JP4200407B2 - 吸気ダクト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンへ空気を供給する通路としての吸気ダクトに関し、詳しくは吸気時の騒音が低減された吸気ダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンの吸気系では、吸気時に吸気ダクトにおいて騒音が発生するという問題がある。この吸気騒音は、特にエンジンの低速回転時に耳障りである。そこで従来より、吸気ダクトにサイドブランチ及び/又はレゾネータを設け、ヘルムホルツの共鳴理論などに基づいて計算される特定周波数の騒音を低減することが行われている。
【0003】
ところがサイドブランチは、長いものでは約30cmの長さにもなり、レゾネータの容積は大きいものでは14リットルもの大きさとなる。そのためこれらの吸音装置のエンジンルーム内に占めるスペースが大きくなり、他の部品の搭載の自由度が低くなるという不具合が生じる。
【0004】
そこで実開昭64-22866号公報には、吸気ダクト内にオリフィスを配置し、オリフィスの位置で吸気を絞ることで吸気騒音を低減することが開示されている。このように吸気通路を絞ることにより、音響質量が大きくなり、低音域の吸気音を低減することができる。
【0005】
また実開平3-43576号公報には、エアクリーナケースに並列に接続された2本の吸気管と、2本の吸気管からそれぞれ分岐した分岐管と、各分岐管が共に連結された共通のレゾネータを有し、一方の吸気管における分岐管の接続部の上流側に運転状態に応じて選択的に開く開閉弁を備えた吸気音低減装置が開示されている。
【0006】
この実開平3-43576号公報に開示の装置によれば、エンジン回転数に応じて開閉弁を制御して吸気管を1本又は2本に切り替えることにより、エンジン回転数に応じて吸入空気量を制御し、かつ吸気騒音を低減することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記した吸気通路を絞る方法では、エンジンの高速回転時に吸入空気量が不足して出力が低下するという不具合がある。
【0008】
また実開平3-43576号公報に開示の装置では、開閉弁が全閉状態から全開状態となるまでの間、あるいは全開状態から全閉状態となるまでの間の状態で保持される状態があり、吸気管が中途半端に閉じられている時間が長くなる場合がある。このような場合には音響質量が小さいために、エンジンが低速回転しているにも関わらず吸気音が大きくなり、車内において低周波のこもり音が聞こえるという不具合があった。
【0009】
さらに実開平3-43576号公報には、開閉弁を駆動するために電子制御回路、電磁開閉弁、あるいはダイヤフラムアクチュエータなどを用いることも開示されているが、このような部品を用いると、部品点数が多く複雑となってコスト面から好ましいものではない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、エンジンの低速回転時には吸気騒音を低減し、高速回転時には十分な空気量を吸入できるようにするとともに、低周波のこもり音の発生を防止し、かつ電子制御回路や電磁開閉弁などを用いずに安価な吸気ダクトとすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の吸気ダクトの特徴は、エンジンへ空気を供給する通路としての吸気ダクトにおいて、第1吸気通路と、第2吸気通路と、第2吸気通路に揺動自在に設けられ第2吸気通路を開閉する開閉弁と、第1吸気通路又は第2吸気通路の外部に設けられ開閉弁の揺動に連動して揺動する連動部材と、第1吸気通路又は第2吸気通路の外部に揺動可能に設けられ揺動端が連動部材表面に当接し連動部材の揺動に伴って揺動端が連動部材の表面を摺動するステーと、開閉弁が第2吸気通路を閉じる方向へ揺動するようにステーを付勢する付勢手段とよりなり、
第2吸気通路の負圧によって開閉弁が開く方向へ揺動するのに連動して連動部材が揺動する際にステーには第1付勢力が作用するとともにステーには付勢手段によって第1付勢力に抗する第2付勢力が作用し、第1付勢力が第2付勢力より大きいときに開閉弁が第2吸気通路を開き、第1付勢力が第2付勢力より小さいときに開閉弁が第2吸気通路を閉じるように構成されたことにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の吸気ダクトでは、図1に模式的に示すように、第2吸気通路の負圧によって開閉弁が揺動すると、それに連動して連動部材が揺動する。一方、ステーは先端が連動部材に当接し、付勢手段によって開閉弁が第2吸気通路を閉じる方向へ揺動するように付勢している。すなわち吸気負圧によって開閉弁に作用する回転モーメントつまり連動部材に作用する回転モーメントの方向は、付勢手段によってステーに作用する回転モーメントの方向と逆方向となっている。
【0013】
図1では、理解を容易とするために連動部材を省略し、ステー2000が開閉弁1000に直接当接した状態で示している。このように連動部材を省略しても同様の作用を奏するが、水や埃による作動の精度の低下が懸念されるので、本発明ではステーが連動部材を介して間接的に開閉弁と当接するように構成している。
【0014】
ステー2000の先端が開閉弁1000と点Pで当接し、開閉弁1000の枢支点から点Pまでの距離をL1 、ステー2000の枢支点から点Pまでの距離をL2 とする。点Pにおいて、開閉弁1000には吸気負圧Fにより力F1 が作用し、上向きの回転モーメントF1 ・L1 が作用する。そして力F1 により、ステー2000には分力F2 及び分力F3 が作用し、点Pにおいては上向きの回転モーメントF3 ・L2 (第1付勢力)が作用する。
【0015】
一方、ステー2000にはコイルスプリング3000による下向きの付勢力fが作用し、点Pにおいては下方へ向かう回転モーメントf・L2 (第2付勢力)が作用する。したがって点Pにおいて、コイルスプリング3000による回転モーメントf・L2 (第2付勢力)が吸気負圧による回転モーメントF3 ・L2 (第1付勢力)より大きければ、開閉弁1000はステー2000によって揺動が抑制され、第2吸気通路4000は閉じられた状態が維持される。これにより径の小さな第1吸気通路のみから吸気されるので、音響質量が大きくなりレゾネータなどを用いずとも低音域の吸気音が低減される。
【0016】
すなわち吸気負圧Fがある程度大きくなるまでは、コイルスプリング3000によって点Pに作用する回転モーメントが反力として作用するため、ステー2000を介して開閉弁1000の揺動が抑制される。したがって低速回転時に騒音を効果的に防止でき、開閉弁1000のばたつきも抑制される。
【0017】
そして吸気負圧Fが大きくなって、吸気負圧Fによる回転モーメントF3 ・L2 (第1付勢力)がコイルスプリング3000による回転モーメントf・L2 (第2付勢力)より大きくなると、開閉弁1000が揺動し図2に示すように第2吸気通路4000が開かれる。このときステー2000の揺動に伴うコイルスプリング3000の付勢力fの増加を小さく設計しておけば、分力F3はステー2000の揺動に伴って増大するため、ステー2000は加速度的に揺動して速やかに第2吸気通路4000を開くことができる。
【0018】
したがって、吸気は主として太く短い第2吸気通路4000を通って吸入されるため、吸入空気量が少なくなるような不具合が回避される。また吸気音はエンジン音にまぎれて聞こえず、不快な騒音となることがない。
【0019】
上記作用をさらに向上させるには、第1吸気通路の開口面積を小さくし、第2吸気通路の開口面積を大きくすることが好ましい。また、吸気ダクトを分岐構造とし、例えばそれぞれ第1吸気通路と第2吸気通路をもつ二つの吸気通路をもちそれが途中で合流して一つになるような吸気ダクトとした場合には、第1吸気通路をもつ吸気通路を細くして音響質量をさらに大きくするとともに、第2吸気通路をもつ吸気通路を太くして十分な空気量を供給できるように構成することが好ましい。
【0020】
またサイドブランチやレゾネータを設けてもよいが、本発明の吸気ダクトによればサイドブランチやレゾネータを設けることなく低音域の吸気音を低減することができる。したがって、エンジンルーム内に占めるスペースを小さくして他の部品の搭載の自由度を向上させるためには、サイドブランチやレゾネータを設けないことが望ましい。
【0021】
開閉弁が第2吸気通路を閉じているときの第2吸気通路の負圧の所定値Fx と、開閉弁が第2吸気通路を開くときの負圧の所定値Fy とは、Fx ≦Fy の関係にある。Fx とFy の差が小さいと、開閉弁が第2吸気通路を開くときに開閉弁がばたついて騒音の原因となる場合があり、Fx とFy の差が大きすぎると吸気量が不足する場合がある。したがってFx とFy の値、付勢手段の付勢力などは慎重にチューニングして決定する必要がある。
【0022】
ところで吸気ダクトには車外の空気が直接流入するために、水や埃が吸気通路内に侵入して内壁に付着する場合がある。したがって上記したステーや付勢手段を第2吸気通路内に配置した場合には、摺動部などに付着した異物によって作動の精度が低下する場合がある。そこで本発明の吸気ダクトでは、連動部材及びステーは第1吸気通路又は第2吸気通路の外部に設けられている。したがって異物の付着が防止され、作動の精度が向上する。そして連動部材及びステーを覆うカバーを設けることにより、異物の付着を一層防止することができ、信頼性が一層向上する。
【0023】
ステーを付勢する付勢手段としては、コイルスプリング、錘などを利用できるが、ステーを板バネあるいはコイルスプリングから構成し、ステーが付勢手段を兼ねるようにすることも好ましい。このようにすれば、別部材としての付勢手段が不要となるので、部品点数を低減することができ安価となる。このようにステーを板バネあるいはコイルスプリングから構成した場合は、ステーの揺動量にはステー自体の弾性変形量も含まれる。
【0024】
またステーをコイルスプリングから構成する場合には、コイルスプリングの全体をステーとしてもよいし、コイルスプリングの一端の線材を直線状に突出させそれをステーとすることもできる。ステーをコイルスプリングから構成すれば、第2付勢力の調整はコイルの巻き数あるいは巻き密度の調整により行うことができるので、板バネに比べてチューニングが容易である。
【0025】
またステーの先端と連動部材とは摺動するため、少なくとも一方の表面に摩擦抵抗の小さい摺動部を形成することが望ましい。この摺動部としては、例えば金属とプラスチックの摺動の場合には、金属からなる部材の少なくとも表面にPOM、ナイロン、ポリアセタールなどからなる被覆層を形成することができる。また滑剤含有プラスチックを用いたり、公知の潤滑剤を塗布して摺動部としてもよい。さらにベアリングやローラなどの回動部材を用いて摺動部を構成することもできる。
【0026】
ところで、吸気負圧が大きくなって開閉弁が揺動する際には、エンジン回転数の上昇に伴って開閉弁は最初ゆっくり揺動し、次いで一気に揺動して全開状態となる場合がある。この場合には、僅かな時間であるが揺動初期に開閉弁が少し開いた状態があり、その間吸気音が隙間から漏れるという不具合がある。
【0027】
そこで、第2吸気通路は開閉弁が第2吸気通路を開くときに開閉弁の揺動端面と近接して案内する案内面を有することが望ましい。このようにすれば、エンジン回転数の上昇に伴って開閉弁が最初ゆっくり揺動した場合でも、開閉弁の揺動端面が案内面に近接して移動するので、開閉弁と第2吸気通路との間に隙間が生じるのが防止され、吸気音が漏れるのを防止することができる。
【0028】
さらに上記吸気ダクトでは、開閉弁が第2吸気通路を僅かに開いた時点で開閉弁に振動が発生し、それによる異音が発生するという不具合がある。これは、開閉弁と第2吸気通路との間の小さな断面積の空間を吸気が急激に通過し、しかも第1付勢力と第2付勢力との差が小さいと開閉弁がその状態となっている時間が長くなるために、エンジン本体からの吸気脈動が開閉弁に伝わりやすく、それによって開閉弁が振動するからである。
【0029】
そこで、第2吸気通路は開閉弁が第2吸気通路を閉じたときに開閉弁と当接する係止面をもち、開閉弁が係止面から離れるときに抵抗力を与える抵抗手段を備えることが望ましい。このように構成すれば、吸気負圧が大きくなり付勢手段による付勢力と吸気負圧との差圧が大きくなって開閉弁が第2吸気通路を開く方向へ揺動しようとすると、抵抗手段からの抵抗力が作用するので、差圧力が抵抗手段からの抵抗力を超えるまでは開閉弁は第2吸気通路を閉じた状態を維持する。そして差圧力が抵抗手段の抵抗力を超えた時点で、開閉弁は一気に揺動して第2吸気通路を開く。
【0030】
したがってこの吸気ダクトによれば、開閉弁と第2吸気通路との間に小さな断面積の空間ができる時間をきわめて短くすることができるので、開閉弁の振動による異音を防止することができる。
【0031】
この抵抗手段としては、永久磁石、電磁石など開閉弁を吸着する手段、あるいはスプリング、ダンパ、開閉弁の自重などの付勢手段を用いることができる。また第2付勢力を最適化することで、付勢手段によって付勢されたステー自体を抵抗手段とすることも好ましい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0033】
(比較例)
図 13に比較例の吸気ダクトを示す。この吸気ダクトは、実開平3-43576号公報に開示のものに相当し、径の小さな第1吸気通路 100と径の大きな第2吸気通路 200を備え、第2吸気通路 200に弁 300が揺動自在に枢支されている。そして弁 300の枢支軸は円板形状のカム 400の中心に連結され、カム 400の周縁部には、一端が固定されたスプリング 500の他端が固定されている。スプリング 500は弁 300が第2吸気通路 200を全閉状態としたときに最も付勢力が小さくなるように構成されている。
【0034】
この吸気ダクトでは、第2吸気通路 200の吸気負圧が所定値より小さい間は弁 300が第2吸気通路 200を全閉状態とし、第1吸気通路 100のみから吸気されるため低音域の吸気音が低減される。そして吸気負圧が所定値を超えると、吸気負圧に比例して弁 300がカム 400を介して伝わるスプリング 500の付勢力に抗して揺動し、第2吸気通路 200の開口面積が増大するため、十分な空気量が確保される。
【0035】
しかしながら、この比較例の吸気ダクトでは、弁 300が全閉状態から全開状態となるまでの間、あるいは全開状態から全閉状態となるまでの間の状態で保持される状態があり、第2吸気通路 200と弁 300の間に隙間がある時間が長くなる場合がある。このような場合には、吸気音がその隙間から漏れるため、車内において低周波のこもり音が聞こえるという不具合がある。
【0036】
(実施例1)
図3に本発明の一実施例の吸気ダクトを示す。この吸気ダクトは、小径の第1吸気通路1と、第1吸気通路1より大径の第2吸気通路2とがエアクリーナケース3に接続されている。
【0037】
第1吸気通路1の断面積はφ40のパイプの断面積に相当し、第2吸気通路2の断面積はφ70のパイプの断面積に相当するように構成されている。そして第2吸気通路2の入口開口近傍に、制御部4が形成されている。
【0038】
制御部4では、図4にその断面図を示すように、弁40が枢支軸40' によって揺動自在に枢支されている。また第2吸気通路2の内壁面には、弁40の揺動端部が当接する段部20が形成されている。
【0039】
図5及び図6に示すように、第2吸気通路2の外壁面21には、アーム41が突出して設けられている。このアーム41の一端は弁40の枢支軸40' と一体化され、弁40とともに一体的に揺動する。また第2吸気通路2外壁面21には、バネ鋼製の板バネ42が設けられている。板バネ42は一端が第2吸気通路2の外壁面21に固定され、他端の先端がアーム41に当接している。板バネ42の先端には自身のバネ力により図5の矢印A方向の回転モーメントAが作用し、板バネ42はアーム41を図5の矢印B方向へ付勢している。また板バネ42の先端には、POM製の摺動部43が固定されている。そしてアーム41及び板バネ42は、樹脂製のカバー44で覆われている。なお図5及び図6は、カバー44を一部破断して示している。
【0040】
上記のように構成された本実施例の吸気ダクトにおいて、第2吸気通路2内の吸気負圧が所定値より小さい場合には、弁40は板バネ42の付勢力により押し下げられ、図5に示すように第2吸気通路2は弁40によって閉じられている。そして板バネ42の摺動部43がアーム41の揺動端部近傍に当接している。
【0041】
ここで板バネ42の先端がアーム41に当接している接点において、吸気負圧Fにより板バネ42の固定端に向かう力が作用すると、板バネ42にはその分力により図5の矢印C方向の回転モーメントC(第1付勢力)が作用する。一方板バネ42の先端には、自身のバネ力により図5の矢印A方向の回転モーメントA(第2付勢力)が作用している。したがって接点に作用する回転モーメントA(第2付勢力)が回転モーメントC(第1付勢力)より大きい間は、アーム41は板バネ42によって矢印B方向へ押圧されているため弁40の揺動が抑制され、第2吸気通路2は閉じられた状態が維持される。これにより吸気は径の小さな第1吸気通路1のみから吸気されるので、音響質量が大きくなりレゾネータなどを用いずとも低音域の吸気音が低減される。また弁40の先端は実施例1と同様に段部20に押圧された状態であるので、ばたつきが防止されている。
【0042】
すなわち吸気負圧がある程度大きくなるまでは、アーム41に作用する板バネ42の付勢力によってアーム41を介して弁40の揺動が抑制される。したがって低速回転時に騒音を効果的に防止でき、弁40のばたつきも抑制される。
【0043】
そして吸気負圧が大きくなって回転モーメントC(第1付勢力)が回転モーメントA(第2付勢力)より大きくなると、板バネ42はアーム41表面を摺接しながらアーム41とともに変形し、弁40が揺動して図6に示すように第2吸気通路2が開かれる。このとき回転モーメントC(第1付勢力)は回転モーメントA(第2付勢力)より大きい状態が維持されていれば、弁40は第2吸気通路2を開いた状態で保持される。
【0044】
したがって、吸気は主として太く短い第2吸気通路2を通って吸入されるため、吸入空気量が少なくなるような不具合が回避される。また吸気音はエンジン音にまぎれて聞こえず、不快な騒音となることがない。
【0045】
そして再び吸気負圧が小さくなり回転モーメントC(第1付勢力)が回転モーメントA(第2付勢力)より小さくなると、板バネ42によってアーム41が押し下げられることで弁40は容易に揺動し、図5に示すように第2吸気通路2が閉じられる。
【0046】
すなわち本実施例の吸気ダクトにおいては、吸気負圧に応じて弁40を自動的に全開及び全閉状態に維持することができ、レゾネータなどを用いずとも吸気音の低減と必要な吸気量の確保とを両立することができる。そして電子制御やダイヤフラムアクチュエータなどを不要とした単純な構成であるため、信頼性が高く低コストとすることができる。
【0047】
また板バネ42は摺動部43を介してアーム41と摺接しているので、摩擦抵抗が小さく滑らかに移動する。そしてアーム41及び板バネ42は第2吸気通路2の外部に配置され、かつカバー44で覆われているので、摺動面に水や埃が付着するのが防止され、作動の精度が低下するのが防止されている。
【0048】
(実施例2)
図7〜図9に本実施例の吸気ダクトを示す。この吸気ダクトは、板バネ42の代わりにコイルスプリング5を用いたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0049】
コイルスプリング5は一端が第2吸気通路2の外壁面21に固定され、他端に嵌装された半球状のPOM製の摺動部材50がアーム41に当接している。弁40が第2吸気通路2を閉じた図7の状態では、コイルスプリング5には圧縮による反力が蓄えられるように構成されている。したがって摺動部材50はコイルスプリング5のバネ力によりアーム41を図7の矢印D方向へ押圧している。そしてアーム41及びコイルスプリング5は、図9に示すように樹脂製のカバー44で覆われている。なお図7及び図8は、カバー44を一部破断して示している。
【0050】
このように構成された本実施例の吸気ダクトにおいて、第2吸気通路2内の吸気負圧が所定値より小さく、アーム41からコイルスプリング5に作用する第1付勢力が圧縮によりコイルスプリング5に蓄えられた第2付勢力より小さい場合には、その差力によってアーム41が図7の矢印D方向へ押圧され、図7に示すように第2吸気通路2は弁40によって閉じられている。このときコイルスプリング5の摺動部材50は、アーム41の揺動端部近傍に当接している。
【0051】
そして摺動部材50がアーム41に当接している接点に作用する第2付勢力が第1付勢力より大きい間は、アーム41はコイルスプリング5によって矢印D方向へ押圧されているため弁40の揺動が抑制され、第2吸気通路2は閉じられた状態が維持される。これにより吸気は径の小さな第1吸気通路1のみから吸気されるので、音響質量が大きくなりレゾネータなどを用いずとも低音域の吸気音が低減される。また弁40の先端は実施例1と同様に段部20に押圧された状態であるので、ばたつきが防止されている。
【0052】
つまり吸気負圧が大きくなると、アーム41は図7の矢印Dと逆方向へ揺動しようとし、コイルスプリング5を中心軸方向へさらに圧縮するため第2付勢力が増大する。そして吸気負圧がさらに大きくなって第1付勢力がこの第2付勢力より大きくなって初めてアーム41の矢印D方向と逆方向の揺動が開始される。すなわち吸気負圧がある程度大きくなるまでは、アーム41に作用するコイルスプリング5の付勢力によってアーム41を介して弁40の揺動が抑制される。したがって低速回転時に騒音を効果的に防止でき、弁40のばたつきも抑制される。
【0053】
そしてアーム41が矢印D方向と逆方向へ揺動すると、摺動部材50がアーム41表面を摺接しながら移動し、アーム41によるコイルスプリング5の中心軸方向の圧縮量は徐々に増大して極大値となった後減少に転じる。一方、コイルスプリング5はアーム41に押圧されて曲げ変形が生じる。この曲げ変形による反力は、中心軸方向の圧縮による反力に比べて小さい。したがってコイルスプリング5に発生する第2付勢力は徐々に低下するため、弁40は一気に揺動して図8に示すように第2吸気通路2が開かれる。第1付勢力がコイルスプリング5の変形により発生した第2付勢力より大きい状態が維持されていれば、弁40は第2吸気通路2を開いた状態で保持される。
【0054】
したがって、吸気は主として太く短い第2吸気通路2を通って吸入されるため、吸入空気量が少なくなるような不具合が回避される。また吸気音はエンジン音にまぎれて聞こえず、不快な騒音となることがない。
【0055】
そして再び吸気負圧が小さくなり第2付勢力が第1付勢力より大きくなると、コイルスプリング5によってアーム41が矢印D方向へ押し下げられることで弁40は容易に揺動し、図7に示すように第2吸気通路2が閉じられる。
【0056】
すなわち本実施例の吸気ダクトにおいては、吸気負圧に応じて弁40を自動的に全開及び全閉状態に維持することができ、レゾネータなどを用いずとも吸気音の低減と必要な吸気量の確保とを両立することができる。そして電子制御やダイヤフラムアクチュエータなどを不要とした単純な構成であるため、信頼性が高く低コストとすることができる。
【0057】
またコイルスプリング5は摺動部材50を介してアーム41と摺接しているので、摩擦抵抗が小さく滑らかに移動する。そしてアーム41及びコイルスプリング5は第2吸気通路2の外部に配置され、かつカバー44で覆われているので、摺動面に水や埃が付着するのが防止され、作動の精度が低下するのが防止されている。さらにコイルスプリング5の巻き数あるいは巻き密度を調整するだけで第2付勢力の大きさを調整できるので、板バネに比べてチューニングが容易である。
【0058】
なおコイルスプリング5の材質としては、バネ鋼線を始めとして、硬鋼線、ピアノ線、オイルテンパー線、ステンレス鋼線、黄銅線、洋白線、リン青銅線、ベリリウム銅線、インコネル線などから選択して用いることができる。
【0059】
(実施例3)
図10に本実施例の吸気ダクトを示す。この吸気ダクトでは、第2吸気通路2の外壁面20から第2吸気通路2の延びる方向に対して垂直に突出する軸部21にコイルスプリング5を挿通し、第2吸気通路2の外壁面20に設けられたフランジ部22にコイルスプリング5の一端の線材51を係止するとともに、コイルスプリング5の他端の線材52を直線状に延ばし、摺動部材50を介してアーム41に当接させている。また弁40の回動軸は、第2吸気通路2の上部で吸気が直接当接しない位置に設けられている。
【0060】
この吸気ダクトでは、線材52が実施例2の板バネ42と同様に作用し、吸気負圧に応じて弁40を自動的に全開及び全閉状態に維持することができ、レゾネータなどを用いずとも吸気音の低減と必要な吸気量の確保とを両立することができる。そして電子制御やダイヤフラムアクチュエータなどを不要とした単純な構成であるため、信頼性が高く低コストとすることができる。
【0061】
またコイルスプリング5は摺動部材50を介してアーム41と摺接しているので、摩擦抵抗が小さく滑らかに移動する。そしてアーム41及びコイルスプリング5は第2吸気通路2の外部に配置され、かつカバーで覆われているので、摺動面に水や埃が付着するのが防止され、作動の精度が低下するのが防止されている。さらにコイルスプリング5の巻き数あるいは巻き密度を調整するだけで回転モーメントCの大きさを調整できるので、板バネに比べてチューニングが容易である。
【0062】
加えて、弁40の回動軸は第2吸気通路2の上部で吸気が直接当接しない位置に設けられているので、弁40の回動軸に吸気中の水や埃が付着するのが抑制され、長期間安定して作動させることが可能となる。
【0063】
(実施例4)
図11に本実施例の吸気ダクトの要部を示す。この吸気ダクトは、コイルスプリング5の先端に設けられた摺動部材50の構成が異なること、及び弁40の構造が異なること以外は実施例2と同様である。
【0064】
摺動部材50は回動自在なローラからなり、コイルスプリング5の先端に回動自在に固定されている。したがってこの吸気ダクトでは、アーム41の移動に伴って摺動部材50が転動するので、コイルスプリング5はきわめて滑らかに移動することができる。
【0065】
また弁40は、図12に示すように、枢支軸40’と弁40との付け根部分が厚肉に形成され、弁40の周縁部にはクッション材40''が貼着されている。したがって弁40の強度が向上する。また弁40が第2吸気通路2を閉じた場合には、クッション材40''が第2吸気通路2内部に設けられた当接面と接触するように構成することで、打音が低減されるとともにシール性が向上する。
【0066】
【発明の効果】
すなわち本発明の吸気ダクトによれば、エンジンの低速回転時には低音域の吸気音を低減できるとともに、高速回転時には十分な空気量を吸入することができる。そして電子制御回路、電磁開閉弁及びダイヤフラムアクチュエータなどを用いていないので、安価な吸気ダクトとすることができる。
【0067】
また吸気通路内に水や埃が侵入しても、摺動部は吸気通路外部に配置されているため、付着した水や埃などによる作動の精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸気ダクトの作用を説明する説明図である。
【図2】本発明の吸気ダクトの作用を説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施例の吸気ダクトの全体構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例の吸気ダクトの閉弁時の要部断面図である。
【図5】本発明の一実施例の吸気ダクトを一部破断して示す閉弁時の要部側面図である。
【図6】本発明の一実施例の吸気ダクトを一部破断して示す開弁時の要部側面図である。
【図7】本発明の第2の実施例の吸気ダクトを一部破断して示す閉弁時の要部側面図である。
【図8】本発明の第2実施例の吸気ダクトを一部破断して示す開弁時の要部側面図である。
【図9】本発明の第2の実施例の吸気ダクトの構成を示す要部斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施例の吸気ダクトを一部破断して示す開弁時及び閉弁時の要部側面図である。
【図11】本発明の第4の実施例の吸気ダクトの開弁時及び閉弁時の説明図である。
【図12】本発明の第4の実施例の吸気ダクトに用いた弁の斜視図である。
【図13】従来の吸気ダクトの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1:第1吸気通路 2:第2吸気通路 3:エアクリーナ
4:制御部 5:コイルスプリング 40:弁
41:アーム(連動部材) 42:板バネ 43:摺動部
44:カバー 50:摺動部材
Claims (5)
- エンジンへ空気を供給する通路としての吸気ダクトにおいて、第1吸気通路と、第2吸気通路と、該第2吸気通路に揺動自在に設けられ該第2吸気通路を開閉する開閉弁と、該第1吸気通路又は該第2吸気通路の外部に設けられ該開閉弁の揺動に連動して揺動する連動部材と、該第1吸気通路又は該第2吸気通路の外部に揺動可能に設けられ揺動端が該連動部材表面に当接し該連動部材の揺動に伴って該揺動端が該連動部材の表面を摺動するステーと、該開閉弁が該第2吸気通路を閉じる方向へ揺動するように該ステーを付勢する付勢手段とよりなり、
該第2吸気通路の負圧によって該開閉弁が開く方向へ揺動するのに連動して該連動部材が揺動する際に該ステーには第1付勢力が作用するとともに該ステーには該付勢手段によって該第1付勢力に抗する第2付勢力が作用し、該第1付勢力が該第2付勢力より大きいときに該開閉弁が該第2吸気通路を開き、該第1付勢力が該第2付勢力より小さいときに該開閉弁が該第2吸気通路を閉じるように構成されたことを特徴とする吸気ダクト。 - 前記ステーは板バネからなり前記付勢手段を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の吸気ダクト。
- 前記ステーはコイルスプリングからなり前記付勢手段を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の吸気ダクト。
- 前記連動部材及び前記ステーを覆うカバーをもつことを特徴とする請求項1に記載の吸気ダクト。
- 前記ステーの先端及び前記連動部材の前記ステーと摺接する表面の少なくとも一方には摩擦抵抗の小さな摺動部をもつことを特徴とする請求項1に記載の吸気ダクト。
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