから供給される0°パルスとを重畳により合成して、周波数変調部FMに供給する。周波数変調部FMは、反射信号と0°パルスとの合成信号を周波数変調し、信号送信部STに供給する。信号送信部STは、周波数変調された合成信号を地中の無線伝送路や、ロッドQ内を延長される有線伝送路など適宜な伝送路TRを介して地上の受信装置に向けて送信する。
【0018】
図2は、上記信号合成部MLから出力される合成信号の一例を示す波形図である。所定間隔で配列される同期信号SYの間に障害物からの反射波を含む反射信号RSと、0°パルス0°が配列されている。反射信号RSのうち大きな振幅の前半部分は、送信アンテナTXから地中に送信された電波の一部が隣接する受信アンテナRXに直接受信されるまわり込み成分であり、振幅の小さな後半部分が地中の障害物からの反射波の成分である。
【0019】
地上の受信装置では、一定の周期で出現する同期信号SYの間にこの同期信号とは異なるタイミングでパルスが出現したことを検出すると、これを0°パルスと認識し、その出現時点に掘削機Pが所定の回転角度、従って、地中アンテナATの向きが所定の方向になったことを認識する。この地中アンテナATの所定の向きは適宜なものでよいが、例えば、図4の(A)に示すように、地中アンテナから放射されるビームが最も上向きになったとき、水平になったとき、あるいは最も下向きになったときなど適宜な場合を選択できる。
【0020】
図3は、図1中の0°センサSの具体的な一例を示す断面図である。円筒形状の掘削機Pの中心にその中心線(軸線、回転軸)Zと中心線を一致させた同軸状態で円筒形状のホルダHが保持される。このホルダHは、掘削機Pの円筒形状の側壁面からその中心に向けてかつ掘削機Pの円周方向に沿って中心軸Zのまわりに120 °ずつ離間して延長された3本の等しい長さのアームA1 ,A2 ,A3 (図示せず)の先端部に保持される。このホルダHの内部に円筒形状のポテンショメータPTとおもり収容室CAが軸線を一致させた同軸状態で保持されている。ポテンショメータPTは外部円筒体と、内部回転体とが互いに同軸状態で対向せしめらることにより両者の相対回転角に応じた大きさの電圧を発生する。
【0021】
おもり収容室CAは、ポテンショメータPTとの間がパッキンによって液密状態に保たれ、内部に適宜な粘度の液体が充填されている。ポテンショメータPTの内部回転体の中心軸がおもり収容室CA内に突出せしめられており、その先端には大きな重量のおもりWが取付けられている。このおもりWは、ポテンショメータPTの内部回転体の中心軸のまわりに非対称の扇型の形状を有する。掘削機Pがその軸線Zのまわりにある角度回転すると、アームA1 ,A2 ,A 3とホルダーHとが同一角度だけ回転し、この結果ポテンショメータPTとおもり収容室CAが、軸線Zのまわりに掘削機Pと同一角度だけ回転する。このとき、ポテンショメータPTの内部回転体は、おもりWの重心が常に鉛直方向を向くため、回転せず、元の角度を保持し続ける。
【0022】
この結果、掘削機Pとともに回転するポテンショメータPTの外部円筒体と、おもりWが取付けられて静止状態を保つ内部回転体との間に相対回転角に応じた大きさの電圧が発生する。この電圧は、典型的には正弦波となり、その変動の周期は、掘削機Pの1回転の周期と一致する。図1中の0°センサSは、このポテンショメータPTから出力される電圧の絶対値と増減の向きから、掘削機Pの所定の回転角度を検出し0°パルスを発生させる。
【0023】
以上、掘削機の先端に地中アンテナを取付ける場合を例にとって本発明の地中レーダ装置を説明した。しかしながら、掘削機の周辺部分に地中アンテナを取付ける構成の地中レーダ装置に対しても本発明を適用することができる。
【0024】
また、非開削ドリリング工法の掘削機に取付ける場合を例にとって本発明の地中アンテナを説明した。しかしながら、これと類似の他の地中掘削工法や、あるいは地中埋設物の探索を目的として掘進を行う場合などにも、本発明の地中レーダ装置を適用することもできる。
【0025】
さらに、受信反射信号を地上装置に送信し、この地上装置で障害物の検出を行う構成の地中レーダ装置を例示した。しかしながら、地中の掘削機の内部で反射信号を処理して障害物を検出する構成の地中レーダ装置にも本発明を適用できる。この場合、0°パルスをそのような掘削機内部で障害物の角度の検出に利用し、地上装置には反射信号を送信しない構成とすることもできる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の地中レーダ装置は、地中掘削機の回転角度が所定の基準値になった時点を検出しその旨を通知する基準タイミングパルスを発生する基準タイミングパルス発生手段を備える構成であるから、地上においてアンテナの向き、従って、障害物の位置を正確に検出でき、回避作業が容易かつ確実になるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の地中レーダ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の信号合成部から出力される0°パルスを含む合成信号波形の一例を示す概念図である。
【図3】図1の0°センサSの構成の一例を示す断面図である。
【図4】非開削ドリリング工法に使用される掘削機の先端に取付けられた地中レーダとその問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
AT 地中アンテナ
TX 送信アンテナ
RX 受信アンテナ
TR レーダ送受信部
S 0 °センサ
ML 信号合成部
FM 周波数変調部
TR 信号伝送部
H ホルダー
A1,A2アーム
PT ポテンショメータ
CA おもり収容室
W おもり
Z 掘削機の中心軸(軸線、回転軸)
SY 同期信号
RS 受信信号
P 掘削機
Q ロッド
BL 掘削刃
Claims (2)
- 非開削ドリリング工法に使用される地中掘削機に取付けられ、地中に送信信号を放射し地中からの反射信号を受信する地中アンテナを備えた地中レーダ装置において、
前記地中掘削機に設置され、その軸線の回りの回転角度が所定の基準値になった時点を検出しその旨を通知する基準タイミングパルスを発生する基準タイミングパルス発生手段であって、この地中掘削機の側壁面とともに回転する外部円筒体と、おもりが取付けられて静止状態を保つ内部回転体とが互いに同軸状態で対向せしめらることにより相対回転角に応じた大きさの電気信号を発生するポテンショメータを備えたものと、
この基準タイミングパルスと前記地中アンテナが受信した反射信号とを合成し、周波数変調して地上に伝送する伝送手段と
を備えたことを特徴とする地中レーダ装置。 - 請求項1において、
前記地中アンテナが受信した反射信号を前記基準タイミングパルスを用いて分析し、前記反射信号を発生させた障害物の方向を検出する反射信号処理手段を、前記伝送手段の前段に備えたことを特徴とする地中レーダ装置。
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JP2003182031A JP4202839B2 (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 地中レーダ装置 |
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JP2003182031A JP4202839B2 (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 地中レーダ装置 |
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JP2003182031A Expired - Lifetime JP4202839B2 (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 地中レーダ装置 |
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-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003182031A patent/JP4202839B2/ja not_active Expired - Lifetime
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