JP4200764B2 - マイクロカプセルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミノ基と(メタ)アクリロイル基の反応により形成される新規カプセル壁からなる、疎水性物質含有マイクロカプセルに関する。特に、表示媒体に使用する電気泳動性粒子分散液を内包したマイクロカプセルに関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロカプセルは感圧記録紙や感熱記録紙などの記録材料、農薬、医薬、香料、液晶、接着剤など多くの分野で用いられている。その製法についても多くの方法が提案されており、代表的なマイクロカプセル化法としては、コアセルベーション法、in−situ重合法、界面重合法などが知られている。コアセルベーション法は、例えばゼラチン−アラビアゴムの系に代表されるように、連続相に溶解した高分子を析出させることでそれらの高分子からなるマイクロカプセル壁を形成する。この壁は水を含んだゲル膜であり柔らかく、ある程度の変形に耐えられるマイクロカプセルが得られる。しかし、マイクロカプセルを取り出して乾燥させるとマイクロカプセルが壊れてしまうという欠点がある。in−situ重合法はマイクロカプセル内部から反応させる場合と、外部から反応させる場合があるが、内部から反応させる場合はマイクロカプセル内部に入れる物質への悪影響が考えられる。外部から反応させる場合には、マイクロカプセル表面に膜を形成させる条件が狭く、使用できる材料も限定されてくる。また、連続相にマイクロカプセル壁に使用されなかった樹脂が多量に発生し効率的であるといえない。界面重合法は、疎水性モノマーと親水性モノマーを用いて、内容物界面で反応させて、マイクロカプセル壁を形成させる方法である。この方法は、一般的には疎水性モノマーとして多官能イソシアネート化合物、親水性モノマーとして多官能アミン化合物が用いられる。それぞれのモノマーを選択することでカプセル膜の物性をある程度は調整できるが、イソシアネート化合物を使用する限り連続相の水との反応を避けることができない。イソシアネート化合物と水が反応することで炭酸ガスが発生してしばしばカプセル膜が多孔質になり内容物のバリア性に問題が発生する。さらにイソシアネート化合物はアミン化合物となりお互いが反応することになり目的とするカプセル膜の物性が得られにくいといった問題点がある。
【0003】
ところで近年、情報機器の発展に伴い、各種情報のデータ量は拡大の一途をたどり、情報の出力も様々な形態をとっている。情報出力の形態は一般的にブラウン管や液晶を用いたディスプレイ画面に表示されるが、これらディスプレイにおいては、携帯性や低電力性などが求められており、新規ディスプレイの開発が盛んに行われている。このような新規ディスプレイとして、電気泳動性の粒子を、該粒子とは異なる色調に着色された分散媒に分散した分散系をマイクロカプセルに封入し、これらマイクロカプセルを電極間に配装する構成の電気泳動表示装置が提案されている(特許文献1〜3参照)。これら表示装置の特徴は携帯性に優れ、ある程度フレキシブルであることがあげられる。マイクロカプセルを使用した表示装置の場合、カプセル内に封入された電気泳動性粒子含有分散媒が外に漏れない様にカプセル膜は高いバリア性が必要になる。
【0004】
【特許文献1】
特開平1−86116号公報
【特許文献2】
米国特許第6,241,921号明細書
【特許文献3】
米国特許第6,262,706号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来のマイクロカプセルにおける上記した問題を解決するためになされたものであって、特に、マイクロカプセル壁が多孔質にならず、バリア性に優れたマイクロカプセルを提供するものである。さらに内容物に対しても悪影響の少なく、塗工乾燥して取り扱うことのできるマイクロカプセルを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、マイクロカプセル壁を形成する材料として、多官能アミン化合物と(メタ)アクリロイル基含有化合物を界面重合することで上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、分子内に2個以上の、1級もしくは2級アミノ基を有する多官能アミン化合物と、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物とを界面重合させてなるマイクロカプセルに関する。
【0008】
また、本発明は、多官能アミン化合物が、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、またはポリアリルアミンである上記マイクロカプセルに関する。
【0009】
また、本発明は、マイクロカプセルの内包物が疎水性の液体を含み、前記疎水性の液体の電導度が、0〜20pS/cmの範囲である上記マイクロカプセルに関する。
【0010】
また、本発明は、マイクロカプセルの内包物が、分散状態の電気泳動性粒子と疎水性の液体とを含む上記マイクロカプセルに関する。
【0011】
また、本発明は、分子内に2個以上の、1級もしくは2級アミノ基を有する多官能アミン化合物と、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物とを界面重合させることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法に関する。
分子内に2個以上の1級もしくは2級アミノ基を有する多官能アミン化合物と、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物とを反応させてなることを特徴とするマイクロカプセルに関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のマイクロカプセルは、多官能アミン化合物と多官能(メタ)アクリレート化合物との反応物からマイクロカプセル壁が形成されることを特徴とする。本発明のマイクロカプセルは、多官能(メタ)アクリレート化合物を含む疎水性内包物を、分散剤を含む連続相中に液滴状に乳化または分散させ、次いで、この連続相中に前記多官能(メタ)アクリレートに反応性を有する多官能アミン化合物を加え、前記多官能(メタ)アクリレートと多官能アミン化合物との界面重合によってカプセル壁を形成させる。
【0013】
以下に本発明について詳細に説明する。本発明のマイクロカプセルの形成材料として使用する分子内に2個以上の、1級もしくは2級アミノ基を有する多官能アミン化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、メンタンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシルノメタン、イソフォロンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、スピロアセタール系ジアミン等があげられる。さらに、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の高分子量タイプの多官能アミン化合物が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の高分子量タイプの多官能アミン化合物が挙げられる。これら高分子タイプの多官能アミン化合物を用いることでカプセル壁をより強靱にすることができる。
【0014】
また、場合によっては単官能アミン化合物として例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンなどを併用することができる。
【0015】
一方、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類。グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸プロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ε−カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドローs−トリアジン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネートなどの三官能(メタ)アクリレート類。また、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシ)ホスフェート等の多官能(メタ)アクリレート類があげられる。さらに、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル化マレイン酸変性ポリブタジエン等の高分子(メタ)アクリレートも使用することができる。
【0016】
また、場合によっては単官能(メタ)アクリレート化合物として例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等、
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換型(メタ)アクリルアミド類、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などの重合性不飽和カルボン酸およびそれらの無水物などカルボキシル基含有単量体類、
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー類、
並びに(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリルなどを併用することができる。
【0017】
次に、本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルの製造に使用することができるその他の構成材料について説明する。まず、疎水性の液体は、後述の電気泳動性粒子を分散させる疎水性分散媒として働き、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ジイソプロピルナフタレン、ナフテン系炭化水素等の芳香族炭化水素類、
ヘキサン、ドデシルベンゼン、シクロヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類、
クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ジクロロメタン、臭化エチル等のハロゲン化炭化水素類、
リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル等のリン酸エステル類、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸エステル類、オレイン酸ブチル、ジエチレングリコールジベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、酢酸エチル等のカルボン酸エステル類、
イソプロピルビフェニル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1−ジトリルエタン、1,2−ジトリルエタン、2,4−ジターシャリアミノフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの疎水性の液体はそれぞれ単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0018】
また上記、疎水性分散媒としては、無色、有色のいずれをも用いることができる。電気泳動性粒子として正に帯電した粒子と負に帯電した粒子または、正または負に帯電した粒子と帯電していない粒子のように2種類の粒子を使用する場合は無色の疎水性分散媒を使用するが、1種類の電気泳動性粒子を使用する場合は有色の疎水性分散媒として染料を溶解した分散媒を使用する。その際用いることができる染料としては、油溶性染料が用いられ、例えばスピリットブラック(SB、SSBB、AB)、ニグロシンベース(SA、SAP、SAPL、EE、EEL、EX、EXBP、EB)、オイルイエロー(105、107、129、3G、GGS)、オイルオレンジ(201、PS、PR)、ファーストオレンジ、オイルレッド(5B、RR、OG)、オイルスカーレット、オイルピンク312、オイルバイオレット#730、マクロレックスブルーRR、スミプラストグリーンG、オイルブラウン(GR、416)、スーダンブラックX60、オイルグリーン(502、BG)、オイルブルー(613、2N、BOS)、オイルブラック(HBB、860、BS)、バリファーストイエロー(1101、1105、3108、4120)、バリファーストオレンジ(3209、3210)、バリファーストレド(1306、1355、2303、3304、3306、3320)、バリファーストピンク2310N、バリファーストブラウン(2402、3405)、バリファーストブルー(3405、1501、1603、1605、1607、2606、2610)、バリファーストバイオレット(1701、1702)、ヴァリファーストブラック(1802、1807、3804、3810、3820、3830)等を使用することができる。
【0019】
本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルの製造方法に使用することができる電気泳動性粒子としては、無機顔料粒子、有機顔料粒子を用いることができる。無機顔料粒子としては、例えば鉛白、亜鉛華、リトポン、二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、カオリン、雲母、硫酸バリウム、グロスホワイト、アルミナホワイト、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、カドミウムイエロー、カドミウムリポトンイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、チタンバリウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムリポトンオレンジ、モリブデートオレンジ、ベンガラ、鉛丹、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリポトンレッド、アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛鉄クロムブラウン、クロムグリーン、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、チタンコバルトグリーン、紺青、コバルトブルー、群青、セルリアンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット、カーボンブラック、鉄黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラック、チタンブラック、アルミニウム粉、銅粉、鉛粉、鈴粉、亜鉛粉等を使用することができる。
【0020】
また、有機顔料粒子としては、例えばファストイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アントラピリミジンイエロー、イソインドリンイエロー、銅アゾメチンイエロー、キノフタロインイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、ニッケルジオキシムイエロー、モノアゾイエローレーキ、ジニトロアニリンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ペリノンオレンジ、ナフトールレッド、トルイジンレッド、パーマネントカーミン、ブリリアントファストスカーレット、ピラゾロンレッド、ローダミン6Gレーキ、パーマネントレッド、リソールレッド、ボンレーキレッド、レーキレッド、ブリリアントカーミン、ボルドー10B、ナフトールレッド、キナクリドンマゼンタ、縮合アゾレッド、ナフトールカーミン、ペリレンスカーレッド、縮合アゾスカーレッド、ベンズイミダゾロンカーミン、アントラキノニルレッド、ペリレンレッド、ペリレンマルーン、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカーレッド、キナクリドンレッド、ジケトピロロピロールレッド、ベンズイミダゾロンブラウン、フタロシアニングリーン、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、アルカリブルートーナー、インダントロンブルー、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットレーキ、ジオキサジンバイオレット、ナフトールバイオレット等を使用することができる。
【0021】
また、電気泳動性粒子として、高分子微粒子を使用することができる。高分子微粒子としては、従来公知の方法で製造することが可能であり、例えば、乳化重合を利用した方法、シード乳化重合法、ソープフリー重合法、分散重合法、懸濁重合法等があげられるが、これらの方法によって作製されたものに限定されるものではない。
高分子微粒子の材料としては、例えばスチレン系、スチレン−アクリル系、スチレン−イソプレン系、ジビニルベンゼン系、メチルメタクリレート系、メタクリレート系、エチルメタクリレート系、エチルアクリレート系、n−ブチルアクリレート系、アクリル酸系、アクリロニトリル系、アクリルゴム−メタクリレート系、エチレン系、エチレン−アクリル酸系、ナイロン系、シリコーン系、ウレタン系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、フェノール系、フッソ(テトラクロロエチレン)系、塩化ビニリデン系、4級ピリジニウム塩系、合成ゴム、セルロース、酢酸セルロース、キトサン、アルギン酸カルシウム等があげられるが、これらのポリマー材料に限定されるものではない。また、本発明で用いる上記の高分子微粒子は必要に応じて染料により染色されているか、または顔料粒子を含有させることにより着色して用いることも可能である。
【0022】
また、これらの顔料成分は、顔料単独の微粒子としてだけでなく、各種表面処理した状態でも用いることが好ましい。この場合の表面処理の方法としては、顔料粒子に対して通常行われる各種の方法を適用することができ、例えば、ポリマーをはじめとする各種化合物を顔料表面にコーティングしたもの、チタネート系・シラン系等の各種カップリング剤によるカップリング処理したもの、グラフト重合処理したもの等があげられる。また、これらの顔料粒子は、メカノケミカル的な処理を施した状態でも用いることが可能であり、顔料粒子相互、又はポリマー粒子・中空ポリマー粒子との間で形成された複合粒子、さらに、各種樹脂との間で形成された複合粒子等の形態としても用いることが可能である。
【0023】
これらの電気泳動性粒子の粒子径は、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜5μmの物であるが、これらの粒子径に限定されるものではない。
【0024】
また、本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルに使用される疎水性分散媒の中には、電気泳動性粒子の帯電量を制御したり、分散性を高める目的で、分散剤を1種類以上含有することが好ましい。これらの分散剤としては、疎水性分散媒に対して溶解又は分散状態に混ざり合うことのできるノニオン(非イオン)系界面活性剤及びアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤のイオン系界面活性剤を単独又は、2種以上混合して用いる。
【0025】
これらの分散剤としてノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、ポリオキシポリオキシエチレンビスフェノールA、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ノニルフェノールエトキシレート等のポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル類。
【0026】
ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル類。
モノオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、ジオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、トリオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、モノオール系ブロックタイプのポリアルキレングリコール、ジオール系ブロックタイプのポリアルキレングリコール、ランダムタイプのポリアルキレングリコール等のグリコール類。
オクチルフェノールエトキシレート、オレイルアルコールエトキシレート、ラウリルアルコールエトキシレート等の第1級直鎖アルコールエトキシレート及び、第2級直鎖アルコールエトキシレート、多核フェノールエトキシレート等のアルキルアルコールエーテル類。
ポリオキシエチレンロジンエステル、ポリオキシエチレンラウリルエステル、ポリオキシエチレンオレイルエステル、ポリオキシエチレンステアリルエステル等のポリオキシアルキレンアルキルエステル類。
【0027】
ソルビタンモノラウレイト、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジラウレイト、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンセスキラウレイト、ソルビタンセスキパルミテート、ソルビタンセスキステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類。
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンセスキラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンセスキパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類。
【0028】
飽和脂肪酸メチルエステル、不飽和脂肪酸メチルエステル、飽和脂肪酸ブチルエステル、不飽和脂肪酸ブチルエステル、飽和脂肪酸ステアリルエステル、不飽和脂肪酸ステアリルエステル、飽和脂肪酸オクチルエステル、不飽和脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸ポリエチレングリコールエステル、オレイン酸ポリエチレングリコールエステル、ロジンポリエチレングリコールエステル等の脂肪酸エステル類。ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸類及び、これら脂肪酸のアミド化化合物類。ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアミン類。
【0029】
ラウリル酸モノエタノールアミド、椰子脂肪酸ジエタノールアミド等の高級脂肪酸モノエタノールアミド類、高級脂肪酸ジエタノールアミド類、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ヤシジエタノールアミド(1−2型/1−1型)、アルキルアルキロールアミド等のアミド化合物類及び、アルカノールアミド類。R−(CH2CH2O)mH(CH2CH2O)nH、R−NH−C3H6−NH2〔R=オレイル・オクチル・ドデシル・テトラデシル・ヘキサデシル・オクラデシル・ヤシ・牛脂・大豆等〕で表されるアルカノールアミン類。
R−NH2〔R=オレイル・オクチル・ドデシル・テトラデシル・ヘキサデシル・オクラデシル・ヤシ・牛脂・大豆等〕で表される1級アミン類。R1R2−NH〔R1・R2=R=オレイル・オクチル・ドデシル・テトラデシル・ヘキサデシル・オクラデシル・ヤシ・牛脂・大豆等〕で表される2級アミン類。R1R2R3N〔R1・R2・R3=オレイル・オクチル・ドデシル・テトラデシル・ヘキサデシル・オクラデシル・ヤシ・牛脂・大豆等〕で表される3級アミン類。各種合成系高級アルコール類及び、各種天然系高級アルコール類。アクリル酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、ヒドロキシ脂肪酸オリゴマー、ヒドロキシ脂肪酸オリゴマー変成物等の高分子類及び、オリゴマー類を使用することができる。
【0030】
アニオン系界面活性剤としては、例えばポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリカルボン酸型陰イオン活性剤、特殊脂肪酸石鹸、ロジン石鹸等のカルボン酸塩類。ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコールの硫酸エステルNa塩、ラウリルアルコールの硫酸エステルアミン塩、天然アルコール硫酸エステルNa塩、高級アルコール硫酸エステルNa塩等のアルコール系硫酸エステル塩類及び、ラウリルアルコールエーテルの硫酸エステルアミン塩、ラウリルアルコールエーテルの硫酸エステルNa塩、合成高級アルコールエーテルの硫酸エステルアミン塩、合成高級アルコールエーテルの硫酸エステルNa塩、アルキルポリエーテル硫酸エステルアミン塩、アルキルポリエーテル硫酸エステルNa塩、天然アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、天然アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、合成アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、合成アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、アルキルフェノールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、アルキルフェノールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルアミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルNa塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアミン塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルNa塩等の硫酸エステル塩類。各種アルキルアリルスルホン酸アミン塩、各種アルキルアリルスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸アミン塩、ナフタレンスルホン酸Na塩、各種アルキルベンゼンスルホン酸アミン塩、各種アルキルベンゼンスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のスルホン酸塩類。
【0031】
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸アミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸Na塩、ポリオキシエチレン特殊アリルエーテルスルホン酸アミン塩、ポリオキシエチレン特殊アリルエーテルスルホン酸Na塩、ポリオキシエチレントリデシルフェニルエーテルスルホン酸アミン塩、ポリオキシエチレントリデシルフェニルエーテルスルホン酸Na塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸Na塩等のポリオキシアルキレン系スルホン酸塩類。ジアルキルスルホサクシネートアミン塩、ジアルキルスルホサクシネートNa塩、多環フェニルポリエトキシスルホサクシネートアミン塩、多環フェニルポリエトキシスルホサクシネートNa塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホ琥珀酸モノエステルアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホ琥珀酸モノエステルNa塩等のスルホ琥珀酸エステル塩類。アルキルリン酸エステル、アルコキシアルキルリン酸エステル、高級アルコールリン酸エステル、高級アルコールリン酸塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、芳香族リン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル類及び、リン酸塩類を使用することができる。
【0032】
カチオン系界面活性剤としては、例えばR−N(CH3)3X〔R=ステアリル・セチル・ラウリル・オレイル・ドデシル・ヤシ・大豆・牛脂等/X=ハロゲン・アミン等〕で表されるアルキルトリメチルアミン系4級アンモニウム塩類。テトラメチルアミン系塩、テトラブチルアミン塩等の4級アンモニウム塩類。(RNH3)(CH3COO)〔R=ステアリル・セチル・ラウリル・オレイル・ドデシル・ヤシ・大豆・牛脂等〕で表される酢酸塩類。ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)、ドデシルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)等のベンジルアミン系4級アンモニウム塩類。R(CH3)N(C2H4O)mH(C2H4O)n・X〔R=ステアリル・セチル・ラウリル・オレイル・ドデシル・ヤシ・大豆・牛脂等/X=ハロゲン・アミン等〕で表されるポリオキシアルキレン系4級アンモニウム塩類を使用することができる。
【0033】
両性系界面活性剤としては、例えば各種ベタイン型界面活性剤、各種イミダゾリン系界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン塩酸塩等を使用することができる。またその他の各種保護コロイド剤を用いることができる。
【0034】
上記からなる電気泳動表示装置用疎水性分散媒の電導度が0〜20pS/cmになる範囲で効果を発揮できることが好ましい。
【0035】
本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルの作製する際、まず疎水性分散液を親水性媒体に乳化する。親水性媒体としては水が最も好ましいが、場合によっては水に溶解する有機溶剤、例えばアルコール類等を添加してもよい。
【0036】
親水性媒体中には分散安定剤を存在させておくが、その分散安定剤としては、例えば、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、マレイン酸共重合物(スチレン、エチレン、プロピレン、メチルビニルエーテル、酢酸ビニル、イソブチレン、ブタジエン等とマレイン酸との共重合物等)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、澱粉誘導体、ポリビニルアルコール等の高分子分散剤や低分子量の非イオン性界面活性剤やイオン性界面活性剤や無機微粒子としては、例えば、タルク、ベントナイト、有機ベントナイト、ホワイトカーボン、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、微粒子シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等を利用することができる。また、上記で作製した多官能アミン化合物変性体を分散安定剤として使用することもできる。
【0037】
以下に本発明に用いられるマイクロカプセルの代表的な合成方法を示す。基本的には、次のような工程からなる。分散安定剤を含む水溶液を調製する。分散安定剤の量は、水100重量部に対して、0.2〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部を用いるのが適当である。
【0038】
次に疎水性分散媒に電気泳動性粒子、多官能(メタ)アクリレート化合物、その他分散剤を混合して疎水性分散液を調整する。この疎水性分散液を上記工程において調製した分散安定剤水溶液に乳化分散させる。ここに、電気泳動性粒子の使用量は、上記疎水性分散液100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは、1〜15重量部の範囲である。多官能(メタ)アクリレート化合物の使用量は、上記疎水性分散液100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは、5〜20重量部の範囲である。また、多官能アミン化合物は上記疎水性分散液に添加しておいてもよいが乳化後に添加して反応させる方が一般的である。多官能アミン化合物の使用量は、上記疎水性分散液100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは、5〜20重量部の範囲である。得られた乳化分散液を所定の温度に加熱して反応させることにより目的のマイクロカプセルを得る。
【0039】
本発明においては、前記の電気泳動性粒子含有マイクロカプセルを用いた電解応答性の可逆的表示方法が提供されるが、これらの電気泳動表示媒体の形態としては、例えば、少なくとも一方が透明である一対の基板のうち、少なくとも一方の基板が片面に電極を有しており、該電極面が一方の基板とスペーサーを介して/又は、介さないで対向配置することで形成された空間に本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルを充填した電気泳動性可逆表示媒体。あるいは、少なくとも一方が透明である一対の基板のうち、少なくとも一方の基板が片面に電極を有しており、該電極面が一方の基板とスペーサーを介して/又は、介さないで対向配置することで形成された空間をマトリックス材料によって不連続に分割し、本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルを充填した電気泳動性可逆表示媒体。あるいは、片面に電極を有している透明又は不透明な基板の電極面側に本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルとマトリックス材料からなる塗工層を形成した電気泳動性可逆表示媒体。あるいは、片面に電極を有している透明又は不透明な基板の電極面側に本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルとマトリックス材料からなる塗工層を形成し、該塗工層上にオーバーコート層を設けた電気泳動性可逆表示媒体などがあげられる。尚、本発明における基板とは、電極面を有するものと有しないものの両方を示している。
【0040】
図1は、スペーサーを介した一対の電極基板によって形成された空間に、マトリックス材料を用いて、本発明の電気泳動性粒子内包マイクロカプセルを可逆的表示記録層として充填し、電気泳動表示媒体を作製したものである。可逆的表示記録層は、本発明の電気泳動性粒子含有マイクロカプセルとマトリックス材料を溶解、分散、懸濁又は乳化し塗工液として調整し、得られる塗工液をワイヤーバーコート、ロールコート、ブレードコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、又はグラビアコートなどの方法により電極板上に塗工・乾燥して得られる。この場合、電極板とはガラス板やプラスチックフィルム上にITOなどの導電性膜を形成してなる電極、アルミニウム、銅、金などの導電性金属膜を形成してなる電極などを挙げることができる。
【0041】
マトリックス材としては、前記マイクロカプセルの壁材と同様な材料又は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、アクリル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジエン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、ポリキノキサリン、前記した熱硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化樹脂、あるいはそれらの混合物から選択された一種類以上の材料を用いることができる。
【0042】
オーバーコート層を形成する材料としては、前記のマトリックス材料を形成する材料を用いることができる。オーバーコート層は、これらの前記の材料を溶解、分散、懸濁又は乳化する媒体、硬化剤、触媒及び/又は助触媒を加えた保護層材料組成物を、表示層上にワイヤーバーコート、ロールコート、ブレードコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、又はグラビアコートなどの塗布方法、又はスパッタリング及び化学的気相法などにより形成する。オーバーコート層の厚さは、記録層を保護する機能を有する範囲内で可能な限り薄いほうが望ましく、約0.1〜100μm、より好ましくは0.3〜30μmである。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、例中「部」、「%」はそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
【0044】
(実施例1)
分散相:パラフィン系炭化水素アイソパー(エクソン株式会社製)150重量部に対して、油溶性染料のオイルブルー1重量部を溶解して着色した疎水性分散媒を用意した。この疎水性分散媒に電気泳動性粒子として二酸化チタン(デュポン社製、Ti−PURE R104)5重量部、分散剤としてOLOA4382(シェブロン社製)0.1部を加え超音波分散機を用いて10分間分散させて、疎水性分散相溶液を作製した。電気伝導度は5pS/cmであった。さらに1,9−ノナンジオールジアクリレート5重量部を添加した。
連続相:イオン交換水1500重量部に分散安定剤としてポリビニルアルコール20重量部を溶解した水溶液を調整した。
【0045】
上記分散相を連続相の中に乳化分散して電気泳動性粒子内包マイクロカプセル分散液を得た。この分散液1000重量部に対して、10%ポリアリルアミン水溶液100重量部を添加した。この混合液を60℃で1時間反応させて、電気泳動性粒子内包マイクロカプセル1を得た。得られたマイクロカプセル1からはパラフィン系炭化水素アイソパーの漏洩は観察されず、良好なバリア性があることが確認された。
【0046】
ついで、10重量%ポリビニルアルコール水溶液80gに、得られた電気泳動性粒子内包マイクロカプセル−1を20g加え分散塗工液を調整した。この塗工液をギャップ100μmのアプリケーターを用い、ITO膜付きPETフィルム上(ITO膜上)に塗布、乾燥して電気泳動性粒子内包マイクロカプセル塗膜を形成し、さらにその上にITO膜付きPETフィルム(ITO膜がマイクロカプセル塗膜側)を乗せることで、電気泳動表示媒体を作成した。この様にして作成した電気泳動表示媒体を直流電源に接続し、10Hzの矩形周波数で電界方向を切り替えて、±100Vの電圧を印加させることで、二酸化チタン粒子が上部電極に電気泳動した場合は白(この時、上部電極の電界が正)、二酸化チタン粒子が下部電極に電気泳動した場合は青(この時、下部電極の電界が正)の表示が可能であった。
【0047】
得られた電気泳動表示媒体の表示性能を調べるために、大塚電子製Photal MCPD−1000を用いて、それぞれ白表示、青表示の時の反射光強度を、可視光領域にて45°照射−0°受光で測定し、両表示色の反射率の比を、コントラストとして求めた結果、コントラストは1(青):6.0(白)であった。ちなみに、新聞に印刷された青ベタ印刷部分と新聞紙の白地部分のコントラストは1(青):7.4(白)であり、当該電気泳動表示媒体の表示コントラストが高いことが証明された。
【0048】
(実施例2)
多官能アクリレートをジメチロールトリシクロデカンジアクリレートに変えた以外は実施例1と同様の方法で電気泳動性粒子内包マイクロカプセル2を作製した。得られたマイクロカプセル2からはパラフィン系炭化水素アイソパーの漏洩は観察されず、良好なバリア性があることが確認された。さらに、両表示色の反射率の比を、コントラストとして求めた結果、コントラストは1(青):6.2(白)であり、当該電気泳動表示媒体の表示コントラストが高いことが証明された。
【0049】
(実施例3)
多官能アミンをポリエチレンイミンに変えた以外は実施例1と同様の方法で電気泳動性粒子内包マイクロカプセル3を作製した。得られたマイクロカプセル3からはパラフィン系炭化水素アイソパーの漏洩は観察されず、良好なバリア性があることが確認された。さらに、両表示色の反射率の比を、コントラストとして求めた結果、コントラストは1(青):5.9(白)であり、当該電気泳動表示媒体の表示コントラストが高いことが証明された。
【0050】
(比較例1)
多官能アクリレート化合物として使用した1,9−ノナンジオールジアクリレート変えて多官能イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートを使用してウレタン系の反応を行った。その他は実施例1と同様の方法で電気泳動性粒子内包マイクロカプセル4を作製した。得られた電気泳動性粒子内包マイクロカプセル4は硬くて脆い膜を有しているため乾燥、分級時にカプセルの一部が壊れていた。また、乾燥後のカプセルからはパラフィン系炭化水素アイソパーが漏れており、カプセル膜が多孔質になっていると考えられる。
【0051】
(比較例2)
分散相:パラフィン系炭化水素アイソパー(エクソン株式会社製)150重量部に対して、油溶性染料のオイルブルー1重量部を溶解して着色した疎水性分散媒を用意した。この疎水性分散媒に電気泳動性粒子として二酸化チタン(デュポン社製、Ti−PURE R104)5重量部、分散剤としてOLOA4382(シェブロン社製)0.1部を加え超音波分散機を用いて10分間分散させて、疎水性分散相溶液を作製した。電気伝導度は5pS/cmであった。
連続相:イオン交換水1500重量部に水溶性高分子として重量平均分子量が7万のスチレン−無水マレイン酸の部分中和樹脂20重量部を溶解した水溶液を準備した。
【0052】
上記分散相を連続相の中に乳化分散して電気泳動性粒子内包マイクロカプセル分散液を得た。別に、37%ホルマリン150重量部、メラミン50重量部、イオン交換水400重量部からなる混合液を撹拌下、苛性ソーダ水溶液を用いてpH9.0に調整し、60℃で20分間反応させて透明なメラミン/ホルムアルデヒド縮合物を得た。この反応液を反応釜に入れておいた先の乳化分散液に添加して50℃で3時間in−situ法で反応させ電気泳動性粒子内包マイクロカプセル5を作製した。得られた電気泳動性粒子内包マイクロカプセル5は硬くて脆い膜を有しているため乾燥、分級時にカプセルの一部が壊れていた。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、多官能(メタ)アクリレートと多官能アミンの界面重合による新規マイクロカプセルに関する。本発明によれば、バリア性に優れたマイクロカプセルを作製することができ、塗工乾燥させても壊れることがない。また、内容物に対しても影響が少なく、電気泳動性粒子内包マイクロカプセルとして使用するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気泳動性粒子分散液内包マイクロカプセルを用いた電気泳動表示媒体の模式図を表す。
【符号の説明】
25.基板、26.電極、27.透明電極、28.マイクロカプセル充填層(マトリックス層)、29.電気泳動性粒子分散液内包マイクロカプセル、30.スペーサー
Claims (5)
- 分子内に2個以上の、1級もしくは2級アミノ基を有する多官能アミン化合物と、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物とを界面重合させてなるマイクロカプセル。
- 多官能アミン化合物が、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、またはポリアリルアミンである請求項1記載のマイクロカプセル。
- マイクロカプセルの内包物が疎水性の液体を含み、前記疎水性の液体の電導度が、0〜20pS/cmの範囲である請求項1または2記載のマイクロカプセル。
- マイクロカプセルの内包物が、分散状態の電気泳動性粒子と疎水性の液体とを含む請求項1〜3いずれか記載のマイクロカプセル。
- 分子内に2個以上の、1級もしくは2級アミノ基を有する多官能アミン化合物と、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物とを界面重合させることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
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