JP4199580B2 - 酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩および造塩染料 - Google Patents
酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩および造塩染料 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩、造塩染料、およびアルコール系インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紙のような被記録材に記録を行うための、筆記用具用およびインクジェット記録用インキとして、種々の染料または顔料を液媒体やバインダーに溶解または分散させた組成物が利用されている。この中で、有機顔料分散型インキは、耐光性のような堅牢性に優れるという利点を有する。しかしながら、この種の顔料分散型インキにおいては、顔料が経時的に沈降して凝集しやすいため、製造工程において、分散安定剤(分散安定樹脂や界面活性剤)の添加や分散加工のような煩雑な変質防止処理が必要となり、製造コストが上昇する。
【0003】
一方、染料を溶解した油性インキや水性インキの製造工程では、厄介な分散加工処理を必要としないため、染料溶解型インキは顔料分散型インキより簡便に製造できる。しかしながら、染料溶解型の油性インキには溶剤毒性の問題があり、染料溶解型の水性インキには乾燥が遅く汎用性に欠けるとういう問題がある。従って、近年ではアルコールのような親水性有機溶剤に対する溶解性に優れた染料が求められている。このような要求を満足する染料としては、例えば、塩基性染料と酸性染料の造塩体、塩基性染料を脂肪酸で処理したもの、スルホン基等の水溶性基を有する含金属アゾ錯塩染料、酸性染料を有機アミンで処理したもの等、種々のアルコール可溶性染料が知られている。
【0004】
しかしながら、従来のアルコール可溶性染料(例えば、C.I.Acid Red 73、C.I.Acid Red 180、C.I.Direct Blue 87等のアミン塩染料、ローダミン、ビクトリアブルー、メチルバイオレット等の塩基性染料を用いた造塩染料)を用いた油性インキは、温度や湿度のような環境条件が変化した場合の経時溶解安定性に劣り、インキの増粘や染料の析出などが起こりやすい、たとえば、ボールペン用インキとして用いたとき、目詰まりや吐出不良をおこす原因となる。また、含金属アゾ錯塩染料(主にクロム含金)は環境安全性が問題視されている。
【0005】
また、酸性染料を有機アミンで処理したアルコール可溶性造塩体の場合、良好なアルコール溶解性を得るためには、長鎖のアルキル基(例えば、炭素原子3乃至24)を有する有機アミンが望ましい。このような造塩染料は一般に、水系溶媒中で酸性染料と有機アミンとを反応する造塩することによって造塩染料を得る工程で製造される。しかし、長鎖の置換基を持った有機アミンを用いる場合、できた造塩染料がゲル状となり易く、造塩化後の取り出しが困難である問題が発生する。
【0006】
カラー液晶表示、VTR用カメラ等に用いられる固体撮像素子等の材料において、カラー画像を記録・再現するためにカラーフィルターが使用されている。作製する方法としては、染色法、電着法、印刷法および顔料分散法が挙げられるが、これらの中でディスプレイの色彩性を重視した場合は、色材として染料を用いる染色法が一般的に有利とされている。染色法によるカラーフィルターの特徴は、染料の種類が豊富であり、かつ複数の染料を組み合わせることにより、種々の分光特性が得られことにある。この染色法によるカラーフィルターの製造法としては、通常、三原色からなる複数の染色層を積層して構成される多層型のものが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題点を解決するものであり、その目的とするところは、アルコールやグリコールのようなアルコール系有機溶剤に対する溶解性に優れ、かつ、経時安定性に優れたインキ組成物を提供できる酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式
【0009】
【化2】
【0010】
[式中、R1乃至R3は同じであっても、異なっても良く、置換基を有すまたは有さない炭素数1乃至18のアルキル基を示し、R4はH、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基を示し、Xはハロゲン原子を示す。]
で示される構造を有する酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】
即ち、上記四級アンモニウム塩をカチオン成分とし、酸性染料に由来するアニオンをアニオン成分として、カチオン成分とアニオン成分とを造塩反応して造塩染料が得られる。この造塩染料は、水系溶媒中での造塩化反応時にゲル化せず、取り出しが容易であり、また、アルコール系有機溶媒中で良好な溶解性、および優れた経時溶解安定性を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩は、アルキル基を有するアミンとハロゲン化メチルナフタレンを熱縮合反応することにより得られる。反応式を以下に示す。
【0013】
【化3】
【0014】
式中、R1乃至R3は同じであっても、異なっても良く、置換基を有すまたは有さない(直鎖または分岐鎖である)炭素数1乃至18のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、tert−オクチル基等)を示し、好ましくはメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基である。
【0015】
これらを有するアミンは入手しやすく、ナフタレンメタナミン類四級アンモニウム塩を合成しやすいからである。また酸性染料と造塩させて良好な溶解性が得られるからである。
【0016】
R4はH、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、tert−オクチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基)、ハロゲン(例えば、Cl、Br、I、F等)、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基を示す。
【0017】
通常、Xはハロゲン原子である。ハロゲン原子はアルキル基から良好に脱離し、アンモニウムの対イオンとして機能するからである。しかしながら、かかる機能を奏する原子又は原子団であれば、ハロゲン原子以外であってもXに含めてよい。好ましいXは塩素原子である。
【0018】
この熱縮合反応の方法は、公知の通常行われる方法であればよい。例えば、反応物を溶解する溶媒にアミンとハロゲン化メチルナフタレンを溶解し、所定の温度で所定の時間撹拌加熱する。その後、溶媒を留去し、結晶を発生させる。結晶が不溶もしくは難溶な溶媒を使用して得られた結晶を洗浄し、乾燥させれば、ナフタレンメタナミン類四級アンモニウム塩が結晶として得られる。溶媒留去時に結晶が発生しないナフタレンメタナミン類四級アンモニウム塩については、結晶処理を行う。
【0019】
上記四級アンモニウム塩をカチオン成分とし、酸性染料に由来するアニオンをアニオン成分として、カチオン成分とアニオン成分とを造塩反応して、本発明の造塩染料が得られる。
【0020】
そのために好適に用いうる酸性染料としては、一般にいう酸性染料や直接染料などを包含する。好ましくは、スルホン基又はカルボキシル基を有する酸性染料である。より好ましくはスルホン基のみを含有する酸性染料である。例えば、アントラキノン系酸性染料、モノアゾ系酸性染料、ジスアゾ系酸性染料、オキサジン系酸性染料、アミノケトン系酸性染料、キサンテン系酸性染料、キノリン系酸性染料、トリフェニルメタン系酸性染料が上げられる。
【0021】
これらの中でも、アルコール系有機溶剤に優れた溶解性を示し、且つ上記記載の四級アンモニウムイオンとの造塩反応時にゲル化せずに簡易に取り出しが行える本発明の造塩染料を得る為には、以下に例示する酸性染料が好ましい。
【0022】
1.アントラキノン系酸性染料
C.I.Acid Red 80、81、82、83、143、356等;
C.I.Acid Violet 29、31、33、34、36、39、41、42、43、47、51、63、76、103、109等;
C.I.Acid Blue 2、8、14、23、25、27、35、37、40、41、41:1、43、45、46、47、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、62、62:1、63、64、65、68、69、78、79、80、81、96、111、124、127、127:1、129、137、138、143、145、150、175、176、198、203、204、205、208、227、230、231、232、233、235、239、245、247、253、257、258、260、261、264、266、271、272、273、274、277、278、280等;
C.I.Acid Green 10、17、25、25:1、27、36、37、38、40、41、42、44、54、59、69、71、81、84、95等;
C.I.Acid Brown 25、26、27、36等;
C.I.Acid Black 46、48、48:1、50、97等;
C.I.Direct Green 30等。
【0023】
2.アゾ系酸性染料
モノアゾ系酸性染料として、
C.I.Acid Yellow 4、6、8、9、9:1、10、11、11:1、12、13、14、15、16、17、17:1、18、20、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、36、39、40、40:1、41、43、46、48、53、55、60、63、65、66、69、72、76、94、122、127、131、136、143、144、145、146、149、153、168、169,172、174、178、180、189、190、192、199等;
C.I.Acid Orange 1、1:1、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、20:1、22、23、27、28、28:1、30、31、35、36、41、50、102、106、117、119、131、134、136等;
C.I.Acid Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、25:1、26、26:1、26:2、27、29、30、31、32、33、34、35、36、37、39、40、41、42、43、44、45、53、54、55、57、59、60、62、64、68、74、76、76:1、88、102、106、107、108、110、113、120、127、131、133、135、137、138、141、155、157、160、161、172、175、176、177、181、229、231、237、239、240、242、249、252、253、257、263、264、266、267、274、276、280、309、311、324、325、326、334、335、336、337、340、343、344、347、
348、353、354等;
C.I.Acid Violet 1、2、3、5、5:1、6、7、7:1、11、12、13、14、20、27、67、96、97等;
C.I.Acid Blue 4、6、21、70、89、92、95、117、135、155、159、169、174、183等;
C.I.Acid Green 2、55、66、70等;
C.I.Acid Brown 2、3、4、6、7、8、9、12、16、20、23、35、38、51、71、87、88、89、90、91、102、203、324、340、345等;
C.I.Acid Black 22、31、34、128、173等;
C.I.Direct Yellow 127、129等;
C.I.Direct Orange 17、75、76、84、104、114等;
C.I.Direct Red 3、20、47、48、51、64、65、66、69、70、113、118、118:1、119、123、126、131、142、144、145、147、151、168、191、193、215、216等;
C.I.Direct Violet 8、10、97等;
C.I.Direct Green 24、78、80等;
C.I.Direct Brown 30、53、55、191等。
【0024】
ジアゾ系酸性染料として、
C.I.Acid Yellow 38、42、42:1、44、51、56、67、68、82、83、84、86、87、90、105、115、117、132、141、142、159、166、175、183、187、188、191等;
C.I.Acid Orange 4、24、24:1、25、33、37、38、45、49、51、54、55、56、59、79、83、94、95、116、128、132、138等;
C.I.Acid Red 47、56、65、66、67、70、71、73、85、86、89、97、99、104、111、114、115、116、123、125、128、132、134、142、144、148、150、151、152、154、158、163、164、167、170、171、173、241、255、260、286、299、323、333、350、351等;
C.I.Acid Violet 4、30、102等;
C.I.Acid Blue 29、44、73、85、113、114、116、118、120、128、262等;
C.I.Acid Green 19、20、34、94等;
C.I.Acid Brown 5、14、15、17、24、32、41、43、55、62、63、65、70、73、74、77、79、80、125、152、153、154、155、156、157、158、197、198、199、200、202、204、205、206、208、209、213、215、229、247、288、318、319、323、326、327、341等;
C.I.Acid Black 1、3、5、5:1、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16、16:1、17、18、20、21、23、24、26、26:1、26:2、26:3、26:4、27、28、30、32、35、36、37、41、166等;
C.I.Direct Yellow 1、2、4、12、13、15、20、24、25、26、32、33、34、35、41、42、44、44:1、45、46、48、49、50、51、61、66、67、69、70、71、72、73、74、81、84、86、90、91、92、95、107、110、117、118、120、121、126、132、133、134等;
C.I.Direct Orange 1、2、3、4、5、6、7、8、10、13、19、20、21、24、25、26、29、29:1、30、31、32、33、43、49、51、56、59、69、72、73、74、79、80、83、85、87、88、90、91、92、95、96、97、98、101、102、102:1、108、112等;
C.I.Direct Red 1、2、2:1、4、5、6、7、8、10、10:1、13、14、15、16、17、18、21、22、23、24、26、26:1、28、29、31、33、33:1、34、35、36、37、39、42、43、43:1、44、46、49、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、67、67:1、68、72、72:1、73、74、75、77、78、79、81、81:1、85、86、88、89、90、97、100、101、101:1、107、108、110、114、116、117、120、121、122、122:1、124、125、127、127:1、127:2、128、129、130、132、134、135、136、137、138、140、141、148、149、150、152、153、154、155、156、169、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、186、189、204、211、213、214、217、222、224、225、226、227、228、232、236、237、238等;C.I.Direct Violet 1、3、4、5、6、7、9、11、12、13、14、16、17、18、21、22、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、51、52、57、58、61、62、63、64、71、72、77、78、79、80、81、82、83、85、86、87、88、93等;
C.I.Direct Blue 1、2、3、4、6、7、8、8:1、9、10、12、14、15、16、19、20、21、21:1、22、23、25、27、29、31、35、36、37、40、42、45、48、49、50、53、54、55、58、60、61、64、65、67、79、96、98:1、101、111、116、122、123、124、128、129、130、130:1、132、136、138、140、145、146、149、152、153、154、156、158、158:1、164、165、166、167、168、169、170、174、177、181、184、185、188、192、193、206、207、209、213、215、225、226、229、230、231、242、243、244、253、254、260、263等;
C.I.Direct Green 11、13、14、34、38、42、49、55、56、57、60、79等;
C.I.Direct Brown 2、18、37、50、56、58、59、60、67、80、86、112、118、123、125、126、146、147、148、152、155、165、167、168、179、184、185、186、206、208等;
C.I.Direct Black 3、15、17、29、30、39、47、51、71、84、85、86、87、90、96、104、129、148等。
【0025】
3.オキサジン系酸性染料
C.I.Direct Violet 54等;
C.I.Direct Blue 97、106、107、108、109、190等。
【0026】
4.アミノケトン系酸性染料
C.I.Acid Yellow 7等。
【0027】
5.キサンテン系酸性染料
C.I.Acid Red 50、52、91、92、93、289、306等;
C.I.Acid Violet 9等;
C.I.Acid Blue 19等。
【0028】
6.キノリン系酸性染料
C.I.Acid Yellow 2、3、5等;
C.I.Direct Yellow 5、119等。
【0029】
7.トリフェニルメタン系酸性染料
C.I.Acid Violet 15、16、17、19、21、23、24、25、38、49、72等;
C.I.Acid Blue 1、3、5、7、9、11、13、15、17、22、24、26、34、48、75、83、84、86、88、90、90:1、91、93、99、100、103、104、108、109、110、119、123、147、206、213、269等;
C.I.Acid Green 3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、18、22等。
【0030】
酸性染料と四級アンモニウムイオンとをイオン反応させる方法としては、水系および非水系の公知の反応方法を用いることが出来る。例えば、酸性染料のアルカリ性溶解水溶液を調製し、並びに四級アンモニウムイオンの水溶液を調製し、両溶解液を均一に混合することにより本発明の造塩染料が合成される。
【0031】
このとき、酸性染料1モルに対して、四級アンモニウムイオンを好ましくは0.8乃至1.4モル、更に好ましくは0.9乃至1.2モル量を反応させることにより所望の溶解性を有する造塩染料が得られる。四級アンモニウムイオンの使用量が上記範囲からはずれると、未反応成分が混入するので脱塩等の水洗工程に長時間を有し、好ましくない。
【0032】
このようにして得られる造塩染料は、例えば、式
【0033】
【化4】
で示される構造を有する。式中、Dは酸性染料の残基である。Aは酸性基のアニオンであり、好ましくは、それぞれ独立してSO3 −又はCOO−、好ましくはSO3 −である。Lは、一般に水素原子、又はアルカリ金属(Li、Na等)である。mは酸性基の価数であり、一般には0乃至3の整数である。nは酸性基の電荷数であり、1乃至mの整数である。R1乃至R4は上記と同意義である。
【0034】
本発明は、更に、上記造塩染料と油性液媒体とを含有するインキ組成物を提供する。本発明のインキ組成物に用いうる油性液媒体はアルコールおよび/またはグリコール(グリコールのエーテルまたは、エステルを含む。)を主成分とする有機溶剤であることが好ましい。インキ液媒体がアルコール系有機溶剤を主体とするものであれば、無公害インキを提供できるからである。
【0035】
本発明の油性液媒体に用いうるアルコール系有機溶剤としては、1価のアルコール(例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールおよびジアセトンアルコールのようなアルコール; エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールのモノアルキルエーテル; およびエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテートのようなグリコールのモノアセテート等)、および2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオールのようなグリコール等)等が挙げられる。
【0036】
低毒性または無毒性のエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、フェニルグリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテルおよび乳酸エステルのような有機溶剤を適宜混合して造塩染料の媒体として使用することにより、環境衛生上問題のないインキを調製できる。
【0037】
本発明の油性液媒体にはアルコール系有機溶剤の他にも、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルのような乳酸エステルをインク組成物の全量に対して30重量%を下回る量で併用できる。また、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、2−ピロリドンのようなピロリドンをインク組成物の全量に対して15重量%を下回る量で併用できる。
【0038】
本発明のインキ組成物は、インキ組成物全重量に対して1乃至30重量%の本発明の造塩染料を、60乃至95重量%、好ましくは75乃至85重量%の上記有機溶剤と5乃至15重量%、好ましくは8乃至12重量%のインキ用樹脂とからなる液媒体に(加熱)溶解後、濾過することにより得られる。この際必要に応じて、ノニオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等)、有機酸(例えば、オレイン酸等)や防錆剤のような添加剤を少量加えてもよい。
【0039】
造塩染料の含有量が0.1重量%未満では印字又は筆記濃度が不十分となる場合があり、また20重量%を超える場合にはインキの粘度が急激に高くなり、インキの吐出時の安定性が低下する恐れがある。
【0040】
本発明のインキ組成物中に含有される好ましい造塩染料の量はインキの用途に依存して種々に異なる。一般に、ボールペン用としては、15乃至25重量%、マーキングペン用としては、5乃至15重量%、インクジェット記録用としては、3乃至10重量%の量で用いられる。
【0041】
本発明のインキ組成物に好適に使用できるインキ用樹脂はアルコール可溶性であれば特に限定されない。例えば、この種のインキ用樹脂として汎用されるビニルピロリドンの低縮合物、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ケトン樹脂およびロジン樹脂などが例示できる。
【0042】
本発明のインキ組成物には、上述した以外にも必要に応じて、一般的な定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、保湿剤のような添加剤を含んでいてもよい。
【0043】
本発明のインキは、筆記具用、スタンプ用等のような各種のインキとしても用いる。特に、ボールペン等の筆記具用インキ組成物として使用した場合に記録・筆記特性が良好で筆跡ムラのない筆記ができ、また、速記した場合に文字がかすれることはない。本発明のインキは、インキの液滴を吐出し、前記液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録用インキとして、更に好適に使用することができる。
【0044】
カラーフィルターの形成方法としては、例えば特開平4−1287031号公報に記載されているように、支持体上にアクリル樹脂を被覆した基体の上にネガ型感光性ゼラチン膜をパターニングした後、染色液中で染色するという方法、特開平2−127602及び特開平4−175753号公報に記載されているようなノボラック樹脂、キノンジアジド化合物及び染料を含むポジ型レジスト組成物を用いる方法がある。
【0045】
本発明の染料をカラーフィルターに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いてもよいが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6−35182号公報に記載されている方法、即ち、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、着色剤及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物を基体上に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルターの形成方法を挙げることができる。また、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY.M.C補色系カラーフィルターを得ることができる。
【0046】
この際使用する熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、及び溶剤とそれらの使用量については、前記公開特許公報に記載されているものを好ましく使用することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩で調製した造塩染料はアルコール系有機溶剤に対する良好な溶解性および経時安定性を示す。例えば、この造塩染料はエタノールに対し10重量%以上溶解する。また、この造塩染料を10重量%溶解させたエタノール溶液を−10℃で3ヶ月間貯蔵した場合でも造塩染料の析出が無い。
【0048】
つまり、本発明の新規造塩染料及びアルコール系インキは、水系溶媒中での造塩化反応時にゲル化せず、取り出しが容易な造塩染料であり、また、物性面においても極めて良好なアルコール溶解性、および優れた経時溶解安定性を示す。
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0049】
製造例1乃至3は、各実施例において使用する本発明の四級アンモニウム塩の合成方法である。実施例1乃至5では本発明の造塩染料の合成方法を説明する。
【0050】
製造例1
トリブチルナフタレン−1−イルメチルアンモニウムクロライドの合成
アセトニトリル150g の溶媒中に1−(クロロメチル)ナフタレン 176.6gとトリブチルアミン185.4gを加え、加熱還流下5時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターを使用し、アセトニトリルを除去した後、析出した結晶をアセトン800ml中に投入し1時間撹拌した。これを濾過し、アセトン800mlで洗浄した後、乾燥してトリブチルナフタレン−1−イルメチルアンモニウムクロライド 193.5g(白色固体 収率53.5%)を得た。
【0051】
製造例2
トリヘキシルナフタレン− 1 −イルメチルアンモニウムクロライドの合成
アセトニトリル150g の溶媒中に1−(クロロメチル)ナフタレン 176.6gとトリヘキシルアミン269.5gを加え、加熱還流下8時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターを使用し、アセトニトリルを除去した後、析出した結晶をアセトン800ml中に投入し1時間撹拌した。これを濾過し、アセトン800mlで洗浄を行い、アセトン溶媒で得られた濾液の再結晶処理を行い、溶出分を回収した。乾燥してトリヘキシルナフタレン-1-イルメチルアンモニウムクロライド230.7g(白色固体 収率51.7%)を得た。
【0052】
製造例3
ナフタレン−1−イルメチル−トリオクチルアンモニウムクロライドの合成
アセトニトリル150g 溶媒中に1−(クロロメチル)ナフタレン 176.6gとトリオクチルアミン353.7gを加え、加熱還流下11時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターを使用し、アセトニトリルを除去した後、アセトン溶媒で得られた溶液(黄色)の再結晶処理を行い、1−イルメチル−トリオクチルアンモニウムクロライド225.9g(収率 42.6%、白色固体)を得た。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例1
造塩染料の合成
(製造例1+C.I.Acid Blue 113:ジアゾ系酸性染料)
水182.0gに9.58gの製造例1を加え、室温(20℃)で30分撹拌して溶解した。(溶液A1)
【0055】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Blue 113を加え、20%苛性ソーダ水溶液を滴下しpH10〜11に調整した後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液B1)
【0056】
溶液A1を溶液B1中へ徐々に滴下し、1時間撹拌した。18%塩酸を滴下し、pH6〜7に調整した後、濾過、水洗後乾燥して青色の結晶17.6gを得た。
【0057】
実施例2
造塩染料の合成
(製造例1+C.I.Acid Yellow 199:モノアゾ系酸性染料)水240.0gに12.6gの製造例1を加え、室温(20℃)で30分撹拌して溶解した。(溶液A2)
【0058】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Yellow 199を加え、20%苛性ソーダ水溶液を滴下しpH10〜11に調整した後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液B2)
【0059】
溶液A2を溶液B2中へ徐々に滴下し、1時間撹拌した。18%塩酸を滴下し、pH6〜7に調整した後、濾過、水洗後乾燥して黄色の結晶18.3gを得た。
【0060】
実施例3
造塩染料の合成
(製造例1+C.I.Acid Blue 80:アントラキノン系酸性染料)水185.0gに9.75gの製造例1を加え、室温(20℃)で30分撹拌して溶解した。(溶液A3)
【0061】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Blue 80を加え、20%苛性ソーダ水溶液を滴下しpH10〜11に調整した後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液B3)
【0062】
溶液A3を溶液B3中へ徐々に滴下し、1時間撹拌した。18%塩酸を滴下し、pH6〜7に調整した後、濾過、水洗後乾燥して青色の結晶15.04gを得た。
【0063】
実施例4
造塩染料の合成
(製造例2+C.I.Direct Yellow 120:ジアゾ系酸性染料)
水175.0gに11.73gの製造例2と47.8gのエタノールを加え、室温(20℃)で2時間撹拌して溶解した。(溶液A4)
【0064】
一方、水400mlに10gのC.I.Direct Yellow 120を加え、20%苛性ソーダ水溶液を滴下しpH10〜11に調整した後、60℃で1時間撹拌して溶解した。(溶液B4)
【0065】
溶液A4を溶液B4中へ徐々に滴下し、1時間撹拌した。18%塩酸を滴下し、pH6〜7に調整した後、濾過、水洗後乾燥して黄色の結晶17.7gを得た。
【0066】
実施例5
造塩染料の合成
(製造例3+C.I.Acid Green 25:アントラキノン系酸性染料)
水167.6gに17.04gの製造例3と111.8gのエタノールを加え、室温(20℃)で2時間撹拌して溶解した。(溶液A5)
【0067】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Green 25を加え、20%苛性ソーダ水溶液を滴下しpH10〜11に調整した後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液B5)
【0068】
溶液A5を溶液B5中へ徐々に滴下し、1時間撹拌した。18%塩酸を滴下し、pH6〜7に調整した後、濾過、水洗後乾燥して緑色の結晶18.0gを得た。
【0069】
【表2】
【0070】
比較例1乃至6では従来の第四級アンモニウム塩を使用した造塩染料の合成結果を説明する。
【0071】
比較例1
造塩染料の合成
(ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド+C.I.Acid Blue 113:ジアゾ系酸性染料)
水156.8gにベンジルトリブチルアンモニウムクロライド(第一工業薬品社製GX−8007)8.26gを加え、室温で30分撹拌して溶解した。(溶液AA1)
【0072】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Blue 113を加えた後、20%苛性ソーダ水溶液を使用しpHを10〜11に調整した。その後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液BB1)
【0073】
溶液AA1を室温で溶液BB1へ徐々に滴下した。滴下中、造塩染料がゲル化し、濾過、水洗ができなかった。
【0074】
比較例2
造塩染料の合成
(ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド+C.I.Acid Yellow 199:モノアゾ系酸性染料)
水125.2gにベンジルトリブチルアンモニウムクロライド(第一工業薬品社製GX−8007)6.59gを加え、室温で30分撹拌して溶解した。(溶液AA2)
【0075】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Yellow 199を加えた後、20%苛性ソーダ水溶液を使用しpHを10〜11に調整した。その後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液BB2)
【0076】
溶液AA2を室温で溶液BB2へ徐々に滴下した。滴下中、造塩染料がゲル化し、濾過、水洗ができなかった。
【0077】
比較例3
造塩染料の合成
(ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド+C.I.Acid Blue 80:アントラキノン系酸性染料
水159.4gにベンジルトリブチルアンモニウムクロライド(第一工業薬品社製GX−8007)8.39gを加え、室温で30分撹拌して溶解した。(溶液AA3)
【0078】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Blue 80を加えた後、20%苛性ソーダ水溶液を使用しpHを10〜11に調整した。その後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液BB3)
【0079】
溶液AA3を室温で溶液BB3へ徐々に滴下した。滴下中、造塩染料がゲル化し、濾過、水洗ができなかった。
【0080】
比較例4
造塩染料の合成(ベンジルトリヘキシルアンモニウムクロライド+C.I.Direct Yellow 120:ジアゾ系酸性染料)
水127.6gにベンジルトリヘキシルアンモニウムクロライド(第一工業薬品 研究品)9.67gと36.1gのエタノールを加え、室温で2時間撹拌して溶解した。(溶液AA4)
【0081】
一方、水400mlに10gのC.I.Direct Yellow 120を加えた後、20%苛性ソーダ水溶液を使用しpHを10〜11に調整した。その後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液BB4)
【0082】
溶液AA4を室温で溶液BB4へ徐々に滴下した。滴下中、造塩染料がゲル化し、濾過、水洗ができなかった。
【0083】
比較例5
造塩染料の合成(ベンジルトリオクチルアンモニウムクロライド+C.I.Acid Green 25:アントラキノン系酸性染料)
水116.9gにベンジルトリオクチルアンモニウムクロライド(第一工業薬品 研究品)15.4gと102.8gのエタノールを加え、室温で2時間撹拌して溶解した。(溶液AA5)
【0084】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Green 25を加えた後、20%苛性ソーダ水溶液を使用しpHを10〜11に調整した。その後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液BB5)
【0085】
溶液AA5を室温で溶液BB5へ徐々に滴下した。滴下中、造塩染料がゲル化し、濾過、水洗ができなかった。
【0086】
比較例6
造塩染料の合成(ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド+C.I.Acid Green 25:アントラキノン系酸性染料)
水258.9gにベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド(日本油脂製 S2−100)13.6gを加え、室温で1時間撹拌して溶解した。(溶液AA6)
【0087】
一方、水400mlに10gのC.I.Acid Green 25を加えた後、20%苛性ソーダ水溶液を使用しpHを10〜11に調整した。その後、室温(20℃)で1時間撹拌して溶解した。(溶液BB6)
【0088】
溶液AA6を室温で溶液BB6へ徐々に滴下した。滴下中、造塩染料がゲル化し、濾過、水洗ができなかった。
【0089】
【表3】
【0090】
物性評価
実施例1乃至5で得られた造塩染料のアルコール系有機溶剤に対する溶解性について下記方法により、物性評価を行った。その結果を後記表1に示す。
【0091】
(1)エタノール溶解性試験
溶剤90重量部、造塩染料10重量部をマグネットスターラーで、室温(20℃)にて1時間撹拌し、濾紙(東洋濾紙No.2)にスポットすることにより、完全溶解の可否を調べた。得られた結果を表4に示す。表中、完全溶解した場合は「○」、完全溶解しなかった場合は「×」と評価した。
【0092】
(2)PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)溶解性試験
溶剤80重量部、造塩染料20重量部をマグネットスターラーで室温(20℃)にて1時間撹拌し、濾紙(東洋濾紙No.2)にスポットすることにより、完全溶解の可否を調べた。得られた結果を表4に示す。表中、完全溶解した場合は「○」、完全溶解しなかった場合は「×」と評価した。
【0093】
(3)混合溶媒(フェニルグリコール:オレイン酸=4:0.1)溶解性試験
溶剤70重量部、造塩染料30重量部をマグネットスターラーで室温(20℃)にて1時間撹拌した後、50℃で1昼夜加熱後、室温(20℃)まで放冷した後、光学顕微鏡を使用し、結晶の有無を調べた。得られた結果を表4に示す。表中、結晶がなかった場合は「○」、有った場合は「×」と評価した。
【0094】
【表4】
【0095】
(4)吸光度測定方法
造塩染料をDMFに溶解し、濃度を0.0001重量%に調整した。このDMF溶液の吸収スペクトルを、分光光度計UV−1600PC(島津製作所社製の商品名)を用いて測定した。
【0096】
【表5】
【0097】
実施例6乃至10では、本発明の造塩染料を用いて調整したアルコールマーキングペン用インキの経時安定性を説明する。
【0098】
実施例6
【表6】
【0099】
上記の配合物を40℃で均一に混合溶解することにより、インキを調整した。このインキの経時安定性試験を低温/高温器(商品名:INCUBATOR、三洋電機社製)にて調べたところ、3ヶ月間のテスト(温度範囲−10乃至50℃、3時間間隔で繰り返し)においても染料の析出及びインキ組成物の増粘は見られなかった。
【0100】
実施例7
実施例6で用いた造塩染料の代わりに実施例2で得た造塩染料を用いること以外は実施例7と同様にし、インキを調整した。このインキの経時安定性試験を低温/高温器(商品名:INCUBATOR、三洋電機社製)にて調べたところ、3ヶ月間のテスト(温度範囲−10乃至50℃、3時間間隔で繰り返し)においても染料の析出及びインキ組成物の増粘は見られなかった。
【0101】
実施例8
実施例6で用いた造塩染料の代わりに実施例3で得たの造塩染料を用いること以外は実施例7と同様にし、インキを調整した。このインキの経時安定性試験を低温/高温器(商品名:INCUBATOR、三洋電機社製)にて調べたところ、3ヶ月間のテスト(温度範囲−10乃至50℃、3時間間隔で繰り返し)においても染料の析出及びインキ組成物の増粘は見られなかった。
【0102】
実施例9
実施例6で用いた造塩染料の代わりに実施例4で得た造塩染料を用いること以外は実施例7と同様にし、インキを調整した。このインキの経時安定性試験を低温/高温器(商品名:INCUBATOR、三洋電機社製)にて調べたところ、3ヶ月間のテスト(温度範囲−10乃至50℃、3時間間隔で繰り返し)においても染料の析出及びインキ組成物の増粘は見られなかった。
【0103】
実施例10
実施例6で用いた造塩染料の代わりに実施例5で得た造塩染料を用いること以外は実施例7と同様にし、インキを調整した。このインキの経時安定性試験を低温/高温器(商品名:INCUBATOR、三洋電機社製)にて調べたところ、3ヶ月間のテスト(温度範囲−10乃至50℃、3時間間隔で繰り返し)においても染料の析出及びインキ組成物の増粘は見られなかった。
【0104】
実施例11乃至15では、本発明の造塩染料を用いて調整したポジ型レジスト組成物を、また実施例16乃至20では調整したポジ型レジスト組成物を用いてカラーフィルターの作成を説明する。
【0105】
実施例11
クレゾールノボラック樹脂(ポリスチレン換算重量平均分子量4300) 3.4重量部、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル1.8重量部、ヘキサメトキシメチロール化メラミン0.8重量部、乳酸エチル20重量部及び本発明の実施例1の造塩染料1重量部を混合して、ポジ型レジスト組成物を得た。
【0106】
実施例12
実施例11で用いた造塩染料の代わりに実施例2で得た造塩染料を用いること以外は実施例11と同様にし、ポジ型レジスト組成物を得た。
【0107】
実施例13
実施例11で用いた造塩染料の代わりに実施例3で得た造塩染料を用いること以外は実施例11と同様にし、ポジ型レジスト組成物を得た。
【0108】
実施例14
実施例11で用いた造塩染料の代わりに実施例4で得た造塩染料を用いること以外は実施例11と同様にし、ポジ型レジスト組成物を得た。
【0109】
実施例15
実施例11で用いた造塩染料の代わりに実施例5で得た造塩染料を用いること以外は実施例11と同様にし、ポジ型レジスト組成物を得た。
【0110】
実施例16
実施例11乃至15で得られたポジ型レジスト組成物をシリコンウェハーにスピンコートした後、溶剤を蒸発させた。シリコンウェハーを露光後、100℃で加熱し、次いでアリカリ現像により露光部を除去して0.8μmの像度を有するポジ型着色パターンを得た。これを、全面露光後、150℃で15分加熱して各造塩染料を含有するカラーフィルターを得た。
【0111】
比較例7
上記実施例11で用いた本発明の造塩染料に変えて、VALIFAST BLUE 1605(オリヱント化学社製品)を使用した以外は実施例と同じ処方でカラーフィルターを作製した。
【0112】
比較例8
上記実施例11で用いた本発明の造塩染料に変えて、VALIFAST RED 3320(オリヱント化学社製品)を使用した以外は実施例と同じ処方でカラーフィルターを作製した。
【0113】
比較例9
上記実施例11で用いた本発明の造塩染料に変えて、VALIFAST YELLOW 3110(オリヱント化学社製品)を使用した以外は実施例と同じ処方でカラーフィルターを作製した。
【0114】
得られたカラーフィルターの透過スペクトルを測定し、スペクトルの短波長側、長波長側の切れを相対評価した。スペクトルを重ねて長波長側、短波長側共に切れが急峻な場合を「○」とし、どちらか一方のみが急峻な場合を「△」、どちらも急峻でない場合を「×」とし三段階評価を行った。
【0115】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の造塩染料の吸収スペクトルを示すチャートである。
【図2】 実施例2の造塩染料の吸収スペクトルを示すチャートである。
【図3】 実施例3の造塩染料の吸収スペクトルを示すチャートである。
Claims (6)
- 酸性染料と、酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩とからなる造塩染料であって、
該酸性染料が、アントラキノン系酸性染料、アゾ系酸性染料、オキサジン系酸性染料、アミノケトン系酸性染料、キサンテン系酸性染料、キノリン系酸性染料、およびトリフェニルメタン系酸性染料からなる群から選択される酸性染料であり、および
酸性染料のカチオン交換に用いる4級アンモニウム塩が、下記式
で示される構造を有する4級アンモニウム塩である、
造塩染料。 - 前記R1乃至R3がそれぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、およびオクチル基からなる群から選択される1置換基であり、R4がHである請求項1記載の造塩染料。
- 請求項1または2記載の造塩染料と、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールからなる群から選択されるアルコール系有機溶剤とを、含有するアルコール系インキ。
- 請求項3記載のアルコール系インキを含有する筆記具用インキ。
- 請求項3記載のアルコール系インキを含有するインクジェット記録用インキ。
- 請求項3記載のアルコール系インキを含有するカラーフィルタ染色用インキ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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