JP4202178B2 - 合成樹脂製ボトル型容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器の胴部に減圧吸収パネルを備える合成樹脂製ボトル型容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂からなるボトル型容器は、加熱処理した内容物を高温充填する場合、高温の内容物が冷却されるに従って容器内が減圧状態となり、容器を変形させてしまうという問題がある。
【0003】
このため、容器の胴部に減圧吸収パネルを設け、この減圧吸収パネルで容器内の負圧を分散吸収して容器の変形を防止する合成樹脂製のボトル型容器は既知である。そして、減圧吸収パネルでの減圧吸収量をさらに増加させるため、容器のボトル軸線方向に間隔を空けて2つの減圧吸収パネルを配列し、これら減圧吸収パネルの相互間を縦溝でつないだ容器も提案されている(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−238736号公報
【0005】
しかしながら、こうした従来の容器は、2つの減圧吸収パネルの相互間をつないだ縦溝を起点に発生させることにより、容器全体を均等に変形させることで減圧吸収の向上を図ることができるものの、例えば、その胴部が複数の柱部とこれら柱部の相互間をつなぐ壁部を有し、この壁部に減圧吸収パネルを備える多角形断面の容器である場合、減圧吸収パネルを掴んで空の容器を持つなどすると、その壁部に胴部周りの方向に沿ってつぶれが発生しやすいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決すべき課題は、こうした事実に鑑みてなされたものであって、減圧吸収パネルと胴部周り方向で接する領域でのつぶれが発生し難い外観形状に優れた合成樹脂製ボトル型容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、請求項1に係る発明は、容器の胴部に減圧吸収パネルを備える合成樹脂製ボトル型容器において、前記胴部は、複数の柱部と、これら柱部の相互間をつなぐ壁部とを有し、この壁部に前記減圧吸収パネルを備える多角形断面からなり、前記壁部における、前記減圧吸収パネルと前記柱部との相互間に、その胴部周り方向に沿って延びる溝部を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態を示す側面図であり、図2(a),(b)はそれぞれ、図1の上面図および下面図である。また図3(a)〜(d)はそれぞれ、図1のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図である。
【0010】
図1において、符号10は、ポリエチレンテレフタレート製のボトル型容器(以下、“PETボトル“という)である。このPETボトル10は、口部11から容器外向きに膨らんだ肩部12を経て胴部13と繋がり、胴部13と繋がる底部14での接地によって起立する。
【0011】
胴部13は、図2に示す如く、4つの柱部13aとこれら柱部13aの相互間をつなぐほぼ平坦な4つの壁部13bを有するほぼ正四角形状の角型ボトルであり、これら壁部13bそれぞれに、図1に示すように、減圧吸収パネル15および胴部13周り方向に沿って延びる溝16を備える。
【0012】
減圧吸収パネル15は、図1に示す如く、胴部13周り方向に間隔を空けて配列され容器10のボトル軸線O方向に沿って延びる一対の側縁15Lと、これら側縁15Lの端部を丸みをもってつなぐ上端縁15W1および下端縁15W2からなるほぼ四角い形状の周溝15gで形成される。これにより、減圧吸収パネル15は、その内部に凸面15fを形成する。なお、凸面15fには、図3(a),(b)に示すように、その容器10の内側に向かう窪みが形成されており、また、周溝15gは、図1に示すように、底部14側に広い平面領域15g(f)を形成し、この平面領域15g(f)に、さらに胴部13周り方向に沿って延びる溝15g1を有する。
【0013】
減圧吸収パネル15の側縁15Lと胴部13周り方向で接する壁部13bの領域、即ち、図1の梨地模様で示す壁部13bの領域にはそれぞれ、ボトル軸線Oに対して胴部13をほぼ二等分する位置に、減圧吸収パネル15の側縁15Lから周溝15gにつながり胴部13周り方向に沿って延びる細溝部1が設けられている。この細溝部1の溝深さd1は、図3(a)からも明らかな如く、減圧吸収パネル15の側縁15Lでは周溝15gの溝深さd15よりも浅く形成されており、柱部13aに至る部分では溝深さd1が0mmとなっている。即ち、細溝部1の深さは、胴部13周り方向に沿って暫時浅くなるように形成されている。なお、図3(a)にあっては、便宜上、細溝部1の溝深さd1に対する符号を図面下側の壁部13bのみ付記したが、図面上側および左右側も同様の構成であるため、符号は省略する。
【0014】
図4は、本発明の第二の実施形態を示す側面図であり、このPETボトル20は、口部11から容器の内側に向かって窪んだ肩部22を経て胴部13と繋がっている。図5は、本発明の第三の実施形態を示す側面図であり、このPETボトル30は、胴部13と繋がる底部14に、ボトル軸線Oから放射状に広がる複数の縦溝部17が設けられている。なお、図4および図5の細溝部1も、第一実施形態と同様の構成をとることができるため、図1〜3と同一部分は同一符号をもってその説明を省略する。
【0015】
また図6は、本発明の第四の実施形態を示す側面図である。このPETボトル40は、胴部13周りに形成した環状溝からなるウエスト18で胴部13を口部11側と底部14側とに2分割し、これら胴部13のそれぞれに設けた減圧吸収パネル15と胴部13周り方向に接し梨地模様で示す肩部13b領域に細溝部1が設けられている。この細溝部1も、第一実施形態と同様の構成をとることができるため、図6において、図1〜5と同一部分は同一符号をもってその説明を省略する。
【0016】
【実施例】
ここでは、図1に示すPETボトル10と、図7に示す本発明の構成(細溝部1)を備えない従来のPETボトル50とを比較してボトル胴部の強度を解析した結果を示す。但し、PETボトル10およびPETボトル50は、重量が17g(グラム)で内容量323ml(ミリリットル)のものを使用し、減圧吸収パネル15を形成する周溝15gの溝深さd15を2.0mm(ミリメートル)としている。特に、本発明に係るPETボトル10は、その細溝部1の溝深さd1が1.0mm(ミリメートル)のものを使用した。
【0017】
まず強度解析の第一の方法として、容器胴部13の剛性を解析した。この剛性解析では、図8に示すように、φ20mm(ミリメートル)の丸棒100を用い、この丸棒100の側面でPETボトル10およびPETボトル50の胴部13の中心(PETボトル10では細溝部1)を押し、そのときの丸棒100の変位量および反力を測定した。
【0018】
図9は、上記剛性解析の結果を示す解析図である。この結果では、丸棒100の変位量が約3〜5mm(ミリメートル)の時、例えば、丸棒100の変位量が4mm(ミリメートル)の時には、従来のPETボトル40の反力が2.06kg(キログラム)となるのに対して、本願発明に係るPETボトル10の反力が1.83kg(キログラム)となり、本発明の構成を備えない従来のPETボトル50の反力が本願発明に係るPETボトル10の反力を上回るが、PETボトル50では、図8(b)の領域Xで示す壁部13bにつぶれが発生した。
【0019】
これに対し、本願発明に係るPETボトル10では、PETボトル50と比べると反力が小さくなるものの、図8(a)の領域Xで示す壁部13bにつぶれを発生しない。つまり、本願発明に係るPETボトル10では、胴部13での剛性が向上するため、減圧吸収パネル15を掴んで空のPETボトル10を持つなどしても、壁部13bにつぶれが発生しないことが明らかとなる。
【0020】
なお、図10,11はそれぞれ、強度解析の第二および第三の方法として、容器胴部の減圧解析および耐圧解析の結果を示す解析図である。
【0021】
図10に示す減圧解析では、空のPETボトル10およびPETボトル50から空気を吸引し、そのときの吸収容量および減圧強度を測定した。この場合、本願発明に係るPETボトル10は、従来のPETボトル50に対して吸収容量および減圧強度に大差なく、従来の減圧強度を確保していることが分かる。
【0022】
図11に示す耐圧解析では、空のPETボトル10およびPETボトル50に内圧をかけ、そのときの内圧および胴部中心の変位量を測定した。この場合も、本願発明に係るPETボトル10は、従来のPETボトル50に対して内圧および胴部中心の変位量に大差なく、従来の耐圧強度を確保していることが分かる。
【0023】
上記の解析結果からも明らかなように、本発明によれば、減圧吸収パネル15と胴部13周り方向で接する壁部13bでのつぶれが発生し難い外観形状に優れたPETボトルを提供することができる。
【0024】
特に本実施形態の如く、容器の胴部13に複数の柱部13aとこれら柱部13aの相互間をつなぐ壁部13bを有し、この壁部13bに減圧吸収パネル15を備える多角形断面からなる、所謂、角型ボトルに採用した場合、比較的外部からの力による変形に強い円筒形状のボトル容器に採用する場合に比べて、つぶれに対する効果が大きいという利点がある。
【0025】
上述したところは、本発明の好適な実施例を示したに過ぎず、当業者によれば、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
例えば、第一〜第四の実施形態に示す細溝部1は、減圧吸収パネル15の機能を考え、ボトル10の内部が減圧されたときに減圧吸収パネル15が最も効果的に変形できるよう、胴部13をボトル軸線Oに対してほぼ二等分する位置に設けることが好ましいが、これに限るものではない。
【0026】
また細溝部1は、図1の梨地模様で示す領域にあれば、ボトル軸線Oに対して左右1本づつ設けるに限らず複数設けてもよく、その配置もボトル軸線Oに対して対称または非対称であってもよい。さらに細溝部1は、梨地模様で示す壁部13bの領域にあれば、減圧吸収パネル15の側縁15Lと繋がる必要はなく、その溝深さd1は、周溝15gの深さd15と等しくなってもよい。
【0027】
また減圧吸収パネル15は、周溝15gで形成されるものに限らず、その全体を窪みで形成してもよく、その形状も、正四角形状に限らず、丸形や矩形などを採用できる。
【0028】
【発明の効果】
従って本発明である合成樹脂製ボトル型容器によれば、減圧吸収パネルと胴部周り方向で接する壁部の領域でのつぶれが発生し難い外観形状に優れた合成樹脂製ボトル型容器を提供することができる。
【0029】
また本発明の合成樹脂製ボトル型容器によれば、容器の胴部に複数の柱部とこれら柱部の相互間をつなぐ壁部を有し、この壁部に減圧吸収パネルを備える多角形断面からなる容器とした場合、比較的外部からの力による変形に強い円筒形状のボトル型容器に採用する場合に比べて、つぶれに対する効果が大きいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施形態を示す側面図である。
【図2】 (a),(b)はそれぞれ、同実施形態の上面図および下面図である。
【図3】 同実施形態のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図である。
【図4】 本発明の第二の実施形態を示す側面図である。
【図5】 本発明の第三の実施形態を示す側面図である。
【図6】 本発明の第四の実施形態を示す側面図である。
【図7】 本発明の構成を備えない従来のPETボトルを示す側面図である。
【図8】 強度解析の第一の方法として、容器胴部の剛性を解析したときの作用を示す説明図である。
【図9】 上記剛性解析の結果を示す解析図である。
【図10】 強度解析の第二方法として、容器胴部の減圧解析の結果を示す解析図である。
【図11】 強度解析の第三の方法として、容器胴部の耐圧解析の結果を示す解析図である。
【符号の説明】
1 細溝部
10 PETボトル
11 口部
12 肩部
13 胴部
13a 柱部
13b 壁部
14 底部
15 減圧吸収パネル
16 溝部
Claims (1)
- 容器の胴部に減圧吸収パネルを備える合成樹脂製ボトル型容器において、
前記胴部は、複数の柱部と、これら柱部の相互間をつなぐ壁部とを有し、この壁部に前記減圧吸収パネルを備える多角形断面からなり、
前記壁部における、前記減圧吸収パネルと前記柱部との相互間に、その胴部周り方向に沿って延びる溝部を設けたことを特徴とする合成樹脂製ボトル型容器。
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