JP4200339B2 - 燃料電池単位セル、燃料電池単位セルアレイ、燃料電池モジュール及び燃料電池システム - Google Patents

燃料電池単位セル、燃料電池単位セルアレイ、燃料電池モジュール及び燃料電池システム Download PDF

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Description

本発明は、pin構造又はpn構造を有する燃料電池単位セル、燃料電池モジュール及び燃料電池システムに関し、さらに詳しくは、白金、ルテニウムを含む金属系触媒又は酸化物系触媒の触媒作用を効果的に発揮させることができる、小型の燃料電池に好適な燃料電池単位セル、燃料電池単位セルアレイ、燃料電池モジュール及び燃料電池システムに関する。
燃料電池には、燃料として主に燃料ガスが用いられ、水素ガス、メタンガスなどの水素を含むガス又はメタノールなどの液体を使用し、燃料ガス又は液体燃料と空気中の酸素ガスなどとを反応させることによって、電気エネルギを発生させるようになっている。その際の排出物は主に水であり、炭酸ガス、一酸化炭素ガスなどの有害な排出物が極めて少ないので、環境にやさしいエネルギ発生手段として、近年特に注目されている。また、燃料電池には、エンジンやタービンなどとは異なり、騒音の発生が少なく効率が高いという長所もあるので、将来の有望なエネルギ発生手段のひとつとして、実用化に向けた活発な研究開発が進められている。なお、燃料ガスの代わりにメタノールなどの液体燃料、空気などの酸化性ガスの代わりに過酸化水素などを含む液体酸化剤が用いられる場合もある。
燃料電池の用途は広く、すでに、燃料電池自動車などが実用化の域に達している。また、空調や給湯など多くの熱源と電力が必要な施設のエネルギシステムへの適用、一般家庭用のエネルギシステムへの適用、携帯電話、ラップトップパソコンなどの携帯端末用の電源としての利用などが考えられている。
図14は、燃料電池による発電の原理を説明する図であり、単位セルの基本構成と電気化学反応を模式的に示す図である。なお、図14には、燃料としてメタノールが用いられる例を示した。図14に示したように、燃料電池は、燃料極(アノード)101と酸素極(カソード)103とが対面して配置され、燃料極101と酸素極103との間には電解質層102が介在している。
燃料極101では、下記(1)式に示すように、供給されたメタノール(CHOH)と水(HO)が反応し、水素イオン(H)と電子(e)に解離するとともに、炭酸ガス(CO)を発生する。
CHOH+HO→6H+6e+CO (1)
電解質層102では、水素イオンは移動可能であるが、電子は移動できない。したがって、水素イオンは電解質層102を拡散して酸素極103へ移動し、電子は燃料極101と酸素極103とを外部で接続する回路104を通って酸素極103へ移動する。
酸素極103では、供給される酸素ガス(O)と電解質層を移動してきた水素イオンと燃料極から流れてきた電子とが下記(2)式のように反応し、水(HO)を発生する。
6H+6e+3/2O→3HO (2)
メタノール及び酸素ガスが継続的に補給されると、上記(1)式及び(2)式の反応が継続して起こり、電子が回路104を流れ続けることになる。すなわち、燃料流体(CHOH、Hなど)と酸化性流体(Oなど)を供給し続けることによって、図14に示した単位セルによって、酸素極103から燃料極101へ流れる電流、すなわち電力を得ることができる。
燃料電池にはいくつかのタイプがあり、電解質の種類に応じて、溶融炭酸塩型、固体高分子型、リン酸型、固体酸化物型、アルカリ水溶液型などがある。これらの燃料電池のうち、溶融炭酸塩型及び固体酸化物型は動作温度が高く、それぞれ600〜700℃、800〜1000℃程度である。その他のタイプは、一般に動作温度が約200℃以下である。
動作温度が高い燃料電池の場合には、燃料極で(1)式の反応が温度のエネルギによって進行する。一方、動作温度が低い燃料電池の場合には、燃料極及び酸素極における上記の反応をいかに効率的に起こさせるか、言い換えれば、それぞれの電極における反応速度をどのようにして高めるかが重要な課題である。(1)式及び(2)式の反応を促進させるために、燃料極101及び酸素極103では触媒が利用されており、触媒としては通常白金が用いられている。このように、低温で動作する燃料電池にとって、白金は極めて重要な役割を果たしている。
触媒としては、白金以外にも、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びこれらのうちの少なくとも2つを含む合金、白金とこれらの合金、チタン酸化物などを用いることができる。しかし、燃料電池用の触媒としては白金がもっとも優れているので、主として白金が用いられているのが実情である。
また、燃料電池の場合、燃料極101及び酸素極103には、燃料流体又は酸素性流体を通過させるとともに、これらの電極における(1)式又は(2)式の反応を促進させるために、通常多孔質の炭素電極が用いられている。さらに、低温で動作する燃料電池の場合には、多孔質の電極の空孔内面に白金などの触媒の微粒子が担持された構造となっている。このように、上記(1)式及び(2)式の反応を促進させる上で、触媒、特にその作用に優れた白金は欠くことができない材料である。
しかし、白金は、貴金属であり極めて高価であるので、燃料電池の価格を高くする主な要因になっている。また、白金はCOガスと結合する性質が強く、燃料流体中のCOガス、燃料極における酸化反応によって生じるCOガスなどによるCO被毒が生じる。そのため、白金には、CO被毒が生じると、触媒としての機能が著しく低下するという欠点がある。
一方、燃料電池に使用されるメタノール、水素ガス、メタンガスなどは、通常天然ガスの炭化水素を原料として製造されるので、特に水素ガス、メタンガスは少量のCOガスを含んでいる。また、メタノールを用いる燃料電池の場合には、メタノールの酸化プロセスの間にCOが形成される。この中間的なCOは、白金などの表面に吸着され極めて安定である。したがって、触媒として白金を利用し、メタノール、水素ガスなどを燃料として用いた場合、白金のCO被毒問題を避けることができない。白金以外の触媒を使用することも可能であるが、白金に比べると触媒効果に劣るので、燃料極及び酸素極における反応速度が白金より劣るという欠点がある。
メタノール燃料電池では、白金にルテニウムなどを添加することによって、白金のCO被毒を、ある程度抑制することができるとされている。その理由は、ルテニウムがHOの酸化を促進してヒドロキシルイオンを生成し、COをCOに酸化すると考えられている。しかし、白金の触媒効果を十分に維持することはできないので、実用的には未だ白金被毒問題が解決されているとは言えない。
したがって、触媒として白金が使用され、メタノールや水素ガスが燃料流体として用いられた場合には、白金のCO被毒問題を避けることができない。一方、白金以外の触媒は、白金に比べ触媒効果が劣る。そのために、現状の燃料電池単位セルでは、燃料極及び酸素極で生じる反応の速度が遅いという欠点がある。
上記のような問題を解決するために、触媒として白金を用いない燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されている燃料電池は、燃料極、酸素極及び燃料極と酸素極との間の電解質層で構成され、燃料極が、p型不純物がドープされたIII−IV族化合物半導体で構成されている。この燃料電池の場合、燃料極では、水素ガスを水素ラジカルに分解し、水素ラジカルを水素イオンと電子に解離させる反応を起こさせている。この反応が速やかに進むので、白金を必要としないとされている。すなわち、p型不純物がドープされた化合物半導体が、水素ガスを水素イオンと電子に解離させる触媒の役割を果たすとされている。
また、電極に半導体を用いる燃料電池として、pn接合型半導体の構成を応用した燃料電池が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2に開示されている燃料電池は、燃料電池全体が、燃料ガスと酸素含有ガスとの混合ガス雰囲気に設置されるシングルチャンバ型であり、この点が、例えば、上記特許文献1に開示されているような通常のダブルチャンバ型の燃料電池と相違している。特許文献2に開示されている燃料電池は、キャリアが正孔であるp型半導体層と、キャリアが電子であるn型半導体層と、その間のpn混合層とで構成され、いずれの層も混合ガスが通過する程度に多孔質となっている。
この燃料電池の場合、発電のメカニズムは次のように考えられている。p型半導体とn型半導体とに挟まれた空乏層(pn接合層)近傍のp型半導体の表面に酸素ガスが吸着して分極し、同時に、n型半導体の表面に水素ガスが吸着して分極し、p型半導体の表面にプラスの電荷が生じ、n型半導体の表面にマイナスの電荷が生じる。吸着した水素イオン(H)と酸素イオン(O2−)とが反応して水(HO)が生成するという一連の過程において、空乏層(pn接合層)近傍のp型半導体における価電子帯の電子が励起され、その価電子帯には正孔が生成し、生成した電子正孔対のうち、電子はn型半導体に移動するとともに、正孔はp型半導体側に移動する。このようなメカニズムにより、p型半導体(陰極)とn型半導体(陽極)との間に電位差が生じ、この電位差を電力として取り出すことができるとされている。
上記特許文献1及び2に開示されている半導体を用いる燃料電池では、いずれも触媒が用いられていない。燃料極及び酸素極において、(1)式又は(2)式の反応を効果的に起こさせるためには、触媒を用いることが好ましく、特に白金を用いることがもっとも好ましい。しかし、前述のように、燃料極及び酸素極における反応を、どのようにして促進するかが問題であり、特に触媒として白金を用いる場合には、白金のCO被毒をいかにして防止するかが重要な課題である。しかし、触媒を用いた場合の反応速度の向上、白金のCO被毒の防止に関して、有効な対策が得られていないのが実情であり、白金の触媒活性をさらに向上させることが求められている。
また、従来のメタノール燃料電池には、「メタノールクロスオーバー」と呼ばれる大きな問題がある。メタノールクロスオーバーとは、燃料極に供給されたメタノールが電解質層などの中間層を通り抜けて酸素極へ移動することであり、酸素極で反応を起こすことにより発電効果を打ち消してしまう現象を意味する。
すなわち、従来の燃料電池内では、メタノールは、電解質を介して燃料極(アノード)から酸素極(カソード)へクロスオーバーし、酸素極における酸素との反応により電気を発生することなく熱を発生する。そのため、メタノールのロスが生じるとともに、燃料電池の発生電圧が低下する。例えば、カソードにおいて、所定の電流密度で100mV〜140mVの電圧低下が発生するとされている。
特許文献3及び4には、メタノールクロスオーバーを抑制する方法が記載されているが、実用上十分な効果が得られているとは言えず、メタノールクロスオーバー問題は、未だ解決されているとは言えない。
メタノール燃料電池のもう一つの問題は、水素燃料電池に比べて、アノードの電位をより高くするために、アノードの活性化が必要という点である。その対策として、反応速度を向上させるために、電極面により多くの触媒を使用しなければならない。触媒量が多い場合には、燃料電池のコストが高くなるので、コストを低減させなければならないという問題が生じる。
また、固体ポリマー電解質を用いる従来の燃料電池では、触媒は、例えば、炭素粉末によってサポートされた固体電解質の両面に形成されている。この場合、触媒の効果を効率的に発揮させることができない。さらに、表面の面積(2次元の表面面積)が限定されるため、低電力用のダイレクトメタノール型燃料電池では小型化が難しい。このように、反応速度を向上させ、電力発生効率を高めることができるように、触媒の効果的な利用法を確立する必要がある。その対策の1つとして、電極面の面積を広くするとともに、電極における触媒量の使用量を減らすことが求められている。
さらに、携帯型の電話機、ラップトップパソコンなど、携帯端末用の小型の燃料電池も要望されている。その要望に応えるためには、酸素極及び燃料極における反応速度を高めることにより電極の小型化を図る必要があるが、動作温度が低い燃料電池の場合には、上記のいくつかの問題点を解決しない限り、燃料電池の小型化を達成することができないというのが実態である。
特開2004−319250号公報 特開2004−199877号公報 米国特許第5,599,638号明細書 米国特許第5,919,583号明細書
本発明は、上記の課題を解決することを目的としており、白金を含む金属系触媒又は酸化物系触媒の触媒作用を効果的に発揮させることができるとともに、白金のCO被毒を抑制することが可能で、小型化及び低コスト化が可能な燃料電池単位セル、燃料電池単位セルアレイ、燃料電池モジュール及び燃料電池システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するための本発明に係る燃料電池単位セル(1)は、p型半導体で構成された燃料極と、n型半導体で構成された酸素極と、前記燃料極と前記酸素極との間に介在し、真性半導体で構成された中間層とを備えたpin構造を有し、前記燃料極が多孔質で燃料流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、前記酸素極が多孔質で酸化性流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、前記中間層が、多孔質で電解質溶液を保持可能であり、前記燃料極で生成した水素イオンを透過させ、電子を通さない性質を有し、前記燃料極の表面に水素を含む燃料流体が供給され、前記酸素極の表面に酸素を含む酸化性流体が供給されるように構成され、前記燃料極と前記酸素極のそれぞれに電気的に接続された接続端子を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(2)は、p型半導体で構成された燃料極と、n型半導体で構成された酸素極と、前記燃料極と前記酸素極との間に介在する中間層とを備えたp−n構造を有し、前記燃料極が多孔質で燃料流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、前記酸素極が多孔質で酸化性流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、前記中間層が、前記燃料極及び前記酸素極のうちの少なくとも一方側に形成され、多孔質で電解質溶液を保持可能であり、前記燃料極で生成した水素イオンを透過させ、電子を通さない性質を有し、前記燃料極と前記酸素極とが前記中間層が形成された面で接合されており、前記燃料極の表面に水素を含む燃料流体が供給され、前記酸素極の表面に酸素を含む酸化性流体が供給されるように構成され、前記燃料極と前記酸素極のそれぞれに電気的に接続された接続端子を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(3)は、燃料流体供給面側がp型半導体層、他方の面がn型半導体層で構成されたpn接合領域を有する燃料極と、酸化性流体供給面側がn型半導体層、他方の面がp型半導体層で構成されたpn接合領域を有する酸素極と、前記燃料極の前記n型半導体層と前記酸素極のp型半導体層との間に介在する中間層としての電解質層とを備えたpn−pn構造を有し、前記燃料極は多孔質であり、前記燃料極における前記p型半導体層は前記n型半導体層に比べて厚さが厚く燃料流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、前記n型半導体層は燃料流体非透過性であり、前記酸素極は多孔質であり、前記酸素極における前記n型半導体層は前記p型半導体層に比べて厚さが厚く酸化性流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、前記中間層が、電解質溶液を含み、前記燃料極で生成した水素イオンを透過させる性質を有し、前記燃料極の表面に水素を含む燃料流体が供給され、前記酸素極の表面に酸素を含む酸化性流体が供給されるように構成され、前記燃料極と前記酸素極のそれぞれに電気的に接続された接続端子を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(4)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記燃料極及び前記酸素極のうちの少なくとも一方が光透過性であることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(5)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記中間層の前記電解質に、光が照射されるように構成されていることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(6)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記燃料極及び前記酸素極のうちの少なくとも一方における前記触媒層と前記空孔の内面との間に、金属系導電性層を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(7)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記燃料流体が、メタノール又は水素ガスであることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(8)は、上記燃料電池単位セル(1)又は(2)において、前記燃料極における燃料流体透過性を有する多孔質部の空孔の径及び前記酸素極における酸化性流体透過性を有する多孔質部の空孔の径がミクロンオーダーであり、前記中間層の多孔質部の空孔の径がナノオーダーであることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(9)は、上記燃料電池単位セル(3)において、前記燃料極におけるp型半導体層部の空孔の径及び前記酸素極におけるn型半導体層部の空孔の径がミクロンオーダーであり、前記燃料極におけるn型半導体層部の空孔の径及び前記酸素極におけるp型半導体層部の空孔の径がナノオーダーであることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(10)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記燃料極、前記酸素極及び前記中間層を構成する半導体材料が、シリコン、ゲルマニウム及び酸化チタンを含む酸化物半導体のうちのいずれかであることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(11)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記金属系触媒層を構成する金属系触媒が、白金、イリジウム、パラジウム、ロジウムルテニウム及びこれらの少なくとも2つを含む合金のうちの1つ、又はチタン酸化物であることを特徴としている。
また、本発明に係る燃料電池単位セル(12)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記電解質溶液が酸性であることを特徴としている。
本発明に係る燃料電池単位セルアレイ(1)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかの複数の前記燃料電池単位セルが平面的に配列されるとともに、電気的に並列及び/又は直列に接続され、複数の前記燃料電池単位セルの発生電力が集電されて出力されるように構成されていることを特徴としている。
本発明に係る燃料電池単位セルアレイ(2)は、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかの複数の前記燃料電池単位セルが、前記燃料流体供給手段、前記酸化性流体供給手段及び光導入手段を介して積層されるとともに、電気的に直列に接続され、複数の前記燃料電池単位セルの発生電圧が加算されて出力されるように構成されていることを特徴としている。
本発明に係る燃料電池モジュールは、上記燃料電池単位セルアレイ(1)と、燃料流体供給部と、酸化性流体供給部とを備え、前記燃料流体供給部と前記酸化性流体供給部との間に前記燃料電池単位セルアレイが配置され、前記燃料流体供給部と前記酸化性流体供給部との間が、流体が透過しないように構成され、前記燃料電池単位セルアレイの燃料極が前記燃料流体供給部に面し、前記燃料電池単位セルアレイの酸素極が前記酸化性流体供給部に面し、前記燃料流体供給部が、燃料導入部及び流体排出部を備え、前記酸化性流体供給部が、酸化性流体導入部及び流体・水排出部を備え、前記燃料流体供給部を囲む壁部のうち前記燃料極に対面する壁部及び/又は前記酸化性流体供給部を囲む壁部のうち前記酸素極に対面する壁部が、光透過性材料で構成され、前記燃料電池単位セルアレイで発生し集電された電力を出力する出力手段を備えていることを特徴としている。
本発明に係る燃料電池システムは、複数の前記燃料電池モジュールが一体的に組み合わされ、それぞれの前記燃料電池モジュールの前記出力手段からの出力が集電されるように接続され、集電された電力を出力する燃料電池出力部を備え、該燃料電池出力部に電気的に接続されたDC−DCコンバータを備えていることを特徴としている。
なお、本明細書で用いるミクロンオーダーとは、主として1μm以上、1mm未満を意味する。また、ナノオーダーとは、主として1nm以上、1μm未満を意味する。また、燃料流体とは、メタノール、水素ガスなどの流体状の燃料を意味し、酸化性流体とは、酸素ガス、空気、過酸化水素溶液などの流体状の酸化性物質を意味する。
上記燃料電池単位セル(1)〜(12)によれば、燃料電池単位セルが基本的にはpin又はpn接合構造を有し、p型半導体層とn型半導体層との間に電解質溶液が位置している。これらの燃料電池単位セルでは、光が照射されることを必ずしも必要としないが、光が照射された場合には、光電効果により発生した正孔により燃料極における触媒作用が、また、光電効果により発生した電子により酸素極における触媒作用が著しく活性化される。言い換えると、燃料極における酸化反応速度及び酸素極における還元反応速度が著しく速くなる。これは、燃料極に到達した正孔の強力な酸化作用により、燃料極におけるメタノールなどの燃料流体の酸化が促進され、酸素極に到達した光電子により酸素極における酸化性流体の還元が促進されるからである。また、光電効果によって発生する電極−電解質部間の電界により、2層効果(double layer effect)が向上する。そのため、反応がより促進されるという効果が得られ、発生する電流密度、エネルギ密度が大きくなる。
また、pin又はpn構造の場合、電極と電解質領域の両方を1つのシリコン基板に形成することができるので、コンパクト、低コストで、高エネルギ密度の燃料電池セルを得ることができる。
したがって、燃料電池単位セルの発生電力を一定とした場合には、燃料極及び酸素極に用いられる触媒の必要量を減らすことが可能であり、電極の小型化、燃料電池単位セル、さらには燃料電池の小型化が達成される。また、触媒作用が活性化されるので、より安価な触媒を使用することができる。また、燃料電池単位セルの大きさ、触媒の使用量等を一定とした場合には、単位セル当たりの発生電力量を大幅に増加させることができる。
特に、触媒として白金を用いる場合には、たとえ燃料流体に少量のCOガスが含まれていたり、燃料流体からCOガスが発生することがあるとしても、燃料極における反応のアクティビティが高いので、COガスが容易にCOに酸化される。そのために、触媒として白金を用いる場合でも、通常の燃料電池では解決困難な重要な課題である、白金のCO被毒問題を解消することができる。
また、燃料極及び酸素極の少なくとも一方において、空孔の内面と触媒層との間に金属系導電層を備えている場合には、燃料流体としてメタノールを用いたとしても、メタノールクロスオーバーをほぼ防止することができる。そのため、メタノールのロスを防止可能であり、発電効率を向上させることができる。
上記燃料電池単位セルには上記の特長があるので、本発明に係る燃料電池単位セルによれば、これらの特長を生かし、燃料電池の高出力化、低コスト化、小型化、長寿命化などの優れた効果を得ることができる。
また、上記燃料電池単位セルアレイ(1)又は(2)によれば、単位セルアレイが上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかによって構成されているので、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)が有する特長を備えた燃料電池単位セルアレイを得ることができる。
また、上記燃料電池モジュールによれば、燃料電池モジュールが上記燃料電池単位セルアレイ(1)によって構成されているので、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれかと上記燃料電池単位セルアレイ(1)が有する特長を備えた燃料電池モジュールを得ることができる。
また、上記燃料電池システムによれば、燃料電池システムが上記燃料電池モジュールによって形成されているので、上記燃料電池単位セル(1)〜(3)のいずれか、上記燃料電池単位セルアレイ(1)及び上記燃料電池モジュールが有する特長を備えた燃料電池システムを得ることができる。さらに、上記燃料電池システムはDC−DCコンバータを備えているので、燃料電池システムに要求される出力電圧を容易に発生させることができる。特に、小型の燃料電池システムが得られるので、携帯型の電話機やパソコンの電源として極めて好適である。
本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池単位セルの基本構成を模式的に示す斜視図である。 図1Aに示したIB−IB’線に沿った切断面の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池単位セルの基本構成を模式的に示す斜視図である。 図2Bは、図2Aに示したIIB−IIB’線に沿った切断面の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池単位セルの基本構成を模式的に示す斜視図である。 図3Aに示したIIIB−IIIB’線に沿った切断面の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。 燃料極の空孔の分布及び形状の例を示す模式的平面図である。 図4Bは、燃料極の空孔の分布及び形状の別の例を示す模式的平面図である。 ミクロンオーダーの空孔及びナノオーダーの空孔で構成された領域を模式的に示す部分拡大断面図である。 所定のパターンを有する多孔質部を形成する方法を説明する図であり、多孔質部を形成する基板にプレエッチングを施す過程における基板の断面構造を示す図である。 所定のパターンを有する多孔質部を形成する方法を説明する図であり、プレエッチング後の基板に、陽極エッチング法によりさらにエッチングを施す方法を示す模式的断面図である。 燃料流体及び酸化性流体の供給手段の例を示す模式的斜視図である。 燃料流体及び酸化性流体の供給手段の別の例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施の形態に係る単位セルアレイを模式的に示す図であり、単位セルが並列に接続された単位セルアレイを示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る単位セルアレイを模式的に示す図であり、単位セルが直列に接続された単位セルアレイを示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る単位セルアレイを模式的に示す図であり、単位セルが縦、横に接続された単位セルアレイを示す斜視図である。 本発明の別の実施の形態に係る単位セルアレイの構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る燃料電池モジュールを模式的に示す断面図である。 本発明の別の実施の形態に係る燃料電池モジュールを模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。 燃料電池による発電の原理を説明する図であり、単位セルの基本構成と電気化学反応を模式的に示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態に係る燃料電池単位セル、燃料電池単位セルアレイ、燃料電池モジュール及び燃料電池システムを具体的に説明する。なお、以下に示す図において、同様な部材、作用を示す箇所には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池単位セル(以下、燃料電池単位セルを単位セルと略記する)の基本構成を模式的に示す斜視図である。また、図1Bは、図1Aに示したIB−IB’線に沿った切断面の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。
図1A及び1Bを参照して、以下に実施の形態に係る単位セル1の基本構成及び動作原理を説明する。なお、1例として、半導体材料が多孔質のシリコン、燃料流体がメタノール、酸化性流体が酸素ガスの場合を説明する。
単位セル1は、p型半導体層、n型半導体層及びその間に位置するi型半導体層(真性半導体層)の3つの層で構成されたpin型接合構造を備えている。第1の層は、アノードを構成する燃料極11であり、ホウ素、アルミニウムなどのp型不純物元素がドープされたp型半導体層で構成されている。第2の層は、電解領域を構成する中間層12であり、不純物元素がドープされていない(非ドープ)の真性半導体層で構成されている。第3の層は、カソードを構成する酸素極13であり、リン、ヒ素などのn型不純物元素がドープされたn型半導体層で構成されている。
燃料極11、中間層12及び酸素極13は、例えば、いずれも多孔質のシリコンで構成されていることが好ましい。p型半導体層である燃料極11とn型半導体層である酸素極13には、図1Bに示したように、空孔15a、15bが形成されており、空孔15a、15bは、それぞれ壁16a、16bによって仕切られている。燃料極11及び酸素極13は、それぞれメタノール、水素ガスなどの燃料流体、酸素ガス、空気、過酸化水素溶液などの酸化性流体が透過可能であり、すなわち、それぞれの層の空孔15a、15bには、燃料流体、酸化性流体が侵入可能になっている。また、中間層にも空孔19が形成されている。
ここで、燃料極11及び酸素極13の空孔15a、15bの径は中間層12の空孔19の径より大きいことが好ましい。例えば、前者はミクロンオーダーで、例えば、20μm以下で好ましくは4〜8μm、後者はナノオーダーであることが好ましい。ただし、燃料流体として水素などのガス状の物質を用いる場合には、燃料極11及び酸素極13の空孔15a、15bの径、中間層12の空孔19の径がほぼ等しく、すべてナノオーダーであってもよい。なお、本明細書においては、「径」とは空孔の内側の径を意味し、例えば、円形ではなく四角形などの場合には、内側の平均径を意味する。また、径の異なる空孔が存在する場合には、それらの空孔の平均径を意味する。
燃料極11及び酸素極13の空孔15a、15bの内表面は、白金、ルテニウム、それらの合金などの触媒で被覆されている。なお、空孔15a、15bの内表面と触媒層との間には、パラジウム、ニッケル、タンタル、ニオブなどの導電性金属層を備えていることが好ましい。また、燃料極11及び/又は酸素極13は光透過性であることが好ましく、燃料極11又は酸素極13を介して、中間層12へ光が到達するように構成されていることが好ましい。燃料極11及び酸素極13が光透過性ではない場合には、中間層12に光を導入する光ファイバなどの手段を備えていることが好ましい。
さらに、燃料極11及び酸素極13には、外部回路14との接続部に相当する接続端子(図示省略)が設けられている。
中間層12の空孔19内には電解質溶液が含浸されており、この電解質溶液は毛細管現象による静的な力で空孔内に保持されている。電解質溶液としては、硫酸溶液(HSO)、リン酸溶液(HPO)、トリフリック酸(トリフルオロメタンスルホン酸)などの酸性の溶液が適している。また、電解質溶液は、必ずしもこれらの酸性溶液である必要はなく、例えば、アルカリ性溶液、水であってもよい。水素イオンは、中間層12に保持されている溶液がアルカリ性溶液又は水であっても、燃料極11から酸素極13へ向けて移動することができるからである。したがって、本明細書では、電解質溶液にはアルカリ性溶液及び水も含まれるものとする。
燃料極11、中間層12又は酸素極13用の半導体材料には、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンを含むシリコン及び単結晶ゲルマニウムなどのIV属半導体、ガリウム−ヒ素、インジウム−リン、アルミニウム−ガリウム−ヒ素などのIII−IV属化合物半導体、硫化カドミウム、硫化銅などのII−VI属化合物半導体、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化すず、二三酸化鉄、酸化コバルト、四三酸化鉄、酸化銅等の酸化物系半導体があり、それぞれp型半導体、n型半導体又は真性半導体を構成することができる材料を使用することができる。なお、これらの半導体材料のうち、燃料極11及び酸素極13に用いられる材料は、いずれも多孔質でガス、液体などの流体が透過する性質(流体透過性)を備えている。
また、中間層12には、上記の半導体材料のうち、真性半導体層を形成することができる多孔質材料を使用することができる。例えば、シリコン、ゲルマニウムなどで、不純物がドープされていない材料である。なお、中間層12に用いられる材料は、空孔の毛管力により電解質溶液又は水を保持することができる性質を有するものである。
また、燃料極11のp型半導体層及び酸素極13のn型半導体層の厚さは、中間層12より厚く、前者はミクロンオーダーで、特に200〜500μm、後者は200μm以下で、特に80μm以下であることが好ましい。
燃料極11、酸素極13の空孔内面を被覆する触媒層に用いられる触媒としては、白金の他に、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属又はそれらの少なくとも2つを含む合金が適している。そのほかに、酸化チタンを用いることができる。中でも、白金はもっとも優れた触媒作用を有している。燃料極11及び酸素極13の空孔内壁への金属系触媒の被覆は、原子層成長法、表面有機金属化学法(surface organometallic chemistry method)、電気めっき法、プラズマを用いるスパッタリング法、CVD法による蒸着などの方法によって行うことができる。金属系触媒の被覆には、特に、原子層成長法、表面有機金属化学法が好適である。なお、本明細書では、酸化チタンを含む上記触媒を「金属系触媒」と記す。
また、燃料極11及び酸素極13の空孔15a、15bの内表面への導電性金属層の被覆は、原子層成長法、電気めっき法、電着法などの方法によって行うことができる。
図2Aは、本発明の第2の実施の形態に係る単位セルの基本構成を模式的に示す斜視図である。また、図2Bは、図2Aに示したIIB−IIB’線に沿った切断面の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。
図2A及び2Bに示した単位セル2は、pn型接合構造を有し、p型半導体層21、n型半導体層23及びその間に位置する中間層22の3層で構成されている。第1の層であるp型半導体層は、アノードを構成する燃料極21であり、ボロン、アルミニウムなどのp型不純物がドープされている。第2の層は電解領域を構成する中間層22である。第3の層であるn型半導体層は、カソードを構成する酸素極23であり、リン、ヒ素などのn型不純物元素がドープされている。
中間層22は、燃料極21を構成するシリコン基板の1面側に形成された中間層22a、酸素極23を構成するシリコン基板の1面側に形成された中間層22bで構成されている。このような中間層22は、単位セル2の製造が容易という利点がある。また、中間層22は、燃料極21及び酸素極23の両面に形成するのではなく、いずれか一方のみに形成されていてもよい。すなわち、中間層22a及び中間層22bのうちのいずれか一方によって構成してもよい。なお、単位セル2は、中間層22a、22bを対面させて接合することによって形成されていることが好ましい。
燃料極21、中間層22及び酸素極23は、いずれも多孔質のシリコンで構成されていることが好ましい。p型半導体層である燃料極21とn型半導体層である酸素極23には、図2Bに示したように、空孔25a、25bが形成されており、空孔25a、25bは、それぞれ壁26a、26bによって仕切られている。燃料極21及び酸素極23は、それぞれメタノールなどの燃料流体、酸素ガスなどの酸化性流体が透過可能であり、すなわち、それぞれの層の空孔25a、25bには、燃料流体、酸化性流体が侵入可能になっている。また、中間層22にも空孔29が形成されている。
ここで、燃料極21及び酸素極23の空孔25a、25bの径は、中間層22の空孔29の径より大きいことが好ましい。例えば、前者はミクロンオーダーで、例えば、20μm以下、好ましくは4〜8μm、後者はナノオーダーであることが好ましい。ただし、燃料流体として水素などのガス状の物質を用いる場合には、燃料極21及び酸素極23の空孔25a、25bの径、中間層22の空孔29の径がほぼ等しくてもよく、例えば、すべてナノオーダーであってもよい。
また、燃料極21及び酸素極23の空孔25a、25bの内表面は、白金、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属又はそれらの少なくとも2つを含む合金などの触媒で被覆されている。さらに、空孔25a、25bの内表面と触媒層との間には、パラジウム、ニッケル、タンタル、ニオブなどの導電性金属層を備えていることが好ましい。
中間層22の空孔29内には、電解質溶液が含浸されており、この電解質溶液は、毛細管による静的な力により空孔内に保持されている。電解質溶液としては、第1の実施の形態の場合と同様な溶液を用いることができる。
また、燃料極21及び酸素極23の少なくとも一方は、光透過性であることが好ましく、燃料極21又は酸素極23を介して、中間層22へ光が到達するように構成されていることが好ましい。燃料極21及び酸素極23が光透過性ではない場合には、中間層22に光を導入する光ファイバなどの手段を備えていることが好ましい。
さらに、燃料極21及び酸素極23には、外部回路14との接続部に相当する接続端子(図示省略)が設けられている。
図3Aは、本発明の第3の実施の形態に係る単位セルの基本構成を模式的に示す斜視図である。また、図3Bは、図3Aに示したIIIB−IIIB’線に沿った切断面の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。
図3A及び図3Bに示した単位セル3は、第1及び第2のpn型接合構造を有する2つのpn型半導体層とその間に位置する中間層の3層で構成され、その配列は、燃料極側からpn−中間層−pnとなっている。第1の層は、アノードを構成する燃料極31であり、ボロン、アルミニウムなどのp型不純物元素がドープされたp型半導体層31aとリン、ヒ素などのn型不純物元素がドープされたn型半導体層31bとで構成されている。第2の層は電解質領域を構成する中間層32である。第3の層は、カソードを構成する酸素極33であり、リン、ヒ素などのn型不純物元素がドープされたn型半導体層33aとボロン、アルミニウムなどのp型不純物元素がドープされたp型半導体層33bとで構成されている。
燃料極31及び酸素極33は、例えば、いずれも多孔質のシリコンで構成されていることが好ましい。pn接合構造の半導体層である燃料極31及び酸素極33には、図3Bに示したように、空孔35a、35bが形成されており、空孔35a、35bは、それぞれ壁36a、36bによって仕切られている。燃料極31のp型半導体層31a及び酸素極33のn型半導体層33aは、それぞれメタノールなどの燃料流体、酸素ガスなどの酸化性流体が透過可能であり、それぞれの層の空孔35a、35bには、燃料流体、酸化性流体が侵入可能になっている。
ここで、燃料極31のp型半導体層31a及び酸素極33のn型半導体層33aに形成されている空孔35a、35bの径は、燃料極31のn型半導体層31b及び酸素極33のp型半導体層33bに形成されている空孔39の径より大きいことが好ましく、前者はミクロンオーダーで、例えば、20μm以下で好ましくは4〜8μm、後者はナノオーダーであることが好ましい。ただし、燃料流体として水素などのガス状の物質を用いる場合には、燃料極31のp型半導体層31a及び酸素極33のn型半導体層33aに形成されている空孔35a、35bの径と、燃料極31のn型半導体層31b及び酸素極33のp型半導体層33bに形成されている空孔39の径がほぼ等しくてもよく、例えば、すべてナノオーダーであってもよい。
また、燃料極31のp型半導体層31a及び酸素極33のn型半導体層33aの厚さは、燃料極31のn型半導体層31b及び酸素極33のp型半導体層33bより厚く、前者はミクロンオーダーで、特に300〜500μm、後者は50μm以下で、特に10μm以下であることが好ましい。
また、燃料極31のp型半導体層31aの空孔35a及び酸素極33のn型半導体層33aの空孔35bの内表面は、白金、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属又はそれらの少なくとも2つを含む合金などの触媒で被覆されている。なお、空孔35a、35bの内表面と触媒層との間には、パラジウム、ニッケル、タンタル、ニオブなどの導電性金属層を備えていることが好ましい。
中間層32は、封止板34a、34bによって上下が封止されており、燃料極31と酸素極33との間の空間部に、第1及び第2の実施の形態の場合に用いられる溶液と同様な電解質溶液が満たされている。
また、燃料極31及び酸素極33の少なくとも一方は、光透過性であることが好ましく、燃料極31又は酸素極33を介して、中間層32へ光が到達するように構成されていることが好ましい。燃料極31及び酸素極33が光透過性ではない場合には、封止板34a、34bのうちの少なくとも一方が光透過性であり、封止板34a又は34bを介して、中間層32へ光が到達するように構成されていることが好ましい。そのほか、中間層32に光を導入する光ファイバなどの手段を備えていてもよい。
さらに、燃料極31及び酸素極33には、外部回路14との接続部に相当する接続端子(図示省略)が設けられている。
図1B、2B及び3Bには、燃料極の燃料流体透過部及び酸素極の酸化性流体透過部の空孔の断面形状が、同じ四角形で規則的な形状のパターンの例を示した。しかし、空孔のサイズ、形状は一定である必要はなく、サイズが異なっていても、形状が異なっていてもよい。また、深さ方向に直線状ではなく、曲がった形状であってもよい。燃料極及び酸素極を平面的に見た場合の空孔の形状、分布などのパターンも、特定のパターンに限定されない。
図4A及び4Bは、燃料極の空孔の分布及び形状の例を示す模式的平面図である。なお、図4A及び4Bには、第1の実施の形態に係る単位セル1の燃料極11の例を示した。図4Aに示した空孔15aは、平面形状が一定な空孔が、規則的に配列された例である。空孔15aは、平面形状が一定である必要はなく、異なった形状の空孔で構成されていてもよく、また、規則的に分布していなくてもよい。図4Bに示した燃料極11Aの空孔15a’は、平面形状が不規則で、壁16a’に仕切られて不規則に分布している例である。このように、空孔15a’は、平面形状が不定形でもよく、また、不規則に分布していてもよい。
単位セル1〜3の発生電流は、主として単位セル1〜3の面積及び燃料極及び酸素極の不純物濃度に応じて決まる。適正な性能の発揮、商業規模の生産などの観点から、単位セル1〜3の大きさは、例えば、縦横5〜30mm、厚さはミクロンオーダーから数mmオーダーであることが好ましい。
上記のように構成された第1〜第3の実施の形態に係る単位セル1〜3の場合には、燃料極及び酸素極における反応が活性化され、効果的に電力を発生させることができる。以下に、主として第1の実施の形態に係る単位セル1の場合を対象に、その理由を説明する。なお、必要に応じて、第2又は第3の実施の形態に係る単位セル2、3に言及する。
燃料極11の表面に、例えば、燃料流体としてのメタノールと水(HO)が供給されると、先に示した(1)式の反応が起こり、水素イオン(H)と電子(e)に解離し、炭酸ガス(CO)を発生する。中間層12は真性半導体層であるので、電子は中間層12を移動することができない。なお、単位セル2の場合には燃料極21と酸素極23との間、単位セル3の場合には燃料極31内及び酸素極33内にpn接合部が存在するので、この領域により電子が燃料極から酸素極へ移動することが防止されるようになっている。さらに、単位セル3の場合には、中間層32が電解質溶液で構成されているので、中間層32で電子の移動が阻止される。
一方、水素イオンは、中間層12の空孔19(単位セル2の場合は中間層22の空孔29、単位セル3の場合は中間層32)に保持されている電解質溶液を介して酸素極13へ移動することができる。酸素極13では、外部回路14を介して酸素極13へ移動してきた電子と、中間層12内の電解質溶液を介して移動してきた水素イオンと、酸素極13の表面に供給される酸素ガスとの間で(2)式の反応が起こり、水(HO)が生成する。
第1の実施の形態に係る単位セル1の場合には、以下に説明する機構によって、燃料極11及び酸素極13における反応のアクティビティが著しく活性化されるため、上記の一連の反応速度が著しく速められるという特徴がある。すなわち、単位セル1はpin構造となっており、真性半導体層(i層)である中間層12(単位セル2の場合は中間層22、単位セル3の場合は燃料極31及び酸素極33のpn接合部と中間層32との組合せ)が、従来の燃料電池にはない重要な役割を果たしている。
熱平衡の状態では、正孔(ホール)がp型半導体層の燃料極11から中間層12へ移動し、電子がn型半導体層の酸素極13から中間層12へ移動する。そのために、中間層12で正孔と電子が再結合し、空乏領域が形成される。その結果、酸素極13から燃料極11へ向けて強い電界が形成さる。
上記の状態の励起された電子と正孔が発生する。特に、中間層12内に光が到達した場合には、中間層12に存在する空乏層近辺に光が照射されるので、励起された電子と正孔がより効率的に発生する。電子と正孔が発生すると、空乏層に基づく電界によって加速され、電子はn型半導体層の酸素極13へ移動し、正孔はp型半導体層の燃料極11へ移動する。この電子と正孔の移動によって、燃料極11と酸素極13間、すなわちアノードとカソード間の電位差と、中間層12の電位とが平衡するようになる。
pin構造を備えた太陽電池の場合には、高強度の太陽光によって、多数の正孔及び電子が発生し、それらの正孔及び電子が発生した電位差の下で移動するので、その電位差が電力源として利用される。しかし、第1〜第3の実施の形態に係る単位セル1〜3の場合には、できるだけ少ない電流で、必要な電位差を発生させるものであるので、光は必ずしも必要ではなく、光が照射される場合でも光の強度は弱くてもよい。発生した電位差によって、燃料極11及び酸素極13それぞれにおける反応を促進させることが可能であり、それぞれの電極における触媒効果を著しく向上させることができる。このように、燃料極11における酸化反応、酸素極13における還元反応が著しく活性化される。その結果、燃料極11では(1)式の反応が促進され、酸素極13では(2)式の反応が促進される。
そのために、単位セル1の発生電力を一定とした場合には、触媒の必要量を減らすことができるので、電極を小型化することが可能であり、燃料電池の低コスト化及び小型化を図ることができる。一方、燃料電池のサイズを一定とした場合には、単位面積当たりの発生電流の増加、すなわち燃料電池の大電力化を図ることができる。
さらに、燃料流体中に少量のCOガスが存在したとしても、燃料極11における酸化アクティビティが高いために、COガスが容易にCOに酸化される。そのために、触媒として白金を用いた場合、白金とCOガスとの反応、すなわち白金のCO被毒が防止され、白金の優れた触媒効果を長期間持続させることができる。
以上、単位セル1を対象に、基本的な構成と動作機構を説明した。単位セル2及び3の場合にも、基本的な動作機構はほぼ同じであるので説明を省略する。 第1と第2の実施の形態に係る単位セル1、2の場合、電解質溶液は、多孔質の中間層12、22の空孔19、29内に、毛細管現象による毛管力、すなわち、下記(3)式の静力学の法則に従って表される毛管圧P以上になる条件に設定することによって保持される。
=2δ/r・cosθ≒2δ/r (3)
ここで、P:毛管圧(単位:N/m)、r:空孔の半径(単位:m)、δ:電解質溶液の表面張力(単位:N/m)、θ:濡れ角(単位:°)である。したがって、中間層12の空孔の半径は、空孔内に保持される電解質溶液の表面張力δ、半導体材料に対する電解質溶液の濡れ角θに応じて設定されることが好ましい。
前述のように、第1〜第3の実施の形態に係る単位セル1〜3では、燃料流体にメタノールを用いる場合には、燃料極における燃料流体供給面側のミクロンオーダーの空孔と酸素極における酸化性流体供給面側のミクロンオーダーの空孔との間に、ナノオーダーの空孔が存在することが好ましいことを説明した。ミクロンオーダーの空孔は、電極部の比表面積を大きくするとともに、その内部に燃料流体又は酸化性流体が侵入可能なようにその径が設定されている。また、ナノオーダーの空孔は、第1と第2の実施の形態の場合には、電解質溶液を保持する機能及びメタノールクロスオーバーを抑制する機能、第3の実施の形態の場合には、主としてメタノールクロスオーバーを抑制する機能を有するように設定されている。燃料電池としての機能を損なうことなく、メタノールクロスオーバーを抑制することができる理由は次のとおりである。
図5は、ミクロンオーダーの空孔及びナノオーダーの空孔で構成された領域を模式的に示す部分拡大断面図である。なお、図5には、第1の実施の形態に係る単位セル1における燃料極11の例を示した。
図5に示した燃料極11の場合には、燃料極11のp型半導体層部には、壁16aによって仕切られて形成された空孔15aがあり、空孔15aの内面に、パラジウム(Pa)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)などの金属で導電性金属層18が形成されている。なお、この金属層の上に形成される金属系触媒層は図示されていない。この導電性金属層には、シリコンなどの燃料極11の導電性を向上させる効果とともに、メタノールクロスオーバーを防止する効果がある。
燃料極11から酸素極13(図1B参照)へは、水素イオンが移動しなければならない。上記の金属の場合、水素イオンが金属層を拡散するので、空孔15aの内壁面に導電性金属層18が被覆されていても、水素イオンの移動は妨げられない。すなわち、導電性金属層18の表面に到達した水素イオンは、金属面に吸着され、金属層から電子を受け取り、水素原子の形態で導電性金属層18内を拡散する。拡散により水素原子は導電性金属層18のもう一方の面、すなわち壁16a側又は中間層12に到達する。そこで、電子を放出し、導電性金属層18から離脱して水素イオンとして、燃料極11のp型半導体層内又は中間層12内へ移動する。したがって、導電性金属層18が存在しても、水素イオンが燃料極11から酸素極13へ移動することが妨げられることがない。
一方、メタノールは、導電性金属層18を通り抜けることができない。したがって、メタノールが燃料極11から酸素極13へ移動することがなく、単位セル1におけるメタノールクロスオーバーはほぼ完全に防止される。なお、導電性金属は、図5に示したように、燃料極11の空孔15aの底部に開口している、中間層12におけるナノオーダーの空孔19のうち、空孔15aの底部に隣接する領域Aの空孔部に満たされる。そのため、メタノールクロスオーバーをより効果的に防止することができる。
上記第1〜第3の実施の形態に係る単位セル1〜3の好ましい製造方法は次のとおりである。単位セル1〜3の主要部を構成する多孔質の燃料極、酸素極及び中間層の形成方法には、大別して2つの方法がある。第1の方法は、図4Aに示した所定の形状の空孔を所定のパターンで形成する方法である。第2の方法は、図4Bに示した不定形の空孔をランダムに分布したパターンで形成する方法である。後者の第2の方法としては、CVD法による板状体の形成、板状半導体材料のフッ化ナトリウムなどを用いた化学的エッチング、フッ化水素(HF)溶液などを用いる陽極エッチングなどの方法によって製造することができる。ただし、多孔質部の形成方法としては、以下に説明する第1の方法が適している。
図6及び図7は、上記第1の方法により所定のパターンを有する多孔質部を形成する方法を説明する図である。図6は、多孔質部を形成する基板にプレエッチングを施す過程における基板の断面構造を示す図、図7は、プレエッチング後の基板に、陽極エッチング法によりさらにエッチングを施す方法を示す模式的断面図である。なお、以下においては、基板がシリコンの例を説明する。
パターン化された空孔を有する多孔質シリコンを形成する場合には、はじめに、イオン注入法などの方法により、p型半導体又はn型半導体のシリコン基板41を形成する。次に、半導体装置の製造等で通常採用されているフォトリソグラフィ法によって、シリコン基板41の1面側に、パターニングされたマスク42を形成する。さらに、パターンニングされたマスクを付けた状態で、水酸化カリウム(KOH)溶液を用いた異方性エッチングにより、シリコン基板41のプレパターニングを行う。このプレパターニングにより、シリコン基板41に凹部43が形成される。その後、マスク42を除去する。
次に、図7に示した陽極エッチング法により、プレパターニングされた部分をさらにエッチングすることにより、深さが深い空孔を形成する。図7に示した装置では、容器45内にフッ化水素(HF)などの電解質溶液が入っており、その中に白金電極46が浸漬され、白金電極46に対面して、容器45の側壁の開口部に、シリコン基板41が水密にセットされている。さらに、白金電極46が電源Eのマイナス側に、シリコン基板41が電源Eのプラス側に接続されている。なお、シリコン基板41がn型半導体の場合には、光を用いる光化学HF陽極エッチング、シリコン基板41がp型半導体の場合には、光を照射しないHF陽極エッチングを行う。
図7に示したHF陽極エッチングにより、シリコン基板41に、例えば、図1Bに示したパターン化された空孔15a、15bが形成される。空孔の径は、ウエハの電気抵抗、光電流、HF溶液の濃度などのエッチング条件に依存するので、目標に径に応じて、エッチング条件を選択することが好ましい。また、空孔の深さは、エッチング時間に依存する。
所定の深さまでエッチングした後、例えば、図1Bに示した空孔15a(例えば、径がミクロンオーダー)の底部に、さらに中間層12に径が小さい空孔19(例えば、ナノオーダー)を形成するためには、電解質溶液(HF)の濃度を高くするとともに、電流を増加させて陽極エッチングを行えばよい。
また、燃料極及び酸素極の空孔の径と中間層の空孔の径をほぼ同じにする場合には、電解質溶液の濃度、電流などが一定の条件で、酸素極及び中間層の陽極エッチングを行えばよい。
上記の方法は、シリコン基板の一方の面から空孔を形成する方法であるが、例えば、一方側の面からミクロンオーダーの径が大きい空孔を形成し、もう一方側の面から、ナノオーダーの径が小さい空孔を形成するようにしてもよい。この方法は、実施の形態2に係る単位セル2の燃料極21、酸素極23及び実施の形態3に係る単位セル3の燃料極31、酸素極33の空孔を形成する場合に、特に好適である。
シリコン基板は、予めイオン注入されn型又はp型の半導体となっているが、燃料極又は酸素極の導電性を向上させ、抵抗損を抑制するために、エッチング後再ドーピングを行うことが好ましい。例えば、n型半導体で構成された酸素極にリン(P)、p型半導体で構成された燃料極にボロン(B)の再ドーピングを行う。このドーピングには、イオン注入、CVD、熱拡散などの方法を用いることができる。図示しないが、リンをドープする場合には、例えば、リン酸(HPO)のアルコール溶液を空孔に導入し、ボロンをドープする場合には、ホウ酸(HBO)のアルコール溶液を空孔に導入し、1200℃で4時間程度加熱することによって、空孔内面にP又はBをドープすることができる。
燃料極、酸素極及び中間層の多孔質部の形成と単位セルの形成との関係は、次のとおりである。
第1の実施の形態に係る単位セル1の場合には、燃料極11、中間層12、酸素極13を別個に作製し、図1Aに示したように、燃料極11と酸素極13との間に中間層12を挟んで接合することによって作製することができる。また、1枚のシリコン基板を用いて、燃料極11側の面に空孔15a、酸素極13側の面に空孔15b、中間に空孔19を形成することによって、一体的に形成してもよい。
第2の実施の形態に係る単位セル2の場合には、燃料極21、酸素極23を別個に作製し、図2Aに示したように接合することによって作製することができる。なお、空孔29は、燃料極21及び酸素極23のいずれか一方に形成してもよい。また、1枚のシリコン基板を用いて、燃料極21側に空孔25a及び29、酸素極23側に空孔25b及び29を形成することによって、一体的に構成してもよい。ただし、この場合には、空孔29は、燃料極21及び酸素極23のいずれか一方に形成すればよい。
第3の実施の形態に係る単位セル3の場合には、燃料極31、酸素極33を別個に作製し、図3Aに示したように、封止板34a、34bを用いて、燃料極31と酸素極33との間にギャップが形成されるように、単位セル3を組み立てればよい。
上記の方法で作製された単位セル1〜3に電解質溶液を保持させる方法は次のとおりである。単位セル1及び2の場合には、ナノオーダーの多孔質部に電解質溶液を保持させることが必要である。電解質溶液が、HSO、HPO、トリフリック酸などの溶液の場合には、槽内の電解質溶液に、12時間程度、組み立てられた単位セル1、2を浸漬すればよい。電解質としては、固体電解質ポリマーを用いることができるが、この場合には、ナフィオン溶液に、組み立てられた単位セル1、2を浸漬すればよい。
図8及び図9は、燃料流体及び酸化性流体の供給手段の例を示す模式的斜視図である。なお、図8及び図9には、単位セル1の例を示した。
図8に示した燃料流体供給部51及び酸化性流体供給部52は、いずれもチャネル構造であり、チャネル部はプレート53a、53bによって気密又は液密に封止されている。このチャネル部は、例えば、フォトリソグラフィ法によるパターニング及びKOH溶液を用いる、燃料極11の燃料流体供給面側、酸素極13の酸化性流体供給面側の異方性エッチングを行うことによって形成することができる。
図9に示した燃料流体供給部54及び酸化性流体供給部55は、多孔質体で構成されており、多孔質体の空孔部に燃料流体又は酸化性流体が保持される。燃料流体が水素ガスの場合には、燃料流体供給部54に水素吸蔵合金などを用いることができる。
図8、図9には、燃料流体供給部及び酸化性流体供給部が同じ構成の場合を示したが、燃料流体供給部がチャネル構造、酸化性流体供給部が多孔質体、又はその逆であってもよい。燃料流体供給部及び酸化性流体供給部は、単位セル1の用途、機能等に応じて適宜選択することが好ましい。
図10A〜10Cは、実施の形態に係る単位セルアレイを模式的に示す図であり、図10Aは単位セルが並列に接続された単位セルアレイ4Aを示す断面図、図10Bは単位セルが直列に接続された単位セルアレイ4Bを示す断面図、図10Cは単位セルが縦、横に接続された単位セルアレイ4Cを示す斜視図である。なお、以下の説明では、単位セルアレイ4A〜4Cを合わせて、単位セルアレイ4と表記する。また、図10A〜10Cには、単位セル1を用いる例を示した。
図10Aは、複数の単位セル1が平面的に配列されるとともに、電気的に並列に接続された単位セルアレイ4Aを示す断面図である。電流は、単位セル1の面積が広いほど大きい。発生させる電流を大きくする必要がある場合には、単位セル1の面積を広くすることが1つの方法である。機械的強度などの観点から、単位セル1の面積を拡張することが難しい場合には、図10Aに示したように、単位セル1を並列に接続することが好ましい。すなわち、外部回路61、62によって、それぞれの単位セル1の燃料極11同士、酸素極13同士を接続すればよい。
図10Bは、複数の単位セル1が平面的に配列されるとともに、電気的に直列に接続された単位セルアレイ4Bを示す断面図である。単位セル1の起電力は、燃料及び酸素に依存する。例えば、水素を用いる水素燃料セルの場合には、理想的な出力電圧は約1.229Vである。しかし、電極において不可逆的に生じるオーバーポテンシャルにより、水素燃料セルの実際の出力電圧は、約0.6〜0.85V程度になる。本実施の形態に係るpin又はpn半導体構造を用いることによって、オーバーポテンシャルを大幅に減少させることができる。
この電圧を高くする必要がある場合には、図10Bに示したように、それぞれの単位セル1を直列に接続することが好ましい。すなわち、外部回路63によって、燃料極11と酸素極13とを接続すればよい。
図10Cは、複数の単位セル1が平面的に配列されるとともに、縦、横に電気的に接続された単位セルアレイ4Cを示す斜視図である。電圧を高くし、電流を大きくする必要がある場合には、図10Cに示したように、単位セル1を縦、横に並べ、例えば、行側を図10Aに示したように並列、列側を図10Bに示したように直列に接続することが好ましい。面積の広い単位セル1を用いることができる場合には、行側の並列に接続された単位セルの代わりに、面積の広い単位セルを利用することができる。
図11は、別の実施の形態に係る単位セルアレイの構成を模式的に示す断面図である。なお、図11には、単位セル1を用いる例を示した。別の実施の形態に係る単位セルアレイ5は、複数の単位セル1が直列に接続されるように積層されたスタック型のアレイである。また、それぞれの単位セルアレイ1間には、図11に示したように、フローフィールドプレート71、72及び光ファイバ73が挿入されている。
フローフィールドプレート71、72は薄いシート状で、ガスなどの流体を通すための溝又は細管(図示省略)が形成されている。フローフィールドプレート71は、酸素極13に、例えば空気などの酸化性ガスを供給し、フローフィールドプレート72は、燃料極11に、例えばメタノールなどの燃料流体を供給するとともに、余剰の燃料、生成した水などを排出するようになっている。また、フローフィールドプレート71と72との間には、複数本の光ファイバ73が挿入されており、燃料極11面又は酸素極13面を介して、中間層12に光を導くことができるようになっている。なお、光ファイバは、フローフィールドプレート71と72との間に位置する部分の被覆が除去され、光が中間層12に到達するようになっている。
さらに、積層された単位セル1同士の間は、燃料極11と酸素極13とが電気的に接続されている。この電気的な接続は、フローフィールドプレート71、72が導電性材料で形成されている場合には、光ファイバ73が位置する部分を除く領域で、フローフィールドプレート71と73とを直接接触させることによって確保することができる。フローフィールドプレート71、73が非導電性の材料で形成されている場合には、導体によって燃料極11と酸素極13とを電気的に接続する。
上記のように構成された単位セルアレイ5によって、単位セル1が積層されたスタック型のアレイを実現することが可能であり、スタック型の単位セルアレイ5では、単位セル1の積層数に応じた電圧を発生させることができる。
図12Aは、実施の形態に係る燃料電池モジュールを模式的に示す断面図である。なお、図12Aには、単位セルアレイ4Aを用いる例を示した。図12Aに示した燃料電池モジュール6Aは、単位セルアレイ4A、燃料流体供給部82及び酸化性流体供給部83を備えている。燃料流体供給部82と酸化性流体供給部83とは、単位セルアレイ4Aで仕切られている。図12Aに示した仕切部材84は、必要に応じて設けられるものである。
単位セルアレイ4Aは、後に説明するように、所定の電圧と電流を取り出すことができるように構成されており、燃料極側が燃料流体供給部82に面している。また、単位セルアレイ4Aは、支持部材85によって燃料流体供給部82と酸化性流体供給部83との間に支持されており、燃料流体及び酸化性流体が単位セルアレイ4A部を透過しないようになっている。
燃料流体供給部82には、燃料流体導入口82aから燃料流体が導入され、流体排出口82bから余剰の流体が排出されるようになっている。また、燃料流体供給部82の壁部のうち、単位セルアレイ4A対面する壁部は光透過窓82cとなっており、ガラス質などの光透過性材料で構成されている。
酸化性流体供給部83には、酸化性流体導入口83aから酸化性流体が導入され、流体・水排出口83bから余剰の酸化性流体及び水が排出されるようになっている。
上記のように構成された燃料電池モジュール6Aに、燃料流体供給部82の燃料流体導入口82aから、例えばメタノールなどの燃料流体が導入され、酸化性流体供給部83の酸化性流体導入口83aから、例えば酸素ガスなどの酸化性ガスが導入されると、光透過窓82cを介して単位セルアレイ4A(図10A参照)の中間層12に照射された光によって、燃料極11及び酸素極13における反応が活性化され、燃料極11では前述の(1)式、酸素極13では前述の(2)式の反応が活発に進行する。それによって、単位セルアレイ4Aから電力が発生し、燃料極11及び酸素極13に集電層として設けられたコレクタ(図示省略)を介して、燃料電池モジュール6Aの外部に電力として取り出される。
図12Bは、別の実施の形態に係る燃料電池モジュール6Bを模式的に示す断面図である。図12Bに示した燃料電池モジュール6Bは、特に携帯型の機器の電源として好適な燃料電池モジュールであり、単位セルアレイ4A、燃料流体供給部85及び酸化性流体供給部86を備えている。燃料流体供給部85と酸化性流体供給部86とは、単位セルアレイ4Aで仕切られている。なお、図12Bに示した流体透過性の仕切部材89は、必要に応じて設けられるものである。
燃料電池モジュール6Bは、燃料流体供給部85における流体供給源が、水素吸蔵合金85aで構成されており、燃料流体として、例えば水素ガスが水素吸蔵合金85aから、単位セルアレイ4Aに対して供給される。この水素吸蔵合金85aの水素の吸収及び放出は、例えば、ペルチェ素子を組み合わせて、加熱・冷却を行うことによって制御することができる(例えば、特開平6−265238号公報参照)。また、単位セルアレイ4Aは、図面上、単位セルアレイ4Aの下に配置された扁平なブロック状の水素吸蔵合金85aによって支持されている。
酸化性流体供給部86は、図面上、単位セルアレイ4Aの上側に位置しており、酸化性流体供給部86には、酸化性流体導入口86aから、例えば空気が導入され、排出口86bから窒素ガス、余剰の酸素ガス及び水又は水蒸気が排出されるようになっている。また、燃料電池モジュール6Bの場合、酸化性流体供給部86の上部壁、すなわち、単位セルアレイ4Aの酸素極側に対面する壁部が光透過窓86cとなっており、ガラス質などの光透過性材料で構成され、単位セルの酸素極(カソード)が光透過性となっている。
上記のように構成された燃料電池モジュール6Bに、燃料流体供給部85の水素吸蔵合金85aから、燃料ガスとしての水素ガスが供給され、酸化性流体供給部86の酸化性流体導入口86aから、例えば空気が導入されると、光透過窓86cを介して単位セルアレイ4Aの中間層に照射された光によって、燃料極及び酸素極における反応が活性化され、燃料極では前述の(1)式、酸素極では前述の(2)式の反応が活発に進行する。それによって、単位セルアレイ4Aから電力が発生し、燃料極及び酸素極に設けられたコレクタ(図示省略)を介して、燃料電池モジュール6Bの外部に電力として取り出される。
図13は、実施の形態に係る燃料電池システム7の構成を示すブロック図である。燃料電池システム7は、複数の燃料電池モジュール6A(図13には、燃料電池モジュール6Aの例を示したが、燃料電池モジュール6Bであってもよい)が一体的に組み合わされ、それぞれの燃料電池モジュール6Aが電気的に接続された燃料電池91、燃料電池91に電気的に接続されたDC−DCコンバータ92、DC−DCコンバータ92の出力側に接続されたDC−ACコンバータ93及び出力部94とを備えている。なお、DC−ACコンバータ93は、必要に応じて組み込まれるものであり、電源として交流を必要としない場合には、DC−DCコンバータ92と出力部94とが直接接続される。
燃料電池91は、複数の燃料電池モジュール6Aで構成されており、所定の電圧及び電流の電力がDC−DCコンバータ92に出力される。
DC−DCコンバータ92では、燃料電池91から送られた電力が、外部負荷機器(図示省略)で必要とされる電圧に昇圧される。この場合、電圧の上昇に応じて電流は小さくなるので、外部負荷機器で必要とされる電流を確保することができるように、燃料電池91の出力、すなわち、燃料電池モジュール6Aの構成を設定する必要がある。
外部負荷機器が交流を必要とする場合には、DC−DCコンバータ92で昇圧された電力が、DC−ACコンバータ93で交流に変換され、燃料電池システム7から出力部94を介して交流電力として出力される。前述のように、直流として利用される場合には、DC−DCコンバータ92から、燃料電池システム7の出力として、出力部94を介して直流電力が出力される。
図11に示したように、例えば単位セル1の出力電圧は、単位セル1を積層することによって上昇させることができる。しかし、単位セル1を積層した構造が採用しにくい場合には、実施の形態に係る燃料電池システム7のように、DC−DCコンバータ92を利用することにより、出力電圧を容易に上昇させることができる。

Claims (16)

  1. p型半導体で構成された燃料極と、n型半導体で構成された酸素極と、前記燃料極と前記酸素極との間に介在し、真性半導体で構成された中間層とを備えたPIN構造を有する燃料電池単位セルであって、
    前記燃料極が多孔質で燃料流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、
    前記酸素極が多孔質で酸化性流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、
    前記中間層が、多孔質で電解質溶液を保持可能であり、前記燃料極で生成した水素イオンを透過させ、電子を通さない性質を有し、
    前記燃料極の表面に水素を含む燃料流体が供給され、前記酸素極の表面に酸素を含む酸化性流体が供給されるように構成され、
    前記燃料極と前記酸素極のそれぞれに電気的に接続された接続端子を備えている燃料電池単位セル。
  2. p型半導体で構成された燃料極と、n型半導体で構成された酸素極と、前記燃料極と前記酸素極との間に介在する中間層とを備えたp−n構造を有する燃料電池単位セルであって、
    前記燃料極が多孔質で燃料流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、
    前記酸素極が多孔質で酸化性流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、
    前記中間層が、前記燃料極及び前記酸素極のうちの少なくとも一方側に形成され、多孔質で電解質溶液を保持可能であり、前記燃料極で生成した水素イオンを透過させ、電子を通さない性質を有し、
    前記燃料極と前記酸素極とが前記中間層が形成された面で接合されており、
    前記燃料極の表面に水素を含む燃料流体が供給され、前記酸素極の表面に酸素を含む酸化性流体が供給されるように構成され、
    前記燃料極と前記酸素極のそれぞれに電気的に接続された接続端子を備えている燃料電池単位セル。
  3. 燃料流体供給面側がp型半導体層、他方の面がn型半導体層で構成されたpn接合領域を有する燃料極と、酸化性流体供給面側がn型半導体層、他方の面がp型半導体層で構成されたpn接合領域を有する酸素極と、前記燃料極の前記n型半導体層と前記酸素極のp型半導体層との間に介在する中間層としての電解質層とを備えたpn−pn構造を有する燃料電池単位セルであって、
    前記燃料極は多孔質であり、前記燃料極における前記p型半導体層は前記n型半導体層に比べて厚さが厚く燃料流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、前記n型半導体層は燃料流体非透過性であり、
    前記酸素極は多孔質であり、前記酸素極における前記n型半導体層は前記p型半導体層に比べて厚さが厚く酸化性流体透過性であり、多孔質部の空孔内面に金属系触媒層が形成され、
    前記中間層が、電解質溶液を含み、前記燃料極で生成した水素イオンを透過させる性質を有し、
    前記燃料極の表面に水素を含む燃料流体が供給され、前記酸素極の表面に酸素を含む酸化性流体が供給されるように構成され、
    前記燃料極と前記酸素極のそれぞれに電気的に接続された接続端子を備えている燃料電池単位セル。
  4. 前記燃料極及び前記酸素極のうちの少なくとも一方が光透過性である請求の範囲1〜3のいずれかに記載の燃料電池単位セル。
  5. 前記中間層の前記電解質に、光が照射されるように構成されている請求の範囲1〜3のいずれかに記載の燃料電池単位セル。
  6. 前記燃料極及び前記酸素極のうちの少なくとも一方における前記空孔の内面と前記触媒層との間に、金属系導電性層を備えている請求の範囲1〜3のいずれかに記載の燃料電池単位セル。
  7. 前記燃料流体が、メタノール又は水素ガスである請求の範囲1〜3のいずれかに記載の燃料電池単位セル。
  8. 前記燃料極における燃料流体透過性を有する多孔質部の空孔の径及び前記酸素極における酸化性流体透過性を有する多孔質部の空孔の径が1μm以上、1mm未満であり、前記中間層の多孔質部の空孔の径が1nm以上、1μm未満である請求の範囲1又は2に記載の燃料電池単位セル。
  9. 前記燃料極におけるp型半導体層部の空孔の径及び前記酸素極におけるn型半導体層部の空孔の径が1μm以上、1mm未満であり、前記燃料極におけるn型半導体層部の空孔の径及び前記酸素極におけるp型半導体層部の空孔の径が1nm以上、1μm未満である請求の範囲3に記載の燃料電池単位セル。
  10. 前記燃料極及び前記酸素極を構成する半導体材料が、シリコン、ゲルマニウム及び酸化チタンを含む酸化物半導体のうちのいずれかであることを特徴とする請求の範囲1〜3のいずれかに記載の燃料電池単位セル。
  11. 前記金属系触媒層を構成する金属系触媒が、白金、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びこれらの少なくとも2つを含む合金のうちの1つ、又はチタン酸化物であることを特徴とする請求の範囲1〜3のいずれかに記載の燃料電池単位セル。
  12. 前記電解質溶液が酸性であることを特徴とする請求の範囲1〜3のいずれかに記載の燃料電池単位セル。
  13. 請求の範囲1〜3のいずれかに記載された複数の前記燃料電池単位セルが平面的に配列されるとともに、電気的に並列及び/又は直列に接続され、複数の前記燃料電池単位セルの発生電力が集電されて出力されるように構成されていることを特徴とする燃料電池単位セルアレイ。
  14. 請求の範囲1〜3のいずれかに記載された複数の前記燃料電池単位セルが、前記燃料供給手段、前記酸化性流体供給手段及び光導入手段を介して積層されるとともに、電気的に直列に接続され、複数の前記燃料電池単位セルの発生電圧が加算されて出力されるように構成されていることを特徴とする燃料電池単位セルアレイ。
  15. 請求の範囲13に記載された燃料電池単位セルアレイと、燃料供給部と、酸化性流体供給部とを備えた燃料電池モジュールであって、
    前記燃料供給部と前記酸化性流体供給部との間に前記燃料電池単位セルアレイが配置され、前記燃料供給部と前記酸化性流体供給部との間が、流体が透過しないように構成され、
    前記燃料電池単位セルアレイの燃料極が前記燃料供給部に面し、前記燃料電池単位セルアレイの酸素極が前記酸化性流体供給部に面し、
    前記燃料供給部が、燃料導入部及び流体排出部を備え、前記酸化性流体供給部が、酸化性流体導入部及び流体・水排出部を備え、
    前記燃料供給部を囲む壁部のうち前記燃料極に対面する壁部及び/又は前記酸化性流体供給部を囲む壁部のうち前記酸素極に対面する壁部が、光透過性材料で構成され、
    前記燃料電池単位セルアレイで発生し集電された電力を出力する出力手段を備えていることを特徴とする燃料電池モジュール。
  16. 請求の範囲15に記載された複数の前記燃料電池モジュールが一体的に組み合わされ、それぞれの前記燃料電池モジュールの前記出力手段からの出力が集電されるように接続され、集電された電力を出力する燃料電池出力部を備え、該燃料電池出力部に電気的に接続されたDC−DCコンバータを備えていることを特徴とする燃料電池システム。
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